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あかり「ほんとの好き、見つけたよ」

1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/19(月) 22:44:05.54 ID:70II73RG0
「あかりちゃんは恋したことある?」

そう訊ねられたのはいつだっただろう。
確か、夏休みに入るその直前。好きな人はいっぱいいる。でも、その気持ちが
恋愛感情なのかどうかと聞かれれば、途端にわからなくなった。

みんなのことが大好き。
でもその好きはきっと、恋愛感情としての好きじゃない。
好きっていうのは、どういうことなんだろう。




3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/19(月) 22:45:16.58 ID:70II73RG0


ちなつ「あかりちゃん、どしたの?」

ゆさゆさと肩を揺すられてはっとする。
ちなつちゃんが不思議そうに私を見ていた。

あかり「あ、えっと、考え事してたんだぁ」

ちなつ「ふーん、珍しいね」

あかり「ひどいよっ!?」

ごめんごめんと笑いながら、ちなつちゃんは「はい」と鞄を差し出してきた。
それを受取って、そういえばもう放課後なのだということを思い出す。

ちなつ「さあ、今日も気合いれなきゃね」

立ち上がって教室を出ると、ちなつちゃんはそう言って意気込んだ。
なにが、と訊ねようとしてなんとなく察する。


4:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/19(月) 22:46:00.59 ID:70II73RG0
「あかりちゃんは恋したことある?」と訊ねてきたのは紛れもなくちなつちゃん。
そのときちなつちゃんは、「私は結衣先輩が好きなの」と言っていた。

あかり「……」

そっかぁ。
ちなつちゃんは、恋してるんだなぁ。

あかり「結衣ちゃんにアタックしなきゃだね!」

ちなつ「もちろんよ!絶対振り向かせてやるんだから!」

打倒京子先輩よ!
びしっと決めポーズをするちなつちゃん。
改めて好きな人のために色々としようとしているちなつちゃんを見ていると、
本当に可愛いと思う。


6:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/19(月) 22:46:37.70 ID:70II73RG0
ちなつ「どうしたの?」

あかり「ちなつちゃん、可愛いなぁって」

ちなつ「な、なに言ってるのあかりちゃん!?なんか変だよ今日!」

あかり「えへへ、そうかなぁ」

変といえば、きっと今日だけではないと思う。
恋したことがあるかと訊ねられたあの日から、
ずっとこんなことばかり考えてるのだから。

ちなつ「まああかりちゃんが恥ずかしいこと言うのはいつものことだけど」

あかり「そうかな?」

ちなつ「そうだよ」


7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/19(月) 22:47:18.92 ID:70II73RG0
不満げな顔をしながらちなつちゃんが言い、私は首を傾げた。
うーん、恥ずかしいことってたとえばなんだろう。
あかり、他の子と感覚ずれちゃってるのかなぁ。

ちなつ「でも櫻子ちゃんや向日葵ちゃんみたいにツンツンしてるよりはいいと思うけど」

あかり「そっかぁ」

いつのまにか部室の前。
ちなつちゃんはもう一度「よしっ」と気合を入れなおして、部室の扉に手をかけた。

ガチャッ
ガチャッガチャッ

ちなつ「……」

あかり「……」


8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/19(月) 22:47:53.09 ID:70II73RG0
ちなつ「開かない」

あかり「開かないね」

鍵がかかっていて、扉はまったく動こうとはしなかった。
まだ結衣ちゃんや京子ちゃんは来ていないのだ。

ちなつ「なんだー、結衣先輩まだなんだ……」

あかり「みたいだねぇ」

二年生は帰りのホームルームが短いから、いつも私たちよりもうんと早く部室に
来て待っているのに。
合鍵はもらっているけれど、京子ちゃんたちが遅くなるとわかっている時にしか持って来ないように
しているのだ。


9:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/19(月) 22:48:33.71 ID:70II73RG0
ちなつ「待っとく?」

あかり「待っとこっか」

ちなつ「はあ……早く結衣先輩に会いたかったのになあ」

壁際にずるずると座り込みながら、ちなつちゃんが言った。
私もちなつちゃんの隣に並ぶ。

ちなつ「今日はよりにもよって体育あったからくたくたなのにー」

あかり「結衣ちゃんに癒してもらえるの?」

ちなつ「好きな人と話してたら疲れとかそんなことだってどうでもよくなるもん」

あかり「そういうものなんだぁ」

ちなつ「そういうものなの」


10:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/19(月) 22:49:19.21 ID:70II73RG0
ふーん、と相槌。
私にはよくわからない。よくわからないけど、ちなつちゃんがそう言うんだったら
きっとそうなんだろう。

あかり「いいなぁ」

ちなつ「なにが?」

あかり「恋してるって、いいなぁって」

ちなつ「……うん、いいよ」

あかり「あかりも誰かに恋できるかなぁ」

ちなつちゃんは「さあ」と言って黙り込んで。
もちろん相手がいないといけないっていうのは充分わかっている。
でも、ちなつちゃんを見ていると、あかりもしてみたいなぁなんて思ってしまうのだ。


11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/19(月) 22:50:04.78 ID:70II73RG0
ちなつ「まあそのうち、できるんじゃない?」

あかり「うん」

ちなつ「急ぐことでもないよ」

あかり「うん」

ちなつ「……なんて、私が言えたことじゃないんだけどね」

どういうこと?とちなつちゃんを見る。
ちなつちゃんはその口許に苦い笑みを浮かべながら、
「私も急いでなかったわけじゃないんだよね」と。


13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/19(月) 22:51:18.08 ID:70II73RG0
あかり「ちなつちゃんも急いでたの?」

ちなつ「うん、好きな人が欲しかったんだよね」

あかり「すぐに作れるんだね」

ちなつ「そうかもね、作ろうと思えばすぐ作れるよ。でもさ、あかりちゃん」

あかり「うん?」

ちなつ「作るものじゃないんだよね、好きな人なんて」

あかり「それじゃあちなつちゃんは結衣ちゃんが」

ちなつ「違うよ!結衣先輩のことは本当に好きだもん」

あかり「あ、うん……そうだよね」

ただね、とちなつちゃんは溜息を吐くように漏らした。
たまーに、この好きってどういう好きなのかな、なんて考えちゃうんだ。


14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/19(月) 22:52:09.36 ID:70II73RG0
あかり「……」

ちなつ「……」

あかり「そっかぁ」

ちなつ「私はちゃんと恋のつもり」

あかり「うん」

ちなつ「でも、これって本当にそうなのかなって、時々不安になっちゃう」

そこまで言ってから、ちなつちゃんはいつもの顔に戻った。
いつもの強気で勝気な。


17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/19(月) 22:52:43.51 ID:70II73RG0
私は「恋ってどんなのだろうね」と呟いた。ちなつちゃんは「わかんない」と答えた。

それから結衣ちゃんたちがきて、いつもどおりの部活の時間。
ちなつちゃんはいつもみたいに「結衣先輩!」と抱きついていった。

その姿を見ながら、ちなつちゃんはあんなことを言っていたけどやっぱり
本当に好きなんじゃないのかなぁと思った。

だって今のあかりは、好きの基準を知らない。


20:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/19(月) 22:54:30.76 ID:70II73RG0
―――――
 ―――――

それから数日後のことだった。
放課後、帰り道。後から遅れてやって来たちなつちゃんは、なんだかひどく
暗い顔をしていて。

京子ちゃんが「どうしたの?」と訊ねたって首を振って何も言わない。
何も言わないし、ずっと泣きそうな顔をして黙り込んでいた。

京子「もしかしてさ、結衣となにかあった?」

その様子に何か悟ったのか、京子ちゃんが言った。そういえば、後からちなつちゃんと
一緒に来るはずだった結衣ちゃんがいなかった。

ちなつ「べ、べつになんでもないです……!」

一瞬驚いたように固まったちなつちゃんだったけど、すぐに頑なに首を振った。
京子ちゃんが困ったように私を見る。


21:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/19(月) 22:55:21.66 ID:70II73RG0
その視線に何も答えられないまま、それから私たちは無言で歩いて。

ちなつ「……それじゃあ」

いつのまにこんなところまで来ていたのか、ちなつちゃんに何も訊ねられないまま、
私たちはいつもの別れ道へと来てしまっていた。
ちなつちゃんは顔を上げようともしないまま、そう言って背を向けようとした。

京子「あ、ちなつちゃん!」

それを、京子ちゃんが引き止める。
私はこんなちなつちゃんを引き止める勇気がなかったから、京子ちゃんがそうしてくれて
少し安堵した。


22:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/19(月) 22:56:11.54 ID:70II73RG0
ちなつ「なんなんですか」

京子「いや、あのさ……あかりが」

あかり「あかりっ!?」

突然名前を出されて驚く。
京子ちゃんはそれを無視して続けた。

京子「どうせ私には何も話してくんないでしょ?でもあかりならなんでも聞いてくれっからさ」

そう言いながら、京子ちゃんはちなつちゃんの肩を掴んで私のところへと
ちなつちゃんの身体を押した。

ちなつ「京子先輩?」

京子「なにかなかったらべつにいいけど、あかりと一緒に帰ったら?」

ちなつ「でもあかりちゃんと方向が」

京子「あかりが送ってくれる」

あかり「えっ!?」


25:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/19(月) 22:57:24.55 ID:70II73RG0
聞いてないよぉ、と言う前に京子ちゃんは「じゃ、また明日」と手を振った。
きっと京子ちゃんなりのちなつちゃんへの気遣い。
でも私のことも少しは考えて欲しい。ちなつちゃんと一緒に帰るのが嫌なわけでは
ないけど、今のちなつちゃんと一緒にいるのは少し辛い。

あかり「あの、ちなつちゃん……」

京子ちゃんが見えなくなって、周りは私たち二人だけ。
黙り込んだちなつちゃんの隣にいるのは私一人で、必然的に自分から話しかけなきゃ
いけないことになる。いつもだったらすらすら言葉が出てくるのに。

ちなつ「……あかりちゃん」

あかり「へっ!?」

ちなつ「ほんとに、一緒に帰ってくれる?」


26:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/19(月) 22:58:34.66 ID:70II73RG0
一瞬迷いながらも、こくこくと頷いた。
一人にしてほしい、と言われなくてほっとする。
けど、一緒にいるのは辛いはずなのに一人にしてほしいと言われるのも嫌なんて、
なんだか矛盾してるよね。

あかり「ちなつちゃんさえ、嫌じゃなきゃ」

ちなつ「そっか」

あかり「うん、そうだよ」

わかった、というようにちなつちゃんがこくっと頷いて、先に立って歩き始める。
私はその後をついていくべきなのかそれとも追いついて隣を歩くべきなのか迷って躊躇い、
それから結局後ろをついていくことにした。


27:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/19(月) 22:59:22.93 ID:70II73RG0
二歩ほど離れ、斜め後ろ。
ちなつちゃんのふさふさした髪の毛が揺れ、綺麗な項が見える。
それを見ながら、ちなつちゃんは本当に可愛いなぁと思った。恋する乙女って
感じだよね。ちなつちゃんの様子なんて忘れて、そんなことを考えて。

ちなつ「……話したくないわけじゃないんだよ」

あかり「えっ、うん」

数分間無言で歩いて、そしてふいにちなつちゃんは口を開いた。
「でも自分でもなんて言えばいいかわからないっていうか」
そう、ちなつちゃんは言って立ち止まる。

ちなつ「ちょっと寄り道してもいいかな?」


28:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/19(月) 23:00:07.54 ID:70II73RG0

ちなつちゃんのいう寄り道は、近くの公園だった。
もう夕暮れ時だからか、人の姿はあまりない。たまにジョギングの人や、犬の散歩を
しにくる人の他、だからひっそりと静かで。

ちなつ「ごめんね」

あかり「ううん、いいよ」

奥のベンチに座りながら、首を振る。
飲み残してしまっていた水筒のお茶を鞄から取り出して、口に含む。
魔法瓶のはずが、朝の頃より少しぬるかった。

ちなつ「京子先輩も意外といいとこあるんだよね」

あかり「京子ちゃんはいい子だよ」

ちなつ「どうだろ……」


29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/19(月) 23:00:52.46 ID:70II73RG0
あかり「結衣ちゃんもいつも京子ちゃんは――」

言いかけて、はっとする。
そういえば結衣ちゃんとは一緒に帰って来てないし、結衣ちゃんと何かあったから
ちなつちゃんは元気なくて、だったら今結衣ちゃんの話題出したら。

あわあわと話題を変えようとしたとき、ちなつちゃんは「私さ」となんの感情も
読み取れない声で。

ちなつ「私さ、結衣先輩に告白したの」

あまりにも突然だったから、間抜けな声で間抜けな顔をして「へ?」と言うことも
出来なかった。
ただぽかんとちなつちゃんを見るだけ。ちなつちゃんはそれにも気付いていないのか、
隣に置いた鞄についているキーホルダーを指で弄びながら続けた。


32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/19(月) 23:03:14.76 ID:70II73RG0
ちなつ「そしたら振られちゃった」

あかり「振られたって……」

だからちなつちゃんはこんなに元気ないのだろうか。
だとしたら私は、あかりはどうすればいいんだろう。

あんなに可愛いちなつちゃんが、こんなに暗い顔をしちゃっているのに、
私は何も出来ずに、何もわからずに、知らないうちにぎゅっとこぶしを握り締めることしかできなかった。

ちなつ「でも、変なんだ、私。全然悲しくないんだよね。悲しくないわけじゃ、ないと思うけど」

ちなつちゃんの手の中にあるキーホルダー。
それが嫌な音をたてた。外れるよ、そう声をかけるまえに、そのキーホルダーと鞄を繋げていた
紐はぷつんと切れた。


35:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/19(月) 23:04:53.50 ID:70II73RG0
ちなつ「私、この前あかりちゃんと話してたときからずっと考えてた」

あかり「うん……」

ちなつ「ほんとに好きなのかな、とか、そんなこと。でも、ちゃんと結衣先輩への
    気持ちを信じたかったから、それなら告白しちゃえばいいって思って」

あかり「だから……?」

ちなつ「うん。でも、だめだったんだよね、わかんないの、悲しいけど悲しくなくって」

こんなふうに感じちゃう自分が一番、悲しいの。

ちなつちゃんはそう言って、居場所をなくしてしまったキーホルダーを
ぐっとそのてのひらの中で握り締めた。

あかり「……」


37:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/19(月) 23:06:09.94 ID:70II73RG0
ちなつ「私ね、ちゃんと結衣先輩のこと好きだったんだよ?ほんとだよ?」

あかり「ちなつちゃん……」

ちなつ「でも私、恋してる自分が好きだったのかなとか、そんなことも思っちゃって」

「よくわかんない」とちなつちゃんはベンチに背中を預けた。
切れた紐がベンチの下に落ちて、見失う。私は「でも」と聞こえるか聞こえないかの声で
言った。聞こえていませんように、とも思って、聞いてくれますように、とも思った。

あかり「ちなつちゃん、ほんとにちゃんと、恋してたよ。あかりにはそう見えたもん」

ちなつ「……」

あかり「あかりはそんなちなつちゃんを見てるのが好きだったんだもん」


38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/19(月) 23:06:55.30 ID:70II73RG0
私はそんなちなつちゃんをずっと見ていたから、だからちなつちゃんの好きは
きっと、違うなんてことはないよ。ちゃんと、恋だったんだよ。

私がこんなこと言ったって説得力なんてなくって、よけいにちなつちゃんを
混乱させてしまうだけなのかもしれないけど。
どうしても、言わずにはいられなかった。

あかり「だから」

ちなつ「……あかりちゃんが言うんだから、そうかもしれないね」

あかり「……うん」


39:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/19(月) 23:07:33.79 ID:70II73RG0
ちなつ「そっかあ、私やっぱり結衣先輩が好きだったんだなあ」

小さく笑いながら、ちなつちゃんは首をかくんと空へ向けた。

あれ、おかしいな。

ちなつちゃんの泣いているところを見るのは今までだってあったのに。
今のちなつちゃんは、なんだかとても、綺麗に見えた。ちなつちゃんが泣いていると
私まで苦しくなってくるのに、そんな姿を、ずっとずっと見ていたいなんてことを
思ってしまった。


40:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/19(月) 23:09:04.05 ID:70II73RG0
―――――
 ―――――

ちなつ「ありがとね、あかりちゃん」

あかり「ううん。すっきりした?」

ちなつ「うん、した」

もうすっかり暗くなってしまった道を、頷きながら振り返る。
ちなつちゃんは腫れぼったい目をしたまま、「こんなに暗いけど大丈夫?」と
心配そうに言った。

あかり「平気だよ」

ちなつ「送る?」

あかり「それじゃああかりが送った意味ないよぉ」

ちなつ「あ、それもそうか」


41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/19(月) 23:09:54.54 ID:70II73RG0
ぽんっと手を叩いたちなつちゃんに、もう一度平気だよと伝える。

そっかと言いながらも、やっぱり結局ちなつちゃんは不安げに、
「そこの道まで一緒に行くよ」と言ってくれた。そのちなつちゃんの様子が、
何か言いたそうな気がして私ももう何も言わなかった。

ちなつ「変なとこ見せちゃったなあ」

あかり「大丈夫だよぉ」

ちなつ「やな子だとか、変な子だとか、思った?」

あかり「ううん、そんなこと思ってない」

ちなつ「じゃあ……ちゃんと明日からも友達でいてくれる?」


42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/19(月) 23:11:12.28 ID:70II73RG0
「そこの道」の突き当たり。角を曲がればもっと暗い道に繋がっている。
一人で帰るには少し心細い。
私は「当たり前だよ」そう言って笑った。

ちなつ「……そっか」

あかり「あかりとちなつちゃんは、一番のお友達だもん」

ちなつ「……うん、ありがと」

ようやく、ちなつちゃんは安堵の表情を浮かべてくれた。
そうだよ、私たちは一番のお友達。
ちなつちゃんが辛い時、悲しい時、ずっと一緒にいるよ。一緒にいたいよ。


43:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/19(月) 23:12:07.72 ID:70II73RG0


ちなつちゃんは滅多に結衣ちゃんに近付かなくなった。
それでもちゃんと話す時は話すし、結衣ちゃんもやっぱり優しいまま。
そのことでまたちなつちゃんが落ち込んでないかとか不安になったりしてしまうけど、
今のところは大丈夫らしい。

京子「……ちなつちゃん、ちょっと変わった?」

あかり「うん……」

お茶を汲みにいったちなつちゃんの背中を追いかけながら、京子ちゃんがぽつりと
言う。宿題をしていた結衣ちゃんが、一瞬だけその手を止めたのを京子ちゃんは
見逃さない。


44:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/19(月) 23:12:47.58 ID:70II73RG0
京子「やっぱなんかあったな」

結衣「なんもない」

京子「だってさ、なんかちなつちゃん、違うもん!こう、パーッとしない!」

その言葉に、少しドキッとした。
確かに結衣ちゃんを好きだと言っていたときのちなつちゃんはすごく可愛くて。
私はそんなちなつちゃんを眺めているのが楽しかった。

今のちなつちゃんは、少し違う。
いつものちなつちゃんなのに、京子ちゃんの言葉を借りれば「パーッ」としていなくて
それなのにやっぱり私は目が離せない。


45:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/19(月) 23:14:31.62 ID:70II73RG0
京子「なんか前は落としてやる!って感じだったのにさ、守りたくなるっていうか」

結衣「……あっそ」

パタンと結衣ちゃんは広げていたノートと教科書を閉じた。
その様子は少し怒ってるようにも見えて。

ちなつ「あのー、お茶が入りました」

空気が少し重くなった。
そのとき、ちなつちゃんがそろそろと四人分のお茶を持って顔を覗かせた。
私は慌てて立ち上がって、「あかりも持つよ!」と手を差し出す。


46:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/19(月) 23:15:35.68 ID:70II73RG0
ちなつ「えー、大丈夫だって」

あかり「ううん、あかりも手伝う!」

ちなつ「そ、そう?」

今の会話の余韻なのか、少し後ろめたい気分になって私は半ば無理矢理ちなつちゃんから
お盆を受取る。

結衣ちゃんは宿題を鞄にしまいながら、「ありがと」と、たぶんちなつちゃんに向けて
そう言った。ちなつちゃんは「はいっ」ととびっきり嬉しそうに頷いた。

京子「……」

京子ちゃんがわざとらしく溜息を吐いたのがわかった。
ちなつちゃんはたぶん、無理してるわけじゃないと思う。けどどこか危なっかしい。
そんな気がして、やっぱり少し心配で。


47:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/19(月) 23:16:33.93 ID:70II73RG0
あかり「ねえ、ちなつちゃん」

ちなつ「ん?」

それぞれの座っている前にお茶を置いていきながら、私はさりげない口調で
呼びかけた。ちなつちゃんはいつもの席に座りかけたまま、私を見る。
嘘をつくのは苦手。けど、今はなんだかちなつちゃんのために嘘をつかなきゃ
いけない気がした。

あかり「あのね、今教室に忘れ物したこと思い出して。一緒に着いて来てくれないかなぁって」

結衣「あかりが?珍しいね」

結衣ちゃんが言葉通りの顔をして私を見た。京子ちゃんも「いってらー」と
ぱたぱた手を振る。ちなつちゃんだけはきょとんと一瞬固まって。
「うん、いいけど……」と頷いてくれた。


48:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/19(月) 23:17:32.74 ID:70II73RG0
―――――
 ―――――

ちなつ「あかりちゃん、絶対嘘つくの下手なタイプだよね」

あかり「えっ」

部室を出て、二人で歩きながらちなつちゃんがぽつりと言った。
確かにすぐに顔に出しちゃうタイプかもしれないけど。

ちなつ「でも、もしかして私もそうだった?」

廊下の突き当たり、階段を軽い足取りで上り始めながら、ちなつちゃんが言った。
私はここで何がと言っても仕方ないことを悟って、「うん」と頷いた。
「そっかー」
ちなつちゃんが「私も嘘つけないのかー」呟いた。


50:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/19(月) 23:19:16.86 ID:70II73RG0
あかり「聞いてたよね」

ちなつ「ていうか聞こえてた」

わざと京子先輩、あんなこと言ったんじゃないかな。
ちなつちゃんは階段を上り終わると、踊り場で私を待ちながらそう言った。
「わざと?」と首を傾げる。ちなつちゃんはそれには答えなかった。

ちなつ「今の私、全然可愛くないよね」

あかり「そんなことはないよ」

ちなつ「でもパーッとしない、でしょ?」


51:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/19(月) 23:20:21.45 ID:70II73RG0
私は何も言えずに階段の手すりをぎゅっと掴んだ。
あと三段、あと二段――。
階段を上る足が、突然重くなる。

ちなつ「結衣先輩に振られちゃってからね、私でもそう思うんだ」

あかり「……」

ちなつ「今までの私もね、好きな人がいたから、あんなに楽しくてあんなにわくわくしてたのかなって」

それがほんとの気持ちじゃなかったとしても。
ちなつちゃんはぽつりと付け足す。

ちなつ「ねえ、あかりちゃん」

あかり「……なに?」


53:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/19(月) 23:22:34.48 ID:70II73RG0
ちなつ「私、好きな人作るね」



「ちょっと頑張っちゃう」とちなつちゃんは笑って、まだ追いつかない私を
置いてまた先に階段を上って行ってしまう。ほんとは教室に用なんかないのに。
私はいいのかな、と思った。思ったけど、口には出せなかった。


54:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/19(月) 23:23:29.89 ID:70II73RG0

ちなつ「京子先輩、おはようございますっ」

京子「えっ、なに急に?」

翌日の朝のこと。いつもの待ち合わせ場所に急いでいると、
ちなつちゃんが以前結衣ちゃんにしていたように、京子ちゃんに思い切り抱きついているのが
見えた。さすがの京子ちゃんでも戸惑っているみたいだ。思わず立ち止まってその様子を
見ていると、後ろからやってきた結衣ちゃんが同じように呆然と立ち尽くした。

結衣「……何があったの」

おはようの挨拶も抜きに、結衣ちゃんが呟いた。
私も「わかんないよぉ……」と首を振る。
本当は、わかっているような気もするけれど。

ちなつちゃんの作った好きな人は、きっと京子ちゃんなのだ。


55:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/19(月) 23:24:09.96 ID:70II73RG0
あかり「……」

結衣「……でもちなつちゃん、元気そうで良かった」

あかり「え?」

ぽつりと漏らされた結衣ちゃんの声に、私はそっと結衣ちゃんの表情を窺った。
視線は、少し前で京子ちゃんに抱きつきまわるちなつちゃんに向けられているのか、
それとも普段とは逆にちなつちゃんから逃げ回る京子ちゃんに向けられているのかは
わからないけど。

結衣「ちょっとさ、心配してた。京子じゃないけど、最近のちなつちゃん、なんか
   いつもと違う感じだったからさ」


56:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/19(月) 23:25:08.79 ID:70II73RG0
あかり「……それって、ちなつちゃんを振っちゃったから?」

結衣「……ちなつちゃんから聞いたの?」

あかり「うん……」

頷くと、結衣ちゃんは「そっか」と言って気まずそうに目を伏せた。
結衣ちゃんが悪いわけじゃない。だけど私は、そう結衣ちゃんに声をかけることが
できなかった。

ちなつちゃんの「京子先輩、どうして逃げるんですか!」という声を聞きながら、私は
結衣ちゃんに目を向けた。

あかり「ちなつちゃんじゃ、だめだったの?」


57:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/19(月) 23:26:29.98 ID:70II73RG0
結衣「……だめだったわけじゃないと思う」

ちなつちゃんだから、だめだったわけじゃないんだ。

静かに、結衣ちゃんはそう言った。
結衣ちゃんは他に、好きな人がいるのだと、それだけでなんとなくわかってしまった。
もしかすると、あの日、ちなつちゃんがあんなふうに揺らいでいたのは、こんな結衣ちゃんのことを
知ってしまったからじゃないのだろうか。


58:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/19(月) 23:27:45.99 ID:70II73RG0
――――― ――

ちなつ「あかりちゃん、京子先輩の好きなものってなに!」

どんっと机を叩かれて、私はぴくっとちなつちゃんを見上げた。
ちなつちゃんはきらきらとした瞳で私の返答を待っている。

あかり「え、えっと……やっぱりラムレーズンじゃないかな」

ちなつ「じゃあやっぱり放課後買いに行かなきゃじゃない!」

あかり「買いに行くの!?」

ちなつ「うん、買いに行くよ!」

そう言いながら、ちなつちゃんはじっと時計を見上げ「お金はあるし……」と
なにやら考え始める。
そんなちなつちゃんは、結衣ちゃんのことが好きだと言っていたときのちなつちゃんと
かぶって見えたけど。かぶって見えただけで、「パーッとしているか」と言われれば
答えはNOだと思う。だからと言って今のちなつちゃんにそんなことも言えず、私は言葉少なに
ちなつちゃんから目を逸らして始業のチャイムを待っていた。


59:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/19(月) 23:28:55.20 ID:70II73RG0
―――――
 ―――――

京子「なあ、あかり。ちなつちゃんどうしちゃったのさ?」

放課後の終わりのチャイムが鳴って、ずっとべったりくっついていたちなつちゃんが
ようやく離れてほっとしたように京子ちゃんが私にこそっと囁いてきた。
「そ、それはねぇ」と答えに詰まっていると、流しに立っているちなつちゃんに背を向けながら
結衣ちゃんが声を挟んできた。

結衣「京子のことが好きなんじゃないの」

京子「えぇっ、そうなのか!?ちなつちゃんがついに私を!……って、そんなわけないし!」

結衣「自分でわかってんだ……」


60:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/19(月) 23:30:19.66 ID:70II73RG0
京子ちゃんは「そりゃそうだ!」と不服そうにぶんぶんと頷く。
たった一晩で変わるはずなんてないじゃん。「そりゃ嬉しいのは嬉しいけどさ」と
付け足しながら、京子ちゃんが言う。

京子「なんか物足りない!」

結衣ちゃんがよくわからないというように溜息をついた。
けれど私には京子ちゃんの言いたいことがわかるような気がして、「うん……」と頷いた。
昨日言っていたことと矛盾しないか、と結衣ちゃんはそう言うけれど。

京子「そうなんだけどさ!なんか、こう……無理してる感じ!」

そうだ、と思った。
今日一日、ちなつちゃんはずっと京子先輩京子先輩って言っていた。けれどやっぱり、
いつものちなつちゃんであっていつものちなつちゃんではなかったのだ。
ほんのちょっとの違いだけなのに。ちなつちゃんがそれでいいなら、あかりだってそれでいいとも
思うけれど。


61:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/19(月) 23:32:04.33 ID:70II73RG0
結衣「……ちなつちゃんに元気になってほしくないのかほしいのか、どっちだよ」

京子「そんなの」

あかり「そんなのもちろん、元気になってほしいよ!」

いつものちなつちゃんに戻って欲しい。
だけど。
京子ちゃんの声を遮って私が言うと、結衣ちゃんは険しかった顔をふっとゆるめて
「うん、そうだよねごめん」と小さな声で。

京子「今日の結衣、なんか変」

帰りの用意を始めた結衣ちゃんを見て、京子ちゃんはまたこっそりと私に囁いてきた。


63:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/19(月) 23:33:52.37 ID:70II73RG0

ちなつ「はーあ、なんか今日は肩凝っちゃった」

あかり「えへへ、今日はお茶汲みとかいっぱいしてたもんね」

ちなつ「だって京子先輩がお茶ばっか飲むからさあ」

そう言いながら、ちなつちゃんは深々と息を吐いて恨めしげに前を歩く京子ちゃんを見た。
不機嫌そうな結衣ちゃんを、京子ちゃんは必死にフォローしているみたいだった。

ちなつ「……」

あかり「……」

ちなつ「意外だよね」

ふいに、ちなつちゃんはそうぽつりと呟いた。
「え?」とちなつちゃんを見ると、ちなつちゃんはきっと、結衣ちゃんの背中を追いかけながら。


64:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/19(月) 23:35:07.19 ID:70II73RG0
ちなつ「結衣先輩、あんなふうに京子先輩のこと困らせるんだなって」

あかり「……そうかな」

ちなつ「少なくとも、私は初めて知ったよ」

全部知ってたつもりで、私って全然結衣先輩のこと知らなかったんだよね。
ちなつちゃんはそう言って、苦笑を漏らした。

ちなつ「バカみたい」

あかり「……ちなつちゃん」

ちなつ「だからね、今度はちゃんと、京子先輩のこと知ろうと思うんだ」

一瞬落ち込んだみたいに目を伏せながら、ちなつちゃんはすぐに視線を上げて私を見た。
「えっ」と言う間もなく、ちなつちゃんが私の近くまで迫ってきていた。


66:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/19(月) 23:37:02.56 ID:70II73RG0
ちなつ「あかりちゃんも、協力してくれるよね」

私はつい勢いで頷きかけて。
「……」黙り込んでしまった。

ちなつ「どうしたの、あかりちゃん」

あかり「……あかりは」

『作るものじゃないんだよね、好きな人なんて』
そう言っていたのは、他でもないちなつちゃんだ。

そんなすぐに、それこそ一晩で作れるものなんかじゃない。
それに、京子ちゃんだって言っていた。今のちなつちゃんはただ無理しているみたいで、
ずっと見ていたいとは思えない。

あかりは、ちなつちゃんが辛い時、悲しい時、ずっと一緒にいるよ。一緒にいたいよ。
いたいからこそ、だから今は、ちなつちゃんに協力するわけにはいかない。


68:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/19(月) 23:40:29.95 ID:70II73RG0
あかり「……協力できないよ」

ちなつ「なんで?」

一瞬困惑したような顔をして、すぐに平静を取り戻したようにちなつちゃんは言った。
私は「どうしても」と答える。

あかり「だって、やっぱり、違うもん……」

ちなつ「……違うって、なにが」

いつのまにか立ち止まってしまっていた私たちを、京子ちゃんたちが「おーい、なにしてんのー?」と
待っている。それを無視しながら、私は「今のちなつちゃん、全然楽しそうじゃないんだもん!」

ちなつ「……そんなこと、ない」

あかり「そんなことあるよ!あかりはちなつちゃんの一番のお友達なんだもん!それくらい、わかるよ!」

ちなつ「……なによそれ」

あかり「だからあかりは」


69:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/19(月) 23:42:07.60 ID:70II73RG0




ちなつ「そんな友達、いらない!」


72:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/19(月) 23:45:36.06 ID:70II73RG0
へ、と間抜けな声が出た。ちなつちゃんはひんやり濡れた瞳でじっと、私を見ていた。
思わず一歩後ろへ退がる。

ちなつ「応援してくれないなら、そんなの友達じゃない!」

ちなつちゃん、と呼び止めることも出来なかった。
ちなつちゃんは言い終えるなり、すぐに後悔したような顔をし、すがるような視線を私に向けて
小さな声でなにか言ったあと、「帰る」と一言、私のすぐ隣をぱっと走り去って行ってしまった。

あかり「……ちなつちゃん」

「ちょ、ちなつちゃん!?」と驚いたような京子ちゃんの声が背後から聞こえてきた。
私はただ、ぼんやりそこに突っ立っていた。

そんな友達、いらない!

ちなつちゃんの声がひりひりと頭に焼きついて、痛かった。


73:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/19(月) 23:49:44.31 ID:70II73RG0
結衣「なにかあったの?」

私のところへ駆け寄ってきた結衣ちゃんが少し心配そうな顔をして訊ねてきた。
ちらりと私たちを見ている京子ちゃんもひどく気にしているみたいだから、きっと結衣ちゃんが
京子ちゃんに来ないよう言ったのだろう、私は「ううん」と首を振った。

あかり「……ただ、あかり、いつものちなつちゃんに戻って欲しかったから」

結衣「京子のこと追いかけて欲しくないから、とかじゃなくって?」

あかり「え?」

きょとんと首を傾げると、結衣ちゃんは「ごめん」とふいにそう言って。
私はますます何のことかわからずに「なんで?」と訊ねた。

結衣「……私、昨日から自分のこと考えてばっかだなって」

あかり「……結衣ちゃん?」

結衣「京子のこと追いかけ始めたちなつちゃん見てたりすると、だんだん不安になってきちゃってさ」


74:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/19(月) 23:50:19.88 ID:70II73RG0
「ごめん」と結衣ちゃんはもう一度そう言って苦笑を漏らした。
あかりがちゃんと、ちなつちゃんのこと考えてくれてるから安心しちゃってたのかな。

結衣「あかり。昨日、私、だめだったわけじゃないって言ったよね」

あかり「うん……」

結衣「たぶん、私がちなつちゃんじゃだめだったわけだけじゃなくって、ちなつちゃんも私じゃだめだったと思うから」

結衣ちゃんはそう言いながら、ぽんっと私の頭に手を乗せた。
背、伸びたねと結衣ちゃんが笑う。その笑顔を見て、結衣ちゃんはちなつちゃんの気持ちの揺れを、
全部知ってたんじゃないかと思った。

結衣「しっかりちなつちゃんのことを考えてくれる子のほうが、ちなつちゃんには合ってると思うよ」


75:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/19(月) 23:51:04.81 ID:70II73RG0
―――――
 ―――――

あかり「……平気だよ」

母親「そう……?お腹減ったらすぐになにか作るからね」

あかり「うん……ありがとぉ」

お母さんが部屋を出て行って、暗い部屋に一人残される。
食欲がないと、初めて晩ご飯をいらないと言ってしまった。そのことに少し胸が痛くなる。
私はベッドに横たわって、深く息をつき、それからそっと、止めてみた。

あかり「……嫌われちゃったかなぁ」

ちなつちゃんのためだと思って、協力できないと言ってしまったけれど。
きっとちなつちゃんは、私のことを本当に信頼してくれていたのだ。
その信頼に、私は答えるべきだったのかもしれない。


76:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/19(月) 23:51:47.58 ID:70II73RG0
それに――

『あかりがちゃんと、ちなつちゃんのこと考えてくれてるから』

結衣ちゃんもそう言っていて、自分自身がちなつちゃんのためだと思っていたものの、
本当のところはきっと、あかりのため。
あかりが、無理をしているちなつちゃんのことを見たくなかったから。
ちなつちゃんにとっては、無理をしたほうが良かったのかもしれない。それでも私は。
そうしていつのまにか、思考がループして止まらない。

あかり「……」

結局どこに辿り着くのかもわからないまま眠りかけたとき、ふと壁が震えた。
吊ってある制服のポケットに入っている携帯が壁伝いに鳴っているらしかった。
とてもじゃないけれど気になってしまい、とらないわけにはいかない。


77:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/19(月) 23:52:21.28 ID:70II73RG0
あかり「はい、もしもし」

誰からの電話かも確認せずに、通話ボタンを押して電話に出る。
なんの音もしなかった。
切れたわけではなく、どうやらメールだったらしいことに気付いたのはしばらく
携帯をぼんやり耳にくっつけてからだった。

マナーモードにしてあったままだったから、メールか電話か区別もつかず、勝手に
電話だと思い込んでしまっていた。

それとももしかすると、ちなつちゃんからの電話を無意識のうちに待っていたのかも
しれない。


78:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/19(月) 23:54:22.66 ID:70II73RG0
あかり「……」

ほんのり熱くなった携帯画面を見詰めた。
暗い部屋の中、少し眩しい。
電話ではなかったけれど、ちなつちゃんからのメール。

あかり「……何も書いてないよぉ」

つい笑ってしまった。きっと安堵のために。
何も文字のない、空メール。それでも、ちなつちゃんがこんなメールを送ってきたのは
私のことを嫌いになんてなっていない証拠だと、そう思いたかった。

それから私は、やっぱりちなつちゃんと一緒にいたいと。
いたいから、それくらいちなつちゃんのことが大切だから、私はちなつちゃんに本当の
笑顔を見せて欲しい。そう思って。


80:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/19(月) 23:54:58.92 ID:70II73RG0

ちなつ「あかりちゃん、その……」

翌朝、いつもの待ち合わせ場所。
私の顔を見るなり何か言いたそうにしたちなつちゃんに、私は「おはよう」で返した。
するとちなつちゃんはほっとしたような顔になり、私から視線を逸らすとこくっと頷いた。
気まずそうにちなつちゃんが身動ぎしたとき、「おはよー」とのんびりした京子ちゃんの声がして。

ちなつ「あっ……」

あかり「結衣ちゃん、京子ちゃん、おはよう!」

私はちなつちゃんが何か言う前に、ちなつちゃんと京子ちゃんたちの間を阻むように立ちながら
朝の挨拶。


81:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/19(月) 23:55:40.56 ID:70II73RG0
結衣「お、おはよう……」

京子「どうしたんだあかり……!?」

あかり「え、えへへ、朝は元気に挨拶しなきゃね!」

無理があるとは思ったけど、とりあえずそう言ってお茶を濁しておく。
京子ちゃんは「ふーん」と首を傾げたが、結衣ちゃんはなんとなく察したように私とちなつちゃんの
二人を見比べて。

ちなつちゃんが「ちょ、ちょっとあかりちゃん」と私の背中から顔を覗かせる。

あかり「ほ、ほら学校行こうよみんな!」

私はそんなちなつちゃんの手を引いて歩き始めた。「あかりちゃんってば」と私に追いついたちなつちゃんが、
「なんなのよ」というふうに私を見る。なんだあかりのやつ、と京子ちゃんの声が聞こえて、私は繋いだちなつちゃんの手を
より強く握った。振り払われてしまわないように。


82:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/19(月) 23:56:26.15 ID:70II73RG0
ちなつ「あかりちゃん!」

あかり「離さないよ」

ちなつ「え?」

あかり「京子ちゃんのとこ、行かせないもん」

京子ちゃんのとこにも、結衣ちゃんのとこにも行かせない。
昨日の夜、うとうととした頭の中で考え出したあかりなりの結論。

ちなつ「……あかりちゃん」

あかりはちなつちゃんに協力できない。
どうすればちなつちゃんが前みたいなパーッとしてるちなつちゃんに戻ってくれるかはわからないけれど、
それでも好きな人を作って無理に笑うのは違うと思うから。

私にはまだ、好きっていう気持ちはわからない。だけどそれだけは、はっきりと言えるのだ。


84:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/19(月) 23:57:02.42 ID:70II73RG0
―――――
 ―――――

「あかりちゃんはどうしてそこまで私の邪魔しようとするのよ」
昼休み、また京子ちゃんのところに行こうとしたちなつちゃんを止めた私に、ちなつちゃんは
ついに苛立ったような声でそう言った。

あかり「えっと……」

ちなつちゃんを京子ちゃんに近付かせなくなってから、数日が経っていた。
私は返答に詰まり、視線を逸らす。

ちなつ「……もう」

そんな私を見て、ちなつちゃんは小さく息を吐いた。
どうやら、怒っているわけではないみたいだった。ちなつちゃんは上げかけていた腰をきちんと椅子に下ろすと、
「わかんないよ」と呟くように言った。


85:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/19(月) 23:58:44.85 ID:70II73RG0
あかり「え?」

ちなつ「あかりちゃん、私のことで必死になりすぎ」

ざわざわとした昼休みの喧騒。
私の「だって」という声は、その喧騒にかき消されてしまった。

だって、あかりはちなつちゃんの大切なお友達で。
『しっかりちなつちゃんのことを考えてくれる子のほうが、ちなつちゃんには合ってると思うよ』
けれど、そんな結衣ちゃんの声が私の思考を上塗りしていく。

ちなつちゃんの言う通り、確かに私はちなつちゃんのことに必死になっていて。
ここ最近の私はちなつちゃんのことしか考えていないくらいで。

ちなつ「……なんでなのよ」

あかり「……だって、あかりは」


86:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/19(月) 23:59:24.73 ID:70II73RG0
あかりは、ちなつちゃんと一緒にいたいから。
前みたいなちなつちゃんに戻って欲しいから。
ちなつちゃんの笑顔を見たいから。

『最近のちなつちゃん、あかりに邪魔されまくってるせいかすごい前みたいに生き生きするようになったよなあ』

つい昨日、聞いたばかりの京子ちゃんの言葉。
その言葉通り、ちなつちゃんはちゃんと笑ってくれるようになったし、京子ちゃんの言葉を借りるならパーッとしてて
すごく可愛くて。

それなのに、どうしてかあかりとちなつちゃんの距離はだんだん離れていってしまっているみたいだった。
ずっと傍にいるはずなのに。

あかり「……なんでなのかな」

そう言って笑ってみせると、ちなつちゃんは「なにそれ」と呆れたような顔をして
そのまま私から視線を逸らした。


87:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/20(火) 00:00:16.07 ID:mwmcnrIq0
―――――
 ―――――

「あかりちゃんは恋したことある?」

ふと、ちなつちゃんの言葉を思い出したのはその日の夜だった。
私はうとうとしながらも眠れなくて重い身体を起こすと、ふるふると頭を振った。
好きな人はいっぱいいる。でも、その気持ちが恋愛感情なのかどうかと聞かれれば、
途端にわからなくなった。

みんなのことが大好き。
でもその好きはきっと、恋愛感情としての好きじゃない。あかりは。

――プルルルル。
その時、階下の電話が鳴ったのが聞こえた。


88:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/20(火) 00:01:05.88 ID:mwmcnrIq0


ちなつ「……急にごめんね」

あかり「……ううん」

お母さんやお父さん、お姉ちゃんがもうすっかり寝静まってしまっていて良かった。
家を出るときバレないかとひやひやもしたけれど、大丈夫みたいだ。
私はほっとしながら、ちなつちゃんの座る隣に腰掛けた。

ちなつ「携帯、持って来るの忘れちゃって、あかりちゃんの家の番号しか思い出せなくって」

お母さんとか大丈夫だった?こんな時間にかけちゃってと心配そうに訊ねるちなつちゃんに、
私は「みんな寝ちゃってたから大丈夫だよぉ」と笑う。

ちなつ「えっ。あ、あかりちゃんのお家って早寝早起きなんだね……」

あかり「そうかなぁ」

ちなつ「……でも、そしたらあかりちゃんも起こしちゃった?」

あかり「ううん、ちょうどあかりも寝れなかったから」

ちなつちゃんはそっか、とほっとしたように息を吐いた。


90:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/20(火) 00:03:26.36 ID:mwmcnrIq0
なんだかこんな時間に二人で公園にいるなんて、少しオトナになった気分。

そうちなつちゃんにも言ってみると、ちなつちゃんは「そうかな」と苦い笑いを
漏らしていたけど。

急いで適当な服に着替えて出てきたから、少し肌寒かった。そっと腕をさすっていると、
しばらく黙っていたちなつちゃんが「会いたくなって」と。

あかり「え?」

ちなつ「急に、あかりちゃんに会いたくなって」

だから、とちなつちゃんは俯いた。
その横顔を、私は自分でも気付かないうちにじっと見詰めていた。
月と外灯の灯りに照らされたちなつちゃんの横顔は、いつか見たそれに重なって見えた。

あかり「……そうなんだ」

ちなつ「……うん」


91:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/20(火) 00:04:25.57 ID:mwmcnrIq0
ちなつちゃんはそう頷きながら、「あのね」と。
こっちを向いたちなつちゃんとぱっと目が合いそうになって、私はなんだか突然、
落ち着かなくなりぱっと視線を逸らした。

ちなつ「前にあかりちゃん、私はちゃんと結衣先輩のこと好きだったんだって言ってくれたよね」

あかり「……うん」

ちなつ「結衣先輩に告白したとき、私、ほんとはちゃんと結衣先輩のこと好きだって言えなかったの」

あかり「……え?」

思わずぱっと視線を上げた。
ちなつちゃんと、目が合ってしまう。けれどもう、私はその視線を逸らすことができなかった。

ちなつ「最初に好きなんですって、そう言ったとき、結衣先輩に『ほんとに?』って聞かれちゃって」

それからなにも言えなくなっちゃった。
それでさ、無理に京子先輩を好きになろうとしたりして。
私ってほんと、どうしようもないよね。

そう言ってちなつちゃんは、自分を慰めるみたいに小さく笑いを漏らして。


93:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/20(火) 00:05:15.48 ID:mwmcnrIq0
あかり「……ちなつちゃん」

ちなつ「だから、あかりちゃんがちゃんとだめだよって止めてくれてよかった」

これ以上、私自身の気持ち、汚れなくってよかった。

私は、そう言って今度はちゃんと笑ったちなつちゃんの笑顔を、ぼんやり見詰めるしかなかった。
好きかどうかわからないと言って泣いていたあの日のちなつちゃんのように、今のちなつちゃんの笑顔は
あまりにも綺麗だったから。

ちなつ「あかりちゃん、私」


――明日、ちゃんと結衣先輩への気持ちにケリつけてくるよ。


94:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/20(火) 00:09:01.07 ID:mwmcnrIq0
―――――
 ―――――

ちなつ「結衣先輩!」

結衣「えっ、ちなつちゃん?」

ちなつ「少しだけ、私の話聞いてください」

次の日の放課後、ちなつちゃんは昨日の言葉通りあまりにも颯爽と結衣ちゃんにそう言った。
二人を見送った京子ちゃんが、少しだけ寂しそうに「やっぱり私のモテ期到来ってわけじゃなかったか」と
笑った。私はそれに笑い返すことすらできなかった。

なんだかひどく、胸の辺りが苦しくて。

ちなつちゃんの気持ちがちゃんと定まって、それが真直ぐに結衣ちゃんに向かって。
ああ、だからちなつちゃんはまたあんなふうに可愛く笑っていたんだ。


96:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/20(火) 00:10:04.77 ID:mwmcnrIq0
だとしたら、私はすごく嬉しいはずなのに。嬉しくなんてないはずないのに。
喜ばなきゃ、いけないのに。応援しなきゃ、いけないのに。

結衣ちゃんに他に好きな人がいるとしても、それでもちなつちゃんならもしかして。
そう思っている私とは裏腹に、振られちゃってもいいんじゃないかなぁなんて考えている自分もいて
愕然とする。

自分の中で、もやもやと薄暗い霧が広がっていくみたいだった。

京子「あかり、結衣たちが戻ってくるまでなにするー?」

のんびりとした京子ちゃんの声に、私は「ごめんね」と傍にあった鞄を手繰り寄せた。


98:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/20(火) 00:12:23.17 ID:mwmcnrIq0


「あかりちゃん!」

そんな声が聞こえ、私の手を引いて無理矢理振り向かせたのは紛れもなくちなつちゃんで。
私は情けないくらいに泣きそうな顔をしていたと思う。

あかり「ちなつちゃん……?」

ちなつ「……京子先輩が帰っちゃったっていうから、慌てて、追いかけてきて」

確かに、ちなつちゃんは走ってきたのか息が荒かった。
私は「ごめん」と小さな声で謝った。ずっとちなつちゃんと結衣ちゃんのことを考えていて、
ぼんやりしすぎてしまっていたらしい。

ちなつ「ううん、いいけど……」

あかり「……でも、ちなつちゃん、どうしたの?なんで」

ちなつ「……結衣先輩にちゃんと振られてきたから」

小さく笑って、ちなつちゃんはようやく落ち着いたみたいにはあ、と小さい溜息。
私は「そうなんだ」とそっと目を逸らした。身体の奥がしんと冷えていくみたい。


99:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/20(火) 00:13:36.03 ID:mwmcnrIq0
ちなつ「結衣先輩にね、京子先輩は中々難しいですよって言ったら笑ってくれたの」

あかり「……うん」

ちなつ「良かった」

ちなつちゃんは、泣いていなかった。最初に振られた日のように、悲痛そうな顔も
戸惑ったような顔もしていなくて。
ひどくすっきりしたような顔をして、私を見ていた。

あかり「……ちなつちゃん?」

ちなつ「……あかりちゃん、私のことで必死になりすぎ」

昨日聞いた言葉を、ちなつちゃんは繰り返した。
それならどうして、私を追いかけてきてくれたの。
私はそう言い掛けて。


100:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/20(火) 00:14:13.81 ID:mwmcnrIq0


ちなつ「ほんとの好き、見つけちゃったから」



そう言って、ちなつちゃんは控えめに、私の手を握ってきた。
その目があまりにも真剣で、震えていて、だから私はちなつちゃんの言いたいことがわかった気がした。
そして、あかりの心を占めていたもやもやの正体も。

あかり「……あかりも」


102:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/20(火) 00:14:39.87 ID:mwmcnrIq0





あかりも、ほんとの好き、見つけたよ。

終わり


103:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/20(火) 00:15:03.78 ID:MLklVxU30
乙!
ちなあかは最高だな


104:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/20(火) 00:15:15.22 ID:mwmcnrIq0
一生懸命な人に惚れちゃうのって当たり前だよね
ちなあかは幸せになれ微妙な終わり方ですみません
最後まで見てくださった方ありがとうございました

それではまた


105:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/20(火) 00:16:17.86 ID:/cORsWNb0
乙!良かった


106:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/20(火) 00:16:43.98 ID:9YoJfyEzP

くそ寒い冬にふさわしいちょっとあったかくなるいいお話だった。


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