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志保「変わらない私たち」【ミリマスSS】
- 1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/18(月) 23:13:01.04 ID:RN4hHSMIo
- 薄暗い階段を登る。階下からは誰かの笑い声。怒っているのはきっと律子さん。
その中で一際目立つ男性の声、これはプロデューサーだとすぐにわかる。
そんな喧騒も一歩一歩上がるごとに遠のいて、代わりに歌声が聞こえてきた。
ちょっとだけズレた音程、それはいつもと同じだけど、今日は少しだけ元気がない。
階段を登りきった。このドアの先に彼女がいる。
私は驚かせないように、そっとドアを開いた。
- 2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/18(月) 23:14:24.49 ID:RN4hHSMIo
- 「輝いたステージに立てば~」
夜空の下、薄暗い屋上で可奈は歌っていた。
曲名は『自分REST@RT』。可奈は一人でいるときよく歌っている。
理由を聞いたら、一番好きだからって言ってたっけ。
「夢なら覚めないで、あっ! 志保ちゃん!」
チラッと見えた暗い表情が、パッと笑顔に変わった。けど、やっぱりいつもの可奈じゃない。 - 3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/18(月) 23:15:22.64 ID:RN4hHSMIo
- 「こんなところで歌ってると風邪引くわよ」
「今は夏だよ? 大丈夫大丈夫!」
「まったく……ねぇ、パーティーには行かなくていいの? 今日はあなたの誕生日だけど」
「うーん、ちょっと休憩! ダメ、かな……?」
「大丈夫じゃない? みんな好き勝手に遊んでるわ」
「そっか! なら、もう少しここにいるね」
可奈は歌うのをやめて、手すりに捕まってぼんやりと空を見上げはじめた。 - 4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/18(月) 23:15:58.89 ID:RN4hHSMIo
- 「そう……じゃあ私もここにいるわ」
「えっ? 志保ちゃんは戻っててもいいよ?」
「私が、ここにいたいの」
そう言うと、可奈はキョトンとしたあとすぐに笑顔になった。
「そっか……えへへ! じゃあ一緒にいよ!」
二人で空を見上げる。ここじゃ満面の星、とはいかないけど、それでも星は輝いていた。 - 5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/18(月) 23:17:21.49 ID:RN4hHSMIo
- 「大空を飛ぶ鳥のように 翼を広げて羽ばたきたい」
可奈がさっきの続きから歌いだす。
「可奈、音程」
「ええぇ!? んん、大空をーとーぶー鳥ーのー」
「とーぶー鳥ーのーよーうにー」
私も一緒に歌いだす。可奈は私に合わせて、私はお手本になるよう思い出しながら。
「「夢だけでは 終わらせたくない」」 - 6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/18(月) 23:17:59.63 ID:RN4hHSMIo
- 「えへへ、志保ちゃんはやっぱり凄いね」
「私なんてまだまだよ。千早さんたちに比べれば全然」
「ううん、凄いよ……」
パタパタと足を動かしながら、可奈は寂しそうに言った。
私はなんて声をかけてあげればいいのか分からず、可奈を見つめることしかできなかった。 - 8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/18(月) 23:19:18.74 ID:RN4hHSMIo
- 「……この一年、いろんなことがいっぱいあったね」
ポツリと可奈が呟く。
「そうね。ライブに、イベント。この前は、ついに全員でのライブも成功した」
「ハッピーパフォーマンス、楽しかったね。お客さんもみんなもキラキラしてた」
「サイリウムの明かりが星空みたいで、綺麗だったわね」
「うん! ずっと歌ってたかったな……」
「ええ。夢なら覚めないで、ってまさにこのことなのね」
目を閉じて思い出す。待機しているときの緊張、お客さんの声援に勇気をもらって、歌い切った瞬間。
誰もが笑顔になるあの瞬間は、最高としか言えない。 - 9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/18(月) 23:20:12.23 ID:RN4hHSMIo
- 「変わって……いくのかな……」
「えっ?」
「みんなと一緒にライブすることも少なくなって、バラバラにならないかな、って……」
可奈は不安に声を震わせながら、ポツポツと話し始めてくれた。
「お仕事も増えてきてるし、みんなと一緒にいる時間もどんどん減ってきてる」
「何日も会わない日が続いたり、最近一人の時間がどんどん増えてて」
「なんだか……やだなぁ……」 - 11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/18(月) 23:21:32.72 ID:RN4hHSMIo
- それは、誰もが感じていることなのかもしれない。私も、少しだけ同じことを考えていた。
でもそれが売れるということだ。忙しいのは喜ばしいことだ。
それでも、可奈にとっては無視できないほどの大きな変化なんだ。
「きっと、仕方のないことなのよ」
「そう……だよね」
「でもね……今日はこうして、可奈のためにみんなが集まった」
「あっ……」
下の窓から漏れる、みんなの笑い声。全員が可奈のために、今日集まったのだ。 - 12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/18(月) 23:22:55.96 ID:RN4hHSMIo
- 「環境が変化したって、会えない時間が増えたって、私たちは変わらないわ」
「私たちが変わらないかぎり、バラバラになんてならない。そう思うわ」
「うん……うん! きっと大丈夫だよね!」
「ふふ、一人で不安になるの、悪い癖じゃない?」
「そ、そんなことないよ! 矢吹可奈! 完全復活です!」
そう言ってガッツポーズをする可奈。不安なんて綺麗さっぱり吹き飛んだようだ。 - 13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/18(月) 23:24:17.06 ID:RN4hHSMIo
- 「まったく……可奈は何も気にせず歌ってればいいのよ」
「うんうん! みんなで歌えば怖くない~! いつも一緒で幸せに~! ほら、志保ちゃんも!」
「ええ!? えっと」
即興の歌に合わせる。上手とは言えないけど、心が暖かくなる歌。
可奈はそれでいい。純粋に歌を、アイドルを楽しむ可奈を放っておく人はいないだろう。
私がそうなのだから、他の人だって同じだ。 - 14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/18(月) 23:25:03.57 ID:RN4hHSMIo
- 「あっ! さっきの続き、歌おう?」
「まだ歌うの?」
「ダメ? お願い!」
「……はいはい、わかったわよ」
「ほんとに!? やったー!」
「ほら、さっさと歌って戻るわよ」
「うんうん! それじゃいっくよー!」 - 15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/18(月) 23:26:27.25 ID:RN4hHSMIo
- 自分REST@RTを可奈が好きな理由、私にもなんとなく理解できる。
「「誰からも知られ愛される 存在になる道を選んで」」
「「苦労は絶えないけれども 後悔してない」」
これは私たちアイドルのための歌だから。
「「毎日が楽しいから!」」 - 16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/18(月) 23:29:07.23 ID:RN4hHSMIo
- おわりです。可奈の誕生日になんとか間に合った……
急いで書いたので雑になってしまいすみません!かなしほが書きたかった!
それでは、読んでくださったみなさん本当にありがとうございました! - 18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/08/18(月) 23:35:45.50 ID:YApHzg4lo
- 乙
可奈はかわいいなぁ

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