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花陽「ふぅ……今日も力を使いすぎちゃいましたね」

1 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/06(土) 05:00:33.10 ID:qNCdHozC.net
凛「μ'sの中でも凛だけが知ってるかよちんの秘密」

花陽「ぐぁつぐぁつ」

凛「かよちんは1分以内にお茶碗一杯のごはんを食べると変身するにゃ」

花陽「んんっ、来ました、とう!」

ピカーッ

花陽「おこめ戦士はなよですっ!」

凛「わー」

花陽「凛ちゃん早速行くよっ!」

凛「そうだね!肩がぶつかってヤクザに因縁をつけられて拉致されたにこちゃんを助けるにゃ!」




2 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/06(土) 05:06:15.18 ID:qNCdHozC.net
事務所

花陽「ここだね」

凛「凛は怖いからひっこんどくよ」

花陽「大丈夫、私に任せて!」

スタスタ

見張り「お嬢ちゃん、何か用か?」

花陽「お邪魔します」

見張り「こら、勝手に入るな!」

ガシッ

花陽「ふんっ」

ボッ

見張り「んなっ……」

突如、花陽の周囲に発生した衝撃波に力無く吹き飛ばされる門番の男

まるで蟻を払うが如き無慈悲さは圧倒的戦力差を物語る……


4 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/06(土) 05:12:58.11 ID:qNCdHozC.net
花陽「にこちゃんを返して貰いますよ」

ヤクザ「怪我しないうちに帰りな」

花陽「なら怪我しないうちににこちゃんを連れて帰ります」

ヤクザ「このガキっ!」

ガッ

花陽「はぁ……力比べですか?いいですよ」

激昂し、掴みかかる大男

しかし花陽はその手を軽くいなし……

花陽「指いっぽんで十分です」

涼しげな顔で軽く押し返す

常軌を逸した力に男は恐怖を覚え、やがて顔には悲痛な叫びが浮かび上がる

ヤクザ「な、なんなんだてめぇは……なんなんだ!」

花陽「私はにこちゃんを助けるために立ち上がったおこめ戦士……はなよです!」

ヤクザ「この化けもんがぁぁっ!!」


5 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/06(土) 05:18:16.69 ID:qNCdHozC.net
チャキッ……

花陽「おや……」

突き出された黒く冷たく光る銃口

その穴の中を訝しげに覗き込む花陽

花陽「脅しですか?」

ヤクザ「嬢ちゃん、脅しでも何でもねぇ、けどな、こっちだって怪我をさせたら色々面倒なんだ」

花陽「はぁ……」

ヤクザ「帰りな、今なら優しくしてやるからよ」

花陽「ふふ……命乞いをするのはどっちですかね……」

ヤクザ「冗談でやってんじゃねぇよ、マジで撃つぞてめぇ」

花陽「平和にいきましょうよ……ね」


7 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/06(土) 05:21:51.84 ID:qNCdHozC.net
ヤクザ「……はっ!?」

男の手に刹那の振動

手元を確かめると、そこには何も無く

目の前の少女の手に、確かに握られた拳銃が一丁……奪われたのだ

ヤクザ「い、いつの間に……」

花陽「こんなもの使っちゃダメですよ……ね」

銃口を男に向ける花陽

もはやそこに先程の威勢は無く……

ヤクザ「や、やめろ、やめろ、やめろ……」

花陽「ふふふ……私だって、怖かったんですよ……」


8 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/06(土) 05:28:37.90 ID:qNCdHozC.net
しかし花陽の手首は向きを変え……

銃口は彼女のこめかみに当てられた

ヤクザ「……は?」

花陽「よーく見ていてください」

引き金に指がかけられた

花陽は微笑みながらゆっくりとそれを引き

ヤクザ「何をっ……」

パァァン……

男の声は銃声に掻き消された

無意識の内に目を逸らした男の視線が戻る

しかし、そこには平然と立つ花陽の姿

そして床に落ちた潰れた弾丸……

花陽「こんなもの、効きません!」

パァァン!パァァン!パァァン!パァァン!パァァン!パァァン!

ヤクザ「あ、あぁっ……あっ……」

弾丸は花陽に衝突すると勢いを失いポロポロと地面に転がった

彼女にとっては金属の銃弾もポップコーンのようなものに過ぎない

花陽「おこめ戦士を舐めないで下さい……」


9 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/06(土) 05:34:41.02 ID:qNCdHozC.net
ヤクザ「ひ、ひぃぁぁ……」

声にならぬ恐怖を漏らす男

その足下には失禁した尿が水溜りを作っていた

花陽「にこちゃんを返して下さい」

銃声を聞きつけた残りの組合員も、その2人の状況を見て瞬時に全てを察した

それは動物的本能……花陽という『捕食者』を前に彼らの装飾に過ぎぬ威勢は塵のように吹き飛ばされた……

ヤクザ「おい……もういいだろ、解放してやれ」

にこ「ひぐぅ……はぁ……」

涙と鼻水でぐしゃぐしゃになったにこが奥の部屋から連れ出された

花陽「にこちゃん!……良かった、無事で……」

にこ「え……花陽……?なんでここに……」

花陽「決まってるよ!にこちゃんを助けに来たのっ!さ、帰ろっ!」

にこ「ゔゔゔ……ありがとう、ありがとう……」


10 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/06(土) 05:39:23.87 ID:qNCdHozC.net
後日

にこ「っていうかなんで私は助かったわけ?花陽は何をしたの?」

花陽「……えーっと、にこちゃんを返して下さいっ!って心を込めて言ったら……なんとかなったの」

にこ「はぁ?何それ……なんか銃声がなったような気もしたんだけど」

花陽「気のせいだよ、にこちゃん、混乱してたし……」

にこ「そうかしら……でもね!花陽!」

花陽「うっ、ど、どうしたの?」

にこ「助けてくれたのは本当に感謝してるけど……あんなアブないヤツらの所に行くのはやめなさい!あんたの命が危ないのよ!」

花陽「う、うん……」

にこ「今回はたまたま上手くいったけど……いざとなったら、私なんて良いから、あんたは自分の身を守りなさい!」

花陽「……」

凛(かよちん……)


11 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/06(土) 05:42:46.31 ID:qNCdHozC.net
凛「……かよちん、にこちゃんには言わないの?かよちんが助けたんだよ……」

花陽「ううん、いいの、にこちゃんとは今まで通りの関係でいたいから……」

凛「でもそれじゃかよちんは」

花陽「凛ちゃん……ヒーローはね、孤独なんだよ!」

凛「でも……」

花陽「緊急事態だったからね……もう暫くはおこめ戦士にはならないよ……普段通りの、女子高生に戻るよ」

凛「うん、かよちんがそう言うなら」

花陽「凛ちゃんだけだよ、内緒だからね」

凛「うん!」


12 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/06(土) 05:51:02.75 ID:qNCdHozC.net
プルルルル

花陽「ふわぁぁ……」

花陽「……」

プルルルル

ガチャッ

花陽「ふわぁい、もしもし……」

大統領「ハロー、コイズミ?アメリカ国防庁です」

花陽「あぁ……大統領ですか、どうしましたぁ」

大統領「地球軌道上に衝突可能性のある小惑星が観測されました、緊急事態です」

花陽「ふむふむ……じゃあ、それを何とかすれば良いんですね」

大統領「お願いします、現在の人類の技術では対応不能です、ライス・ファイター・コイズミ、あなただけが頼りなんです」

花陽「わかりました、じゃあ、朝ごはん食べたらすぐにやります……」


13 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/06(土) 05:54:29.79 ID:qNCdHozC.net
大統領「ありがとうございます、何度も地球を救って貰っていで……本当に報酬は結構なんですか?」

花陽「いえいえ……地球はみんなのものですから、守るのは当然ですよっ……けど、報酬はいらないので一つだけお願いが……」

大統領「なんなりと……」

花陽「えっと、私の通う高校が廃校の危機にあります……そちらの方で何が対応してくれるとありがたいんですけど……」

大統領「お安い御用です、コイズミ。日本のプライム・ミニスターに連絡を取っておきます」

花陽「わざわざすみません……じゃあ、早速仕事にうつりますね」

大統領「本当にありがとうございます」

ガチャッ

花陽「んんーっ……まぁ、良い準備運動かな?」


14 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/06(土) 05:58:55.55 ID:qNCdHozC.net
花陽「ぐぁつぐぁつもぐもぐ!」

花陽母「花陽?また何かあったの?」

花陽「うん、地球に小惑星が接近してるんだって」

花陽母「あら……大変ね、朝から……」

花陽「学校には間に合うようにするから大丈夫だよ……ごくん」

パァァァッ

花陽「とう!変身!おこめ戦士、はなよですっ!」

花陽母「花陽……別に私たちはお米戦士というわけじゃ……」

花陽「むぅ、いいの、お母さん!お米を食べて変身するからお米戦士なの!」

花陽母「同じ量ならパンでも大丈夫なのに……」

花陽「もう、いいでしょ!」


15 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/06(土) 06:05:58.18 ID:qNCdHozC.net
花陽「とりゃあっ!!」

ドヒューーーン

一瞬の跳躍で宇宙空間に飛び出す花陽

地球の重力圏を離れ、目的の小惑星へと向かう

花陽「むっ……あれだね、あのじゃがいもみたいなの……」

花陽「はぁぁあっ……」

花陽「コメット・ビーーーーーーーーーーム!!」

チュミーーン

ドギャアアアアアアアアン

花陽の分子分解光線コメット・ビームを喰らい地球を脅かす小惑星は粉々となった

花陽「ふぅ……おしまいですっ」

花陽「学校行かなきゃ……って!ああっ!今日は朝練あるんだった!」

花陽「うわーん!遅刻しちゃうよぉ!はやく地球に戻らないとっ!」

ドヒューーーン


29 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/06(土) 21:35:23.72 ID:T7dBrSE8.net
キイイン

花陽「わわわ……危ない危ない、人工衛星にぶつかるところだったよ」

花陽「よぅし、もうこのまま直接学校まで飛んじゃいます!」

キイイン

花陽「日本……東京、えーっと音ノ木は……まるでGoogle earthだね……あそこかな?よし!」

花陽「バレるといけないから体育館の裏に……」

ドォォンンッッッ……

花陽「着地……です!」

真姫「……」

花陽「……」

真姫「……」

花陽「……おはよう、真姫ちゃん」

真姫「……花陽、足、大丈夫なの!?折れてない!?」

花陽「え、うーん、その、まぁ……」

真姫「大丈夫な訳ないでしょ!体育館の屋根に登ってたの!?」

花陽「……まぁ、そんなところかなぁ……あはは」

真姫「何やってんのよ!はやく保健室行くわよ!」

花陽「だ、大丈夫だよぉ」

花陽(うう~……なんでこんなところに真姫ちゃんが……)


30 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/06(土) 21:39:01.99 ID:T7dBrSE8.net
海未「花陽が体育館の屋根から落ちた!?」

真姫「花壇の当番があったからたまたま体育館裏に行ってたの、そしたら突然上から花陽が降ってきて……」

凛(ああ……かよちん……見られちゃった……?)

花陽(だ、大丈夫……奇跡的に無傷ってことで誤魔化せたから……)

凛(実際のところ何やってたの……)

花陽(宇宙行ってたの……)

凛(はぁ……)


31 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/06(土) 21:42:36.96 ID:T7dBrSE8.net
花陽「平気ですよ!ほら!この通りピンピンしてます!いやぁ、草がクッションになって助かったんですね!母なる大地に感謝、です!」

真姫「思いっきりコンクリートの上に落ちたと思うんだけど……」

花陽「じゃ、じゃあ、普段から牛乳たくさん飲んでたから骨が強かったんだよぉ!」

にこ「っていうか屋根の上で何をしてたのよ……」

花陽「ぼ、ぼうけんかなぁ」

ことり(花陽ちゃんのキャラが掴めなくなってきたよ……)

花陽「私は大丈夫ですから、ほら、朝練しましょう、朝練!朝練!はいはーい!」

穂乃果「そうだね、早くやろー!」


32 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/06(土) 21:47:16.68 ID:T7dBrSE8.net
体育の時間


先生「ほら、頑張れ二人とも!あともう少しだぞ!」

花陽「ぜぇ……ぜぇ……はぁ……はぁ……」

真姫「ひゅう……ひゅう……ふひぃ……」

花陽(うわぁ……真姫ちゃん、すごい顔してる……鼻水出てるよぉ……)

真姫(死ぬ……死んじゃう……)

凛「頑張れ、まきちゃん、かよちーん!」

「……よし、ゴールだ!よく最後まで走ったな!」

真姫「ヴゥェェェ……」

花陽「はぁ……はぁ……」

凛「真姫ちゃん、前半でとばすから……」

真姫「きょ、今日は体調が悪いのよ」

花陽「うう……走るのは苦手だよぉ……」


33 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/06(土) 21:52:38.24 ID:T7dBrSE8.net
放課後

希「花陽ちゃーん?」

花陽「あ、希ちゃん」

希「体育、お疲れ様……持久走、しんどいよなぁ」

花陽「あはは……ありがとう、私、体力ないから……」

希「ふーん……そうかなぁ」

花陽「……?」

希「花陽ちゃん、本当は何か隠してるんと違う?」

花陽「え、え、え、え、そ、そんなことないよぉ」

希「汗まみれやん?」

花陽「何も隠してませんよっ!怪しくないですっ!怪しくないですっ!怪しくないですっ!」

希「怪し……実はね、朝、登校中に見ちゃったんやけど……」

花陽「え……もしかして……」

希「雲の隙間からひゅーんって人みたいなやつが落ちてきて……あれ、体育館裏やでな……そこに落ちたみたいなんやけど……」

花陽「……」

希「これ、うちの見間違いかなぁ?」


34 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/06(土) 21:56:43.13 ID:T7dBrSE8.net
花陽「見間違いだよぉ……」

希「この前のにこっち誘拐のときも花陽ちゃん一人で……もしかして……」

花陽「うっ……」

希「すごい力を隠してるんやないかなぁ……って」

花陽「うっ、うっ、う~……」

希「え?」

花陽「うぇぇぇん」ボロボロ

希「わっ、わっ……ご、ごめん!ごめん!ごめんなぁ……変なこと言って……」

花陽「ううん……希ちゃんは悪くないの……希ちゃんになら、言ってもいいかな」

希「……やっぱり何かあるん?」

花陽「みんなには内緒だよ……」


35 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/06(土) 22:03:22.02 ID:T7dBrSE8.net
希「おこめ戦士!?」

花陽「はい、私の正体は超人、おこめ戦士花陽なんです」

希「と、突然そんなこと言われても……え?え?」

花陽「小泉家は代々、この不思議な力を持っています……一分間に約250キロカロリーの炭水化物を摂取することで超人的パワーを手に入れることが出来るんです」

希「え……じゃあ、あの空から降ってきたのは?」

花陽「宇宙に行ってきたんです……ほら、これ……」

希「何……?この石」

花陽「月の石です、行ったついでに持って帰ってきました」

希「」


36 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/06(土) 22:05:48.02 ID:T7dBrSE8.net
希「す……」

希「スピリチュアルやん?スピリチュアルやん?スピリチュアルやん?スピリチュアルやん?」

花陽「希ちゃん!落ち着いて!」

希「9人や!9人や!9人や!9人や!」

花陽「落ち着いて下さぁい!」

希「きゅう……にん……や……はぁ、はぁ……」

花陽「大丈夫?」

希「うう……頭がおかしくなりそうや」

花陽「まぁ、そうだよね……」


37 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/06(土) 22:10:03.84 ID:T7dBrSE8.net
凛「かよちーん!帰ろー!」

花陽「あ、凛ちゃん……」

希「スピ凛ちゃんやん?」

凛「何言ってるの?」

花陽「おこめ戦士のことを教えたら混乱しちゃって……」

凛「え、教えちゃったの」

花陽「見られちゃったんだよぉ」

凛「まぁもう今まで散々いろんな人に目撃はされてると思うけどね……あんだけ目立つことしてたら」

希「スピ凛ちゃんは知ってたん?」

凛「スピ凛ちゃんって呼ぶのやめて……うん、昔から知ってたよ」

希「うーん……なんということや」


39 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/06(土) 22:22:59.42 ID:T7dBrSE8.net
英玲奈「なるほどな、やはりそうか」

花陽「誰ですかっ!?」

凛「え、英玲奈さん!?」

英玲奈「コイズミ・ハナヨ……貴様がそうだったのだな……やはり、マークしておいてハズレではなかったか」

花陽「マークとはなんですか!?」

英玲奈「決まっているだろう、その超人パワーの正体を私たちはずっと探していたのだ」

希「」

英玲奈「先日……私たちの宇宙要塞から地球に向け重力コントロールで小惑星を発射させたのだが……今朝、消息を絶った、あれもお前の仕業か」

花陽「なっ……!あの小惑星……!英玲奈さんが……!?」

英玲奈「ふふふ……そうだ……」

花陽「な、何てことを……地球が危なかったんですよ!」

英玲奈「地球?こんな星、私たちUTX星人にとってはどうでも良いのだよ、ただ一つ、お前たちコイズミの血を引く人間以外はな……」

キラン

凛「かよちん!危ないっ!!」

ドンッ

花陽「凛……ちゃん?」

凛「……かよちん、逃げて……」

ドゴォォォン!!!

花陽「あ……あああああ!!凛ちゃん!!!」


40 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/06(土) 22:27:17.50 ID:T7dBrSE8.net
英玲奈「チッ……外したか、だがもう一発撃てば良いだけの話だ。なにせ今のお前はただの無力な人間なのだからな」

希「あはは……英玲奈さんの口からビームが?ビームが?」

花陽「希ちゃん、早く逃げないとっ!!」

英玲奈「逃がすかっ!!」

チュミイイイイィン

花陽「チャージ中ですっ!凛ちゃんをお願い!」

希「……ま、任せとき!うちが安全なところまで運ぶ!」

英玲奈「フン……まぁ、ただの人間どもはどうでも良い……狙いはただ一人、貴様だッ!コイズミ!」

ドゴォォォン!!!

花陽「ああああっ!!」


41 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/06(土) 22:33:44.43 ID:T7dBrSE8.net
英玲奈「ちょこまかと……ゴキブリのようにすばしっこいヤツだな……」

花陽(に、逃げないと……おこめ戦士にならないと勝ち目は無い……)

英玲奈「なんだ?炭水化物を探しているのか?まったく……変身されたら厄介なのだよ……」

花陽(はぁ、はぁ……)

キュイイイン!

英玲奈の足からブースターが噴出し………一瞬で花陽の目の前に回り込む!

花陽「ピャア!」

英玲奈「人間の足で私から逃げられる訳がないだろう……」

ガッ

花陽の胸ぐらを掴み上げ、体を宙に持ち上げる

花陽「う……ぐぐ……」

英玲奈「なんだ、呆気ないものだな……さて、このまま貴様を殺し、地球はいただくとしよう……」

花陽「や、やめ……て……」

英玲奈「死ね」

ビュォン!


42 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/06(土) 22:38:52.03 ID:T7dBrSE8.net
英玲奈「……?何だ……?」

花陽「う……」

英玲奈「何だ……?何かが飛んできた?……」

花陽「もごもご……」

英玲奈「コイズミ!?その口の中に入っているものは何だ!?」

花陽「もぐもぐ……」

英玲奈「何を食べているーッ!!吐き出せぇぇぇ!!」

穂乃果「いけぇ、花陽ちゃん!私のランチパックを食べて!!」

花陽「あり……がとう、穂乃果……ちゃん」

英玲奈「高坂穂乃果……?貴様ぁぁっ!!」

花陽「ごくん……」

パァァァァ!

英玲奈「まずいっ!間に合わんっ!!!」

ドオオオオォォォン!!!


43 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/06(土) 22:43:04.16 ID:T7dBrSE8.net
英玲奈「あ……あ……し、しまった……」

シュウウウウウ……

花陽「……おこめ戦士、花陽……見参です」

英玲奈「ち、ちくしょう……」

花陽「よくも凛ちゃんを……私の大切な友達を……よくも……」

英玲奈「ああああああああっっっ!!!」

ズゴコゴゴゴゴゴッッッ!!

花陽「パナパナパナパナパナパナパナパナパナパナパナパナパナァァァァ!!


英玲奈「ソグバァァァァァァ!!」

花陽「パナァァァァァァッッッ!!!」

ドゴォォォォォォン!!!

花陽「……地獄で悔いなさいっ……!」

穂乃果「す、すごい……(おこめ戦士じゃなくてパン戦士だと思うけど)」


44 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/06(土) 22:46:48.03 ID:T7dBrSE8.net
英玲奈「ガ……ガッ…ピー……ガガガ……」

花陽「殴った感触でわかりましたが……やはり、ロボでしたか……」

英玲奈「コイ……ズミ……コロス……キサマ……」

花陽「……」

英玲奈「私一体を倒したところで……何のダメージでも……無い……ククク……震えるが良い……UTXの……恐怖に……」

花陽「ずあっ!!」

ドゴォン

英玲奈「ガッ……ガガガ…………」

花陽「……」

穂乃果「花陽ちゃん……」

花陽「……凛ちゃんを、守れなかった……」

穂乃果「……」


45 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/06(土) 22:54:32.25 ID:T7dBrSE8.net
真姫「凛はうちの病院の集中治療室に入ってるわ……直撃は免れたから目立った外傷はないけど、爆風のショックでいつ眼が覚めるか……」

花陽「う……う……ごめんね……私のせいで……」

真姫「花陽……あなたは悪くないわ、凛を守れなかったったのは私たちのせいでもあるの」

花陽「許さない……UTX星人め……凛ちゃんを……!」

真姫「……どうするの?これから……」

花陽「UTXに乗り込んで、みんなを懲らしめてあげないとダメですっ」

真姫「……気をつけてね、花陽だって私の大切な友達なんだから……」

花陽「うん……真姫ちゃん、ありがとう。でも、これは地球を賭けた戦いでもあるんだ……」

真姫「UTX星人は地球を狙っているの……?」

花陽「……私が一番の邪魔者みたい、もうウカウカしてられないよ、行かなくちゃ」

真姫「待ちなさい、花陽、これを……」

花陽「……これは、おにぎり?」

真姫「μ'sのみんなで握ったわ、凛の分も……」

花陽「ありがとう……みんな、じゃあ、行くね」

真姫「……生きて帰って来てね」

花陽「……もちろんだよ」

バシュウウン!


58 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/12(金) 04:59:26.24 ID:9AVtTsro.net
花陽「着地、です!」

スタッ

花陽「ふぅ……」

花陽「UTX……ここが敵のアジトだったってことなんだね」

花陽「行きますっ……」キッ


60 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/12(金) 05:08:17.55 ID:9AVtTsro.net
ドゴォォォン

花陽「ツバサさん!出て来なさぁい!」

花陽「……誰も居ない?」

あんじゅ「ツバサちゃんなら今、母艦に帰ってるわよ」

花陽「誰ですかっ!」

あんじゅ「そしてここはもぬけのカラ……私がお邪魔虫を退治する役目ってわけ」

花陽「あんじゅさん!……どうして!どうしてこんなことを!」

あんじゅ「決まってるわ、地球を貰うためよ?この星は資源にも奴隷にも事欠かない素晴らしい星なの」

花陽「アイドル活動は何だったんですか!」

あんじゅ「単なるツバサちゃんの趣味よ、まぁ、踊っていたのはバカな地球人たちのほうかも知れないけどね」

花陽「う……う……」

あんじゅ「この星に感じた唯一の強大なパワー……それが花陽ちゃんだったわけ、だから今ここで貴方を殺して……ようやく気兼ねなくこの星を頂くってわけよ」

花陽「うう……ああああああああああああっ!!」

ズゴォォァ!!!!

シュインシュインシュイン……

あんじゅ「ふふふ……素晴らしいオーラね……ゾクゾクしちゃうわ」

花陽「私は……地球を背負うなんて……でも、凛ちゃんのため、音ノ木のため……私と生きた全ての人を守るためなら……この命くらい、くれてやりますっ!」

あんじゅ「かんっぜんにフルハウス♬いいわ、遊んであげる、おこめ戦士さん♬」


61 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/12(金) 05:18:26.61 ID:9AVtTsro.net
花陽「はぁぁっ!!ハナヨ・インパクト!!」

ズギュウウウン!

あんじゅ「へぇ、ビーム?……面白い手品ね」

あんじゅ「でも……そんなんじゃ甘いわねっ!……はぁっ!!」

バシュン!

花陽「き、消えた……?気合だけで掻き消された?」

あんじゅ「遠慮しなくて良いのよ花陽ちゃん?もっと殺す気で来ないとつまんないじゃない……ほら、もう一発!」

花陽「おおおっ!コメット……ビーーーーム!!」

ビュイイイイイイイン!

あんじゅ「これが小惑星を消し去った技ね?ふふふっ」

花陽「避けないと本当に死にますよぉっ!!どりゃあああああ!!」

あんじゅ「死ぬ?私を惑星レベルだと考えられちゃ、悲しいわね……はぁぁぁっ……」

ビリビリビリ……

あんじゅ「はぁっ!!」

ギュオン!

花陽「!?……コメット・ビームを跳ね返し……て……」

あんじゅ「素直すぎるのよね、花陽ちゃんの攻撃は……投げ返すのだって、簡単簡単……」

ズォォン!!

花陽「ぁぁぁぁっっっ!!」

あんじゅ「死ぬほど痛いでしょ?ふふふ」

花陽「はっ……はぁ……」

あんじゅ「ビームの撃ち合いも飽きたわね……」

ギュン!

花陽「!!」

あんじゅ「どっちかというと、私は肉弾戦の方が好きよ」

ドンッ

花陽「かはっ……」

あんじゅ「だって、感触が気持ち良いもの」

ドドドドドドドド


63 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/12(金) 05:25:15.02 ID:9AVtTsro.net
花陽(あ……つ、強すぎる……なんて猛攻……呼吸の瞬間すら与えてくれない……)

花陽(だめだ……肺が……潰れて……)

あんじゅ「苦しそうね、花陽ちゃん?」

花陽「ま、まだまだ……」

あんじゅ「その姿で痛みを感じるのは久しぶりでしょ?」

ゴスッ

花陽「あ……あ……」

あんじゅ「……ほら、どうしたの?私を殺すんじゃないの?」

花陽「ひっ、ひっ……」

ビュォン

あんじゅ「そんな遅いパンチ、当たるわけ無いじゃないの、お遊戯会じゃないんだから……パンチはこうするのよ、こう!」

バキョッ

花陽「ぐぁ……」

あんじゅ「ほら、鼻血出てるわよ、みっともない……」

花陽「……負けません」

あんじゅ「何?」

花陽「絶対、負けません……あなたたちなんかに、地球は渡しません……!」

バキィッ!

花陽「うぐ……」

あんじゅ「『負けたくありません』じゃないの?残念だけど、もう勝負は見えてるわ」


64 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/12(金) 05:29:02.08 ID:9AVtTsro.net
ガシッ……

花陽「あぐぅ……」

あんじゅ「お喋りな口は嫌いなのよね……このまま、喉を潰してあげるわ」

ギリギリ

花陽「ぁあぁっ……」

あんじゅ「守れなかったお友達のことでも思い出しながら死になさい」

花陽「り、凛ちゃん……まきちゃん……みんな……」

あんじゅ「あはははははははっ!!」

花陽(…………)


65 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/12(金) 05:39:32.43 ID:9AVtTsro.net
ーーーーーーーーーーーーーーーー

花陽「お母さん、おこめ戦士ってなんなの?」

「おこめ戦士じゃないの、私たちはただの戦士よ」

花陽「おこめ戦士は誰と戦うの?」

「戦う相手なんて、いないの、地球には誰もね」

花陽「地球には?宇宙人と戦うの?」

「そうね……おこめ戦士は、守るために戦うの」

花陽「守るため……?」

「おこめ戦士……それに、私たち人間はみんな、地球のパワーを貰って生きてるの」

花陽「地球の……パワー……」

「その地球を守るために、私たちは選ばれたの」

花陽「……」

「花陽の名前はね……太陽をいっぱい浴びて育ったお花みたいに、元気で優しい子になって欲しいと思ってつけたの」

「お花と一緒、あなたは地球に育てられたの……だから、私たちもちょっぴり、恩返しをしないとね」

花陽「私が地球を守るの?」

「あなたはお手伝いをするの」

花陽「お手伝い?」

「そう、地球は生きてるのよ……ちょっとした病気なら自分で治せるけど、どうしようもない時は、あなたがお手伝いをするの」

花陽「……」

「忘れないで……おこめ戦士は孤独な戦士じゃないわ、花陽が立ってる地面を見て思い出して……花陽はいま、地球に住んでるの」


66 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/12(金) 05:47:20.23 ID:9AVtTsro.net
ーーーーーーーーーーーーーーー

花陽「……そうだよ……地球」

あんじゅ「……?」

花陽「私は……地球……に……」

あんじゅ「まだ喋れる元気があるの……?くたばりなさい!」

ギリギリギリギリ……

花陽(……母なる大地……生命の水……そして、私の家族……地球で生まれて、地球で育った、おいしいおいしいお米たち……)

花陽(……私に力を貸してくださいっ!地球を守れる、力を!!)

あんじゅ「……なに?……体が、光って……」

花陽(……聞こえた)

カッ!

パナァァァァァァァァァァァッ!!

花陽(全てのお米の……声が)

ズッ!

あんじゅ「……なに……この、光は?」

花陽「……」

あんじゅ「なに!?何をしたの!?答えなさい!」

花陽「……私は、おこめ戦士はなよ……それだけです」

ズォォン!


67 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/12(金) 05:53:35.51 ID:9AVtTsro.net
あんじゅ(早っ……近づいて……いつの間に……避け……)

バシィィィン!

あんじゅ(……られ……ない……)

花陽「もうあんじゅさんは私には勝てません……!地球上の全てのお米……1200億お米パワーがいまの私にはそなわっています!」

あんじゅ「はぁ、はぁ……1200億……お米パワー……?その意味のわからない単位はなによぉぉぉっ!」

花陽「地球のフルパワーですっ!!!これがぁぁっ!!」

ビュォン!

花陽「うぉぉぉぉぉぉ!!!ぱなよ百烈拳ぁぁぁ!あたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたぁぁぁぁっっ!!!」

ズドドドドドドドドド

あんじゅ「あああああああああああああああっ!?」

花陽「こめこめこめこめこめこめこめこめこめこめこめこめこめこめこめこめぇぇ!!!!」

あんじゅ「あぐぁぁぁぁぁぁ!!!」

花陽「こめぇぇぇ!!!」

ズゴォォァ!!

あんじゅ「へぎゃぶべぁっ!」


68 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/12(金) 06:00:27.26 ID:9AVtTsro.net
あんじゅ「ぶほぁ……がはぁっ」ボトボト

花陽「……鼻血……出てますよ」

あんじゅ「この糞米キチがぁぁぁっっっつ!!!」ビュオン

パシッ

あんじゅ「……は?」

花陽「止まって見えます」

あんじゅ「……な、なんで……」

花陽「いまの私は地球そのものです……風、温度、音……地球上のあらゆる全てが私の味方なんです……それに比べたら、あんじゅさんなど、ちっぽけな細菌にすぎません!」

あんじゅ「ぐ、ぐ……」

花陽「……畜生にかける慈悲はありません、大人しく地球の肥やしになってください……」

あんじゅ「うるさいわね、死ぬのはあなたよぉぉぉ!!!」

ズォ!

花陽「さよならです!……コメット……ビーーーーム!!!」

ズギュウウウン!

あんじゅ「ぐぁぁぁぁっ!!!い、嫌……死にたく……な……い……ツバサ……ちゃん……」

ジュボッ……

花陽「……チリとなりました、また彼女も地球の民として生まれ変わるでしょう」


69 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/12(金) 06:04:18.83 ID:9AVtTsro.net
花陽「……はぁ、はぁ……」

ドサッ

花陽「……ありがとうございました……地球さん」

花陽「あなたがくれたお米の力、受け取りました」

花陽「……でもまだ、戦いは終わっていません」

花陽「もう少しだけ……私を助けてください!」

花陽「ツバサさんは母艦……つまり、宇宙にいるんだね……」

花陽「……最後の戦いだ、行きます!」

ドヒューーーン!


希「空に登る……あの光……花陽ちゃん……」

真姫「………生きて帰ってくるのよ……花陽……死んだら承知しないんだから……」


89 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/17(水) 22:01:53.92 ID:oqPinZ6q.net
花陽「……強大な力を感じる」

花陽「ハナヨ・センサーがビンビン反応しています」

花陽「月の方向に空間にぽっかり空いた暗黒の穴のような邪悪な気配が……」

花陽「あれがツバサさんのパワーなのかな……?」

花陽「……でも、どこにいるんだろ……母艦ってどこに?」

花陽「あっちの方向は……月だし……」

花陽「……嫌な予感がします」


90 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/17(水) 22:05:22.08 ID:oqPinZ6q.net
花陽「月の後ろに隠れてるのかな?」

花陽「見にいってみよう、ふんっ」

キィィィィン

花陽「……違う、やっぱりこの気配は月から来てる」

花陽「なら、月面かな?降りてみよっと……」

シュウウウン

スタッ

花陽「着陸、です」

花陽「むむむ、しかしパワーの在り処は……足元から!」

花陽「……つまり……」


ガシャンガシャン


「コイズミ」

「コイズミ」

「コイズミ」


花陽「……はっ!」


91 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/17(水) 22:15:29.01 ID:oqPinZ6q.net
「また会ったなコイズミ」

花陽「英玲奈さん!英玲奈さんがひとり、ふたり……むぅ!たくさん!」

ガシャンガシャン

「また会ったなコイズミ」

「また会ったなコイズミ」

「また会ったなコイズミ」

花陽「……」

「ようこそ、コイズミ・ハナヨ、我々のマザー・シップへ」

花陽「やっぱり……ここが」

「そうだ、貴様たち人間が十五夜に崇める月……その衛星そのものが我々の母艦なのだ」

花陽「月が母艦……じゃあ、本物の月は何処に行ったんですか!?」

「落ち着け、コイズミ……我々の母艦は三次元座標が月と一致してるに過ぎない……つまり、地球にワープしたときにこの月と位置が重なっただけだ」

花陽「……じゃあ、ミスしてくっついちゃったってワケですか?」

「口を謹め……人間風情が!」

「謹め!」

「謹め!」

花陽(図星なんだ)


92 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/17(水) 22:20:09.36 ID:oqPinZ6q.net
花陽「邪悪な気配がこの月から発せられています、ツバサさんはこの地面の下ですね」

「ほう、感知能力もあるのか、感心だな」

花陽「地球にこれほど恐ろしいオーラを持つ生き物はいません!」

「我々から見れば人間こそが最も残虐な生き物だと思われるがね」

花陽「口論をするつもりはありません!そこを退いてもらいます!ハアアアアッ!!」

ドオオオオォォォン!

シュインシュインシュイン

「ふふふ……恐ろしいパワーだな、コイズミ」

花陽「私のパワーじゃありません、おこめパワーです!」

「なるほど、それにあんじゅはやられたということか」

花陽「英玲奈さんも、ですよ、はぁっ!ハナヨ・ボルテックス!!」

バシィィンン!!

バリバリバリ……

「ガガガ……ピーピー……ザザ……」

花陽「やはり機械ですね、雷ビリビリには弱いはずですっ」


93 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/17(水) 22:25:23.59 ID:oqPinZ6q.net
「コイズミ……私たち統堂英玲奈は一体ではないのだぞ」

花陽「わかっています!はぁっ!」

スドォォン!!

花陽「何体きても同じです!おこめパワーの前では英玲奈さんも壊れかけのレディオに過ぎません!」

「ククク……クク」

花陽「何がおかしいんですかぁ!」

ドオオオオォォォン

花陽(はぁ……はぁ……それにしてもキリがないよ……もう30体は壊したのに……)

花陽(だんだん……パワーが……落ちてきて……)

「はぁっ!」

ビュオン

花陽「うっ!」

ピシッ!

「ハハハハハ!どうしたコイズミ!動きが悪くなって来てるぞ!?もうお疲れ様かぁ!?」

花陽「く、くそぉ……力が出ない……どうして?」


96 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/18(木) 02:18:05.14 ID:acorVucS.net
「一気にケリをつけてやるっ!行くぞ皆!くらえええっ!」

ブワアアアッ

花陽「な、なんて数の英玲奈さんが!?」

「ショッキング・パーティの始まりだっ!!」

ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

花陽「うぐっ、全方位からのラッシュ!」

「ふはははっ!逃げ場はないぞ、くたばれっ!」

花陽「……こんなところで」

ドゴゴゴゴゴ

「……なんだ?」

ドゴゴゴ

花陽「こんなところで、立ち止まっていられませんっ!!はあああああ!」

シュウウウン

カッ

花陽「やあああああっ!!」


ズドオオオオン


「……ガガガ……フ……全身から衝撃波……を出すとは」

花陽「はぁ……はぁ……」


97 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/18(木) 02:23:14.36 ID:acorVucS.net
「フフフハハ……私たちを倒したことは褒めてやる……しかし……残念ながら、目的は達成されたのだ」

花陽「な、なんですか?」

「キサマのパワーがもはや底をついているということだ……私はそのための時間稼ぎに過ぎない」

花陽「時間稼ぎ?……」

「フフフ……まだ……気づいていないのか……?まぁ良い……いずれ……」

花陽「はあっ!!」


ボフン


「ガガガ……ガ……」


花陽「つまり、こんな風にダラダラお喋りしている暇はないというわけですっ」

花陽「……ツバサさんの力の根源はあのクレーターから感じるね」

花陽「……でも、時間稼ぎ?どういうことだろ?……嫌な予感がする」


98 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/18(木) 02:26:04.67 ID:acorVucS.net
ウィィィン……

花陽「……」

花陽「クレーターが……開いて……」



ゴゴゴゴゴゴゴ


「ハナヨさん、久しぶりね」


花陽「とうとう姿を現しましたね……」

花陽「ツバサさんっ!!」


ツバサ「こっちから出向いてあげたわ、感謝なさい……」

花陽「それはこっちのセリフですっ、こっちはわざわざ月面まで来たんですから!」

ツバサ「ふふ………」


106 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/22(月) 09:15:49.22 ID:peIp5BSc.net
ツバサ「ふふ……いい目をしてるわね、瞳の奥に刃物を宿しているような……鋭い目」

花陽「ツバサさん、あなたは……」

ツバサ「ツバサ?……地球での私の名前ね。彼女はスクールアイドルなる存在だったわ」

花陽「私は、ツバサさんを見てスクールアイドルに憧れたんです!……ステージで輝く、あなたの姿を見て……胸が焦がれて……」

ツバサ「ふふふ……いくら奴隷にでも、嫌われるのは好きじゃ無いのよ」

花陽「奴隷っ……地球人がですか!」

ツバサ「そ、奴隷。いや、奴隷は役に立たなきゃいけないわね……その意味では、地球人は……アリみたいなものかしら?」

花陽「……」

ツバサ「UTX星に比べてこの星の住民は知能も体力も……極めて脆弱。まるで使い道の無い下等生物よ」

花陽「……人間は、弱くなんてありません」

ツバサ「そうかしら?私がその気になれば……右手を振るだけでユーラシア大陸を消すことだって出来るのよ、試しにやってみましょうか……?」

花陽「!!やめてください!」

ツバサ「ほら……」

ヒュオン

花陽「ああああああああああっっ!!!」

ドヒュン


107 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/22(月) 09:31:29.40 ID:peIp5BSc.net
ツバサ「いいわ!その目よ!その目が最ッ高……!」

パシン

花陽(止められたっ)

ツバサ「はははぁっ!!」

シュオン

花陽(避けっ……)

ゴキン

花陽「ああああああああっ!!」

ツバサ「ふふふ……脆い脆い脆い……」

花陽(あ、右手……かすっただけなのに………う……動かせない……)

ツバサ「多分、折れてるわよ、無理しない方が良いと思うけど」

花陽「……」

ツバサ「さ、もう分かったでしょ、力の差が……」

ザッザッ

ツバサ「次で仕留めてあげるわ……ふふふ、可哀想に、生まれた星で死ねないなんて」

花陽「それは……こっちの……セリフ……です」

ツバサ「もう終わりよ、お休みなさい」

花陽「こんな……こんな、こんなもの!」

ギュッ

ツバサ「……!」

花陽「ちっとも痛くありません!!……ちっとも!」

ツバサ「痩せ我慢はみっともないわよ、ほらぁ!」

シュオン!

ガコンッ!

花陽「…………」


108 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/22(月) 09:41:38.15 ID:peIp5BSc.net
ツバサ「な……な……」ボトボト

花陽「……血、流すのは久しぶりですか?」

ツバサ(この子……折れた腕で殴って……)

花陽「……ふふふ」

ツバサ(笑って……)

花陽「お互い……手抜きは無しですよ、ツバサさん……侮辱も、謙遜も、隠し事も……そしてあらゆる小細工も!」

ツバサ(……強い……今まで見てきた、誰よりも)

花陽「さぁ、かかって来てくださいっ!地球に挑むのは、ツバサさん、あなたの方です!!」

ツバサ「いいわ……最ッ高にクールじゃないの……あなた」

花陽(……私が、私がやるんだ!)

花陽(絶対勝ってみせる……この命、投げ出してでも!)


109 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/22(月) 09:51:20.28 ID:peIp5BSc.net
ツバサ「はあっ!!」

ツバサの左からの突きーーー

刹那、身体を捻り、紙一重で躱す花陽ーーー

花陽「てゃぁぁ!」

そのまま、背を向けーー踵からの強烈な回し蹴りーー

バシン!

しかしツバサーーこれを同じく鞭のようにしならせた右足で受け流しーー

ツバサ「はっ!!」

ズンッ……

花陽「あっ……」

腹部への掌底打ちーーー

ツバサ「まだまだぁ!!」

ズドォン!

続けて、二発ーーー!

干渉により、花陽の内臓組織を増幅された衝撃波が襲うーーー

花陽「……ふふふ」

グイッ

流れ出た鼻血を拭いーー立ち上がる

両者、譲らずーーー

空には、水の惑星ーー

地球が一つだけ浮かぶ月面にてーー


110 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/22(月) 11:16:31.18 ID:peIp5BSc.net
花陽「……」

ツバサ「違和感?」

花陽「……何かが……少し……」

ツバサ「集中しなくていいのかしらッ!」

ドォン!

ツバサが地を蹴りーーー再び間合いを詰める

花陽「うっ!」

ガッ

膝蹴りーーー両手でそれを防ぐもーーー

ツバサ「はあっ!」

ベキッ

花陽「っは!」

続く肘打ちーーー脳天が揺れーーーー

ガシッ

掴みーーーーー

ツバサ「やぁあああっ!」

ビュオン

ヒュウウウウン……

ツバサ「……」

ドゴォォォオン!!

投げ飛ばされーーーー

岩肌に叩きつけられる花陽ーーーー

砕け散る瓦礫の中ーーーー

彼女は空を再び仰いだーーーー


111 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/22(月) 11:25:54.46 ID:peIp5BSc.net
花陽「……はぁ……はぁ……」

花陽「……やっぱり……」

花陽「やっぱり、何かがおかしいと思ってた……」

花陽「さっきから、力が……徐々に……身体から抜けているような感覚……」

花陽「ついさっきまで大きかった地球が……あんなに小さく……!」

花陽「この星……この月は……動いている!……それも、地球から、遠ざかって……」

ガラガラ……

ツバサ「…………気づいた?」

花陽「…………英玲奈さんは、時間稼ぎ……私を、地球から離して、大地のお米パワーを弱めるための……」

ツバサ「そ、この月そのものが母艦といったでしょ?……軌道を動かすくらい、わけないのよ」

花陽「……」

ツバサ「こんな初歩的なワナにかかるなんて……いったでしょ?地球人は……知力でも下等だって……ふふふ」

花陽「……このままじゃ……だんだん……弱く……地球の声が……遠のいて……」

ツバサ「あなたは見捨てられたの……つまり………あなたたちは地球を宿り木にする細菌……それだけの存在だったというわけよ」

花陽「う……」

ツバサ「助けを求めてみなさい……!この宇宙の中で!あなたを助ける声はどこからも届かない!……始めから、地球は味方じゃなかったのよ」

花陽「ち、が……い……ます」

ツバサ「美しい星ね……蒼くて……あなたたちには勿体無いの……あの星は」

花陽「……ぁぁぁっ!!」


112 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/22(月) 11:30:03.96 ID:peIp5BSc.net
花陽「うわああああああ!!」

ブンブン

ツバサ「避けやすい避けやすい……徐々に遅くなってるわよ……無様ね」

花陽「……はぁ……はぁ」

ツバサ「死ぬのよ、あなたは。人間としてね」

花陽「……」

ツバサ「じゃあね、ハナヨさん。楽しかったわよ」

ヒュン

花陽(…………)






凛(かよちんが……)

凛(戦ってる……)

凛(遠い宇宙で……)

凛(たった独りで……)





凛(…………)


126 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/29(月) 08:32:15.45 ID:miYnDfcV.net
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凛「かよちん、もう一回あれやって!」

花陽「もう……あと一回だけだよ」

凛「わくわく」

花陽「とうっ!変身!」

凛「おおっ!」

花陽「あはは……どう?」

凛「かっこいい……かよちん、魔法使いみたい」

花陽「凛ちゃんだけだよ、見せるのは」

凛「うん、凛、絶対誰にも喋らない」

花陽「二人だけの秘密だよ」

凛「うん!」


127 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/29(月) 08:38:03.73 ID:miYnDfcV.net
凛「凛だけ知ってる!かよちんは本当は誰よりも強いんだって!」

花陽「……凛ちゃん」

凛「……どうしたの?」

花陽「ううん、強くても、良いことなんか何もないよ」

凛「そんなことないよ!」

花陽「……色んなもの、壊しちゃえる、初めの頃は、力の使い方が分からなくて……お母さんを傷つけたり……」

凛「ちがうよ、かよちんは正義のヒーローなんだ」

花陽「正義のヒーロー?」

凛「悪い奴をやっつけて、凛のことを助けてくれる正義の……おこめ戦士はなよだにゃ!」

花陽「……ふふっ」

凛「……どうかな?」

花陽「おこめ戦士……かぁ、いいなぁ、それ」

凛「気に入ってくれた?」

花陽「うん、良いね、それ……すごく良いな」


129 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/29(月) 08:41:13.96 ID:miYnDfcV.net
凛「かよちん」

花陽「なに?凛ちゃん」

凛「約束だよ、凛のこと、助けに来てね」

花陽「……」

凛「それまでは……皆の前でおこめ戦士になれないときは……凛がかよちんのことを守るから!」

花陽「うん、約束する!」

凛「だから……」




凛(……だから)

凛(……かよちん)

凛(……今だよ)


130 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/29(月) 08:46:01.50 ID:miYnDfcV.net
ドスッ……

花陽「……」

ツバサ「ふふふ……」

花陽「……」

ツバサ「さようなら……ハナヨさん」

花陽「……」

ツバサ「心臓をひと突き……案外呆気なかったわね」

ドサッ

ツバサ「これで地球はおしまい」

ツバサ「あなたのお母さんもおこめ戦士とやららしいけど」

ツバサ「彼女はもう年ね。パワーを感じられなかったわ」

ツバサ「あはははは……地球」

ツバサ「この星は、私のもの……」

ツバサ「英玲奈、あんじゅ、見てみなさい……美しい星よ」

ツバサ「あはははは……」


131 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/29(月) 08:48:59.87 ID:miYnDfcV.net
花陽(……)

花陽(意識が……)

花陽(消えて……)

花陽(凛ちゃん……)

花陽(みんな……)

花陽(……)

花陽(そうだ……)

花陽(真姫ちゃんがくれたおにぎり……)

花陽(腰につけたケースに……)

パカッ

花陽(これが……最後の変身っ……)

花陽(間に合って……)


132 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/29(月) 08:52:12.66 ID:miYnDfcV.net
グチャッ

花陽(……!)

ツバサ「なに、それ?」

花陽(……)

ツバサ「まだ何か持ってたのね、食べさせないわよ」

花陽(……みんなの……おにぎり)

ツバサ「ほら、綺麗な地球、あれを見ながら死になさい」

花陽(……ッッ!)

花陽「……おおおっっ!!」

ガシッ!

花陽「うぐぁぁ!」

バリバリ

ツバサ「……ッ!?」

花陽「うっ、うっ」


133 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/29(月) 08:56:05.26 ID:miYnDfcV.net
ツバサ「何やってんのよォォォッッ!」

花陽「あぐ……あぐ」

ツバサ「落ちたものは食べちゃダメって教わらなかったのっ!?」

ベキッ

花陽「うぐっ」

ツバサ「吐き出しなさいっ!」

花陽「あはは……」

ドゴッベキッドスッ

ツバサ「吐き出しなさいいいいいいっっっ!!!!」

ゴクン……

花陽「……最後の変身です」

パナァァア

花陽「勝手も負けても、これが最後ですっ!」

ズゴオオオオオオオオオオッ!!

ツバサ「……ふんっ……」

ツバサ「何度来たって、同じこと!」


134 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/29(月) 08:59:01.32 ID:miYnDfcV.net
花陽「ハナヨ・ケア!」

キュイイイン

ツバサ(傷口が塞がっていく……!?)

ツバサ(バカな……あんな能力、無かったはず)

花陽「今までで一番すっきりした気持ちですっ」

花陽「口の中は砂利まみれですけど……」

プッ

花陽「みんなのおにぎりの力を貰いました!」

ツバサ「セヤアアアアッッ!」

ベキッ


136 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/29(月) 09:02:35.82 ID:miYnDfcV.net
花陽「……おおっ!」

ベキッ

ツバサ「かはっ……ふんっ!」

ドスッ

花陽「……んんっ!とりゃあああああっ!!」

ドゴォォォン

ツバサ(……この私が……力で押し負けてるッッ)

花陽「おにぎりの味はまごころの味です!」

花陽「携帯性もカロリーも優秀なんですっ!!」

ツバサ「それがどうしたあああっ!!」

ベキッ

花陽「んぐっ……あああっ!」

ドンッッ…

ツバサ「あっ……あっ……ガハッ……う…」


137 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/29(月) 09:06:42.00 ID:miYnDfcV.net
ツバサ(……何?足が、動かない)

ツバサ(追い詰められてる?この私が……)

キュイイイン

花陽「終わりですっ、コメット……」

ツバサ(……まずいっ!)

花陽「ビーーーーー」

ツバサ「待ちなさいッッ!!」

花陽「……ッッ」

ツバサ「ふふふ……待った方がいいわよ、言う通りにね……」

花陽「この期に及んで何ですかっ!」

ツバサ「……あなたのお友達、星空さんよね」

花陽「……凛ちゃんがどうしましたかっ」

ツバサ「病室を特定させてもらったわ」

花陽「……ッッ!」

ツバサ「最後の一体の英玲奈が今、その前まで来てるわ」


139 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/29(月) 09:14:19.49 ID:miYnDfcV.net
花陽「……」

ツバサ「英玲奈は私が指示したらすぐに突入出来るわ………星空さんを、5秒もせず、死体にねっ」

花陽「……卑怯者っ……!」

ツバサ「どっちか迷ってたけど……あなたが今ここで死んでくれるなら、人類を滅ぼすのはナシにしてあげるわ」

花陽「……!」

ツバサ「……もちろん、星空さんや、μ'sのみんな、あなたの家族もね……」

花陽「……はぁ、はぁ……」

ツバサ「選びなさいッッ!全てを守るかっ、あなた一人が死ぬかッッ!!」

花陽(……)

花陽(私が死んでも……)

花陽(約束が守られる保証なんかどこにもない!)

花陽(ツバサさんの言うことなんて絶対に信じちゃいけない!)

花陽(だけど……どうすれば)


140 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/29(月) 09:21:32.56 ID:miYnDfcV.net
花陽(……やるしかない)

花陽(もう、本当にこれしかないんだ)

花陽(間に合って……お願いっ)

ツバサ「……さぁ、どうするの?まぁ……あなたは、星空さんを死なせる選択はしないと思うけど……」

花陽「……もちろんです、凛ちゃんは死なせません」

ツバサ「わかったわ……じゃあ、そこでおとなしくしてなさい……」

花陽「…………」

ツバサ「すぐに首をはねてあげるわーーーッッ!!」

ズオオッ!

花陽「うおおおおおおおおっっ!コメット・ビーーーーーーム!!!」

ズキュウウウウウン!!

ツバサ「…………!?」

ツバサ(……何故ッッ!?何故その選択をッッ!)

ツバサ(避け……間に合わないっ……)

ツバサ(ならば……せめて!)

ポチッ

花陽(ボタンッ!?)

ツバサ「英玲奈ァァァァッッ!!突入しなさァァァァい!!星空さんを……グチャグチャの死体にしてあげなさァァァァい!!」

ドゴォォォン

ツバサ「アッ……アッ……」

ツバサ「私は死ぬ……けど……」

ツバサ「あなたの……負けよ……」

ツバサ「アッ……」

ツバサ「……」

花陽「うわあああああっっ!!!」


141 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/29(月) 09:23:52.15 ID:miYnDfcV.net
ゴオオオオッ!

花陽(間に合え!地球の、西木野総合病院まで、5秒以内にっっ!!)

キィィィィン

花陽(飛ぶんだっっ!)

キィィィィン

花陽(間に合えええっっ!!)


142 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/29(月) 09:28:36.12 ID:miYnDfcV.net
ズドオオオオン

真姫「!」

キュインキュインキュイン

英玲奈「突入完了、生体確認、8名、ターゲット確認、星空凛」

海未「なんですか、英玲奈さんっ!?」

希「凛ちゃんが狙われてるっ!」

にこ「このおぉぉぉ!!!凛になにすんのよぉぉ!!」

ガコンッ

にこ「止まりなさいよぉぉ!この!この!」

英玲奈「……続行」

チュピン……

穂乃果「あっ……」


143 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/29(月) 09:32:23.92 ID:miYnDfcV.net
ズドォォォォン!!!

英玲奈「ガガガ……ガガガ……ミッション……コンプリー…ト……」

花陽「うおああああっっ!!」

真姫「花陽っ!」

ズゴォン!

英玲奈「ガガガ……ピー……」

プシュウウウウ

希「花陽ちゃんが、帰ってきた!」

花陽「……凛ちゃん!」

穂乃果「……」

花陽「……うそ」

にこ「……ううう……止められ無かった……私じゃあ!」

花陽「嘘でしょ……凛ちゃん……」


144 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/29(月) 09:36:04.75 ID:miYnDfcV.net
凛の胸には小さな穴が一つ

白い病服は紅い血にじんわりと染まっていた

彼女の顔には、もはや命は宿っていなかった

花陽「あああっ、ううっ、凛ちゃん、凛ちゃん!」

真姫「……」

花陽「間に合わ……なかった……」

希「花陽ちゃん……」

花陽「私じゃ……守れなかった……」

にこ「……」


145 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/29(月) 09:38:51.55 ID:miYnDfcV.net
花陽「…………あげます」

キュイイイン

花陽「私の全部をあげますっっ!!」

キュイイイイイイン

花陽「だから凛ちゃんを!!!」

花陽「凛ちゃんを返してくださいっ!!」

シュパアッッ……

花陽「………………ッッ!!」

花陽「…………」

花陽「…………」


146 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/29(月) 09:44:32.29 ID:miYnDfcV.net
--------------------------------

凛「こらぁ!!かよちんをいじめるなぁ!!」

「げっ、凛だ!逃げろっ!」

凛「……ふんっ!いーっだ!」

花陽「……うぇぇぇん、凛ちゃぁん……」

凛「大丈夫だよ、かよちん、もういなくなったよ」

花陽「いつも……ごめんね……うっ、ううっ」

凛「約束したにゃー!お互い、ピンチの時は助けて合いだって!」

花陽「でも私、凛ちゃんのこと、一度も助けてあげられないよ……」

凛「……ううん、そんなことないよ」

花陽「……」

凛「凛はいつだって、かよちんに助けられっぱなしだから」

花陽「……凛ちゃん?」

凛「……」







凛「……」


147 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/29(月) 09:48:16.51 ID:miYnDfcV.net
凛「……ん」

凛「んんん……」

凛「ふわぁぁ~っ……」

真姫「凛!!」

凛「あれ?なんでみんな居るの?」

にこ「凛ーーッッ!!」

凛「ここは凛の部屋……じゃない?あれ?」

凛「……かよちん?なんで倒れてるの?」

希「花陽ちゃんは、凛ちゃんのために……」

凛「…………」

凛「かよちん」

凛「起きて」

花陽「……」

凛「そんなところで寝てちゃだめだよ」

花陽「……うん」

凛「……おかえり、かよちん」

花陽「……ただいま」


148 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/29(月) 09:50:18.20 ID:miYnDfcV.net
こうして、おこめ戦士の地球をかけた戦いは終わりました

いや……今はもう、私はおこめ戦士ではありません

凛ちゃんを助けるために、私は全ての力を失いました

もう、あんな風に変身することは二度と出来ないでしょう

それでも、戦いは終わったんです

もう二度と、戦う必要も無くなったんです


149 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/29(月) 09:54:30.63 ID:miYnDfcV.net
花陽「新米の季節ですっ!」

真姫「呆れた……またそんなに大っきいおにぎり」

花陽「もぐもぐ……んん~!美味しい!」

凛「いっぱい食べるにゃー、そのお米があるのも、かよちんのおかげだにゃ!」

真姫「でも、入院中でしょ?患者の食べる量じゃ……」

花陽「うーん……でももう元気だよ?いつでも退院できそうだけど……」

真姫「検査があるの、そこでオッケー貰ってからね」

凛「早く一緒に学校行こうね、かよちん」

花陽「うん」


150 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/29(月) 09:57:31.54 ID:miYnDfcV.net
穂乃果「とりゃ!お見舞いだよ!」

花陽「あっ、みんな」

海未「元気になりましたか?」

真姫「元気すぎるくらいよ」

にこ「まぁ、早く戻って来なさいよ、いつでも待ってるから」

希「花陽ちゃん、ありがとう」

花陽「いやいや、そんな……私は別に……」

絵里「謙遜しなくてもいいのよ、ヒーローなんだから」

ことり「花陽ちゃん、カッコよかったよ!」

花陽「えへへ……照れ臭いです」


151 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/29(月) 10:02:19.17 ID:miYnDfcV.net
真姫「もう、変身できないんでしょ?」

花陽「うん、でもいいの、戦う必要なんてないから」

にこ「あーあ……それにしてもアライズが侵略者だったなんて……」

海未「流石にショックですね、にこは」

にこ「まあでも、予選勝ち上がりやすくなったしラッキーと言えばラッキーなんだけど……」

希「こら、にこっち、そんなこと言ったらあかんやろ」

にこ「冗談よ冗談!」

絵里「……ゆっくり休んでね、花陽」

花陽「うん」

穂乃果「本当にありがとう、花陽ちゃん!」

花陽「いやいや、私1人の力じゃないです!みんなのおかげです!」

真姫「……そうね、花陽が言うなら」

花陽「はぁぁぁ……」


152 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/29(月) 10:03:54.58 ID:miYnDfcV.net
ことり「それじゃあ、そろそろ帰るね」

穂乃果「ばいばーい、花陽ちゃん」

真姫「私も……、凛は残るの?」

凛「もうちょっとだけ!」

真姫「あんまり花陽を疲れさせないようにね、それじゃ、先行ってるわよ」

凛「うん」

花陽「またね、みんな」


153 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/29(月) 10:08:18.92 ID:miYnDfcV.net
凛「……」

花陽「……」

凛「……お月さま、今日も見えないね」

花陽「あはは……たぶん、あのままどこかに飛んで行っちゃったんだと思う……」

凛「そっかぁ、すごいね……」

花陽「?」

凛「えへへ、約束したもんね、かよちん、凛のこと助けに来てくれるって」

花陽「うん、約束した」

凛「ありがとう、かよちん」

花陽「……うん」

凛「あーあ……お空が寂しいにゃ……」

花陽「でもほら、星は出てるよ」

凛「うん、そうだね」

花陽「……きれいだね」


154 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/29(月) 10:12:04.33 ID:miYnDfcV.net
おこめ戦士は消えました

もう二度と帰って来ません

全部、夢だったんじゃかったかと思ったりもします

でも、時々思い出すんです

月で食べた、あのおにぎりの味

土も混じってたし、しょっぱかったのに

なぜだかいちばん美味しいおにぎりでした




おわり


155 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/29(月) 10:13:56.91 ID:miYnDfcV.net
ありがとうございました


160 : 名無しで叶える物語(SB-iPhone)@\(^o^)/ 2015/06/29(月) 10:42:27.74 ID:RZbAmXSU.net
乙!良かったぞ


168 : 名無しで叶える物語(しうまい)@\(^o^)/ 2015/06/29(月) 17:10:59.02 ID:kfYHEQKJ.net
感動した乙


元スレ:http://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1433534433/


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