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提督(うんこがしたい)
- 1 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/26(木) 19:22:53.47 ID:ONAEiYCk0
- 提督(便意とは突然、訪れるものだ)
提督(入れたものは出す。排泄とは生物としての摂理)
提督(それは分かってはいるが、ヤツはいつも予告なしに現われる)
提督(食事中だろうが、仕事中だろうが、こちらの都合などおかまいなしだ)
提督(早く出せと言わんばかりに、私の括約筋を悩ませる……)
提督(つまり、何が言いたいかと言うと)
提督(うんこがしたい)
提督(この一言に集約される)
- 2 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/26(木) 19:27:40.14 ID:ONAEiYCk0
- 大淀「……督? 提督? 聞いていましたか?」
大淀「今期の大規模作戦についてですが……」
提督「ああ、聞いていたよ」キリッ
提督「航空基地設立は、今後を見据えての重要な任務だ」
提督「是非ともやり遂げたい……が、そのためには陸戦隊との連携が必要だ」
提督「駆逐艦を中心に、近海で再演習しておこう」
提督「こればかりは、やり過ぎるということはないだろう」
提督(うんこがしたい)
- 3 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/26(木) 19:30:53.00 ID:ONAEiYCk0
- 長門「しかし、提督よ」
長門「敵の大規模艦隊も発見されている」
長門「そちらを無視するわけにもいくまい」
提督「大本営からは、航空基地設立が先だと言われているが……」
提督「当然、そちらも叩く」
提督「これには戦艦、空母を中心とした艦隊を当てる」
提督「貴様らの力、頼りにしているぞ、長門」キリッ
長門「ああ!」
提督(うんこがしたい) - 4 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/26(木) 19:34:35.08 ID:ONAEiYCk0
- 曙「待ちなさいよ、クソ提督!」
曙「あれもする、これもする、どっちも上手くしてみせる、ですって?」
曙「そんなに私たちを使ったら、資源が足りなくなるでしょ!」
曙「そんなことも分からないの!?」
提督「いや、問題ない」
提督「資料の21ページ目を見てくれ……そうだ、そのページだ」
提督「我が鎮守府にも、駆逐艦戦力が充実してきた」
提督「こちらを遠征に回せば、十分、資源はまかなえる」
提督(うんこがしたい) - 5 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/26(木) 19:36:18.27 ID:ONAEiYCk0
- 提督「お前たちには苦労をかけるが……」
提督「これも日本、ひいては世界のためだ」
提督「ひとつ、よろしく頼む」ペコリ
曙「……!」
曙「ふっ、ふんっ! だらしないんだから!」
曙「いいわよ、やってあげるわよ! これでいいんでしょ!」プイッ
提督「ああ、助かる」ニコッ
曙「……!」ドキッ
提督(うんこがしたい) - 6 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/26(木) 19:38:51.11 ID:ONAEiYCk0
- 大淀「さて、それでは、今後の目処も立ちましたね」
大淀「それぞれの隊は、大規模作戦に向けての再演習を……」
大淀「提督。提督は、付随する書類に認可をお願いいたします」
提督「ああ、分かった」
大淀「それでは、今回の会議はここまでとします」
大淀「皆様、お疲れ様でした」
提督(うんこができる……?) - 7 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/26(木) 19:45:22.43 ID:ONAEiYCk0
- 金剛「テートクゥ! お疲れデース!」ダキッ
時雨「今回も僕たち駆逐艦の出番だね。頑張るよ」ギュッ
提督「こらこら、よしなさい」
響「特に、大発が積める艦が必要みたいだね」
皐月「まっかせてよ! 司令官のために頑張るよ!」
ワイワイ キャッキャッ
提督(うんこがしたい) - 9 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/26(木) 19:48:59.01 ID:ONAEiYCk0
- 提督(……まずいな)
提督(これ以上、我慢をしてしまえば、深刻な事態に陥りそうだ)
提督(しかし、私にも帝国海軍士官としての矜持がある)
提督(間違っても、婦女子の手前、厠に行くなどと口に出すわけにはいかんのだ)
提督(ここは我慢……我慢だ……)
提督(忍耐力が試されるときだ、提督)
提督(ああ……だが……)
提督(うんこがしたい) - 10 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/26(木) 19:51:14.44 ID:ONAEiYCk0
- ~十分後~
金剛「それじゃ、提督ぅ。また後でネー」ヒラヒラ
提督「ああ、夕食の席で会おう」
バタン
提督「……」
提督(よし、行ったか)
提督(これで厠に行ける……便意を解消できるのだ)
提督(後は刺激を与えず、なるべく早く厠へ……)
提督(そして、うんこを出すのだ) - 11 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/26(木) 19:54:44.52 ID:ONAEiYCk0
- 提督(さて、廊下に出たが……)
提督(ここからが正念場だ)
提督(廊下の角を曲がって、突き当りの右にある厠へ)
提督(寄り道をするわけにはいかない。羅針盤を逸らせるのは以ての外だ)
提督(可及的速やかに、出来るだけ目立たないように……)ソソクサ
加賀「あら、提督」バッタリ
提督(うんこがしたい)
- 12 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/26(木) 19:57:37.95 ID:ONAEiYCk0
- 提督「加賀か」
提督「どうした、会議室に忘れ物か?」
加賀「いえ、あなたを探していたの」
提督「私を? どうして?」
加賀「……航空基地のことなのだけど」
加賀「海軍は今後、空母戦力を縮小するつもりなのかしら?」
提督「なんだ、そんなことか」
提督「それはない。あり得ないぞ、加賀」
提督(うんこがしたい) - 13 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/26(木) 19:59:45.33 ID:ONAEiYCk0
- 提督「航空機の行動範囲も、日増しに拡大してはいるが……」
提督「それでもなお、空母の機動性、即応性には敵わない」
提督「航空基地は、あくまで補助的な役割しかなく……」
提督「航空戦の華は、やはり、加賀」
提督「貴様ら空母なのだよ」ニコッ
加賀「提督……」
提督(うんこがしたい) - 14 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/26(木) 20:02:37.14 ID:ONAEiYCk0
- 提督「不安は解消できたか?」
加賀「ええ。煩わせてごめんなさい」
提督「いいんだ。艦娘の不安を解消するのも、提督の役目だからな」
加賀「……それだけ?」ポツリ
提督「ん? 何か言ったか?」
加賀「い、いえ、何でもないわ」カーッ
タタタッ……
提督「行ってしまった……」
提督(うんこがしたい) - 15 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/26(木) 20:04:59.44 ID:ONAEiYCk0
- 提督(これで何の問題もなくなった)
提督(厠はもはや目前だ。後は入って出すだけだ)
提督(ああ、タイルの湿った香りまで届いてきたぞ……)
提督(うんこがしたい)
提督(ははは、そう急くな。今、存分に解き放って……)
空襲警報、発令!!!!
提督「なにぃぃぃぃぃっ!?!?!?」 - 16 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/26(木) 20:07:07.29 ID:ONAEiYCk0
- 大淀『提督、この放送が聞こえていますか!?』
大淀『至急、執務室までお越しください!』
大淀『そして、艦隊の指揮を!!』
提督「あ、あああ……!?」
提督「い、いや、しかし、うんこ、うんこが……」
提督「だが、今は数分の遅れが致命的に……」
提督「だが、だが、厠はもう目の前に……」
提督「……くそっ!!」ダッ! - 17 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/26(木) 20:09:51.15 ID:ONAEiYCk0
- ~執務室~
提督「すまない、遅くなった!」
大淀「いえ、大丈夫です!」
大淀「しかし、予断は許されません」
大淀「敵は戦艦棲姫率いる艦隊です」
大淀「ただちに出撃命令を!」
提督「ああ!」
提督(うんこがしたい) - 18 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/26(木) 20:13:31.12 ID:ONAEiYCk0
- 提督「まずは空母を出撃させ、制空権の確保を!」
提督(うんこ)
提督「続いて、大和を中心とした主力艦隊を編成!」
提督(うんこが)
提督「軽巡、駆逐艦は、潜水艦、PTの警戒を!」
提督(うんこがしたい!!!!)
- 19 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/26(木) 20:15:18.75 ID:ONAEiYCk0
- 提督(これで目下の危機は凌げるはずだ)
提督(だが、私の方は……)
提督(もう駄目だ、限界だ)
提督(厠へ行くまでの猶予は……)
提督(もう、私には残されていない……) - 21 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/26(木) 20:17:17.98 ID:ONAEiYCk0
- 提督(だが、手はある)
提督(大淀の意識が通信に向けられている今)
提督(こっそりと、湯飲みに便を排出するのだ)スルスル
提督(苦渋の決断とは、まさにこのこと)
提督(しかし、私にはもう、この道しかないのだ……)
提督「……」
提督「……いざっ!!」カッ! - 23 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/26(木) 20:21:26.61 ID:ONAEiYCk0
- ――その時だった。
二体目の戦艦棲姫が、警戒網を潜り抜け、執務室を強襲したのは。
戦艦「ハハハ! ハハハッ!」
戦艦「コレデ、オワリヨォ!」グワッ!
振り上げられる巨腕。
執務室に響く、大淀の悲鳴。
しかし、提督の心に恐怖はなかった。
あるのはただ、闖入者への苛立ちだけ。
自分はこんなにもうんこがしたいのに、なぜ、それを邪魔するのか――。
苛立ちは怒りへと代わり、怒りは心を濁らせて。
絶体絶命の窮地に立った提督は。
通常ならば、あり得ない行動に出た。 - 25 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/26(木) 20:25:24.98 ID:ONAEiYCk0
- 戦艦「ハハハ……ンムゥ!?」
戦艦棲姫の笑い声を塞いだのは、提督の引き締まった臀部だった。
うんこをしようとしていたのだ。すでにズボンは脱いである。
その露わになったケツで、提督は砲弾のように戦艦棲姫の口に飛びついた。
戦艦「貴様、何ヲ……!?」
目を白黒させる戦艦棲姫。
提督を殺すことも忘れ、彼女はただ、うろたえている。
――だが。
彼女の常識を超える惨劇は、今、ここから始まるのだ。 - 26 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/26(木) 20:29:12.57 ID:ONAEiYCk0
-
――ボッ!!!!
果たして、執務室に響いたのは、爆撃の音でもなく、砲撃の音でもなかった。
それは、溜まりに溜まったガスが、栓のように詰まった便を、爆発的にひり出す音。
当然の帰結として、便器代わりの戦艦棲姫の口には、便とガスとがたちまち溢れた。
だが、事態はこれで終わらなかった。終わるわけがなかった。 - 27 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/26(木) 20:34:11.81 ID:ONAEiYCk0
-
ブリブリブリブリブリ――ぶぼおっ!!
そう、主力艦隊の砲撃が始まったのだ。
帝国海軍、健康的な提督の食事量は、常人の倍量を上回る。
それに比例し、便の量も倍々に増えていくのが道理だ。
戦艦「~~~~~~~~~~っ!?!?!?」
今や床に倒れ、口で、いや、顔中で提督の便を受け止めるだけの便器になった戦艦棲姫。
彼女はしばらくの間、手足をばたつかせていたが――。
頭部が糞便で埋め尽くされる頃、ゆっくりとその動きを止めた。
- 28 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/26(木) 20:38:18.91 ID:ONAEiYCk0
- 金剛「テートクゥ!」
長門「無事かっ!?」
事が済んだと同時に、艦娘たちが執務室に雪崩れ込んできた。
――そして、彼女らは見た。
血の気の失せた顔で、腰を抜かした大淀。
その視線の先にいる、床に横たわった戦艦棲姫。
そして、その顔に跨って、最後のふんばりをしている提督――。
語らずとも分かる、明確な真実。
それはあまりに残酷な光景だった――。 - 29 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/26(木) 20:40:54.40 ID:ONAEiYCk0
- ~一週間後~
提督(あれから一週間が経ち)
提督(破壊された施設も、すっかり元通りとなった)
提督(戦艦棲姫も泣きながら逃げ帰り)
提督(あれ以来、姿を見せる気配さえなかった)
提督(天下泰平、事もなし)
提督(航空基地の設立も順調で)
提督(近々、私が昇進することも決まった) - 30 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/26(木) 20:45:39.80 ID:ONAEiYCk0
- 提督(………………)
提督(だが、失ったものは大きかった)
提督(あれ以来、みんな、私を労わるようになった)
提督(たかが一時間の会議で、何度も用足しを勧められるようになった)
提督(明石は携帯便器を開発してくれて、長門は士官用トイレの増設を上申してくれた)
提督(そして曙は、私のことをクソ提督とは呼ばなくなった――)
提督(………………)
提督(……誰も私を貶さないが)
提督(それがかえって、虚しかった) - 31 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/26(木) 20:48:42.74 ID:ONAEiYCk0
- 提督(胸に開いた穴を、どうやって塞いだものか)
シタイ……
シタイ……
うんこが、したい……
提督(ああ、今日もまた、あの声が聞こえる)
提督(そうだ、いくら疎ましく思おうとも)
提督(人と便意とは、決して切り離せない。我慢など、できようはずもない)
提督(これもまた、人間の業なのだ……)
~完~

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