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高垣楓「Sea Is A Lady」
- 1 : ◆eBIiXi2191ZO 2015/07/01(水) 18:41:38.25 ID:LvbKK3q50
- ・モバマス・高垣楓さんのSS
・書けば水着楓さんが来るときいたので
・雰囲気オンリー
・超短い
- 2 : ◆eBIiXi2191ZO 2015/07/01(水) 18:43:57.75 ID:LvbKK3q50
- 楓「Pさん。このまま、逃げちゃいましょうか……」
P「えっ?」
Pさんに、そんなことを言ってみた。
P「え? いきなり逃げるって……どこへです?」
楓「私たちふたりのことなんか、だーれも知らない。どこか遠い遠い異国、とか」
P「あーいいですねー。でもその前に仕事しますかねー」
抑揚のないPさんの生返事。
私は目の前に広がる海を眺め、頭の中で逃避行を試みる。
楓「ふたりで、バナナ農園とか経営したりして」
P「なんでバナナなんすか」
まあ現実はそれを許すはずがないけれど。
リゾートで、水着の撮影。
羞恥の心が占める今の気分は、逃避にもってこい。
- 3 : ◆eBIiXi2191ZO 2015/07/01(水) 18:45:16.13 ID:LvbKK3q50
- 楓「ところでPさん」
P「はい」
楓「やっぱり、恥ずかしいですね」
P「温泉じゃあ平気だったのに?」
楓「あれはまあ、趣味ですから」
この仕事をはじめて、肌を露出することの抵抗感はいくぶん薄らいだとは、思う。
ただやっぱり、水着ってこう特別ななにか、がある気もするのだ。
趣味に浸る愉しみとは、そもそも比較対象が違うように感じる。
P「じゃあ、やめます?」
楓「いえ」
私は即答で否定する。
楓「Pさんが厳選した仕事でしょう?」
P「ええ、そうですね」
彼はほほを掻いた。
楓「なら、完遂します。私たちは運命共同体じゃないですか」
P「運命共同体、ねえ……ま、そうですかね」
Pさんはプロデューサーで、私はアイドル。
ビジネスライクに見えても、そう割り切ることのできない関係。
それがどうにも歯がゆいことだって、ある。
- 4 : ◆eBIiXi2191ZO 2015/07/01(水) 18:46:27.31 ID:LvbKK3q50
- 楓「実をいうと、私。泳ぎ、苦手なんです」
P「え?」
楓「それに、肌も弱くて……熱出しちゃうときもあるんですよ?」
P「楓さん、それならそうと」
楓「でも」
私は、Pさんの言葉をさえぎる。
楓「Pさんの取ってきてくれたお仕事でしょう?」
楓「なら、完遂するのは当然です。Pさんを、信頼してますから」
たとえ長く一緒にいたところで。
お互いに分かり合える機会は、そう多くない。
ただやみくもにサインを出し合ったりしたところで、受ける相手が分かってくれなければ、意味がない。
言葉は、大事だ。
- 5 : ◆eBIiXi2191ZO 2015/07/01(水) 18:47:41.98 ID:LvbKK3q50
- P「……」
Pさんはため息をひとつ。
P「よろしくお願い、します」
楓「大丈夫ですよ? Pさんが支えてくださる、でしょ?」
P「……ええ」
日差しはいよいよ暑く、私を照らす。
楓「さ。撮影の続き、はじめましょうか。あんまりスタッフさんたちを待たせたら、干からびちゃいますし」
私は白のビキニをひらめかせ、停泊しているクルーザーに歩いていく。
スイッチが入る。
熱を、帯びる。
楓「じゃあ続き、よろしくお願いします」
伸び行く水平線に想う。
私は、アイドルで。彼は、プロデューサーで……
- 6 : ◆eBIiXi2191ZO 2015/07/01(水) 18:48:58.23 ID:LvbKK3q50
-
夕暮れ。
赤く焼けた空を見ながら、考える。
今日の仕事も、つつがなく。
たぶん、楽しくできただろうと思っている。
それはPさんのフォローのたまものであるとも、感じてる。
でも。
楓「うーみーはー ひろいーな おおきーいなー」
なんとなく口ずさんでいる、と。
P「お、楓さん。お疲れさまです」
楓「あ。お疲れさまです」
彼がやってくる。そのとき、ふと。
熱の残滓が、よみがえってきた。
P「今回はいろいろと、ほんと、ありがとうございます」
楓「いえ。Pさんがいてくれたから、ちゃんとやれました、よ?」
P「疑問形ですか」
楓「ふふっ」
互いに海を見やる。
- 7 : ◆eBIiXi2191ZO 2015/07/01(水) 18:50:00.48 ID:LvbKK3q50
- 楓「Pさん」
P「はい?」
楓「海は、英語で?」
P「……sea、ですね」
私の熱は、再び高まっていく。
楓「……海は、たのsea……」
P「……楓さん」
楓「……うれsea、たのsea、だいski……」
P「……」
楓「スキーは、冬でしたね……ふふっ」
P「……まったく」
彼の呆れ顔は、何度見ても飽きない。
もっとも、こんな軽口にのってくれるのも、彼だけ。
- 8 : ◆eBIiXi2191ZO 2015/07/01(水) 18:50:50.34 ID:LvbKK3q50
- 楓「楽しかったです」
P「楽しめましたか」
楓「ええ」
P「そりゃよかった。身びいきかもしれないですけど、完璧、でしたよ」
楓「Pさんがいてくれたから、ですね」
P「いや、そんなたいそうなもんじゃ」
そういう彼の口を、指で押さえる。
楓「私は、そう思ってます」
私は高ぶるなにかにまかせ、正直に打ち明ける。
楓「海って、女性なんですよね」
P「……ですってね」
水平線のかなたに、夕陽が沈む。
楓「昼間、このまま逃げちゃおうかなんて、言ったじゃないですか」
P「言いましたねえ」
楓「その言葉……ウソでも冗談でも、ないんですよ」
P「え?」
- 9 : ◆eBIiXi2191ZO 2015/07/01(水) 18:51:46.73 ID:LvbKK3q50
- 私は熱に、浮かされている。
それはきっと、昼の残滓だけでなく。目の前のトロピカルカクテルだけでなく。
楓「Pさんはプロデューサーで、私はアイドルで」
楓「それは、いつだってどこだって、変わらないもので」
楓「でも、それがたまらなく苦しいこと、あるんです」
P「……ちょっ」
夕闇がそばまで、近づいている。
私は彼を、見つめる。
楓「あなたと、逃げてしまいたい。そう思うんです」
P「……」
Pさんはなにも言えず。私はただ、目を伏せた。
楓「無理だというのは、分かってます。でもそんな衝動、感じるんですよ」
楓「だけど衝動のままに逃げたら、この海の女神に嫉妬されそうで。そう思いません?」
P「……楓さん」
- 10 : ◆eBIiXi2191ZO 2015/07/01(水) 18:52:56.69 ID:LvbKK3q50
- 夜が近づくからこそ、言える。
これは私から仕掛けた最初で最後の、ラブアフェア。
楓「欲しいんです、Pさんの」
私は、Pさんに近づき。
楓「『私を、押し倒したい』って、言葉を」
唇を。
奪う。
海の女神が、見てる。宵闇を視線にとらえ、私は告げた。
楓「私と一緒に、逃げてください……今は、無理でも」
楓「たとえ、嫉妬に焼かれても……」
- 11 : ◆eBIiXi2191ZO 2015/07/01(水) 18:53:55.79 ID:LvbKK3q50
-
私と彼と。
やや早い夏の残滓が、ふたりを包んだまま。
夜が、やってくる。
(おわり)
- 12 : ◆eBIiXi2191ZO 2015/07/01(水) 18:55:30.81 ID:LvbKK3q50
- おわりです
勘のいい方はお分かりかと。角松敏生です
楓さんの水着姿、美しいですわ。では ノシ - 15 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/07/01(水) 20:58:54.61 ID:0pRRRRcUo
- おつおつ

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