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女神「金の斧と銀の斧による……二斧流ッ!」
- 1 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/05/21(木) 00:12:45 ID:19Su9GsA
- ~ 森の泉 ~
ある日、一人の木こりが深い森の中にある泉にやってきた。
木こり(かつて、聞いた話によると──)
木こり(まずは、泉に斧を落とすんだったな)ポイッ
チャポン……
木こり愛用の鉄製の斧が、泉の中に沈んでいく。
- 2 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/05/21(木) 00:15:54 ID:19Su9GsA
- すると──
ブクブク…… ブクブク……
ザバァ……!
泉の中から、美しい女神が現れた。
女神「あなたが落としたのは、この金の斧ですか?」キラキラ…
木こり「いいえ、ちがいます」 - 3 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/05/21(木) 00:19:44 ID:19Su9GsA
- 女神「では、この銀の斧ですか?」ギラギラ…
木こり「いいえ、それでもありません」
女神「それでは、この鉄の斧ですか?」
木こり「そうです、その斧です」
女神「あなたは正直者ですね」ニコッ
女神「ご褒美に、三つの斧全てを差し上げましょう」
木こり「…………!」
木こり(ここだッ! 今のところまさに伝説通り! ここですかさず、こう答えるッ!) - 4 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/05/21(木) 00:22:51 ID:19Su9GsA
- 木こり「いいえ、鉄の斧だけでけっこうです」
女神「…………」ピク…
女神「ほう……なぜ?」
木こり「なぜなら……私が望むものは、あなたとの対決だからです」
女神「…………」ニタァ…
女神「面白いッッッ!」
ザバァァァッ!!!
女神は恐るべき脚力で、水面から10メートルはジャンプしてみせた。
木こり(なんという跳躍……想像以上ッ! ──否、期待以上ッ!) - 5 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/05/21(木) 00:26:46 ID:19Su9GsA
- 女神「泉から出るのは、数百年ぶりだな……」ザシャッ…
女神「キサマの得物だ、返してやろう」ヒュッ
ドズゥッ!
木こり(重さ10キロはある私の斧を、まるでボールを扱うような気軽さで……)
足元に突き刺さった斧を、木こりが拾う。
女神「嬉しいねェ……」
女神「もはや、私に挑む者などいなくなっちまったものと思っていたが──」
女神「長生きはしてみるもんだ」
木こり「私もです。伝説が真実だったと分かり、嬉しいですよ」 - 6 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/05/21(木) 00:29:49 ID:19Su9GsA
- 木こりの正体──
木こりは、かつては優秀な斧戦士として世界中で名を馳せていた。
戦場で──
闘技場で──
裏社会で──
彼の斧は、ありとあらゆる戦いで幾多の敵を切り裂き、砕いていった。
『斧神』『デビルアックス』『斧の申し子』など、彼を称える異名は枚挙にいとまがない。 - 7 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/05/21(木) 00:33:51 ID:19Su9GsA
- しかし、あまりに多くの勝利と称賛は、彼の心にある種の空しさをもたらした。
そして彼は、愛用の斧とともに忽然と姿を消してしまった。
事実上の引退、隠居である。
さて、戦いの場から離れた彼は、戦士として腕を磨きつつも、
木こりとして平穏な生活を送っていた。
ところが、彼の内に眠る強者としての血が、
戦士時代にふと耳にした伝説を思い出させてしまう。
泉に潜む女神の伝説を……。 - 8 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/05/21(木) 00:39:21 ID:19Su9GsA
- とある森の奥深くにあるという、質素ながらも清らかな泉──
その泉には、美しい女神が棲んでいるという。
金の斧と銀の斧、二丁の斧で“最強”の名を欲しいままにしたという女神が。
あまりにも荒唐無稽な伝説ではある。
百人中百人が、こんな女神がこの世のどこかにいるなどと信じないであろう。
だが、木こりは信じた。
信じたからこそ、こうして出会うことができたのだ。 - 9 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/05/21(木) 00:45:05 ID:19Su9GsA
- 木こり(これほどの威圧、これほどの殺気……かつてどんな相手にも感じなかったッ!)
木こり(今から私は“伝説”と斧を交えようとしているッ!)
女神「さっそくご覧にいれよう……」ユラ…
女神「右手に──金の斧ッ!」キラッ
女神「左手に──銀の斧ッ!」ギラッ
女神「金の斧と銀の斧による……二斧流ッ!」ジャキンッ
女神が二丁の斧を構えた途端──
木こり(デ、デカイ……ッ!)
木こり(斧を構えた途端、女神の存在感がまるで巨人の如く、肥大化した……ッ!) - 10 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/05/21(木) 00:48:45 ID:19Su9GsA
- 女神「いくぞォォォォォッ!!!」
ブオンッ!
金の斧が振り下ろされる。
木こり(速いッ!)
木こり(まっすぐ私へと落ちてくる黄金は、さながら落雷の如しッ!)
木こり(だが……力みすぎてスキだらけだッ!)
木こり「ぬうううんっ!」ビュオッ
金の斧をかわすと同時に、木こりが反撃を繰り出すが──
ガキィンッ! - 11 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/05/21(木) 00:53:06 ID:19Su9GsA
- 木こり「…………ッ!」
女神「甘い」ニィィ…
木こり渾身の一撃は、銀の斧によって防がれていた。
木こり(いつもの私なら、たとえ防がれようと力で押し込むのだが──)グッ…
木こり(まるで押し込めん! ──なんという腕力ッ!)ググッ…
木こり(しかも私は両手、彼女は片手だというのに……ッ!)ググッ…
女神「力にあらず、と書いて非力……」
女神「非力ィィィィィッ!!!」
シュバァッ!
金の斧、一閃。
木こり「ぐっ……!」ブシュッ…
木こりの脇腹が浅くではあるが、切り裂かれた。 - 12 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/05/21(木) 00:56:56 ID:19Su9GsA
- 女神「今ので腸をいただくつもりであったが、よくぞ見切ったァッ!」
ビュアッ!
銀の斧による追撃、これもどうにかかわす。
木こり「つっ……」ザッ…
木こり「正面から傷を負わされるなど、修行時代以来のことだ」
木こり「泉の伝説が真実であること、この痛みであらためて思い知らされましたよ」
女神「世辞は結構」
女神「そんなかすり傷負わせたぐらいじゃ、強さの証明にゃなりゃしないからなッ!」 - 13 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/05/21(木) 01:01:42 ID:19Su9GsA
- 女神「金と銀が織り成す、極上のアックスショーを堪能してみるかねッッッ!?」
女神「ずあああああああああッッッ!!!」
ビュボボボボボボボッ!
木こり(なんだこれは……! とてつもない連続攻撃ッ!)
木こり「ぬおおおおおおおおおおっ!」
ガキィッ! ガッ! ガキンッ! ガツンッ! ガッ! キィィィンッ!
常人では目視すら不可能な速度で、暴れ乱れる金銀の斧。
木こり(まるで、斧の台風……ッ!)
木こり(しかも速いだけでなく、軌道は巧妙! 攻防一体!)
木こり(こちらが反撃するスキなんぞありゃしないッ!)
木こり(鍛錬のため、わざと相手に攻撃させ続けることはあったが──)
木こり(守勢に“追い込まれる”など、生まれて初めてだッ!)
ギィンッ! - 14 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/05/21(木) 01:09:18 ID:19Su9GsA
- 女神「どうだ!?」
女神「どうだッ!?」
女神「どぉぉぉぉうだァァァァァ!?」
女神「金と銀ッ! 二色の斧が奏でる殺人組曲の旋律はァァァッッッ!」
ガギギギギンッ!
ザシィッ!
銀の斧が、木こりの肩をえぐった。
木こり「ぐおおっ……!」
木こり(いかん! 攻めに回らねば、じわじわと追い詰められるだけだッ!)
木こり(だが、下手に攻めに出たら──二丁の斧でバラバラにされるのみッ!)
木こり(どうするッ! 私!?) - 15 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/05/21(木) 01:12:26 ID:19Su9GsA
- 女神「んふぅ~……」
女神「長年泉に浸かり、冷え切っていた体もようやく温まってきたァ……」フシュゥゥゥ…
女神「これより、さらに速度を上げるッ!」
女神「ウオオッ! シャアッ! シェアアアアッ!!!」
ビュボボボボボボッ!
女神の攻撃がさらに加速する。どんどんどんどん速くなる。
ガキンッ! ガガッ! キィンッ! ガツッ!
木こり「ぐっ! ぐぐっ! ──くうっ!」
木こり(落ちつけ! 速さは増したが、攻撃が変化したというワケではない!)
木こり(女神に追いつけなくなる前に、見極めるのだ!)
木こり(反撃の瞬間を……ッ!) - 16 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/05/21(木) 01:17:29 ID:19Su9GsA
- 木こり(彼女の金の斧は、豪快ではあるが大雑把な軌道!)
木こり(一方の銀の斧は、金の斧をフォローするかのように繊細かつ緻密に動く!)
木こり(一見、完全なる難攻不落に見えるこの“二斧流”!)
木こり(──だが、わずかにッ! ほんのわずか……ッ!)
木こり(銀の斧を振るってから、金の斧を振るう一瞬──)
木こり(一秒の何十分の一にも満たぬような一瞬ではあるが──スキがある!)
木こり(針の穴を通すような道筋ではあるが──希望はあるッ!) - 18 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/05/21(木) 01:20:12 ID:19Su9GsA
- 女神「シェアアッ!」
ブオォンッ!
金の斧による、巨木をも小枝のようにへし折れそうな一撃。
女神「シャッ!」
ヒュオッ!
豪快な一撃によりできたスキを、丸ごとかき消してしまう銀の斧。
ここから再び金の斧が振りかかってくるわけだが──
木こり(……ここだッ!)キッ - 19 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/05/21(木) 01:24:39 ID:19Su9GsA
- 木こりが前に踏み込んだ。
歩幅十数センチの小さな一歩、しかし、大きな一歩だった。
女神「ぬう……ッ!」
木こりの踏み込むタイミングは完璧。
だが、すかさず女神も防御(ガード)のため、二丁斧を胸の前まで戻す。
──が、これこそが木こりの狙いだったのだ!
ガキキィンッ!
ボトトッ……
木こりの鉄の斧が、女神の金の斧と銀の斧を同時に叩き落とした。
女神「しまった……ッ!」 - 20 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/05/21(木) 01:29:57 ID:19Su9GsA
- 木こり「これであなたは丸腰ッ! 勝負あったなッ!」
女神「……な~んちゃってなァ」
木こり「!?」
女神「ぬぅ~……ふんッッッ!」ボインッ
ビュボッ!!!
女神の豊満な胸から、乳房の弾力を利用して発射された、第三の斧。
そう、女神は自身の胸の谷間に、切り札を隠し持っていたのだ。
女神「どうだッ! この“銅の斧”はッ! ダジャレではないぞォォォォォ!」 - 21 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/05/21(木) 01:34:14 ID:19Su9GsA
- パシィッ!
女神「!?」
女神「バ、バカな……ッ!」
木こりはなんなく銅の斧をキャッチしてみせた。
女神「な、なぜだ……!? 完璧なるタイミングだったッ!」
女神「銅の斧は、確実にキサマの脳天に突き刺さるハズだったッ!」
木こり「あなたのその大きな胸……戦いの最中もずっと気にかかっていました」
木こり「だから、防ぐことができた」
木こり「私も……男なんでね」
女神「……ふふっ、なるほどな。キサマにも人並みに性欲はあったということか」
女神「私の完敗だ。さぁ……やるがいい」
木こり「分かりました……」
木こり「はああああっ!!!」
木こりが斧を振りかぶり、女神の頭めがけて振り下ろす。
ブオンッ! - 22 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/05/21(木) 01:37:01 ID:19Su9GsA
- ──ピタァッ!
女神に向けて振り下ろされた斧は、寸止めされた。
木こり「…………」
女神「なぜ止める?」
女神「なぜその斧で、私の頭蓋骨をカチ割らん?」
女神「この女神を……侮辱する気かァァァッッッ!!!」 - 23 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/05/21(木) 01:42:05 ID:19Su9GsA
- 木こり「侮辱もなにも……私は木こりですよ」
木こり「私がこの斧で切るものは、木だけです。それ以外はありえない」
女神「…………」
女神「……ふっ」
女神「なるほど……一本取られたようだな。キサマはよき戦士にして、よき木こりだ」
木こり「こちらこそ……これほどに“死”を感じた戦いは初めてでした」
木こり「よき戦いができました、ありがとうございます」
木こり「これでもう……戦士としては悔いはありません」 - 24 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/05/21(木) 01:50:28 ID:19Su9GsA
- 女神「ならば、私に勝利し、戦士を引退するキサマには褒美を授けよう」
木こり「褒美? まさか、女神様の金の斧と銀の斧を私にくれるというのですか?」
女神「いいや……ちがう」
女神「今日からはこの私が、戦士をやめたキサマを支えてやろうではないか」
木こり「オーノー!」
こうして木こりは女神とともに、末永く幸せに暮らしましたとさ。
めでたし、めでたし。
~ おわり ~ - 27 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/05/21(木) 02:43:55 ID:fBamEVIw
- いい闘いだった乙

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