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【モバマスSS】 幸福のひととき

1 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/16(土) 22:58:49.93 ID:GokDPm+j0
「「乾杯」」

二つの声が綺麗に重なる

グラスがこちりと鳴って、琥珀色の液体が揺れた

ぷはっ……うん、美味しいですね

「ええ、これはたまりせん」

相変わらず良い飲みっぷりですね♪

「あ……いつの間にかグラスが空に……」

首に手を添える彼の仕草

困ったような、何とも言えない顔が可愛らしい




3 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/16(土) 23:06:08.62 ID:GokDPm+j0
次のご注文は、どうなさいます?

「そうですね……」とメニューを開き、じぃっと見つめている

むむ……と真剣な眼差し、メニューに穴があいちゃいそう

「……高垣さんと同じものでお願いします」

むぅ、相変わらず他人行儀ですねこの人は

少しジト目で睨んだ後に、私と同じエールを注文した


4 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/16(土) 23:14:02.43 ID:GokDPm+j0
最近、シンデレラプロジェクトのほうはどうですか?

喉を潤わせてから、彼に質問をした

「……」

始めは行き先が見えていないような気がした

彼とアイドル達の見えない壁

挫けてしまわないかな? 私が支えてあげたい……なんて思ってしまった時もあった


5 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/16(土) 23:18:58.14 ID:GokDPm+j0
けれど、それは杞憂だった

「順調です。もう私が付いていなくてもそれぞれの道は見えていると思います」

嬉しそうな、そして悲しそうな声

けれど、彼は珍しく笑顔を見せた

「私は皆さんのおかげで変われることができました」

……胸がもやもやする


6 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/16(土) 23:24:05.43 ID:GokDPm+j0
それから彼は色々な話を聞かせてくれた

……さっきのもやもやがどんどん大きくなっていく感覚

楽しそうに話す彼を見て、ああ……と思う

私の知っているプロデューサーさんではないんだ

その話の中に私はいないから

もう私のプロデューサーじゃないから……



7 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/16(土) 23:29:49.12 ID:GokDPm+j0
「高垣さん? どうしました?」

きゃあっ! ……すみません

いけないいけない、せっかくの楽しいお酒の席なのに

いつ彼とこうやって飲めるかもわからないんだから、楽しまなくちゃ

私もおかわりしちゃいますね♪

今日は飲みましょう、決してお酒に逃げてるわけじゃないですよ?


8 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/16(土) 23:49:11.59 ID:GokDPm+j0
……飲みすぎちゃったかも

あれから何杯飲んだのかな

彼は全く変わらない顔でグラスを傾けている

体が大きいとお酒も強いのかしら?

なんて、けらけらと笑っていたら心配されちゃった

「高垣さん、そろそろ止めておいたほうが……」

まだ大丈夫です、もう少しだけ良いですよね?


9 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/16(土) 23:54:09.87 ID:GokDPm+j0
最後の一杯という条件で、貴方との時間を伸ばすことができた

最後はIPAで締めましょう

「IPAとは何かの略でしょうか?」

それは決まってます! いっぱいプロデューサーさんを愛……なんでもないです

「はぁ……」

これはちょっと方向性が違う


10 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/17(日) 00:01:41.87 ID:WjGfE4g80
うぅ……目の前がゆらゆらする

「高垣さん、大丈夫ですか?」

はいぃ……あ、やっぱり駄目かも……

「少し外で風に当たって行きましょう」

さぁ、と強引に腕を引かれて外に出る

あぁ……あまり揺らさないでくださいぃ……


11 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/17(日) 00:05:36.12 ID:WjGfE4g80
「今日は風が気持ち良いですね」

ここ……どこですか?

「近くの公園ですよ、しばらくゆっくりしてください」

では、お言葉に甘えて……

「高垣さん!? それはちょっと」

暗いから見えないです、はい

……んー、この膝枕ちょっと固いですね


12 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/17(日) 00:10:19.59 ID:WjGfE4g80
「はぁ……仕方ないですね」

あ、また首に手を添えてる! 私も真似しちゃおっと

そうです、仕方ないんです

……もう、もっと反応してくれても良いじゃないですか

「す、すみません……」

ふふん、いい気味です


13 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/17(日) 00:15:41.32 ID:WjGfE4g80
あの時は届かなかった手が

今では届く

貴方をこんなにも近くに感じることができる

……何がいけなかったんでしょうか?

尋ねたのは自分か、はたまた彼か

「私の力不足です、すみません」

そんなに悲しそうな顔をしないで?


14 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/17(日) 00:18:45.87 ID:WjGfE4g80
俯く彼の頬に手を添える

凄く熱い……

「高垣さん?」

鈍感なプロデューサーさんに教えてあげます

「は、はぁ……」

少なくとも私はそんな答えは求めていません

私は貴方のおかげで前に進むことができたのだから


15 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/17(日) 00:26:27.91 ID:WjGfE4g80
私は感謝してるんですよ?

貴方はちゃんとしたプロデューサーでした

だから、そんな顔をしないで?

……私のプロデューサーさん?

「そう、ですね……」

あ、久しぶりにプロデューサーって呼んじゃった

何だか気恥ずかしい……


16 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/17(日) 00:35:27.39 ID:WjGfE4g80
―――
――これは夢……かな

大きな背中と懐かしい匂い

ごつごつした手が優しく私を包んでいる

プロデューサーさん?

「はい、なんですか?」

私のプロデューサーさん?

「そう、ですよ」

そっかぁ、嬉しいです……


17 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/17(日) 00:41:13.25 ID:WjGfE4g80
現実か、夢かはわからない

けれど、私のプロデューサーさんは今ここにいる

不愛想でちょっと顔が怖いけど

本当は不器用で優しい、可愛い人

夢なら良いよね?

プロデューサーさん、―――です

「高垣さんっ?」

夢だから許してくださいね?

うん、夢だから……ね?




おしまい


18 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/17(日) 00:43:57.92 ID:WjGfE4g80
読んでくれた方に感謝を
楓さんとビアバー行きたくて書いてみました
短くて申し訳ないです……

お酒を嗜む方、ビールもなかなか面白いので是非お試しを


元スレ:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1468677529/


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