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エイラ「なんだコレ」芳佳「さあ」
- 1 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/22(土) 21:21:56.581 ID:fmW6i7tU0.net
- ~食堂~
エイラ「邪魔だナ。どかせよミヤフジ」
芳佳「何度もどかそうとしたんですけど……なかなか動かなくて」
リーネ「すっごく重いんです」
エイラ「しょうがない。私も手伝ってやるよ。せーの、で押すからナ」
芳佳「はい」
エイラ「せーの! んぐぐぐぐぐ」
芳佳「むむむむむっ!」
リーネ「ん~~~~!」
エイラ「ハァ!? なんだよコレ! 全然動かネー!」
芳佳「だから言ったじゃないですか」
エイラ「黒くて丸いけど、鉛か?」
芳佳「さぁ……石? ではないよね」
リーネ「困ったね……これじゃ朝ご飯が食べられないよ」
芳佳「うん……」
- 4 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/22(土) 21:27:09.384 ID:fmW6i7tU0.net
- ペリーヌ「何ですの? 朝っぱらから騒々しい」
芳佳「あ、ペリーヌさん」
リーネ「実はこれが……」
ペリーヌ「まあっ、そんな小汚い物を食卓の上に乗せるだなんて……!」
芳佳「わ、私じゃないよ」
リーネ「私も違いますっ」
ペリーヌ「エイラさん……、あなたどうしてこんなものを」
エイラ「どうしてそうなるんダ! 誰が好きこのんでこんな重たいもんを基地に持ち込むんだよ」
ペリーヌ「じゃあいったい誰が……? ともかく、いいからどかしなさい。もうすぐ皆さん集まりますわ」
ペリーヌ「そんな物が食卓に置いてあったら、邪魔でしょうがないでしょう」
芳佳「だからさっきから頑張ってどかそうとしてるんだけど……」
リーネ「全然動いてくれないんです。まるで机に張り付いてるみたい」
ペリーヌ「はぁ? そんなお馬鹿なこと」
エイラ「だったらオマエもやってみろって。1mmも動かないんだかんナー」 - 5 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/22(土) 21:31:02.221 ID:fmW6i7tU0.net
- ペリーヌ「ぬぬぬぬぬぬっ!」
芳佳「やっぱ動かないね」
エイラ「それみろ」
ペリーヌ「だはぁっ! な、なんですの? これは……」
シャーリー「うーっす」
ルッキーニ「おっはよー! みんな何してんのー?」
芳佳「あ、実は……」
―――
シャーリー「謎の物体? こいつが?」
ルッキーニ「うえー、なにこれー」
エイラ「食事の邪魔なんだ。どかしてくれよ」
シャーリー「って言われてもな。宮藤たちが試して駄目だったなら、あたしらでも無理だろ」
ルッキーニ「なんかひんやりしてるー」
ペタペタ
リーネ「ルッキーニちゃん、あまり触らない方がいいよっ」 - 6 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/22(土) 21:36:19.789 ID:fmW6i7tU0.net
- バルクホルン「皆、おはよう……ってなんだそれは!?」
芳佳「あ、おはようございます。バルクホルンさん」
バルクホルン「誰だ! こんなものを基地に持ち込んだのは! 即刻どかせ!」
シャーリー「朝っぱらからテンション高いなぁ」
バルクホルン「リベリアン、貴様の所有物か?」
シャーリー「違うって。あたしだってついさっきそいつのことを知ったんだ」
芳佳「あの、最初に食堂へ来たのは私なんですけど……その時にはもうありましたよ」
バルクホルン「何者かが夜のうちにここへ運び込んだということか……」
エイラ「いったい誰だよ。物好きな奴だナー」
ペリーヌ「ここまで運ぶメリットがさっぱりわかりませんわ」
バルクホルン「なんにせよ、こんなものがあっては食事の邪魔だろう。食卓から下ろそう」
グググ
バルクホルン「む? う、動かないな」 - 7 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/22(土) 21:41:06.242 ID:fmW6i7tU0.net
- バルクホルン「んぐぐぐぐ……! くっ……異様な重さだ」
シャーリー「おいおい、簡単に諦めちゃうなよ。頑張れって」
バルクホルン「そう言うなら、お前も手伝ったらどうだ」
シャーリー「あたしはホラ、力仕事とか苦手なタイプだし」
バルクホルン「腑抜けたことを」
シャーリー「それにさ、お前の固有魔法はこういう時にこそ役立つんだろ?」
バルクホルン「たかが荷物運びのために魔法を発動しろと?」
シャーリー「けち臭いこと言うなって。ほら、宮藤だって配膳できなくて困ってる」
芳佳「あの、がんばってください! バルクホルンさん!」
バルクホルン「仕方ない……」 - 9 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/22(土) 21:46:03.535 ID:fmW6i7tU0.net
- バルクホルン「ぐぬぬぬぬぬぬぬ!!!!!!」
メキメキメキ
エイラ「ナンカ……嫌な音がしてないか?」
ペリーヌ「え、ええ。まるで木が軋むような……」
ズズズ
ルッキーニ「あ! ちょっと動いたよ!」
シャーリー「おっ! いいじゃんいいじゃん」
芳佳「バルクホルンさん! 頑張って!」
バルクホルン「でやあああああああああああ!!!!!!」
ベキャッ
リーネ「きゃっ」
ペリーヌ「な、何の音!?」
エイラ「オワッ! 謎の物体がテーブルにめり込んでるぞ!?」
シャーリー「バルクホルン! ストップ! ストッープ!」 - 10 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/22(土) 21:51:49.316 ID:fmW6i7tU0.net
- バルクホルン「な、なんだ?」
シャーリー「おまっ、下に力を入れたら駄目だろ! あーあー、めり込んじゃったじゃん。どうすんだコレ」
ルッキーニ「いっけないんだ~! テーブル壊した~!」
バルクホルン「馬鹿な! 私は押しつけてなどいない!」
エイラ「じゃあなんでめり込んだんダ……?」
ペリーヌ「あの。これ、先ほどよりも傾いているような気が……」
芳佳「あっ、ほんとだ」
エーリカ「ふあぁぁあぁ。おはよー」
バルクホルン「遅い! 私が起こしに行ってからどれだけ経って……いや、今はそれどころじゃない」
エーリカ「んー? なにそれ」
芳佳「それが……今日の朝、気づいたらここにあって」
リーネ「すっごく重くて、バルクホルンさんでも動かせないんです」
エーリカ「へー、すごいね」
芳佳「はい……」
エーリカ「そのテーブル」
芳佳「え?」 - 11 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/22(土) 21:56:44.177 ID:fmW6i7tU0.net
- エーリカ「だってさー、トゥルーデでも手こずるほどの重さって、相当だよ」
エーリカ「そんな重たいものを乗せてるのに壊れないなんて、そのテーブルすごいなーって」
バルクホルン「……たしかに」
シャーリー「言われてみれば、変だな」
ルッキーニ「あー!」
エイラ「な、ナンダ?」
リーネ「どうしたの?」
ルッキーニ「テーブルの下! ほら!」
芳佳「下……? わっ!」
ペリーヌ「これは……! なんでしょう……棒? 柱かしら……」
バルクホルン「ゆ、床から生えているのか……?」
シャーリー「なるほど。謎の物体はベリーピンの頭の部分だったのか」
芳佳「ベリーピン……?」
リーネ「えっと、お裁縫のときにつかう針のことだよ。仮止めのために、球がついてるやつがあるでしょ?」
芳佳「ああ、待ち針のことだね」 - 13 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/22(土) 22:01:33.343 ID:fmW6i7tU0.net
- ペリーヌ「つまり……この物体はテーブルの上に置いてあるのではなくて……」
シャーリー「テーブルを貫いて、立ってる状態ってことさ」
バルクホルン「地面へ刺さり、固定されていたのか……動かそうとしても動かないわけだ」
芳佳「無理やり押したから、傾いてテーブルにめり込んじゃったんですね」
バルクホルン「そういうことだろう。やれやれ」
ルッキーニ「これで一件落着だね!」
バルクホルン「ああ。さあ、問題が解決したところで朝食を――」
バルクホルン「って、まだ何も解決していないだろうが!!!」
芳佳「え? 待ち針ってことでいいんじゃないんですか?」
ペリーヌ「あなたね……ベリーピンはあくまで例えでしょう? こんなに大きな針があるわけないでしょうに」
芳佳「じゃあ……これって何なんだろう」
リーネ「さあ……」
エイラ「結局最初の疑問に戻ってないか……?」
エーリカ「どうでもいいけどさー、朝ご飯は?」
バルクホルン「ベリーピンが邪魔で配膳できん。片付くまで我慢しろ」
エーリカ「えーっ! ならはやくソレどかせよー!」
バルクホルン「だから! それができんから困っているんだろうが!」 - 14 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/22(土) 22:05:08.126 ID:fmW6i7tU0.net
- ミーナ「皆さん、おはよう……あら? どうかしたの?」
坂本「なんだお前たち。まだ朝食をとってないのか」
芳佳「あっ! おはようございます!」
坂本「ああ、おはよう。大きな黒豆だな」
ミーナ「美緒、あれはどう見ても豆じゃないわ」
坂本「では何だ?」
ミーナ「誰か、説明してもらえるかしら?」
芳佳「あの、実は……」 - 15 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/22(土) 22:09:27.195 ID:fmW6i7tU0.net
- ミーナ「そう……たしかに、地面から生えているようね……」
ミーナ「でも、机に刺さっているということは、上から落ちてきたのかしら」
バルクホルン「だが天井に破損した箇所は見当たらない」
ルッキーニ「きっと誰かが夜中に刺したんだよ! ブスーッって!」
ペリーヌ「何のために?」
ルッキーニ「知んない」
坂本「そもそも、これは何だ? 豆でも、石でもないようだが」
ミーナ「手触りだけでは判断がつかないわね」
エーリカ「ねー、お腹すいたよー」
バルクホルン「我慢しろっ」
エーリカ「ぶー!」 - 16 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/22(土) 22:14:47.998 ID:fmW6i7tU0.net
- サーニャ「……」
芳佳「あ、サーニャちゃん」
エイラ「オッ! サ、サーニャ!? 起きてて大丈夫なのか!?」
エイラ「哨戒任務から帰ってきたばかりダロ? 寝てていいんだぞ?」
サーニャ「うん、大丈夫よ。……あの、ミーナ隊長」
ミーナ「あら、サーニャさん。休まなくていいの?」
サーニャ「はい、その、ネウロイの反応が……」
ミーナ「……!? 本当に!?」
サーニャ「はい」
坂本「距離はどのくらいだ?」
サーニャ「……どのくらいというか……ここです」
坂本「……なに? ここ?」
ミーナ「それはどういうことかしら」
サーニャ「この基地内から……ネウロイの反応が」 - 17 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/22(土) 22:19:03.794 ID:fmW6i7tU0.net
- ミーナ「……美緒、もしかして」
坂本「あ、ああ……ゴクリ」
坂本「……」
ミーナ「どう?」
坂本「間違いない。こいつだ」
ミーナ「……!」
エーリカ「どけよー! こいつー! このこのー!」
ベシベシ
バルクホルン「もっと力を入れろリベリアン……! これでは引き抜くことができん……!」
シャーリー「わーってるよ……! あー、くそっ! 手がいてぇ~!」
ギュウウウウウ
ルッキーニ「ふれーふれー! がんばれー!」
坂本「お前たち、そいつから離れろ」
シャーリー「え?」
バルクホルン「こいつを抜かんことには、我々の食卓が――」
ミーナ「それはネウロイよ」 - 19 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/22(土) 22:24:42.322 ID:fmW6i7tU0.net
- ~廊下~
シャーリー「いやー! 心臓バックバク! まさかネウロイだったなんて」
リーネ「あ、危なかったですね……」
ペリーヌ「乱暴にしがみついたりして……攻撃されていたら消し炭になってましたわ」
ルッキーニ「うにゃー! 危なかったー!」
エーリカ「む~、ネウロイに食卓を乗っ取られた~! お腹減った―!」
バルクホルン「ネウロイの侵入を許すとは……!」
芳佳「これでもう、あそこでご飯を食べられなくなっちゃいましたね……」
坂本「撃墜すれば問題ない。ミーナ、出撃命令を」
ミーナ「出撃……する意味がないわ。室内でユニットを装着しても邪魔なだけでしょう?」
坂本「それもそうだな。はっはっは」
バルクホルン「幸い、あれだけ周囲で喚いても無反応だったんだ。機動力は必要ないだろう」
バルクホルン「ここからあの球体を狙って銃撃すればいい」
ミーナ「ええ。バルクホルン大尉、お願いします」
バルクホルン「了解」 - 21 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/22(土) 22:28:02.127 ID:fmW6i7tU0.net
- 坂本「全員、退避したな?」
芳佳「はい」
ペリーヌ「問題ありません」
坂本「よし。頼む、バルクホルン」
バルクホルン「くらえっ」
ダダダダダダダ
バルクホルン「やったか!?」
エーリカ「あ、そういうこと言うと……」 - 23 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/22(土) 22:33:03.309 ID:fmW6i7tU0.net
- シャーリー「あらら、無傷じゃん」
バルクホルン「なっ……! この至近距離から弾を浴びせたんだぞ……!?」
エーリカ「ほらー、トゥルーデが『やったか!?』とか言うから」
シャーリー「なーにが『やったか!?』だ」
バルクホルン「わ、私に落ち度はないっ」
エイラ「あいつ、すごく固いんダナ」
坂本「駄目、か。よし、リーネ」
リーネ「は、はい! なんですか……?」
坂本「対装甲ライフルを試してみてくれ」
リーネ「ええぇ! ここで、ですか!?」
ミーナ「通常のネウロイより装甲が厚いようなの」
芳佳「リーネちゃん、頑張って!」
ペリーヌ「外して壁を壊さないように」
リーネ「は、はい……」 - 24 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/22(土) 22:38:24.668 ID:fmW6i7tU0.net
- リーネ「い、いきます」
坂本「うむ」
バルクホルン「抜群の貫通力だ。いくら硬いと言っても、これで終わりだろう」
エーリカ「そういうこと言わない方がいいって」
バルクホルン「何故だ?」
リーネ「えいっ」
ズダンッ
芳佳「うわっ!」
ペリーヌ「きゃっ! 埃がっ」
坂本「さすがに室内で撃つものではないな……!」
ミーナ「結果は!?」
坂本「……命中したようだが……駄目だ。コアはまだそこにある」
バルクホルン「なにぃ!?」
エーリカ「あーあ」 - 26 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/22(土) 22:43:06.508 ID:fmW6i7tU0.net
- シャーリー「固いなんてもんじゃないな。無敵なんじゃないか?」
ルッキーニ「ねえねえ、どうすれば倒せるのー?」
シャーリー「さってなぁー。たぶんバーナーとか使っても無駄だろうし」
バルクホルン「あの装甲を崩せなければコアを叩くことができない。どうする、ミーナ」
エーリカ「本部に連絡すれば? そんで軍艦の砲撃で建物ごとドカーンってさ」
芳佳「ええぇー!」
バルクホルン「501の基地を捨てろと言うのか!?」
エーリカ「冗談だよ」
バルクホルン「お前なぁ!」
ミーナ「……いえ、最終的にはそうせざるを得ないかもしれない……」
サーニャ「基地を壊しちゃうんですか……?」
エイラ「そ、それは困る! そうなる前に家具とか運び出さないと」
坂本「早まるな。最終的には、と言っただろう」
ミーナ「そうならないためにも、今できることはしておきましょう」 - 29 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/22(土) 22:48:05.002 ID:fmW6i7tU0.net
- ミーナ「ペリーヌさん、お願いします」
ペリーヌ「はい!」
芳佳「頑張って! ペリーヌさん!」
リーネ「頑張ってくださいっ」
ペリーヌ「ふふん、わたくしにお任せなさい!」
バルクホルン「赤城の装甲を撃ち抜いた電撃には耐えられまい。ネウロイめ、貴様らの侵攻もここまでだ」
エーリカ「だからそういうこと言うとさー」
ペリーヌ「トネール!!!」
バチィッ
エイラ「ドウダー?」
サーニャ「ううん、倒せてないみたい……」
ペリーヌ「うぅ……申し訳ありません少佐ぁ……」
坂本「ペリーヌの電撃も効かんか……」 - 32 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/22(土) 22:53:03.444 ID:fmW6i7tU0.net
- エイラ「ツンツン眼鏡、髪の毛がわしゃわしゃしてるぞ。おもしれー」
ルッキーニ「ほんとだー! にゃはー! もじゃもじゃー!」
シャーリー「おっ! なんだこれ、生きてるみたいだなー。触らせてくれよ」
ペリーヌ「ちょ! やめてくださいまし!」
バルクホルン「これでは埒があかないぞ」
ミーナ「……美緒、こうなったら」
坂本「よし。私の烈風丸の出番だな」
芳佳「烈風斬ですね!?」
ペリーヌ「やりましたわ!」
バルクホルン「少佐の烈風斬を食らって生き延びたネウロイはいない。さしものヤツもここまでだろう」
エーリカ「トゥルーデがそういうこと言うと失敗する気がするんだけど」
バルクホルン「なにっ?」 - 34 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/22(土) 22:57:01.651 ID:fmW6i7tU0.net
- 坂本「烈風斬!!!」
ズァァ
ガキィィィン
坂本「なっ!?」
ペリーヌ「少佐の刃が……弾かれた!?」
エーリカ「ほらぁ」
バルクホルン「わ、私は悪くないだろう」
シャーリー「だーめだ。こりゃホントにお手上げだな」
ミーナ「烈風斬ですら受け付けないなんて……」 - 36 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/22(土) 23:01:05.240 ID:fmW6i7tU0.net
- 坂本「無防備な敵へ太刀を浴びせ、傷ひとつ負わせられないとは……」
坂本「私もまだまだ未熟だな……」
ペリーヌ「坂本少佐……」
エーリカ「ねーねー。ご飯はー? まさかあのネウロイを倒すまで食べられないとか言わないよね?」
芳佳「そういえば、お腹すきましたね……」
グゥゥゥ
ルッキーニ「うにゅー、あたしもお腹減ったー」
ミーナ「……そうね。まずは食事にしましょう」
坂本「腹が減っては戦はできぬと言うからな」
バルクホルン「て、敵の眼前で食事をしてる場合か!?」
シャーリー「今のとこ害はないみたいだし、いいだろ」
バルクホルン「しかしだな」
芳佳「せっかくつくった食事が冷めちゃう……」
バルクホルン「食べるとしよう」 - 38 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/22(土) 23:06:29.269 ID:fmW6i7tU0.net
- ペリーヌ「床で食べるだなんて……」
エイラ「文句言いながら食べるなよ。飯がまずくなるダロ」
エーリカ「おっ芋~おっ芋~んふふ~」
バルクホルン「おいハルトマン。食事をしながらも敵から目を離すなよ」
エーリカ「わかってるって」
芳佳「な、なんだか落ち着かないね」
リーネ「うん……」
ミーナ「明らかに、いつものネウロイと違うわね」
坂本「ああ。何が目的で基地の食堂に居座るのか……こちらの様子を窺っているのか?」
ミーナ「そもそも、どこから入ってきたのかしら」
芳佳「あ、そういえば」
坂本「どうした宮藤。思い当たる節があるのか?」
芳佳「食堂へ来たとき、窓が開いてたんですけど……」
ペリーヌ「そういうことはもっと早く言いなさい! どう考えても、そこが侵入経路じゃないの!」
芳佳「だ、だって……まさかあの黒いのがネウロイだなんて思わなかったし……」 - 39 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/22(土) 23:11:51.478 ID:fmW6i7tU0.net
- ミーナ「食堂の窓が一晩開け放しになっていたということ?」
ペリーヌ「なんて不用心な……!」
シャーリー「誰だよ、戸締り忘れたの。寝る前にはちゃんと閉めなきゃだめだぞー?」
エイラ「昨日、最後まで食堂に残ってたやつが怪しいナ」
サーニャ「哨戒任務へ行く途中、食堂の方から歩いてくるシャーリーさんを見たような……」
シャーリー「え?」
バルクホルン「おい、リベリアン……」
シャーリー「あっ。そういや、細かいパーツを洗うために来たな……」
シャーリー「……んー、そんとき窓開けたかも……。いや、うん。開けた。なっはっはー、ごめん、あたしだ」
バルクホルン「お前というやつは……!」
シャーリー「まあまあ、どうせ窓が閉まってても、ネウロイなら割ってでも侵入するだろ?」
シャーリー「そこをホラ、あたしが開けておいたおかげでさ、窓を割られずにすんだわけだ」
シャーリー「感謝されこそすれ、怒られる筋合いはないと思うぞ?」
バルクホルン「屁理屈をこねるな! 素直に謝罪しろ!」 - 40 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/22(土) 23:16:57.439 ID:fmW6i7tU0.net
- シャーリー「だからごめんって。今はあたしを責めるよりも、後の対策を練る方が先だろ?」
シャーリー「どうしてこうなったかではなく、これからどうすべきかを審議すべきである! な! ルッキーニ!」
ルッキーニ「そーだそーだ!」
ペリーヌ「どうすべきか……まあ、相手はネウロイなんですから。やることはひとつですわね」
坂本「ああ。即刻、撃破する」
バルクホルン「だがどうやってだ。ついさっき試したように、こちらの攻撃はいっさい効かなかったが?」
坂本「うむ……コアは間違いなく、そこにあるはずなんだ。だが装甲が異様に固い。厄介だな」
エーリカ「倒せないなら引っこ抜いちゃえば? そんで海にポイ」
ミーナ「簡単に言うけれど……」
リーネ「バルクホルン大尉が魔法を使っても動かせなかったんですよ……?」
エーリカ「みんなで引っ張ればいいじゃん。綱引きみたいに」
芳佳「わー、面白そうっ」
エーリカ「でしょでしょ?」
ミーナ「却下です。下手に刺激して攻撃を受けたら大変でしょう?」
坂本「周りに何も無い空の上とは違うからな。こちらがネウロイの攻撃を避けたり弾いただけで、基地に被害が出る」
芳佳「あ、そっか……」 - 43 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/22(土) 23:22:04.283 ID:fmW6i7tU0.net
- ミーナ「この件については、一度本部へ掛け合います。前例の無いタイプだから、おそらく解析班の見解を待つことになるでしょうね」
バルクホルン「それまではヤツを警戒しつつも静観、我々はいつも通りというわけか?」
坂本「基本はそうだな。だが、夜間が心許ない」
ミーナ「そうね。サーニャさんの哨戒の他に、食堂へ見張りを立てましょう」
坂本「立番か。数はそう必要無いだろうから、せいぜい2名といったところか」
シャーリー「はい質問。誰がやるんですかー?」
エーリカ「あー、ごめん私はパス。夜は寝てるからさー」
バルクホルン「お前は昼夜構わず寝ているだろうが……だいたい、そんな自分勝手な言い分は通らん」
坂本「よし、ならば公平にくじ引きで決めよう」
ミーナ「ちょ、ちょっと美緒。もっとよく考えて選んだほうが……」
坂本「見張りをするだけだ、そう難しいことじゃない。それに、くじで決めれば後腐れも無いだろう?」
坂本「当然、最終的な判断はミーナに任せるがな」
ミーナ「それなら……まあ」
芳佳「じゃあ爪楊枝持ってきますね」
坂本「ああ、頼む。2本だけ、先端を赤く塗ってくれ」
芳佳「はーい」 - 45 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/22(土) 23:26:43.124 ID:fmW6i7tU0.net
- 坂本「皆、楊枝を引いたな? 先端を確認してくれ。赤い印がついているのが当たりだ」
リーネ「何もついてない……ハズレってことかな」
ペリーヌ「わたくしも、ハズレですわ」
ルッキーニ「やったよシャーリー! ほら見て! さきっちょが赤くなってる!」
シャーリー「おお! やったなルッキーニ! こりゃ大当たりだ!」
ルッキーニ「シャーリーは?」
シャーリー「残念ながらハズレだ。ルッキーニは運がいいな~」
ルッキーニ「えへへ~」
エイラ「この場合の『当たり』って夜中に見張りをやらされるってことだろー? それってハズレじゃないか……?」
サーニャ「エイラ。そういうことを言ったらだめよ。気持ちの問題なんだから」
エイラ「そ、そうか。そうダナ」
坂本「よし、ひとりめはルッキーニか。あとひとりは誰だ?」
バルクホルン「私はハズレだ」
芳佳「あ、私もです」
バルクホルン「となれば、残ったのは…………おい、ハルトマン」
エーリカ「え? なに? 知らない。私知らないよ。じゃ、部屋戻るね」
バルクホルン「待て」
エーリカ「うわあああああああ! 離せよぉ! 横暴だぁ! こんなの無効だぁ! 夜は寝かせてよぉ!」
坂本「ん? ふたりめはハルトマンか」 - 46 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/22(土) 23:31:32.487 ID:fmW6i7tU0.net
- ミーナ「ハルトマン中尉、ルッキーニ少尉。ふたりに夜間の哨務を命じます」
エーリカ「うえぇ~」
ルッキーニ「はーい」
ミーナ「とは言ったものの…………本当に大丈夫かしら」
坂本「何だ? 人選に不安要素でもあるのか?」
ミーナ「不安要素というか……」
ペリーヌ「おふたり自身が、歩く不安要素ではなくて?」
ルッキーニ「なにおー! ペリーヌのくせに!」
シャーリー「おいおい失礼なやつだなー。いくらルッキーニでも、見張り番くらいできるさ。な?」
ルッキーニ「あったりまえじゃん! らくしょーだよ」
バルクホルン「おいハルトマン。任務を放棄して寝たりするんじゃないぞ。絶対に寝るな。絶対だ。絶対だからな?」
エーリカ「寝ろってこと?」
バルクホルン「なんでそうなる!? 絶対に寝るなと言っているだろうが!!!」
坂本「眠くなったら互いに頬をつねり合えばいい。はっはっは! それでなんとかなる!」
芳佳「頑張ってね、ルッキーニちゃん。あっそうだ、眠気覚ましに緑茶をいれてあげるよ」
ルッキーニ「ん! あんがと!」
シャーリー「がんばれよー。隊の安眠はルッキーニにかかってるからな」 - 47 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/22(土) 23:36:43.067 ID:fmW6i7tU0.net
- ~夜~
ルッキーニ「……」
エーリカ「……」
ルッキーニ「……」
エーリカ「…………眠い」
ルッキーニ「寝たらダメ!」
エーリカ「わかってるよ。寝ないって……でもさー、退屈じゃない? 玉を眺めてるだけなんてさ」
ルッキーニ「うじゅ……たしかに、飽きてきたかも……」
エーリカ「異常があったらすぐに教えろ~って、あるわけないじゃん」
エーリカ「だって、昼間からずっとあのままなんだしさー。眺めてたって変わりっこないよ」
ルッキーニ「たしかにー……ああっ! 窓に虫がはっついてる!」
エーリカ「え? どこどこ? あー、ほんとだ。明かりに誘われてきたんだね」
ルッキーニ「う~……捕まえたい~……追いかけたい~」
エーリカ「外に出て追っかけてくればいいじゃん」
ルッキーニ「だめ! みんなのアンミンがかかってるんだもん」
エーリカ「へぇー。偉いんだ、ルッキーニ」
ルッキーニ「えへへー」 - 48 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/22(土) 23:40:13.270 ID:fmW6i7tU0.net
- エーリカ「……ううっ」ブルッ
ルッキーニ「どったの?」
エーリカ「いやー、ちょっと催しちゃってさ」
ルッキーニ「もよおす?」
エーリカ「トイレ行きたいってこと」
ルッキーニ「いいよ! あたしが見張ってるから!」
エーリカ「ん、じゃあちょっとの間頼むよ。急いで行ってくるから!」
タッタッタ
ルッキーニ「いってらー」
ルッキーニ「……」
ブーン
ルッキーニ「あ! 虫!!!」 - 51 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/22(土) 23:44:26.223 ID:fmW6i7tU0.net
- ブーン
ルッキーニ「ネウロイの上にとまった……! チャンス……!」
ルッキーニ「あ、でも……うーん……ミーナ隊長、絶対に触っちゃ駄目って言ってたし……」
ルッキーニ「……」ウズウズ
ルッキーニ「……ちょっとだけなら、へーきかな……うしっ!」
タッタッタッ
ルッキーニ「んっしょ、んしょ。後ろからそ~っと……」
ウネウネ
ルッキーニ「あや? ……なんかネウロイから生えてる……」
ウネウネウネウネ
ルッキーニ「うえ~、きもちわるーい。うにょうにょ動いてるー」ツンツン
カパッ
ルッキーニ「わっ」 - 52 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/22(土) 23:48:06.892 ID:fmW6i7tU0.net
- ―――
エーリカ「お待たせー……あれ? ルッキーニ?」
シーン
エーリカ「おーい、ルッキーニ~」
シーン
エーリカ「どこ行っちゃったんだろ。結局、虫を追いかけにいっちゃったのかな」
エーリカ「探しに……行くのもまずいか。ここ、誰もいなくなっちゃうし」
エーリカ「ん~、ルッキーニのやつ~……話し相手がいないと、余計に眠くなるよ……」
エーリカ「…………ふぅ……」
エーリカ「…………………ングゥ」
エーリカ「はっ!!!」ビクッ
エーリカ「寝ちゃ駄目だ……トゥルーデに怒られる……起きてないと……」
エーリカ「…………起きて……ない、と……」
エーリカ「Zzz」 - 53 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/22(土) 23:53:37.688 ID:fmW6i7tU0.net
- ~朝~
バルクホルン「おいハルトマン!!!!!! 起きろ!!!!!!!」
エーリカ「んぁ!?」ガバッ
バルクホルン「…………」
エーリカ「…………トゥルーデ……お、おはよー」
バルクホルン「ああ、おはよう。……見事に寝たな」
エーリカ「あーあ、やっぱ寝ちゃったか……。途中までは調子良かったのに」
バルクホルン「最後まで起きていられなければ意味が無いだろう……!」
ミーナ「ハルトマン中尉。まずは報告を聞きたいのだけど」
エーリカ「あ、ミーナもおはよう。えーっと……報告? 寝ちゃってごめん」
ミーナ「……他には?」
エーリカ「……え? 他は……異常無しかな。ネウロイに変わったところはないからさ」
バルクホルン「『異常無し』? なにを馬鹿なことを……異常しかないだろ……!」
バルクホルン「いつまでも寝ぼけていないで、よく見ろ! 明らかに球体が大きくなっているだろうが!」
エーリカ「ん~……? わっ! ほんとだ! 昨日より大きくなってる! なんでなんでー!?」
ミーナ「球体を支える柱の部分も太くなっているわ。おかげで食卓が割れてしまったようね」
エーリカ「わー! ほんとだー! どうして!?」
バルクホルン「こっちの台詞だ!!! 何故こんなことになっているんだ!?」
エーリカ「さぁ」
ミーナ「はぁ……やっぱり、人選に問題が……」 - 54 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/22(土) 23:58:17.242 ID:fmW6i7tU0.net
- 芳佳「おはようございます。あれ、どうかしたんですか? 深刻そうな顔して」
リーネ「なにかあったんですか?」
ミーナ「それが……」
坂本「これは……! 黒豆ネウロイが昨日より大きくなっているな……!」
シャーリー「おわー、なんだこれ。倍くらい膨らんだんじゃないか?」
ペリーヌ「テーブルを貫いていた針の部分もかなり太くなっていますわね……いったい何が原因でこのようなことに?」
バルクホルン「不明だ。見張りが寝ていたおかげでな」ジロッ
エーリカ「えへへー、ごめん」
エイラ「ま、こんなことになる気はしてたけどサ」
シャーリー「……あれ? ルッキーニはいないの?」
バルクホルン「そうだ、ルッキーニ少尉はどうした? なぜお前ひとりなんだ?」
エーリカ「それがさぁ、ちょっと食堂を離れた隙にどっか行っちゃって……ひとりで見張りをすることに……」
バルクホルン「任務放棄か……」
エーリカ「あ、でもね、ルッキーニはやる気だったんだよ。みんなが安心して眠れるようにーって」
エーリカ「でも、部屋の明かりに集まった虫が気になってたみたいでさ」
シャーリー「あちゃー、虫を捕まえに行っちゃったわけか。今頃、どこかの木の上で眠ってるかもな」 - 56 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/23(日) 00:03:13.589 ID:pzLi5ngv0.net
- ミーナ「姿を変えたことで、何か変化があったかもしれないわね」
坂本「ああ。コアの位置を確認してみよう………ん?」
坂本「なっ…………こ、これはっ!?」
ミーナ「どうかしたの?」
坂本「コアが無くなっている……!」
バルクホルン「なに!?」
シャーリー「な、無くなってるって……!」
芳佳「消えちゃったってことですか!?」
ペリーヌ「消えたって……いったいどこへ!?」
ミーナ「コアはネウロイにとっての心臓よ。体内から消えたとして、形態を保てるはずはないのだけど……」
坂本「……ん? あれは……。……いや、すまん。あったぞ」
ミーナ「えっ?」
エイラ「ナンダ。少佐の見間違えかヨ」
坂本「球体部分には無い。下だ。かすかにコアの光が見える。……地中へコアを降ろしたようだな」
バルクホルン「あの柱の部分はコアの通り道ということか?」
坂本「かもな」
芳佳「へー、麦わらみたい。あ、えっと、こっちでは『ストロー』って言うんだっけ」
リーネ「どうして地面の下にコアを移動させたんだろう」
エーリカ「怖くなったんじゃないの? 私が目を光らせてたんだからさ。途中までは」 - 57 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/23(日) 00:07:10.265 ID:pzLi5ngv0.net
- バルクホルン「わからないことだらけだ。少しでも情報が欲しいというのに……」
エーリカ「あー、はいはい。寝ちゃってごめんって」
坂本「コアが地中へ移動したことで、より対処が難しくなったな」
ミーナ「そうね……」
芳佳「えーっと、あの! とにかく朝ご飯にしませんか? ここで悩んでてもしょうがないし」
エーリカ「賛成ー。徹夜明けでお腹空いちゃって」
バルクホルン「お前は寝ていただろう……」
エーリカ「だーから、途中までは起きてたんだってばー」
ミーナ「そうね……。ネウロイの形態変化について上へ報告するにしても、私たちがやるべきことは変わらないわ」
坂本「いつもどおり、襲撃に備えつつ鍛錬だ」
芳佳「はい! じゃあ準備しますね。行こう、リーネちゃん」
リーネ「うん」
バルクホルン「宮藤。食堂へ入る時は壁伝いにな。絶対にネウロイへ近づくなよ」 - 60 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/23(日) 00:11:11.872 ID:pzLi5ngv0.net
- 坂本「おお、今日は茹でたまごがあるのか」
芳佳「補給物資の中にたまごがたくさんあったので」
エイラ「おいミヤフジ。後でサーニャの分も茹でてくれよ。黄身は半熟だからナ。固くしすぎるなよ」
芳佳「は、はい」
坂本「ふむ……」
ペリーヌ「どうかされましたか? 少佐」
坂本「ん? ああいや、たまごとあのネウロイを重ねると、大涌谷の黒たまごを思い出してな」
ペリーヌ「オオワクダニ……?」
坂本「『大涌谷』という火山地帯が扶桑にあるんだ。そこの地熱を利用してたまごを茹でると、真っ黒になってな」
リーネ「へぇ……そうなの? 芳佳ちゃん」
芳佳「うーん、聞いたことないけど……」
坂本「整備の行き届いていない立ち入り禁止区域だからな。近隣のウィッチの間で密かに流行っている、危険行為だ」
ミーナ「わざわざ危険地帯でたまごを暖めるなんて、扶桑のウィッチはどうしてそんなことをするのかしら」
坂本「まあ、一種の遊び心だろう。だが、これがなかなかうまいんだぞ? そうだ、今度茹でてきてやろう。はっはっは!」
芳佳「たまごかぁ……もしかして、あれもネウロイのたまごだったりして」
リーネ「えぇっ? ネウロイってたまごで増えるのかなぁ……?」
芳佳「ネウロイの生態ってまだよく分かってないんだよね。もしかしたら、そうかもしれないよ」
ペリーヌ「なにをおバカなことを」 - 61 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/23(日) 00:15:11.624 ID:pzLi5ngv0.net
- ミーナ「そろそろ、本部から解析班が到着する時間ね。食堂を一時明け渡すので、そのつもりで」
芳佳「あ、じゃあ急いで片づけないと」
シャーリー「おっかしいなぁ。ルッキーニのやつ、こなかったぞ」
エーリカ「一晩中虫を追っかけまわしてたんだろうし、まだ爆睡してるんじゃないかな」
エーリカ「私も眠い……ふぁ~あ。ひと眠りしよっと」
バルクホルン「ハルトマン。お前は私と一緒に周囲の見回りだ」
エーリカ「えぇ!?」
バルクホルン「基地内にネウロイが侵入したんだ。辺りに異変が無いか確認しておかねばなるまい」
バルクホルン「ほら、行くぞ」
エーリカ「ねむい~……」
シャーリー「あたしもルッキーニを探してくるかな」
ペリーヌ「宮藤さん、リーネさん。後片付けが済んだら、すぐに訓練ですわよ」
芳佳・リーネ「「 はーい 」」 - 64 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/23(日) 00:19:06.205 ID:pzLi5ngv0.net
- ~基地周辺~
バルクホルン「異常無し。よし、次だ」
エーリカ「私の眠気が異常だよ~。トゥルーデー」
バルクホルン「お前はどれだけ眠れば気が済むんだ……」
エーリカ「満足するまで」
バルクホルン「まったく……おい、そっちじゃない。こっちだ」
エーリカ「ええ? あんな方も見るの? 普段誰も近寄らないじゃん」
バルクホルン「だからこそだ」
エーリカ「物好きだなぁ」
バルクホルン「アドリア海の沿岸部は複雑な地形が多いと聞いたことがある。現に、細部を見落としがちだろう」
バルクホルン「こういう機会に、きちんと確認しておくべきだ」
エーリカ「はいはい」 - 66 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/23(日) 00:23:15.964 ID:pzLi5ngv0.net
- シャーリー「おーい! ルッキーニ! もうとっくに朝だぞー! おーい!」
シャーリー「変だな……いつもなら、そろそろ見つかってもいいはずなんだけど」
シャーリー「ルッキーニー! 返事しろー!」
バルクホルン「む? こんなところに洞窟があったのか」
エーリカ「うえ……なんか出てきそう」
バルクホルン「下り坂になっているな……方向からして、基地の下へ通じているようだが」
シャーリー「ルッキーニー!」
エーリカ「あ、シャーリーだ」
シャーリー「あれ? なんだよ、見つけたのはカールスラントのおふたりさんか」
バルクホルン「ルッキーニはまだ見つからないのか?」
シャーリー「まあね。目ぼしいとこは全部見たんだけど、空振りだった」
エーリカ「この中にいたりして」
シャーリー「この中って……洞窟か? こんなのあったんだな。でも、ここにはいないと思うよ」
シャーリー「ルッキーニは好奇心旺盛だけど、こういう閉鎖的な暗がりはあんま好きじゃないからさ」
エーリカ「まあ、好きな人はいないよね」
バルクホルン「よし、中を探索してみよう」
エーリカ「ええ~! やめようよー」 - 68 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/23(日) 00:27:26.763 ID:pzLi5ngv0.net
- バルクホルン「この様子だと、まだ誰も中を検めていないだろう。我々が確認しないでどうする」
エーリカ「だって暗いし、ジメジメしてるしさー」
バルクホルン「そのくらいなんだ。さあ、行こう」
ズリッ
バルクホルン「ぬあっ」
ドテン
エーリカ「わあ! トゥルーデ大丈夫!?」
バルクホルン「だ、大丈夫だ……」
シャーリー「おいおい、見事な滑りっぷりだったな」
ヌメヌメ
シャーリー「ははぁ、こりゃコケだ。下手に足を踏み入れたら危なそうだし……引き返したほうがいいよ」
バルクホルン「くっ……足を捻ってしまった……不甲斐ないが、撤退だ……」
エーリカ「ほら、おんぶしたげるよ」
バルクホルン「すまない……」 - 71 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/23(日) 00:32:36.304 ID:pzLi5ngv0.net
- エーリカ「宮藤ー」
芳佳「あれ、どうしたんですか? バルクホルンさん、おんぶなんてしてもらって」
バルクホルン「こ、これはだな……」
エーリカ「足捻っちゃったんだ。ちょっと見てくれる?」
芳佳「えっ、大変! 見せてください!」
ペリーヌ「それは災難でしたわね」
シャーリー「ルッキーニは見つからないし、困ったもんさ」
芳佳「どうですか?」
バルクホルン「ああ、すっかり良くなった。ありがとう」
芳佳「えへへ」
ミーナ「あら、みんな揃ってどうかしたの?」
エーリカ「それがさ、トゥルーデがステーンって!」
バルクホルン「な、なんでもないんだ! ミーナこそ、どうしたんだ? 何か用があって来たんだろう?」
ミーナ「用というほどではないのよ。解析班が引き上げたことを伝えにきただけだから」
バルクホルン「そうか、調査は終了したんだな」
リーネ「でも……まだ食堂にはネウロイがいるんですよね?」
ミーナ「ええ」 - 72 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/23(日) 00:35:25.350 ID:pzLi5ngv0.net
- 芳佳「なにか分かったんですか? その、解決策とか……」
ミーナ「どうかしら……正直、期待はできないでしょうね。そもそも、ネウロイに関しては分からないことが多過ぎるの」
リーネ「コアを破壊すると、全部消えちゃうから……」
芳佳「そっか。生きてる状態で捕まえてみないことには、詳しく調べられないんだね」
シャーリー「つっても、あんな危ないのを生け捕りなんてできっこないし」
ミーナ「ええ。だからこそ、今回の件を上層部は貴重な機会だと考えているらしいの」
バルクホルン「研究材料、というわけか」
ミーナ「しばらくは本部の人員が行き来することになるでしょうね」
ペリーヌ「その間、ネウロイは放置……ということですか?」
ミーナ「ええ」
バルクホルン「くそ……敵と同じ屋根の下で過ごし続けろというのか……!」
リーネ「あの、今夜の見張りはどうするんですか?」
エーリカ「私はヤダ! 絶対ヤダ!」
ミーナ「そうね。そこは私も賛成よ」
エーリカ「やったね!」
バルクホルン「誇らしげにするな!」 - 73 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/23(日) 00:39:51.364 ID:pzLi5ngv0.net
- ~夜~
エイラ「ハァ~……なんでツンツン眼鏡と……サーニャが良かったのにナー……」
ペリーヌ「仕方ありませんでしょう! サーニャさんは哨戒任務があるんですから!」
ペリーヌ「だいたい、わたくしだって坂本少佐と……はぁ、くじ運がありませんわね……」
エイラ「なあ、見張りはお前に任せるからサ。私はサーニャを追っかけてもいいか?」
ペリーヌ「駄目に決まっているでしょう! そんなことをしたら、即刻、中佐に言いつけますわよ」
エイラ「うぇ! じょ、冗談ダロ? 本気にすんなよナー。まったく……」
ペリーヌ「冗談に聞こえませんでしたわ」
エイラ「……」
ペリーヌ「……」
エイラ「……退屈ダナー」
ペリーヌ「…………ふぁ」
エイラ「オイ! ネルナー!」
ペリーヌ「きゃあ! な、なんですの!? 急に大声を出さないでくださいまし!」
エイラ「おまえが寝ようとしてたからダロ!」
ペリーヌ「わ、わたくしが!? 御冗談を! 任務を放棄して眠りこけるだなんて、そのようなこと、絶対にありえませんわ!」
エイラ「ホントかー? 時々サーニャの哨戒に付き合ってる私は慣れてるけど、そっちは不慣れなんじゃないか?」
ペリーヌ「なんてことありませんわ」 - 74 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/23(日) 00:44:20.599 ID:pzLi5ngv0.net
- ペリーヌ「Zzz」
エイラ「寝てんじゃねえカー!!!」
ペリーヌ「ひゃあ!?」
エイラ「寝るナヨー!」
ペリーヌ「や、やだ、わたくしとしたことが……!」
エイラ「しっかりしろよナー。もー」
ペリーヌ「ふぁ……ダメですわね……ただ丸っこい物を眺めているだけというのは、どうにも」
エイラ「そうやって中尉たちは失敗したんダ」
ペリーヌ「え、ええ。そうですわね。少佐の期待を裏切らないためにも、しっかりしないと……!」
ウネウネ
エイラ「あん?」
ペリーヌ「? どうかしまして?」
エイラ「いや……ネウロイにあんなモン、生えてたか?」
ペリーヌ「あんなもの……?」
エイラ「ほら。上の方に、なんかニョロっとしたのが生えてないか?」
ペリーヌ「ん~……? たしかに……なにか、生えているようですわね」 - 75 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/23(日) 00:48:27.889 ID:pzLi5ngv0.net
- エイラ「さっきまでは生えてなかったはずだよナ? よし、近くで見てみるか」
ペリーヌ「ちょ、ちょっとエイラさん! 近づいたら危ないでしょう!」
エイラ「でも気になるダロー?」
ペリーヌ「それはたしかに、そうですけど……」
ウネウネウネ
エイラ「触手か……?」
ペリーヌ「ええ……でも、ネウロイからあのようなものが生えたなんて、聞いたことありませんわ」
エイラ「ヨシ、つっついてみよう」
ペリーヌ「なぁっ! おやめなさい!」
エイラ「ナンダヨー。ビビってんのかー?」
ペリーヌ「び、ビビってなんて! どうってことありませんわよ! このくらい!」
エイラ「だったらいいダロー? 私の未来予測によると、悪い予感は無いからサ」
ペリーヌ「それ、当てになるんですの?」
エイラ「ナンダヨー。疑ってんのかー? いいから棒切れでも探せっテ」 - 80 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/23(日) 00:52:22.935 ID:pzLi5ngv0.net
- エイラ「ヨシ。このモップでイイナ」
ペリーヌ「あ、あまり刺激しないように……」
エイラ「ダイジョブだって。ホーレ」
ツンツン
パカッ
エイラ「オ」
ペリーヌ「あら」
「ォォォォォォン」
パックン
エイラ「オオ」
ペリーヌ「あらあら」 - 81 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/23(日) 00:56:39.232 ID:pzLi5ngv0.net
- エイラ「……」
ペリーヌ「……」
エイラ「口みたいに開いたナ」
ペリーヌ「ええ。パックリと、開きましたわ」
エイラ「……」
ペリーヌ「……」
エイラ「モップを奪われたナ」
ペリーヌ「ええ。食べられてしまいましたわ」
エイラ「……」
ペリーヌ「……」
エイラ「モップが食われたアアアアアアアア!!!!!!!!!!!」
ペリーヌ「いやああああああああああああああああっ!!!!!」 - 84 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/23(日) 01:00:53.541 ID:pzLi5ngv0.net
- ミーナ「Zzz」
ウワアアアア キャアアアア モップガクワレタアアアアア
ミーナ「……んん? なにかしら……」
バタンッ
エイラ「ミーナ中佐ァー!!!」
ペリーヌ「中佐!!! た、大変ですわ! 大変! 一大事ですわぁ!!!」
エイラ「ウワアアアアアアアア!!!!」
ペリーヌ「おぞましぃぃぃぃ!!!!」
ミーナ「ど、どうしたの!? ふたりとも落ち着いて!!!」
エイラ「じ、実は、ソノ……」
ペリーヌ「ね、ネウロイが、大きな口を開けて……!」
ミーナ「ネウロイが……? エイラさん、ペリーヌさん。冷静に、何が起きたかを説明して」
エイラ「そ、その……そう! モップが喰われたんダ!!! ニョロニョロしてたからつっついて、そしたら……!」
ペリーヌ「パクリと! ひと口ですわ! ……まるでハエトリグサのように……!」
ミーナ「ニョロニョロ……? ハエトリグサ……?」
エイラ「いいからきてくれ!」
ペリーヌ「こっちですわ! さあ!」 - 86 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/23(日) 01:04:23.228 ID:pzLi5ngv0.net
- シャーリー「おいおい、騒がしいから来てみれば、いったいなんだ?」
坂本「どうした?」
バルクホルン「ネウロイに何か変化があったのか?」
芳佳「ふあぁ……あれ、でも昨日と何も変わってないように見えるけど……」
リーネ「うん……」
サーニャ「どうしたの、エイラ」
エイラ「聞いてくれよサーニャ~! ネウロイがモップを喰ったんダァ~!」
シャーリー「よく分かんないんだけど」
坂本「説明してくれ。ペリーヌ」
ペリーヌ「は、はい。えっと……ネウロイの頭部に、触手のようなものが見えませんか?」
ミーナ「触手……?」
ウネウネ
坂本「あれは……! あんなもの、生えていたか?」
ペリーヌ「わたしくたちも、さきほど気がつきました」
芳佳「へぇ~、なんだろうアレ」
リーネ「なんだか気味が悪いね、芳佳ちゃん」 - 88 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/23(日) 01:08:24.687 ID:pzLi5ngv0.net
- バルクホルン「解析班から報告は受けていないのか?」
ミーナ「ええ。昼間は生えていなかったんじゃないかしら」
エーリカ「で? あのウニウニって何なの?」
ペリーヌ「それが……」
エイラ「まあ見ててくれヨ。オーイ、誰か長い棒を貸してくれー」
坂本「ん? ではこの烈風丸を」
ペリーヌ「しょ、少佐! いけません!」
エイラ「いや、それは流石にやめておいた方が……」
芳佳「あっ、ここに箒がありますよ。どうぞ」
エイラ「ヨシ。じゃあ見てろヨ。すごいかんナ」
ツンツン
パカッ
「ォォォォォォン」
パックン
リーネ「えっ……」
坂本「こ、これは……! 箒を喰ったのか……?」 - 90 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/23(日) 01:12:30.093 ID:pzLi5ngv0.net
- バルクホルン「あのニョロニョロを刺激すると口が開き、対象を捕食するようになっている……ということか」
リーネ「ひぇ~」
芳佳「なんか、こ、怖いね……」
サーニャ「ええ……すごく、怖い……」
エイラ「っ! サ、サーニャ、大丈夫だかんナ! サーニャは私が守ってやる!」
エーリカ「ネウロイって口があったんだー」
坂本「ふむ……あの触手は、獲物を誘い出す餌のようなものかもしれんな」
シャーリー「あの、さ」
坂本「ん? どうした、シャーリー」
シャーリー「すっご~く、嫌な予感がするんだけど……」
バルクホルン「嫌な予感?」
シャーリー「実はさ……まだ、ルッキーニが帰ってこないんだよ」
芳佳「え? そ、そうなんですか!?」
シャーリー「今も、外を探してたんだけど……見つからないんだ。さっぱり」
シャーリー「で、今の捕食シーンだろ……? これって、つまりさ……」
エーリカ「……えっ」
坂本「まさか……!」
ミーナ「そんな……!」
リーネ「それって……つまり……」
芳佳「ルッキーニちゃん、食べられちゃったかもしれないってこと……?」 - 92 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/23(日) 01:16:03.758 ID:pzLi5ngv0.net
- シャーリー「は、ははは……いやー、まさかそんな……」
シャーリー「……な、なあ、ルッキーニが……食われたなんてさ……」
シャーリー「ルッキーニ……ルッキーニ……! そ、そこにいるのか……?」
シャーリー「おい! ルッキーニ!!!!!!!!!」
ガシッ
ダンダンダンッ
シャーリー「ルッキーニぃ!!!! 返事しろぉ!!!!!」
ミーナ「シャーリーさん!!!」
坂本「危険だ!!! やめろシャーリー!!!」
バルクホルン「冷静になれ!!!」
シャーリー「冷静でいられるか!!! ルッキーニがこいつに食われちまったかもしれないんだぞ!?」
シャーリー「くそっ!!! ルッキーニィ!!! こいつ!!! 吐き出せぇ!!!!」
坂本「シャーリーをネウロイから引き離せっ!」
芳佳「シャーリーさん!」
リーネ「危険です~!」 - 93 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/23(日) 01:20:57.958 ID:pzLi5ngv0.net
- シャーリー「悪かった……少しパニックになってたよ……」
バルクホルン「いや、無理もないだろう……皆、同じ気持ちだ……」
芳佳「ルッキーニちゃん……」
坂本「仮にルッキーニがネウロイに取り込まれたとして、コアと一緒に地下へ運ばれたと考えるのが妥当だろうな」
ミーナ「そうね……」
リーネ「いったい何が目的なんでしょう」
坂本「食事の目的と言ったら、エネルギー補給だろうが……」
シャーリー「……!」
ミーナ「ちょっと、美緒っ」
坂本「あ、いや、すまない……」
シャーリー「ルッキーニ……」
芳佳「た、助けに行きましょう! 仲間のピンチです!!! 私、このままじっとしているなんて、嫌です!!!」
ペリーヌ「宮藤さん……まったく、あなたという人は。相変わらずですわね」
坂本「……ああ。そうだな、宮藤。当然だ」
バルクホルン「元々、私は敵を目前にして放置という現状が気に食わなかったんだ。撃破する意向に異議などあるはずがない」
リーネ「絶対にルッキーニちゃんを助けようね!」
芳佳「うん!」
ペリーヌ「ですけど、いったいどうやって……敵のコアは地中にあるのでしょう?」
エーリカ「掘っていけばいいじゃん」
バルクホルン「無茶を言うな。ここ一帯の地盤は硬い。単なる穴掘りとはわけが違うぞ」 - 94 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/23(日) 01:24:42.447 ID:pzLi5ngv0.net
- シャーリー「……! そうだ……あの洞窟……!」
坂本「ん? なにか心当たりでもあるのか?」
バルクホルン「洞窟? そうか……!」
エーリカ「あっ、たしかにあそこなら」
ミーナ「いったい何のことかしら」
シャーリー「実は昨日、この基地の近くで洞窟を見つけたんです」
バルクホルン「穴の伸びる方向からして、この基地の真下へ続いている可能性が高い」
バルクホルン「その洞窟を探索すれば、ネウロイのコアに近づけるかもしれないということだ」
芳佳「行きましょう!!!」
エイラ「今からか? こんな時間だし、外はすっごく暗いぞ。まして洞窟じゃ……」
ミーナ「そうね……けど、事態は一刻を争うわ。捕食シーンを観測したことで、間違いなく危険度も増した。放置はできません」
坂本「よし! そうと決まればすぐに向かうぞ!」
「「「 了解! 」」」 - 95 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/23(日) 01:28:44.772 ID:pzLi5ngv0.net
- ~洞窟~
エーリカ「うわぁ~、真っ暗……」
バルクホルン「月明かりが木々に遮られているからな。ほぼ見えん」
坂本「私の魔眼である程度は見えるが」
サーニャ「あの……私も、サポートします」
坂本「お! さすがナイトウィッチだ、心強いな! はっはっは! では、先頭はサーニャに任せよう!」
ミーナ「お願いできるかしら、サーニャさん」
サーニャ「はい」
エイラ「お、お、サーニャ、大丈夫か? 無理スンナ? 怖くなったら私に言えよ? すぐに――」
ズルッ
エイラ「ヌアアアアアアッ」
ドテン
サーニャ「エイラ……!」
エイラ「イテテ……クソ、滑った……」
ペリーヌ「まったく、何をしてらっしゃいますの」
エイラ「すごく暗いんだからしかたないだろ……。お前が周りを照らせよ。電気使えんだからサ」
ペリーヌ「無茶をおっしゃらないでください」
バルクホルン「足元がすべりやすくなっているから気をつけろ!」
エーリカ「やらかした本人が言うんだから説得力あるよね」
バルクホルン「ぐっ……宮藤、気をつけろよ」
芳佳「は、はい!」 - 96 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/23(日) 01:32:45.668 ID:pzLi5ngv0.net
- サーニャ「大きな段差があります、気を付けてください」
坂本「うむ」
芳佳「へー、すごいねサーニャちゃん。こんな暗闇なのに、周りがハッキリ見えてるみたい」
サーニャ「見えてはいないの。短波の跳ね返りで予測してるだけで」
リーネ「凄い……! コウモリみたい……!」
エイラ「オイ、それって褒めてるのかー?」
坂本「はっはっは! コウモリは音波で周囲の状況を確認するらしいからな。たしかに似ている!」
シャーリー「待ってろよ、ルッキーニ……」
バルクホルン「ぬおっ」
ズリッ
シャーリー「うおっと、あっぶねー。気をつけろよ、バルクホルン」
バルクホルン「す、すまない」
エーリカ「トゥルーデは普段から胸張って勢いよく歩くから滑るんだよ」
バルクホルン「なっ! わ、私は慎重に歩いているつもりだ……!」
シャーリー「ほら、不安ならあたしの肩に手を置くか? 転びそうになった時、踏ん張ってやるからさ」
バルクホルン「ひ、必要ない!」
シャーリー「あっそ。素直じゃないなー」 - 97 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/23(日) 01:36:07.622 ID:pzLi5ngv0.net
- サーニャ「……!」
坂本「どうした、サーニャ」
サーニャ「前方に、ひらけた空間があります」
エイラ「出口か?」
サーニャ「ううん、外に通じてるわけじゃないみたい」
芳佳「あれ……なんだか、赤い光が……」
リーネ「ほんとだ……!」
ペリーヌ「あの光は……坂本少佐!」
坂本「うむ。どうやら、当たりだ」
ミーナ「……みんな、注意して」 - 100 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/23(日) 01:41:23.266 ID:pzLi5ngv0.net
- ペリーヌ「やっと辺りの状況が分かるようになりましたわ」
芳佳「でも、なんか嫌だな……この光」
エーリカ「うわー、眼に悪そうっ」
バルクホルン「この赤い発光は間違いない、ネウロイだ」
ミーナ「発光体はあの先にあるようね……」
坂本「ああ、十中八九、食堂に居座っているネウロイの本体だろう。少し見てくる」
ミーナ「気を付けて」
芳佳「うう~、緊張してきちゃった」
ペリーヌ「なにをおっしゃってるんですの。あれだけ啖呵を切っておきながら」
芳佳「た、啖呵なんか切ってないよ……!」
坂本「……」チラッ
バルクホルン「どうだ、少佐」
坂本「……何か、あるな……コアも確認できる。だが……なんだあれは、ぼた餅か?」
ミーナ「美緒……たぶん、扶桑の食べ物なんでしょうけど、例えられても分からないわ」
坂本「だが……あれはぼた餅だ。宮藤ちょっとこい」
芳佳「あ、はい」
坂本「あれをどう思う」
芳佳「わー、ぼた餅だ。おっき~」
坂本「ミーナ。巨大なぼた餅型のネウロイだ」
ミーナ「いいわ。皆で見ましょう。行っても大丈夫なのよね?」
坂本「ああ、こちらを警戒している様子は無い」 - 101 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/23(日) 01:45:24.635 ID:pzLi5ngv0.net
- バルクホルン「あれが、ネウロイなのか?」
エーリカ「やわっこそー。あれならすぐに倒せるんじゃない?」
坂本「だといいがな……。接近してみよう。全員、いつでもバリアを張れるように警戒しろ」
―――
エーリカ「近くまできたけど……」
ブヨブヨ
エイラ「ウエー、ナンダコレ。ブヨブヨしてんぞ……本当にこんなんがネウロイなのかー?」
サーニャ「触ると気持ちいい……」
ブヨブヨ
エイラ「お、オイ、サーニャ。ばっちぃからあんま触んナ」
モミモミモミ
芳佳「……」
リーネ「芳佳ちゃん……?」
芳佳「近い」
リーネ「何に?」
芳佳「え? あ、ううん。柔らかさが近いかなぁと思って」
リーネ「何の柔らかさに近いの……?」
芳佳「いやー、あはは」 - 103 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/23(日) 01:49:18.504 ID:pzLi5ngv0.net
- 坂本「この中にルッキーニがいるはずなんだが……」
シャーリー「入ろう! すぐに!」
バルクホルン「落ち着け。何が待ち受けているのか分からないんだぞ?」
シャーリー「ルッキーニが待ってるのは分かってるんだ! ミーナ隊長!」
ミーナ「……そうね。坂本少佐」
坂本「うむ。切開してみよう」
ギラリッ
坂本「ていっ」
ズバッ
ペリーヌ「開いた……! さすが少佐!」
エイラ「誰が斬ったって開くだろ」
ペリーヌ「おだまりっ」
ミーナ「第一目標はルッキーニさんです。コアは後回しで構いません」
坂本「よし、行くぞ……!」 - 104 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/23(日) 01:53:36.945 ID:pzLi5ngv0.net
- ~ぼた餅内部~
エーリカ「うえー。ネウロイの中ってもっとガチガチしてる思ってたんだけど……」
バルクホルン「これほど有機的とはな……まるで生き物の体内だ」
リーネ「ひえっ! よ、芳佳ちゃん! なんか、動いてる……!」
ドクンドクン
芳佳「うわっ! 本当だ……! 血管……ではないみたいだけど」
サーニャ「……」
エイラ「サーニャ、大丈夫か? 気分悪くないか?」
サーニャ「ちょっと怖いけど……大丈夫。それより、ルッキーニちゃんを探しましょう」
エイラ「あ、ああ。ダナ」
シャーリー「ルッキーニー!!! どこだー!!!」
ペリーヌ「なんだか……広いわりに、音が反響しませんわね」
坂本「ああ、湿度が高いのか……妙な感覚だ」
エーリカ「ルッキーニやーい! 出ておいでー!」
バルクホルン「ルッキーニ少尉ー!!!」
ミーナ「ルッキーニさーん!!!」 - 106 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/23(日) 01:57:36.712 ID:pzLi5ngv0.net
- サーニャ「ルッキーニちゃーん!」
エイラ「オーイ! ルッキーニー!」
グニュ
エイラ「ン? なんか踏んだような……」
エイラ「ヌアアアアアアアアアアアっ!?」
サーニャ「ど、どうしたの、エイラ」
バルクホルン「どうしたぁ!」
シャーリー「ルッキーニが見つかったのか!?」
エイラ「あ、いや……なんかきもちわりいモンを踏んづけて……」
エーリカ「なーんだ」
ペリーヌ「まったく人騒がせな……」
エイラ「だって見ろよ。コレ……なんかモジャっとしてて不気味じゃないか」
サーニャ「……それ、モップじゃない?」
エイラ「エッ」
ペリーヌ「あら……たしかに、見覚えがありますわ」
ミーナ「エイラさんが言っていた『食べられたモップ』ってこれのことじゃないかしら」
エイラ「なっ、ナンダー。そうか、あの時のモップかー」
芳佳「あ! こっちには箒が落ちてますよ!」
坂本「ということは……ルッキーニも近いかもしれないな」 - 107 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/23(日) 02:01:30.082 ID:pzLi5ngv0.net
- バルクホルン「これは……! な、なんだ……?」
エーリカ「んー? トゥルーデも変なの踏んづけたの? ってうわー! なんだコレー!」
坂本「これは……巨大な寒天か!?」
リーネ「寒天というよりかは、ゼリーのような……」
エイラ「ウヘェ……ブヨブヨの中にプヨプヨがいたのか……」
芳佳「どうしてぼた餅の中に寒天が……?」
ペリーヌ「いちいち食べ物に例えるのはおよしなさい! もう……」
ペリーヌ「いったい、何なんですの……? この、ゲル状の塊は……」
サーニャ「……」
エイラ「ン? おいサーニャ。何見てるんだよ」
サーニャ「上……管みたいなのが、何本も伸びてるから……」
エイラ「あー、ホントだ……なんだ、アレ」
キュオォォォォォオオォオ
坂本「!? 何の音だ!?」
ドボンッ
エーリカ「管から何か出てきたよー!」
ミーナ「あれは……鳥?」
坂本「他にも、魚や……石に木の破片か……。管から寒天へ送り込まれているようだが……」
シャーリー「まさか……この管、全部あの球体につながってるんじゃないか……?」
芳佳「えっ?」
バルクホルン「食堂にあったアレの他に、別の個体があるのかもしれないな」 - 108 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/23(日) 02:05:03.859 ID:pzLi5ngv0.net
- 芳佳「あの丸いのが、他にもたくさんあるってことですか?」
バルクホルン「ああ。あの球体は、餌を捕食するための罠だろう」
バルクホルン「そいつを各所に配置し、獲物がかかるのを待ち構えていたというわけだ」
坂本「ふむ……その罠で捕らえた餌を、この寒天へ投入しているのか」
ミーナ「このゲル状の塊は、人体で言う所の胃ってわけね」
芳佳「じゃあ、あの球体は口で、柱の部分は……食道!」
エイラ「食堂の食道……」
サーニャ「エイラ……」
エイラ「ち、違う! 別にシャレを言ったわけじゃなくてダナ……!」
シャーリー「何にせよ、ルッキーニはここにいる可能性が高いんだな! もっとよく探そう!」
芳佳「は、はい!」 - 111 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/23(日) 02:09:02.306 ID:pzLi5ngv0.net
- ミーナ「あの夜に取り込まれたとして……もう丸一日経ってしまっている……」
ミーナ「一刻も早く見つけないと……もしこれが胃なのだとしたら……」
ミーナ「!?」
ミーナ「……こ、これは……!」
―――
ミーナ「皆、集まって」
坂本「どうした、ミーナ」
シャーリー「ルッキーニが見つかったんですか!?」
ミーナ「いいえ。ルッキーニさん本人は……もう」
芳佳「え?」
リーネ「あの、それって、どういう……」
ミーナ「これが……これだけが見つかったわ」
シャーリー「そ、それは……! ルッキーニの上着とズボン……!」
坂本「まさか……」
シャーリー「う、嘘だよな……そんな……」
ミーナ「おそらく……ルッキーニさんは……」
シャーリー「し、信じない……ルッキーニが消化されちまったなんて……そんな話、あってたまるか……!」 - 112 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/23(日) 02:13:02.758 ID:pzLi5ngv0.net
- バルクホルン「シャーリー……」
シャーリー「くそ……あたしが……守ってやれなくて……」ガクッ
芳佳「ルッキーニちゃん……」
リーネ「うぅ……グスン」
坂本「くっ……!」
ミーナ「……」
<待てー! 虫ぃ~!
シャーリー「ハハ……ハハハ」
バルクホルン「おい! しっかりしろ! シャーリー!」
シャーリー「情けないよ……笑ってくれ。今でもさ……あいつの声が聞こえる気がするんだ……縋ってるんだよ、あたしは……」
<待て待て~っ!
エーリカ「私も聞こえる……うぅ、ルッキーニ……」
ペリーヌ「不思議ですわね、わたくしも……」
<うにゃ~!
エイラ「……つーかコレ、本当に聞こえてないか?」
芳佳「は、はい。すごくハッキリと……」 - 113 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/23(日) 02:17:11.892 ID:pzLi5ngv0.net
- ルッキーニ「あにゃ? あーっ!!! みんな!!!」
シャーリー「ルッキーニ!?!? おまっ、なんで全裸で……! ぶ、無事だったのか!?」
ルッキーニ「シャーリー!!!」
シャーリー「ルッキーニ!!!」
ガシッ
ルッキーニ「うえぇぇぇ! さびしかったぁ~!」
シャーリー「あたしもだ! いやぁ、おまえ心配させんなよ~! ルッキーニが死んじゃったと思って、泣いちゃったんだからな?」
ルッキーニ「ごめんね。はやく帰りたかったんだけど、ここがどこだか分からなくて……」
芳佳「良かったぁ! ルッキーニちゃん!」
サーニャ「ふふ、おかえりなさい」
エイラ「ヤレヤレ、一件落着ダナ」
ペリーヌ「まったくもう、人騒がせなんですから」
バルクホルン「しかしなんで全裸なんだ。しっかりと服ぐらい着んか!」
エーリカ「いいじゃんそんなこと。あー、よかったよかった」 - 114 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/23(日) 02:21:45.426 ID:pzLi5ngv0.net
- ミーナ「ルッキーニさん、ここで何があったか、教えてもらえるかしら」
ルッキーニ「んとねー、丸っこいネウロイからうにょうにょしたのが生えててー」
ルッキーニ「それを弄ってたら、急に食べられちゃってー」
ルッキーニ「そんでそこのプリプリしたのに落っこちて……そこにいると力が抜けちゃって……」
坂本「力が抜ける……?」
ルッキーニ「そだよ。だから頑張って抜け出して、プリプリがくっついちゃったズボンとか脱いでおいたの」
坂本「ふむ……どうやら、あの寒天に触れていると、魔法力が吸い取られるらしいな」
ペリーヌ「まあ……!」
芳佳「じゃあ胃というよりも、腸に近いのかも」
坂本「何はともあれ、第一目標であるルッキーニの奪還は成った」
エイラ「じゃあ帰るか」
エーリカ「うえーい」
ミーナ「帰れるわけないでしょう」
エーリカ「ええぇ? なんで?」
バルクホルン「当たり前だ! こいつはネウロイなんだぞ! 放置しておけるわけがない!」
ルッキーニ「えぇー、もう疲れたよー」
シャーリー「ほら、ルッキーニはあたしの背中で休んでな」
ルッキーニ「ん! あんがと!」
ペリーヌ「あの、坂本少佐。コアの位置は特定できているのですよね?」
坂本「それなんだがな……」
ペリーヌ「? どうかされました?」
坂本「まあ、とりあえず行ってみよう。あっちだ」 - 115 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/23(日) 02:25:20.529 ID:pzLi5ngv0.net
- 坂本「あそこだ。天井からぶら下がっているだろう」
ミーナ「……!」
シャーリー「おいおい……」
バルクホルン「コアが……たくさんあるな」
芳佳「えーっと、あれは……そうだ! 葡萄! 葡萄みたいだね!」
リーネ「う、うん。でも、コアはネウロイ一機にひとつだけのはずじゃ……」
坂本「複数のコアを持つネウロイの確認情報もないことはない、だがそれにしたって数が多過ぎる」
ミーナ「あのコアの集合体にも管が繋がっているのね」
坂本「ああ。おそらく、先ほどの寒天から伸びているのだろうな」
ペリーヌ「餌から吸収したエネルギーを、コアへ供給しているということでしょうか」
坂本「これは推測だが、ここはコアの製造所だろう。宮藤の『ネウロイのたまご』という表現も、あながち間違いではなかったらしい」
芳佳「えええええええええええっ」
バルクホルン「なっ、そ、それはまるっきり……ネウロイの巣じゃないか!?」
エーリカ「っていうか、そうなんじゃない?」
エイラ「ナンダヨ……基地の真下にネウロイの巣をつくられたなんて、冗談じゃないぞ」
ミーナ「おそらく、まだまだ未完成の状態ね……。コアを纏う装甲は量産されていないようだし……」
坂本「ああ。この段階で発見できたのは不幸中の幸いだ。すぐに駆除しよう」 - 116 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/23(日) 02:28:05.036 ID:pzLi5ngv0.net
- 坂本「武器を構えろ!」
エーリカ「えっ」
バルクホルン「……そ、そう言われてもな」
エイラ「武器なんて持ってきてないぞー」
ペリーヌ「え、ええ。わたくし、レイピア一本しか……」
芳佳「洞窟内は身軽なほうがいいって、ミーナさんと坂本さんが言ったんですよ」
坂本「そ、そうだったな……弱った。コアがあの高さでは銃器でないと話にならん」
ミーナ「一度戻って、装備を整える他なさそうね」
坂本「よし! いったん戻ろう!」 - 118 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/23(日) 02:32:03.457 ID:pzLi5ngv0.net
- 坂本「ん? ……出口が塞がれているな」
芳佳「あ、本当だ……入る時に斬ったのに」
坂本「しかたない。もう一度斬るか」
坂本「でやっ」
ズバッ
ズリュリュリュリュ
坂本「!?」
バルクホルン「さ、再生した!?」
坂本「斬ったそばからこれか……ふむ、まいった」
リーネ「で、でも、入る時は斬ってもすぐには修復されませんでしたよね!?」
坂本「どうも……様子が変だな。烈風丸にうまく魔法力が纏えない」
ミーナ「まさか…………ペリーヌさん、壁への電撃を試してもらえるかしら」
ペリーヌ「は、はい」
バチ バチバチッ
ペリーヌ「トネール!!!」
バチン
ペリーヌ「あ、あら?」
シャーリー「おいペリーヌ。遠慮しないで、もっと威勢よくやってくれよ」
エイラ「ケチケチすんなよなー」
ペリーヌ「わ、わたくしは全力で撃ちましたわ!!!」 - 121 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/23(日) 02:36:17.625 ID:pzLi5ngv0.net
- ミーナ「やはり……この内部にいるだけで、魔法力を吸い取られるようね」
芳佳「ええええぇ!?」
シャーリー「魔法力が弱まって壁が破れないのか……ん? ってことは……」
エーリカ「と、閉じ込められた~! もうだめだ~!」
リーネ「あの……明日もまた、本部の方がいらっしゃるんですよね? その時、捜索してくれるんじゃ……」
エーリカ「あ、そっか。じゃあ大丈夫だね」
坂本「それまで我々はもつだろうが……ルッキーニはどうだ。丸一日、ここにいたはずだ」
ルッキーニ「あ、あたしは大丈夫!」
シャーリー「いや、もうヘロヘロじゃないか。無理だよ、それまでに魔法力が尽きる」
エイラ「サーニャだって危ないぞ! 哨戒任務の途中だったんだからナ!」
バルクホルン「くそ! なんとしてもこの壁をつきやぶるしか……!」
ミーナ「いえ、美緒の斬撃でも突破できないのよ。体力を消耗するだけだわ」
ミーナ「ここからの脱出よりも、コアの殲滅を目標に据えたほうがいいようね」
坂本「だな。だが……あの高さだ。手が届くかどうか」 - 122 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/23(日) 02:40:04.291 ID:pzLi5ngv0.net
- 坂本「ていっ」
スカッ
坂本「やはり届かなかったか」
エイラ「そりゃそうだろ。あんな高いところにあるんだから」
坂本「やるだけやっておきたかった」
エーリカ「しゅとぅるむ~!」
シュルルルルル
バルクホルン「つむじ風程度か! もっと気を張れ! ハルトマン!」
エーリカ「ん~! 無理だよぉ! そもそもユニットありきの能力なんだぞ~! 遠くに飛ばすなんて芸当は……!」
ペリーヌ「とねーる! とねーっる!」
パチッ パチチッ
サーニャ「ピリッとする」
エイラ「おい! こっちに静電気飛ばすなよ!」
ペリーヌ「し、しかたありませんでしょう!」
芳佳「頑張って! ペリーヌさん!」 - 124 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/23(日) 02:44:16.803 ID:pzLi5ngv0.net
- ~数十分後~
坂本「だめか……」
シャーリー「普段空を飛び回ってるあたしらが、ちょっと高い場所にあるコアに手が届かないなんて……」
バルクホルン「おのれ……」
ペリーヌ「も、もう限界ですわ……」
エーリカ「私も……無理……」
リーネ「ペリーヌさん! ハルトマンさん!」
坂本「まずいな……消耗する一方だ……」
サーニャ「ペリーヌさんのレイピアを投げたら、コアを倒せるかも……」
エイラ「ソウカ! やり投げの要領だな……! 借りるぞ! ペリーヌ!」
ペリーヌ「え、ええ」
エイラ「トリャー!!!」
ヒュン
カンッ
エイラ「当たった!!!」
芳佳「すごい! エイラさん!!!」
ミーナ「当たったけど……」
坂本「当たっただけだな。傷一つ負ってないように見えるぞ」
エイラ「ペリーヌ……お前の家宝のレイピア、ダメだったナ……」
ペリーヌ「どうしてそういうことになりますの!!!」 - 125 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/23(日) 02:48:22.737 ID:pzLi5ngv0.net
- バルクホルン「刀だろうとレイピアだろうと、コアに渾身の力で振り下ろさんことには意味が無い」
坂本「崖のぼりの要領で壁を伝い、コアまで行けないか? 幸い、とっかかりは多いようだが」
ミーナ「無理よ。固い岩場ならまだしも、ブヨブヨとした肉の壁じゃ……」
バルクホルン「だが、他に良い方法は思いつかないんだ。私が試してみよう」
ガシッ
バルクホルン「ぐぐぐっ」
ズリッ
バルクホルン「おわっ」
ドテン
バルクホルン「あぐっ……」
エーリカ「トゥルーデ、大丈夫?」
バルクホルン「くそ……ミーナの言った通りだ。壁全体が柔らかくて、掴もうにも力の加減が難しい。足の踏ん張りも効かない……」
シャーリー「ルッキーニを助け出したってのに……ここまでなのか……!?」
ルッキーニ「シャーリー……」
坂本「もはやこれまでか……!」
芳佳「私にやらせてください!!!!!!!!!!!!!!!」 - 126 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/23(日) 02:52:25.289 ID:pzLi5ngv0.net
- 坂本「宮藤……!」
バルクホルン「宮藤……いや、やめるんだ。危険すぎる……いくら地面が柔らかいとはいえ、落ちて怪我をしたら――」
芳佳「諦めたくないんです!!!」
バルクホルン「……!」
リーネ「芳佳ちゃん……!」
坂本「宮藤……よく言った! それでこそ、私が見込んだウィッチだ!」
シャーリー「できるのか、宮藤?」
芳佳「はいっ。あのフィーリングに間違いがなければ……!」
ペリーヌ「フィーリング……?」
芳佳「……」
モミモミ
芳佳「近い」
リーネ「えっ」
芳佳(やっぱり……この柔らかさ、弾力……おっぱいに限りなく近いんだ……!)
芳佳「いけます」
坂本「よし! お前に烈風丸を預けるぞ!!!」 - 127 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/23(日) 02:56:17.308 ID:pzLi5ngv0.net
- バルクホルン「宮藤、下を見るなよ。怖くなるからな。万が一落ちても、私が受け止めるから安心しろ」
芳佳「はいっ」
バルクホルン「……しっかりな。肩の力を抜くんだぞ。り、リラックスしてだな」
エーリカ「なんでトゥルーデが緊張してるんだよー」
バルクホルン「緊張などしていない!!!」
芳佳「……ふぅー、ぺっぺっ」
パンパン
芳佳「ふんっ」
ガシッ
芳佳「せいっ」
ガシッ
芳佳「あらよっ」
ガシッ
グッグッグッグッ
サーニャ「わぁ……!」
シャーリー「凄い……凄いじゃないか! ははは! 宮藤のやつ、どんどん登っていくぞ……!」
エイラ「見直したぞ、ミヤフジ…!」
ルッキーニ「よしかー! がんばれー!」
ペリーヌ「あの子……クライマーの素質があったということ……?」 - 128 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/23(日) 03:00:02.686 ID:pzLi5ngv0.net
- 芳佳「……」ブツブツ
芳佳(あのおっぱいに右手をかけて……左足をあのおっぱいに……そして左手を――)
芳佳「……よっ。ほっ」
芳佳「……ふぅ、ちょっと右手が疲れちゃった。揉もう」
モミモミ
芳佳「よし、これで右手の疲労は回復した……急がないと……!」
ミーナ「もうあんなところに……!」
坂本「宮藤……まさかこんな特技を隠し持っていたとはな……!」
芳佳「やった! 一心不乱に登ったら、コアがあんなに近く!」
坂本「やれぇ! 宮藤ぃ!」
リーネ「芳佳ちゃん!」
芳佳「でやああああああああああああああああああああああああっ」
ブスッ
芳佳「やあああ!!!!! このぉおおおお!!!!」
ザクッ ズバッ
バリーン - 129 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/23(日) 03:04:30.102 ID:pzLi5ngv0.net
- バルクホルン「やったか!?」
エーリカ「今度こそ、やったみたいだね」
ゴゴゴゴゴゴ
ペリーヌ「きゃっ」
シャーリー「なんだ? 地震か?」
坂本「いや違う……コアを破壊したことで、崩壊を始めているらしい」
ミーナ「みんな逃げるわよ!」
芳佳「わっ! ちょっと、待って! 急には降りれな――」
ズルッ
ヒュー
芳佳「わーっ!!!!!」
バルクホルン「宮藤ぃ!!!」
ガシッ
芳佳「ふわー! び、びっくりしたぁ……ありがとうございます、バルクホルンさん!」
バルクホルン「な、なに、これくらいは」
エーリカ「照れてる場合じゃないよ! 早く逃げないと!」
バルクホルン「なっ! 照れてなど……!」
エーリカ「逃げろー!」
バルクホルン「あ、おい待て! 宮藤、しっかり捕まっていろ!」
芳佳「はいっ」
タッタッタッタッタッタ - 130 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/23(日) 03:08:10.551 ID:pzLi5ngv0.net
- ~翌日~
ミーナ「改めて、皆さんお疲れ様。ネウロイの巣を初期段階で潰すことができたのは大きな功績です」
バルクホルン「これで乗っ取られていたら、全世界から笑いものにされていたがな……」
シャーリー「その点はルッキーニを褒めてほしいなー。ルッキーニが食われなけりゃ、アレを放置してたわけだろ?」
シャーリー「ネウロイの巣だって気づかないまま、手遅れになってたかもしれない」
ルッキーニ「そうだそうだ! 褒めてー!」
芳佳「すごーい、ルッキーニちゃん」
バルクホルン「また屁理屈を……元はと言えば、リベリアン! お前が窓を開けっぱなしにしたからだな」
シャーリー「うっわ、まだそれを持ち出すのかよ。はいはい、すいませんでしたー」
坂本「まあ大事に至らなくて良かった! これで本当に一件落着だな! はっはっは!」
ペリーヌ「はぁ、坂本少佐がそうおっしゃると全て丸く収まりますわね。流石ですわ」
リーネ「かなりの大事だった気がするけど……」
ミーナ「しばらくはネウロイの襲撃も無さそうなので、今日はゆっくり休んでください。以上です」
シャーリー「ふぅー! やりぃ!」
エイラ「サーニャ、どうだ? 一緒にサウナでも」
サーニャ「ごめんなさい、エイラ。私、すごく眠いから……」
エイラ「そ、そうか……」
リーネ「芳佳ちゃん。私たちはどうする?」
芳佳「……」
リーネ「芳佳ちゃん……?」
芳佳「あの感覚、忘れないうちに形にしておきたいんだ」
リーネ「え?」 - 131 : 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/10/23(日) 03:12:01.088 ID:pzLi5ngv0.net
- 坂本「ん? 宮藤は崖にしがみついて何をしているんだ? 今日は訓練はしないはずだろう」
リーネ「それが……」
ペリーヌ「新たなクライミングのスタイルを確立できそうだ、とおっしゃってましたわ」
坂本「クライミングの……?」
ペリーヌ「ええ。先ほど、シリコンの塊を掌につけていました。邪魔なだけでしょうに、いったい何の効果があるのかしら」
芳佳「胸を揉みこむように、やさしく、大胆に、かつコンパクトに……」
ガシッ
芳佳「愛を忘れず……丁寧に、しつこく……!」
ガシッ
坂本「ほう……登山の訓練は何度か受けてきたが、やはりあのような登り方は見たことが無い。まるで崖と戯れているようだ」
リーネ「すごい芳佳ちゃん……いつのまにあんな登り方を……!」
ペリーヌ「意外な才能が開花しましたわね。何がきっかけかは知りませんけど」
芳佳「この登り方はイイ……疲れるどころか、幸福感を感じるなんて……これをオッパインスタイルと名付けよう……!」
アルパインスタイルと双璧を成す、オッパインスタイル誕生の瞬間であった――
END

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