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悪魔ほむら「また訪れたループの中で」
- 1 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/11(火) 23:33:53.71 ID:5KdED0V10
- ――今日は、鹿目まどかが生まれて、96回目の誕生日である。
だが、鹿目まどかは、残念ながらその日を迎えられなかった。
先日、天寿を全うしたからである。
- 2 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/11/11(火) 23:34:34.65 ID:5KdED0V10
- ……私は、鹿目まどかの最後を看取った。
彼女の弟である、鹿目タツヤも既に故人となっており……
私が悪魔となった、あの時を生きていた人は誰もいない。
鹿目まどかは老人ホームに入っていた。
今わの際であっても、親族すら誰も訪れず、
私は我慢できずに鹿目まどかの前に姿を現したのだ。
出来るだけ、私は接触せずに見守っていただけだったのだけど。
最後が、孤独なんて、耐えられなかった。
……そして、今はその時の会話を、思い出している。
- 3 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/11/11(火) 23:35:16.21 ID:5KdED0V10
- まどか「……ほむら……ちゃん?」
ほむら「まどか……」
まどか「ふふふ……、ほむらちゃんってば、あの時のままだね」
まどか「わたしってば、すっかり年取って、おばあちゃんになっちゃったのに」
ほむら「……」
まどか「……最後に、会いに来てくれたの?」
ほむら「……ええ。人間として生きた貴方の、最後をせめて看取りたかった」
まどか「そっか……」
ほむら「……長い間、おつかれさま。まどか」
まどか「ふふふ。たしかに、長かったよ……」 - 4 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/11/11(火) 23:35:44.52 ID:5KdED0V10
- ほむら「どうだった? まどか……。貴方なりに、幸せに生きられた?」
まどか「……うーん。ふふ、そうだな」
まどか「最後に、ほむらちゃんに看取ってもらえるから、そうなのかも」
ほむら「……そう」
まどか「結婚もしなかったし、子供もいなかったけど」
まどか「ママや、パパ、タツヤ、一杯いた、大事なお友達……」
まどか「楽しい時間も多かったよ」
ほむら「そう……、なら良かっ まどか「でも」
ほむら「えっ?」
まどか「悔いが残る、人生だった……」 - 5 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/11/11(火) 23:36:11.75 ID:5KdED0V10
- ほむら「まど……か……」
まどか「悔しいよ、ほむらちゃん」
まどか「大事な事をやり残して、逝かなきゃいけないの」
ほむら「……」
ほむら「……それは……なに?」
まどか「……」
まどか「……ふふ、ほむらちゃんには」
まどか「教えてあげません」 - 6 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/11/11(火) 23:36:57.65 ID:5KdED0V10
-
――まどかは、人間として、幸せな一生をおくるはずだった。
なのに、大事な事を、私にも明かせないような、
大事な事を、やり残してしまった。
- 7 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/11/11(火) 23:37:52.11 ID:5KdED0V10
- ほむら「……まどか、貴女を円環の理に戻すのは」
ほむら「まだ、だめ」
ほむら「まだ、だめよ」
ほむら「貴女が、満足できなかった人生なんかじゃ、意味がない」
ほむら「まってて、今度こそ、貴方が満足できるよう……」
ほむら「この世界、巻き戻すわ」
- 8 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/11/11(火) 23:39:49.68 ID:5KdED0V10
- ――2回目の改変後の、2回目の世界。
中学生の、あの時のまどかがいた。
帰国子女であったまどかが、転校してきたあの日。
転校してきたばかりのまどかに、
私は校内の案内を申し出た。
- 9 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/11/11(火) 23:40:30.17 ID:5KdED0V10
- まどか「あ…… 暁美さん?」
ほむら「ほむらでいいわ」
まどか「……ほむらちゃん?」
まどか「あの…… どうして、わたしを……」
ほむら「久しぶりの故郷はどう?」
まどか「ええと……うん。なんだか懐かしい」
まどか「また、ここに来れるなんてね」
まどか「今度こそ……、成功して見せるよ」
ほむら「……まどか?」 - 10 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/11/11(火) 23:42:35.04 ID:5KdED0V10
-
まどか「どうかした? ほむらちゃん」
ほむら「成功って、何を……?」
まどか「……? わたし、そんなこといったっけ?」
ほむら(……たしか、前回はここで、まどかは神としての記憶を取り戻しそうに……)
ほむら(今回は……? なんだろう)
ほむら(巻き戻したことが原因で、どこか不安定になっているのかしら……)
まどか「さ、ほむらちゃん……! 案内してくれるんでしょ、いこ!」 - 11 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/11/11(火) 23:43:31.93 ID:5KdED0V10
- ……この周で、今度こそ まどかを本当に幸せにしてみせる。
最後の時に、本当に幸せだったって 言って貰えるように。
わたしは、欲深い悪魔なのだから。
前回のまどかの人生は、私は見守るだけに努めていた。
でも、それだけじゃ まどかは幸せになれないらしい。
色んな因子を変えてみよう。
- 12 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/11/11(火) 23:44:16.26 ID:5KdED0V10
- そういえば、前回は結婚にも、子供にも恵まれなかった。
女性としての幸せ…… 一般的な女性としての幸せは
幸せな結婚、元気な子供に恵まれることだろう。
悪魔の癖に、チクチクとした痛みを胸に覚えながら、
私はまどかの因果を操作した。
優しい、まどかの父のような男性と知り合えるように…… - 13 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/11/11(火) 23:46:05.24 ID:5KdED0V10
- ――時間は流れた。
また、鹿目まどかが生まれて96回目の誕生日である。
今回はまだ、鹿目まどかは目の前に居る。
……だけれど、もう長くはない。
素敵な男性と、縁が幾らでもあったはずだけれど、
鹿目まどかは やはり孤独な最後だ。
接触はしていなかったが、
最後くらいはと顔を見せた。
- 14 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/11/11(火) 23:47:18.86 ID:5KdED0V10
- まどか「……ほむらちゃん、最後に会いに来てくれたんだぁ」
まどか「うれしいよ……」
ほむら「まどか……」
まどか「……もう、あんまり目が見えないの。ほむらちゃん、もっと近くに……」
ほむら「……うん」
まどか「……ふふ、皺くちゃの顔を見られちゃうのは、恥ずかしいな」
ほむら「そんなことないわ。おばあちゃんの貴女も、かわいいわ」
ほむら「私も人間として死ぬなら、貴方みたいに歳をとりたい」
まどか「……ありがとう、ほむらちゃん」
- 15 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/11/11(火) 23:48:09.15 ID:5KdED0V10
- ほむら「……やっぱり、悔いは残っているの?」
まどか「え?」
ほむら「最後に、看取ってくれる人が、私だけ……」
まどか「……」
ほむら「貴女はそこそこ、幸せな人生をおくれたんじゃないかと思っているの」
ほむら「でも、最後が、これじゃあ……」
まどか「そうだね……」
まどか「たしかに、悔いが残るよ。悔しいなぁ」
ほむら「……」 - 16 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/11/11(火) 23:49:01.12 ID:5KdED0V10
- 私は、また巻き戻した。
色々な因果を操作した。
鹿目タツヤを長生きさせてみた。
悔いが残ったそうだ。
さやか達、まどかの友達も、生き残るようにしてみた。
まだダメだ。
優しいだけの男性がタイプでないのかとも思い、
色んなタイプの男性や、……女性と縁があるようにしてみたり。
失敗だった。
鹿目まどかが選んだ仕事が、大成功を収めるようにしてみた。
志筑グループを上回る 大富豪となったが……
まどかの人生は、悔いが残らないものではなかった。
考えうる、まどかを幸せにするもの、全てを弄繰り回した。
- 17 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/11/11(火) 23:49:55.39 ID:5KdED0V10
- ――666回目の巻き戻し。
前は一か月の繰り返しだったけれど、
今度は80年以上の時の流れを繰り返している。
悪魔になっていて、疲れ知らずであっても……
私は途方にくれていた。 - 18 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/11/11(火) 23:51:09.70 ID:5KdED0V10
- 鹿目まどかが転校してきた始まりの日、
私は当然のようにまた校内を案内する。
まどか「さあ、ほむらちゃん。案内してくれるんでしょ? 一緒にいこ?」
ほむら「うん、まどか……。一緒にいきましょう」 - 19 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/11/11(火) 23:51:36.41 ID:5KdED0V10
- 私、暁美ほむらは疲れていた。
疲れ知らずであるはずなのに、
精神は神に対抗しうる領域に達していないらしい。
愛しい鹿目まどかに癒しをもとめ、
私は静かに、彼女の傍で過ごすようになった。
私は、幸せだった。
鹿目まどかに悪影響を与えるのが怖かったけれど、
それでも幸せだった。 - 20 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/11/11(火) 23:52:03.16 ID:5KdED0V10
- 彼女と過ごす時間の流れは、
666回目の繰り返しであるにも関わらず早かった。
私だけ歳を取らず、鹿目まどかはおばあちゃんになっていく。
それでも、鹿目まどかは私を気味悪がらずに、
わたしを傍においてくれた。
……また、時間が迫って来た。
- 21 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/11/11(火) 23:52:44.81 ID:5KdED0V10
- まどか「……ほむらちゃん」
ほむら「まどか」
まどか「私、そろそろ……ダメみたい」
ほむら「まどか……」
まどか「ほむらちゃん、色々、ありがとうね」
ほむら「うんん。こちらこそ……」
ほむら「今度こそ、私、貴女を幸せにできるように、頑張るからね」
まどか「……?」
ほむら「いいの、まどか。貴女は、何も考えずに、ゆっくり休んで……」 - 22 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/11/11(火) 23:53:19.63 ID:5KdED0V10
- まどか「……じゃあ、ほむらちゃん。最後に一人は怖いから、抱きしめていい?」
ほむら「うん、まどか。最後まで、ずっと一緒だよ?」
まどか「ふふ……」
まどか「この時をまっていたよ」
ほむら「えっ」 - 23 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/11/11(火) 23:53:45.05 ID:5KdED0V10
- 優しく私を抱きしめる、鹿目まどか。
私の長い髪を手で梳きながら、
老いた身でありながら、強く抱きしめ、離さない。
- 24 : ◆UFa0QKMBYQ 2014/11/11(火) 23:54:49.34 ID:5KdED0V10
- まどか「ずっと、一人になっちゃダメだって言ってたのに」
まどか「ぜんぜん、私に近寄ろうともしないんだもん」
まどか「今回だって、傍にはいてくれたけど……」
まどか「この今わの時でないと、抱かせてもくれなかったんだから」
ほむら「貴女……、記憶が……」
まどか「ふふ、ほむらちゃん」
まどか「でも、ずっと、ほむらちゃんと一緒だったから、幸せだったよ」
まどか「悔いなんて、あるわけがない」
ほむら「まどか……」 - 25 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/11/11(火) 23:56:00.31 ID:5KdED0V10
- いつの間にか、瞳を黄金色に輝かせ、
美しい彼女本来の姿に戻っていた。
鹿目まどかが、幸せな人生を送れたことに満足し、
私は女神の慈しみをその身に受けながら……
愛しい彼女から、もう離れない事を誓った。
終わりです。
読んでくださった方、
もしいらっしゃいましたら
ありがとうございました。
- 28 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/11/11(火) 23:57:50.79 ID:pmDcWFWkO
- 乙です!

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