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少女「いやぁーっ!」 男「あれって……レイプ!?」
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1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 14:44:26.37 ID:KsXRR7+Z0
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友「じゃあ、また明日なー」
男「ああ。じゃあな」
男「すっかり遅くなったな」
学校からの帰り道。
文化祭の準備が予想以上に長引き、辺りはもう真っ暗だった。
最近夜は冷え込むし、早く帰ろう。
順調に歩みを進めていた、そのときだった。
?「……!! …………!!」
男「ん? 女の子の悲鳴……? 気のせいか?」
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3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 14:45:37.45 ID:KsXRR7+Z0
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いや。
確かに聞こえた……。
音が聞こえたほうに近づいて目を凝らしてみる。
うっすらと見える。
曲がり角から凄い勢いで現れた人影が、
追いかけてきたらしいもう一つの人影に捕まった。
そして……押し倒された。
男「なんだよ、あれ……」
暗くてよく見えないが、一人目のほうは多分女性だ。
小さい体に、ひらひらとスカートが翻っているのが分かる。
それに対して、もう一人のほうは体の大きさからみて男性。
女の子を押し倒してその手足を押さえつけている。
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6:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 14:47:45.36 ID:KsXRR7+Z0
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男「あれって……レイプ!? た、大変だ」
とんでもない場面に出くわしてしまった。
足が震えだす。怖い。怖くてたまらない。
情けないことに一番に出てきた感情がそれだった。
けれど、もう一刻の猶予もない。
女の子は必死に抵抗しているが、力で敵うわけがない。
男「そうだ! 警察、警察を……」
慌てて携帯をポケットから取り出す。
そして思った。
当然、通報を受けた警察官はとんで来るだろう。
けど、それで間に合うのか……?
手遅れになりはしないのか……?
男「……」
俺はもう一度二つの人影を見る。
そして、一歩前へ踏み出した。
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10:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 14:50:56.87 ID:KsXRR7+Z0
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少女「いやっ……やめてぇ!! いやーっ!」
?「……」
男「うあああああああ!!」
全力で走る。
そのまま、女の子に乗っかっている男に激突した。
?「っ……」ズシャア
奴は転がりながら吹っ飛び、右手を付いた。
女の子をかばうように前に出る。
足の震えはもう消えていた。
男「く、来るならこい! 警察はもう呼んだぞ!」
携帯を相手に見えるように突き出す。
画面には……110の数字。
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12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 14:52:37.75 ID:KsXRR7+Z0
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?「っ!?」
少し間があった。
携帯の光でうっすらと顔が見えた。
映画に出てくる強盗が被るような、顔全体を隠すマスクを着けていた。
人影はゆっくりと身を翻すと、曲がり角へと消えていった。
男「は、はああ~~~」
気が抜けて、マヌケな声が出てしまった。
襲い掛かってくるんじゃないかと思っていたけど、
意外にも早く諦めてくれたようだ。
男「……はっ! 君、大丈夫……」
少女「……ぐすっ、えぅぅ……」ガタガタ
案の定、女の子は縮こまって泣いていた。
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16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 14:54:38.37 ID:KsXRR7+Z0
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女の子は中学の制服を着ていた。俺の通っていた中学のものだ。
その制服はところどころが破られていて、女性の肌に免疫のない俺は慌てて目をそらした。
……大丈夫なわけがないか。
バカな言葉を発しそうになった自分を殴りたくなった。
男「……」
少女「……すっ、ぐす、ひっく、ぐす……」
どうすればいいんだろう。
気の利いた言葉なんか、少しも浮かんでこない。
俺は学ランを脱ぐと、女の子の肩に被せた。
少女「ひっく……?」
男「ちょっと汗臭いかもしれないけど……」
ほとんど声が出なかったのが自分でも情けない。
女の子は感触を確かめるように肩にかけられた服を握る。
そこで、初めて助けられたことに気付いたようだった。
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17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 14:57:02.14 ID:KsXRR7+Z0
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少女「ふえぇ……ぐすっ」
男「な、泣くなって。ほら、あいつは追っ払ったからさ」
少女「……」コクコク
男(か、かわいい……何かしてあげるべきか……背中をさするとか?
いや、でも、女の子の体に軽々しく触れるのも……)
少女「ぐすっ――あ、あの、ありがとうございます……」
ふらふらと女の子が立ち上がる。
男「あ、無理しちゃ……」
少女「ひゃ!?」
よろめいた女の子は、そのまま俺に倒れてきた。
反射的に抱きとめる。ふわっと、いい香りがした。
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21:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 15:00:07.69 ID:KsXRR7+Z0
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男「……」
少女「……あ」カァァ
ぷに、と色んな柔らかい感触が伝わってくる。
女の子の体って、柔らかいんだな。
そんなことを思った。
男「……」ゴクリ
少女「……」
その体勢からしばらく動くことができなかった。
密着しているからか、女の子の息遣いが伝わってくる。
やがて沈黙を切り裂いたのは女の子だった。
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24:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 15:03:14.36 ID:KsXRR7+Z0
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少女「あ、あの、よよよろしければ、おっお名前を教えてくれないでしょうか!?」
意を決したようにそう言って、俺を見る。
顔はトマトのように真っ赤だった。
そして、固まった。俺も……その女の子も。
男「……!?」
少女「……!?」
男「名前なら、よく知ってるだろ……」
妹「お、お兄ちゃん!?」カアアアア
俺は穴があったら入ってその中で死にたくなった。
しばらく二人とも呆然としていた。
だが妹がはっとして俺の体を押しのける。
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27:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 15:05:59.83 ID:KsXRR7+Z0
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妹「ちょ、ちょっと近い! 離れてよっ!」
男「あっ、悪い……」
妹(こここ、これどういうことっ!
まさか助けてくれたのがお兄ちゃんだったなんて……)
男「妹」
妹「ひゃいっ」ビクッ
男「ど、どうした? どこか痛むのか?」
妹「なんでもないっ」
男「そっか……とにかく、家に帰ろう。あいつが戻ってきたら大変だし。父さんにもこのことを話さないと」
妹「あ、うん……っと」クラッ
男「!? おい、やっぱりどこか打ったんじゃ……」
妹「だいじょぶ……だって」
それが強がりだということはすぐに分かった。
昔からそうなんだ……こいつは。
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28:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 15:06:50.25 ID:BYGVQSH70
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少女じゃなくて妹とな
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33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 15:08:30.08 ID:KsXRR7+Z0
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男「意地っ張りだな……ほら、おんぶするよ」
妹「え、マジ? は、恥ずかしいって……」
男「頼むから言うとおりにしてくれ」
妹「……」
男「妹」
妹「……わかった! わかったよぅ……」
覚悟を決めたのか、背中に妹が乗っかる。
俺は立ち上がり体勢を立て直すと、家を目指して歩き出した。
妹「……」
男「なんだよ。急に静かになったな」
妹「……別に」
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37:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 15:10:43.85 ID:KsXRR7+Z0
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静かだった。
暗闇の中、足音だけが一定のリズムを刻んでいる。
どれほど時間が経ったんだろうか。
もうすぐ家に着くというときに、妹が口を開いた。
妹「……やさしい」
男「え?」
妹「だ、だから……優しいじゃん?
なんか。いつもはあんまり話さないのに」
男「……」
そういえば……そうかもしれない。
高校生になってから、色々と忙しくなって……。
俺は次第に、妹に対して無関心になっていた。
嫌いなわけじゃない。ただなんとなく、避けていたような気がする。
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40:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 15:13:22.28 ID:KsXRR7+Z0
-
男「そりゃあ、あんなことがあったからな」
妹「……そっか、そうだよね」
なんだか、声のトーンが落ちた気がした。
何か勘違いさせてしまったのだろうか?
男「ま、それだけじゃないけどな」
妹「……え」
男「やっぱ、大事な妹だからさ。
俺が守らなきゃ、って思ったんだ」
妹「……っ」
妹の体が少し強張った。
男「? どうかしたか?」
-
42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 15:16:48.16 ID:KsXRR7+Z0
-
妹「別に……てゆーか、いきなりクサいこと言うなっ!」
男「俺は事実を言っただけだ」
妹「ふーん……お兄ちゃん、シスコンだね」
男「なっ……お前な、いい加減にしないと放り投げるぞ」
妹「やれるもんならねー」
男「くっ……」
なんて生意気なやつだ。
妹「そういえばさあ……」
男「ん、なんだ?」
妹「あいつの前に出たとき、なんか見せてたよね。あれなんだったの?」
男「ああ、携帯のことか? 警察呼んだって分かったら、怯むかなって思ったんだよ」
ポケットから再度携帯を取り出し開く。そこには110の数字。
さっき、暴漢を追い払うのに使ったやつだ。
-
46:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 15:20:01.92 ID:KsXRR7+Z0
-
男「……げ、よく考えるとこれ発信前の画面じゃないか……バレなくてよかった……」
妹「は……? お兄ちゃん、それで相手が襲いかかってきたらどうするつもりだったの?」
男「え、えーと。まあどうにかなるだろって」
妹「……なるわけないじゃん。ばっかみたい」
男「な! バカとはなんだバカとは!」
妹「だってホントのことだもーん」クスクス
あれ……。
楽しそうに笑っている妹の声を聞いて、疑問に思う。
俺たち、こんなに仲良かったっけ?
こんな楽しそうな妹を見るのも、こんなに妹と話すのも、随分と久しぶりだった。
妹「……でも、ありがと。お兄ちゃん……」ボソ
男「え? なんて?」
妹「な、なんでもないっ」
まもなく家に着く。
心なしか、肩を掴む力が強くなった気がした。
-
50:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 15:23:37.56 ID:KsXRR7+Z0
-
・・・
男「ただいま」ガチャ
妹を降ろすと、玄関を開けて中に入る。
その物音を聞きつけてか、リビングからひょこっと顔が出てきた。
父「おお、おかえり。遅かったな……珍しいな、二人一緒なんて」
男「いや、大変なことがあって」
妹「……」
俺は妹の姿が父に見えるように、横にずれた。
父「ッ!? これは……」
男「とにかく詳しいことは後で話すよ」
父「男、お前ついに妹に手を出したのか?
しかも無理やり……」
男「いいからソファーにでも座ってろ。な?」
俺たちは、ひとまず先程の出来事を話すべく、リビングに向かった。
-
56:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 15:26:54.57 ID:KsXRR7+Z0
-
男「……とまあ、こういうことなんだ」
父「そんなことが!? ……二人とも怪我はないのか!?」
妹「……うん」
男「大丈夫だよ。わりとあっさり逃げてくれたから、怪我とかはしてない」
父「そうか……」ホッ
男「あ、でも……妹がちょっと具合悪いみたいなんだ。
父さん、ちょっと診てやってくれよ」
父「ああ、任せてくれ。妹、こっちに来なさい」
妹「ん……」
父さんは元医者だ。
今は近くの大学で教鞭をとっている。
腕は確かで、そこらへんのヤブ医者に任せるよりはよっぽど信頼できた。
父「めまいはまだするか?」
妹「……」ブンブン
妹は首を横に振る。
家に戻ってから、妹はいつもの調子に戻ってしまった。
さっきの生意気な様子がうそのように寡黙だ。
-
61:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 15:30:12.26 ID:KsXRR7+Z0
-
父「ふむふむ……心配ない。
ショックを受けたことによる一時的な疲労だろう。休めばよくなるさ」
男「そうか、よかった」ホッ
父「警察には私が連絡しておこう。二人とも今日はもう休め。疲れただろう」
男「ああ……そうだな、そうさせて貰うよ」
無事帰宅して気が緩んだのか、どっと眠気が襲ってきた。
ふわあ、と大きな欠伸をする。
妹「……お風呂入る」トテトテ
妹はそういうとバスルームに消えた。
やれやれ、父さんにお礼ぐらい言えばいいのに。
父「新しい制服も買わないとな……全く、物騒な世の中になったもんだ」
父さんはぶつぶつと愚痴をこぼしながら携帯電話をいじっている。
邪魔をしないように、部屋にでも行ってるか……。
-
64:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 15:33:54.36 ID:KsXRR7+Z0
-
俺は二階に上がり、自分の部屋に入った。妹の部屋は廊下を挟んで向かい側だ。
ベッドにダイブして、一息つく。
そしてあの暴漢について考える。
男「あのくそ野郎……捕まったら、絶対一発殴ってやる」
ゆっくりと目を閉じる。
俺の意識は、だんだん遠くなっていった――
・・・
・・
・
男「おとーさん、おかーさん。そのこだれ?」
父「この子は、今日からお前の妹だ。仲良くするんだぞ」
男「いもうと……」
妹「……」ビクビク
母「怖がらないで、妹ちゃん」
男「おいで、いっしょにあそぼうよ」ニコッ
妹「……うんっ」
-
66:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 15:36:35.79 ID:KsXRR7+Z0
-
・
・・
・・・
男「――はっ」
目が覚めた。
時計を見ると、どうやら30分ほど眠っていたようだ。
男「夢、か……」
なにか懐かしい夢を見ていた気がする。
男「顔でも洗ってくるか」
階段を降り、洗面所に向かった。
男「ふー……」ガラッ
洗面所がある、脱衣所の引き戸を開ける。
-
69:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 15:37:55.62 ID:KsXRR7+Z0
-
妹「へっ……」
男「……」
妹「……」
一瞬時が止まったように感じた。
そこには、一糸纏わぬ姿の妹がいた……。
男「……あ”っ」
妹「……ッ」プルプル
男「ご、ごめ」
妹「バカぁーーーーーーーッ!!!!!!」
……その後必死に謝って何とか許してもらったあと、
俺は顔を洗うついでに入浴を済ませた。
-
71:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 15:40:06.24 ID:KsXRR7+Z0
-
男「さて、寝るか……」
電気を消してベッドに入る。
明日は文化祭だ。
よく寝ておかないとな……。
――――
男「眠れない……」
当然といえば当然なのかもしれない。
あんな強烈な体験をした後で易々と眠れるほど、
能天気な性格ではない。
男(妹は、寝てるんだろうか……)
ふと、向かいの部屋が気になった。
-
72:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 15:40:29.97 ID:Dlf8ZjGc0
-
お約束は大事だよね
-
77:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 15:43:46.29 ID:KsXRR7+Z0
-
やはり心配だ。考えてみれば、
妹は俺よりずっと心に傷を負っているはずなのだ。
さっき見た夢を思い出す。
あの頃の妹は、泣き虫だったな……。
今も壁の向こうで妹が泣いている気がして、心が落ち着かない。
いっそ様子を見に行こうか。
そんなことを考えたときだった。
ドアがゆっくりと開いて、僅かに光が入ってくるのが見えた。
何者かが動く、衣擦れの音が聞こえる。
そのまま入ってくる……。
ドアがゆっくり閉じた。
男(誰だ?)
何者かは、そろそろと俺の寝ているベッドに近づいてくる。
まるで起こさないように気をつけているみたいに。
何者かが、ベッドの横まで来た。
薄目を開けて確認してみる。
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79:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 15:46:12.21 ID:KsXRR7+Z0
-
男(……妹)
感づいてはいたものの、本当にそうだとは。
男(一体、何が始まるんだ?)
妹「……」スッ
妹の手が布団にかかる。
そのまま布団をめくると、妹はその華奢な体を中に滑り込ませた。
男(え、ええー!?)ドキドキ
妹「……」
男(な、なんだ? どういうつもりだ……?)
妹「……」ギュ
そしてあろうことか、妹は俺の腕に絡まるように密着してきた。
腕に当たる何かの感触――心臓の鼓動が、妹に聞こえてしまわないか不安だった。
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82:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 15:49:31.12 ID:KsXRR7+Z0
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妹「……ん」
耳元に息がかかる。
甘い匂いがして、頭がクラクラした。
――もう限界だ。
その緊張に耐えられず、俺は寝たふりをやめる事にした。
男「……何やってんだ、お前?」
妹「ふわッ!?」ビクッ
声を出した瞬間、妹の体が飛び跳ねたような気がした。
妹「あ……う」カアア
男「……」
妹「これは……その、違う!」
男「何が?」
妹「し、仕方なく!
お兄ちゃんが一人で怖がってるかなって思って、仕方なく来てあげたんだから!」バタバタ
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83:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 15:52:20.52 ID:KsXRR7+Z0
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男「あー……分かったから、少し落ち着け」
要するに、一人で寝るのが怖かったから、俺のベッドに潜り込んだ……という解釈でいいんだろうか。
妹「や、やっぱりあたし、戻る」
妹がベッドから出ようと身を起こす。
反射的に、俺はその手を掴んでいた。
男「……」
妹「な……離してよ」
ほんのり赤くなったその顔を見ると、
手を離してはいけないような気がした。
だから言う。
男「そうだな」
妹「え……?」
男「実は怖かったんだ。一人で寝るの。
……だから、妹が一緒にいてくれると助かる」
妹「お兄ちゃん……」
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85:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 15:55:01.37 ID:KsXRR7+Z0
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男「……」
妹「……わかった。仕方ないなぁ、お兄ちゃんは」
男「そう、仕方ない」
妹「じゃ、じゃあ……おやすみなさい」
男「ああ……」
妹「……」
背中合わせになって転がる。
妹の体温が背中に伝わって、温かい。
男「なあ、妹」
妹「……なに?」
男「明日さ、高校の文化祭なんだ。
……その、よかったら……一緒に回らないか?」
妹「文化祭に……あたしと?」
男「うん……ほら、気分転換にどうかなーって思ってさ」
妹「……」
-
86:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 15:58:22.01 ID:KsXRR7+Z0
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妹は黙ったままだ。
迷っているのだろうか?
男「だ……ダメかな?」
妹「ううん……行く」
男「そうか」ホッ
体勢を変えて、妹の背中に話しかける。
男「俺は準備があるから……そうだな、昼に学校で待ち合わせしよう」
妹「うん、わかった」
男「一人で来られるか?」
妹「大丈夫だよ……お兄ちゃん、あたしのこと子ども扱いしてる?」ムッ
男「中学生になったばかりで、よく言うよ」
妹「子どもじゃ……ない」
妹がこちらを向いた。
向かい合う形になる。
月明かりに照らされた妹の顔は、いつもよりずっと綺麗に見えた。
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90:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 16:00:27.56 ID:KsXRR7+Z0
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妹「む、胸だって……大きくなってきてるし」
男「そ、そういうことじゃ……」
妹「確かめて……みる?」
男「へっ?」
そういうと、妹は俺の右手を掴んだ。
俺の手を誘導し……自らの乳房に押し付ける。
ぷにゅ、と生々しい感覚が手のひらに伝わった。
妹「……ッ」
男「ちょっ……」
妹の顔は真っ赤に紅潮している。
そんなに恥ずかしいならやらなければいいのに……。
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94:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 16:03:27.49 ID:KsXRR7+Z0
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妹「……ぁっ……」
男「!」
妹の口から甘い喘ぎが漏れる。
その官能的な響きに、無常にも俺のモノはしっかりと反応していた。
バカ……なに興奮してるんだ。
妹だぞ? ありえないって……。
必死に抑えようとするが、俺も男だ。
こればかりはどうにもならない。
妹「ふぁ……んっ、おにい……ちゃん」
耳元で俺を呼ぶ妹の声がする。
脳に直接麻薬を打たれたような、ふわふわとした高揚感があった。
きっと俺はもう理性を失っている。
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98:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 16:05:43.10 ID:KsXRR7+Z0
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妹「……あっ、ん……」ビクッ
右手に力を込める。
そのまま、円を描くように小ぶりな乳房を揉んだ。
男「……」
妹「んん……ふぁっ!?」
親指と人差し指で、中央の突起を摘む。
あまり力を入れすぎないように注意しながらこねくり回した。
刺激が強すぎるのか、妹の体が小刻みに揺れる。
妹「お兄ちゃ……おっぱい、もんじゃ……だめぇ……んっ、あっ……」
ふと、妹の手が俺の股間付近に伸びた。
服を押し上げていた怒張は、当然手に当たる。
妹「あ……ここ、おっきくなってる」
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102:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 16:07:30.63 ID:KsXRR7+Z0
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男「こ、これはその……仕方なくて」
妹「そ、そうなんだ」
本当に、どうかしている。
妹の胸を触って……妹の声を聞いて、勃起するなんて。
そんなことを考えていると、不意に、妹の手がそれに触れた。
男「……!?」
妹「えっと、こうすれば……気持ちいいんだよ……ね?」
ぎこちない手つきで妹がそれを扱く。
服の上からとはいえ、自分でするのとは全く違う快感が押し寄せた。
男「あ……」
妹「えへへ……気持ちいい?」
男「……」
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106:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 16:10:02.90 ID:KsXRR7+Z0
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俺は右手を布団の中へと移動させた。
ちょうど妹の手とクロスするような形になる。
妹「……え? やっだめ、そこは……」
俺は妹の制止を聞かず、パジャマの中に進入した。
さらさらしたショーツの上から、割れ目を優しくなぞる。
そこは既に、しっとりと湿り気を帯びていた。
妹「あっ……ん、あ……」ビクビクッ
触れただけで軽く達してしまったのだろうか。
妹の体がビクン、と波打った。
妹「お、にいちゃん……」
男「妹……」
もう、どうにでもなってしまえ。
俺が妹のズボンに手をかけた、そのときだった。
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109:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 16:12:26.93 ID:KsXRR7+Z0
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ドン、ドン、ドン、ドン
男「!?」ビクッ
妹「!?」ビクッ
階段を上る足音が聞こえた。
一気に意識が現実に引き戻される。
俺と妹は、弾かれるように背中合わせになった。
トッ、トッ、トッ、トッ……
足音は徐々に近づいてくる。
そして止まった。続いて、ドアが開いて、閉まる音。
この二階には、俺と妹の部屋以外に父さんの部屋がある。
そこの扉の音なのだろう……。
男「行った……みたいだな」
妹「う、うん」
きまずい空気が流れる。
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111:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 16:13:14.91 ID:KsXRR7+Z0
-
男「……」
妹「……」
俺は心の中で父さんに感謝した。
完全に暴走していた……何してるんだ、俺は。
男「……もう寝よう。明日のこともあるし」
妹「……うん」
そう言うと、俺は目を閉じた。
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115:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 16:16:10.10 ID:KsXRR7+Z0
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翌朝――正午
友「男……どうした? 元気ないな」
男「別に……」ドヨー
学校の屋上。
俺は自分の仕事を終え、友と一緒に休憩をとっていた。
……昨日の夜のことが、朝から頭から離れなかった。
妹とは、朝から今まで一言も話していない。
男「嫌われたかなぁ……」
昼に待ち合わせの約束だが、来てくれるかは怪しいものだ。
俺は深いため息をついた。
友「ふーーーーーん……」
男「な、なんだよ」
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119:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 16:19:35.53 ID:KsXRR7+Z0
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友「女、だな……」
ドッキィィィィ!!
思わず飛び跳ねるところだった。
こいつ……なかなかに鋭い。
さすが、メガネをかけているだけの事はあるな。
友「図星か?」
男「そっそんなわけあるか! 妹のことだ……」
友「妹ぉ?」
男「ああ……ちょっと、色々あってな」
友「ケンカか?」
男「まあ、そんなとこだ」
友「しっかたねえなあ。じゃあいっちょこのオレが、親友を慰めてやろうかなっと」
友はそう言うと、俊敏な手つきでバッグから何かを取り出した。
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121:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 16:22:30.67 ID:KsXRR7+Z0
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男「なんだそれ……? ロボット?」
友「その通り! オレの発明品、スカートめくり君1号だ!」
そういや、友はロボット研究部員だったな。
しかし、そんなマヌケなロボットをよく顧問の先生が許してくれたもんだ。
男「で、どうなるんだよ」
友「いいからこっちに来い!」
俺は友に誘われるまま、屋上を出て下の渡り廊下まで来た。
友「ターゲット発見。初仕事だ。
……ゆけ。スカートめくり君1号」
哀れにも犠牲者となったのは、一年生の女子だった。
友の手から放たれ、音もなく彼女の足元へ忍び寄った鋼鉄の悪魔は、
その両腕をスカートに掛ける……。
その滑らかで一瞬の隙もない動きは、
さながら背後から敵を暗殺する忍者を連想させた。
そして……次の瞬間、悪魔が両腕を一気に振り上げた!!
-
123:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 16:25:14.17 ID:KsXRR7+Z0
-
女生徒「……ふぇっ?」
見事に、いちご柄のパンツが露わになる。
そして甲高い機械音声が聞こえる。
「ピー。セイコウ。セイコウ!」
友「いちご柄はいい。心が洗われる」
女生徒「きゃあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?」
……大惨事だった。
女生徒はその場にしゃがみ込んで大泣きし、周りからの注目を集めている。
友「よし! 男、この調子で次いくぞ次!
やっぱり縞パンも捨てがたいよなあ! それ!」ハハハ
続いて鋼鉄の悪魔は、スーツのスカートを捉える。
そして黒いレースのパンツが露わになる……。
……ん、スーツ?
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125:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 16:28:45.29 ID:KsXRR7+Z0
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男「と、友……!」
友「え?」
先生「楽しそうだな? 友」ゴゴゴゴゴゴ
友「くぁwせdrftgyふじこlp;@」
凄まじいオーラを伴って現れたのは、担任の先生だ。
確か、ロボ研の顧問でもあった。
スカートめくり君1号は、前に出すぎたのだ……。
先生「私に隠れてこんなモノを作っていたとはな……」
友「いいパンツでした。先生」
先生「来い……説教だ」
襟首を掴まれて連行される友の背中には、どこか哀愁が漂っていた……。
-
127:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 16:31:02.60 ID:KsXRR7+Z0
-
先生「ああ、そうだ。男」
男「は、はい?」
先生「さっき妹さんに話しかけられてな。お前を探していたぞ。
一階の靴箱付近で待っているはずだから、行ってきなさい」
男「……!」
男「はい! ありがとうございます!」
妹が来た……!
俺は全速力で、一階に向かった。
-
131:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 16:35:03.04 ID:KsXRR7+Z0
-
・・・
妹「お兄ちゃん……どこいるんだろ」
まったく、待ち合わせるなら場所の指定くらいしなさいよ。
あたしは心の中で文句を言った。
ほんとに昔から抜けているのだ。
生徒A「ねーほら、あの子見てー」
生徒B「カワイー」
妹「……」
教室の影から、女の子の声が聞こえる。
どうやら、あたしのことを話してるみたいだった。
妹「かわいい、って……」
身に着けている、お気に入りの黄色いワンピースを見る。
今のあたしは、本当にかわいいのだろうか。
硝子に映った自分の姿を見て、ため息をついた。
お兄ちゃんは、かわいいって言ってくれるのかな……。
そんなことを思いながら。
-
132:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 16:38:35.30 ID:KsXRR7+Z0
-
男「はぁっ、はぁっ……おーい、妹ー」ゼエゼエ
階段からお兄ちゃんがやってきた。
ひどく息を切らしている。
妹「おそいよ。ばか兄貴」
男「悪い。まさか来るとは……ああいや、なんでもない」
妹「いいから行こ。お腹すいた」
男「あっちょ、待てって」
お兄ちゃんの手を掴んで歩く。
作戦が成功した瞬間だった。
-
136:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 16:42:38.96 ID:KsXRR7+Z0
-
女生徒「お待たせしましたご主人様♪
アイスコーヒーでございます」
男「あ……はい」タジタジ
お兄ちゃんと昼食を取るためにやってきたのは、メイド喫茶だった。
フリフリの可愛い衣装に身を包んだメイドさんが、
せっせと働いている光景は新鮮だ。
テーブルにはオレンジジュースとサンドイッチセットが二つ、
そしてアイスコーヒーが並んでいる。
妹「なに緊張してんの? ばっかみたい」
男「う……」
妹「お兄ちゃんが列が出来てるからここにしようって言ったくせに」
男「しょうがないだろ、メイドさんは見慣れてないんだ」
そう言ってお兄ちゃんはサンドイッチを頬張る。
男「うん、やっぱ行列が出来てただけあってうまいぞ」
自分のサンドイッチを齧ってみる。
あ……ホントだ。
-
139:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 16:44:51.26 ID:KsXRR7+Z0
-
妹「おいしい……」
男「だろ?」
自分が作ったわけでもないのに、得意げなお兄ちゃんがおかしかった。
自然と笑みがこぼれる。
メイド喫茶を出て、校舎をぶらぶら歩く。
妹「そういえば、お兄ちゃんのクラスは何やってるの?」
男「俺のクラス? ……じゃあ行くか」
お兄ちゃんについていくと、やけに騒がしいところに来た。
なんだかわーだのきゃーだの、色んな悲鳴が聞こえてくる。
妹「ここって……」
男「お化け屋敷だ」
-
140:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 16:47:50.18 ID:KsXRR7+Z0
-
妹「……」
男「どうした? 怖いのか?」
妹「誰が! はやく入ろ」
受付「道なりにお進みください」
中は豆電球がぽつぽつと灯っているだけで、とても暗かった。
妹(昨日の夜みたいだ……)
なんとなく昨日のことを思い出して、身震いする。
男「妹、大丈夫か?」ギュ
妹「へ?」
お兄ちゃんの手が手に触れる。
……心配してくれているのかな。
妹「うん……ありがと」
手を握り返す。
温かさが心地いい。
-
147:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 16:54:52.64 ID:KsXRR7+Z0
-
暗闇の中を歩く。
すると突然、何処からか黒い塊が飛び出してきた。
黒い塊(てめー女連れできやがって! 死ね!)
男「うわ!?」
驚いてバランスを崩したお兄ちゃんの体が覆いかぶさってくる。
押し倒されたような形になった。
股の間に膝が入り込んでいて、ぎゅうっと奥に押し付けられる。
妹「ちょっ……」
さらに手が胸に着地する。
指が食い込む感触に、抗うすべもなく体が反応してしまう。
妹「はぅっ…………」ビクッ
男「妹、ごめん……」
妹「こ、こ、この……」カアア
頭にゲンコツをプレゼントした。
-
148:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 16:57:03.97 ID:KsXRR7+Z0
-
妹「お兄ちゃんがびっくりしてどうすんの!?」
男「いてて……足踏みやがったんだよあいつ」
そそくさとお化け屋敷を抜け、廊下を歩く。
お兄ちゃんの馬鹿さ加減には本当に恐れ入る。
ただ、お兄ちゃんに体を触られるのは嫌ではなかった。
男「ちょっとトイレ。ここで待っててくれ」
妹「うん」
男子トイレに消える背中を見送る。
一人になれて、実はホッとしていた。
ある決意をしていたからだ。
お兄ちゃんがそばにいると、どうにも心の整理がつかない。
-
150:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 16:59:24.47 ID:KsXRR7+Z0
-
一人で深呼吸をする。
少し気が楽になった、そのときだ。
DQN1「よお、俺たちと遊ばねえ?」
どきっとした。
ガラの悪い男が、目の前に2人いた。
一瞬自分に向けられた言葉だとは信じられなかった。
けれど、そいつの眼はじろじろと、舐めるようにあたしを見ている。
DQN2「おい、無視すんなよ」
そいつらの顔は知っていた。
同じ中学の3年生で、いつも悪さをしている奴だ。
もっとも、あっちはあたしの事なんか知らないだろうけど。
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151:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 17:04:01.79 ID:KsXRR7+Z0
-
妹「は、はなして……!」
DQN2「来いよ」
男の手が肩にかかる。
いやだ、痛い。助けてお兄ちゃん……!
DQN1「今日はこいつにしようぜ、へへ」
DQN2「カワイイねー、君」
大声を出してやろうか。
そう思ったとき、あたしの肩を掴む男の腕を、掴む手があった。
男「ストップ」
DQN2「……あ? なんだてめえ」
DQN1「邪魔すんじゃねーよ」
男「まいったな。せっかく手を洗ったのに、
こんな汚い腕を触ったら台無しじゃないか」
DQN1「殺すぞコラァ!」
DQN2「てめー……」
-
160:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 17:07:42.84 ID:KsXRR7+Z0
-
DQN1「殺すぞコラァ!」
DQN2「てめー……」
男「妹! 走れ、こっちだ!」
妹「うん!」
肩から手が外れた瞬間、お兄ちゃんの手を掴んで走り出す。
「昔ながらの遊び体験コーナー」と描かれた看板が目に入った。
お兄ちゃんは、すぐそこに置いてあったビー玉のたくさん入った袋を取ると、
床に撒き散らした。
DQN1「うおっ!?」
DQN2「おわっ!?」
ビー玉に足を取られて、男たちがすっ転ぶ。
思わず小さくガッツポーズを取った。
男「こっちだ!」
あたしたちは階段を上っていった。
怖い先生「オラァそこ何を暴れてる!」
DQN1・2「ヒィィィィィ!!」
-
163:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 17:08:30.06 ID:zeT3fMe7O
-
ビー玉わろた
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164:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 17:12:18.06 ID:KsXRR7+Z0
-
――屋上
男「はあっ、はあ……ここに来れば大丈夫だろ」
妹「はあ、はあ……なんで、屋上?」
男「今日は誰もこんなとこ来ないだろ。
あいつらここの生徒じゃなさそうだし、たどり着けない」
言われて気付いた。
ここにはあたしたち以外の人は居なかった。
金網の外に見える景色を眺めながら、呼吸を整える。
妹「わー……高いね」
男「そりゃそうだ。屋上だからな」
そっか、と二人で笑う。
妹「……お兄ちゃん、ありがとう」
男「お、おう」
男(なんだ? いやに素直だな)
-
167:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 17:15:21.52 ID:KsXRR7+Z0
-
妹「なんか、昨日からあたし、守られてばっかりだね」
昨日のことを思いながら言う。
男「そんなこと気にすんなよ。ああそうだ、昨日といえば、その……」
妹「なに?」
男「いや、昨日の寝る前のことなんだけど」
妹「あ……」カアア
お兄ちゃん……あのことを気にしてたのかな。
昨日の深夜を思い出して、照れくさくなった。
自分でも、お兄ちゃんからああいうことをするとは予想外だったから……。
男「ごめんな、変なことして。一時の気の迷いっつーか、なんつーか……」
妹「あ、あたしは……全然嫌じゃなかったよ?」
男「それ……どういう」
-
170:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 17:17:15.02 ID:KsXRR7+Z0
-
心臓が弾む。今日言うって、決めていた。
ここなら――誰も見ていない。誰にも邪魔はされない。
妹「お兄ちゃん、あのね」
男「なんだ?」
妹「あ、あたし……」
そして、その言葉を口にした。
妹「男の人として……お兄ちゃんが、好きです」
-
171:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 17:18:03.25 ID:Xza4ZrRv0
-
キタ――(゚∀゚)――!!
-
175:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 17:19:22.27 ID:KsXRR7+Z0
-
男「――――」
お兄ちゃんの眼が、真っ直ぐにあたしを見た。そして……
男「それは嬉しい……でも」
悲しそうな顔で言った。
男「俺たちは……兄妹だ」
妹「あ……」
瞬間、頭が割れるような痛みに襲われた。
拒絶された? 心が痛い。意識が遠くなる。
あっ、と思った瞬間、重力が何倍にもなった気がして……体が崩れ落ちた。
目の前が暗くなる。最後に見たのは、驚いているお兄ちゃんの顔だった。
-
178:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 17:22:26.60 ID:KsXRR7+Z0
-
・・・
男「……妹っ! 妹っ!?」
妹の体を激しく揺さぶってみる。
反応がない。
うっすらと開いた眼には生気がなく、まるで死人のようだ。
男「保健室っ!」
あれこれ考えている暇はない。
俺は妹を抱え上げると、保健室を目指して走り出した。
男「着いた……っ」
「文化祭中使用禁止」
保健室のドアには、そんな張り紙がある。
-
181:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 17:26:39.21 ID:KsXRR7+Z0
-
男「うそだろ……」
絶望感が体中に駆け巡った。
力が抜け、その場に膝をつく。
友「うう……ひどい目にあった」
先生「ほら、しっかり歩け」
奥のほうから、見慣れた顔が歩いてくる。
男「あ……先生! 友!」
友「おお、男……ってなんだそりゃ!?」
先生「どうした!? 何があった?」
男「分からないんです!
急に倒れて……でも保健室が開いてなくて、俺、どうしたらいいか!」
先生「落ち着け。近くの病院に行くぞ。一緒に来い」
友「おっし。オレも協力するぜ」
先生「お前は反省文があるだろう。来るな」
友「そりゃないぜ……」シクシク
体に力が戻った。
俺は先生と協力して妹を担ぐと、病院に向かった。
-
182:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 17:29:39.07 ID:KsXRR7+Z0
-
・・・
――病院
意識を失った妹には、すぐに医師による診察が行われた。
やがて診察が終わると、俺と先生は診察室に呼びだされた。
先生「それで、妹さんの容態はどうなんですか」
医者「一体……何と申し上げればいいのか」
医者は、苦虫を噛み潰したような表情で口ごもった。
妹は、そんなにも危険な状態なのだろうか。
先生「大丈夫か、男」
男「……俺は大丈夫です」
先生「お願いします。どうか、ありのままを伝えて貰えませんか」
医者「……分かりました」
医者は、意を決したように俺たちに向き直る。
-
184:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 17:32:17.24 ID:KsXRR7+Z0
-
医者「結論から言いますと、私どもにも、よく分からないのです」
男「分からない?」
医者「ええ……妹さんは全くの健康体なんです。
ただ、倒れた際に頭を打ったようなので、念のためにレントゲンを撮ったんです」
医者はテーブルに伏せてあった一枚のレントゲン写真を持つと、
こちらです、と呟いてホワイトボードに貼り付けた。
医者「後頭部の部分です。ここを良く見てください」
俺は、医者が指差した部分に目を凝らした。
男「なんだ、これ……」
先生「……!」
医者「そう……あるんですよ。非常に小さい、きっちりと正方形をした、何らかの物体が。
おそらくこれは、マイクロチップのようなものです」
医者「更に、妹さんの後頭部付近には、切開の後がありました」
男「つまり……」
先生「……」
-
185:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 17:32:48.65 ID:ducGGdUN0
-
???
-
186:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 17:32:52.90 ID:EWkPnYhg0
-
ん?
-
194:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 17:35:04.43 ID:KsXRR7+Z0
-
医者「ええ。誰かが故意に、これを埋め込んだと見て間違いないと思います」
男「何かの治療ですか?」
医者「いえ、仮に使うとしても、もっともっと小さなものです。
神経を傷つける恐れがある以上、こんなことは考えられません」
男「そう、ですか……」
先生「……」
話はそれで終わった。
とりあえず命に別状はないとのことで、
俺と先生は病室に運びこまれた妹の横顔を見ながら、途方に暮れていた。
男「とりあえず……親に連絡しないと……先生」
先生「……」
男「先生?」
-
196:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 17:37:56.35 ID:KsXRR7+Z0
-
返事がない。
どうも妙だ。
さっきから先生の様子がおかしい。
変にそわそわしていて、何か考え事をしている風にも見える。
先生「……」
男「先生」
先生「……」
男「先生!」
先生「わっ!? な、なんだ男?」ビクッ
男「先生……何か心当たりがあるんですか?」
先生「いや、何もない」
先生は目を逸らしながら、否定した。
だが、たとえ心理学の心得がなくてもそれは嘘だと分かる。
男「嘘だ」
俺は立ち上がる。
先生にじりじりと詰め寄る。
-
199:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 17:40:24.52 ID:KsXRR7+Z0
-
先生「な、なんだ? こら、やめなさい男……ひゃっ」ドッ
床に押し倒した。
両肩を掴んで、正面から目を見つめる。
男「お願いします……!」
先生「……」
男「……」
先生はキッと、俺の眼を睨んだ。負けじと睨み返す。
……しばらくの間があって、先生は負けを認めるように目を逸らした。
先生「……君の決意は分かった。話すよ」ハァ
男「先生!」
先生「ただ……本当に眉唾ものの話だ。参考になるとは思えないがな」
そう言って立ち上がると、先生は語りだした。
-
202:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 17:43:13.62 ID:KsXRR7+Z0
-
先生「――最近、とある大学で、脳科学の実験が行われた。
それは猿の脳にマイクロチップを埋め込み、脳波を用いてロボットアームを動かすというものだ」
先生「私は依頼されそのロボットアームを作成し、提供した」
先生「実験は成功……見事、猿はロボットアームを自分の手のように動かした」
俺は、どことなく恐怖を感じた。
それは、人間の踏み込んではいけない領域ではないかと思ったからだ。
先生「そのときのマイクロチップ……あのレントゲンに写っていたものとそっくりなんだ。
いや、気のせいかもしれないが」
男「……」
先生「すまない。男の気持ちも考えずに、こんなことを……」
男「構わないです。それは、どこの大学ですか」
先生「ほら、近くの――」
男「……!」
-
205:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 17:45:53.06 ID:KsXRR7+Z0
-
それを聞いた瞬間、考えるより先に体が動いた。
男「先生。妹を頼みます」
先生「……え? 待ちなさい、何処へ……」
先生の制止を無視し、病室を出る。
そのまま、病院の外へ出た。
男「しまった」
近くとは言っても、ここから例の大学までは結構な距離がある。
徒歩で行くのは悠長すぎた。
男「仕方ない。途中でタクシーでも拾って……」
歩き出したときだった。
前から、一台のスクーターが走ってくる。
そして俺の目の前で止まった。
友「よう。取り込み中かい?」
-
206:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 17:46:37.14 ID:sDG5Cxsq0
-
友かっこよすぎだろwwwwwwww
-
208:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 17:47:31.78 ID:KsXRR7+Z0
-
男「友……!」
俺は友の後ろに跨る。
友「あんまり暇だったから、反省文放り出して来ちまったよ
……っておい! いきなりなんだよ!」
男「○○大学に連れてってくれ」
友「なんだよ……訳アリか?」
男「頼む」
友「…………しっかり掴まってろ」
スクーターが発進する。
-
212:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 17:49:55.33 ID:KsXRR7+Z0
-
・・・
――大学前
友「おし、着いたぜ」ブロロロ
男「今すぐ警察を呼んでくれ」
そう言って、スクーターから降りた。
友「け、警察ぅ!?」
男「乗せてくれてありがとな!」ダッ
大学内へと走る。
友「おい! 待てって! ……なんなんだよ?」
-
217:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 17:53:07.65 ID:KsXRR7+Z0
-
・・・
休日の大学は、思った以上に閑散としていた。
だが、駐輪場に多くの自転車があるのを見ると、人がいないというわけではないのだろう。
この大学には、前に一度見学に来たことがある。
目当ての場所へは、すぐにたどり着けた。
医学部――研究棟。
中に入り、階段を上る。
二階に入ってすぐのところにある部屋の前に立つ。
脳科学研究室……父さんの研究室だった。
深呼吸をする。
息を整えてから、ドアをノックした。
「どうぞ」
声が聞こえた。
ドアを開き、中に入る。
-
218:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 17:56:10.40 ID:KsXRR7+Z0
-
男「失礼します」
室内は、何かの機材で埋め尽くされている。
雑然とした状態の中、父さんは奥に座ってキーボードを叩いていた。
父「男……!? お前こんなところでなにしてる?」
男「父さん……」
父「何かあったのか?」
キーボードを叩く手を止め、父さんはこちらに向き直る。
俺は意を決して、その言葉を口にした。
男「――どうして妹を襲ったんだ」
父「……なに? お前、まさか私を疑っているのか」
-
220:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 18:00:19.20 ID:KsXRR7+Z0
-
男「……その怪我、どうしたんだ?」
昨日は気がつかなかったが、父さんの右の手のひらには、絆創膏が貼られていた。
父「こけて擦りむいたんだ」
男「父さん……昨日、妹を診てもらったときのことを覚えてるか?」
父「ああ……軽いめまいがしただけだろ?
たいしたことは……」ハッ
男「なんで、めまいがしたって分かったんだ?
妹は何も言ってない。もちろん俺もだ」
父「……」
男「分かるんだろ? 妹の頭にあるチップで。
そういうことが」
-
223:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 18:02:36.53 ID:KsXRR7+Z0
-
父「……おしい。70点といったところだな」
父さんは薄い笑みを浮かべ、こちらを見る。
父「あのチップではそんなことまで分からないよ。
正解は、頭の中の盗聴器で聞いていたから……だ。
埋まっているのが一つだけと誰が言った?」
馬鹿にしたような口調で言う。
父「……残念だ。お前は殺すつもりはなかったのにな」
男「父さん……なんでこんなこと」
父「なんで? はっ!」
愚問だ、というように鼻で笑う。
-
228:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 18:05:32.64 ID:KsXRR7+Z0
-
父「……それはこちらの台詞だな。
いつもそうだ。誰もが私の研究を否定し、笑う。
マイクロチップで脳波をコントロールし、人間を思うがままに操る。
まるでロボットみたいにな」
父「その技術が完成すれば、どうなると思う?
私は神に一歩近づく。この偉大な研究を理解できないとは、愚かなことだ。
お前の母さんも、それはそれは頑固だったよ」
男「母さんを……殺したのか!?」
父さんは、俺を無視して話を続ける。
-
233:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 18:08:47.97 ID:KsXRR7+Z0
-
父「妹はただのモルモットだった。そのために孤児院からわざわざ引き取った。
だが……アクシデントが起きた。チップが故障して電気信号を受け付けなくなってしまった。
実験は失敗だ。やがて体に異常をきたし放っておいても死ぬだろうが、危険な証拠は消さなければならない。
妹は昨日友達とカラオケに行った帰りに、通り魔に襲われ死ぬ。
そのはずだったのに……邪魔しやがって」
男「……てめえ」
俺は、腹の底から湧き上がる怒りを感じていた。
-
237:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 18:11:27.46 ID:KsXRR7+Z0
-
――突き放してしまった。
学校で告白した妹を、兄妹だからという理由で。
どれほどの勇気が必要だったのだろう。臆病な俺には分からない。
だけど、俺なんかを好きになってくれたあいつを……
妹をそんな風に言うのは、我慢ならなかった。
男「違う」
父「……ん?」
男「妹は、モルモットなんかじゃない! 人間だ!!」
目を真っ直ぐ見据え、叫ぶ。
父さんは嫌悪感を露わにした表情を浮かべ立ち上がった。
-
239:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 18:14:16.61 ID:KsXRR7+Z0
-
父「さて、話は終わりだ。天国に行く前に真実が知れたんだ。感謝しろよ」
男「な、何言ってる!
今すぐ外に出て、お前のしたことを言いふらすことだって出来るんだぞ!」
父「男……チップを埋め込んだのが妹だけだと誰が言った?」
男「ッ!?」
父「この携帯端末を見ろ。私がボタンを押すだけで、脳に電気信号が流れてお前は死ぬ」
父さんの右手には、電子辞書のような形の機械があった。
それを見せびらかすように持ち、俺を威嚇する。
男「ちくしょう……ちくしょう!」
父「よく考えるべきだったなあ男。じゃあな」
指がボタン目掛けてゆっくりと動く――。
-
241:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 18:18:02.64 ID:KsXRR7+Z0
-
……それは、一瞬だった。
父さんの右手から、端末が消えていた。
驚いて、そこに視線が集中する。
銀色の腕が、それを高々と取り上げていた。
そして甲高い機械音声が聞こえる。
「ピー。セイコウ。セイコウ!」
友「いよっしゃあ!」
背後で友の声が聞こえると同時に、走り出した。
父「くそッ! 返せ! こいつ!」
男「おおおおおおおお!!」
手が端末を取り返す、一瞬前。
父さんの顔面に、渾身の右ストレートを叩き込む。
体が吹き飛び、すごい音を立てながら機材に突っ込んだ。
男「人を機械なんかで支配できると思うなよ、クソ親父……」
遠くから、サイレンの音が聞こえる――。
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242:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 18:19:01.22 ID:d9bREBNx0
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友かっけええええええええええええええええええええんすよ
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243:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 18:19:12.72 ID:s4u3cIpB0
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友万能すぎwwww
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244:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 18:19:33.04 ID:DkL/MjlO0
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スカートめくり君1号…やるな
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249:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 18:21:10.88 ID:KsXRR7+Z0
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・・・
事件から、三日後。
俺たち兄妹は、マイクロチップの摘出手術を受け、入院していた。
もう体はピンピンしているのだが……どうもあと少し入院しないと駄目らしい。
自動販売機から二つのジュースを取り出し、病室に向かった。
妹「あ、お兄ちゃん!」
病室に戻ると、妹が顔を輝かせて手招きをする。
友「よっ! 安静にしてるか?」
先生「具合はどうだ、男」
お見舞いに来てくれたのだろう、二人に出迎えられる。
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251:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 18:24:44.66 ID:KsXRR7+Z0
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男「具合も何も、おかげさまで超健康体です」
妹のベッド前にある椅子に座る。
友「ま、そりゃそーか。オレのおかげで無傷だもんな」
男「何回目だよ、その台詞……」
先生「本当に、男。君はなんて無茶をするんだ。
せめて私に相談してくれれば……」
男「ごめんなさい、先生。一応あんなんでも父親だから……自分でなんとかしたかったんです」
先生「むう……気持ちは分からんでもないが」
妹「あ、あの、お兄ちゃんそんなに危ないことしてたんですか?」
妹がおずおずと口を開いた。
俺が殺される寸前だったことは、知らせていなかった。
友「大丈夫! 心配ねーよ。オレの活躍によって、危険は去ったからな!」
妹「は、はあ……」
友がフォローを入れてくれる。
俺は心の中で、友に感謝の言葉を述べた。
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254:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 18:28:12.33 ID:KsXRR7+Z0
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男「でも、先生がヒントをくれたおかげで助かりました」
先生「ああ、あのときの君は、強引だったな……」ポッ
唐突に先生の頬が赤く染まった。
そういえばあの時は必死だったせいか、何か失礼なことをしでかしたような気がする。
友「何!? 男てめーまさか先生に×××や×××みたいなことを!」
男「しとらんわアホ! 先生も何か言って下さいよ!」
先生「……」ポッ
なんで何も言わずに頬を染めてるんですか。
妹「……」ジトー…
背中に凄まじい殺気を感じる。
その殺気に友も気付いたようで、冷や汗を流しながら立ち上がった。
友「あ~……ほ、ほら先生、もう行きましょう」
先生「何? 何故だ。まだ来たばっかりだぞ」
友(いいから早く!)
友が引きずるように、先生を連れて行く。
まるで立場が逆だな、と笑ってしまいそうになった。
ドアが閉まって、嘘のような静寂が俺たちを包み込む。
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256:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 18:30:34.14 ID:9wvJ6R32O
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友空気読みすぎワロタ
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257:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 18:31:16.40 ID:KsXRR7+Z0
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妹「……あの先生、美人だね」
ムスーっとした表情で、妹が言う。
男「そ、そうか? 別に普通だと思うけど……」
妹「ふ~~~ん……」
妹の視線が痛かった。
男「はぁ……」
何をやってるんだ俺は。
今日は決意していたはずなのに。
三日前……文化祭での告白を思い出す。
あのときは妹が勇気を出した。
今度は、俺が出す番だ。
意を決して口を開く。
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258:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 18:32:30.26 ID:KsXRR7+Z0
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男「なあ、妹」
妹「なによ」
男「俺、お前が好きだ。女の子として」
妹「……え?」
妹は、一瞬何を言われたのか理解出来ていないようだった。
だがすぐに、顔全体が真っ赤に染まる。
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261:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 18:35:12.76 ID:KsXRR7+Z0
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妹「う、うそ? だっておにいちゃ……ひゃっ!?」
妹の体を持ち上げて、抱き寄せる。
分からないのなら、何度でも言ってやる。
男「大好きだ。妹」
妹「……っ! ひっく……!」
妹の目から、大粒の涙がこぼれる。
それをそっと拭って、妹の言葉を待った。
妹「兄妹……だよ……?」
男「血は繋がってない。構うもんか」
妹は手で涙を拭うと、笑って言った。
妹「……私も。お兄ちゃんが、大好き」
二人の唇が重なった。
――その心が、重なるように。
終
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268:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 18:37:01.79 ID:KsXRR7+Z0
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 ̄ ̄ ̄二二ニ=-
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-=ニニニニ=-
/⌒ヽ _,,-''"
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_,,-','", ;: ' ; :, ': ,: :' ┼ヽ -|r‐、. レ |
_,,-','", ;: ' ; :, ': ,: :' d⌒) ./| _ノ __ノ
制作・著作/NHK
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269:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 18:37:02.52 ID:kh8QsUruO
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乙
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270:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 18:37:18.55 ID:AbImvcS20
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先生ルートも書いて欲しい
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273:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 18:37:58.30 ID:EorPVqVX0
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上手い具合に伏線あってあったな。
おもしろかった乙
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281:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 18:41:09.54 ID:9wvJ6R32O
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なんだNHKか
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284:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 18:43:06.21 ID:umxbju000
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NHKだったらエロが無いのも仕方ない
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289:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/11/12(土) 18:48:09.22 ID:trdDovYC0
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乙
いいssだった

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