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絵里「炊きたてがいいよ!と君が叫ぶから」花陽「八月十八日は米の日」
- 1 : 名無しで叶える物語(魔王城門前)@\(^o^)/ 2016/08/18(木) 22:06:37.56 ID:d7yd+vtr.net
- 【五月・講堂】
絵里「どうするつもり?」
花陽(わあ、あの人…すっごい美人!…確か、生徒会長さん…だよね)
花陽(あの人もアイドルになればいいのに…でも話を聞いてるとスクールアイドルには否定的みたい…)
【後日・アルパカ小屋】
花陽(ふー。今日のお世話は完了♪…ん?)
絵里「…」スタスタ
花陽(あ。生徒会長さんだ…どこ行くんだろう?)
アルパカ「メ゙ェ?」
花陽「よしよし…ごめんね。ちょっと行ってくる」ナデナデ
【中庭】
花陽(思わずついて来ちゃった…ついでに花壇の水やりもしておこうかな?)
花陽(じょうろに水を汲んで…)ジャー
花陽(よいしょ…結構重い…凛ちゃんに手伝ってもらえばよかったかなぁ?)フラフラ
ドン
花陽「ピャァ!?」バシャ
絵里「!」
花陽「あ…ご、ごごごごごめんなさいっ!?」
絵里「いえ…私も、よそ見をしていたから」
花陽「えーと、ハンカチ…いや、タオルのほうが…」アセアセ
絵里「自分で拭くからいいわ。…それより悪かったわね。邪魔しちゃって…」
花陽「い、いえっ…こちらこそ、ごめんなさい…」
絵里「…」フキフキ
花陽「お花を…見てたんですか?」
絵里「ええ。…二年以上も居て、今まであまりよく見たことがなかったから…」
サァァァ…
花陽(小さな花壇だけど、いろんなお花が咲いてて賑やかでキレイ♪)
絵里「…」
花陽(でも生徒会長さんは、なんだか寂しそう…廃校になっちゃうから…かな)
- 3 : 名無しで叶える物語(魔王城門前)@\(^o^)/ 2016/08/18(木) 22:08:38.07 ID:d7yd+vtr.net
- 絵里「…」キョロキョロ
花陽「えっと…何してるんですか…?」
絵里「ここ濡れてるから…向こうがいいかしら」
花陽(花壇のそばに座って…お弁当食べようとしてたみたい)
花陽「あ、あのぉ…」モジモジ
絵里「え?…何?」
花陽「私も、一緒に…いいですか?」
絵里「…別に、ここは私の場所ってわけじゃないし…勝手にすればいいわ」
花陽「そ、そうですね…じゃあ」
花陽(金髪が水に濡れて、キラキラしてる…やっぱり生徒会長さん、きれいだな…)
花陽(可愛いお弁当…手作りかな?…なんか、女の子って感じ)クス
絵里「…なに?」
花陽「い、いえっ。…可愛いお弁当だなって…」
絵里「ああ、これ。今日は亜里沙…妹が作ったのよ」
花陽「へえ…(生徒会長さん、妹いるんだ)」
絵里「あなたのは…ずいぶん豪快ね」
花陽「はい。ごはんは何より重要な、活力の源ですから!」ドーン←巨大おむすび
絵里「ふーん…」クス
花陽(あ、笑って…か、かわいい…!)キュン
花陽「あ、あのー。もしかして…ダイエット、とか…してたり…」
絵里「え?…いえ、私はしてないけど」
花陽「じゃあ、よかったら…少し食べませんか?…私のおにぎり…」
絵里「遠慮しておくわ。これで足りるし…」
花陽「で、でも…ごはんが全然入ってないように見えるんですけど…」
絵里「別に、主食はお米じゃなくてもいいでしょう?」
花陽「…」ピク
絵里「な、なに?」
花陽「い、いえ。そう、ですね…お米じゃなくても…」プルプル
絵里(…変な子ね) - 5 : 名無しで叶える物語(魔王城門前)@\(^o^)/ 2016/08/18(木) 22:11:24.61 ID:d7yd+vtr.net
- 【六月】
絵里(うーん…)
花陽(あ、生徒会長さん。窓の外を見て…何か困ってる?)
花陽「こ、こんにちは…」
絵里「…あなた」
絵里(この子も…高坂さんたちのアイドル部に入ったのよね。正式な部ではないけど)
花陽「何してるんですか…?」
絵里「別に…何もしていないわ」
花陽「でも…あの、もしかして何か困ってるんじゃ…」
絵里「そうだとしても、あなたには関係ないでしょう?」
花陽「そう、ですか…すみません」シュン
花陽(…生徒会長さん、やっぱりスクールアイドルが嫌いなのかなぁ…私がμ'sに入る前は、もっと優しそうな感じがしたのに…)
絵里「…外」
花陽「えっ」
絵里「空を見てたのよ。今にも雨が降りそうで…」
花陽「はあ。…言われてみれば、そうかも…」
絵里「だから…今日は中庭でお弁当食べるの、やめたほうがいいかと思って…それだけ」
花陽(それで困った顔してたんだ…やっぱり生徒会長さんって、かわいい♪)クス
絵里「…なによ」
花陽「い、いえ。…じゃあ、今日は屋上で食べませんか?」
絵里「いや、屋上でも同じでしょう?…屋根がないんだから、雨が降ったら…」
花陽「そのときは、中に入って出口のそばで食べればいいかと…たぶん、この天気なら誰も来ないし…」
絵里「やめておくわ。別に外じゃなくてもいいし…教室とか生徒会室にでも行くわ」
花陽「そ、そうですか。生徒会室…副会長さんと一緒に?」
絵里「希は…たぶん誰かほかの人と一緒じゃない?…最近、あなたたちとつるんでるみたいだし」
花陽「つるんでって…(私は副会長さんとは、ほとんど話したことないけど…)」
絵里「…ねえ」
花陽「は、はい?」
絵里「どうしてついて来るの?…私は生徒会室へ行くんだけど」 - 6 : 名無しで叶える物語(魔王城門前)@\(^o^)/ 2016/08/18(木) 22:14:05.70 ID:d7yd+vtr.net
- 花陽「それは…だって、この間は…」
『…別に、ここは私の場所ってわけじゃないし…勝手にすればいいわ』
花陽「…って」
絵里「…確かに生徒会室は私的な場所ではないけれど。でも、あなたは生徒会じゃないし…」
花陽「あはは…ダメ、ですよね…ごめんなさい」
絵里「別に…私は構わないけど。でも、私の独断では決められないわ」
花陽「えーと…それって、つまり…?」
絵里「先に誰か来ていたら、諦めて。…二人きりなら、勝手にすればいいわ」
花陽「は、はいっ。…ありがとうございます♪」
絵里「…まだ、誰もいないかどうかはわからないわよ?」
花陽(…でも、二人きりだったら私と一緒にお弁当食べてくれるんだよね)
花陽「…えへへ」
絵里「…///」ガチャ
花陽(誰もいない…よかったぁ♪)
絵里「…」ジーッ
花陽「?…あ、生徒会長さんも食べますか?…おにぎり」
絵里「…海苔」
花陽「え?(…なんか一瞬、嫌そうな顔した…?)」
絵里「いえ…いつもそんなに大きなおにぎりなの?」
花陽「はい。…練習は結構大変ですから、ごはんをたくさん食べないと!」
絵里「…でも、雨が降ったら練習はできないんじゃない?」
花陽「あ、はい。…たぶんお休みになるかと…」
絵里「ふーん…それでそんなに食べて大丈夫なの?」
花陽「うぐっ…そ、それは…」
絵里「…まあ、あなたの場合スクールアイドルなんか始める前から、それくらい食べてたみたいだけど」クス
花陽(笑われた…でも、やっぱり可愛い笑顔だなぁ)キュン
花陽「生徒会長さんは…お弁当、いつも小さいですよね」
絵里「別に、普通でしょう?…私は三年生だから、もう成長期も過ぎたでしょうし…」
花陽「部活動とか、何かやってないんですか?」
絵里「今は生徒会で精一杯ね。今更、何か新しく始めるつもりもないし…」 - 9 : 名無しで叶える物語(魔王城門前)@\(^o^)/ 2016/08/18(木) 22:16:50.48 ID:d7yd+vtr.net
- 花陽「…アイドル…」
絵里「えっ」
花陽「アイドルとか…似合うと思うんですけど。…生徒会長さん、可愛」
絵里「やめて。…私は、スクールアイドルなんて認めない。…あなたたちの仲間にはならないわ」
花陽(ちょっと仲良くなれるかもって思ったのに…やっぱりスクールアイドルが嫌いなのかな。どうしてそこまで…)
ザァァァ…
花陽(あ…雨。やっぱり降ってきた…今日の練習は中止かな)
絵里「…お弁当」
花陽「え?」
絵里「いえ…何でもないわ」
花陽(何を言いかけたのかなぁ?)
【後日】
希「エリち!」
にこ「フン…ざまあみろってのよ」
花陽(ラブライブへのエントリーのために…私と真姫ちゃんは凛ちゃんの英語の勉強を手伝うことになった)
絵里「…」
花陽「あ…生徒会長さん」
絵里「小泉さん…今」
花陽「はい?…何ですか?」
絵里「いえ…特に用事ってわけじゃないの。…気にしないで」
花陽「あ、あのっ」
絵里「…なに?」
花陽「中庭…行こうかなって」
絵里「そう…私も行くつもりだったんだけど」
花陽(お弁当、一緒に食べようって誘いに来てくれたのかなぁ?)
『…お弁当』
花陽(じゃあ…もしかして、あのとき言いかけたのも…)
絵里「…勉強は?」
花陽「お昼をちゃんと食べないと、勉強も身につきませんから!」
絵里「…そうね」クス
花陽「あの…どうして」 - 11 : 名無しで叶える物語(魔王城門前)@\(^o^)/ 2016/08/18(木) 22:24:01.01 ID:d7yd+vtr.net
- 絵里「え?」
花陽「来てくれると思わなかったから…」
絵里「…別に、あなたを呼びに行ったわけじゃ…」
花陽「そうなんですか?」
絵里「…あなたと」
花陽「?」
絵里「一緒だと…いつもより美味しいような気がするの」
花陽「…生徒会長さん」
絵里「だ、だから…少しは気分が晴れると思って」
花陽「ありがとうございます♪」
絵里「…自分のためよ」
花陽「はい♪」
絵里「…///」
花陽「おにぎり…食べませんか?」
絵里「いらないわ」
花陽「ごはんを食べれば、もっと元気が出ますよ!」
絵里「…本当に?」
花陽「本当です!」
絵里「そこまで言うなら…ひと口だけ、くれる?」
花陽「いっぱい食べてください!」
絵里「…ひと口だけ。頂戴」
花陽「どうぞ♪」
絵里「ありがとう…いただきます」パク
絵里「…」モグモグ
花陽「どうですか!?」
絵里「…おいしい」
花陽「これが、ごはんの実力です!」
絵里「実力って…」
花陽「感じませんか!?」
絵里「な、何…を?」 - 12 : 名無しで叶える物語(魔王城門前)@\(^o^)/ 2016/08/18(木) 22:26:30.81 ID:d7yd+vtr.net
- 花陽「それは…生徒会長さんにはわかるはずです!」
絵里「そんなこと…」
絵里(…なんだか、体があたたかくて…ドキドキする///)
【十日後】
凛「かよちん!」
花陽「…だ、大丈夫」
絵里「もういいわ。今日はここまで」
花陽(…私が、みんなの足を引っ張ってる…)シュン
絵里「今度のオープンキャンパスには学校の存続が懸かっているの。もしできないっていうなら早めに言って。時間が勿体ないから」
【外】
花陽「ま、待って…生徒会長さん!」
絵里「何?…辞めたくなった?」
花陽「ち、違います…ごはん」
絵里「…?」
花陽「ごはん…食べましょう。一緒に!」
絵里「明日のお弁当の話?…だったら」
花陽「じゃなくて…炊きたてごはんです!」
絵里「何の話…?」
花陽「晩ごはんを…生徒会長さんと一緒に食べたいんです」
絵里「なに言ってるの。そんなこと…」
花陽「だ、ダメですか…?」
絵里「別にダメってわけじゃ…でも、そんなことをして何になるっていうのよ?」
花陽「お弁当や、おにぎりもいいですけど…炊きたてのごはんには特別なパワーがあるんです!」
絵里(くだらない…希みたいなことを)
『なんで、こんな暑い日にわざわざ…私は行かないわよ』
『陽の光を浴びると、スピリチュアルなパワーをもらえるんよ。ごはんも外で食べると特別おいしい感じがするやろ?』
花陽「廃校を防ぐためには、ものすごくパワーが必要です。だから…」
絵里「私は帰るわ。…ついて来るなら勝手にすれば」
花陽「は、はい!」 - 14 : 名無しで叶える物語(魔王城門前)@\(^o^)/ 2016/08/18(木) 22:29:49.71 ID:d7yd+vtr.net
- 【絢瀬家】
亜里沙「μ'sの小泉花陽さん…!」キラキラ
花陽「こ、こんばんは…お邪魔します」ペコ
シャカシャカ ザバー
絵里「亜里沙。スイッチを…」
亜里沙「うん」
花陽「ダメです!!」
亜里沙「Ой!?」
絵里「な、何事…?」
花陽「ごはんを炊くときの水は、ただ上から注げばいいんじゃないんです!時間をおいてお米が水を吸収して初めて、ただの水ではなく、ごはんの水分になるんです!」
絵里「そ、そう…」
亜里沙「Хорошо…」
ピーッ
絵里「やっと炊けたわね。じゃあ早速」
花陽「いけません!」
絵里「…今度は何なの?」
花陽「炊く前の浸水とあわせて、欠かせないのが炊き上がり直後数分の“蒸らし”です!蒸らさずに混ぜてしまうと、本来の目的である水分を均等に行き渡らせるはずが、逆効果になってしまうんです!」
絵里「そ、そうなの?…知らなかったわ」
亜里沙(蒸らすどころか、いつも混ぜないで食べてるし…)
えりありぱな「いただきます♪」
花陽「嗚呼、魅惑の炊きたてごはん…美しいツヤ、素晴らしい香り!立ち昇る湯気まで、さながら絹糸のよう…至福のひとときです…」
絵里(早く食べればいいのに…)パク
亜里沙「おいしい♪」モグモグ
絵里「小泉さん。今日は来てくれて…ありがとう///」
亜里沙「ありがとうございました♪楽しかったです!ごはんも美味しかったし♪」
花陽「は、はい。じゃあ…また明日」
『…ありがとう///』
花陽(今度こそ…少しは気持ちの距離も近づいたかなぁ?) - 15 : 名無しで叶える物語(魔王城門前)@\(^o^)/ 2016/08/18(木) 22:30:32.34 ID:d7yd+vtr.net
- 【翌日】
穂乃果「絵里さん。μ'sに入ってください」
絵里「私はアイドルなんて…それにグループはチームワークでしょう。…あなたたちの中に私が入ったら、せっかく今まで築き上げてきたものが台無しに」
花陽「ごはんです!」
ことほのうみのぞえりにこまきりん「えっ」
花陽「おいしいごはんを食べれば、みんな一緒です!」
絵里「いや、意味がわからないんだけど…」
花陽「大丈夫です!…私を信じてください」ギュ
絵里「…あなたが一番心配だけどね。練習」
花陽「えぇ!?」ガーン
絵里「仕方ないから…面倒見るわ」クス
【夏合宿】
絵里「花陽だけ、お茶碗にごはん…?」
花陽「気にしないでください!」
絵里「あら、私にはくれないの?…特別なパワーの源を、ひと口♪」
花陽「…絵里先輩」
絵里「禁止」
花陽「ど、どうぞ。…絵里ちゃん♪」
おわり

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