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男「はじめてのビジネスホテル」
- 1 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/07/12(日) 18:11:12 ID:sp1My6C2
- ― 会社 ―
上司「今度の出張の件なんだけれども」
男「はい」
上司「俺は始発で直行すれば、現地に間に合うから当日家から向かうつもりなんだが」
上司「君の家からじゃそうも行かんだろう」
上司「というわけで、前日のうちに現地で泊まってもらうわけにはいかんか?」
男「かまいませんよ」
上司「すまんね。じゃあ、よろしく頼むよ」
- 2 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/07/12(日) 18:13:07 ID:sp1My6C2
- 男(ふっふっふ……)
男(あの時は、“仕方ありませんね、仕事ですから”というテンションで答えたが)
男(内心はひゃっほう、と飛び上がりたい気持ちであった)
男(なぜなら――)
男(ビジネスホテルに泊まるなど、今まで経験したことがなかったのだから!)
男(はじめてのビジネスホテル!)
男(これ、テレビ番組とかでやったらウケるんじゃないか? ……ウケるわけないか) - 3 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/07/12(日) 18:15:20 ID:sp1My6C2
- 当日――
男(会社を早めに退社して、ようやく現地についた)
男(んでもって、あのちょいと古びたビルが俺の泊まるビジネスホテル!)
男(うおお、緊張するなぁ……)
男(だが、今の俺はれっきとしたビジネスマン! 会社の看板を背負ってるんだ!)
男(恥をさらすわけにはいかない!)
男(行くぞ!)ザッ - 5 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/07/12(日) 18:18:27 ID:sp1My6C2
- ― ビジネスホテル ―
ホテルマン「いらっしゃいませ」
男「こ、こんにちは」
男「本日、予約をしていた○○ですが」
ホテルマン「○○様ですね。当ホテルをご利用いただき、誠にありがとうございます」
ホテルマン「当ホテル、前払い制となっております」
男「は、はい」
ホテルマン「領収書の名前はいかがいたしますか?」
男(領収書きたあああああ!) - 6 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/07/12(日) 18:20:32 ID:sp1My6C2
- 男(領収書ッ! なんとオトナでビジネスな響きか!)
男(たまらないな、この感覚! 出張してるって感じだァ!)
ホテルマン「あの、お客様……?」
男「!」ハッ
男「××株式会社、でお願いします」
男「後株でね」キリッ
ホテルマン「……へ?」
男「あ、いやいやいや! なんでもないでぇっす!」 - 7 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/07/12(日) 18:23:39 ID:sp1My6C2
- ホテルマン「お部屋は305号室となります」
男「はい」
ホテルマン「こちらがキーとなります」ジャラッ…
男(へぇ~、ヌンチャクの出来そこないみたいな形だな)ジャラッ…
男「アチョォ~!」ヒュヒュヒュン
ホテルマン「キャッチ!」パシッ
男(……できる!)
ホテルマン「室内の電気を使う際は、このキーを――」
男「あ、大丈夫です、分かります」
男(ちゃんと予習してきたもんね)
ホテルマン「そうですか、ではごゆっくりどうぞ」 - 8 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/07/12(日) 18:26:31 ID:sp1My6C2
- 男(305号室……)
男(ここが俺の部屋か……)
男(つまり、今夜から明日の朝まで、ここは俺の城というわけだな!)
男(一日駅長ならぬ、一日城主!)
男「うふふ、ふふ……」
男「うわっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは!」
男(いざ、入城!)ガッ
ガチャッ ガチャチャッ ガチャッ
男(なんか入れにくいぞ、これ……)
男「しまりがいいねェ~、げへへへ、なんつって!」
男「お、入った」ガチャッ - 9 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/07/12(日) 18:29:35 ID:sp1My6C2
- ― 305号室 ―
男(暗いな……)
男(電気つけなきゃ……)パチッ
男「あれ!? つかない!? なんで!?」パチパチパチ
男「電気系統をやられたか! ええい、つけぇ! ついてくれぇ!」パチパチパチパチパチ
男「――あ、そうか! 電気を使うには、キーを差し込まなきゃいけないんだった!」
男「差し込む穴はどこ!? どこ!?」
ホテルマン『室内の電気を使う際は、このキーを――』
男『あ、大丈夫です、分かります』
男「場所をちゃんと聞いとくべきだった! くそったれめ!」
男「ゲームとかでもよくこういうミスするんだよな、俺って!」
男「んで、もう一回聞こうとしたらもう話してくれないパターン!」 - 10 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/07/12(日) 18:32:04 ID:sp1My6C2
- 男「あ、これか!? これだ!」グサッ
パァッ…
男「あ~、電気ついたぁ~」
男「よかったぁ~」
男(こうして、人類は電気という新しいエネルギーを手に入れた)
男(しかし、それが新たな争いの火種になるとは、まだ知るよしもなかったのである……)
男(それっぽいナレーションも決まったし、部屋を見てみるとすっか!) - 11 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/07/12(日) 18:34:29 ID:sp1My6C2
- 男「スーツをかけとくクローゼット!」バァンッ
男「バスルームとトイレ!」バァンッ
男「ダブルベッド!」
男「テレビ! もちろん液晶!」
男「よれよれなLANケーブルに、ちっこい湯沸かし器もあるよ!」
男「うむ、いい! 実にいいぞ! この必要最低限っぽさが、実に素晴らしい!」 - 12 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/07/12(日) 18:36:08 ID:sp1My6C2
- 男(さて落ちついたところで――)
男(お札とかが貼ってないか、額縁の裏をチェック!)
男(もしビッシリお札が貼ってあったらどうしよう……!)ブルブル…
男「……」ガタッ
男(貼ってない……)
男(ホッとしたけど、ちょっと残念、かも……) - 13 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/07/12(日) 18:39:47 ID:sp1My6C2
- 男「続いて――」ヌギヌギ…
男(とりあえず全裸になる!)スッポンポーン
男「おほおおっ! なんという開放感! これだ! これなんだよ!」
男「生まれたままの姿――これこそがヒトの究極形態!」
男(部屋の中にあるデカイ鏡に映してみると……)
男(おおっ、すばらしい肉体美!)ムキムキッ
男(――って全然大したことねーけど)ヒョロ…
男「ハックション!」
男「さぁて着替えて、明日の支度するか」ズズッ…
男(明日は基本的に俺は付き添いだけど、資料は作っとかなきゃいけないからな) - 14 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/07/12(日) 18:41:26 ID:sp1My6C2
- 男「……」カタカタッ ターン
男「明日の支度はこんなとこだろう」
男(……決まった。ビジネスホテルでビジネスしちまったよ……俺。かっこよすぎる)
男「……」グゥゥ…
男(……腹、減ったな)
男(ホテルの近くにコンビニあるし、なんか買いに行くか) - 15 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/07/12(日) 18:44:07 ID:sp1My6C2
- ― コンビニ ―
男(とりあえずは……弁当だよな)
男(あと……お茶も欲しいし、ビールも欲しいな。あと、チューハイ)
男(酒があるならつまみもだ。惣菜を一つ二つ買っとこう)
男(菓子も欲しいよな。ポテトチップスに、ビスケット、ゼリー系も欲しい)
男(おっと、甘いのばかりじゃなく柿ピーもつまみたい)
男(ついでに、漫画も買って行くか。夜は長いしな)
男(それと……) - 16 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/07/12(日) 18:46:46 ID:sp1My6C2
- 店員「2416円になります」
男「どぅわ!?」
男(おいおいおい、マジかよ)
男(2000円超えって……明らかに買いすぎたな)
男(コンビニでこんな買ったの、いつ以来だろ……)
男(今日一晩でこんなに食えるか……? ま、いいや、なんとかなるだろう) - 17 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/07/12(日) 18:50:30 ID:sp1My6C2
- ― 305号室 ―
男「……」グビッグビッ
男「っぷはぁ~、うめえ!」
男「普段、晩酌なんかしないのに、ビールがやたらうめえ!」
男「見える、見えるぞ! 広大な麦畑が!」
男「ビール飲みながら食べるコンビニ弁当が、これまた最高だ!」モシャモシャ
男「なんか、いつもより2倍増しくらいでおいしく感じるよ!」モグモグ - 18 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/07/12(日) 18:52:33 ID:sp1My6C2
- 男「ギャハハハハッ!」
男(普段バラエティ番組なんかちゃんと見ないけど)
男(おもしれぇ~!)
男(いつもより3倍増しぐらいで、面白く感じちゃう!)
男(これはあれか?)
男(ビジネスホテルという特異な閉鎖的空間が)
男(バラエティ番組の楽しさを増幅させているのかぁ!?) - 19 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/07/12(日) 18:56:23 ID:sp1My6C2
- 男「ウイ~、しこたま飲み食いしたし、そろそろ汗を流すかぁ……」
男「ションベンしてと……」ジョロロロロ…
男「はぁ~、スッキリ」ブルブルッ
男(ん? 浴槽にタオルがかけてあるな)
男(ああ、これがバスタオルだな。やけに硬いけど、ま、こんなもんか)
男(んじゃ、シャンプーとボディソープで体あ~らおっと)
男(シャワーの温度調節は、水と湯の量をバランスとって調整すればいいんだな)キュッキュッ - 20 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/07/12(日) 19:00:40 ID:sp1My6C2
- ジャー…
男「つめてっ!」キュッ
ジャー…
男「あちぃ!」キュッ
ジャー…
男「つめてぇぇっ!」キュッ
ジャー…
男「うわっちぃ!」キュッ
男(シャワーの温度調節ムズすぎだろ、これ!)
男(さっきから熱いのと冷たいのを行ったり来たりだ!)
男(これを一発で適温にできなきゃ、真のビジネスマンとはいえないんだろうなぁ……) - 21 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/07/12(日) 19:02:53 ID:sp1My6C2
- 男「あ~、スッキリした」ゴシゴシ…
男「体をしっかり拭いて、と。 ――ん?」チラッ
男(うげぇ!?)
男(棚の上に……ちゃんとしたバスタオルが……!)
男(ってことは今、俺が使ってるこのでかいタオルの用途はなんだ? なんなんだ?)
男(そうか! 床に敷くためのやつか! どうりでやたら硬いわけだ!)
男(ええい、もう遅い! これで拭く!)ゴシゴシ… - 22 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/07/12(日) 19:05:32 ID:sp1My6C2
- 男「色々アクシデントもあったが、なんだかんだいってサッパリしたな」
男「……さて、そろそろ寝るか」
男(すっげえごわごわしてるな、この布団)ゴワゴワ…
男(でも、これはこれでアリかも。クセになりそうだ)
男(おやすみ……)
男「ぐぅ……ぐぅ……」 - 23 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/07/12(日) 19:08:39 ID:sp1My6C2
- 翌朝――
男「ふぁぁ……」
男(緊張と興奮のせいか、目覚ましセットした時刻より、だいぶ早く起きちまったな)
男(眠れたような、眠れてないような……なんだか不思議な気分だ)
男(朝食はフロント横の部屋でバイキングだったな)
男(混まないうちに、とっとと済ませとこう) - 24 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/07/12(日) 19:11:20 ID:sp1My6C2
- ― 朝食部屋 ―
男(えぇ~と、これと、これと……)
男(普段、朝食なんかちゃんと取らないのに、パンをかじる程度なのに)
男(パンにハム、野菜、と妙に栄養バランスを考えた構成にしちまってる)
男(なんでだろ……)
男「……」ムシャムシャ…
男「うん、うまい!」 - 25 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/07/12(日) 19:15:08 ID:sp1My6C2
- そして――
男「チェックアウトをお願いします」
ホテルマン「かしこまりました」
男「ホワタァ!」ヒュヒュヒュン
ホテルマン「キャッチ!」パシッ
男(……できる!)
ホテルマン「ありがとうございました。いってらっしゃいませ」
男(どうでもいいけど、またこの人かよ……。この人何時間働いてるんだ?) - 26 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/07/12(日) 19:18:30 ID:sp1My6C2
- ……
……
……
男「おはようございます!」
上司「おはよう、どうだった? ホテルは?」
男「なかなかよかったです」
上司「フフ……なかなか、か」
男「?」
上司「どうせハメを外して無意味に全裸になったり、無駄に買い込みすぎたり」
上司「シャワーの温度調節手こずったり、はりきって朝食取ったりしたんだろ?」
男「げぇっ!?」ギクッ
おわり - 28 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/07/12(日) 20:22:26 ID:60S3CAKk
- なんかよくわからないがワクワクした
- 29 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/07/12(日) 20:23:15 ID:mcmvzxCU
- 乙
ビジホ最近行ってねえなあ… - 30 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/07/12(日) 20:31:13 ID:X9DaSiv.
- こんな豪華なビジホ行ったことねー
ホテルマンさんと友達になりたいww - 31 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/07/13(月) 08:11:50 ID:/rcQpc5c
- なんという堪能っぷりw
上司も昔はやっちゃったんだろうか
乙!

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