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男「とある平日、春の夜に」
- 1 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/11(月) 18:14:11.71 ID:SziaXQKR0
- 男「……やっちゃったなぁ」
男(今日は午後が開いたからって、昼寝をするんじゃなかった)
男(特にやる事もないし……どうしよう)
男(……うん、どうせしばらくは眠れないんだ)
男(よし)
男「散歩にでも行こうかな」
- 2 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/11(月) 18:26:21.06 ID:SziaXQKR0
- 男(もうすっかり春だなぁ)テクテク
男(冬が終わって、緩やかに包み込んでくる、春の夜の空気だ)
男(そう言えば、夜に散歩するなんて初めてだな)
男(お、駐車場に猫が)
男「……おお、もう一匹」
男(なんだなんだ? 次々と遭遇するじゃないか)
男(夜は猫の時間って訳か……目が光ってて怖い)
男(……そう言えば、こんなに静かな道も珍しいな)
男(僕の足音だけが響く、真っ暗な世界)
男(まるで僕だけがそこに存在しているようだ)
グウゥウウゥ……
男「……」
男(……とりあえず、何か食べたい) - 3 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/11(月) 18:48:09.24 ID:SziaXQKR0
- アリガトウゴザイマシターッ
男(さて、どこで食べようかな)
男(……お、丁度良い公園がある。ベンチに座らせてもらおう)
男(通報されたら困るけど)ヨイショッ
男「いただきます」パン
男「うまっ……焼き鳥うまっ……」
男(ふう、おでんも美味しい……ちくわがあって良かった)
男(身体の芯に沁みるねえ)
男「へえ、ドーナツも思ったよりちゃんとしてる」モサモサ
男(最近のコンビニは、こんなものも置いてるんだなぁ)
男(……あれは北斗七星? よくわかんないけど)
男(……昔は、友人達と夏の夜、旅行先で星空を眺めたりしたなぁ)
男(彼らは今、どうしているんだろう)
男(……また会いたいな)
男「……ごちそうさま。さて、行くか」スッ - 4 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/11(月) 19:08:25.67 ID:SziaXQKR0
- たん たん たん たん
男(春の朧月がほのかに照らす夜、一人僕の足が奏でる音)
男(辺りには誰も居ないけれど、それが何だか妙に居心地が良い)
男(「他者」に介入されない、僕の夜)
男(たまには、そんな夜があっても良いんじゃないか)
男(ああ、でも桜がもう散りそうだな)
男(緑が大分混ざってきてる。葉桜に世代交代はもうすぐだろうな)
男「……ん」
男(普通に通り過ぎる所だった。こんな所に……!?)
男「――おぉ……」
男(それは小さな公園だった)
男(遊具はブランコと埋まったタイヤだけ、後は小さなベンチが一つ)
男(しかし、そこには見事な桜が咲き誇っていた)
男「夜桜、か……」
男(ぼろぼろの灯りが、その夜桜をより幻想的なものにしていて)
男「……良いなぁ」
男(きっと、この公園はあまり使われていないだろう)
男(今じゃなければ、誰にも見向きもされないかもしれない)
男(その「今」に巡り合えた事に感謝しなくては)
男(さて、そろそろ出ようかな)
男「バイバイ、また来るよ」 - 5 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/13(水) 22:35:58.06 ID:rBGFuxEt0
- 男(静かだなぁ)テクテク
男(……お、木に植物の蔓がびっしり絡まってる。すごい生命力だなぁ)
男(ッ……ああ、この音は猫除けの機械か。この超音波みたいなの)キーッキーッ
男(ん、あれは?)
男(あ……池だ)
男「おお、これは良い……」
男(静かな池に、ぷかりと浮かぶ大きな満月)
男(水面に映る風景というのは、どうしてこんなにも心に響くのだろう)
男(今この緩やかな月を見れているのは、僕だけだ。何だか申し訳ない)
男「……静かだなあ……落ち着く……」
男(良い所を見つけてしまった。また暇な時は来てみよう)
男「……満足だ。さて、次はあっちへ行こうかな」 - 6 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/13(水) 22:40:46.45 ID:rBGFuxEt0
- たん たん たん たん
男(散歩は好きだ)
男(普段は見えない部分が、のんびりと歩いていると突如見えてくる)
男(僕らが忙しさに追われ、見えていない部分。それが浮き彫りになるから不思議なものだ)
男(それが夜だと、一層景色が違って見える)
男(いつからだろう? 夜が平気になったのは)
男(子供の頃は、真っ暗な景色が、ひどく怖かった)
男(見知った道でさえ、未知の世界のように感じていた)
男(友人と行った知らない場所。夕方になり、陽が暮れかけるだけで、不安に心を掻き毟られていた)
男(家にたどり着き、家族の顔を見るだけで、ほっとしたものだ)
男(あの時から、どれだけの時が経ったんだろう)
男(勿体ないな、あの学生時代。やる気が起きなくて、ただぼんやりと日々を過ごしていた)
男(何をするにも自由だったあの時代。あの時に、何か大切な事を忘れてきてしまった気がする)
男(子供から大人になるその隙間。僕らは、その隙間に何かを置いてきてしまうのではないか)
男(……だけど、きっと、それでいいんだろう)
男(そうして失ったものを、僕らは時折懐かしむ)
男(それが出来ているうちは、僕らの心には余裕があるはずだ)
男「……さて、そろそろ戻るか」
男(静かな世界。春の夜の暖かさに包まれながら、僕は一人、歩き出した) - 7 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/13(水) 22:43:20.80 ID:rBGFuxEt0
- 相変わらず短いですが、終わりです。ありがとうございました。
- 8 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/14(木) 06:18:59.52 ID:eMGgi7rCO
- いい雰囲気
乙です

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