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友「先輩と付き合ってるって言ってなかったっけ?」女「……うん」
- 1 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/31(土) 02:50:08.06 ID:KMJFxDFpo
- 友「ならどうして、ここにいるわけ?」
女「……?」
友「いや、なんでこっちがおかしいみたいになってんの」
女「……いつも一緒に、食べてる」
友「いやまぁ、そうだけどさ……普通は付き合い始めって言ったらこう」
『先輩、あーん』『うん、おいしいよ。ありがとう』『キャッキャッ』
友「とかやるのが定番なんじゃ?」
女「……」
友「……」
女「……きゃっきゃっ」
友「悪かった、結構くるものがあるからやめてくれ」
- 2 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/31(土) 02:53:25.46 ID:KMJFxDFpo
- 女「……そういうもの、なのかな」
友「そういうもんなんじゃないかね」
友(よく知らんけど……)
女「……明日から頑張って、みる」
友「おう、その調子その調子」
女「……ありがと、ね」
友「いや、感謝されるほどの事は言ってないって」
女「……そう?」
友「そうそう」
女「……」
友(こんな調子で大丈夫なのかね……いや、それは言うまい) - 3 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/31(土) 03:06:50.01 ID:KMJFxDFpo
- 女「……先輩」
先輩「ん、どうかしましたか?」
女「……あーん」
先輩「あーん……?」
女「……」
先輩「……」
友「……オイ」
女「……?」
友「口を開けさせておいて、何をボーッと見てるんだ」
女「……どれをあげたらいいかなって、思って」
友「んなもんどれでもいいんだよ!」
女「……どれでも……どれ、でも……?」
友「……」 - 4 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/31(土) 03:18:11.60 ID:KMJFxDFpo
- 先輩「……ぷっ、あははっ」
女「……せん、ぱい?」
先輩「おっと、失礼……あなた達の漫才が面白くて、つい」
友(この人、こんな感じで笑うんだな……)
先輩「改めて、いただいてもよろしいですか?」
女「……あ、えと」
先輩「その卵焼き、おいしそうですね」
女「……どうぞ」
先輩「もぐもぐ……うん、おいしい」
先輩「それでは、こちらからも……はい、あーん」
女「……?」
女「……あーん……ぱく」
先輩「どうですか?購買のカレーパンは」
女「もむもむ……おいしい、です」
女「……んぐ」 - 5 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/31(土) 03:23:46.93 ID:KMJFxDFpo
- 女「……もう一口、いいですか?」
先輩「ふふ、もう一口と言わず全部どうぞ」
女「……そんな、悪いです」
先輩「それでは、もう二口ほどそちらのお弁当をいただいても?」
女「……もう二口と言わず、どうぞ」
先輩「それは少し私が得をし過ぎではないでしょうか?」
女「……元からその、つもりで」
先輩「後日お礼を考えておきます、楽しみにしておいてください」
女「……?」
友(……高校に上がってすぐに『恋がしてみたい』なんて突然言うからどうなるかと思ってたが)
友(心配することなんて全くなかったみたいだな)
友(……こうなる事は分かりきってたことだろ、何を今さらざわざわしてるんだ) - 6 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/31(土) 03:27:44.01 ID:KMJFxDFpo
- 女「……」
クイ クイ
友「ん、どした」
女「……だい、じょうぶ?」
友「大丈夫って……何が」
女「……顔色、よくない」
友「気のせいだっての」
女「……カレーパン、食べる?」
友「別に腹が減ってるわけじゃ……」
友「……貰うよ、ありがとう」
女「……にこ」
友「先輩、いただきます」
先輩「それは差し上げたものですので。どうぞどうぞ」
友(……うめぇ) - 17 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/01(日) 01:57:59.28 ID:IQMUorgBo
- 友(あー、疲れた……補欠なんだから、ここまで走らせんでも……)
友「……ん?」
女「……」
友「帰宅部がなにしてんだ、こんな所で」
女「……先輩を、待ってる」
友「……あぁ、生徒会だっけか」
女「……コク」
友(こんな時間までやってのか、生徒会って)
女「……」
友「一緒に帰ろうとか、約束してるのか?」
女「……あ」
友「おいおい……」 - 19 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/01(日) 02:15:04.83 ID:IQMUorgBo
- 女「……」
友「……先輩の事、好きになってきたか?」
女「……?」
友「いや、こうして待ってるじゃん」
女「……まだ、よく分からない」
友「よく分からない?」
女「……うん」
女「……よく分からない、から」
女「……いつもと同じこと、してみようかと」
友「……ふぅん」
友(昨日みたいな事になるくらいなら、先に帰っちまおうかな……) - 20 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/01(日) 02:22:30.77 ID:IQMUorgBo
- 女「……あ」
友「む?」
先輩「……おやおや」
先輩「記憶違いでなければ、あなたは帰宅部だったはずですが」
女「……はい」
友(間が悪いな、言い出しづらくなった)
先輩「……ふむ少しお手を拝借」
女「……?」
友「……じー」 - 23 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/01(日) 02:36:56.58 ID:IQMUorgBo
- 先輩「結構待っていたんですね、こんなに冷たくなって」
女「……ご、ごめんなさい」
先輩「謝って欲しかったわけでは無くて……」
先輩「……そうだ、毎日は難しいと思いますが」
女「……携帯?」
先輩「私のメールアドレスです。後でメールを送っておいてください。次から時間があるときはこちらからメールしますので」
女「……はい」
友(二人が話しているうちに……っ)
友「……っ」
女「……?」
友(ガッチリ袖がホールドされて……)
友「せ、折角の先輩と二人きりじゃないか。お邪魔虫は……」
先輩「ん、私は別に構いませんよ」
友「……」 - 24 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/01(日) 02:46:34.43 ID:IQMUorgBo
- 女「……」
先輩「……」
友「……」
友(……な、何か喋ったりしないのか?)
女「……」ふらっ
友「あ、あぶ……」
先輩「おっと、危ないですよ」
女「……あ、ありがとうございます」
先輩「いえいえ」
友(……やっぱムリにでも帰ればよかったか) - 25 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/01(日) 02:54:58.25 ID:IQMUorgBo
- 女「……私は、ここで」
先輩「ほう、ここがあなたの家でしたか。覚えておきますね」
女「……また、明日」
友「おう、また明日」
友「……」
先輩「……」
友「先輩の家、こっちの方向なんですか」
先輩「いえ、完全に逆方向ですが」
友「ならなんで……」
先輩「そもそも最初から逆方向ですから、ご心配なく」
友「いや、そうじゃなくて……」
先輩「本音を言えば、少し二人でお話がしたかったんです」
友「……」
先輩「そう怖い顔しないでください、変な意味はないですから」 - 33 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/01(日) 20:09:55.19 ID:IQMUorgBo
- 友「……」
先輩「……」
友「……話がしたいんじゃ、なかったんですか」
先輩「ん、あぁ。そうでしたね」
先輩「あの人、後輩さんの好きな食べ物をお聞きしてもよろしいですか?」
友「……へ?」
先輩「何か問題がありましたか?」
友「いえ、別に問題は……いちご大福、ですけど」
先輩「ほう、いちご大福ですか。覚えておきましょう」
友(……わざわざ二人きりにならないと聞けない事か?) - 34 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/01(日) 20:31:33.06 ID:IQMUorgBo
- 友「……今度はこちらから、いいですか」
先輩「はい、どうぞ」
友「あいつの方から、告白したんですよね」
先輩「そうですね、あの人から聞きましたか」
友(……あの人って言い方、なんだかな)
友「なんで承諾したんですか?初対面に等しかったと思うんですけど」
先輩「見た目で即決でした」
友「……じとー」
先輩「あの人の容姿ならそれでも変ではないと思いますが?」
友「……まぁ、そうですけど」
先輩「でしょう?ふふ」
友「……」 - 35 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/01(日) 20:39:44.27 ID:IQMUorgBo
- 先輩「まぁ、冗談はここまでにしておいて」
友(冗談か本気か判別付かん人だ)
先輩「と言っても、半分は冗談じゃないんですが」
友「どっちだよ!」
友「……あ」
先輩「構いませんよ、普段の口調で。その方が話しやすいのでしたら」
友「そういうわけには……」
先輩「おや、残念。もっと親しみを持っていただいて結構ですけど」
友「……話の続き、してください」
先輩「はいはい」 - 36 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/01(日) 20:52:28.18 ID:IQMUorgBo
- 先輩「あなた達から見れば、私の方は初対面だったと思いますが」
先輩「私の方は、よくあなた方を見かけていたんですよ」
友「そうなんですか?」
先輩「立ち入り禁止の屋上へ向かうための踊り場は、生徒会室のある階の踊り場でもありますから」
友(あそこ、下から見えてたのか)
先輩「最初は注意しようかと思っていたのですが、談笑しているお邪魔をしては悪いなと」
友(それでいいのか生徒会長)
先輩「まぁ、そういう訳でして。突然告白された時はもちろん驚きましたけど」
友「……」
先輩「まだ何か、ご不満が?」
友「……別に、元からご不満なんて」
友(あいつがご不満ないなら、口を挟む事でもないし) - 37 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/01(日) 21:04:07.13 ID:IQMUorgBo
- 友「先輩」
先輩「はい?」
友「家、ここなんで」
先輩「あぁ、ではここでお別れですね」
友「……先輩」
先輩「はい?」
友「あいつの事、好きですか?」
先輩「……あなたのご期待に添えるかは分かりませんが、好きですよ」
友「……」
先輩「では、また学校で」
友「……ご期待ってなんだよ、クソッ」 - 39 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/02(月) 01:30:05.55 ID:8tceBaYho
- 友(……先輩もあいつが好きで、あいつも先輩が好きで)
友(それをあいつが望んだなら、それでいい……はずなのに)
友(なんでこんなにモヤモヤしてるんだろうか)
友「……ふぅ」
友(恋がしてみたい、なら……)
友(……バカみてぇ、さっさと寝ちまおう) - 40 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/02(月) 01:42:49.03 ID:8tceBaYho
- 友「……ふわーぁ」
友(結局、全然眠れなかった……)
女「……欠伸、おっきい」
友「ん、あぁ……少し、寝不足で」
女「……大丈夫?」
友(お前と先輩のせいだ、なんて言ったらどんな反応するんだろう?)
女「……?」
友(……なんて、バカな事考えてないで)
友「たまたま寝付きが悪かっただけだ、そんなに心配するな」
女「……そう?」
友「うむ」
女「……あ」
友「ん?」
女「……先輩、走ってる」
友(体育の時間被ってたのか) - 41 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/02(月) 01:57:13.57 ID:8tceBaYho
- 女「……先輩、足速い」
友「あぁ、ぶっちぎりだな……」
女「……じー」
友(あの横顔は誰が見てもかっこいいわな……)
女「……」
友「声援でも、送ってやれば?」
女「……んー」
友「『先輩がんばれー』とかさ」
女「……せんぱい、がんばれー」
友(そんな小さな声じゃ聞こえ……)
先輩「……――」
女「……先輩、手振ってる」
友「……振替してあげれば?」
女「……ん」
友(ほんと、完璧でヤになるね)
友(……こんな事考えてる自分は、もっとヤだけどさ) - 42 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/02(月) 02:16:36.11 ID:8tceBaYho
- 先輩「……おや」
女「……?」
先輩「どうも、先程ぶりですね」
女「……ぶりです」
先輩「今日は御一人ですか?」
女「……一緒が、よかったですか?」
先輩「いえ、そんなことはないですよ」
女「……そう、ですか?」
先輩「ただ、珍しい事もあるものだなと思いまして」
女「……」
先輩「……」
先輩(……少し嘘を付いて申し訳ありません。こういう時は一緒の方が助かります) - 43 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/02(月) 02:35:05.27 ID:8tceBaYho
- 女「……先輩」
先輩「はい、なんでしょう」
女「……難しいかお、してます」
先輩「そうですか?そうだとしたら、無意識です。気にしないでください」
女「……じー」
先輩(私の事よりも、気にすることがあると思うのですが)
女「……」
先輩(ふふ、しばらくはお付き合いしましょう)
友「……じー」
先輩(その方が面白そうですし) - 46 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/02(月) 18:46:39.55 ID:8tceBaYho
- 女「……あ、おかえり」
友「おう、ただいま」
先輩「おかえりなさい」
友「……どうも」
女「……大丈夫?」
友「だから大袈裟だって」
先輩「何があったか、お聞きしても?」
女「……急に、貧血で倒れちゃって」
先輩「おや、それは大変ですね」
友(誰のせいだと……って、完全に八つ当たりだなそれは)
女「……ほんとに、大丈夫?」
友「ガキじゃねーんだから、いちいちそんなに近寄らんでよろしい」 - 47 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/02(月) 18:53:51.87 ID:8tceBaYho
- 先輩「……さて、それでは私はこの辺で」
友「え?」
女「……?」
先輩「どうもお邪魔虫なようですし」
女「……そんな事、ないですよ」
友「そうですよ、この場合むしろお邪魔虫なのは……」
女「……」
友「むっ……」
先輩「おや」
女「……虫なんて、ここにはいません」
友(久々に見たな、コイツが眉をひそめるところ)
先輩「……」 - 48 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/02(月) 18:56:19.57 ID:8tceBaYho
- 先輩「すいません、語弊を生む言い方をしてしまいましたね」
女「……?」
先輩「そろそろメンバーも集まっている頃でしょうし、生徒会室へ向かおうかと思いまして」
女「……あ。す、すいません」
先輩「いえいえ、見たことの無い顔が見れて満足です」
女「……あぅ」
先輩「それでは、また」
女「……はい、また」
友「……」 - 49 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/02(月) 19:56:13.24 ID:8tceBaYho
- 友「そろそろ離してくれないか?」
女「……だめ」
友「本当に大丈夫だって」
女「……ほんとに、ほんと?」
友「ほんとにほんと」
女「……そっか」
友(……そんな顔、するなよ)
友(そんな顔、されると……)
女「……い、いたいよ」
友「っと……わ、悪い」
女「……じー」
友「あはは、は」 - 52 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/02(月) 21:07:19.92 ID:8tceBaYho
- 先輩「……おや」
友「あ、先輩」
先輩「これまた珍しいですね、お一人ですか?」
友「……別にいつも一緒にいるわけじゃ、ありませんし」
先輩「確かに、それもそうですね」
友「先輩こそ、なんでこんな所に一人でいるんですか」
先輩「その理由はあなたにも分かっているのでは?」
友(……そういや、居残りさせられるとかなんとか言ってたっけ)
友「そういう事なら、ごゆっくり……」
先輩「あぁ、暇だ。待ってる間、凄く暇だなぁ」
友「……」
先輩「……」 - 53 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/02(月) 21:19:59.27 ID:8tceBaYho
- 先輩「いやぁ、助かりました。優しい後輩を持って嬉しいです」
友(適当に切り上げて帰ろ……出来ればあいつが来る前に)
先輩「難しい顔をしてますね、あの人が心配していましたよ」
友(……そんな話までしてるのか、あいつ)
友「まぁ、色々と」
先輩「……色々と、ですか?」
友「そりゃまぁ、色々と」
先輩「ふむ、なるほど……」 - 54 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/02(月) 21:35:13.74 ID:8tceBaYho
- 友「……なんかやたらと突っかかって来ません?先輩」
先輩「そうですか?こちらからすると、逆の意見ですが」
友「……そりゃすいませんでした」
先輩「いえいえ、お構いなく。あなたの事も好きですから」
友「……は?」
先輩「おっと、また語弊を生みそうな言い方をしてしまいました。これは人として、みたいな方の意味です」
友「いやまぁ、そりゃ……そうでしょ」
先輩「いやー、しかし寒いなぁ」
友(な、何を考えてるんだこの人は……) - 55 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/02(月) 21:52:41.62 ID:8tceBaYho
- 友「……先輩は、本当にあいつの事が好きなんですか?」
先輩「そうじゃなきゃ、こうして寒空の待ち合わせなんてしないと思いますけど」
友「……」
先輩「そう言えばこの前もそんな事を聞かれましたね、どうしてそんなに気になさるのでしょうか?」
友「そ、それは……」
先輩「……じー」
友「……ぐ」
先輩「答えにくいようなら質問を変えましょうか。もし仮に好きじゃない、と答えたら……」
先輩「あなたはどうするつもりなんですか?」
友「……」 - 56 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/02(月) 22:08:09.97 ID:8tceBaYho
- 友「……別れさせます」
先輩「親友のために、ですか?」
友「……」
友(親友の、ために……そうだ、そう。親友、のため)
先輩「そうですか、それなら心配いりませんよ」
友(親友の、ため?)
友「……先輩」
先輩「はい、なんでしょうか」
友「失礼を承知で、申し上げます」
先輩「もったいぶらずどうぞ?」
友「あいつと、別れてください」 - 60 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/03(火) 14:41:48.18 ID:1yysNqJeo
- 先輩「……」
友「突然おかしい事を言っている事は分かっています、ですが……」
先輩「いいですよ」
友「……え」
先輩「そこまで言われてしまっては仕方ありません。どうやら私はあなたの御眼鏡にかなう人間ではなかったようだ」
友「そんな、あっさりと……」
先輩「別れてくださいと言ったのはどこのどなたですか?」
友「え、その……」
先輩「じゃあ、やっぱりこのままで行きましょうか」
友(今ならまだ……)
友「……だ、ダメです……わ、私の方があいつの事、好きですからっ!」
友「……あ」 - 61 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/03(火) 14:43:12.18 ID:1yysNqJeo
- 先輩「……」
友「……――」
先輩「だ、そうですよ?」
友「え……」
女「……ひょこ」
友「な……あ……?」
友「お、お前……ずっとそこに、いたのか?」
女「……ぶるぶる」
先輩「正確に言うと、私が言って待ってもらっていたんですが」
友「なんでそんなことを……」
先輩「そりゃもう、可愛い彼女から相談を受けて協力しない人間はいないでしょ」
友「相談って……うおっと」
女「……ぎゅー」 - 62 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/03(火) 14:44:26.18 ID:1yysNqJeo
- 先輩「まぁ要は、そういう事ですよ」
友「……お前、恋がしてみたいって言ってたじゃんか」
女「……うん」
友「だから先輩と、だったんじゃないのか?私じゃ、ダメだから……」
女「……違った、みたい」
先輩「情けない話ですが、どうやらあなただけでなく両方の御眼鏡にかなわなかったようで」
友「ほんとにいいのか、私で」
女「……あなたが、いい」
友(……こんな簡単な事を、ずっと悩んでたのか私は) - 63 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/03(火) 14:45:13.77 ID:1yysNqJeo
- 友「……先輩は納得してるんですか、それで」
先輩「納得するもなにも、最初からそういう話でしたし」
女「……ごめんなさい、先輩」
先輩「謝らないでください。十分楽しみましたよ、私は」
先輩「まぁ、強いて言うなら……心変わりしないうちにもう少し進んでおくべきでしたか」
女「……す、進んで……」
友「なんかヤな言い方しますね……」
先輩「ははは、負け惜しみだと思ってください……さて」
先輩「そろそろ本格的に身体が冷えてきましたので私はこの辺で」
友「先輩」
先輩「はい、なんでしょうか」
友「ありがとうございました」
女「……ありがとう、ございました」
先輩「ははは、どうも」 - 64 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/03(火) 14:45:45.76 ID:1yysNqJeo
- 先輩(……ありがとう、ですか)
先輩(嘘でもキスぐらいはしたと言っていた方が、面白い反応が見れたかもしれません)
先輩(この気持ちも恋……の一種なのでしょうか)
先輩「ははは、笑うしかありませんねこれは」
「せ、先輩っ!」
先輩「……?」
「ず、ずっと前から好きでした!付き合ってくださいっ!」
先輩「……ふむ」
先輩「では、キスから始めましょうか」
「え、えぇっ!?」 - 65 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/03(火) 14:46:15.05 ID:1yysNqJeo
- 友(……結局、本心がよく分からない人だった)
女「……寒い」
友「ん、あぁ。私達も急いで帰るか」
女「……ぴと」
友「お、おい……そんなに引っ付くと歩きにくいだろ?」
女「……これからはもっと、引っ付く」
友「しょうがねぇな……」
女「……」
友(結局いつもとほとんど変わらねぇな……)
女「……?」
友(……いや、大きな一歩か) - 66 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/03(火) 14:48:05.29 ID:1yysNqJeo
- 女「……ねぇ」
友「んあ?」
女「……少し先に、進んでおく?」
友「へ……な、何言ってんだ?」
女「……心変わり、しちゃうかも」
友「な、何言ってんだ!」
女「……じー」
友「……お前、先輩の性格少し移ったか?」
女「……そう?」
友(やれやれ……) - 67 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/03(火) 14:48:35.96 ID:1yysNqJeo
- 友「むー……」
女「ぁ……ん……」
友「……」
女「……」
友「……こ、これでいいか?」
女「……これが、恋?」
友「ちょ、ちょっと違う気もする……」 - 68 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/03(火) 14:49:03.99 ID:1yysNqJeo
- 友(その後、先輩がやたらとモテているという話題を聞いた)
友(なんだか色んな子に手を出しているとかなんとか……その方向に楽しみとやらを見出したのだろうか)
友(やっぱりあの人は、なんというか苦手だ」
女「……じー」
友「ん、どうした?」
女「……また何か、悩んでる?」
友「んー、悩みってほどではないんだが」
友(もう流石に狙ってくることは無いだろ……ないよな?)
女「……?」
友「なんでもねぇよ、なんでも」
友(まぁ、何度来ても渡さないけど)
女「……ぼー」
友(……少し心配な気がしてきた) - 69 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/03(火) 14:50:28.62 ID:1yysNqJeo
- 友「な、なぁ……」
女「……?」
友「その……だな」
女「……」
友「……ん、んむ……」
女「……ぺろ」
友「や、やっぱり似てきてないか……?」
女「??」
友(だ、大分心配だ……) - 70 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/03(火) 14:52:36.86 ID:1yysNqJeo
- これにて終了です
読んでくださった方には感謝を
よかったら過去作もどうぞ
http://hanami2ki.blog.fc2.com/ - 71 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/03(火) 18:13:56.02 ID:gmHvcrI1o
- 乙
素晴らしかった - 73 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/11/03(火) 20:09:41.31 ID:gNUh8ZKNo
- 乙可愛かった

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