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みゆき 「最近おおかみさん来ないな……」

1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 22:19:19.21 ID:9vsQrTmI0
………………七色ヶ丘中学校

みゆき 「……はぁ」

あかね 「なんやぁ? 物憂げなため息なんかついて、どないしたん?」

みゆき 「えっ? う、ううん。何でもないよ」

あかね 「何でもないことあらへんやろ。なんやー? 悩みでもあるんかー?」




2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 22:21:11.32 ID:9vsQrTmI0
みゆき 「べつに悩みってわけじゃないけど……っていうか、なんであかねちゃん嬉しそうなの?」

あかね 「いやぁ」 ニヤニヤ 「なんや、いつものみゆきらしくない表情やったしなぁ」

あかね 「恋する乙女-、みたいな?」

みゆき 「こっ、恋!?」

やよい 「恋!? みゆきちゃん恋してるんですか!?」

なお 「……詳しく聞きたいね」

れいか 「わたくしも、是非」

あかね 「……あんたらどっから湧いて出たん?」


4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 22:24:26.66 ID:9vsQrTmI0
やよい 「あかねちゃん、ひとをイカみたいに言わないでよ!」

あかね 「イカちゃうでー。イカはたぶん湧いては出ぇへんでー」

なお 「ほらほら、そんなことより……みゆきちゃん、詳しく」

みゆき 「ええ!? いや、べつに、そういう話じゃなくて……////」

れいか 「そのわりには、随分とほっぺが赤くなっていますが」

みゆき 「そっ、それは……みんなが変な話をするから……///」 モジモジ

あかね (かわいい……)

やよい (あざといなぁ……)

なお (超かわいい)

れいか (かわいいですね……)


5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 22:25:20.03 ID:9vsQrTmI0
あかね 「……で?」 ズイッ

みゆき 「な、なあに、あかねちゃん? 顔が怖いよ……」

やよい 「かわいいかわいい恋する乙女のみゆきちゃん?」 ズズイッ

みゆき 「や、やよいちゃんまで……」

なお 「あなたは一体、」 ズイズイ

みゆき 「ち、ちょっと苦し……」

れいか 「どちらの殿方に想いを寄せてらっしゃるの?」 ズズイッズイッ

みゆき (あ、れいかちゃん良い香り……)


7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 22:26:05.20 ID:9vsQrTmI0
みゆき 「――じゃない!」

あかね 「わっ、いきなりどないしたん」

みゆき 「みんな勝手に盛り上がらないでよ! べつにわたし恋とかしてないし!」

あかね 「せやの? せやったらさっきの物憂い顔はなんやったん?」

みゆき 「それは……」

やよい 「それは?」

みゆき 「それはね……」

なお 「それは?」

みゆき 「……おおかみさん」 ボソッ

れいか 「? おおかみさん、ですか?」


8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 22:28:07.09 ID:9vsQrTmI0
あかね 「おおかみさん言うたら……ウルフルンのことかいな!?」

なお 「ち、ちょっと待ってよ。なんで敵の話になるの?」

みゆき 「いや、べつにそんな大それた話じゃなくてね!」 アセアセ

みゆき 「さ、最近見かけないなー、って、ただそれだけの話で……」

れいか 「? たしかにその通りですが、それが悩みなのですか?」

みゆき 「な、悩みってわけじゃないけど……なんか、気になって」


9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 22:29:59.79 ID:9vsQrTmI0
あかね 「はぁ。なんやぁ、浮いた話かと思ったらそないな話かいな」

なお 「でも、学校でもプリキュアのことなんて、みゆきちゃんはまじめだね」

れいか 「……それはまじめといっていいのでしょうか」

やよい 「でも、最近ほんとに見かけないよね、ウルフルン」

あかね 「そらそやけど、敵なんやから来ないほうがええやん」

やよい 「代わりにアカオーニかマジョリーナが来るだけだけどね……」

あかね 「それは言わんお約束や」


11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 22:44:43.08 ID:9vsQrTmI0
みゆき (……おおかみさん、どうしたんだろ? 何かあったのかなぁ)

みゆき (なんか、気になるなぁ……) ハァ

あかね 「…………」 コソコソ (……な? また悩ましい顔しとるやろ?)

やよい (な、なんか色っぽいっていうか……)

なお (……/// みゆきちゃん、なんかきれいだね……//)

れいか (本当にどうしたというのでしょうか……)

みゆき 「……はぁ」


12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 22:45:51.14 ID:9vsQrTmI0
………………校舎外

? 「……ふふふ、なるほどなるほど」

? 「これはおもしろいことを聞いてしまいました。たまには外出してみるものですねぇ」

? 「さぁて、これをどうおもしろくしていきましょうかねぇ」

? 「ふふ……ふふふふふふ……」


14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 22:47:38.98 ID:9vsQrTmI0
………………バッドエンド王国

ウルフルン 「――――いよっしゃああああああ! やっと勝てたぜ!」

アカオーニ 「チッ、負けちゃったオニ」

マジョリーナ 「……ま、しゃーないだわさ」

ウルフルン 「ウルッフフ、やっと俺様の出番だな」

マジョリーナ 「まぁ、ここんところばば抜きで負けっ放しだったからねぇ、あんた」

マジョリーナ 「あたしゃ久々に休みたいだわさ。ちょいと寝てくるだわさ」

アカオーニ 「仕方ないオニ。俺は金棒でも鍛え直しておくオニ。せいぜいがんばるオニ」

ウルフルン 「おうよ、言われなくたってな!」

ウルフルン 「ウルッフフフ……今日こそ俺のこの手で、プリキュアを倒してやるぜ……!」

ウルフルン 「…………」

キョロキョロ

ウルフルン 「……あいつらは、行ったか」

ウルフルン 「……くそ! 勝っちまったぁああああああ……」


15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 22:48:30.65 ID:9vsQrTmI0
ウルフルン 「今まで、できるだけジョーカーを引くように引くようにってやってきたってのに……」

ウルフルン 「できるだけジョーカーを渡さないように渡さないようにやってきたってのに……」

ウルフルン 「どうしてそれで勝てるんだよ! アカオーニもマジョリーナもなんも考えてねえんじゃねぇのか!」

ウルフルン 「くそっ……。戦いたくなんてねえってのによ……」

ウルフルン 「はぁ……仕方ねぇ。適当に出撃して、バッドエナジーだけ回収して帰ってくるか――――」

? 「――――おやぁ? 聞いちゃったー聞いちゃったー♪ とんでもないこと聞いちゃったー♪」

ウルフルン 「!?」 バッ 「テメェ、ジョーカー!!」

ウルフルン 「……盗み聞きとはいい度胸してるじゃねぇか!」

ジョーカー 「いえいえそんなぁ、滅相もないですよぉ。盗み聞きなんて人聞きの悪い」 クスクスクス

ジョーカー 「あ、なんか今の語呂がいいと思いません?」

ウルフルン 「うるせぇ! 俺はこれからバッドエナジーを集めに行くんだ! くだらねぇこと言ってねぇでどけ!」

ジョーカー 「ちょっと落ち着いてくださいよぉ」

ジョーカー 「そんなに焦らなくても、べつに今のを他の方に告げ口したりはしませんからぁ。ね?」

ウルフルン 「ぐっ……」 (ピエーロ様直属だかなんだか知らねぇが、ほんと食えねえ野郎だぜ……)


16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 22:50:07.00 ID:9vsQrTmI0
ウルフルン 「……で?」

ジョーカー 「で、とは?」

ウルフルン 「俺様を脅すつもりだろうが! テメェの望みはなんだ!」

ジョーカー 「ちょっとちょっとぉ、話が飛躍しすぎですよぉ。落ち着きましょう?」

ウルフルン 「っ……」

ジョーカー 「べつに私は三幹部のひとりであるあなたを脅したりはしませんよぉ」

ジョーカー 「……ただひとつ、私とちょっとした遊びをしませんか?」

ウルフルン 「遊びだと? もったいつけずに皆まで言え!」

ジョーカー 「おお、怖い怖い。そんなんじゃ嫌われちゃいますよぉ? キュアハッピー、でしたっけ?」

ウルフルン 「!? なっ、お前、その……お前……」

ジョーカー 「うわー、分かりやすくておもしろーい」 クスクスクス


17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 22:51:03.64 ID:9vsQrTmI0
ウルフルン (こいつ……!)

ジョーカー 「それでは、本題に入りますが……」

ジョーカー 「……ウルフルンさん、今回の出撃で、プリキュアをひとり倒しなさい」

ウルフルン 「なんだと……?」

ジョーカー 「もし倒せたら、先ほどの発言は、私ジョーカー、主君ピエーロ様の名にかけて、きれいさっぱり忘れましょう」

ジョーカー 「ただし、もしも倒すことができなかったら……」

ニィイイ

ジョーカー 「ふふ……ウルフルンさん、私はピエーロ様の名において、あなたを裏切り者として処断します」

ウルフルン 「ッ……!」 (ジョーカー、こいつ……!)

ジョーカー 「どうしますぅ? この賭け、乗ります? 降ります?」

ジョーカー 「でも乗るしかないですよねぇ!? ふふ……ふふふふふ……!!」

ウルフルン (くそがっ……! この野郎……ッ)


19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 22:52:01.07 ID:9vsQrTmI0
ジョーカー 「おやぁ? 乗らないおつもりですかぁ?」

ジョーカー 「降りたらどうなるか分かりますよねぇ?」

ジョーカー 「ねぇねぇー? 分からないんですかぁ? 分からないわけないですよねぇ?」

ウルフルン 「ぐっ……うるっせぇ!! 分かったよ! 乗ってやるよ!」

ジョーカー 「そう来なくっちゃあ♪ そうでなきゃ幹部じゃないですもんねぇ」

ウルフルン 「くそっ……」

ジョーカー 「おおっと、ちょっと待ってください」

ウルフルン 「っ……んだよ!」

ジョーカー 「出撃は明日にしましょう。ほら、もう夕方ですしね」

ウルフルン 「……テメェ、なに企んでやがる!」

ジョーカー 「企むだなんてそんな人聞きの悪い」 クスクス 「なんにせよ、あなたがどうして私に意見できるんです?」

ウルフルン 「ぐっ……」


20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 22:52:43.06 ID:9vsQrTmI0
ジョーカー 「おやおや、そんな顔をされたら、まるで私がいじめてるみたいじゃないですかぁ」

ジョーカー 「安心してください。私はあなたを不利にするようなことは絶対にいたしません」

ジョーカー 「むしろあなたが賭けに勝てるように、全力でサポートするつもりですよ。うふふ♪」

ウルフルン 「っ……勝手にしろ! 俺は明日出ればいいんだな!?」

ジョーカー 「ええ。それでは、おやすみなさい、ウルフルンさん」

ウルフルン 「くそっ……」

ジョーカー 「………………」

クスクスクス

ジョーカー 「ふふふ♪ これは本当に楽しそうなことになってきましたねぇ……」

ジョーカー 「ふふふ……うふふふふふふ……♪」


21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 22:53:25.04 ID:9vsQrTmI0
………………七色ヶ丘 星空家

キャンディ 「クルっ、クルっ、クルっ♪」

みゆき 「…………」

キャンディ 「新しいリボンをつけたキャンディちょうかわいいクルー!」

みゆき 「…………」

キャンディ 「クルっ、クルっ、クルっ♪」

みゆき 「…………」

キャンディ 「みゆき、リボンありがとうクルー!」

キャンディ 「クル……? みゆき?」

みゆき (……わたし、どうしちゃったんだろ。なんか、気づいたらおおかみさんのこと考えてる)

みゆき (おおかみさんのことが気になって仕方ない。心配もしてる)

みゆき (みんなが言ってたとおり、おおかみさんは敵なのに、どうして……?)

キャンディ 「みーゆーきー?」 ズイッ


22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 22:55:09.76 ID:9vsQrTmI0
みゆき 「ひゃあ!? き、キャンディの顔がドアップ!?」

みゆき 「び、びっくりさせないでよキャンディ!!」

キャンディ 「だってみゆき、ボーッとしててキャンディの言うこと聞いてくれなかったクル!」

みゆき 「っあー……。ごめんね、キャンディ」

キャンディ 「クル? なんかみゆき、元気ないクル?」

みゆき 「そ、そんなこと……」

みゆき 「……少し、あるかも」

キャンディ 「やっぱりクル! 何か悩み事クル?」

みゆき 「そういうのじゃないと思うけど……」

みゆき (さすがに、キャンディにおおかみさんのことなんて言うわけにはいかないし……)


23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 22:55:58.49 ID:9vsQrTmI0
キャンディ 「クルぅ、なんかみゆきらしくないクル」

みゆき 「うん……ごめんね、キャンディ」

キャンディ 「仕方ないクル。少しジッとしてるクルよ~」

みゆき 「えっ? なになに……って、ひゃうっ!?」

キャンディ 「クルっ、クルっ、クルっ!」 ヨジヨジヨジ

みゆき 「なんでわたしの身体をよじ登ってるの!? キャンディ!?」

キャンディ 「じっとしてるクル!」

みゆき 「うぅ……」 (くすぐったいよぅ……)

キャンディ 「……ふぅ。やっとてっぺんクル!」

みゆき 「キャンディ、頭重いんだけど……」

キャンディ 「我慢するクル! 始めるクル!」

みゆき 「一体何をするの?」

キャンディ 「こうするクルー!」

ナデナデナデ


24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 22:56:33.72 ID:9vsQrTmI0
みゆき 「キャンディ……?」

キャンディ 「お兄ちゃんは、キャンディが落ち込んでたときは、いつもこうやって頭なでなでしてくれたクル」

キャンディ 「だから、キャンディもお兄ちゃんみたいに、みゆきにやってあげるクル!」

キャンディ 「なでなでなで」

みゆき 「キャンディ……」

クスッ

みゆき 「ふふ、ありがと、キャンディ。キャンディのおかげで元気出てきたかも!」

キャンディ 「ほんとクル? なら、キャンディも嬉しいクルー!」

キャッキャキャッキャ……


25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 22:57:49.88 ID:9vsQrTmI0
………………

キャンディ 「クルぅ……もう食べられないクル……」 zzzz……

みゆき 「ふふ、かわいい寝顔」

みゆき 「…………」

みゆき 「……キャンディにまで心配かけちゃった。いけないなぁ」

パンパン

みゆき 「わたしがしっかりしないと! なんたってわたしは、伝説の戦士なんだからね!」

みゆき 「……って気合いを入れ直したところで、わたしも寝ようかな……――」

――コンコン

みゆき 「!?」 (ま、窓の外に、誰かいるの……?)

? 「おっとぉ、そう驚かないでください。怪しい者ではありませんから」

みゆき (めちゃくちゃ怪しいひとがいるーーーーーーーーー!?)


27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 23:01:05.10 ID:9vsQrTmI0
みゆき 「あ、あなた誰!? っていうここ二階なんだけど!?」

? 「細かいことはまぁ置いておきましょうよぉ」

クスクス

? 「私はジョーカー。バッドエンド王国の者です。どうぞお見知りおきを、キュアハッピー」

みゆき 「バッドエンド王国!?」 バッ

ジョーカー 「しーっ、静かにしないと、そちらの愛らしいお嬢さんが起きてしまいますよ?」

キャンディ 「…………」 zzzzzz……

みゆき (こ、このお気楽妖精さん、熟睡してる……)

ジョーカー 「ご安心を。今日はこの世界のどなたも傷つけるつもりはありません」

ジョーカー 「ひとつ、あなたにお伝えすることがあって参っただけですので」

みゆき 「お伝えすること? バッドエンド王国がわたしに、何を……」

ジョーカー 「……あなたがご執心の、ウルフルンのことです」

みゆき 「!? おおかみさんのこと!?」


28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 23:02:18.81 ID:9vsQrTmI0
ジョーカー 「ですから、お静かに」

みゆき 「あっ……。そ、それで……おおかみさんがどうしたっていうの?」

ジョーカー 「いえ、大したことではないのですけどね」 ニィ

ジョーカー 「明日、彼がこの町にやってきます」

みゆき 「!? そ、それ、本当?」

ジョーカー 「ええ。私はうそはつきませんよ?」

みゆき (声からしてすごくうさんくさい……けど、)

みゆき 「そっか……。久々におおかみさんに会えるんだ……」

ジョーカー 「それからもうひとつ。実は私、彼とひとつゲームをしていましてね」

みゆき 「ゲーム?」

ジョーカー 「ええ。明日、彼がこの町にやってくれば、またあなたたちとの戦いになるでしょう?」

みゆき (戦い……そっか、わたし、おおかみさんと戦わなくちゃなんだ……)

ズキッ

みゆき (何で……こんなに胸が痛いんだろ……)


30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 23:03:06.73 ID:9vsQrTmI0
ジョーカー 「その戦いにおいて、彼がひとりでもプリキュアを倒せれば、彼の勝ち」

みゆき 「!?」

ジョーカー 「ひとりも倒せず撤退したら、彼の負け」

みゆき 「か、勝ち負けって……それって、賭けってこと?」

ジョーカー 「ええ、そのとおりです」

ニィィ

ジョーカー 「そして、そのゲームに賭けられているものは、彼の命です」

みゆき 「は……はぁ!? い、命って……それ、どういうこと!?」

ジョーカー 「お静かに。キャンディが起きてしまいますよ?」

みゆき 「し、静かにしてられるわけなんてないじゃない! どういうことなのそれは!?」

ジョーカー (くくく……すごい食いつきようだ。これはこれは……)

ジョーカー 「……まぁ、それくらい彼の立場は危うくなっているということでしょうかねぇ」

みゆき 「ま、まさか……だから、最近こっちに来なくなってたんだ……」

みゆき 「おおかみさん……」


31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 23:04:41.48 ID:9vsQrTmI0
ジョーカー 「ともあれ、しっかりお伝えしましたからね?」

ジョーカー 「明日、ウルフルンがこちらに来ます」

ジョーカー 「そしてバッドエナジーを集め、あなたたちと戦います」

ジョーカー 「そのときにあなたたちを一人でも倒せなければ、彼の命はありません」

みゆき 「……そんなの……ど、どうしたらいいの……?」

みゆき 「わたし……わたし……」

ジョーカー 「おやぁ? どうして悩んでいるんですかぁ?」

クスクス

ジョーカー 「あなたは伝説の戦士プリキュアでしょう? そして私たちは敵です」

ジョーカー 「そんなあなたが、まさかウルフルンの心配なんてしてるわけないですよねぇ?」

みゆき 「そ、それは……」


32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 23:06:07.04 ID:9vsQrTmI0
ジョーカー 「それって、もしかして裏切りじゃないですかぁ?」

ジョーカー 「仲間に申し訳ないとか思わないんですかぁ?」

ジョーカー 「後ろで安らかな寝息を立てているお嬢さんに、申し訳ないとは思わないんですかぁ?」

ジョーカー 「キャンディは、私たちに生まれ故郷に攻め込まれたんですよぉ?」

ジョーカー 「もちろん、ウルフルンも一緒に、ね?」

キャンディ 「……むにゃ……むにゃ……クル……」 zzzzzz……

みゆき (キャンディ……)

ジョーカー 「ねえねえねえ? どういう心境ですかぁ?」

ジョーカー 「仲間を裏切って、敵のこと考えちゃうって、どういう気持ちなんですかぁ?」

みゆき 「…………」

キッ

みゆき 「……関係、ないよ。そんなの」


33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 23:07:02.32 ID:9vsQrTmI0
ジョーカー 「……?」 (なんだ、この娘……怖くないのですか……?)

ジョーカー 「関係ないって、そう言って逃げるんですかぁ?」

みゆき 「違うよ。あなたって、大概いやなひとだね、ジョーカーさん」

ジョーカー 「なっ……」

みゆき 「……わたしはね、ハッピーエンドが好きなの」

みゆき 「悲しく終わるバッドエンドは、きらい。みんなが幸せで、笑っているのが好き」

ジョーカー 「ふふっ、だったら私たちはあなたの敵ですねぇ」

みゆき 「今は敵かもしれない。けど、わたしはあなたたちもバッドエンドにしたくない」

ジョーカー 「は……はぁ?」

みゆき 「わたしは、キャンディの優しさも知ってる。あったかい手も知ってる」

キャンディ 「……むにゃむにゃ……」

みゆき 「だから、世界をバッドエンドなんかにさせない。キャンディの願いも叶える」

みゆき 「全部を、ウルトラハッピーなハッピーエンドにしてみせる」

みゆき 「……それはおおかみさんたちの未来も同じ。誰の未来も、バッドエンドなんかにさせない」

みゆき 「わたしは、プリキュアだから」


34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 23:09:26.59 ID:9vsQrTmI0
ジョーカー (私たちをハッピーエンドにだって? 何を言っているんです、この娘は……)

ジョーカー 「……よくは分かりませんが、まぁいいでしょう」

ジョーカー 「よく覚えておいてくださいね、キュアハッピー」

ジョーカー 「明日、あなたたちプリキュアのうち、誰かひとりでも倒さなければ、」

ジョーカー 「ウルフルンは命を落とします。いいですね?」

ジョーカー 「ふふっ、それでは、ごきげんよう。キュアハッピー」

クスクスクス……

みゆき 「……いなくなった。何なんだろ、あのひと。すごく嫌な感じがしたけど……」

みゆき (でも、今はそんなことより……)

みゆき (おおかみさん……わたし、どうしたら……)

みゆき 「どうしたら、あなたを助けられるの……?」


36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 23:10:43.09 ID:9vsQrTmI0
………………バッドエンド王国

ウルフルン 「…………」

ウルフルン (俺は……)

ウルフルン (……なぁ、星空みゆき。いや、キュアハッピー)

ウルフルン 「俺は一体、どうしたらいいんだ……」


37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 23:12:01.10 ID:9vsQrTmI0
………………七色ヶ丘中学校

みゆき 「…………」

ボーッ

あかね 「な、なんやぁ……? なんや今日も調子おかしいな、みゆき」

やよい 「どうしたんだろ……なんか、昨日とも少し様子が違うみたい」

なお 「心配だね……」

れいか 「ええ。ですが、ストレートに聞くのもはばかられますし……」

キャンディ 「クル。今朝起きたときから様子がおかしかったクル……」

あかね 「うーん……どないしたんやろなぁ」

クラスメイト1 (あ、あのぬいぐるみ、喋ったよね……)

クラスメイト2 (う、うん……)


38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 23:14:12.90 ID:9vsQrTmI0
やよい 「とりあえず、」

なお 「うん」

やよい 「……話を聞いてみようよ」

れいか 「けど、誰が……」 ジーッ

やよい 「うん。誰がいいかな……」 ジーッ

なお 「誰が適任かな……」 ジーッ

キャンディ 「クル……」 ジーッ

あかね 「……あんたら、言いたいことあるならはっきり言いや」

あかね 「しゃーない。うちが行ってちょっと聞いてくるわ」

キャンディ 「さすがあかねクル! 頼りになるクル~」

あかね 「キャンディはほんま調子ええなぁ……」


39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 23:15:19.61 ID:9vsQrTmI0
みゆき 「…………」 (おおかみさん……)

みゆき (なんとなく、分かる。あのジョーカーってひとは、うそはきっとついてない)

みゆき (おおかみさんはきっと、今日、この七色ヶ丘にやってくる)

みゆき (バッドエナジーを集めるために。そして、わたしたちプリキュアを倒すために)

みゆき (……みんなにも教えなきゃ。でも……)

あかね 「う……うぉっほん!」

みゆき 「ひゃう!?」 ビグッ 「あ、あかねちゃん!? どうしたの!?」

あかね 「……どうしたの、やあれへんがな。聞きたいのはこっちや」

みゆき 「へ……?」

あかね 「朝っぱらから昨日以上に物憂げな顔しおってからに」

グニッ

みゆき 「あ、あふぁふぇふぁん? ほっぺつまんららいはいよ」

あかね 「スマーイル、スマーイル。笑ってへんと、ハッピーが逃げてまうんやろ?」 ニッ

みゆき 「ふぁ……」


40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 23:17:13.36 ID:9vsQrTmI0
あかね 「何があったんか知らんけど、うちらで相談に乗れることやったらいくらでも乗るで?」

ポンポン

あかね 「みゆきは笑ってる顔が一番や」

みゆき 「あかねちゃん……」

あかね 「それに、あそこにいるみんなも、そう思ってるんやで?」

みゆき 「えっ……?」

やよい 「…………」 ピース

なお 「…………」 グッ

れいか 「…………」 ニコッ

キャンディ 「…………」 クルー

みゆき 「……みんなも」

みゆき 「……うん! スマイルスマイル! 笑ってないとハッピーが逃げちゃう!」

あかね 「せや。それでこそ、うちらの知っとる星空みゆきや」 ニコッ


42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 23:19:01.51 ID:9vsQrTmI0
………………バッドエンド王国

ウルフルン 「…………」

ツカツカツカツカ……

ジョーカー 「…………」

ウルフルン 「……見送りとは、いい心がけだな、ジョーカー」

ジョーカー 「ええ。私は皆さんのサポートをするのが使命ですから」

ウルフルン 「…………」

ジョーカー 「…………」

ウルフルン 「……プリキュアを倒し、世界をバッドエンドにする。そして悪の皇帝ピエーロ様を蘇らせる」

ウルフルン 「……俺の使命は、ただそれだけのことだ」

ジョーカー 「ええ、もちろんその通りですとも」

ジョーカー 「良い報告をお待ちしておりますよ、ウルフルンさん」 ニコッ

ウルフルン 「…………」

ツカツカツカツカ……

ウルフルン (だから、そう。俺は……)


44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 23:23:18.80 ID:9vsQrTmI0
………………放課後

あかね 「――な、なんやて!? 今日、ウルフルンがバッドエナジーを集めに来る!?」

みゆき 「う、うん……」

やよい 「ど、どうしよう……早く準備しないと」

なお 「準備って言ったって、何をどうしたらいいのか……」

れいか 「…………」

スッ

れいか 「ちょっと待ってください、皆さん。話を進める前に、ひとついいですか?」

みゆき 「…………」

れいか 「みゆきちゃん。どうしてあなたが、敵の情報をご存じなのですか?」

みゆき 「……昨日の夜、バッドエンドのひとがわたしの部屋に来たんだ」

あかね 「!? 大丈夫だったんかいな!?」

みゆき 「うん。それだけ言うといなくなったから……」

キャンディ 「キャンディ、全然気づかなかったクル……」 クルーン


45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 23:24:03.98 ID:9vsQrTmI0
みゆき 「仕方ないよ。ぐっすり眠ってたし」

なお 「うーん、でも不思議だね。わざわざ敵が登場を予告してくるなんて」

やよい 「……何かの罠、かも?」

あかね 「うーん……」

れいか 「みゆきちゃん、もうひとつ。昨日現れたのはウルフルンだったのですか?」

みゆき (うぅ……れいかちゃんはやっぱり鋭いなぁ……)

みゆき 「ううん。全然知らない人。ジョーカー、って名乗ってた」

みゆき 「トランプのジョーカーみたいな格好をした人だったよ」

キャンディ 「クル!? ジョーカークル!?」

みゆき 「キャンディ、知ってるの?」

キャンディ 「……知ってることは知っているクル。でも、よくは知らないクル」

キャンディ 「ただ……とっても嫌な感じがする奴クル。それだけは言えるクル」


47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 23:26:18.99 ID:9vsQrTmI0
なお 「嫌な感じ、か。ともあれまた新しい敵だ。厄介だね……」

れいか 「わざわざウルフルンがやってくることを予告する意味……一体それってなんでしょうか?」

れいか 「やよいちゃんの言うとおり罠かもしれませんが、だとすればどんな罠が……」

あかね 「まぁまぁ、そう考えこんだってしゃーないやん」

あかね 「来たら来たで、いつもどおりばーんとぶっ倒すだけやで!」

やよい 「う、うん! そうだね! いつもどおりやればいいだけだよね!」

なお 「うん。何も気負わず、普段通りにやろう」

キャンディ 「クルー!!」

れいか 「え、ええ……」

みゆき (……ごめんね、れいかちゃん、みんな)

―――― 『明日、あなたたちプリキュアのうち、誰かひとりでも倒さなければ、』

―――― 『ウルフルンは命を落とします。いいですね?』

みゆき (やっぱり、あのことだけは言えない。みんなにわたしみたいに悩んで欲しくないから……)

みゆき (だから、わたしが……わたしが、なんとかするしかないんだ……)

れいか 「…………」 (みゆきちゃん……あなた……)


49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 23:27:10.51 ID:9vsQrTmI0
キャンディ 「クル!?」

みゆき 「キャンディ? どうかしたの?」

キャンディ 「感じるクル……感じるクル! バッドエンドが生まれたクル!」

あかね 「なんやて!? せやったらはよ行かな!」

なお 「キャンディ! 場所はどこ?」

キャンディ 「クルルルル……」 ピーン!! 「あっちクル!!」

なお 「よし。みんな、急ごう!」

やよい 「いつもどおりいつもどおり。それだけだよね」

れいか 「ええ……」 (……そう。普段どおりやればいいという、ただそれだけのこと)

みゆき 「…………」

れいか (……願わくは、それでみゆきちゃんに、普段の笑顔が戻らんことを)


51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 23:28:48.88 ID:9vsQrTmI0
………………七色ヶ丘 市街地

ウルフルン 「世界よ! 最悪の結末、バッドエンドに染まれ! 白紙の未来を黒く塗りつぶすのだ!」

ゴゴゴゴゴゴ……

通行人1 「うぅ……もうダメだぁ……」

通行人2 「がんばったって、無駄……何もかも、無駄……」

ウルフルン 「…………」 (……針がひとつ進んだ。また、ピエーロ様復活へ、一歩近づいた)

ウルフルン (それは、俺が望んでいたこと。俺がやるべきこと。だが、俺は……)

?? 「そこまでよ!!」

ウルフルン 「…………」 キッ 「……現れたか」

ウルフルン 「プリキュア!!」

あかね 「お、ほんまや。ほんまにウルフルンがきとるで」

ウルフルン 「あん? それはどういう意味だ?」

れいか 「……昨日、みゆきちゃんの家に、ジョーカーというひとが来て、伝えたそうです」

れいか 「今日、あなたがこの町に来て、バッドエナジーを集めるだろう、と」

ウルフルン 「なんだと!?」 (あいつ……!)


53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 23:29:59.13 ID:9vsQrTmI0
れいか 「一体どうしてそんなことをしたのか、よろしければ教えていただけますか?」

ウルフルン 「…………」

ウルフルン 「……ウルッフフ。俺が知るかよ。あいつはきまぐれな奴だからな」

ウルフルン 「おおかた、大した意味もないだろうさ」

れいか 「…………」

みゆき 「…………」 (おおかみさん……)

ウルフルン 「っ……」 (星空みゆき……)


54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 23:31:55.45 ID:9vsQrTmI0
通行人1 「うぅ……」

やよい 「……また無関係なひとを悲しませて!」

なお 「絶対に許さないぞ、ウルフルン!!」

ウルフルン 「……ふん。ならばどうするという?」

あかね 「罠があろうとなかろうと、うちらのすることなんか変わらへん! いくで、みんな!」

みゆき 「…………」

れいか 「……みゆきちゃん」

みゆき 「あっ……う、うん!」

ザッ……!!!

 『プリキュア・スマイルチャージ!!』

ウルフルン 「…………」 (そうだ、それでいい)

ウルフルン (おまえたちはいつもどおりやればいい)

ウルフルン (そして……)

 『――5つの光が導く未来! 輝け! スマイルプリキュア!』

ウルフルン (そして、俺を……)


56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 23:33:48.98 ID:9vsQrTmI0
ハッピー (おおかみさん……)

ウルフルン 「……こちらも行くぞ、プリキュア!」

ウルフルン 「出でよ! アカンベェ!!」

アカンベェ 『アカンベェ!』

サニー 「よーし、あっちもいつも通り出おったでぇ!」

マーチ 「みんな行くよ! ちゃっちゃとやっつけちゃおう!」

ビューティ 「ええ。では普段通り、マーチとサニーで牽制、ハッピーとピースで要所を叩いてください」

ビューティ 「私は全員のサポートに回ります」

ピース 「了解!」

サニー 「合点承知の助や!」

マーチ 「オーケー!」

ハッピー 「…………」


57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 23:35:14.72 ID:9vsQrTmI0
ビューティ 「……ハッピー? いいですか?」

ハッピー 「……ごめん。わたし、ちょっとやることがあるんだ」

ビューティ 「えっ……?」

ハッピー 「みんな、ごめん」 タン!!

キャンディ 「クルっ!? ハッピー!!」

サニー 「ちょっ、ハッピー!? どこに行くん!?」

ビューティ (ハッピー……) 「……仕方ありません。私がハッピーの穴を埋めます」

ピース 「け、けど、ハッピーはいいの!? どこかに行っちゃったけど!?」

アカンベェ 『アカンベェ!!』

ズシン、ズシン、ズシン……

マーチ 「言ってる時間はなさそうだ! とにかくアカンベェを倒そう!」

サニー 「しゃあないか! 行くで、マーチ!」

マーチ 「うん!」


58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 23:36:43.30 ID:9vsQrTmI0
………………

ウルフルン 「…………」

ハッピー 「…………」 ゼェ、ゼェ…… 「……おおかみさん」

ウルフルン 「……なぜ来た? 仲間は戦っているぞ?」

ウルフルン 「それとも、俺を直接倒しに来たか? 悪くない判断だとは思うが――――」

ハッピー 「――――プリキュアを倒せなきゃ死んじゃうって、本当なの?」

ウルフルン 「!? お前……どうしてそれを……!?」 ハッ

―――― 『……昨日、みゆきちゃんの家に、ジョーカーというひとが来て、伝えたそうです』

ウルフルン 「あの野郎……!! 余計なことを……ッ」

ハッピー 「本当なの!? 本当なんだね!?」

ウルフルン 「だったら何だ!? 敵であるお前には関係のない話だろうが!」

ハッピー 「けど、そんなの……そんなのって!!」


60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 23:38:14.90 ID:9vsQrTmI0
ウルフルン 「黙れ……」 (そもそも、お前の……お前の、せいで……俺は……)

―――― 『絶対に許さないんだから!!』

―――― 『笑ってないと、ハッピーが逃げちゃう……!』

ウルフルン (お前を、見ていたから……俺は……)

ウルフルン 「……お前には関係のない話だ。敵のお前が気にする必要なんて――」

ハッピー 「――関係なくなんてないよ! 気にするよ!」

ギュッ……!!!!

ウルフルン 「……!?」 (こいつ、敵である俺の手を、握っ……)

ハッピー 「あなたが敵かどうかなんて、どうでもいい……!」 グスッ

ハッピー 「わたしとあなたは、関係なくなんてないよ。あなたが死んだら、悲しいよ……」

ウルフルン 「お前、何で……何で、そんなこと……」

ウルフルン 「何で、そんなこと言いながら……泣くんだよ……」

ウルフルン 「何で……」

ポタッ……ポタッポタッ……

ウルフルン 「……何で、俺まで泣いちまってるんだよ……ちくしょう……」


61 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 23:39:50.36 ID:9vsQrTmI0
ハッピー 「…………」

ウルフルン 「…………」

ハッピー 「……ねえ、おおかみさん」

ウルフルン 「……なんだ?」

ハッピー 「わたしを、倒して」

ウルフルン 「!? お前、何を……」

ハッピー 「……ひどいよね。わたし、キャンディとみんなを裏切ろうとしてる」

ハッピー 「けど、一度だけだから。一度、あなたに負ければ、あなたはきっと、死ななくて済む」

ハッピー 「だから……」

ウルフルン 「……お前は、本当に……底抜けに優しい奴だな」

ハッピー 「そんなことない。わたし、卑怯者だ……」

ウルフルン 「…………」


62 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 23:40:34.70 ID:9vsQrTmI0
ウルフルン 「……すまん、キュアハッピー。一つだけ頼みがある」

ハッピー 「……? なに?」

ウルフルン 「……俺を、倒してくれ」

ハッピー 「え……?」

ハッピー 「ち、ちょっと待ってよ! そんなことしたら、おおかみさんが……」

ウルフルン 「……いいんだ。ここで、お前を傷つけるくらいなら、俺は……」

ハッピー 「やだよ! そんなの嫌だよ!」

ウルフルン 「そうか……」 ギロッ

ハッピー 「な、何……?」

ウルフルン 「……なら、俺は今から、全身全霊をかけて、プリキュアをひとり倒しに行く」

ハッピー 「えっ……なら、今ここで――」

ウルフルン 「――お前以外のプリキュアをひとり、俺の全力を出して倒すと、そう言っているんだ」

ハッピー 「!?」


63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 23:41:36.88 ID:9vsQrTmI0
ハッピー 「ど、どうして!? どうしてそんなこと言うの!?」

ウルフルン 「ウルッフフ。俺はワガママなバッドエンド王国の住人だぜ?」

ウルフルン 「お前の言うことをほいほい聞いたりはしねえよ」

ハッピー 「うそだよ! いま話して分かったもん! あなたやっぱり、本当はとっても優しいひとだよ!」

ウルフルン 「……俺は、お前の敵だ。キャンディの故郷に攻め込んだ悪だ」

ハッピー 「それは、そうかもしれないけど……でも!!」

ウルフルン 「俺は!!」

ハッピー 「!?」

ウルフルン 「……俺は、バッドエンド以外を知らないんだよ……ッ!」

ウルフルン 「俺は、バッドエンドにしかならないんだ! バッドエンドしか生み出せないんだッ!」

ウルフルン 「俺はお前の敵だッ! 迷うなッ! お前が俺を倒せ!!」

ウルフルン 「さもなくば俺は、お前の仲間を倒す!!」

ハッピー 「やだよ……やだよ、そんなの! 悲しいよ! バッドエンドにしかならないよ!」


64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 23:45:55.51 ID:9vsQrTmI0
ウルフルン 「……大丈夫だ。安心しろ」

ニッ

ウルフルン 「俺はきっと、プリキュアに選ばれたお前を、一番最初から見ていた。だから、言える」

ウルフルン 「お前は絶対に幸せになれる。ハッピーになれる」 ギュッ 「だから、俺を倒せ」

ハッピー 「いや……絶対に嫌!」 フルフル

ウルフルン 「なら、俺がお前の仲間を倒す」

ハッピー 「それもダメ!」 フルフル

ウルフルン 「ワガママをぬかすな! さっさと、ハッピーシャワーで俺を吹き飛ばせ!」

ハッピー 「やだよ!! だって……だって、わたし……!!」

ハッピー 「わたし、おおかみさんのこと……おおかみさんのこと……」

――――――――キラッ……!!!

ウルフルン 「……!?」 (あれは……ッッ!!!)

ウルフルン 「キュアハッピー!! 伏せろ!!!」 ガバッ!!!

   ドスッ…………!!!

ハッピー 「えっ……?」


66 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 23:47:20.89 ID:9vsQrTmI0
………………

アカンベェ 『アカンベェ!』

サニー 「いくでぇ、マーチ! 3,2,1――」

マーチ 「――0! ダブル・プリキュア・キーック!」

アカンベェ 『ア、アカンベェ……』

ビューティ 「よし! いきますよ、ピース!」

ピース 「うん! ダブル・プリキュア・パーンチ!」

アカンベェ 『アカン……ベェ……』

ビューティ 「とどめです! みんな、一斉に浄化技を!」

サニー 「おうさ! プリキュア・サニーファイヤー!」

ピース 「プリキュア・ピースサンダー!」

マーチ 「プリキュア・マーチシュート!」

ビューティ 「プリキュア・ビューティブリザード!」

アカンベェ 『あ、アカンベェエエエエエエエエ…………』

シュワァアアアアアアア……


67 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 23:48:18.87 ID:9vsQrTmI0
キャンディ 「やったクル! やったクル! 倒したクルー!」

パシッ

キャンディ 「デコルも無事ゲットクルー!」

サニー 「…………」 ペタン 「はふぅ。なんとか倒せたなー……」

ピース 「もうくたくただよぅ……」

マーチ 「やっぱり私たちは5人でひとつなんだね。ハッピーがいないだけできつかった……」

ビューティ 「ええ……」 スクッ 「ですが、いつまでも休んではいられません」

ピース 「そうだね。ハッピーが心配だもん」

サニー 「ま、しゃーないわなぁ。行くでー」

マーチ 「うん。みんな、できる限り急ごう」

ビューティ 「…………」 (ハッピー、あなたは一体、何を知っているのですか……)


68 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 23:49:57.93 ID:9vsQrTmI0
………………

ハッピー 「えっ……?」

ウルフルン 「ぐっ……」 ガクッ

ハッピー 「ど、どうして!? おおかみさん!? おおかみさん!?」

ハッピー 「これ、カードが刺さってるの!? わたしを、庇ったの!?」

ウルフルン (この、カードは……そうか、そういうことか……)

ウルフルン 「出て、きやがれ……ジョーカー!!」

ジョーカー 「……おやおやぁ、こんなに早くバレちゃうなんて、残念♪」

ハッピー 「!? あ、あなたは、昨日の……!」

ジョーカー 「はぁい、ご機嫌うるわしゅう、キュアハッピー?」

ジョーカー 「敵にかばわれるんて、なんてロマンチックなんでしょうねぇ」

ハッピー 「あ、あなた……あなたがこのカードを投げたの!?」

ジョーカー 「ええ、その通りですよぉ」 ニコッ


69 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 23:50:36.89 ID:9vsQrTmI0
ウルフルン 「ジョーカー……!! テメェ、どういうつもりだ!?」

ジョーカー 「おお怖い♪ そう怒らないでくださいよぉ」

ジョーカー 「私はただ単に、キュアハッピーを倒すお手伝いをしたというだけのことですよ?」

ジョーカー 「それをあなたが勝手に庇って勝手にカードに当たったんでしょう?」

ウルフルン 「テメェ……ッ!」 ズキッ 「ぐっ……」

ハッピー 「だ、ダメだよ、おおかみさん! もう喋らないで! 痛いんでしょう!?」

ウルフルン 「……キュアハッピー」

ハッピー 「な、何? どうしたの?」

ウルフルン 「逃げろ」

ハッピー 「えっ?」

ウルフルン 「逃げろ! 早く、今すぐ仲間たちのところへ向かえ! こいつは危険なんだ!」

ハッピー 「そ、そんな、おおかみさんを置いて逃げることなんてできないよ!」

ジョーカー 「いい判断ですねぇ、キュアハッピー」

ジョーカー 「あなたが逃げたら、私は容赦なくウルフルンさんを殺します♪」

ハッピー 「っ……」


70 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 23:51:27.89 ID:9vsQrTmI0
ウルフルン 「構うな! 早く逃げろ!」

ウルフルン 「あいつはただの愉快犯だ! 俺たちの反応を見て楽しめればそれでいいだけの奴なんだ!」

ウルフルン 「奴は自分が楽しむためなら、何だってする! だから早く、お前は逃げろ!」

ハッピー 「やだよ! そんなの、絶対に……絶対に嫌だよ!」 バッ!!

ジョーカー 「おやぁ?」

ハッピー 「あ、あなたが……あなたが、おおかみさんに、危害を加えようっていうなら……」

ハッピー 「わたしが相手になってやるんだから!」

ジョーカー 「おお、勇ましいことですね。けど残念。私、なんとなく分かるんですよねぇ」

ハッピー 「な、何を……」 (やだ……このひと、怖い……)

ジョーカー 「あなたたちプリキュアは、5人でひとつ……」

ニィイイ

ジョーカー 「……どんなにがんばったって、あなたひとりじゃ、私には勝てない、ってねぇ!」

――――――……ッタン……

ハッピー 「……えっ?」 (うそ、ど、どうして……目の前に、ジョーカーが、いる……)

              ……………………ドスッ……!!!!


71 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 23:52:02.90 ID:9vsQrTmI0
………………

サニー 「お! ハッピーおったで!」

ピース 「あれ、でも……なんか様子がおかしいような……」

マーチ 「!? あれは、ウルフルン……?」

ビューティ 「……!?」 (あれはどういう状況なの……?)

キャンディ 「!? あ、あそこに、ジョーカーがいるクル!!」

ビューティ 「! 嫌な予感がします! 急ぎましょう、皆さん!」

サニー 「お、おお!」


72 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 23:55:24.96 ID:9vsQrTmI0
………………

ハッピー 「…………」

ウルフルン 「ぐッ……」

ハッピー 「おおかみ、さん……?」

ジョーカー 「おやぁ? 私は、しっかりとキュアハッピーめがけて手刀を突き出したはずですがねぇ?」

ウルフルン 「ウルッフフ……そのふざけたメガネ、新調したほうがいいんじゃねぇか?」

ウルフルン 「わりぃなぁ、ジョーカァアア……! お前が貫いたのは、俺の胸だったなぁ……!!」

ジョーカー 「これはこれは、残念です。あなたがそこまでしてキュアハッピーを守りたいとは」

クスクスクス

ジョーカー 「ああ、たまりませんねぇ。面白くてたまらない。くく……くふふふふ……」

ズボッ……!!!

ウルフルン 「がッ……!!」


73 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 23:56:30.83 ID:9vsQrTmI0
ジョーカー 「ともあれ、これが処断ということでいいでしょう。さようなら、ウルフルンさん」

ウルフルン 「ぐっ……」 ガクッ (くそが、さすがに、身体に力がはいらねえ……)

ハッピー 「お、おおかみさん! おおかみさん!! しっかりして!」

ウルフルン 「ははっ……なぁ、キュアハッピー……悪くねえと思わないか?」

ハッピー 「えっ……?」

ウルフルン 「好きな女守れて死ねるんだ……なぁ、こんなに素敵なバッドエンドって、そうはないだろう?」

ウルフルン 「だから嬉しいよぉ……。こんなハッピーな、バッドエンドも……あるん、だな……」

ハッピー 「おおかみ、さん……おおかみさん……? おおかみさん?」

ウルフルン 「…………」

ハッピー 「いや……だって、こんなの、ハッピーでもなんでもないよ……ただの、バッドエンドだよ……」

ハッピー 「いやだよ……いや……いや……。いやああああああああああああああああああ!!!」


76 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/17(土) 23:59:32.32 ID:9vsQrTmI0
ザッ……!!

ジョーカー 「おやおやぁ?」 クスクス 「ようやく勢揃いですか、スマイルプリキュア」

サニー 「な……な、なんや、この状況は……!?」

キャンディ 「あいつクル! あいつがジョーカークル!」

ピース 「で、でもでも! 何でウルフルンがやられてるの!? ハッピーがやったの!?」

サニー 「あほ! あないなえげつないことプリキュアがやるわけあれへんやろ!」

マーチ 「だとすれば……ジョーカー! あんたがあれをやったの!?」

ジョーカー 「自己紹介もさせていただけませんか……仕方ありませんね。そうですよ」

ビューティ 「仲間を攻撃したというのですか? 一体どうして?」

ジョーカー 「おやおや、人聞きが悪い。私はキュアハッピーを攻撃したんですよ?」

ジョーカー 「それをウルフルンさんが勝手に飛び出して、勝手に庇ったんですぅ」

ジョーカー 「なので、私は何も悪くありまっせーん♪」

マーチ 「……ッ!」 ゾクッ (こいつ……こいつは、ダメだ……心底、怖い……)


77 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/18(日) 00:00:25.01 ID:U979puwf0
タタタ……

ピース 「ハッピー! ハッピー!? 大丈夫?」

ハッピー 「…………」

ピース (よかった。ハッピーに怪我はないみたい。でも……)

ウルフルン 「…………」

ピース (ウルフルンは、もう……)

ピース 「ハッピー……」

ハッピー 「……おおかみさん、わたしね、」

ピース 「えっ……?」

ハッピー 「わたしね、きっとね、ずっと……おおかみさんのこと、好きだったんだ」

ハッピー 「ずっと、ずっと……好きだったんだよ。ねえ、おおかみさん」

ピース 「…………」

ハッピー 「返事、してよ……ねぇ。ねえってば。ねえ、おおかみさん……」

ピース (ハッピー、そっか……物憂げな表情は、本当に恋する乙女の顔だったんだ……)


78 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/18(日) 00:01:29.57 ID:U979puwf0
ジョーカー 「ふふふ、それにしても、予想以上におもしろいものが見られて私も満足です」

ジョーカー 「感謝しますよ、キュアハッピー?」

ハッピー 「…………」

ジョーカー 「あなたがウルフルンにご執心だったのと同様に、ウルフルンもあなたにご執心だったようで」

ジョーカー 「ふふ。最近では、あなたを傷つけたくないがために、出撃を厭っていたご様子でしたから」

マーチ 「そ、そうだったのか。ウルフルン……」

ジョーカー 「プリキュアを倒すか、裏切り者として自ら死ぬか。迷ったあげく、彼は己の死を選びました」

クスクスクス

ジョーカー 「あああ!! 最高のショーですねぇ! たまりません! おもしろい!」

ジョーカー 「本当に……ああ、本当に楽しませていただきましたよぉ!!」

ジョーカー 「おもしろいショーも見せてもらいましたし、裏切り者も処断できました」

ジョーカー 「ありがとうございました、キュハッピー♪」

ビューティ 「……あなたは……あなたというひとは……ッ!!」

ユラリ……

ビューティ 「えっ……」


79 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/18(日) 00:02:07.39 ID:9vsQrTmI0
ハッピー 「…………」

フラッ……フラッ……

ジョーカー 「おやぁ? どうかしましたかー、キュアハッピー?」

ジョーカー 「愛しのウルフルンはあなたの足下ですよ? まぁ、もう死んでいますが。ふふ♪」

ハッピー 「………………――さ……ない……」

ジョーカー 「はいぃ?」

ハッピー 「…………」 キッ 「……あなただけは……絶対に許さないッ!!」 ダン……!!!

ジョーカー 「おお♪ これはまた、楽しいことになりそうだ!」

ハッピー 「あああああああああああああああ!!!」

ズドン!!! ズドン……!!!

ジョーカー 「重くていい拳ですよぉ、キュアハッピー。ウルフルンのへなちょことは大違いです」

ハッピー 「その名前を、お前が口にするなぁああああああああああああ!!!」

ズドン……!!!!!

ジョーカー 「おっとぉ! 今のは危ない。今のは怖い」 クスクス 「でも、当たりません」

ハッピー 「ああああああああああああああああああああああ!!!!」


80 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/18(日) 00:02:48.97 ID:U979puwf0
………………

サニー 「えっ、ちょっ、待ってーな! 何が起こってるん!?」

サニー 「うち正直まったく話についていけてへんのやけど!」

キャンディ 「キャンディもクル!」

ビューティ 「私が理解できた範囲で手短に説明します」

ビューティ 「どうやら、ウルフルンはバッドエンド王国内で微妙な立場に立たされていたようですね」

ビューティ 「そのせいで、プリキュアをひとり倒せなければ命を奪われるというところまで追い詰められていたようです」

ビューティ 「そしておそらくハッピーは、そのことを昨日ジョーカーから伝えられていた」

ビューティ 「……あとは、先ほどのジョーカーの言葉や、ハッピーの性格から容易に想像がつくでしょう?」

マーチ 「……ハッピーは、ウルフルンを死なせたくなかった」

ピース 「もちろん、わたしたちのことも。だから……自分から、倒されに行った……」

サニー 「せやけど、ウルフルンもハッピーのことが……」

ビューティ 「……きっと、そこにジョーカーが乱入したのでしょう」

ギリッ……!!!

ビューティ 「そして、自らが楽しみたいという、そんなくだらないことのためだけに、ウルフルンを……ッ!!」


82 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/18(日) 00:03:58.02 ID:U979puwf0
サニー 「……なぁ、うちら、どないしたらええん?」

ハッピー 「おおおおおおおおおおおおおおおおおッッ!!」

ジョーカー 「ははははははははははははははは!!」

キャンディ 「……ハッピー、怖いクル……」

サニー 「……正直、見てるのも辛いわ……うち、あんなハッピー見たくない……」

サニー 「あんな、苦痛に顔を歪めて、憎悪に目を血走らせて……」

サニー 「あんなん、うちの知っとるキュアハッピーやあれへん……」

ビューティ 「……私たちだって見たくはありませんよ」

マーチ 「…………」

ピース 「…………」 キッ 「……やることなんて、決まってるよ」

マーチ 「えっ……ピース?」

ピース 「みんな、弱音を吐かないでよ。わたしたちは、5人でプリキュアなんだよ?」

ピース 「仲間の笑顔が見られないなら、仲間のことを助けたいなら、」

ピース 「わたしたちが止めて、助けてあげるしかないじゃない!」


83 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/18(日) 00:05:02.18 ID:U979puwf0
マーチ 「…………」 コクッ 「……まさか、ピースにそんなこと言われるとは思わなかったけど、」

サニー 「その通りやな! いっちょやったるかぁ!」

ビューティ 「大切な仲間を取り戻すために。大切な仲間の苦しみを、分けてもらうために」

ピース 「やるしかないよ! わたしたちがハッピーを止めるんだよ!」

キャンディ 「クル! キャンディも手伝うクル!」

サニー 「せやけど、どないしてハッピーを止めるんや……?」

ピース 「わたしたちの声、聞こえてるのかな……」

ビューティ 「うーん……」

マーチ 「…………」

ゴソッ

マーチ 「……?」 ハッ 「あ、あれ!? み、みんな、あれ見て!!」

サニー 「うん……? って、ええええええええええええええ!!?」


84 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/18(日) 00:06:21.13 ID:U979puwf0
………………

ジョーカー 「ねえ、キュアハッピー? 敵同士が愛し合うなんて素敵だと思いませんか?」

ハッピー 「うおおおおおおおおおお!!」

ズドン!!!

ジョーカー 「私は素敵だと思うんですよ。その想いが引き裂かれるとかだと、なお素敵ですね」

ハッピー 「黙れええええええええええええええ!!!」

ズドン!! ズドンズドン!!!

ジョーカー 「わたしはね、そういう凝ったシチュエーションのバッドエンドが大好きでしてね」

ジョーカー 「それが見られて、大満足なんですよぉ♪」

ジョーカー 「ウルフルンが、私のことを 「愉快犯」 だなんて失礼なことを言ってましたけどぉ、」

ジョーカー 「ふふふふふふ♪ まさしくその通りなんですよねぇええええええええ!!」

ズドン……!!!

ハッピー 「ッ……!!」 (やっぱり、強い……! でも……ッッ!!)

ハッピー 「ああああああああああああああああ――――」

サニー 「――――ハッピー! あかん! 目ぇ覚ましーな!!」


85 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/18(日) 00:07:03.41 ID:U979puwf0
ジョーカー 「うぅん? おやおや、あなた方も大概、付き合いがいいですねぇ」

ビューティ 「あいにくと、あなたのように性根が腐ってはおりませんので」

ピース 「わたしたちだって、怒ってるんだから!」

マーチ 「落とし前はつけさせてもらうぞ、ジョーカー!」

ハッピー 「…………」

ギリッ

ハッピー 「サニー、そこをどいて。わたし、あいつを倒さなくちゃいけないの!」

サニー 「せやから落ち着きって! ハッピーがそないな顔しとってどないすんねん!」

ハッピー 「いいからそこをどいてッ!! わたし、あいつが許せないの!!」

サニー 「それはこっちも同じ気持ちや。せやけど、あんた……気づいとるか?」

ハッピー 「何が!」

サニー 「ハッピー、あんた……いま、あいつと同じ顔しとるで?」

ハッピー 「!?」


86 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/18(日) 00:07:51.90 ID:U979puwf0
サニー 「その顔はあかん。なぁ、思い出したってぇな。あんた、なんて言うとった?」

サニー 「うちがプリキュアになったとき、ハッピーは言うたよな?」

サニー 「笑ってへんと、ハッピーが逃げてまう、て。なぁ、忘れてしもたんか?」

ハッピー 「それ、は……でも……でもッ!!」

サニー 「憎い気持ちは分かる! せやけど、今のハッピーはプリキュアやあれへん!」

サニー 「せやから、うちはここをどくことができへんねん。うちはな……」

サニー 「うちは、いつも笑って、ときどき泣いて……せやけど、そんなひどい顔だけは絶対にせぇへん。そんな……」

サニー 「――……そんな、キュアハッピーが大好きやから」

ハッピー 「!」


87 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/18(日) 00:08:38.04 ID:U979puwf0
サニー 「な? 拳を降ろし? その憎しみを、悲しみを、苦しみを……うちらにも分けたって?」

サニー 「一緒に笑った仲間やんか。せやから、一緒に苦しませてな」

ハッピー 「サニー……みんな……」

ポタッ……ポタッ……

ハッピー 「うぅ……サニー……うわああああああああああああああああん!!」

ギュッ

サニー 「おお、おお、ぎょうさん泣き。泣いてまえ。うちの胸ならいくらでも貸してやるさかいにな」

サニー 「辛かったなぁ。苦しかったなぁ。大変やったなぁ」

サニー 「うちらはいつでも傍におる。せやから遠慮せず、甘ええや。な?」


88 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/18(日) 00:14:33.61 ID:q5sb+pWv0
サニーマジかっけえ


89 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/18(日) 00:14:34.72 ID:xsm6+Iyd0
ジョーカー 「……おやおや、ほだされてしまいましたか。つまらないですね。興ざめです」

マーチ 「お前の趣味嗜好なんて知ったことか!」

ジョーカー 「そうですねぇ。所詮、私たちとあなたたちとは、相容れない運命ですから」

ピース 「“私たち” なんて言って、ウルフルンとあなたを一緒にしないで!!」

ジョーカー 「はは、随分と嫌われましたねぇ。それに、ウルフルンの株が随分と上がったものです」

ジョーカー 「彼も何人もの人間を絶望のドン底に突き落としたはずですが?」

ビューティ 「それでも、彼は身を挺してハッピーを救ってくれました。あなたとは違います」

ビューティ 「己の歪んだ欲望のためだけに、仲間を殺した、あなたのような外道とは!!」

ジョーカー 「ほうほう、随分な言いようですねぇ。私はただ裏切り者を処断しただけなのに」

ピース 「どうしてそんなひどいことをするの!」

ピース 「あなたの目的は、悪の皇帝ピエーロを蘇らせることではないの!?」

ジョーカー 「もちろん、そうですよ?」


90 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/18(日) 00:15:23.77 ID:xsm6+Iyd0
マーチ 「……ふぅん。それにしてはおかしいな。だったらどうしてウルフルンを攻撃したんだ」

ジョーカー 「ですから、裏切り者の処断です」

ビューティ 「さっき、自分のことを 「愉快犯」 だと認めていましたが?」

ジョーカー 「…………」 フッ 「……ま、いいでしょう。認めますよ」

ジョーカー 「ええ、お察しの通り、私は皇帝ピエーロの復活なんて、正直どうでもいいんです」

ジョーカー 「目先のバッドエンドさえ楽しめれば、それだけで十分♪」

ジョーカー 「世界をバッドエンドで染めるとか、ピエーロの復活とか、どーでもいいんですよねぇ!!」



?? 「なるほどなぁああ……!! その言葉が聞きたかったぜぇ、ジョォオオカァアアア……!!!」



ジョーカー 「!?」 (なっ、ま、まさか……この声は……!?)

ジョーカー 「ウルフルン……さん……」

ウルフルン 「よぉ、ジョーカァアア……!! 面白いこと言ったじゃねぇかよぉ、なぁおい……!」


91 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/18(日) 00:16:22.16 ID:q5sb+pWv0
おおかみさあああああああああああああああん


92 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/18(日) 00:16:22.96 ID:xsm6+Iyd0
ハッピー 「う、そ……」

サニー 「……ところがどっこい、ハッピー、うそやないんや」

ニッ

サニー 「騙したみたいになってごめんな?」

ジョーカー 「……なるほど。私も腕が落ちましたかねぇ」

ウルフルン 「かもしれねぇなぁ。左胸貫いたくらいで、心臓潰したなんて勘違いしやがって」

ウルフルン 「引きこもってるから戦い方も忘れちまったんじゃねぇか、ジョーカー」

ジョーカー 「……かも、しれませんねぇ」

ハッピー 「ど、どういうこと……?」

ビューティ 「ジョーカーからあの言葉を引き出したかったのです」

ビューティ 「ウルフルンから詳しい話は全て聞きました。その上で、私たちが彼に協力したのです」

マーチ 「まぁ、大切な仲間を二回も庇ってもらっちゃったしね」

ピース 「ともあれ、これでジョーカーとウルフルンの立場は互角だね」

ジョーカー 「…………」

ウルフルン 「…………」


93 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/18(日) 00:17:59.11 ID:xsm6+Iyd0
ジョーカー 「…………」 ニコッ 「……うふふ、そうですね。では、お互い何もなかった、ということで♪」

ウルフルン 「……ああ」

サニー 「えっ!? それだけでいいんかい!!」

マーチ 「まぁ、こっちとしては、ジョーカーを二、三発ぶん殴りたいところなんだけど」 パキポキ

ピース 「わたしなんてピースサンダー再充填完了してるけど」 バヂバヂバヂ

ビューティ 「ダメですよ。今は、ハッピーの命の恩人を完全に助けることが最優先です」

ビューティ 「……私が何を言いたいか、しっかりと分かっていますね、ジョーカー?」

ジョーカー 「ええ、もちろん♪ 私はこれから、ウルフルンさんと一緒に仲良くバッドエンド王国に帰還して、」

ジョーカー 「他の住人には、ウルフルンさんの怪我は “名誉の負傷” とでも伝えておきましょう」

ビューティ 「よろしい。ですが、もしその約束を違えたら……」

ビューティ 「私は、どんな手段を用いてでも、あなたの意志をバッドエンド王国側に伝えます」

ニコッ

ビューティ 「そして、私たちスマイルプリキュアが、地の果てまでもあなたを追い詰め、あなたを殲滅します」

ビューティ 「よろしいですね?」

ジョーカー 「え、ええ、もちろんですよ、お嬢さん」 ゾクッ (これは……藪をつついて蛇を出してしまったようですねぇ)


94 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/18(日) 00:18:51.28 ID:xsm6+Iyd0
マーチ 「ウルフルン、応急的に布を巻き付けておいたけど、重傷には変わりないからね」

マーチ 「あっちに着いたら、すぐにしっかり治療してもらうんだよ?」

ウルフルン 「分かってる。っつーかなれなれしいぞ。俺はお前たちの敵だ」

マーチ 「うん、それはそうだ。私は、あんたが今までやってきた悪行を絶対に忘れない」

ウルフルン 「…………」

マーチ 「……けど、あんたが今日、ハッピーを助けてくれたことも事実だ」

マーチ 「私は、それも絶対に忘れない。あんたが、本当はいい奴なんじゃないかってことも、忘れない」

ウルフルン 「……けっ、勝手にしろ」

マーチ 「……それに」 ニィ 「友達の好きなひとだもん。敵でも嫌いにはなれないよ♪」

ウルフルン 「なっ……こ、このやろ……!!」

マーチ 「いいから、ほら。お別れくらいしてから行きなよ」 ズイッ

ウルフルン 「お、おい! 押すな……って、あれ……」

ハッピー 「…………」 ギュッ 「……よかった」

ウルフルン 「お、おお……な、なんか……心配かけちまったみたいで、悪いな」

ハッピー 「……ううん。とにかく、無事でよかった」


95 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/18(日) 00:19:37.93 ID:xsm6+Iyd0
ウルフルン 「あー……ほ、ほらよ、俺いま血で汚れてるから、そういう風にされるとさ……」

ウルフルン 「服、汚れちまうぜ?」

ハッピー 「…………」 ギュッ 「……ばか」

ウルフルン 「あー……すまん」

ハッピー 「…………」

ウルフルン 「あ、その、さ……さっきも言ったけど、俺って、バッドエンドしか知らないからさ」

ウルフルン 「だから、お前たちと価値観を共有っていうか、その……」

ウルフルン 「わかり合えるのは、当分先な気がす――――」

ジョーカー 「――――めったなことは言わない方がいいですよぉ? また私に脅されたいんですかぁ?」

ウルフルン 「!? わ、分かってる!!」

ジョーカー 「ふふふ♪」

マーチ 「……あんたって、本当に “楽しみたい” だけなんだね」

ジョーカー 「おやぁ? 何か言いましたか?」

マーチ 「べつに。なんとなく、あんたを救う糸口も見つかりそうだ、ってね」

ジョーカー 「おやおや。おもしろいことを言いますねぇ」 クスクス


96 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/18(日) 00:20:38.67 ID:xsm6+Iyd0
ウルフルン 「だから、その……」

ハッピー 「…………」 ピトッ 「……今は、いいよ。しーっ」

ウルフルン 「……キュアハッピー」

ハッピー 「また、いつでも会えるでしょ?」

ウルフルン 「……ああ。そうだな」

ハッピー 「…………」

ウルフルン 「…………」


97 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/18(日) 00:22:29.01 ID:xsm6+Iyd0
サニー 「……目のやり場に困るわ」

ピース 「はわわわわわわ……////」

サニー 「あざといでぇ……」

マーチ 「砂吐きそう……」

ジョーカー 「……さて、では、そろそろふたり仲良く “敗走” と参りましょうか、ウルフルンさん?」

ウルフルン 「ああ」 スッ

ハッピー 「あっ……」

ジョーカー 「……では、また。ごきげんようプリキュアの皆さん」

ウルフルン 「…………」

ハッピー 「あっ……お、おおかみさん!」

ハッピー 「わたし、いつか絶対に、あなたたちもみんな、ハッピーエンドにするから!」

ハッピー 「がんばるから、だから……だから、そのときは……!!」

ウルフルン 「…………」 コクッ 「……ああ」

ハッピー 「……うん!」

…………サァアアアアアアア…………


99 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/18(日) 00:23:02.55 ID:xsm6+Iyd0
サニー 「帰った、か……はぁ、なんやどっと疲れが出てきよったわぁ……」

ピース 「アカンベェを浄化した後にこんなに動くって初めてだもんね……」

マーチ 「ともあれ、一件落着してよかったよかった。一時はどうなるかと思ったけど……」

ビューティ 「そうですね。とりあえずは、まぁ……」

ハッピー 「…………」 (おおかみさん……)

ハッピー 「……えへへ」

ビューティ 「……ま、恋の病が重傷になったくらいで済んだなら、いいですかね」


101 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/18(日) 00:23:25.39 ID:xsm6+Iyd0
………………バッドエンド王国

アカオーニ 「こ、これはまた、随分とえげつないことになってるオニな、ウルフルン」

ウルフルン 「うっせえ。絶対安静なんだから話しかけるな」

アカオーニ 「プリキュアってこんな恐ろしいことをするんだオニ……」

マジョリーナ 「お、恐ろしくなってきただわさ」

ジョーカー 「ねぇ。私も恐怖で震えが止まりませんよぉ! ああ怖い怖い」

ウルフルン 「けっ……」 (大した道化だぜ、ジョーカーの野郎)


102 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/18(日) 00:30:31.39 ID:U979puwf0
ジョーカー 「おやぁ? ウルフルンさん、どうかされましたぁ? 傷が痛みます?」

ウルフルン 「いいや。おかげさまで痛みはだいぶ収まったよ。おかげさまでな」

ジョーカー 「そうですか。それはよかったです♪」

ウルフルン 「…………」

ウルフルン (……バッドエンドしか知らない俺に、どうしてこんな気持ちが芽生えたのかは知らないが)

ウルフルン (キュアハッピー、俺に……) ギュッ

ウルフルン (……俺に、いつかお前の “ハッピーエンド” が、届いたら……)

ジョーカー 「ふふふ……」 (また、私好みのおもしろいことになりそうですねぇ)

ジョーカー (楽しみの種は残しておいて正解でした。さてさて、今度はどんなショーを見せてくれるんですかねぇ)

ジョーカー 「ふふ……ふふふふふ……♪」


103 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/18(日) 00:31:21.38 ID:U979puwf0
………………帰り道

みゆき 「…………」

あかね 「あー、ほんま疲れたわー。今日ははよ寝よ……ふぁーあ……」

やよい 「もう、あかねちゃんったら、大あくびしちゃって」

なお 「だらしないなぁ……ふぁーあ……」

れいか 「なおもやってるじゃないですか」

あかね 「ほんまや! だらしないなぁー!」

みゆき 「あ……あのさ!」

あかね 「うん? みゆき、どないしたん?」

みゆき 「あの……みんな、今日はごめんなさい!」

やよい 「? ごめんなさいって、何の話?」

みゆき 「えっ……だから、その……ウルフルンのこと、内緒にしたりして……」

みゆき 「みんなに、迷惑かけちゃって……」


104 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/18(日) 00:32:18.99 ID:U979puwf0
あかね 「ああ、なるほどなぁ。たしかに、みゆきに秘密を作られて、ちーっとばっかし傷ついたかなー」

みゆき 「うぅ……」

なお 「そうだなぁ。ちょーっと、びっくりさせられたよねぇ?」

やよい 「うん。ちょっと心臓が止まるかと思ったかも」

れいか 「そうですね。少しばかり胸が痛いです」

みゆき 「うぅぅ……」

あかね 「――――なーんて、な。冗談や冗談」

ガバッ

みゆき 「ひゃう!?」

あかね 「せやけど、言うことが違うやろ? 恋する乙女さん?」

やよい 「ごめん、じゃなくて、」

なお 「“ありがとう” だったら、もっと嬉しいかな」

れいか 「だって、わたくしたちは友達ですから」


105 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/18(日) 00:32:51.25 ID:U979puwf0
みゆき 「みんな……」

みゆき 「…………」 グスッ 「みんな、ありがとう……!!」

あかね 「ちょっ、何で泣き出すねーん!」

なお 「あかねが抱きついて暑苦しいんだろう。放してあげなよ」

あかね 「な、なんやとー!?」

やよい 「じゃあ、ここはかわいらしいわたしが……」

れいか 「いえいえ。クールビューティなわたくしが……」

あかね 「自分でかわいらしいとかクールビューティとか言うなやー!」


106 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/18(日) 00:33:17.06 ID:U979puwf0
キャンディ 「じゃあ、キャンディがみゆきに抱きつくクルー!」 ピョーン!!

やよい 「あ! キャンディ抜け駆けずるい!」

あかね 「っていうかキャンディ! あんたさっきはどこ行っとったん!?」

キャンディ 「キャンディ、ジョーカーが怖いから隠れてたクル~」

あかね 「手伝う言うて結局それかいな……」

みゆき 「ふふ……」 (みんな、わたしのこと気遣ってくれてるんだ……)

みゆき (わたし、みんなと一緒なら、もっとがんばれる気がする)

みゆき (いつか、あなたにも届くような気がするの。おおかみさん)

みゆき (だから……だから……)

みゆき 「……もう少しだけ、待っててね、おおかみさん!」



                              おわり


108 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/18(日) 00:33:47.20 ID:U979puwf0
>>1です。
書き上げてからの投下でした。

読んでくれた方、ありがとうございました。


109 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/18(日) 00:34:12.96 ID:BN5Riq4g0
おつかれー


110 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/18(日) 00:34:16.32 ID:q5sb+pWv0
乙!


111 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/18(日) 00:34:35.23 ID:0e+KcIVB0
>>1
サクサクしてて読みやすかったよ


113 : 忍法帖【Lv=40,xxxPT】 2012/03/18(日) 00:48:44.14 ID:8eVjYFN70
泣いたおつ
アニメでもこういう話になるといいな。子どもたちもわかりやすいだろうし


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