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美食家「吐きたくなるほどうまいカツ丼……?」
- 1 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/05(月) 21:17:03.19 ID:4lMCyYOQo
- 美食家「吐きたくなるほどうまいカツ丼……?」
男「はい」
美食家「あまりにもうますぎて、飲み込むことすら勿体なくなる、ということかね?」
男「さぁ……どうでしょう」
男「いかがです? 興味ありませんか?」
美食家「そりゃもちろんあるに決まってるではないか!」
- 2 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/05(月) 21:17:53.17 ID:4lMCyYOQo
- 美食家「なにしろ、私はこの世のあらゆる美食を極めた男だよ?」
男「はい、美食のためにはどんな労も惜しまない、手段も選ばない、とか……」
美食家「ほう、私のことをよく調べてくれているじゃないか!」
美食家「珍しい料理や食材があると聞けば、たとえ地球の裏側だろうと迷わず食べに行く」
美食家「美食は常に、私の行動の優先順位第一位なのだ!」
男「それではぜひ、食べに来て下さい」
美食家「よかろう……私を満足させてくれよ」 - 3 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/05(月) 21:19:59.27 ID:4lMCyYOQo
- 美食家「ほう……」
美食家「少々狭いが、シンプルでいい部屋じゃないか」
部下「いらっしゃいませ!」
男「さっそく私と部下の二人でカツ丼を作りますので、ぜひそこでご覧になって下さい」
美食家「おおっ、目の前で作ってくれるのか! ありがたいことだ!」
男「“食事というのは食べる前から始まっている”……あなたの言葉でしたね?」
美食家「ハッハッハ、やはり君は私のことをよく分かってくれておる! 嬉しいよ!」 - 4 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/05(月) 21:21:21.38 ID:4lMCyYOQo
- 男「まずトンカツ用の豚肉を用意する」
男「肉には小麦粉、卵、パン粉をまぶし、衣にする」
男「お前は油を熱しておいてくれ」
部下「分かりました!」
美食家「ふむ……むやみに調味料で味付けせず、豚肉本来のうま味を生かすつもりか……!」 - 5 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/05(月) 21:23:24.69 ID:4lMCyYOQo
- 部下「油が170℃になりました!」
男「よろしい」
男「ではこれに、先ほどの豚肉を入れ、2分程度軽く揚げる」ジュワァァァ…
男「茶色になる前……少し白みが残る程度で取り出すのがポイントだ」ジュワァァァ…
美食家「ふっふっふ……いい匂いが漂ってきたわい」 - 6 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/05(月) 21:25:04.90 ID:4lMCyYOQo
- 男「お前は割り下(タレ)を作れ」
部下「はい!」
部下「醤油、みりん、水、そして砂糖を少々混ぜて、よくかき混ぜるんですよね?」
男「その通りだ」
男「俺はタマネギを切っていく。カツの邪魔にならんよう、なるべく薄くな」サクッサクッ
美食家「タマネギの自己主張が激しいと、オニオン丼になってしまうからな」 - 7 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/05(月) 21:27:30.67 ID:4lMCyYOQo
- 男「どんぶり鍋にさっき切ったタマネギを敷いて、その上に食べやすい大きさに切ったカツを並べる」
男「割り下は出来上がったか?」
部下「バッチリです!」
男「うん……いいだろう」
男「カツの上に、さらに割り下をかける」タラー…
男「これに蓋をして、しばらく熱を加える」グツグツ…
美食家「蓋をするのは水分が飛ぶことを防ぐためだな? ふむ、分かっておる……」 - 8 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/05(月) 21:29:37.99 ID:4lMCyYOQo
- 男「今のうちに、卵を割り、黄身を軽く潰す」グッグッ
部下「もっとよく混ぜた方がいいのでは?」
男「ふわふわな食感を出すためには、このぐらいにしておいた方がいいのだ」
部下「なるほど!」
美食家「あのふわふわ感は、カツ丼の肝といっても過言ではないからな」 - 9 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/05(月) 21:32:39.14 ID:4lMCyYOQo
- 男「この卵を鍋の中にあるカツにかけ、再び蓋をしてさらに30秒ほど煮る」グツグツ…
男「もうまもなく完成だ」
男「炊いておいたご飯を、どんぶりによそっておいてくれ」
部下「はいっ!」
美食家「……いよいよか!」 - 10 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/05(月) 21:35:31.80 ID:4lMCyYOQo
- 部下「よそいました!」
男「ありがとう」
男「このご飯の上に仕上がったカツを乗せ、三つ葉を添えれば……完成だ!」
部下「やったぁ!」
美食家「おおっ、これは素晴らしい!」
美食家「シンプルだが、シンプルゆえにダイレクトに食欲をそそられるわ!」 - 11 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/05(月) 21:36:28.09 ID:4lMCyYOQo
- 男「こちらが吐きたくなるほどうまいカツ丼です」コトッ
美食家「ふっふっふ、待ちくたびれたわい!」
美食家「じゃあさっそく、いただきま……」
男「あ、お待ち下さい」
美食家「え?」 - 12 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/05(月) 21:38:20.77 ID:4lMCyYOQo
- 男「これほど苦労して作ったカツ丼です。タダで食べさせるわけにはいきません」
美食家「なんだとぉ!? ここまで来ておあずけはなかろう!?」
美食家「金ならいくらでも払う! さ、カツ丼を食わせてくれ! 温かいうちに!」
男「いえ……お金は結構です」
男「その代わり、あなたの秘密を教えて下さい」
美食家「お安い御用だ!」 - 13 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/05(月) 21:41:29.12 ID:4lMCyYOQo
- 美食家「私は美食を極めるため、希少動物や人だって食したことがある!」
美食家「食べた後の骨は、自宅の隠し地下室に全てコレクションしてある!」
美食家「証拠隠滅が完璧だったおかげで、今のところ犯行は露呈していないがね……」
美食家「さ、話したぞ! このカツ丼食わせてくれぇぇぇぇぇ!」
男「よし、今すぐ捜索に向かうぞ」
部下「はいっ、警部! 作戦大成功ですね!」
― 終わり ― - 14 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/05(月) 21:44:15.60 ID:qMpz8zeT0
- ああ、そういう意味のゲロか

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