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男「気付かなかった『さようなら』」
- 1 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/08(月) 00:16:07.19 ID:GZDENnOIO
- 女「もしかして嫌だった?」
男「いや、別に嫌じゃないけどさ。何で急に?」
女「うーん、何でだろ? 分かんないや、はははっ」
男「なんじゃそりゃ、一緒に帰ろうって言ってきたくせに」
俺は今、女って人と一緒に帰ってる。
同学年だけど今まで話したこともなく、たまに見かけるくらいだった。
ただ一つ違うのは、彼女は学年の中で一番容姿が良いことだろう。
体が小さく可愛らしい、明るい性格で裏表がない、らしい。
- 2 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/08(月) 00:17:53.07 ID:GZDENnOIO
- 幼い顔立ちなのに胸が大きい。
彼女よりも背が高い男なら、必ず胸に目がいくだろう。
正直、目のやり場に困る。
目を見て話すつもりが、そっちに目がいってしまう。
高校生だし男だし、仕方ない。
女「胸、気になるんだ?」
男「そりゃあ気になるけど……胸、気にしてんの?」
女「 まあ、下心丸出しで話し掛けてくる人とかいるからさ」
- 3 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/08(月) 00:19:37.64 ID:GZDENnOIO
- 男「あのさ、俺もそれなりに下心あるんだけど」
女「そうなの!?」
男「何で驚くんだよ。いいか? 可愛い女子に……
ーー女『良かったら、一緒に帰んない?』
男「とか言われたらそうなるって」
女「へー、男もそんな風に思うんだね」
男「いきなり呼び捨てか、イメージと違うな」
女「嫌だった?」
男「いや? そんなに気にならないけど」
- 4 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/08(月) 00:20:51.11 ID:GZDENnOIO
- 女「なら良かったぁ」
男「何なんだよ、変な奴だな」
女「変かな?」
男「変だろ。話したこともない知らない奴を部活終わるまで待ってるとか」
女「……私、男のこと知ってるよ」
男「は?」
女「サッカー部で揉めて、ボクシング部に入って、ムカつく先輩を殴り倒した」
男「えっ、えっ? なんで知ってんの!?」
- 5 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/08(月) 00:21:55.95 ID:GZDENnOIO
- 女「なんででしょう?」
男「知らねーよ」
推薦で入った奴と揉めて、サッカーを楽しめなくなって辞めた。
それからボクシング部に入って、ボコボコにされた。
それが、ムカつく先輩って奴だ。
階級下としかスパーリングやらない汚い野郎だ。
そいつの所為で辞める奴もいたけど、俺は辞めなかった。
必ず殴り倒してやろうと決めたからだ。
- 6 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/08(月) 00:22:54.66 ID:GZDENnOIO
- いけ好かない推薦野郎よりも、目的がしっかりしてる。
技術と実力は、殴ること倒すことで証明される。
女みたいな嫌がらせをしてくる奴等とは全く違う。
女「どしたの?」
男「ムカつく奴を思い出して、頭ん中で殴ってた」
女「ああ、サッカー部のあの人?」
男「……何で知ってんの? 怖いんだけど」
女「女子にはよくあることだし目に付くよ?」
- 7 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/08(月) 00:24:25.03 ID:GZDENnOIO
- 男「あいつは確かに女々しいな。だから大嫌いなんだ」
女「ははっ、大丈夫大丈夫!! 女子もあいつのこと嫌いだから」
男「そうなの? あいつ、顔は良いからモテそうだけどな」
女「いやいや、あんな軽い奴は絶対ないから」
男「ふーん……」
女「あのさ、実は私、見てたんだよね」
男「あ? なにをだよ?」
- 8 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/08(月) 00:27:29.62 ID:GZDENnOIO
- 女「先輩を殴り倒したとこ……見てる人、結構いたんだよ?」
男「そうなの!? もしかして俺ってモテてんの?」
女「……まあ、そこそこね」
男「何だよ、嫌そうな顔して」
女「あのさぁ、一緒に帰ってる女にそれはないでしょ」
男「彼女でもないのに嫉妬すんの?」
女「するよ!!」
男「すんのかよ……」
- 9 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/08(月) 00:28:45.28 ID:GZDENnOIO
- 女「まあいいよ、今回だけは許してあげます」
男「それはどうもありがとうございます」
女「ところで、本とか読む?」
男「いきなりだな、何で?」
女「いいから答えて」
男「読まないです」
女「じゃっ、これどうぞ」
- 10 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/08(月) 00:30:16.49 ID:GZDENnOIO
- 男「……小説かよ」
女「小説です」
男「俺、読まないって言ったよね?」
女「まあまあ、いいから読んでみなって、面白いからさ」
男「そっか、じゃあ読んでみる。で、いつ返せばいい?」
女「……読まないでしょ?」
男「いや、読まなくても返す日くらい
女「あげる」
- 11 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/08(月) 00:31:52.10 ID:GZDENnOIO
- 男「は?」
女「だから、あげるって言ってるの。誕生日のプレゼント」
男「誕生日まで知ってんのか……」
女「まあねー」
男「あのさ、他に何知ってんの?」
女「えーっとね……彼女いない、気に入らない人はぶっ倒す、友達あんまいない」
男「大体合ってるけど何なの? そういう趣味?」
- 12 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/08(月) 00:32:43.74 ID:GZDENnOIO
- 女「違います」
男「違うんだ」
女「はい」
男「あのさ」
女「はい、何でしょうか?」
男「俺、あんたのこと全然知らないんだけど……」
女「別にいいよ、私は知ってるから」
- 13 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/08(月) 00:33:59.12 ID:GZDENnOIO
- 男「わけ分からん」
女「ふふっ、いいよ、分かんなくて」
男「そうなの?」
女「そうです」
男「つーか帰り一緒じゃないよね?」
女「気にしないで、男の家に着いたら帰るから」
男「……ストーカー?」
女「して欲しいの?」
- 14 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/08(月) 00:36:20.75 ID:GZDENnOIO
- 男「いや、そんなわけじゃないけど」
女「…………」
男「…………」
女「……………」
男「……あの、着いたんだけど、もう遅いし送ろうか?」
女「ううん、いい」
男「そっか」
女「そうです」
男「……んじゃ、ありがとうございました?」
女「はははっ、いえいえ、こちらこそ楽しかったよ」
- 15 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/08(月) 00:38:30.30 ID:GZDENnOIO
- 男「じゃあ、また今後?」
女「あっ、もしかしてまた私と一緒に帰りたい?」
男「いや、だって全然知らないし、あんた面白いし」
女「……そっか」
男「ん? どうした?」
女「へっ? ううん、なんでもない」
男「??」
女「じゃっ、さよなら」
男「あっ、行っちまった。本当にわけ分からん……」
- 16 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/08(月) 00:40:40.47 ID:GZDENnOIO
- 俺は疲れてて、小説を読まずに寝てしまった。
何を思って彼女は俺を誘ったのか、そんなことを色々考えながら寝た。
もしかして、俺のことを好きなのかとも思ったけど、訊けば済む話しだ。
でも、確かめることは出来なかった。
翌日、彼女は学校から消えていた。
事件とか死んだとかじゃなくて、転校していた。
あの時の『さよなら』は、そういう意味だったんだろう。
その日、部活を休んで彼女から貰った小説を開くとノートの切れ端がはらりと落ちた。
ーーあなたの事が好きです
連絡先もなく、ただそれだけが書いてあった。
- 17 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/08(月) 00:41:47.98 ID:GZDENnOIO
- おしまい
- 19 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/08(月) 00:58:47.95 ID:GZDENnOIO
- 多少の脚色はしてますが実在の出来事です(小学生の頃)
転校って本当にせつないですよね。 - 20 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/12/08(月) 01:11:26.18 ID:xziHrLjS0
- 切ないけど、いい話だな
乙

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