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海未「Grand Revue」
- 1 : 名無しで叶える物語(もんじゃ)@\(^o^)/ 2016/10/27(木) 17:05:14.11 ID:CeDPoT2M.net
- 「ワンツースリーフォー!」
屋上に響くカウントの声。
いつもと変わらない、私たちの練習風景。
私のカウントに合わせて皆がステップを刻んでいく。
1人1人の動きを観察しながら、ステップがずれていたり
間違っているところを指摘していく、それが私の役割。
だから私の前で踊っているメンバー以上に集中力を保たなければいけません。
- 2 : 名無しで叶える物語(もんじゃ)@\(^o^)/ 2016/10/27(木) 17:05:45.16 ID:CeDPoT2M.net
- でも、今日は……今日だけは心ここにあらずといった感じで
全く集中出来ていなかったのです。
そんな異変を感じ取ったのは、やっぱりこの2人で――
穂乃果「ストーーーップ!」
海未「ほ、穂乃果?」
穂乃果「海未ちゃん!」
海未「な、何ですか?」
穂乃果「今日の海未ちゃん変だよ!」
海未「失礼な!」
ことり「ごめんね海未ちゃん、ことりもそう思うかな」
海未「ことりまで……」 - 3 : 名無しで叶える物語(もんじゃ)@\(^o^)/ 2016/10/27(木) 17:06:30.89 ID:CeDPoT2M.net
- ことり「練習始まってから……ううん、朝一緒に登校してる間からずっとだよ」
ことり「ずっとそわそわしてて、ちらちら時計を見て時間を気にしたり……」
ことり「海未ちゃんらしくなかったよ」
海未「うぅ……」
穂乃果「……ねぇ、海未ちゃん」
穂乃果「そんなに気になってるなら、行ってあげたら?」
海未「……っ!」 - 4 : 名無しで叶える物語(もんじゃ)@\(^o^)/ 2016/10/27(木) 17:07:03.97 ID:CeDPoT2M.net
- ずっとずっと一緒に居たこの2人だからこそ、私の異変も、その理由もお見通しだったのでしょう。
海未「ですが……」
ことり「“それ”って、海未ちゃんにだけ送られてきたんだよね?」
海未「そう、ですね」
ことり「じゃあきっと、海未ちゃんに来てほしいから送ってきたんじゃないかな」
海未「……」 - 5 : 名無しで叶える物語(もんじゃ)@\(^o^)/ 2016/10/27(木) 17:08:09.45 ID:CeDPoT2M.net
- ことり「あのね、ことりも聞いたんだけど、やっぱり始まる前って凄い緊張と不安でいっぱいなんだって」
ことり「でも、ずっと一緒に走ってきた海未ちゃんと一緒なら乗り越えられる……」
ことり「だから送ってきたんだと思うよ」
海未「もしかして、ことりも……」
ことり「それは内緒です♪」
穂乃果「幕が上がる前に、隣で手を握ってくれるだけでどれだけ安心出来るか海未ちゃんも知ってるよね?」
海未「……」コクリ - 6 : 名無しで叶える物語(もんじゃ)@\(^o^)/ 2016/10/27(木) 17:09:07.66 ID:CeDPoT2M.net
- 穂乃果「じゃあ答えは決まってるよ」
ことり「ことりたちがそうしたように、海未ちゃんも手を握ってきてあげて」
海未「穂乃果……ことり……!」
海未「……ありがとうございます。申し訳ありませんが、先に上がらせて頂きます!」
ことり「いってらっしゃ~い♪」
穂乃果「穂乃果たちも後から合流するねー!」 - 7 : 名無しで叶える物語(もんじゃ)@\(^o^)/ 2016/10/27(木) 17:09:47.38 ID:CeDPoT2M.net
- 親友2人に背中を押され、私は駆け出す。
すっかり秋めいてきた空気の中、全速力で、あの人のところへ。
2016年10月27日。
私の大切な人の、大切な舞台。
その場所へ―― - 8 : 名無しで叶える物語(もんじゃ)@\(^o^)/ 2016/10/27(木) 17:10:55.80 ID:CeDPoT2M.net
- “それ”が届いたのは今から3日前のことでした。
海未「おや?郵便ですね」
珍しく私宛てに届いた郵便。
中に入ってるものにおおよそ見当がつきながら、封を開けるとそこにはチケットが入っていました。
武道館公演が決まったと聞き、お祝いの電話をした時に言われた一言。
『絶対にチケット送るからね!』
その約束通りのものが送られてきた……9枚も。
チケットに添えられていたメモには
『みんなに渡してね~( ´ ▽ ` )ノ』
海未「ふふっ、あの人らしいですね」 - 9 : 名無しで叶える物語(もんじゃ)@\(^o^)/ 2016/10/27(木) 17:11:52.29 ID:CeDPoT2M.net
- ふと、便箋に目をやるともう1枚何かが入っているのが分かりました。
そこに入っていたのは“スタッフパス”でした。
一瞬目が点になりつつ、そのスタッフパスにも添えられていたメモには
これがあると関係者として開演前に楽屋に行けるとのこと。
これを私に渡してどうするのでしょうか。
もう1つ気になったのが、このスタッフパスが1枚しか無いということ。
もし9枚あれば皆に会いにきてほしいのだろうと思えますが、どこを探しても1枚しかありません。
私にだけ?
何故?
そもそも私は会いに行って良いのでしょうか?
色々な考えが私の頭の中をぐるぐる回り、結局答えは出ませんでした。 - 10 : 名無しで叶える物語(もんじゃ)@\(^o^)/ 2016/10/27(木) 17:13:02.13 ID:CeDPoT2M.net
- 本人からも、会いに来てほしいなどとは書かれておらず、
流石に私から会いに行っても良いでしょうかなどと言えるはずもなく。
穂乃果やことりに相談しても
『海未ちゃんがどうしたいかが一番大事だよ』
と言われ、何も進展のないまま当日を迎えてしまいました。
でも、私は今“それ”を握りしめてあの人の所へ向かっています。
親友2人に背中を押されただけではなく、私の意志で。 - 11 : 名無しで叶える物語(もんじゃ)@\(^o^)/ 2016/10/27(木) 17:14:08.46 ID:CeDPoT2M.net
- 海未「ここが……日本武道館……」
数多くの著名なアーティストの方々がライブを開催した由緒ある場所。
そんな所であの人がライブをするなんて……しかもたった1人で。
未だに信じられない気持ちと共に、不思議な高揚感が私を包んでいました。
私は握りしめた“それ”をスタッフの方に見せ、武道館の中へと入っていきました。
そこから先のことはよく覚えていません。
何人かのスタッフの方に道を尋ね、あれよあれよという間に
あの人が待っているであろう楽屋にたどり着きました。 - 13 : 名無しで叶える物語(もんじゃ)@\(^o^)/ 2016/10/27(木) 17:14:41.08 ID:CeDPoT2M.net
- 海未「この扉の向こうに……」
そう考えると何故だかとても緊張してきました。
思えば、あの人と会うのは半年ぶりだったりします。
電話やメールはたまにしているんですけどね。
この間はラッピングトレインで私の写真を撮って送ってきましたね。
あれは恥ずかしかったです……。 - 14 : 名無しで叶える物語(もんじゃ)@\(^o^)/ 2016/10/27(木) 17:15:37.45 ID:CeDPoT2M.net
- でも、顔を合わせるとなると本当にあの時以来になります。
不思議なものですね。
この6年間、毎日のように顔を合わせていたのが半年も会わなくなるなんて。
しかもそのせいで緊張してしまうなんて。
もしかして、顔を忘れられてるなんてことありませんよね……?
いやいやまさか。
……ありえないわけじゃないのが怖いですね。 - 15 : 名無しで叶える物語(もんじゃ)@\(^o^)/ 2016/10/27(木) 17:16:16.41 ID:CeDPoT2M.net
- とまぁ冗談は置いておいて。
いつまでも楽屋の前で立っていると不審者に思われてしまいそうですし
意を決して中に入ろうとした瞬間、目の前が真っ暗になりました。
――だーれだ♪ - 16 : 名無しで叶える物語(もんじゃ)@\(^o^)/ 2016/10/27(木) 17:17:02.04 ID:CeDPoT2M.net
- 懐かしい、声。
半年ぶりに直接聞く声。
忘れるわけもありません。
近いようで遠い、遠いようで近い存在。
この6年間の思い出が色鮮やかに蘇るような感覚に
こみ上げてくるものを感じながら、私はその人の名前を全身全霊で叫びました。
海未「……すずこ!」 - 17 : 名無しで叶える物語(もんじゃ)@\(^o^)/ 2016/10/27(木) 17:18:24.73 ID:CeDPoT2M.net
- 武道館~開場中~
穂乃果「……」ボリボリ
ことり「穂乃果ちゃん、いくら海未ちゃんが居ないからってお菓子食べすぎだと思うよ?」
穂乃果「へーきへーき、まだ海未ちゃんは来ないんじゃないかな」
海未「誰が来ないですって?」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
穂乃果「どひゃあ!」
海未「ほーのーかー?」
穂乃果「ひぃっ!」 - 19 : 名無しで叶える物語(もんじゃ)@\(^o^)/ 2016/10/27(木) 17:19:22.99 ID:CeDPoT2M.net
- 海未「はぁ、あなたという人は」
海未「今日という特別な日に免じて“今日”は見逃してあげます」
穂乃果「ほっ」
ことり「ふふふ。それで、ちゃんと会えてきた?」
海未「えぇ、お蔭様で」
海未「全く、何が緊張と不安でいっぱいですか」
海未「ひとしきり弄られた後、ケラケラ笑いながらどこかへ行ってしまいましたよ」
ことり「あはは、何だか“らしい”ね」 - 20 : 名無しで叶える物語(もんじゃ)@\(^o^)/ 2016/10/27(木) 17:20:22.57 ID:CeDPoT2M.net
- 海未「……いえ、多分内心は緊張と不安でいっぱいなんでしょう」
海未「でも、そういうところを他の人には見せない人ですからね」
海未「どんなに辛くても、どんなに苦しくても、自分の弱いところは絶対に見せないんです」
海未「ただ、それ以上に……」
海未「6年一緒に居たからですかね、言葉にしなくても何となく分かるんです」
海未「今、あの人の心の中でどんな気持ちが芽生えているのか」
――絶対にこのステージを楽しもう!
海未「そしてそれは、私がこの6年間で学んだことでもあります」
穂乃果「海未ちゃん……」 - 21 : 名無しで叶える物語(もんじゃ)@\(^o^)/ 2016/10/27(木) 17:21:09.92 ID:CeDPoT2M.net
- 海未「だから最初から心配なんていらなかったのかもしれませんね」
ことり「ううん、そんなことはないと思うよ」
ことり「きっと海未ちゃんの顔を見て、声を聞いて、勇気づけられたと思う」
海未「そうだと嬉しいですね」
穂乃果「あ!もうすぐ始まるみたいだよ!」
ことり「うわ~楽しみだね~!」
海未「えぇ!」 - 22 : 名無しで叶える物語(もんじゃ)@\(^o^)/ 2016/10/27(木) 17:22:17.05 ID:CeDPoT2M.net
- ――じゃあ、行くね
海未『待ってください』スッ
――ん?握手?ごめん、そういうのはCD買ってもらって……
海未『違います!何を言っているのですか!』
海未『その、手を握ると安心出来るというか……』
海未『私もそうだったので……』
――ふふ、知ってるよ。何年海未ちゃんの隣を歩いてきたと思ってるの?
ギュッ
――ありがとね、最高のステージ見せるから! - 23 : 名無しで叶える物語(もんじゃ)@\(^o^)/ 2016/10/27(木) 17:23:04.32 ID:CeDPoT2M.net
- さぁ、幕が上がります。
私も全力であなたのステージを楽しみたいと思います。
だから、見せてください。
あなたの
Grand Revueを
~Fin~ - 25 : 名無しで叶える物語(もんじゃ)@\(^o^)/ 2016/10/27(木) 17:24:01.27 ID:CeDPoT2M.net
- おしまい
迷ってる人は武道館行こう(ステマ)

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