スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
渋谷凛「行ってきます」
- 1 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/19(火) 04:18:38.60 ID:iFAYVApt0
- 数年前のある日、少女は男に出会った。
「あなたとならば頂点に辿り着ける」
男はそう言って手を差し出す。
少女は訝しがりながらも男の手を取った。
こうして歯車は小気味の良い音を立てながら回り出す。
- 2 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/19(火) 04:19:32.53 ID:iFAYVApt0
- 男は少女に曲とドレスを贈った。
「行ってきます」
ドレスを身に纏った少女はステージに立つ前に決まって男にそう告げる。
振り返ることはただの一度もなかった。
「行ってらっしゃい」
男の言葉を背中で受け取ると少女は光の中へと進んで行く。
これが少女と男の日常であった。
- 3 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/19(火) 04:20:07.20 ID:iFAYVApt0
- 少女は男の期待にステージで応えた。
「よくやった。お疲れ様」
スーツを着込んだ男はステージが終わった後に決まって少女にそう告げる。
視線が合わないことはただの一度もなかった。
「ありがとう」
肩で息をする少女が頬を緩ませ礼を述べる。
男は黙ってタオルと常温のスポーツドリンクを差し出す。
これが男と少女の日常であった。
- 4 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/19(火) 04:21:31.17 ID:iFAYVApt0
- そんな日々を繰り返すうちにいつしか少女はトップアイドルと呼ばれるようになった。
「いつの間にか遠くまで来ちゃったね」
そう言って彼女はデビューシングルのジャケットを撫でる。
「いつの間にかトップなんて大層な称号が付くようになっちまったなぁ」
男はパソコンから目を離して彼女の方へと向き直りそう呟く。
「私達のゴールってどこなんだろうね」
彼女は漠然とした質問を投げかける。
男は眉を少し上げて「さぁ?」と返す。
少なくとも“此処”ではない。
- 5 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/19(火) 04:22:12.61 ID:iFAYVApt0
- あの日の少女の名は渋谷凛。
女子高生。
現在の彼女の名は渋谷凛。
トップアイドル。
外見は変われども彼女の芯はぶれていない。
どれほどの喝采を浴びようとも彼女の瞳は変わらぬ場所を映している。
ならば、男の取るべき行動は一つである。
- 6 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/19(火) 04:26:41.05 ID:iFAYVApt0
- 「約束は守るよ」
男は自身に誓うかのように呟く。
「じゃあ行こうか」
彼女はそう言って手を差し出す。
男は迷うことなくその手を取った。
こうして歯車は再び回り出す。
- 7 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/19(火) 04:27:50.59 ID:iFAYVApt0
- ***
「183分の1」
アイドルの中のアイドル、シンデレラガール。
口に出してみると改めてその倍率にゾッとする。
私は、渋谷凛は一度シンデレラガールになっている。
にも関わらずこうしてまたこの舞台に帰ってきた。
お前は贅沢だ、と言われてしまうだろうか。
お前は我儘だ、と言われてしまうだろうか。
私はそれでも構わない。
自分の気持ちに嘘をつくくらいならばそっちの方が何倍もマシだ。
- 8 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/19(火) 04:28:16.93 ID:iFAYVApt0
- あのガラスの靴を履きたい子がたくさんいるのは私も知っている。
だけど、それは私が進むのを諦めていい理由にはならない。
私をここまで育ててくれたプロデューサーと
私をここまで支えてくれたファンのために。
二足目のガラスの靴を持って帰りたい。
彼が渋谷凛のプロデューサーであることを誇れるように。
ファンのみんなが自慢できるような存在であるために。
- 9 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/19(火) 04:30:57.95 ID:iFAYVApt0
-
ドレスを身に纏った私は振り返って彼を見る。
「行ってらっしゃい」
スーツを着込みそう言った彼の瞳はステージを映していた。
「不安そうな顔しないでよ」
私がそう言うと彼は、はっとして私を見る。
「そう、だな。信じてる」
「うん。待ってて」
大きく深呼吸をして「よし」と呟き光の中へと歩き出す。
「行ってきます」
おわり
- 10 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/19(火) 04:32:45.72 ID:iFAYVApt0
- この話の続きは20日後に皆様の手で。
どうか渋谷凛に皆様の力をお貸しください。

「モバマス」カテゴリの記事
-
- 【モバマス】ありがちな終末
- 【モバマス】周子「乃々ちゃんひんやりしてるー」
- 渋谷凛「渋谷の世界」【パロ】
- 沙紀「モーニンググローリーにくちづけを」
- 氏家むつみ「牛丼屋の世界レベル」【デレマスSS】
- モバP「アイドルに何言われてもエイプリルフールは明日だよって返す
- モバP「今年の中二病はたちが悪い」
- 渋谷凛「プロデューサーに構ってもらいたいんだけど、どうしたら良いかな?」
- モバP「ハッピーバースデー、ありす!」
- 渋谷凛「ひとりよりふたり」
- 凛「プロデューサーが寝てる……」モバP「ぐぅ」
- 鷺沢文香「貴方と私の言葉探し」
- 晶葉「盗聴器発見器を作ったから試してほしい」 モバP「え?俺が?」
- 速水奏「レセバスメモリー」
- 狩野英孝「僕イケメン!」輿水幸子「ボクカワイイ!」
コメントする
全ランキングを表示