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卯月「プロデューサーさんって何者なんですか?」
- 1 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/02/04(木) 06:23:23.601 ID:tcZ/zplD0.net
- ――当時、若者世代を席巻したアイドルグループがあった。
それはまるで、嵐のようで。
しかし……。引き際も同様であった。
事務所内、人間関係の不和。すれ違い。
それに巻き込まれる形となった彼らは、解散を余儀なくされた。
それはまるで……嵐のようで。
閃光、稲妻……。
青い稲妻のように、彼らは一瞬の光で世を照らし、そして儚くも消えていった。
そして現在――彼らのその後の人生を知る者は少ない。
- 3 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/02/04(木) 06:27:36.473 ID:tcZ/zplD0.net
- 卯月「オフの日が被るなんて久しぶりだねっ!」
未央「ま、プロデューサーのおかげってやつだねぇ」
凛「ちょうどツアーも終わったところだしね」
未央「そうそう!」
未央「いやー、大成功だったね!!」
卯月「そうだねっ!」
卯月「……」
卯月「本当に……良かった……」
凛「卯月……泣いてる!?」
卯月「な、泣いてないよっ!!」
未央「最終日のしまむーったら、『本当に良かったですぅ』って号泣してたもんね」
卯月「そ、そう言う未央ちゃんだって……!!」
未央「は、泣いてないしー! これはあくびだしー!」
凛「みんな、ほんとに出し切ったね」 - 4 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/02/04(木) 06:32:08.427 ID:tcZ/zplD0.net
- 未央「あ! しぶりんも泣いてる!」
凛「な、泣いてないよ」
未央「もう、しぶりんったら。意外と情にもろいですなぁ!」
凛「意外ってどういうこと? 普段は冷徹な人間――みたいな言い方やめてよ」
卯月「あははっ!」
凛「ちょっと、卯月も酷いよ」
卯月「ち、違う違う……!!」
卯月「ほんとに――最高のライブだったなーって」
未央「そうだね」
未央「ずっとあのステージに立っていたかった」
凛「うん……」
卯月「ここまで来れたのもみんなのおかげだよ……」
凛「ちょっと、解散するわけじゃないんだから」
未央「そうそう! 一息入れたらまたスタートだよ」
未央「そのセリフはトップを取ってから言わないと」
卯月「そ、そうだよね!!」
卯月「明日からまた頑張ろうね!!」
凛「もちろん」
未央「そのつもりだよ!」 - 5 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/02/04(木) 06:36:13.738 ID:tcZ/zplD0.net
- 卯月「それにしても……」
卯月「みんなのおかげ――そしてプロデューサーさんも」
未央「そうだねー」
凛「私たちが無名の時から……あっという間にここまで引き上げてくれたし」
未央「プロデューサーって凄いよねぇ」
卯月「そうだね……」
卯月「プロデューサーさんって……何者なんだろう」
凛「どういうこと?」
未央「確かに」
未央「ただ者じゃないことは確かだよ」
卯月「うん……」
凛「確かに……。私たちってプロデューサーのこと、あんまり知らないような気がする」
未央「……」
未央「本人に聞いても教えてくれないよねー」
卯月「うん、『俺のことは別にいいだろぉー』って教えてくれないよね」
凛「……」
未央「しぶりん……!?」
未央「もしや、何か知ってますな君!!」
卯月「えぇ!? 凛ちゃんだけずるいよぉ」
凛「そ、そんなんじゃないよ!」 - 6 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/02/04(木) 06:40:38.406 ID:tcZ/zplD0.net
- 凛「ただ……」
未央「ただ?」
凛「去年の末、私たち……歌番組に出たじゃん」
卯月「えっと、『アイドル――カバーの祭典』だよね?」
未央「緊張したよねー、生放送だったし」
凛「それで――私、客観的な意見が欲しくて」
凛「番組で歌う課題曲の練習をした後、プロデューサーに意見を聞きに行ったんだ」
未央「うんうん」
凛「そしたら……」
卯月「そしたら?」
凛「プロデューサー、『俺に歌の技術とか聞かないでくれるかな』って」
未央「えぇ!?」
卯月「ひ、酷くないですかぁっ!?」
凛「うんうん、そうじゃなくて……。ふふっ……」
未央「しぶりん? どうしたの?」
凛「プロデューサーったら、『俺、音痴だから歌のことわかんねぇーよー』だって」
未央「それホントに!?」
卯月「い、意外とお茶目な部分もあるんだねー……」
凛「そうじゃなくて、『客観的にどう見えていたか教えて欲しい』って言ったら」
凛「ちゃんとアドバイスくれたけどね」 - 8 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/02/04(木) 06:46:22.558 ID:tcZ/zplD0.net
- 卯月「凛ちゃんが歌ってた曲って、何だっけ……。私、緊張していて真っ白だったから……」
未央「実は私もー」
凛「Howeverって曲だよ」
未央「ああ! そうだったー」
未央「GLAYってバンドの曲だっけ」
未央「私としまむーはデュオだったのに」
未央「しぶりんだけソロで、しかも注目をさらっていったからねー」
未央「ズルいズルい」
凛「そ、そんなんじゃないよ」
凛「そんなこと言ったら、卯月と未央の方が注目されてたし」
卯月「そ、そうかなー……。えへへ」
凛「息もピッタリだったしさ。かわいい曲歌っちゃって」
未央「あれ? もしかしてしぶりんってキュート路線がいいの?」
未央「実は乙女だったんだねー、かわいいよしぶりん!」
卯月「で、デレリン……?」
未央「アハハッ!!」
未央「デレリンデレリン!!」
凛「や、やめてよ……!!」 - 10 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/02/04(木) 06:50:43.217 ID:tcZ/zplD0.net
- 未央「あぁー、それで何だっけ」
凛「そうそう……」
凛「プロデューサー、アドバイスくれて」
卯月「アドバイス?」
凛「うん。実際に、あるパートを『こういう方がいいんじゃねぇーの』って歌ってみせてくれたんだ」
未央「どうだった?」
凛「い、意外と……うまくてビックリした」
卯月「ほんと!?」
未央「それは気になりますなぁー」
未央「その一」
未央「プロデューサーは意外と歌がうまい」 - 11 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/02/04(木) 06:54:13.539 ID:tcZ/zplD0.net
- 未央「他に何かある? しまむーは?」
卯月「私はー……」
卯月「あ! そういえば」
未央「ほうほう!」
卯月「私、去年ドラマに出演した時――」
凛「えーと、『セーラー服とモーゼル銃』だっけ?」
未央「おもしろかったよねぇ!」
凛「卯月、アクションバリバリだったよね」
卯月「本当に大変だったなぁー……」
卯月「それで――シリアスな場面があったんだ」
卯月「ちょうど私の見せ場って感じのシーンで」
卯月「でも、シリアスな演技が難しくて……」
未央「それで、プロデューサーに相談した……とか?」
卯月「うん」
凛「そしたら?」
卯月「プロデューサーさんが実際に演技して教えてくれたんです……」
未央「マジ!?」
凛「ど、どうだった?」
卯月「凄い……演技、上手でビックリしました」
未央「え、えぇー……」
卯月「プロデューサーさんのおかげで、なんとか要領を掴めて」
卯月「無事、撮影を終えることができました……」
凛「……」
凛「その二、プロデューサーは演技がうまい」 - 12 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/02/04(木) 06:58:20.380 ID:tcZ/zplD0.net
- 凛「未央は何かある?」
未央「んー、私はそういうビックリするのはないけど」
未央「いや……。あった」
卯月「え!?」
凛「なに?」
未央「プロデューサーって凄いダンスうまいよね」
卯月「ほ、ほんとに!?」
凛「私は……見たことないかな」
卯月「私も!」
未央「えーと、あれはいつだったか忘れちゃったけど」
未央「まだこの世界に入って間もない頃かなぁ」
未央「ダンスでどうしてもしっくりこない部分があってさ」
凛「そんなことあったっけ?」
卯月「未央ちゃんダンス上手だし、全然気が付かなかったよー」
未央「えへへ……。いやー、照れますなぁ!」 - 13 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/02/04(木) 07:02:40.088 ID:tcZ/zplD0.net
- 未央「ま、そんなことがあってさ」
凛「それで未央も、プロデューサーに相談した……とか?」
未央「その通り!」
卯月「そしたら……?」
未央「これも、実際に踊って見せてくれたんだ」
凛「ほ、ほんとに!?」
卯月「えぇっ!?」
未央「そしたらねー」
凛「凄い、うまかった……?」
未央「そのまさか――まさかよ」
凛「えぇー……」
未央「すっごいキレッキレでさ。ほんとビックリした……あれは」
卯月「もう……。プロデューサーさんって」
卯月「一体何者なんですかぁ……」
凛「ここまで聞くと完璧超人だよね」
未央「確かに」
卯月「その三、プロデューサーさんはダンスがうまい」 - 14 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/02/04(木) 07:06:32.238 ID:tcZ/zplD0.net
- 卯月「うーん……。謎だねぇ」
未央「謎は深まるばかりですなぁ」
凛「気になるね……」
未央「そうだ――ねえ!」
卯月「どうしたの?」
未央「こうなったら、プロデューサーの正体を暴いてやろうよ!」
凛「えー、いいのかな……?」
卯月「プライベートなことはさすがにまずいんじゃ……」
未央「うーん」
未央「それじゃ、こういうのはどう?」
未央「他の娘にも何か聞いてみようよ!」
卯月「な、なるほど……」
凛「うん……。プロデューサーにも知られたくないこととか……あるかもしれないし。あまり深入りしないなら」
未央「ま、あのプロデューサーのことだから……他の娘にもそういうのは教えてないでしょ」
未央「それじゃ」
未央「さっそく、オフが明けたら始めるぞー!」
凛&卯月「「お、おー?」」 - 15 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/02/04(木) 07:11:00.196 ID:tcZ/zplD0.net
- 幸子「卯月さん、お疲れ様です」
卯月「幸子ちゃんもお疲れ様です!」
卯月(そうだ、幸子ちゃんに聞いてみよう)
卯月「あのー、幸子ちゃん」
幸子「なんですか?」
卯月「幸子ちゃんって――プロデューサーさんと仲が良いよね」
幸子「ななな、何ですか急に!?」
卯月「冗談とか気軽に言い合ってるから……仲が良いなと思って!」
幸子(え? これはまさか……卯月さんはプロデューサーさんのことが……)
卯月「そんな幸子ちゃんに尋ねたいことがありますっ」
幸子(もしや――ライバル登場ですか!?)
卯月「プロデューサーさんの正体を教えてくださいっ!」
幸子「――へ?」
卯月「いやー、あのね……」
卯月「――ということがあって」
幸子「あ、あー……。なるほど……」
幸子(勘違いした自分が恥ずかしいです)
幸子「なるほど」
幸子「確かに完璧なボクはプロデューサーさんと仲は良いですが」
幸子「実際、どんな人なのかはまだ掴めてないっていうのが本音です……」
幸子(完璧なボクとしたことが……)
卯月「うーん」
卯月「完璧な幸子ちゃんでさえ分からないとなれば……お手上げかなぁ……」
幸子「……」
幸子「そ、そうです! 完璧なボクでさえ分からないとは!」
幸子「だいたい、プロデューサーさんは自分のことを全然話してくれませんっ!」
卯月「それ、分かりますっ!」
幸子「まったく……。ボクたちのことはお節介ってくらいに細かく面倒見てくれるのに」
卯月「うん……」
幸子「あ、でも一つだけ――」 - 16 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/02/04(木) 07:17:52.299 ID:tcZ/zplD0.net
- 卯月「何かあったのっ!?」
幸子「はい……」
幸子「今でさえパーフェクトなボクですが」
幸子「恥ずかしいですけど、『こんな自分でいいのか』って迷っていた時期がありました」
卯月「う、うん……」
幸子「そんな時期にバラエティー番組へ出演することが決まって」
幸子「どうやって自分を表現すればいいか迷っていた時」
幸子「プロデューサーさんへ相談してみたんです」
卯月「そしたら……?」
幸子「お前はそのままでいい――って言ってくれましたね」
卯月「そのままでいい……?」
幸子「はい、『番組のスタッフさん、プロデューサーさん、司会者さんに進行は任せとけ』って」
幸子「そして『向こうがお前に振ってくれるから、お前はお前のままで、そのままで自分を表現しろ』って言ってくれました」
幸子「何もかもやろうとしなくていいから」
幸子「自分の番が来るまではドッシリ構えてろって」
卯月「バラエティー番組とか、どうすればいいか焦るからねー……」
幸子「はい」
幸子「でも、その言葉のおかげで……ボクは今のボクのようになれました」
幸子「路線が定まったというか……」 - 17 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/02/04(木) 07:21:08.663 ID:tcZ/zplD0.net
- 幸子「妙に裏方事情にも詳しいことが気になりましたが」
卯月「それは……。プロデューサーだし、業界のことは隅々まで知っていると思うけど……」
幸子「はい」
幸子「だけど……。アイドルのプロデューサーさんなのに、司会者の事情とか進行とか妙に知っているなーと思いまして」
幸子「実際に番組の流れとか、『こう振られたときはこう返せ』みたいなコツも教えてくれましたし」
幸子「芸人みたいに」
幸子「確かに業界人なら知っていて当たり前のことなのかもしれませんが……」
卯月「うーん、謎は深まるばかり……だね」
幸子「あの人は何者なんでしょうか……」
幸子「自分のことはほんとに教えてくれないんですよねー」
卯月「……」
卯月「その四、プロデューサーさんは司会業や番組進行について妙に詳しい」 - 18 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/02/04(木) 07:25:45.978 ID:tcZ/zplD0.net
- 凛「楓さん、お疲れ様です」
楓「凛ちゃん――お疲れ様です」
楓「凛ちゃんは、今日はもう上がりですか?」
凛「はい、ちょうど帰るところでした」
凛(待って……。楓さんならプロデューサーのことを)
凛「あの……。楓さんも今日はお仕事終わりですか?」
楓「はい、全て終わりましたー。早く飲みに行きたいです」
凛「あはは……」
凛「あの、すみません。一つだけ……いいですか?」
楓「もしかして凛ちゃんも飲みに行きたいですか?」
凛「あの、私……未成年です」
楓「冗談です。ふふっ」
楓「それで、どうかしましたか?」
凛「早く飲みに行きたい……ですよね?」
凛「すみません」
楓「あー、いいんです」
楓「凛ちゃんなら問題ありません」
楓「どうぞどうぞ」
凛「すみません……。あの」
凛「楓さんって……プロデューサーのことについて」
凛「何か知っていることはありますか?」 - 19 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/02/04(木) 07:30:49.554 ID:tcZ/zplD0.net
- 楓「プロデューサーのことについて……ですか?」
凛「はい」
凛「実は……」
凛「――ということがありまして」
楓「なるほど……」
楓「秘密は」
楓「みっつまでなら」
凛「三つ?」
楓「秘密――秘みっつ」
楓「なんちゃって」
凛「……」
凛「ふへっ――」
楓「あ、凛ちゃん今ウケました?」
凛「いや、ウケてません」
凛「こほん――秘密、知っているんですか?」
楓「ごめんなさい、さっきのはダジャレですから」
楓「でも……秘密ではないですけど」
楓「不思議に思ったことならありますねー」 - 20 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/02/04(木) 07:35:10.641 ID:tcZ/zplD0.net
- 凛「不思議……ですか?」
楓「はい」
楓「あれは――私が初めて旅番組のレポーターに選ばれた時です」
凛「レポーターですか?」
楓「はい。私はこんな感じですから」
楓「他の方々のように、上手にレポートできる自信がありませんでした」
楓「そんな時、プロデューサーが声を掛けてくださったんです」
凛「声を……?」
楓「はい」
楓「私らしく、見たこと聞いたことを何でも喋ってみればいいって」
凛「何でも……」
楓「まあ、さすがに『放送できる範囲内で』と釘を刺されましたが」
楓「その番組を見たとき、視聴者はどんなことが知りたいか」
楓「それを自分の言葉でまとめて、自分らしく表現すること」
楓「うまいことを言えた方がいいけれど、私は別に狙う必要などない」
楓「いつもの私で――そう言って下さいました」
凛「なるほど……」
楓「そのおかげで、私は私らしくレポートすることができました」
楓「そして今では、レポーターとしてお声を掛けて下さる機会も増えました」
楓「全てプロデューサーのおかげ、です」
楓「そんなところで、長くなりましたが――ここで不思議に思ったことがあります」 - 21 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/02/04(木) 07:39:24.705 ID:tcZ/zplD0.net
- 凛「は、はい……」
楓「プロデューサーが私のレポートの練習に付き合ってくれたんです」
楓「練習するか――って感じで声を掛けてくださって」
楓「その時でした」
凛「い、一体何が……」
楓「プロデューサーがレポートの見本を見せてくれたんです」
凛「見本……?」
楓「はい、『それじゃ、この弁当をレポートしてみるか』って」
凛「プロデューサーのレポート……どうでした?」
楓「――完璧でした」
凛「えぇ……」
凛「完璧……?」
楓「はい」
楓「何と言い表せばいいのか……。その瞬間、まるで人が変わったようにレポートを始めて」
楓「色んな言葉がスラスラと出てくるんですが、どれも分かりやすく」
楓「しかも面白い、共感できる――そんなレポートでした。完璧です」
凛「人が変わったように……ですか」
楓「はい。元々レポーターだったか、そのような経験があるのか……という具合で」
楓「アイドルのプロデューサーなのに」
凛「なるほど……」
楓「そんなことがありましたね」
楓「プロデューサーは一体何者なのでしょうか」
凛「……」
凛「その五、プロデューサーはレポートがうまい」 - 22 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/02/04(木) 07:44:01.103 ID:tcZ/zplD0.net
- 未央「あ、美嘉ねぇ! お疲れっす!」
美嘉「お、未央じゃん。お疲れー★」
未央「美嘉ねぇも上がり?」
美嘉「うん、そうだけど♪」
未央(美嘉ねぇなら――)
未央「ねー、美嘉ねぇってさ」
美嘉「ん? どうしたの?」
未央「プロデューサーのことよく知ってそうだよね」
美嘉「なな、どういうことっ!?」
未央(これは何か知ってますなぁ)
美嘉(未央、一体どういうつもり!?)
美嘉(アタシがプロデューサーのこと――いやいや!)
未央「いやー、美嘉ねぇなら色んな世界を知ってそうだしさー」
美嘉「いいい、色んな世界っ!?」
未央「だから尋ねたいことがあるんだけど」
美嘉「い、一体どういうこと!?」
未央「それは……プロデューサーの正体を教えて欲しいんだよねー」
美嘉「――へ?」
未央「実はさ」
未央「――ということがあって」
美嘉「そういうことか……」 - 23 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/02/04(木) 07:49:13.500 ID:tcZ/zplD0.net
- 未央「どういうことだと思ってたの?」
美嘉「な――!! それは内緒だし!!」
未央「そっか――まあ、そういうことなんだー!」
未央「何か正体を掴める情報がないか、と思いまして」
美嘉「正体、ねえ……」
美嘉(そう言われるとアタシ、プロデューサーのこと全然知らないカモ)
美嘉「だいたい、あの人自分のこと全然話してくれないじゃん……」
美嘉(アタシたちのことはうるさいくらい気に掛けてくれる癖に)
未央「そうだよねー」
未央「美嘉ねぇでもダメだったか……」
美嘉「あっ――」
未央「お! 何かあった感じですか!?」
美嘉「正体は知らないケド」
美嘉「二つくらいは知ってるかな」
未央「なになに!?」
美嘉「一つは――スポーツができるってことかな」
未央「あー、確かに」
未央「ダンスもできるし」
美嘉「だよねー」 - 24 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/02/04(木) 07:53:45.047 ID:tcZ/zplD0.net
- 美嘉「いやー……あれは確か『ファン感』の前だったかな」
未央「ファン感謝祭――アイドル大運動会?」
美嘉「そそ。それを控えてた、ある日」
美嘉「ちょうど仕事と仕事の合間、結構な空き時間ができてね」
美嘉「その時に、プロデューサーに『ファン感、楽しみだなー』って言ったらさ」
未央「言ったら……?」
美嘉「そしたら、『懐かしいなー』って呟いてた」
未央「懐かしい……? どういうこと?」
美嘉「反射的に呟いちゃったみたいでさ。その後は口を濁して……結局は教えてくれなかったんだけど」
美嘉「そして何故か、『そうだ、キャッチボールやろうぜ!』って誘ってきたんだよね♪」
未央「なるほど、懐かしい……ねぇ」
未央「まさか――アイドルだったとか!?」
美嘉「フフッ、それはさすがにないっしょ!」
未央「それで、キャッチボールとやらは――その場にグローブとボールがあったことに驚きだけど」
美嘉「ああ、その時はここにいたから」
美嘉「ほら、あそこにグローブとボール置いてあるっしょ?」
未央「あ――ホントだ」
未央「なるほどねえ……。それでそれで、どうだった?」
美嘉「凄い意地悪だった」
未央「――へ?」
美嘉「なんか野球が好きみたいで、過去にやってたみたい」
未央「ほほう。野球経験者ってことですか」
未央「新たな情報をゲットしましたよ……」
美嘉「最初の内はアタシに合わせてくれてたんだけど」
美嘉「急に速いボール投げ出してさー、凄いプロ野球のウンチクも言ってきたんだよねー」
未央「なるほどなるほど。プロ野球にも詳しい……と」
美嘉「凄い体裁きとかキレッキレだったかんね! マジウケる」 - 25 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/02/04(木) 07:58:35.667 ID:tcZ/zplD0.net
- 未央「それが、『スポーツができる』ってことね」
美嘉「そーそー」
未央「あと一つは?」
美嘉「あと一つは――ふふっ」
未央「美嘉ねぇ? どーしたの?」
美嘉「あと一つは――歌が下手」
美嘉「ってことかな」
未央「んん?」
未央「それ、ほんと?」
美嘉「うん。マジだよマジ♪」
未央「おっかしいなぁー……」
美嘉「ん? どういうこと?」
未央「しぶりんの話だと、結構歌上手かったって」
美嘉「そうなんだ……」
美嘉「でも、アタシの時は下手だったよー」
未央「具体的には何があったの?」
美嘉「えーと」
美嘉「あんね――ふふっ!」
未央「……?」
美嘉「ついこの間なんだけど」
未央「ほうほう」
美嘉「ちょうどツアーの最終日……ライブの全てが大成功に終わった、その後なんだけど」
美嘉「アタシたちが撤収する前、プロデューサーが一人きりで武道館の連絡通路にいたのを見つけたんだ」
美嘉「覗き見は悪いと思ったけど……。ちょっとだけ様子を見て、その後出て行けばいいかなーと思ってさ」
未央「そ、そしたら……?」
美嘉「プロデューサー、何やってたと思う?」
未央「何って……。歌が下手ってことは……」 - 26 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/02/04(木) 08:02:53.062 ID:tcZ/zplD0.net
- 美嘉「そーそー」
美嘉「あんね……!! ふふっ!!」
未央「ちょっと美嘉ねぇ、早く教えてよー!」
美嘉「思い出すと……ヤバくて……!! ごめんっ……!!」
美嘉「ふぅー……。あのね」
美嘉「その通り、一人で歌ってたんだ」
美嘉「しかも『お願い! シンデレラ』を」
未央「え、えぇ……!?」
美嘉「それがさー、ふふっ!!」
美嘉「フリも完璧で、踊りながら歌ってるの……!!」
美嘉「ヒーッ……!! 腹が……!!」
未央「その歌が、下手だった……?」
美嘉「そそっ……!! あのハスキーな声で……!! 音程が……!!」
美嘉「もうダメ……!! 腹筋が……!!」
未央「そうかー」
未央「でもおかしいねー。しぶりんの時は『歌は意外と上手い』って話だったけど」
美嘉「それね」
美嘉「ま、凛の時は調子良かったんじゃない?」
美嘉「ふぅ」
美嘉「まぁ、大成功で……プロデューサーも嬉しかったんだろーね」
美嘉「でも、成功できたのもプロデューサーのおかげだし」
美嘉「色々と分かち合いたいのに……。本人は自分のことは教えてくれないし」
未央「だねー……」
未央「ま、とりあえずいくつか新しい情報をゲットできたから良しとしますか……」
未央「その六、プロデューサーは野球経験者。そして歌は上手い時もあれば下手な時もある」 - 27 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/02/04(木) 08:07:18.073 ID:TlBe7uTm0.net
- 卯月「そうだったんだ……」
凛「ますます謎になってきた……」
未央「とりあえず、集めた情報をまとめてみますかっ!」
卯月「まず――」
凛「意外と歌が上手くて」
卯月「そして、演技も上手い」
未央「ダンスもできる」
凛「司会や番組進行についても妙に詳しくて」
未央「レポートもできて」
卯月「野球経験者で……歌は下手」
未央「そこから導きだされる答えは――!?」
卯月「……」
凛「……」
三人「「「これ、もう分かんないよ」」」
卯月「プロデューサーさんは一体何者なの!?」
凛「かえって謎は深まるばかり……だね」
未央「こうなったら――」
卯月「どうしたの?」
未央「――ちひろさんに聞いてみるしかない」 - 28 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/02/04(木) 08:12:02.062 ID:TlBe7uTm0.net
- 未央「――というわけで」
三人「「「お願いします、ちひろさん」」」
ちひろ「あら、プロデューサーさん本人に聞けばいいじゃない」
卯月「それが――」
凛「教えてくれないんです」
ちひろ「ふふっ。みんなプロデューサーさんのことが好きなのね♪」
凛「そ、それは……!!」
未央「みんなプロデューサーのことは大好きだよっ」
未央「ねっ?」
凛「う、うん……!」
卯月「はい!」
未央「だから、どんな人か知りたいんですけど……。本人は教えてくれないんですよー」
卯月「もしかして――以前は俳優さんだったんですか!?」
ちひろ「どうでしょうねー♪」
凛「それじゃ……ダンサー!?」
ちひろ「さぁー♪」
未央「まさか――アイドルとか!?」
ちひろ「どーでしょー♪」
未央「あー! ちひろさん、実は知ってますよね!?」
卯月「ちひろさんだけズルいですっ!!」
凛「少しくらいは教えて欲しいです」 - 30 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/02/04(木) 08:16:24.534 ID:TlBe7uTm0.net
- ちひろ「もう、みんなかわいいわねー」
ちひろ「世の中には、秘密にしておいた方が面白いこともあるのよ?」
卯月「ううっ……。いじわるですよぉ」
ちひろ「プロデューサーさんはどんな人間なのか」
ちひろ「それは、あなたたちから歩み寄っていけば分かるのかもしれないわね♪」
未央「そうしてるのに、教えてくれないんですよぉー」
ちひろ「それじゃ、もっと……もっと歩み寄ってみるとか?」
凛「そんな無茶な……」
ちひろ「まぁ、その内――来るべき時が来たら」
ちひろ「少しずつ教えてくれると思うわよ?」
卯月「来るべき時……?」
ちひろ「えぇ。例えば――打ち上げがまだだったわ」
凛「打ち上げ……」
未央「あっ、そういえばツアーの打ち上げ」
未央「みんな忙しくて、スケジュールが合わなくて」
未央「まだやってないよね!」
卯月「……!!」
凛「ということは――」
ちひろ「まあ、打ち上げが近い内にあるのは確実なのだし」
ちひろ「その時に、何かしら分かるのかもしれないわね?」
卯月「ど、どういうことですかぁ!?」
ちひろ「それは、当日のお楽しみよ――」 - 31 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/02/04(木) 08:22:09.623 ID:TlBe7uTm0.net
- 見事、大成功に終わったシンデレラたちのライブツアー。
ある日、その打ち上げが盛大に行われた。
喜びを噛み締め、分かち合うアイドルたち。
宴の中で絆はより強固なものへ変わり、彼女らはまた明日を生きていく。
トップの座を掴む、その日まで――
P「それじゃー、俺から余興を一つ!!」
美嘉「アハハッ!! プロデューサー酔っぱらってる!!」
P「お゛ーね゛がい゛ー、シン゛デレ゛ラ゛ァ゛―」
P「ゆ゛め゛はゆ゛ーめ゛で――」
ちひろ「あの、プロデューサーさん、そろそろ……」
P「……」
P「あぁ……」
一同「――?」
P「ったく、しょうがねぇーなぁー」
ちひろ「皆さん、頑張ってくれた皆さんのために」
ちひろ「プロデューサーさんからお礼の出し物があるそうですよー?」
卯月「ま、まさか……」
未央「何が始まるんです!?」
凛「いつの間にかカラオケのセットが用意されてる……?」
おおー!! やったれ!! プロデューサーかっこいいよー!!
卯月「みんな、凄い盛り上がりだね!」
未央「何を見せてくれるんだろーね!?」
凛「歌を歌ってくれるのかな?」 - 32 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/02/04(木) 08:26:52.043 ID:TlBe7uTm0.net
- P「えー、マイクテスト」
P「お前ら、今回もよくやってくれた」
P「でも、まだまだこれからだぞ!!」
P「頑張ってくれたお前らへ、俺から一曲――」
美嘉「下手だったら許さないかんねー!!」
P「うっせ!!」
P「それでは――聞いてください」
ある時代、若者世代を席巻したアイドルグループがあった。
しかし、突如として彼らは解散を宣言する。
現在、彼らのその後を知る者は少ない。
グループの一人、ある男はこう言った。
手ごたえも、生きがいも、やりがいも……。この三つは大事にしていることなんです。
その言葉の通り、彼は彼なりの道を見つけたらしい。 - 33 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/02/04(木) 08:33:08.102 ID:TlBe7uTm0.net
- 中居P「聞いてください――However」
http://www.pideo.net/video/youku/e9053605082d840b/
完。 - 35 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/02/04(木) 08:41:16.582 ID:TlBe7uTm0.net
- キ○タク「ちょ、待てよ!!」
キ○タク「こんな未来ダメだろ!!」
キ○タク「やっぱ俺がタイムリープして解散食い止めねぇと!!」
完。

「モバマス」カテゴリの記事
- 2016/02/05(金) 08:38:40
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中居くんかなーって思ったら中居くんだった
- 2016/08/15(月) 03:27:03
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昨日、年内での解散発表したよ。全く、解散芸はアスタリスクだけにして欲しいわ(すっとぼけ
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