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ギャグ漫画主人公「ギャグ補正が消えた……!?」

1 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/16(土) 18:08:19.83 ID:RFqGeJeno
突然の天の声であった。



「お前のギャグ補正はなくなった」



声の主が、この世界の創造主であることはまず間違いない。



主人公は愕然とした。

それもそのはず。


「ギャグ補正」がなくなったということは、
すなわち、主人公に「死」の可能性が出てきたことを意味するからだ。




2 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/16(土) 18:10:33.44 ID:RFqGeJeno
この漫画の主人公はいわゆる「体を張るタイプ」であった。


スズメバチに刺され、複数人から殴られ、トラックにひかれ、崖から落ち、宇宙空間に放り出され、
最後にお決まりのセリフ「ふざけんな!」を叫び、読者を笑わせるスタイルであった。



これらの無茶なギャグは「どんな大怪我しても死なないし、次回までには治っている」という
ギャグ補正があったからこそできたのだ。


3 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/16(土) 18:13:17.07 ID:RFqGeJeno
「つまり、今度ひどい目にあったら本当に死んじまうってことかよ! ふざけんな!」



いつものように叫びつつも、主人公の顔には恐怖の色が濃厚に浮かんでいた。

いくらフィクションの登場人物とはいえ、己の役割を自覚しているとはいえ、
生存欲求や死への恐怖心は、現実の人間並みに持ち合わせている。



次は本当に死ぬからね、と言われて平常心でいられるわけがなかった。


4 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/16(土) 18:15:09.89 ID:RFqGeJeno
あわてて周囲を見回す主人公。


走る自動車、空を飛ぶ飛行機、工事で道路に開けられた大きな穴、喧嘩っ早そうなチンピラ。
「死の原因」となりそうな材料がよりどりみどりである。



昔はこれらの材料に進んで向かっていった主人公であったが……。


5 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/16(土) 18:17:47.64 ID:RFqGeJeno
「こんなとこにいられるか! 俺は死にたくないんだ! 助けてくれえっ!」



主人公は駆け出した。
その顔は青ざめ、白さすら帯びており、全身からは冷たい汗を噴き出していた。



もはや彼には目に映るもの全てが自身を死にいざなう罠(トラップ)にしか見えなかった。


6 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/16(土) 18:20:03.58 ID:RFqGeJeno
主人公は自宅に引きこもった。
自室で体育座りになり、震えながら、スナック菓子を頬張る。



「もう俺は……絶対外に出ないぞ、絶対に!」



仲間たちが呼びにきても、主人公は居留守を続けた。


8 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/16(土) 18:22:03.85 ID:RFqGeJeno
一体どれぐらい引きこもっただろうか――





すっかりやせ細った主人公は、一つの答えらしきものにたどり着いていた。


9 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/16(土) 18:24:29.77 ID:RFqGeJeno
たとえこのまま引きこもっていたとしても、いつかは食料が枯渇し、餓えて死ぬ時がくる。



それにもしかしたら、家に強盗がやってくるかもしれない。

もしかしたら、トラックが突っ込んでくるかもしれない。

もしかしたら、隕石が降ってくるかもしれない。



もしこれらの「もしかしたら」を全て問題なくクリアしたところで、寿命は必ずやってくるのだ。


10 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/16(土) 18:27:20.94 ID:RFqGeJeno
これは自分だけではない。
生けとし生きる者全て、みんないつ降りかかってくるかもしれない「死」と懸命に戦っているのだ。

ならば自分だけ怯えるわけにはいかない。逃げるわけにはいかない。



主人公は立ち上がった。

立ち上がって、ドアを開けて、外へ出る。



読者を笑わせるために。


11 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/16(土) 18:28:49.30 ID:RFqGeJeno



コツンッ




12 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/16(土) 18:31:42.65 ID:RFqGeJeno
玄関を出た途端、たまたま飛んできた野球ボールが主人公の頭にヒット。



「ふざ……けんな……」



よほど打ちどころが悪かったらしく、倒れた主人公はそのまま還らぬ人となってしまった。


13 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/16(土) 18:35:04.05 ID:RFqGeJeno
彼の死と同時に、連載は終了した。


ギャグ補正が消えたことを恐れ、死から出来る限り遠ざかろうとし、
やっと一つの答えを見つけたと思った矢先にあっけなく死ぬ――

この命と引き換えの改心のギャグは、大勢の読者の笑いを誘った。

悪趣味だ、主人公が気の毒だ、という声もあるにはあったが、
元々この漫画がバイオレンスさやブラックユーモアをウリにしていたこともあり、
最終的な評価は「この作者らしい最終回だった」というところに着地した。



最終回最後のコマ。主人公の死に顔は、これまでになく充実したものとなっていた――








― おわり ―


14 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/16(土) 18:37:02.72 ID:RFqGeJeno
……


……











天の声「じゃあ来週から、新連載としてあの世編スタートするから」

主人公「ふざけんな!!!」


15 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/16(土) 18:39:07.98 ID:q88tPwa80
いいオチだったwwwwww


元スレ:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1460797699/


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