スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
理髪師「王子様の耳はロバの耳!」
- 1 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/08/26(金) 19:37:47 ID:E6gu3UPI
- <城>
国王「おぬしがこの国一番と呼ばれている理髪師か」
理髪師「この国で一番かは定かではありませんが、そう呼ばれることもございます」
国王「うむ……謙虚でよろしい」
国王「おぬしには、我が息子の散髪をしてもらいたい」
理髪師「かしこまりました」
国王「こちらへ来てくれたまえ」
- 2 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/08/26(金) 19:41:26 ID:E6gu3UPI
- 国王「ところで……」
理髪師「はい」
国王「これからおぬしが何を見ようとも、決して他言してはならぬ」
国王「もしこの約束を破れば……どうなるかは分かっておるな?」
理髪師「……もちろんです」
国王「よろしい。むろん、報酬はそれに見合うだけ払う」
理髪師「……」
理髪師(王子はもう10歳を超えているはずだが、表舞台に出たことはほとんどない)
理髪師(まさか、とんでもない化け物だったりするんじゃ……) - 3 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/08/26(金) 19:46:33 ID:E6gu3UPI
- 理髪師「お初にお目にかかります、王子」
王子「やぁ」ボサッ
理髪師(うわっ、ボサボサだ。完全に耳が隠れるほど、髪が伸びちゃってるじゃないか)
理髪師(だが……切りがいがある!)シャキーン
理髪師「それでは王子、これより散髪を開始いたします」
王子「よろしく頼むよ」 - 4 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/08/26(金) 19:48:04 ID:E6gu3UPI
- 理髪師「……」チョキチョキ
理髪師「……」チョキチョキチョキ
理髪師「……」チョキチョキチョキチョキ
理髪師(少し警戒していたが、なんてことはない……普通の髪の毛じゃないか)
理髪師(このままいけば、問題なく散髪が終わりそうだ――)
理髪師「!?」ギョッ - 5 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/08/26(金) 19:50:40 ID:E6gu3UPI
- 理髪師(なんだ!? なんだこの耳は……!?)
理髪師「お、王子……! この耳は……!?」
王子「あーあ、やっぱり驚くよね」
理髪師「犬……? いや猫……? いや、ロバ……ですか」
王子「そのとおり、ボクの耳はロバの耳なんだ」
理髪師「ロバの耳……!」
理髪師(なるほど……こういうことだったのか) - 6 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/08/26(金) 19:52:45 ID:E6gu3UPI
- 王子「分かってるよね?」
王子「もしボクの耳のことを誰かにバラしたら……“しけー”だからな」
理髪師「も、もちろんバラしませんとも!」
理髪師(いわれるまでもなく、こんなのバラしたら大変なことになる……)
理髪師(だ、だけど……) - 7 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/08/26(金) 19:54:36 ID:E6gu3UPI
- 理髪師「か、可愛い……」
理髪師「あの、ちょっとだけ触ってもいいですか?」サワッ
王子「あっ!」ピョコッピョコッ
理髪師「結構敏感なんですね」サワサワ
王子「やめろよ~!」ピョコピョコピョコ
理髪師「し、失礼しました! つい……」
王子「ふん……まぁいいよ。髪を切ってくれたんだし、触るぐらい許してやるよ」 - 8 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/08/26(金) 19:57:15 ID:E6gu3UPI
- 理髪師「――お疲れ様でした、終了です」
王子「あ~、さっぱりした! どうもありがとう!」
理髪師「では今後は、一ヶ月に一度ぐらいのペースで来ますので」
王子「うん、頼んだよ」ピョコッ
理髪師(可愛い……) - 9 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/08/26(金) 20:02:30 ID:E6gu3UPI
- それからというもの――
理髪師「王子様、ご機嫌うるわしゅう」
王子「今日もよろしく頼むよ」
~
理髪師「こんな髪型はいかがです?」
王子「うん、かっこいい! ボク、本の中に出てくる王子みたいだ!」ピョコッ
理髪師(可愛い……!)
~
王子「近頃、帝国がこの国にちょっかいかけてきてるんだってさ」
王子「ボク、心配だよ……」
理髪師「大丈夫ですよ。きっと陛下たちがなんとかして下さいます」
~
王子「お前が来てくれるようになってから、毎日が楽しくなったよ。ありがとね!」
理髪師「身に余る光栄でございます」
理髪師は王子の散髪をし続けた。 - 10 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/08/26(金) 20:05:38 ID:E6gu3UPI
- 半年後――
<理髪師の家>
理髪師「……」ウズウズ
理髪師(ああ、しゃべりたい)
理髪師(誰かにしゃべりたい)
理髪師(それに王子も、ずっと引きこもったままじゃ辛いだろう)
理髪師(しかし……しゃべったら私の命はない)
理髪師(だけどしゃべりたい……ええい、もどかしい!)
理髪師(仕方ない。せめて、地面に穴を掘って、そこに叫ぶとするか……) - 11 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/08/26(金) 20:09:47 ID:E6gu3UPI
- ザクッザクッザクッ……
理髪師「……これでよし、と」
理髪師「王子様の耳はロバの耳!」
理髪師「王子様の耳はロバの耳~!」
理髪師「王子様の耳はロバの耳~!!」
理髪師「王子様の耳はロバの耳~!!!」
理髪師「ハサミで髪の毛を切ったら、王子様の耳はロバの耳~!!!」 - 12 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/08/26(金) 20:10:26 ID:E6gu3UPI
- 理髪師「あ~、スッキリした!」
理髪師「やっぱり人間、秘密なんて持つもんじゃないな!」
理髪師「これからも、王子の秘密をしゃべりたくなったら、どんどんここで叫ぼう!」 - 13 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/08/26(金) 20:12:18 ID:E6gu3UPI
- ところが――
草木「クスクスクス……」ザワザワ…
草木「面白い話を聞いたぞ……」ザワザワ…
草木「これは叫ばずにはいられない!」ザワザワ…
草木「王子様の耳はロバの耳~!」
草木「王子様の耳はロバの耳~!」
草木「王子様の耳はロバの耳~!」
草木「ハサミで髪の毛を切ったら、王子様の耳はロバの耳~!」 - 14 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/08/26(金) 20:16:11 ID:E6gu3UPI
- ザワザワ…… ガヤガヤ……
「ねえねえ、王子様の耳はロバの耳なんですって!」
「オレも聞いた!」
「だから、めったに姿を現さないのかもしれないな」
「でもちょっと見てみたいわね、ロバの耳!」
「もし本当だとしたら、ビックリだよな」 - 15 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/08/26(金) 20:22:13 ID:E6gu3UPI
- <城>
王子「――どういうことだよ、これは!」
理髪師「いえっ、これは違うんです! 私ではありませんっ!」
王子「でも髪の毛切ったらロバの耳って……お前しかいないじゃないか!」
理髪師「いえっ、それはきっと……なにかの間違いで……」
王子「もういい! 言い訳すんな!」
王子「お前なんかしけーにしてやる!」
理髪師「ひいいっ!」 - 16 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/08/26(金) 20:27:38 ID:E6gu3UPI
- 王子「――なぁんてね」
王子「いつかはバレることだし、かえってスッキリしたよ」
理髪師「へ」
王子「やっぱり人間、秘密なんて持つもんじゃないよね」
王子「それにさ、いつもボクの髪を切ってくれてるお前をしけーにするはずないじゃん」
王子「これからもよろしくね」ピョコッ
理髪師「王子様……」
理髪師(いかん……可愛すぎる!)ハァハァハァ…
王子「おい……目つきが怖いんだけど」
理髪師「失礼しました!」 - 17 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/08/26(金) 20:29:35 ID:E6gu3UPI
- これをきっかけに、王子は市民の前に姿を現すようになった。
王子「どうも……王子です」ピョコッ
キャーキャー! ワーワー!
「可愛い~!」
「いちいち耳がピョコピョコ動くのが可愛すぎる!」
「まずいな……新しい世界に目覚めてしまいそうだ」 - 18 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/08/26(金) 20:33:41 ID:E6gu3UPI
- 国王「あれだけいっておいたのに約束を破ってしまいおって……」
理髪師「も、申し訳ありません……!」
国王「だが、結果としておぬしのおかげで息子が明るくなったのは事実」
国王「今回の件は不問に処そう」
理髪師「ははーっ! ありがとうございます!」 - 19 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/08/26(金) 20:37:51 ID:E6gu3UPI
- さて、理髪師と王子は分かり合うことができたのだが――
<城>
大臣「陛下、帝国からトップ同士の会談を要求する書状が届きました!」
大臣「どうやらこちらの返事を待たず、兵を率いて出向いてくる模様です!」
国王「ついに来たか……!」
国王「あの帝国の皇帝についてはほとんど何も知らんが、かなりの野心家と聞く」
国王「おそらく帝国はまともに話し合いをするつもりなどなかろうが……」
国王「なんとか、武力衝突は避ける方向に話を持っていかねばな……」 - 20 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/08/26(金) 20:41:05 ID:E6gu3UPI
- 王子「なんだかこのところ、パパやママや大臣たちが騒がしいんだ」
王子「帝国がこの国を欲しがってるって噂もあるし……」
王子「この国はどうなっちゃうのかな……」
理髪師「大丈夫、王子様が気にすることじゃありませんよ」チョキチョキ
王子「うん……」
理髪師「……」チョキチョキ
理髪師(帝国の武力は強大だ……。我が国とは大人と子供ぐらいの差があると聞く)
理髪師(もし、あの帝国がこの国を狙っているという噂が本当であれば……)
理髪師(この国は滅ぶ……!)チョキチョキ - 21 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/08/26(金) 20:44:19 ID:E6gu3UPI
- 一週間後――
<城>
国王(帝国のトップか……いったいどんな皇帝なのか……)
敵将軍「女帝陛下、こちらです」ザッ
女帝「狭苦しい城ね~、こんなの半日もあれば落とせちゃうわ」ヒョコッ
国王「なんだね、君は? 皇帝のご息女かね?」
女帝「あら、失礼しちゃうわ。私こそが帝国の皇帝よ」
国王「な……!?」
国王(バカな……まだ子供じゃないか!) - 22 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/08/26(金) 20:46:49 ID:E6gu3UPI
- 女帝「ああ、子供だからって甘く見ないでね」
女帝「弱冠12歳にして国のトップの大学を卒業し、軍略の天才でもあるの」
女帝「私の頭脳と帝国の軍事力で、成人するまでに全世界を我が物にしてやるわ!」
国王「なんと恐ろしいことを……!」
女帝「ところで、さっそく会談を行いたいんだけど、こっちからの要求はたった一つよ」
女帝「我が帝国に全ての領土を明け渡すか、それとも戦争するか、今この場で決めてちょうだい」
女帝「さ、どうする? 勝負する? 降伏する?」
国王「ぐ、ぐぐぐ……!」 - 23 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/08/26(金) 20:49:51 ID:E6gu3UPI
- 王子「……!」
王子「どうしよう、このままじゃこの国が……!」
理髪師「……」
王子「もし帝国に領土を渡したら、この国の市民はきっと奴隷のような扱いになるに決まってる!」
理髪師「……王子」
王子「?」
理髪師「……私の読みが確かならば、この国を救えるのはあなただけです!」
王子「ボクが!? どうして!?」
理髪師「とにかく……あなたがあの女帝の前に出てみて下さい!」
王子「うん、分かった! ……やってみる!」 - 24 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/08/26(金) 20:53:08 ID:E6gu3UPI
- 女帝「さぁ、早く決めなさいな」
敵将軍「女帝陛下は気が短い。早くせねば、待機させている軍を暴れさせるぞ」
国王「うぐ……ううう……」
王子「待って!」
国王「!? ……お前がなぜここに!?」
女帝「!!?」ビクッ - 25 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/08/26(金) 20:55:50 ID:E6gu3UPI
- 王子「あの……皇帝さん! 侵略なんて……世界征服なんてやめて下さい!」
女帝「……」
王子「お、お願いします!」ピョコッ
女帝「……」
王子「……?」
女帝「……」
王子「もしもし……?」
女帝「か……」
王子「?」
女帝「可愛すぎるぅぅぅ~~~~~~~~~~!!!」
王子「!?」ビクッ - 26 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/08/26(金) 20:58:54 ID:E6gu3UPI
- 女帝「ねえねえ、さわっていい? なででいい?」
王子「ちょ、ちょっと……」
女帝「さわらせてぇぇぇぇぇ!」
王子「やめてっ!」ドンッ
女帝「はうっ!」ドサッ
敵将軍「女帝陛下に暴力を! ……貴様!」チャキッ
女帝「お黙り!」キッ
敵将軍「!」ビクッ - 27 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/08/26(金) 21:01:58 ID:E6gu3UPI
- 王子「あ、あの……」
女帝「なんですか!?」
王子「もし侵略をやめてくれたら……好きなだけさわっていいよ。ボクの耳」
女帝「やめます!」
王子「え?」
女帝「やめます!!!」
敵将軍「ちょっ! 女帝陛下!? なにをおっしゃってるのですか!?」
敵将軍「こんなあっさりと、帝国の天下統一の野望をやめるなど――」
女帝「あ?」ギロッ
敵将軍「ひいっ!」 - 28 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/08/26(金) 21:05:12 ID:E6gu3UPI
- 女帝「ほら、あんたもご覧なさい! この子を!」
王子「ど、どうも……」ピョコピョコ
敵将軍「……!」ゴクッ…
敵将軍(こりゃあ……すげえ……)
敵将軍「ぜひとも養子に!」
王子「お断りします」 - 29 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/08/26(金) 21:07:34 ID:E6gu3UPI
- 女帝「ある哲学者はいったわ」
女帝「ケモノ耳は最上である、特にロバは極上だ、と……」
王子「聞いたことないけど……」
女帝「と、に、か、く!」
女帝「不束者ですが、これからはよろしくお願いしますね」ペコッ
王子「は、はぁ……こちらこそ」ピョコッ
女帝「かーわーいーいー!」ギュッ
王子「わぁっ、抱きつかないで!」
理髪師(どうやら私の読みは当たっていたようだな……)ホッ… - 30 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/08/26(金) 21:10:45 ID:E6gu3UPI
- それから数ヵ月後――
<城>
理髪師「今日は二つの国の正式な和解と同盟が成る記念すべき日です」
理髪師「お二人のヘアスタイルはこの私が、しっかりと整えさせていただきます」
王子「うん! かっこよく決めてよね!」ピョコッ
女帝「私の美しさと彼の可愛さを損なったら、承知しないから!」
理髪師「もちろんでございます」
おわり

「その他SS」カテゴリの記事
-
- 提督「たった11隻で攻めてくるとかwww」
- DOUWAファイナンスの有名なCM集
- 閻魔あい「休暇を貰った」
- 乃々香「クーデレ?」【天体のメソッド】
- シン「オヤジ!今日の昼メシはどうすんだ?」ソル「ラーメン二郎だ」
- プリウス「俺を買ってくれ!」俺「!」
- 光実「コウタサンにボクの手料理を食べさせたい」
- 緑間「ラッキーアイテムがコンドームだったのだよ」
- イーサン・ウィンターズ「ミアが生きてたんだ。戻ってきた」
- 遠子「ねぇ、心葉くん」心葉「なんですか?」
- スティーブ「Game Mode: Survival」
- サンドウィッチ伯爵「何かトランプしながら食べられる物を作ってくれ」
- 死神「二次元に転生できる能力だ」
- 30歳俺「魔法学校からの招待状……?」
- 狐娘「あぶらげの中に苦くて白い物が入っておる……」
コメントする
全ランキングを表示