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まどか「ほむらちゃんは最高の友達」

1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/13(月) 18:18:48.72 ID:oju1Icet0
 最近、何かおかしいことが私の身の回りで起こってるんです。
というのも、昨日はあったはずのブラが、次の日には無くなってるんです。

「これはお気に入りだから明日つけていこっと」
と思いながら、お着替えセットの一番上に置いておくと、次の日にはないんです。
パパやママ、果てはタツヤにまで聞いてみたんですけど、返ってくる言葉は

「知らないよ」

だとか、

「あー、まろかー」

だとか、そんなのばかりで全く解決になりません。
一体、何が起こってるの?




2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/13(月) 18:21:32.38 ID:oju1Icet0
 いくら探しても見つからないし、一人で考えても答えは出てこないので
私は協力を要請しようって、そう考えたんです。

 ほむらちゃんに発信した受話器を大事に抱えながら、繋がるのを待ちます。
こんなこと相談できるのは、ほむらちゃんしかいないって、そう思ったから。

 さやかちゃんだとからかわれちゃいそうだし、杏子ちゃんはそんなもん必要ないって一蹴しそうだし、
マミさんはサイズの合わないブラをくれそうで困っちゃいそうだし、
真剣に聞いてくれるのはほむらちゃんだけかなって、そう思ったんです。
だから、ほむらちゃんに掛けたんです。他意はありません。

「も、もしもし? まどか?」

やっと繋がってくれて、私は安心しました。
思わず、受話器を握る手にも、ギュッと力が入ります。

「あ、ほ、ほむらちゃん! ちょっと……いいかな? 相談したいことがあって」

そう伝えると、ほむらちゃんは「すぐに行くわ」と言ってくれました。
驚いた。これが一番最初の感想です。
そして、嬉しかった。これが徐々に湧きあがってきた私の感情です。


4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/13(月) 18:22:56.14 ID:oju1Icet0
 ソワソワとリビングで待っていると、ものの数分でチャイムの音が鳴り響きました。

「ほむらちゃんだ!」

私はちょっと駆け足になりながら、すぐに玄関へ向かいます。

「ほむらちゃん!」

ガチャッ、と勢いよく扉を開けると、そこにはとても心配そうな顔で服の上からブラをしたほむらちゃんが立っていました。

「まどか! 一体何があったの!?」

半ば叫ぶようにそう言うほむらちゃんを、私はどんな顔で見つめていたのでしょうか。
とりあえず義務的に私の部屋へ上がってもらうことにしました。


9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/13(月) 18:24:03.96 ID:oju1Icet0
 ハァハァと息切れをしていたので、私はほむらちゃんに飲み物を出そうと思いました。
「それほど急いで来てくれたんだ」と、ちょっと嬉しくなったのを今でも覚えています。

 グラスに入れられたオレンジジュースも半分になり、滴る水滴がおぼんにお池を作り始めたころ、私はほむらちゃんに聞きました。

「ねぇ、ほむらちゃん。……私のブラ盗んでる犯人知らない?」

ほむらちゃんは私の目をじっと見つめました。
私も、それに応えるように見つめ返します。
スッとグラスを流れ落ちる水が、一瞬ほむらちゃんの水色のブラを映し出しました。

「綺麗だなあ……」

――そう思いました。


10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/13(月) 18:25:41.48 ID:oju1Icet0
 「どんなブラを盗まれたのかしら?」

 ようやく口を開いたほむらちゃんは、そう言いました。
犯人を探すのなら、その事件の詳細を詳しく調べ上げる必要があるから、だそうです。

「何枚か盗まれちゃってるんだけど、昨日盗まれたのは、水色のブラかなぁ」

私がそう言うと、

「昨日も盗まれたの!?」

と、ほむらちゃんは驚き、怒りました。
「許せない……誰がそんなことを……」と、言っているような感じがして、私は嬉しかったです。
私の相談に乗ってくれて、本気で考えてくれている。やっぱりほむらちゃんは最高の友達だって、そう思いました。


11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/13(月) 18:26:35.88 ID:oju1Icet0
「他にはどんな特徴があるのかしら? 最悪、身ぐるみを剥いででも犯人をつきとめないと」

肩に添ったブラ紐が、ぐっと沈み込みます。
ほむらちゃんは前のめりになるような姿勢で、私の目を食い入るように見つめていました。
膝に置かれた両手は、震えるほどの強さで握られています。
ほむらちゃんの本気さが、一層伝わってきました。
なので私は、

「ほむらちゃん……相手は危ない人かもしれないし、そんなにムキにならないで?
 嬉しいけど、もしほむらちゃんの身に何かあったらって思うと、私怖いよ」

と言いながら、ほむらちゃんの握りこぶしにそっと手を添えました。

「まどか……」

窓からさすオレンジ色の光が、水色のブラの真ん中にちょこんとついているリボンに溶け込んで、キラキラと輝いています。

「ううん……まどかのためだもの。私、何が何でもまどかを助けてみせるわ」

「ありがとう……」

少しの間だけ、静かな時間が流れます。
とっても居心地がいいなって、そう思いました。


12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/13(月) 18:27:07.60 ID:oju1Icet0
「そう決めたからには、やはりもう少し情報が欲しいわ。安心して? 
危険なことはしないと約束するから」

ほむらちゃんのその言葉を聞いて安心しました。
なので私は、真ん中にリボンの装飾がついていることを話しました。
するとほむらちゃんは「絶対に見つけ出してやる」と言わんばかりに、キッと眉間に皺を寄せ何かを考え始めました。


14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/13(月) 18:27:38.47 ID:oju1Icet0
 でも、私は何かが気になっていました。
そう、胸のどこかにある謎の違和感に襲われていたんです。
それを悟られたのか、ほむらちゃんに、「どうしたの? まどか」と、心配そうな顔で問い掛けられました。
どうやら、知らず知らずのうちに、私の視線はほむらちゃんの一点に集中しちゃってたみたいです。

「私の身体に何かついてる?」

そう聞くほむらちゃんに、私は「ううん……ちょっと気になることがあって」と返します。

「何かしら?」

あまりにもほむらちゃんが真剣な顔をしているので、意を決しようと、そう思いました。
遠慮しちゃダメなんだって。真剣に相談に乗ってくれてるのに、私がこんなんじゃ、いつまで経っても解決しないよね、って。
そう思ったからです。
だから、

「ほむらちゃん……なんで服の上からブラつけてるの?」

と、そう聞いてみたんです。


15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/13(月) 18:28:05.35 ID:8FLloDs40
何がなんだか分からない・・・


16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/13(月) 18:28:26.59 ID:fZbf0iQq0
なんだこれwww


17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/13(月) 18:28:46.84 ID:oju1Icet0
 一瞬、ほむらちゃんは眩しいものを見るかのように、目を細めました。

「この子は一体、何を言っているの?」

とでも言いたげに。
そして、徐々に徐々にほむらちゃんの視線が下へと下がっていきます。
私は、ただその様子を眺めるだけでした。

カランッ、とグラスの氷が踊ると同時に、ほむらちゃんの視線が止まります。
数秒の沈黙ののち、ふわりと顔を上げたほむらちゃんは、とても優しい顔で微笑んでいました。
でも、内心はすごく慌てていました。

というのも、
『急いで家を出たから忘れてた』とか、『やってしまったわ……』とか、『違うのよ、これは』
とか、テレパシーが駄々もれだったからです。
窓の外で、白い悪魔が微笑みます。
私は、とても優しい顔で微笑み返しました。


18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/13(月) 18:29:42.66 ID:oju1Icet0
 数分の沈黙ののち、ほむらちゃんの口から出てきた言葉は、

「春の新作よ、これ」

でした。
私は、「何言ってるんだろうこの人」って思いました。
そして、

「ふぅーん、そうなんだ」

と、返しました。

ほむらちゃんは、それを遮るように、「違うの」と言いました。
何が違うのか私にはさっぱりわかりませんでした。


19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/13(月) 18:30:38.88 ID:oju1Icet0
ほむらちゃんは、自分の胸を包み込むように手を添えました。
そして、

「最初からついてたの」

――ほむらちゃんの目は必死でした。



 「え? どういうこと?」

私が思わず聞き返すと、どうやら『最初からそういう作りの服である』ということでした。
そうなんだ。さすが新作だね、と思いました。
私はきっと遠い目をしていたと思います。


21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/13(月) 18:31:59.20 ID:oju1Icet0
 気が付くとほむらちゃんは綺麗な土下座をしていました。
それが本当に綺麗で、新雪のように滑らかな流線形を彷彿とさせていました。

そんな姿を見て、私はなんだかいたたまれなくなってポンッと、軽くほむらちゃんの背中に手を置きました。
手のひらに当たるホックが、ひんやりと冷たかったです。

「いいの」

そう言うと、ほむらちゃんがふっと顔を上げます。
その目は涙で潤んでいて、なんだか私の胸の奥が締め付けられたような感覚になりました。

「まど、か……?」

交差するように丁寧に重ねられた手が、フルフルと震えます。

「ほむらちゃん、真剣に考えてくれたから。許してあげる。
 でも、ブラは返してね?」

笑顔でそういうと、ほむらちゃんは救われたように涙を流しました。
そして、「少しだけ待っててちょうだい」と言い、私の家を後にしました。


22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/13(月) 18:32:35.20 ID:oju1Icet0
 数十分後、私の目の前にはブラの山がありました。
ブラジャー・マウンテンです。私にも何が何だか分かりません。

「何これ?」

私はほむらちゃんに尋ねました。

「全てまどかのブラです。ごめんなさい」

ほむらちゃんは謝りました。深々とMt.ブラに頭を埋めています。
こんなに盗んでたんだ……。
 深々と頭を下げたまま、その姿勢を崩さないほむらちゃんを見て、私は言いました。

「ほむらちゃん、もういいんだよ?
 私、ちょっとびっくりしたけど、もう、許してるから」

「……まどかぁ!!」

そうして勢いよく顔をあげたほむらちゃんの顔には、眼鏡みたいにブラがひっついていました。
私は哀愁の漂う顔で、ほむらちゃんの後ろに輝く夕陽をただただ見つめました。

終わり


23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/13(月) 18:33:20.00 ID:oju1Icet0
なんだこれって話が書けたので投下しました
ありがとうございました


24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/13(月) 18:34:18.64 ID:u7dyBwZ20
あれ?終わってる・・


25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/13(月) 18:34:46.28 ID:8KxxXT690
乙乙乙


28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/13(月) 18:42:29.34 ID:PRfFUjTu0
やるじゃん
面白かった


29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/13(月) 18:49:23.88 ID:8FLloDs40
なんだこれ・・・本当になんだこれ・・・
おつ


30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/13(月) 19:02:34.64 ID:0fxx9v6A0
切ないな


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  1. 2012/02/27(月) 22:18:45

    なにがなんだかわからない


  2. 名無しさん@ニュース2ちゃん 2012/02/28(火) 00:55:55

    文字通りどうしたらいいのか分からない……


  3. 2012/02/28(火) 03:20:21

    パンツかぶったマミさんの話 思い出した


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