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赤沢「ふふっ……恒一君、緊張してる?」
- 1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 21:28:31.18 ID:zVIPxAIY0
- 恒一「そりゃあ、ね」
赤沢「大丈夫。すぐに慣れるわ」
恒一「そうかな」
赤沢「ええ。それにね、だんだん気持ち良くなってくるのよ」
恒一「え?!」
赤沢「ふふ、それじゃ、いくわよ」
- 3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 21:31:21.66 ID:zVIPxAIY0
- ―――――
―――
―
赤沢「お疲れ様。どうだった、初めての演劇は?」
恒一「緊張して台詞を読むだけでいっぱいいっぱいだよ」
赤沢「けど、案外様になってたわよ。身長があるとやっぱり栄えるわね」
恒一「そうかな。ありがと」
ダレカソコノナグリトッテ~
コノシーンノショウメイコレデイイ? - 5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 21:33:25.49 ID:zVIPxAIY0
- 赤沢「恒一君には今回のこと、本当に感謝してる。文化祭の演劇なんて大事に巻き込んじゃって」
恒一「いいよ。それに興味もあったし」
赤沢「そう言ってくれと、ありがたいわ。けど、胸の方は大丈夫?」
恒一「うん。最近は調子いいんだ」
赤沢「安心した。直前に降板されたら困るもの」
恒一「そっちの心配なんだ……」
赤沢「冗談よ。ふふっ」
恒一「きついなぁ」 - 6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 21:35:23.02 ID:zVIPxAIY0
- 恒一「そういえば、この台本って赤沢さんが考えたの?」
赤沢「いいえ。前から部室にあったもので、たぶん卒業生の人が作ったものだと思う」
赤沢「台本決めの時、彩がこれを推薦して、そこから多数決でこれになったの」
恒一「へぇ、そうなんだ。だけど、盲目の令嬢と使用人の男の恋ってなんかロマンチックだね」
赤沢「そうなのよ。もう少し地に足ついたのものにしたかったんだけど、彩はこういうの好きみたい」
恒一「ははは。確かに綾野さんは好きそうだね」
綾野「そこ!お二人さん。話してる暇があるなら、台詞覚えた方がいいんじゃない」
綾野「特にこういっちゃんは初心者なんだから」
恒一「ごめん。そうだね」
赤沢「……そうね」 - 8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 21:37:31.71 ID:zVIPxAIY0
- 赤沢「それじゃあ、私3Pから12Pの部分をやってみるから、気付いたことあったら言って」
綾野「はーい」
恒一「分かった」
(赤沢芝居中)
綾野「こういっちゃん、ありがとね」ヒソヒソ
恒一「どうしたの、いきなり?」ヒソヒソ
綾野「今回の事引き受けてくれて」ヒソヒソ
恒一「さっき赤沢さんにも言ったけど、全然かまわないよ」ヒソヒソ
綾野「そっか。なら、ついでに泉美のことも任せちゃおうかな」ヒソヒソ
恒一「え?」ヒソヒソ - 9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 21:39:37.21 ID:zVIPxAIY0
- 綾野「泉美はさ、一人で抱え込んじゃうから。誰か頼れる人が必要なんだよ」ヒソヒソ
恒一「それって、どういう……」ヒソヒソ
赤沢「どう。何か気付いたことある?」
綾野「う~ん、9Pのここの台詞はもっと抑えた感じの方が……」
恒一「……」 - 10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 21:41:44.12 ID:zVIPxAIY0
- 赤沢「今日の練習はここまでにしましょう」
綾野「は~い」
フーツカレター カエリドッカヨッテク?
ザワザワガヤガヤ
綾野「こういっちゃ~ん、途中までだけど一緒に帰ろ~」
恒一「別に構わないけど」
綾野「って泉美が言ってるんだけど」
赤沢「え、私?!」
綾野「そうそう。私は用事あるからさ、送ってあげてよ」
恒一「いいよ。一緒に帰ろう」
綾野「やった!泉美もいいよね?」
赤沢「恒一君がいいなら……」カァ
綾野(こういっちゃん、頼んだよ) - 11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 21:43:35.90 ID:zVIPxAIY0
- ~帰り道~
赤沢「……」トコトコ
恒一「……」トコトコ
恒一(どうしよう。何か会話を……)
赤沢「……恒一君。昨晩は何か夢をみた?」
恒一「え、夢?え~と、最近はみないな」
赤沢「そう……。私はね、最近同じ夢をみるの」
恒一「へぇ~、どんな夢?」
赤沢「それはっ、その……秘密」カァ
恒一「そっか」
赤沢「……恒一君は私と以前、会ったことはないのよね」
恒一「そう、だけど」
赤沢「ごめんなさい、何度も同じことを聞いて。けど、私は……」
恒一「?」 - 12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 21:45:49.45 ID:zVIPxAIY0
- ~分かれ道~
恒一「ここからは別々だね」
赤沢「そうね……」
恒一「……それじゃあ、また」
赤沢「待ってっ、あの、あ、握手しましょ!」
恒一「握手?」
赤沢「そう!……さよならの握手」
恒一「いいよ。はい」スッ
ギュッ
赤沢「さようなら」
恒一「うん。また明日」 - 13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 21:47:35.44 ID:zVIPxAIY0
- ~翌日~
三神「今日は赤沢さんが欠席ですね」
恒一(あれ、昨日は元気そうだったのに……)
綾野「……」 - 15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 21:55:24.88 ID:zVIPxAIY0
- ~放課後~
杉浦「彩、昨日泉美になにかあった?」
綾野「何も~。部活中も普通だったよ」
杉浦「そ。なら、アタシがプリント届ける」
綾野「! ちょっと待って。それは私に任せて」
綾野「こういっちゃ~ん!ちょい来て」
恒一「なに?」 - 16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 21:57:47.67 ID:zVIPxAIY0
- 綾野「あのさ~、このプリント泉美に届けて欲しいんだけど」
恒一「僕が?」
綾野「そうなのよ。私達これから用事で」
杉浦「え?!アタシは」
綾野「とにかく、頼んだよ~」ピュー
恒一「二人とも行っちゃた……」ボーゼン - 17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 21:59:58.49 ID:zVIPxAIY0
- ―――――
―――
―
恒一「クラス名簿によれば、ここだよね……」
恒一(それにしても……大きい家だなぁ)
ピンポーン
?「はい。なんの御用でしょう?」
恒一「あの、赤沢泉美さんのクラスメイトの榊原恒一といいます。学校での配布物を届けに来たのですが」
?「……少々お待ちください」 - 19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 22:02:03.29 ID:zVIPxAIY0
- ―――――
―――
―
?「恒一様、お待たせしました。どうぞお入りください」
ギイ
恒一「お邪魔します」
恒一(中も豪華だ……)
使用人「泉美お嬢様の部屋は二階になります。それでは、用がございましたらお呼びください」
恒一「はい。ありがとうございます」 - 20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 22:04:19.52 ID:zVIPxAIY0
- 恒一(部屋に通してくれるってことは、赤沢さんもう大丈夫なのかな?)
恒一「赤沢さん、入っていい」コンコン
赤沢『どうぞ……』
ガチャ
恒一「赤沢さん、もう平気なの?」
赤沢「恒一君、本当に恒一君なの?」
恒一「え?!そう、だけど……」 - 21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 22:06:28.97 ID:zVIPxAIY0
- 恒一(どうしたんだろ、別に調子が悪いようには見えないな。……髪は結んでないけど)
赤沢「……恒一君、握手しましょう。手、出して」
恒一「うん……」
ギュウ
赤沢「よかった。恒一君だぁ」
恒一「赤沢さん、もしかして……」
赤沢「そうよ。目が、見えなくなったの」 - 22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 22:08:42.26 ID:zVIPxAIY0
- 恒一「そんな?!」
赤沢「落ち着いて」
恒一「けど、こんな大変なこと……」
赤沢「私もね、最初は驚いたわ。けど、昨日まで普通だったのに急に失明することなんてありえないでしょ」
恒一「それは、確かに……」
赤沢「そう、ありえないことなの。けど、そうだからこそ説明がつく場合がある」 - 24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 22:11:23.53 ID:zVIPxAIY0
- 恒一「……もしかして、これも現象ってこと?」
赤沢「断言はできないけど、可能性は高いわ。私自身は聞いたことないけど」
恒一「そんな……」
赤沢「大丈夫。これが現象なら解く方法は必ずあるはずよ。そのための対策係なんだから」
恒一「ぷっ、……くく」
赤沢「なっ、なんで笑うのよっ//」 - 25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 22:13:46.28 ID:zVIPxAIY0
- 恒一「ご、ごめん。なんだかいつもと変わらないなって思って」
赤沢「それってどういう意味よ!またマッチョだって言いたいわけ」
恒一「そうじゃないよ。責任感が強いなって褒めてるんだよ」
赤沢「なんだか素直に受け取れないわ。これでも結構、不安だったんだから」 - 26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 22:15:56.18 ID:zVIPxAIY0
- 恒一「……そうみたいだね。今気付いたけど、手握りっぱなしだ」
赤沢「っ?!は、早く言いなさいよ//」バッ
恒一「今気付いたんだって」
赤沢「ふんっ」
恒一「……話続けるけど、この事ご両親には言ったの?」
赤沢「両親はね、今海外にいるの」
恒一「じゃあ、あの案内してくれた人は……」 - 28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 22:18:27.98 ID:zVIPxAIY0
- 赤沢「あの人は、言ってしまえば使用人ね。両親がいない間の親代わり。他にもあと何人かいるわ」
恒一「……すごいね。なんだか別の世界みたいだ」
赤沢「そんなたいそうなものでもないわ」
赤沢「そういう訳だから、両親には言ってない。あの人達には簡単にだけど、言ってあるわ」
恒一「そうなんだ」 - 32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 22:20:50.07 ID:zVIPxAIY0
- 恒一「そうなんだ」
赤沢「ええ。他の人に言うことで現象が拡大するかもとは考えたけど、流石に……ね」
恒一「そうだね。他の人の手を借りないと、この状態で生活するのはキツイよね」
赤沢「ところで、恒一君は……その、今日は自分で……来てくれたの?」
恒一「えっと、それって……?」 - 33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 22:23:53.61 ID:zVIPxAIY0
- 赤沢「~~~っ// だから、誰かに頼まれたのか、そうじゃないかって聞いてるの!」
恒一「そういうことか。実は綾野さんに頼まれ」
赤沢「あっそ」プイッ
恒一「え、あの~。赤沢さん……?」
赤沢「なにっ」イライラ
恒一「その……なにか怒ってる?」
赤沢「別に」イライラ
恒一(これ、やっぱり怒ってるよなぁ) - 35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 22:26:49.92 ID:zVIPxAIY0
- 赤沢「恒一君」
恒一「は、はいっ」
赤沢「明日は私、登校するから付き添いとかお世話よろしく」
恒一「ええ?!僕が。それに危ないよ」
赤沢「現象を解決するって言ったでしょ。私がいなきゃ始まらないじゃない」
恒一「僕も解決には協力するけど、やっぱりそれは危険だって」 - 36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 22:29:05.06 ID:zVIPxAIY0
- 赤沢「平気よ。2年以上通った慣れた場所だもの。それに、とりあえず千曳先生に話を聞くだけよ」
赤沢「だから、明日はよろしくね」
~翌日・赤沢宅~
恒一「おはよう。赤沢さん」
赤沢「恒一君、おはよう。ちゃんと来たわね」
恒一「うん。けど、本当に行くの?」 - 39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 22:31:54.24 ID:zVIPxAIY0
- 赤沢「ええ、もちろんよ。さあ、手を出して」
恒一「うん……(やっぱり手を繋ぎながらなのか。恥ずかしいな)」ギュウ
赤沢「///」
恒一「あの、赤沢さん」トコトコ
赤沢「なに?」トコトコ
恒一「赤沢さんの目のこと、一応怜子さんに話しておいたんだ。だから、学校でいろいろ便宜は図ってくれると思う」 - 41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 22:35:46.47 ID:zVIPxAIY0
- 恒一「勝手なことだったかな?」
赤沢「いいえ。むしろ、感謝しなきゃね。ありがとう」
赤沢「恒一君のそういう所は長所だと思う」
恒一「急にやめてよ。恥ずかしい……」
赤沢「ふふっ。けど、もう少し察しが良くなった方がいいわよ」
恒一「どういう意味?」
赤沢「なんでもない」 - 43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 22:38:33.14 ID:zVIPxAIY0
- 恒一(赤沢さん、なんだか楽しそうだ……)
赤沢「♪」
~学校・廊下~
恒一(ああ~、遂にここまで来てしまった……。覚悟、決めなきゃな……)
見崎「……榊原君」
恒一「み、見崎?!」
赤沢「!」
見崎「……どうして、赤沢さんと手を繋いでるの?」
恒一「いや、これは、その……」アセアセ - 44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 22:41:00.35 ID:zVIPxAIY0
- 見崎「どうして、手を、繋いでるの……?」
恒一「えっと、ちゃんと訳があるんだ」バッ
赤沢「恒一君、離しちゃダメ」ギュッ
恒一「え?!」
見崎「!」
赤沢「……教室、行きましょ」スタスタ
恒一「わっ、待って。見崎、理由はちゃんと話すから~」
見崎「………………」
見崎「…………」
見崎「ばか」 - 45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 22:43:20.19 ID:zVIPxAIY0
- ~教室~
綾野「おっ、泉美おは?!ど、ど、どうしたの、手繋いじゃって?!」
綾野(これは遂に決めたな~。こういっちゃん、やるじゃん)
恒一「え~、これはね」
赤沢「待って。私から言うわ」
事情説明中
綾野「ええええええ?!」
杉浦「泉美、大丈夫なの?」
赤沢「ええ。他は全然問題ないから」 - 46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 22:45:41.99 ID:zVIPxAIY0
- 赤沢「それにね、今日は恒一君が手助けしてくれるの」
綾野「へぇ~」ニヤニヤ
赤沢「な、なに?」
綾野「なんでも~(ちょっと違うけど、これはこれでアリね。……そうだ!)」
綾野「けど、授業中は席離れちゃうね。それじゃあ、ダメだよ」
赤沢「それもそうね……」 - 47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 22:48:38.40 ID:zVIPxAIY0
- 綾野「そうだ!もっちー!泉美と席、交換してよ。ほら、キンキュウジタイだからさ」
望月「そうだね。僕は構わないよ」
恒一「いいのかな」
綾野「平気平気♪」
赤沢(彩ったら……//)
三神「みなさん、おはようございます。……ん?」ガラッ
綾野「あっ、先生実は」 - 48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 22:51:43.53 ID:zVIPxAIY0
- 三神「ああ、大丈夫。事情は聞いています。確かに、席の交換は必要ですね。そのままで構いません」
赤沢「ありがとうございます」
~授業中~
赤沢「……恒一君、いる?」ヒソヒソ
恒一「ちゃんといるよ」ヒソヒソ
赤沢「そう……」
恒一「……」カリカリ - 49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 22:56:08.14 ID:zVIPxAIY0
- 赤沢「……」
恒一「……」カリカリ
赤沢「……恒一君、いるわよね」
恒一「いるよ」
赤沢「……」
恒一「……」カリカリ
赤沢「こういちく」
恒一「大丈夫」テツナギ
赤沢「あ、うん……//」
杉浦(泉美……) - 52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 22:59:14.75 ID:zVIPxAIY0
- ~昼休み~
恒一「お昼どうしようか?」
赤沢「屋上に行きましょう」
恒一「そうだね」
綾野「おお、これはおもしろくなりそう」
杉浦「……」
見崎「……」 - 53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 23:01:34.67 ID:zVIPxAIY0
- ~屋上~
恒一「赤沢さんのお弁当おいしそうだね。それもお手伝いさんが?」
赤沢「そうね。(こういう時、自分で作ったって言いたかったな……)」
赤沢「それじゃあ、お願い。……あ~ん」
恒一「ホントにやるんだ」
赤沢「ええ。ほら、はやく」
恒一「うん……。最初は卵焼きから。はい、口あけて」 - 54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 23:03:41.61 ID:zVIPxAIY0
- 赤沢「……はむ。んっ」モグモグ
赤沢「……ん、おいしい」
恒一「そう。良かったね」
恒一「それじゃあ、次は……(なんだか、雛鳥に餌をあげてるみたいだ……。正直、可愛い……)」
赤沢(恒一君にもしてあげたかったな……)
綾野「きゃあー!これは甘いよ~」ノゾキミ
杉浦「……泉美、嬉しそう」 - 55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 23:05:52.38 ID:zVIPxAIY0
- ~昼食後~
恒一「ここから段差があるから気をつけて」
赤沢「ありがとう」
恒一「えっと、次の授業は……」
赤沢(あ……)ブルル
恒一「どうしたの?」
赤沢「な、なんでもないからっ」
恒一「?」 - 56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 23:08:08.34 ID:zVIPxAIY0
- ~休み時間~
赤沢「……」ソワソワ
赤沢「あ、あの、恒一君」ソワソワ
恒一「どうかした?」
赤沢「えっと、その……」ソワソワ
恒一「なに?」
赤沢「ご、ごめんなさい」ダッシュ
恒一「え?!赤沢さん、走ったら危ないって!」
赤沢「なんでついてくるのよ~!」
恒一「そんなこと言ったて!」 - 57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 23:10:46.19 ID:zVIPxAIY0
- ドンッ
赤沢「きゃっ!!」
恒一「あっ、杉浦さん」
赤沢「多佳子なの?!」
杉浦「泉美、走ったら危ない。それに目が見えないのに一人でどうするつもりだったの?」
赤沢「それは、えーと……」
杉浦「はぁ~、アタシが付き添うから」
恒一「えっと?」 - 60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 23:14:55.73 ID:zVIPxAIY0
- 杉浦「お手洗い。今のは泉美が悪かったけど、もう少し気遣ってあげて。それと、こういう時はアタシに言って」
恒一「そうだったのか。気が回らなくてごめん」
杉浦「次は気をつけて。……泉美少し待ってて」
赤沢「? ええ」 - 63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 23:17:58.01 ID:zVIPxAIY0
- 杉浦「榊原君。泉美のことまかせたから」
恒一「……うん」
杉浦「あと、もし、泉美を泣かせたら……許さないから」ギラン
恒一「は、はい!」ビクン
~放課後・第2図書室~
千曳「そうか、状況はわかったよ」
恒一「それで、過去に同じような現象はありますか?」 - 64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 23:20:20.11 ID:zVIPxAIY0
- 千曳「すまない。私が調べた限りでは、過去そのような現象はない」
恒一「そんな……」
千曳「役に立てなくて申し訳ない。ただ、これが現象なら何らかの……スイッチのようなものがあるんじゃないか」
恒一「スイッチ……」
千曳「そう。今までなかったということは、逆を言えばなにか特別なことをしたということだ」 - 65 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 23:23:11.46 ID:zVIPxAIY0
- 千曳「そこから解決の糸口が見つかると思うんだが……。私がわかるのはこのくらいだ。すまない」
恒一「いえ、ありがとうございます」
赤沢「ありがとうございます」
~演劇部部室~
恒一「はあ~、空振りか。いったいどうしたら……」
赤沢「……私、ずっとこのままなのかしら……」
恒一「赤沢さん……」 - 67 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 23:26:55.18 ID:zVIPxAIY0
- 赤沢「私、もう一人はいや……また取り残されるのはいや……」
赤沢「ううっ、えぐっ……このまま、多佳子や彩、パパやママに会えないなんていやよぉ……」
赤沢「それに、恒一君の……好きな人の顔が見えないのはもっといやなのぉ……」グスグス - 68 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 23:29:21.51 ID:zVIPxAIY0
- 恒一「赤沢さん!大丈夫、僕はここにいるから。どこにもいかないから」ギュウ
赤沢「こう、いちくん……。う、うわあああああんっ!」グスグス
―――――
―――
―
恒一「……落ち着いた?」
赤沢「……ええ、ありがとう」
恒一「赤沢さん、その……さっきのこと……」 - 69 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 23:32:08.24 ID:zVIPxAIY0
- 赤沢「恒一君。私この前、同じ夢をみるって言ったわよね……」
恒一「うん……」
赤沢「それはね、手を繋ぐ夢」
赤沢「……1年半前にね、私はいとこを亡くしたの。その人は私のお兄ちゃんみたいなひとだった」
赤沢「だから、私はとても悲しくてずっと泣いてて。その日もね、河原で泣いていたの」 - 72 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 23:34:28.09 ID:zVIPxAIY0
- 赤沢「それで、落ちてた空き缶に八つ当たりして、蹴っ飛ばしたの。けど、それが偶然人に当たって」
赤沢「慌てて謝りにいったら、今度は私が転んじゃって……。逆にその人に心配されちゃった。おかしな話でしょ」
赤沢「……手を差し伸べてくれたその人はやさしい笑顔をしてた。それに、握った手も温かかった」 - 74 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 23:37:45.28 ID:zVIPxAIY0
- 赤沢「今思えば、一目惚れ……だったのかもしれない//」カァ
赤沢「そしてね、その人は東京から来たって言ったの……」
恒一「それって、つまり……僕のことが……」
赤沢「やっと気付いたの。馬鹿……」
恒一「ごめん。……けど、僕はやっぱり思い出せない」
赤沢「……こういう時は嘘でも憶えてるって言いなさいよ」 - 75 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 23:40:35.49 ID:zVIPxAIY0
- 恒一「そう、だね。それじゃあ、もう一回」
赤沢「え?」
恒一「赤沢さん。やっぱり嘘は吐けない。だから、ちゃんと言うよ。僕も君のことが好きだ」
赤沢「うそ……本当に……」
恒一「本当だよ」
赤沢「こんな、今の私でも……」
恒一「構わない。ずっと一緒にいよう」 - 77 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 23:43:22.41 ID:zVIPxAIY0
- 赤沢「こういちくん、嬉しい!私も、私も好きです!」ダキッ
パアアアアアア
赤沢「あれ?見える……ちゃんと見える。私の眼……」
恒一「ホントに?!僕の顔見える?」
赤沢「ええ!見える。こういち……く、ぐすっ、ひっく」
赤沢「ううっ、よかったぁ、うええええんっ」 - 78 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 23:45:36.68 ID:zVIPxAIY0
- ―――――
―――
―
恒一「もう平気?」
赤沢「ええ。けど、なんども泣いちゃって恥ずかしいわね//」
恒一「気にしなくていいよ。だけど、どうして急に……」
赤沢「たぶん……私達の演劇が関係しているのかも」
恒一「……そうか。確かにこの台本の内容って」 - 79 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 23:50:06.04 ID:zVIPxAIY0
- 赤沢「そう、さっきまでの状態に当てはまる。それにこの台本は夜見北にずっと前からあるものだし」
恒一「なるほど」
赤沢「……恒一君、ごめんなさい。やっぱりこんな大事に巻き込んでしまって」
恒一「謝らなくていいよ。それに被害を受けたのは赤沢さんの方だし」 - 82 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 23:53:15.91 ID:zVIPxAIY0
- 赤沢「やっぱり、やさしいのね。だけど、もう一つ謝らなきゃいけないことがあるの」
恒一「もう一つ?」
赤沢「今日、無理やり登校したのは……その、見せつけたかったの……//」
赤沢「皆に恒一君は私のためにここまでしてくれるって、私のものだって……//」
赤沢「私、見崎さんに嫉妬してたのかも知れない。だから、あんなことして。ごめんなさい」 - 83 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 23:57:30.68 ID:zVIPxAIY0
- 恒一「……そうだね。明日二人で見崎に謝ろう。そこでちゃんと付き合ってる言おう」
赤沢「恒一君……//」
恒一「僕もね、一つ言わなきゃいけないことがあるんだ」
恒一「さっき思い出したんだけどね」
赤沢「それって、もしかして……」
恒一「聞いてくれる――――――手を繋ぐ話」
おわり - 85 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/02(月) 23:58:49.87 ID:uVFtwL+D0
- 乙
- 86 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/03(火) 00:00:27.43 ID:h8RLYacN0
- 乙乙
- 87 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/03(火) 00:02:29.52 ID:ojgEEFHE0
- お付き合い頂きありがとうございました
これで赤沢さんのところへ行けます - 89 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/03(火) 00:02:54.99 ID:uVFtwL+D0
- まて早まるな赤沢さんの所へは俺がいく
- 90 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/04/03(火) 00:04:16.90 ID:Cr18Uk8QO
- 素晴らしい 乙
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