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【モバマス】 シンデレラの夜食
- 1 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/06(水) 21:05:28.00 ID:ePEeFVoy0
- ここは都内の某所にある、美城プロダクション所有の女子寮。
日々研鑽し、高みを目指すアイドルが、心と体を休ませる憩いの場所。
今日も可憐なシンデレラたちは、気の向くままに時をすごす・・・・・・
- 2 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/06(水) 21:06:12.85 ID:ePEeFVoy0
- ~奏ルーム~
午後11時、学生が主な住人となっているこの女子寮では、大半が眠りについているこの時間
もうそろそろ自分も床に就こうかしら? と考えていた速水奏は、友人、塩見周子の口から
アイドルらしからぬ、意識の低い言葉を聞いた。
周子「あかん、めっちゃおなかすいたん」
奏「ちょっと……もう夜中よ?明日もあるのだし、いくら太らないからって流石に
どうかと思うわ。 シンデレラに言うのもおかしい話だけれど、生活バランスの崩れは
美しさの時計の針を進めてしまうの。 知っているでしょう?」
周子「いややわー。 美しいだなんてそんな褒めんといて~」
奏「そうやって話をはぐらかす癖、あまり良くないと思うわ」
周子「それはお互いさま。 まー、ちょこっとつまむだけやし。 後はお水飲んでごまかすから、ね?」
奏「……ほどほどにね。 周子ちゃん」
周子「はいはーい! 奏ちゃんオヤスミ~」
ガチャ パタン
奏「…………はぁ」 - 3 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/06(水) 21:07:13.76 ID:ePEeFVoy0
- 周子「さてさて、奏ママのお許しをもらったしー」
周子(がっつりお腹にたまるものでもたーべよっと)
周子(ピザポテト……ドーナツ……)
???「……」ガサゴソ
周子「いっそコンビニにでも……って、んー?」
???「我が魔翌力の糧と成りえるものは……むぅ、トマト……トマトかぁ……」
周子「おやー? 蘭子ちゃんはなーにしてるのかな~~?」
蘭子「ぴぃぁあ! な、なにごとか!?」 - 4 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/06(水) 21:08:05.10 ID:ePEeFVoy0
- 周子「あはは! 良いリアクションどーもー。蘭子ちゃんもおなかすいたん?」
蘭子「ぅう? ……はっ! その声は我が友周子!」
周子「シューコちゃんは虎にされてしまったかー。 ガオー」ガオー
蘭子「がおー」ガオー
周子「それで、蘭子ちゃんもお夜食を探しに来たのかな?」
蘭子「おお、そうであった。 来る祝宴に向けての儀式により、我が魔翌力はすでに枯渇している」
周子「あー、そろそろライブだからねー」
蘭子「うむ。 しかし、デーメーテールの加護厚き聖櫃には既に厄災しか残されておらぬ……」
周子「生トマト食べられないかー」
蘭子「……甘いきゅうりみたいな味がするの」
周子「そっかー。 あっ、ソーセージはっけーん」
蘭子「それは明日の朝ごはんゆえ、地獄の業火に焼かれることになろうぞ」
周子「あー……それはおっかないなぁ……あっ」
蘭子「む、天啓を授かったか?」
周子「確かここらへんに……ん……あった、じゃーん冷凍ピザ~」
蘭子「おお~~~! このような至宝が隠されていようとは!妖狐の幻術侮りがたし!」
周子「いやーすっかり忘れとったわ。 確か、一昨日コストコに行ったときに買ってたんだよねー」
蘭子「褒めて遣わす! 早急に復活の儀を執り行おうではないか!」
周子「まずはオーブンに入れる鉄板と引っ掛け棒さがそっか」
蘭子「うむ!」 - 5 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/06(水) 21:08:43.98 ID:ePEeFVoy0
- 周子「さて、準備完了。あとは焼くだけなんだけどー……使い方わかる?」
蘭子「ううん」フルフル
周子「あたし普段は゛あたため゛しか使わないんだよね。よく見たらめっちゃスイッチあるやん……」
蘭子「スチーム……予熱……解凍? わ、わからぬ。特にこの突起など何の為に……」グッグッ
小梅「そ、それは……自動メニューとか、お、温度を……変えられるダイヤル、だよ……」
周子「あーこれ回すやつかー」
小梅「そ、そう……これで200℃、だったかな……えい、スタート……」ピッピッ
蘭子「ほー、後は再誕の時を待つの……み……」
「「「………………」」」
小梅「…………ばぁ」
フギャアアアアアアア!!
ウワアアアアア!! - 6 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/06(水) 21:10:34.28 ID:ePEeFVoy0
- ~10分後~
小梅「えへぇ……ふ、二人とも……猫みたいな目になってて……か、かわいかった……」
周子「あー……びっくりしたよもー……」
蘭子「流石は死に魅入られしもの。 フフフ……我が心結界をこうも容易く破るとは」
周子「めっちゃ震えてるやん」
小梅「まだ、膝……がくがくしてるね……」
蘭子「もー!」
小梅「えへへ……」
周子「おーおー良い笑顔しちゃってー」
チーン!
周子「よーし、お皿とナイフの用意して、ピザとりにいこかー」
小梅「わぁ……!」
蘭子「誕生の福音!」 - 7 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/06(水) 21:11:12.45 ID:ePEeFVoy0
- 周子「意識したらかなりイイ匂いしとるなぁ」
小梅「は、はやく……!出そう……!」ソワソワ
蘭子「冷めないうちに……!」ソワソワ
周子「大丈夫やって。そいじゃーごたいめーん」
パタン
蘭子「おお、燃え盛るマグマにて鍛えられし黄金の……おいしそう……」グー
小梅「ト、トマトとチーズが……とろとろしてる……」クゥ
周子「うはぁ、これはあかん。部屋中がおいしそーな匂いでいっぱいだよ」
蘭子「スー……ハー……」ウットリ
小梅「ホ、ホラー映画と同じくらい楽しみ……し、周子さん、はやく…………あれ……?」
周子「もう切ったからはよおいでー」
小梅「も、もう準備万端……」
蘭子「い、いつのまに……」
周子「ほらー冷めちゃうよー」
蘭子小梅「「はーい」」テテテ - 8 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/06(水) 21:12:11.24 ID:ePEeFVoy0
- 周子「うっかり八等分に切っちゃったけど、小梅ちゃんは本当に二切れでええの?」
小梅「う、うん……それでも多いくらい……」
蘭子「我が友小梅は、其の器を魔翌力で満たした方がよい。 痩せ過ぎてて……ちょっと心配かな……」
周子「蘭子ちゃんも人のこと言えないくらい細いけどね……っと取り分け終了ー」
小梅「あ、ありがとう……ございます……」
蘭子「感謝の極み!」
周子「どーもー。それじゃあいただきますの前に」
小梅「?」 蘭子「?」
周子「『周子おねーさん大好きー』って言ってみ?」
小梅「な、なんで……!?」 蘭子「ぇえ!?」
周子「いやー、なんかそういう気分? まーお夜食代だと思って、ね!」
蘭子「むぅ……致し方なし」
小梅「わ、わたしも……いい……よ……」 - 9 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/06(水) 21:12:39.33 ID:ePEeFVoy0
- 蘭子「しゅ、周子おねえちゃん、だ、大好き……!」ニコ
小梅「しゅーこおねーちゃん……だいすきー……」ニヘェ
周子「ん、おお……なんかええなーこれ。いっぱいおたべー」
蘭子「いただきまーす!んー!」モグモグ
小梅「い、いただきます……」ムグムグ
- 10 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/06(水) 21:13:06.04 ID:ePEeFVoy0
- 周子「んーっ、凄くいい気分。 それじゃああたしも」
奏「あら、私も周子お姉ちゃんのこと大好きよ?」ギュッ
周子「!? あー…………か、かなでちゃん……? なんでここにいるん?
それにお姉ちゃんて、奏ちゃんの方が年上じゃなかったっけ……」
奏「」イラッ
周子(あ、なんか踏んでもた)
奏「ふぅん……? フロア中にピザの匂いをさせておいてよく言ったものね」
周子「いやー……案外近くだと気が付かないと言いますか……ね?」
奏「それに」
周子「そ、それに……?」
奏「このピザ買ったの、私なのよね」
周子「……………………あっ」
奏「思い出したかしら? ついでに、私はまだ17歳って事も思い出してくれると嬉しいわ」ニッコリ
周子「あ、あのー……ご、ごめんね? あっほら! 明日同じの買ってくるから! コストコで! 」
奏「もぅ……仕様がないわね。 許してあげるから、お皿もう一枚持ってきて? あとそこの二人」
蘭子「!?」ビクッ 小梅「!?」ガタンッ
奏「隠れてなくても怒って……随分と斬新な隠れ方ね……」
蘭子←丸まって気配を消しているつもり 小梅←椅子の下で死んだふり
周子「奏ちゃーん、見て見てちょっと良いお皿あったよー。 伊万里焼やってー」
奏(まったく……退屈する暇がないわね)
奏「普通ので良いのに……さ、せっかく焼いたのだし、美味しいうちに食べちゃいましょ?」
蘭子「うむ!」
小梅「み、みんな……二枚になったね……」
周子「それじゃああらためて」
「「「「いただきます!」」」」
- 11 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/06(水) 21:13:32.83 ID:ePEeFVoy0
- ここは都内の某所にある、美城プロダクション所有の女子寮
青春を謳歌する乙女たちが心を通わせあう憩いの場所
団欒の声と穏やかな明かり、今日も夜は過ぎていく・・・・・・
おわり

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