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【SS】ひのきとひなげしと届かない星
- 1 : 名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/11/02(水) 21:32:20.90 ID:C0rnbRKy.net
- ひなげしはまっ赤に燃えあがり、風にぐらぐらゆれて、息もつけないようでした。
そのひなげしのうしろの方で、やっぱり風に髪もからだも、いちめんもまれて立ちながら若いひのきが云いました。
「あなたはまっ赤な帆船で、いまがあらしのとこなんですわ」
「いやあだ、まる、そんな帆船やなんかじゃないよ。せだけ高くておばかなひのきずら。」
ひなげしは云いました。
「そして向うに居るのは、もうみがきたて燃えたての銅づくりのいきものなんですわ。」
「いやあだ、お日さま、そんなあかがねなんかじゃないよ。せだけ高くてばかあなひのきずら。」
ひなげしは叫びます。
ところがこのときお日さまは、さっさっとみかん色の髪の毛を揺らしながら、るり色をした山に入ってしまいました。
風が一そうはげしくなって、東には大きな立派な雲の峰も少し青ざめて四つならんで立ちました。
- 2 : 名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/11/02(水) 21:34:01.16 ID:C0rnbRKy.net
- 小さなひなげしはこそこそ云いました。
「ああつまらないつまらない、もう一生田舎の聖歌隊の合唱手(コーラス)ずら。
いちど女王(スター)にしてくれたら、まるは死んでもいいんだけどなぁ。」
となりの桃色の花がすぐ引きとって云いました。
「ええ、いくらスターでなくってもマルちゃん位立派ならもうそれだけで十分だよ。」
「そんなことないよ。けどルビィちゃんは、まるで及びもつかないよ。
青いポニーテールの虻さんでも桜色のだんだらのメノノリまでみなまっさきにルビィちゃんへ行くずら。」
そんなことを話していると、
向うの葵の花壇から堕天使が小さな蛙にばけて、青いフロックコートを羽織り
それにばら娘に仕立てた自分のリトルデーモンの手を引いて、あわてた風をしてやって来たのです。 - 3 : 名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/11/02(水) 21:35:07.63 ID:C0rnbRKy.net
- 「や、道をまちがえたかしら。それとも地図が違ってるか。失敗。失敗。一寸聞いて見ましょう。美容術のうちはどっちですか。」
ルビィはあんまり立派な金髪のばらの娘を見、又美容術と聞いたので、ドキッとしました。
堕天使の蛙がばらの娘に云いました。
「ははあ、この辺のひなげしはみんな田舎者か何かね。それに全然地味よ。」
娘にばけた堕天使の弟子はお口をちょっと三角にしていかにもすなおにうなずきました。
それを聞いたひなげしはもう非常な勇気で云いました。
「何かご用ですか。」
「あ、これは。一寸おたずねいたしますが、美容院はどちらでしょうか。」 - 5 : 名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/11/02(水) 21:39:46.42 ID:C0rnbRKy.net
- 「さあ、あいにくこのような場所にそういうところはございません。一体それがこの沼津にでもございますか。」
「それはもちろん。現に私のこのリトルデーモンも、前は自由奔放で心配しましたが、助手のお方が術を施して、
今はあなたともご交際なぞできるようになりました。明日トーキョーへ連れてでますので。では。」
「あ、一寸。一寸お待ち下さいずら。その美容術の先生はどこへでもご出張なさいますか。」
「すると思いますよ。」
「それでは誠になんですがお序での節、こちらへもお廻りねがえませんでしょうか。」
「そう。しかし私はその先生の書生というでもありません。だけど、しかしとにかくそう云いましょう。さあ。行きましょう。さよなら。」
悪魔は娘の手をひいて、向うのどてのかげまで行くと黒羽根をさして云いました。
「お前はこれで帰ってよし。あわびと金目鯛とでシャイ煮を煮込でおいてちょうだい。ヨハネは今度は医者だから。」
といい小さな白い鬚ひげの医者にばけました。
堕天使のリトルデーモンさっそく大きな雀すずめの形になってしゃいにーと飛んで行きました。 - 6 : 名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/11/02(水) 21:41:02.77 ID:C0rnbRKy.net
- 雲のみねはだんだん高く、だんだん白くなって、いまは空の頂上まで届くほどです。
「えと、この辺だと云われたけど、どうも門へ標札も出してないみたいね。一寸たずねますが、ひなげしさんたちのおすまいはどの辺ですか。」
賢いルビィはドキドキしながら云いました。
「あの、ひなげしは私たちでございます。あなたは誰ですか。」
「そう、わたしは先刻堕天使ヨハネはからご言伝になった医者です。」
「それは失礼いたしました。椅子もないですけど、どうぞこちらへ。そして私とマルちゃんは立派になれますか。」
「なりますね。まあ三服でちょっとさっきのむすめぐらいというところ。しかし薬は高いわよ。」
ひなげしは顔色を変えてためいきをつきました。ルビィがたずねました。
「一体どれ位でございましょう。」
「左様。お一人が五シャイニーです。」 - 8 : 名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/11/02(水) 21:43:03.10 ID:C0rnbRKy.net
- ひなげしはしいんとしてしまいました。
お医者の堕天使もあごのひげをひねったまましいんとして空をみあげています
雲のみねはだんだん崩れてしずかな金いろにかがやき、北の方へ流れ出しました。
ひなげしはやっぱりしいんとしています。お医者もちらっと眼をうごかしたようでしたがやっぱりしいんと静まり返っています。
その時ひなげしが、思い切ったように云いました。
「お医者さん。まるお金なんか一文もないの。けども少したてばまるの頭に亜片ができるずら。それをみんなあげることにしたらだめかな。」
「ほう。亜片ね。あんまり間には合わないけれどもとにかくその薬はヨハ…私の方では要るのよ。よし。証文を書きなさい。」
するとルビィも同時に叫びました。
「私もどうかそうお願いいたします。」
お医者はまるで困ったというように考えていましたが、
「仕方ない。何もかもみな慈善のためよ。承知したわ。証文を書きなさい。」
悪魔のお医者はもう持って来た鞄から証書を出しました。そして笑って云いました。 - 9 : 名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/11/02(水) 21:45:12.90 ID:C0rnbRKy.net
- 「ではその私がこの紙をぱらぱらめくるからみんないっしょにこう云いなさい。亜片はみんな差しあげ候と。」
お医者は立って云いました。
「では」ぱらぱらぱらぱら、
「亜片はみんな差しあげ候。」
「いいわ。早速薬をあげる。一服、二服、三服とね。まず私がで第一服の呪文を唱える。すると空気がきらきら赤い波がたつ。それを吸い込むのよ。」
悪魔のお医者はとてもふしぎないい声でおかしな歌をやりました。
「ルシファー、アスモデウス、サタンよ赤きひかりは集い来てなすすべしらに漂えよ。」
すると本当に浅黄いろになった空気のなかに赤い光がかすかな波になってゆれました。
ふたりは美しくなろうと一生けん命その風を吸いました。
堕天使の医者はきっと立ってこれを見ていましたがその光が消えてしまうとまた云いました。
「では第二服 ルシファー、アスモデウス、サタンよ、黄なるひかりは集い来てなすすべしらに漂えよ」
空気へうすい蜜のような色がちらちら波になりました。ふたりはまた一生けん命です。
「では第三服」とお医者が云おうとしたときでした。
「おおい、お医者さま、あんまり変な声を出すのはやめてくださる。ここは、ヨーソロー様のお庭ですから。」
ひのきが高く叫びました。 - 10 : 名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/11/02(水) 21:46:31.37 ID:C0rnbRKy.net
- その時風がザァッとやって来ました。ひのきが高く叫びました。
「こうらにせ医者。まちなさいっ。お覚悟ですわ。」
すると医者はたいへんあわてて、まるでのろしのように急に立ちあがって、大きく黒くなって、飛んで行ってしまいました。
その足さきはまるで釘抜きのように尖り黒い診察鞄もけむりのように消えたのです。
「消えちゃった。」
ルビィがぽつりと云い、ふたりはあっけにとられてぽかっと空をながめています。
ひのきがそこで云いました。
「もう一足であなたたちみんな頭をばりばり食われるとこだったのですよ。」
「それだっていいじゃあない。おせっかいのひのきずら。」
もうまっ黒に見えるひなげしは怒って云いました。 - 11 : 名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/11/02(水) 21:48:19.35 ID:C0rnbRKy.net
- 「そうじゃあありません。あなたたちが青いけし坊主のまんまで食われてしまったら、もう来年はここへは草が生えるだけ」
「それに第一スターになりたいなんてあなたたち、スターて何だか知りもしないで。
スターというのはですね、
本当は星空で凛と輝くスクールアイドルのことなんですわ。」
「ほらあすこへもうお出になっているわ。
双子星座様は双子星座様のところに
レオーノ様はレオーノ様のところに、
定まった場所で各々のきまった光りようをなさるのがスクールアイドル。」
「ところがスターになりたいなりたいと云っているあなたたちが
そのままそっくりスターで、おまけにスクールアイドルたということになってますの。
それはこういうことよ。聴きなさい。」
あめなる花を星と云い
この世の星を花という - 12 : 名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/11/02(水) 21:50:11.21 ID:C0rnbRKy.net
- 「何を云ってるずら、けし坊主なんかになってまるたち生きていたくないよ。
ほれにいまのおかしな声。堕天使さんにはとても及ばないわ。
やあい、おせっかいの、せい高ひのき」
けしはやっぱり怒っています。
けれども、もうその顔もみんなまっ黒に見えるのでした。
ふたりは、しいんとして居りました。
ひのきは、まただまって、夕がたのそらを仰ぎました。
西のそらは今はかがやきを納め、東の雲の峯はだんだん崩れて、そこからもう銀いろの一つ星もまたたき出しました。 - 13 : 名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)@\(^o^)/ 2016/11/02(水) 21:53:38.56 ID:C0rnbRKy.net
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梨子「花丸ちゃん、歌詞できたの?」
花丸「はい、なんかと間に合ったずら…」
曜「今回は苦戦してたみたいだけど、しっかり間に合わせてきたね、偉い偉い」
花丸「えへへ…」
ルビィ「テーマとか、何かあるの?」
花丸「特にはないけど… まるの好きなお話をモチーフにした…かな」
善子「好きなお話?なによそれ」
花丸「内緒ずら♪」
千歌「どれどれ…タイトルは」
『届かない星だとしても』
おしまい

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