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【SS】真姫(28)「過労で倒れるなんて…」花陽(28)「えへへ…」

1 : 名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/ 2017/01/07(土) 23:46:11.32 ID:85fLjHtW.net
~ 西木野総合病院 診察室 ~


真姫(28)「えへへじゃないわよ!久々に会ったと思ったらこんなとこで──」

花陽(28)「ごめんね迷惑かけて…もう少しで家だったんだけど…」




2 : 名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/ 2017/01/07(土) 23:46:50.93 ID:85fLjHtW.net
真姫(28)「はぁ──じゃあ着く前に倒れてラッキーだったわね。忙しいのはわかるけど、このまま働いてたら取り返しのつかないことになってたわよ。」

花陽(28)「そんなぁ…大げさなんだから真姫ちゃんは…」

真姫(28)「何よ、私の診断にケチつける気?」

花陽(28)「めっ、滅相もないですっ…!」


3 : 名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/ 2017/01/07(土) 23:47:46.63 ID:85fLjHtW.net
真姫(28)「とにかく今日はウチで休んで…それから明日全身の精密検査まとめてするわよ。どうせ健康診断とかも行ってないんでしょ?」

花陽(28)「入院にナッチャウノォ!?それはダメだよぉ…明日もお仕事が…」

真姫(28)「アナタねぇ──私の話聞いてた?」

花陽(28)「うう…でもたくさんの人に迷惑かけることになっちゃうし…私もたくさん準備してきたし…」

真姫(28)「…。」


4 : 名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/ 2017/01/07(土) 23:48:25.80 ID:85fLjHtW.net
花陽(28)「なんとかならないかな…真姫ちゃん…」

真姫(28)「──とにかく今夜はここにいなさい。」


真姫(28)「花陽が朝出るまでに、できる限りのことはさせて貰うわよ。」

花陽(28)「真姫ちゃん…ありがとう!」


5 : 名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/ 2017/01/07(土) 23:49:07.25 ID:85fLjHtW.net
真姫(28)「全く。ところで花陽、ご飯はちゃんと食べてる?」

花陽(28)「それは大丈夫!どんなに忙しくても三食欠かさず食べてるよ。」

真姫(28)「そう。じゃ、これ。」ポイッ

花陽(28)「えっ…バケツ…?これを何に──」

真姫(28)「できる限りのことをする、って言ったでしょ?」


6 : 名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/ 2017/01/07(土) 23:49:49.44 ID:85fLjHtW.net
真姫(28)「何が何でも今夜中に全身調べ上げてやるんだからね、覚悟しなさい。」パチンッ

花陽(28)「ま、まさか…その手袋は…」

真姫(28)「察しがいいのね。ほら、口開けなさい。」

花陽(28)「ひぃっ…だっ……だっ…!」


\ ダレカタスケテェ!! /


オェェエエエエエ

────────────


7 : 名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/ 2017/01/07(土) 23:50:59.33 ID:85fLjHtW.net
────────────


「はい真姫ちゃん。これ昨日の結果。」ドサッ

真姫(28)「師長さん…せめて西木野って呼んでください…」

「いいじゃない2人しかいないんだから。真姫ちゃんも昔みたいに…」

真姫(28)「はいはい仕事中ですから…これで全部ですか?」


8 : 名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/ 2017/01/07(土) 23:51:47.05 ID:85fLjHtW.net
「まあだいたいはね。今無い検査結果もあるけど…きっと後から届くと思うわ。それにしても昨日のこと、かなり文句言われてたわよ?院長権限もほどほどにしないと。」


真姫(28)「すみません…。昨日はどうしてもだったので──」


9 : 名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/ 2017/01/07(土) 23:52:53.81 ID:85fLjHtW.net
「あー、大丈夫大丈夫!『普段は絶対そういうこと言わない人だから』って笑ってた先生がほとんどだったから。滅多に人を頼らないのにー、って」


真姫(28)「別にそんなことないですよ、いつも助けて頂いてばかりで。私だけじゃ──まだなんにもできないですし──」

「そうは見えないわよ、"美しすぎる院長"さん?」

真姫(28)「ちょっ…まさかあの雑誌、ロビーに置いてるのって──」

「では失礼しまーす」バタンッ

真姫(28)「もう、あんのオバサンは…」


10 : 名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/ 2017/01/07(土) 23:53:24.82 ID:85fLjHtW.net
私は西木野真姫、元スクールアイドルで──

真姫(28)「はあ…」

今は病院の院長をしている


11 : 名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/ 2017/01/07(土) 23:54:03.45 ID:85fLjHtW.net
大学を卒業したと思ったら、ローテであちこち飛ばされて

帰ってきたと思ったらすぐさま一線でこき使われて

なんとかお医者さん3年目

ようやく落ち着いた…と思ったら


『なあ真姫、一生のお願いがあるんだけど…』


パパから院長を投げられるわで───

真姫(28)「あっというま、だったわね…」


12 : 名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/ 2017/01/07(土) 23:55:07.19 ID:85fLjHtW.net
経営関連は理事会の下の人や他の担当が回してくれてるからそこまで負担はないけど、それでも院長職というのはそれなりに──

いや、かなりハードだ


『パパはね、おじいちゃんに任されたから頑張ってたけど…ホントは研究医になりたかったんだ』


だからってフツーこんな小娘に大病院ひとつ任せる!?


『大丈夫、これはパパだけじゃない。真姫の3年間の働きを見ていた他の先生方の総意でもある』


また調子の良いことを───


────────


13 : 名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/ 2017/01/07(土) 23:55:42.24 ID:85fLjHtW.net
────────


真姫(28)「うわっ」

どうやら居眠りしていたらしい

少し油断するとこれだ

反射的に時計を見やる

真姫(28)「っ──もう始まってるじゃない!」

急いでテレビのスイッチを入れる


14 : 名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/ 2017/01/07(土) 23:56:38.27 ID:85fLjHtW.net
私は西木野真姫、元アイドル

μ'sという無二の仲間に巡り会って最高の青春を駆け抜けて

そして私たちは夢を目指し、それぞれの道を進んだ


そんなかけがえのない9人のなかで1人

“元アイドル” ではない者がいる


《今日のゲストは小泉花陽さんでーす!》パチパチパチ
《よろしくお願いしまーす》ニコニコ


小泉花陽、アイドルだ


15 : 名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/ 2017/01/07(土) 23:57:58.23 ID:85fLjHtW.net
真姫(28)「いつの収録か知らないけど──どうせこのときも無理してたんでしょうに…」


テレビをBGMに花陽の検査結果をチェックする


高校を卒業後、大学に通いながら学内や路上等でアイドル活動

スター発掘オーディションにスカウトされ参加、そのまま1位を勝ち取る

そこからはあっという間だった

抜群のスタイルに力強い演技と歌唱力
そんな姿とは裏腹に柔らかな物腰と笑顔で誰からも愛されるキャラクター

μ's時代の知名度も相まって一気にアイドル界のトップに上り詰めた


16 : 名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/ 2017/01/07(土) 23:58:35.86 ID:85fLjHtW.net
あれから8年

女優としての仕事も増えバラエティにも引っ張りだこの今でも、彼女は口癖のように


「本業はアイドル」と──


三十路とは思えない無邪気な笑顔で語るのだ


17 : 名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/ 2017/01/07(土) 23:59:39.00 ID:85fLjHtW.net
真姫(28)「本当に…あなたは誰より頑張った…」ペラッ

そう、誰よりも頑張って
頑張る誰かを支え続けていた

だからこそ許せなかった

こんなに小さな身体を誰も守ってあげずに

こんなにボロボロになるまで働かせる芸能界という環境を


真姫(28)「絶対…許さない──」


花陽はガンだった


────────────────


18 : 名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/ 2017/01/08(日) 00:00:25.83 ID:ARoFewgW.net
───────────

~喫茶店~

真姫(29)「経過はどう?」

花陽(29)「もー、会うたびそれなんだから真姫ちゃんはー」

真姫(29)「油断しないでよね、再発がないとは言いきれないんだから…」


花陽のガンは完治した
肝臓のガンだった


20 : 名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/ 2017/01/08(日) 00:01:05.30 ID:ARoFewgW.net
幸い早期発見であったこともあり、投薬治療で事なきを得た

花陽の所属事務所が『仕事に支障のない治療を──』などと言い出したときは殴り飛ばしそうになった

私としては休養も兼ねて長めのドクターストップをかけるつもりだったのだが──


花陽(29)「ん、なーに?真姫ちゃん」

真姫(29)「…別に」


仕事の継続は花陽の意思でもあった


21 : 名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/ 2017/01/08(日) 00:02:18.93 ID:ARoFewgW.net
花陽(29)「あ、またなんか隠した。私にはわからないからって…」

真姫(29)「本当にそういうのじゃないのよ。ただ花陽が今日も元気なのが嬉しいだけ。」

花陽(29)「ちょ…いや──えへへ、なんか照れるねその言い方…」

真姫(29)「オバサンのくせにクネクネしないの」

花陽(29)「オバサンっ!あーあー、言っちゃった!それ言っちゃったらほら、真姫ちゃんだって!ほら!」


22 : 名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/ 2017/01/08(日) 00:02:56.24 ID:ARoFewgW.net
あの一件があってから花陽とは定期的に会うようになっていた

μ'sの仲間とは疎遠になっていただけに素直に嬉しい


きっかけとしては少々イビツだが、再会したのが私だったからこそ花陽の命を救えていたのだとも思う


24 : 名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/ 2017/01/08(日) 00:03:42.93 ID:ARoFewgW.net
花陽(29)「ま、真姫ちゃん?なんでさっきから遠い目で微笑んでるの…?ちょっと怖いよ…?」


昔から変わらないこの陽だまりのような天使を

誰も守ってくれないのなら──


花陽(29)「オバサンって花陽も言い過ぎたからぁ…帰ってきて…」

真姫(29)「…。」

花陽(29)「無視しないでぇ…」


私が守るしかない

そう思っていた

───────────


25 : 名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/ 2017/01/08(日) 00:08:53.26 ID:ARoFewgW.net
───────────

花陽は肺ガンを発症していた

仕事中、突然声が出なくなり病院に来た

肺炎かもしれないとctを撮った時に

全てが手遅れだと気づいた


26 : 名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/ 2017/01/08(日) 00:09:42.67 ID:ARoFewgW.net
肝臓からの気管支への転移は考えづらい

おそらく、あの夜には──過労で運び込まれたあの夜には──既に腫瘍が存在していたのだろう

短時間の簡易な検査では見つからなかった小さな影は、闘病で弱った花陽の身体を恐るべきスピードで蝕んだ

肝臓に影が早々に見つかり、またそれが完治したことでどこか安心があった


27 : 名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/ 2017/01/08(日) 00:10:12.94 ID:ARoFewgW.net
花陽(30)「えへへ…ほら、私の自業自得だよ…真姫ちゃんにはちゃんと時間をかけた検査をしろって言われてたのに…」

違う

あのとき何を押さえつけても、縛り上げてでもその腫瘍を見つける義務が私にはあった


28 : 名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/ 2017/01/08(日) 00:10:48.97 ID:ARoFewgW.net
花陽(30)「それにほら、可能性はまだゼロじゃないんだもんね!こんな私にだって出来ることはまだあるはずだし!」


無理をして明るく振舞っていることぐらい、わかる


29 : 名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/ 2017/01/08(日) 00:11:52.74 ID:ARoFewgW.net
花陽(30)「うーん、声が出るうちにいろいろ歌いたいなあ──ほら、やっぱりアイドルとしてね?」

貴女は最期まで誰かに寄り添おうとしていた

貴女は最期までアイドルだった


じゃあ、私は?


花陽(30)「真姫ちゃん、本当にありがとう」


大切な人を救えなくて、何が医者だ


30 : 名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/ 2017/01/08(日) 00:14:46.92 ID:ARoFewgW.net
~真姫ちゃんへ~


 改まって書くのは恥ずかしいね。最近は結構顔合わせてお話ししてるのに…。なんだか高校時代に戻った気分です。

 真姫ちゃんは出会ってからずっと私の憧れで、目標でした。何をするにもとっても恰好よくて真姫ちゃんみたいになりたいなって思ってました。もちろん今でも。

 大学に行って、そこから芸能界に入って、どんなに挫けそうなことがあっても私の中には強いイメージがあったから、真姫ちゃんみたいな人になりたかったから、私は頑張れたんだと思います。

 思えばあのとき、真姫ちゃんにこんな私の歌を褒めてもらえたから、少しは自信にもなって、引っ込み思案の私でも頑張ろうって思えました。そこから私のアイドル人生が始まったって考えると……真姫ちゃんには感謝してもしきれないですね!本当にありがとう。

 小泉花陽というちっぽけな女の子は、アイドル西木野真姫にいつだって勇気とエネルギーを貰っていました。

 まとまらなくってゴメンね!真姫ちゃんと過ごした時間はとってもとっても楽しかったよ!本当にありがとう!


~小泉花陽より~


31 : 名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/ 2017/01/08(日) 00:15:24.73 ID:ARoFewgW.net
真姫(31)「…。」

真姫(31)「…。」prrrr

真姫(31)「もしもし、パパ?」

真姫(31)「一生のお願いがあるんだけど」


32 : 名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/ 2017/01/08(日) 00:16:03.58 ID:ARoFewgW.net
──────────

~記者会見場~

真姫(78)「──はい、じゃあ私はこれで」ガタッ

『ちょっ、待ってください!』

真姫(78)「もう、しつこいわね。挨拶は済ませたでしょう」

『そういうワケにもいかないんですから!』ヒソヒソ


33 : 名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/ 2017/01/08(日) 00:16:32.42 ID:ARoFewgW.net
《え…えー、今回のノーベル生理学賞の受賞おめでとうございます。教授の研究としましてはガン細胞の確実な発見についてですが…》


真姫(78)「ええ。あらかじめ個人の体組織を記録しておくことで、ガン細胞をはじめ身体の異常をこれまで以上に、確実に、早期発見することが可能です。」


34 : 名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/ 2017/01/08(日) 00:17:44.86 ID:ARoFewgW.net
《つまりこの簡易精密検査が正式に認可されることでガンの撲滅につながると見込まれて──》

真姫(78)「それは違います。これはあくまで迅速に確実に異常を発見するシステムです。私の目的はあくまでガン細胞の特効薬やワクチンの開発です。」


真姫(78)「私はようやくスタートラインに立ったばかり。時間がないので私はこの辺で失礼します」ガタッ

『せ、先生!』

《で、では最後にお願いします!》


35 : 名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/ 2017/01/08(日) 00:18:40.78 ID:ARoFewgW.net
《西木野教授はこれまでも輝かしい功績を残しながら御年80を目前にして未だ第一線で活躍をなされています。》

《教授を研究に駆り立てる原動力についてお聞かせください。》


真姫(78)「…。」


36 : 名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/ 2017/01/08(日) 00:19:23.27 ID:ARoFewgW.net
真姫(78)「…。」

真姫(78)「好きなアイドルがいまして」

《アイドル…?》

真姫(78)「その人と約束したんです」ガタッ

《えっ…それは──あっ、教授!》

真姫(78)「会見お疲れ様でした」ニッコリ

スタスタスタ

バタン

『あー、またこれだよ…』

──────────────


37 : 名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/ 2017/01/08(日) 00:22:08.58 ID:ARoFewgW.net
──────────────


真姫(30)「私はアナタを救えない…!」

花陽(30)「そんな…真姫ちゃん…私は充分助けてもらって──」

真姫(30)「でもっ──花陽が──」

花陽(30)「笑って真姫ちゃん!アイドルは笑顔が命なんだから」

真姫(30)「花陽がいないと私──」

花陽(30)「そんな顔しないで!いつだってクールにみんなを助けてくれるのが真姫ちゃんでしょ!」

真姫(30)「…。」

花陽(30)「ねえ、真姫ちゃん。私と最後に約束してくれる──?」

─────────


38 : 名無しで叶える物語(家)@\(^o^)/ 2017/01/08(日) 00:23:22.88 ID:ARoFewgW.net
─────────

真姫(78)「はぁ…」


真姫(78)「…。」


真姫(78)「ねえ花陽」


真姫(78)「私、ちゃんとやれてるかしら──?」



終わり


46 : 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2017/01/08(日) 00:35:46.13 ID:NdGiHeJd.net

こういうの好きだけど辛い


59 : 名無しで叶える物語(かつお)@\(^o^)/ 2017/01/08(日) 14:12:13.16 ID:BtqZim18.net
乙でした
悲しいけどいい設定でした


元スレ:http://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1483800371/


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