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つぼみ 「帰ってきた希望の花! 新たなプリキュア誕生です!」

1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 12:54:11.16 ID:caPyoPm60
………………

セイレーン 「――――ネガトーン!!!」

響 「リズム……!! 危ない!!」

奏 「えっ……――――ッ!?」

―――ッッッッッッドォォオオオッッッ!!!!

奏 「が……ッ……!!」

ハミィ 「リズム~~~~~!!」

響 「リズム……っ……!!」

奏 「……――だ、め……」

響 「えっ……?」

奏 「――来ちゃ……だ……ダメ……」

響 「……なっ、何言ってんのさ、リズム」

奏 「今の、わたしたちじゃ、このネガトーンには、勝てない……」

奏 「……だから、お願い……わたしは、メロディに、傷ついてほしく、ない……」

奏 「ごめん、ね、メロディ。……わたしの、せいだね……」 ニコッ




2:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 12:54:55.46 ID:caPyoPm60
奏 「だから……せめて……メロディ、あなただけは、逃げて……」

響 「………………」

ギリッ

響 「――――っけんな……」

奏 「え……?」

響 「ふざけんなって言ったのよ馬鹿リズム!! 馬鹿!! 馬鹿バカ莫迦ぁ!!」

ハミィ 「ニャプ!? こんなときに何を言うんだニャー!」

奏 「なっ……! ば、バカですってぇ……!?」

響 「そうよ馬鹿よ!! 大馬鹿よ!!」

響 「今回だって、わたしたち、ケンカしちゃって、それで、こんなピンチになって……」

響 「わたしが悪いのに、それを素直に謝れなくて、奏を傷つけて……」

響 「リズムが、そんなにボロボロになって……」

響 「それで……それで何で……」 グスッ 「何で、逃げろなんて言うのよ……!!」


3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 12:55:52.54 ID:caPyoPm60
響 「わたしが悪いのに……何で……」

響 「何で、リズムが謝るのよ……何で……わたしが、謝らないのよ……」

奏 「メロディ……」

――――キィィ……

ハミィ 「!?」 (ふたりの心のト音記号が、共鳴してるニャ!!)

セイレーン 「……はは! ふたりして薄ら寒いお友達ごっこ?」

セイレーン 「私には何一つ理解できないわ! くっだらないわね!!」

ハミィ 「セイレーン! なんでそんな酷いこと言うニャ!!」

ハミィ 「メロディもリズムも、ケンカばかりだけど、本当は心の底からお互いを想い合ってるニャ!!」

ハミィ 「それをそうやって笑うセイレーンなんか、ハミィは嫌いだニャ!!」

セイレーン 「っ……!」 ギリッ 「か、カンケーないわよ、そんなの! アンタなんかどうだっていい!!」

セイレーン 「アンタなんて……っ! アンタなんてぇ!!!」

セイレーン 「ネガトーン!!! まずはそのプリキュアを、捻り潰しておしまい!!」

――――――ガッ……!!!

奏 「あッ……!」


4:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 12:57:17.13 ID:caPyoPm60
響 「リズム……!! リズムぅぅぅぅうううううう!!」

奏 「っ……が……メロ、ディ……ひび、き……」

ギリリリリリリリッ……!!!!

奏 「っ……あ……ッ!!!」

響 「リズム……かなでぇぇぇぇぇえええええええええええ!!!」

ハミィ 「こ、このぉ!! ネガトーン! リズムを放すニャ!!」

ポカポカポカ!!!

奏 「!? だ……ダメ、ハミィ……!」

ハミィ 「ニャ……――!?」

――――――ドガァァァアアア!!!!

ハミィ 「ニャーーーーーーーーーー!!!」

響 「は、ハミィ!!」

セイレーン 「ハミィ……!?」 ハッ 「……っ、いい気味よ……!」

ハミィ 「………………」 ボロッ

響 「ハミィ……っ」


5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 12:57:52.16 ID:caPyoPm60
響 「エレン……! いいえ、セイレーン!!!」

響 「わたしたちプリキュアだけでなく、ハミィまで……!」

セイレーン 「な、何よ……当たり前でしょ!? そいつは私の敵なんだから!!」

ハミィ 「………………」

響 「……ハミィは、友達だって言ってた」

セイレーン 「えっ……?」

響 「ハミィはアンタのこと、大好きだって……大切な友達だって……そう言ってた……!!」

セイレーン 「………………」

響 「それなのにアンタは……アンタはこうやって、ハミィを傷つけるんだね……」

セイレーン 「そ、そんなの――――」

響 「――――わたしだったら!!!」

セイレーン 「っ……!?」

響 「……わたしだったら、もう、間違えない。もう、傷つけ合うのは嫌だから」

奏 「ひ、びき……?」


6:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 12:58:38.65 ID:caPyoPm60
響 「……たくさん間違ってきたよ。たくさん、傷つけちゃったよ。たくさん、酷いことも言ったよ」

響 「でも、だから分かったんだ。そんなのはもう嫌だ。すれ違うのも傷つけ合うのも、もうたくさんだよ」

響 「……ねぇ、セイレーン」

セイレーン 「………………」

響 「アンタは違うの? 傷ついて、倒れて、気を失って、ボロボロで……こんなハミィを見ても、」

響 「――――アンタはそれでもまだ、ハミィを傷つけたいと思うの?」

セイレーン 「ッ……!!!」

ギリッ

セイレーン 「うる、さい……!! うるさいうるさいうるさいうるさぁぁぁあああい!!!」

セイレーン 「アンタに何が分かる!! アンタに、何が分かるって言うのよ!!!」

セイレーン 「悔しかった!! 悲しかった!! 妬ましかった!! 恨めしかった!!!」

セイレーン 「……そして何より、そんな風に思ってしまう自分が、たまらなく嫌だった……」

セイレーン 「歌い手に選ばれたハミィを……友達を、わたしは祝福することができなかった……」

響 「……分かるよ。その気持ち」

奏 「………………」


7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 12:59:51.81 ID:caPyoPm60
奏 「……わたしも、嫌だった。本当は仲良くしたいのに、酷いこと言ったりして」

響 「それで、自分がすごく嫌になって、だから……また、相手を傷つけちゃって」

奏 「言いたいことはたくさんあったよ。でも、そのほとんどが、口にできなかった」

響 「相手を傷つけるようなことばかり、言っちゃって……」

奏 「……ねえ、セイレーン。まだ、間に合うよ」

響 「もうこんなことやめよう? 不幸のメロディを奏でても、幸せにはなれないよ」

セイレーン 「………………」 グスッ 「……遅いわよ。もう。全部。だって、私……」

セイレーン 「嫌いって言われちゃったもん。ハミィに……っ……嫌いって……言われ、ちゃったもん……!」

セイレーン 「……もう戻れない。私は、やってはいけないことをやりすぎたのよ」

―――― 『セイレーンの毛並み、綺麗で柔らかくて、ハミィ大好きだニャ!!』

セイレーン 「……もう、何もかも手遅れなのよ……!!」

セイレーン 「ハミィはもう、私に笑いかけてはくれない! ……好きだって、言ってくれない!!」

響 「セイレーン!」

セイレーン 「うるさいうるさいうるさい!! もう何もかも遅いのよ!!」

セイレーン 「もう遅い……だったら、私は……! 私は、世界全てを不幸にする……私と同じように!!」


8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 13:01:44.21 ID:caPyoPm60
セイレーン 「……ネガトーン! さっさとキュアリズムを捻り潰してしまいなさい!!」

奏 「ひ、あ……っ!!」

響 「かなでぇぇえぇええええええええええ!!!」

奏 「ひ、びき……ぃ」

響 「っ……こんなのって……こんなのってないよ……!!」

響 「わたし、まだちゃんと謝ってない。奏に、きちんとごめんねって、してない……!」

響 「セイレーンだって……本当は、ハミィと仲直りしたいはずなのに……」

…………ポタッ……ポタッ……

ハミィ 「……ニャプ……あった、かい……」

響 「ハミィ!? 良かった……!」

ハミィ 「……聞こえるニャ。とっても、温かくて、心地良い、メロディが。リズムが……」

響 「えっ……?」 フルフル 「……そんなの、聞こえないよ。冷たくて、暗い音楽しか、聞こえないよ……」

ハミィ 「………………」 クスッ 「……そんなこと、ない、ニャ? ハミィには、ちゃんと……聞こえてるニャ」

ハミィ 「小さくて、消えてしまいそうな、旋律だけど……ちゃんと、聞こえてるニャ……」

ハミィ 「響と奏の心が、その温かい音楽を、作り出しているニャ。ハミィには、しっかり、聞こえるニャ」


9:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 13:02:53.49 ID:caPyoPm60
響 「わたしと……奏が……?」

ハミィ 「ニャプ。ふたりの心のト音記号が、新しいハーモニーを紡ごうとしてるニャ」

響 「わたしと、奏の、ト音記号が……」

………………スッ……

響 「……ハミィ、ごめん。わたし、行かなくちゃ」

響 「伝えなくちゃいけないんだ。言わなきゃいけないんだ」

響 「この気持ちを、心を、想いを……伝えたいんだ」

ハミィ 「ニャプ」 ニコッ 「……それでこそ、響――キュアメロディなんだニャ」

響 「……うん!」

ハミィ 「今のセイレーンに、ハミィの声は届かないニャ……セイレーンは、きっとハミィを怒ってるニャ」

響 「………………」

ハミィ 「だから、伝えてほしいニャ。嫌いなんて言っちゃってごめんって。本当は大好きだって」

ハミィ 「……頼むニャ、キュアメロディ」

響 「……その気持ち、絶対に届けるよ。絶対に、セイレーンに届かせてみせるから」

響 「だからハミィは、ここで安静にしててね」 ニコッ


12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 13:04:20.68 ID:caPyoPm60
響 (……ずっと、伝えたかった。わたしの、本当の気持ち)

響 (けれど、意地とか、恥ずかしいとか、そんなことに邪魔されて、伝えられなかった)

響 (だから、いま……伝える。届かせてみせる)

響 (わたしは……北条響は……キュアメロディは……)

――――――――――ダッ……!!!!!

響 「――……かぁぁぁぁああああなぁぁぁぁああああでぇぇぇえええええええええ!!!」

奏 「……!? ひ……び、き……?」

響 「わたしは!! あんたに!! 伝えたいことが!! あるんだぁぁあああああ!!!」

奏 「ひ、び、き……響……!!」

セイレーン 「ッ……!! 今さらアンタに何ができる!! 友達ごっこで何ができるッ!!」

セイレーン 「ネガトーン!!」

響 「っ……邪魔を……ッッッ――――――」

――――ッッットンンン!!!

響 「――するなぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああ!!!!」

                     ドガァァァアアアア!!!!


13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 13:05:31.35 ID:caPyoPm60
セイレーン 「っ……そんなちんけな蹴りで、このネガトーンをやれるわけがないでしょうが!!!」

セイレーン 「ネガトーン!! その間抜けも捕まえておしまいッ!」

――――ガッ……!!

響 「ぐっ……! 痛っ……」

奏 「響……どうして……」

響 「へへ……作戦、成功、ってね……」 ニッ

奏 「!? まさか、あなた……わざと捕まったの……!?」

響 「その通り。へへっ、セイレーンったら、単純なんだから」

奏 「ばっ、馬鹿!! 何で響はそう馬鹿なのよ! どうして、そんな……」

――……グスッ……

奏 「どうして、そんな……っ、無茶、ばっかり……するのよ……」

響 「……うん、ごめん。わたしってば、馬鹿だからさ」

響 「だから、こんな風にしかできないんだ。いつも、奏には迷惑ばっかりかけてると思う」

奏 「そっ……そんなこと……!!」 キッ 「そんなこと、ないもん!!」

奏 「響が、引っ張ってくれるから……わたし、プリキュアでいられるんだもん」


15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 13:06:36.60 ID:caPyoPm60
響 「奏……?」

奏 「響が、引っ張ってくれるから、助けてくれるから……」

奏 「無茶をしてでも、わたしをの元にやってきてくれる……そんな響がいるから、」

奏 「――ダメなわたしでも、一緒に戦える。プリキュアでいられるの」

響 「………………」 フルフル 「……違うよ、奏」

奏 「……?」

響 「奏がいつも傍にいてくれるから、わたしは安心して無茶ができるんだよ」

響 「奏がとなりにいてくれるから、いつも冷静に、わたしのことを諫めてくれるから」

響 「……そんな奏がいてくれるから、わたしはプリキュアでいられるんだよ」

奏&響 「「………………」」

――――クスッ……

響 「……ははっ……ねぇ、奏、わたし、奏のこと、」

奏 「……ふふっ……うん、響、わたし、響のこと、」

―――――― 「「………………大好き、だよ」」

キィ……――――――――――――キィィィィイイイイイイイイイイイイイイイイイ……!!!!!!!!!


16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 13:07:49.14 ID:caPyoPm60
………………

セイレーン 「なっ……なんだ……? 何が起きている……!?」

セイレーン (プリキュアが光を発している……これは、何だ……?)

セイレーン (心が温かくなる……この光は、一体……)

――――――キィィイイイ…………

セイレーン (この、メロディは……リズムは……)

ギリッ……!!!

セイレーン (幸福のメロディの……一節……ッ!!)

セイレーン 「……ッッッ……!!! ネガトーンッッ!!!」

………………

響 「……ねぇ、聞こえる、奏?」

奏 「うん、しっかり聞こえるよ」

奏 「……これが、あなたの心のメロディなのね、響」

響 「うん。これが、奏のリズムなんだ。温かい。とっても、気持ちいい」

――ギュッ……


17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 13:08:42.48 ID:caPyoPm60
響 「とっても温かい。とっても、心地良い」

響 「このリズムを、奏でたい」

奏 「ええ。このメロディを、響かせたい」

奏 「もっともっと大きく。もっともっと強く」

響 「……わたしたちプリキュアが、この街を、」

奏 「この街のみんなの心を、幸せを……」

「「――――――守る……!!!」」

………………

ハミィ 「この、光は……伝説の……」

ハミィ (あのふたりは……本物の……本当の……)

ハミィ (本物の、伝説の戦士……プリキュアの、本当の、姿……)


――――――――――――――――――――――――――カッッッ……!!!!


ハミィ 「!? り、リズムぅぅうううう!! メロディぃぃいいいい!!」


18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 13:09:27.63 ID:caPyoPm60
………………

セイレーン 「っ……! 一体、何が……!?」

――――ッットン……

セイレーン 「……――――!?」

響 「……プリキュアは、ふたりでひとつ。ふたりが力を合わせれば、いくらでも強くなれる」

奏 「ふたりが心を通い合わせて、本当の気持ちを伝えることができれば、何でもできる」

セイレーン 「っ……さっきの衝撃で、ネガトーンの手から離れたのか……ッ!!」

奏 「ねぇ、セイレーン。もうこんなことやめましょう。あなたの不幸のメロディは、あなたを傷つけるだけよ」

奏 「誰かを不幸にしたって、自分が満たされるわけじゃない。それはもう分かっているでしょう?」

セイレーン 「……うるさい……」

響 「セイレーン、ハミィは、「ごめん」って言ってたよ。「嫌い」なんて嘘だって」

響 「そんな嘘をついてしまってごめんなさいって……謝ってたよ」

セイレーン 「っ……うるさい……!」

響 「今ならまだ仲直りできるんだよ!! 友達に戻れるんだよ!」

響 「仲直り、したいんでしょ? ……今ならまだ、その気持ちを伝えられるんだよ!?」


19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 13:11:14.19 ID:caPyoPm60
セイレーン 「……うるさい……うるさいんだよお前たちはッ!!」

セイレーン 「何が幸福のメロディだ!! 何がプリキュアだ……!!」

セイレーン 「わたしは、もう……もうっ……」

セイレーン 「もう、ハミィに気持ちを伝えられないんだよ……もう、無理なんだよ……」

響 「遅くなんてない。無理なんかじゃない。だって、ほら」

奏 「わたしたちはこうやって手を取り合ってる。大好きな気持ちを、伝えられた」

響 「だからできるよ! セイレーンにも、ハミィに気持ちを伝えることが!」

セイレーン 「っ……!!」 ギリリッ 「……ネガトォォォオオオオオオン!!!!」

――――――……ズザッッ……!!!

響 「………………」 フゥ 「……分かった。駄々っ子には、少しだけお灸を据えてあげなくちゃね」

奏 「ハミィの大切な友達だもの。助けてあげなくっちゃ」 ニコッ

響 「ここで決めなきゃ女がすたる!!」

奏 「気合いのレシピ、見せてあげるわ!!」

セイレーン 「プリキュア……ッ!! プリキュアぁぁぁあああああああああああ!!!」

セイレーン 「潰せ……!! その圧倒的な力で、今度こそ奴らを潰せ! ネガトーン!!」


20:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 13:12:16.81 ID:caPyoPm60
響 「……行くよ、奏――ううん、キュアリズム!!」

奏 「うん!! わたしの大切なパートナー、響――キュアメロディ!!」

――――――ガシャッッ……!!!

響&奏 「「レッツプレイ・プリキュア!!! スーパーモジュレーション!!」」

セイレーン 「ッ……!?」 (ば、馬鹿な……! すでに変身している戦士が、再度……!?)

セイレーン (これは、まさか……伝説の中に存在する、本物の伝説の……)

――――パァァアアアア……

響 「爪弾くは、世界に響く、幸せのメロディ!! ――――」

奏 「爪弾くは、世界に奏でる、幸せのリズム!! ――――」

………………ザッ……!!!!


響&奏 「「――――届け、ふたりの組曲!! スイートプリキュア・ハーモニアスシルエット!!」」


セイレーン (ッ……!? 心のト音記号で、幸福のハーモニーを奏でる、本物の戦士……!)

セイレーン (清浄なる光をまといし、プリキュアの中のプリキュア……ッ!!)

セイレーン 「っ……あんなもの、見かけ倒しだ!! さっさと潰せネガトーン!!」


21:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 13:13:22.34 ID:caPyoPm60
響 「……無駄だよ。こんな不幸のメロディじゃ、」

奏 「わたしたちの奏でる幸福のハーモニーには、敵わない」

キィィィィイイイイイイ……!!!!

響&奏 「「プリキュア――――」」

              ――――ギュッ――――

                          「「――――パッショナートハーモニー!!」」

――――――ッッッッッッドンンンン!!!!!

セイレーン 「ッ……!?」 (今までとは段違い……ッ! なんて、強大な……なんて、温かい、光……!!)

……パァァァアアアアア……――――――……

セイレーン 「そ、そんな……あの、ネガトーンを……」

セイレーン 「たったの一撃で……」

響 「……セイレーン」

セイレーン 「ッ!!?」 ビクッ

奏 「……安心して、今、あなたを助けてあげるから」

セイレーン 「っ……くっ……」


25:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 13:15:09.43 ID:caPyoPm60
響 「怖がらないで。大丈夫」 ニコッ 「あなたの心に、幸福のハーモニーを届けるから」

セイレーン 「私は……っ……私は……!!」

響&奏 「「調べましょう、大いなる奇跡のハーモニー!!」」

――――キィィィィィイ……!!!!

響&奏 「「ハーモニアス・ベルティエ!!!」」

響 「ミリー、ファリー、ソリー、ラリー、シリー!!」  奏 「みんな、力を貸して!」

♪ ドド レレ ミミ ファファ ソソ ララ シシ ♪

響 「駆け巡れ!!!」   奏 「トーンのリング!!!」

響&奏 「「プリキュア!! ツイン・ミュージックロンド!!」」

セイレーン (温かい……心地良い……私が好きだった、音楽……)

響 「――リズム!!」

奏 「オッケー、メロディ!!」

奏 「三拍子!! 1,2,3!!!」  響 「フィナーレッッッ!!!!」

――――――カッ………………………………!!!!!!

………………………………………………――――――――――――――――――


26:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 13:16:12.73 ID:caPyoPm60
――――――――――――――――――………………………………………………

ふたば 「………………」 ゴクリ

つぼみ 「………………」 ギュッ

えりか 「………………」 ゴクッ

いつき 「………………」 ギリッ

ゆり 「………………」

ゆり 「……へぇ。私、実際に観たのは初めてかもしれないわ」

えりか 「あ、そうなんだ。いやぁ、わたしもこのシリーズは初めてなんだけどさぁ……」

いつき 「……なんていうか、すごいね。というか、少し照れちゃうな」

つぼみ 「ははは……」 (幼児向け番組とは思えない熱い展開に、思わず見入ってしまいました……)

コソコソ

つぼみ (えりか……えりか!!)

えりか (はぇ? どうかしたの、つぼみ)

つぼみ (どうかしたの、じゃないですよ。そもそもどうしてこんなことしようなんて言い出したんですか)

えりか (こんなことって、プリキュアの視聴会のこと?)


27:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 13:17:37.92 ID:caPyoPm60
えりか (いやぁー……わたしたちがモデルになったアニメだよ? やっぱり興味あるじゃない)

つぼみ (それはまぁ……興味ないと言ったら嘘になりますけど)

えりか (でも、さすがにハタチの女子が日曜の朝っぱらから家で一人寂しくアニメ鑑賞なんて不健全っしょ)

つぼみ (ハタチ以上の女子が四人でアニメ鑑賞してる方がよっぽど不健全です……)

えりか (分かってるよー。だからふたばをダシにして――)

つぼみ (今ダシって言った! ひとの妹のことダシって言いましたね!?)

えりか (ま、まぁまぁ。細かいことは置いておこうよ)

つぼみ (細かくありません!!)

ゆり 「――で? あなたたちはさっきから何をコソコソ話してるのかしら?」

つぼみ&えりか 「「ぎくぅ……!!」」

いつき 「すごく古典的な音がしたね」

クスクス

いつき 「それで、どうかな、ふたばちゃん」

ふたば 「はえ?」 クルッ 「なぁに、いつきお姉ちゃん?」

いつき 「プリキュア、面白い?」


29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 13:18:36.12 ID:caPyoPm60
ふたば 「うん! とっても!」

ふたば 「キュアメロディもキュアリズムもとってもかわいくて、格好いいの!」

ふたば 「わたし、プリキュア、大好きだよ!」

つぼみ 「だ、大好きっ……///」

えりか 「………………」 フフン (ね? 観てよかったでしょ?)

つぼみ 「ま……まぁ、悪くはないですね」 ニヘラァ

いつき 「面と向かって言われると……少し照れるね」

ゆり 「……そうね」

ふたば 「?」

ふたば 「何でお姉ちゃんたちが照れるの?」

つぼみ 「あ……」

えりか 「あ、あははははは……」

ふたば 「???」


30:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 13:19:50.84 ID:caPyoPm60
――…………ガチャッ……

みずき 「つぼみー?」

つぼみ 「あっ、お母さん。何ですか?」

みずき 「ちょっと頼まれてもらってもいいかしら? お店のお花の配置を変えたいの」

つぼみ 「分かりました。すぐに行きますね」

みずき 「ん。ありがとう、つぼみ」

つぼみ 「……と、いうことなので、皆さん、ちょっと待っててくださいね」

みずき 「ごめんなさいね、せっかくふたばの相手をしてもらってるのに、お構いもできなくて」

ゆり 「いえ、そんな。お気になさらずに」

ゆり 「……あの、もしよければ、なんですけど」

みずき 「? 何かしら?」

ゆり 「私もお手伝いさせてもらってもよろしいですか? お店のお仕事」

みずき 「あら、いいの?」

ゆり 「はい。是非」

ふたば 「あっ……ふたばもやるー!! お手伝いするー!」


31:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 13:20:33.61 ID:caPyoPm60
いつき 「はは……昔を思い出すなぁ。僕も手伝ってもいいですか?」

えりか 「あたしもあたしもー! 昔はみんなでよくお店のお手伝いしたよねぇ」

みずき 「あらあら、そうだったわね……じゃあ、頼んじゃおうかしら」

つぼみ 「皆さん……ありがとうございます」

ゆり 「いいのよ。やらせてもらいたいだけなんだから」

つぼみ 「ふたばも、ありがとう」

ナデナデ

ふたば 「えへー」

つぼみ 「お手伝いが終わったら、お外に遊びに行きましょうか?」

ふたば 「ほんとに!? 行く! 行くー!」

えりか 「おお!! 楽しみ楽しみ!!」

いつき 「何でえりかがふたばちゃんより喜んでるのさ……」

つぼみ 「ふふ。じゃあ、まずお手伝いがんばりましょう!」

ふたば 「おー!!」


34:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 13:22:18.99 ID:caPyoPm60
つぼみ (砂漠の王・デューンがこの地球に襲来したあの事件から、もう六年が経ちました)

つぼみ (あのときお母さんのお腹の中にいたふたばももう六歳。来月に小学校入学を控えています)

つぼみ (わたしとえりかといつきは、20歳になり、大人の仲間入りを果たしました)

つぼみ (ちょっぴり寂しいけれど、くよくよなんかしていられません)

つぼみ (一足先に大人になっていたゆりも合わせたわたしたち四人は、もう子どもではないのです)

つぼみ (それぞれの夢に向かいながら、次の世代の子どもたちに夢を与える大人にならなければなりません)

つぼみ (……なんて、ちょっと格好つけちゃいました)

つぼみ (でも、本心なんですよ? ふたばみたいな子どもたちが笑っていられるような世界を作るために、)

つぼみ (わたし、がんばろうって思うんです!!)

つぼみ (……あ、そうそう、人々の心を見守るこころの大樹も、順調に育っているそうです)

つぼみ (たまにこちらにやってくるシプレたちの幸せそうな顔を見ていると、こっちまで幸せになってきます)

つぼみ (様々なひとが守り、育んできたこころの大樹。それをしっかりと次の子どもたちに託すために)

つぼみ (もうプリキュアじゃないけれど……子どもではなくなった、責任ある大人として)

つぼみ (こころの大樹のために、自分自身の心のために、自分の回りの人々の心のために)

つぼみ (わたしは、幸せに、精一杯生きています)


36:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 13:26:40.85 ID:caPyoPm60
………………公園

ふたば 「――――ターッチ!!」

いつき 「わっ……やったなぁ~~~~~!!」

ふたば 「きゃー! いつきお姉ちゃん鬼さんだー!」

いつき 「待て~~~~~~!!」

ゆり 「………………」 クスッ 「……ふたばちゃんを見ていると、なんかこっちまで幸せになってくるわね」

つぼみ 「ふふ。なんたってわたしの自慢の妹ですからね」 エッヘン

ゆり 「……そう、ね」

つぼみ 「……? ゆり?」

ゆり 「ううん、なんでもないわ」

ゆり 「……ところで、ようやく慣れてくれたようね」

つぼみ 「へ? ……ああ、ふたばですか? あの子は少し人見知りが激しいですからね」

つぼみ 「でも、えりかは元より、もういつきともゆりとも仲良くできるようになりましたね」

ゆり 「ふふ、本当に妹想いなのね、つぼみは。けど、違うわ」

つぼみ 「え?」


37:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 13:27:38.32 ID:caPyoPm60
ゆり 「ふたばちゃんのことではなくて、あなたのことよ」

つぼみ 「わたし……ですか?」

ゆり 「ええ。やっと私のことを 「ゆり」 って呼ぶのに慣れたみたいだから」

つぼみ 「あっ……そういえば、そうですね……」

つぼみ 「……わたしたちが高校を卒業するときでしたもんね」

ゆり 「ええ。私があなたたちに、名前を呼び捨てで呼んでって頼んだのよね」

ゆり 「……我ながら単純ね。あなたたちともっと仲良くなりたかったからって、そんなこと頼むなんて」

つぼみ 「でも、わたしたちは嬉しかったですよ? ゆりともっと仲良くなれる気がしたから」

つぼみ 「……最初の頃は、わたしはついつい 「ゆりさん」 って呼んじゃいましたけど」

ゆり 「ふふ。えりかなんて頼んだ次の瞬間から馴れ馴れしく呼んできたって言うのにね」

ゆり 「いつきもすぐに慣れてくれたし……」

つぼみ 「………………」

ゆり 「……けれど、あなたたち姉妹のそういうところ、私は好きよ?」

つぼみ 「え?」

ゆり 「人見知りといってしまえばそうだけど……裏を返せば、慎重で、礼節を重んじてるってことだから」


38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 13:28:20.94 ID:caPyoPm60
つぼみ 「あ……ゆりにそう言ってもらえると嬉しいです」

ゆり 「ううん。上から目線でごめんなさいね」

『コラァーーーー!!! つぼみ! ゆり! いつまで休んでんのさーっ!!』

『あたしみたいな美女ひとりでちびっ子と明堂院流準師範の相手なんかできないよーっ!』

つぼみ 「あっ……噂をすれば影、ですね」

ゆり 「影というよりは大声、だけれどね。まったく、えりからしいわね」

『えりかお姉ちゃんもうバテちゃったの?』

『まったく……せっかく僕らが遊んであげてるっていうのに、仕方ないお姉ちゃんだね』

『えりかお姉ちゃんは、仕方ないお姉ちゃんなの』

『なっ、何をーーーーーっ!! コラ待てーーーーーーーーー!!』

ドタドタドタ!! キャーーー!!! エリカガクルー!!! ゴラーーーー!!!

つぼみ 「……どっちが幼稚園児なんだか」 クスッ

ゆり 「さ、行きましょう、つぼみ。そろそろ本当にえりかがバテてしまうわ」

つぼみ 「そうですね。……ふふ、なんか、昔を思い出しますね」

ゆり 「そうね。あのときはこんなに平和な駆けっこではなかったけれどね」


39:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 13:30:02.65 ID:caPyoPm60
………………???

?? (………………)

?? (……ここは……)

?? (……わたし、は……)

?? (……くらい……)

?? (……つめたい……)

?? (……くるしい……)

?? (……こわい……)

?? (………………)

?? (……たす、けて……)

?? (……だれ、か……)

?? (……たすけて……)


40:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 13:30:56.26 ID:caPyoPm60
………………

えりか 「ぶっはぁ~~~」 パタッ 「さっすがに疲れたぁ~~~~」

いつき 「えりかは言うほど走ってないだろう? なまってるんじゃない?」

えりか 「だっ、誰が太ったかー!!」

つぼみ 「えりか、誰もそんなこと言ってませんよ」

えりか 「む……むむ……」

ゆり 「……太ったのね?」

えりか 「そこを突っ込むあたり、ゆりは本当に容赦ってモンがないよね!!」

ふたば 「? えりかお姉ちゃん太ったの?」

えりか 「ほらふたばが真似しちゃったじゃん!! うわーん!!」

つぼみ 「大丈夫ですよ。えりかは太ってません」 (むしろ出るトコ以外は痩せてて羨ましいです……)

えりか 「そ、そうだよね!? やっぱりつぼみは優しいから大好き!」 ダキッ

つぼみ 「わひゃあ!? い、いきなり抱きつかないでください!!」

えりか 「あー初々しい反応。いいねぇ。つぼみはいつまで経っても癒し系のままだねぇ」

えりか 「一緒にいると心が安らぐっしゅ……むふー」 ギューッ


41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 13:31:57.19 ID:caPyoPm60
いつき 「はは……えりかも、何年経っても変わらないよね」

えりか 「!? いつき、それは太ってないって意味!?」

ゆり 「性格が幼いままって意味よ」

えりか 「だからゆりはーーーーーー!!!」

ふたば 「えりかお姉ちゃんはこどものまま?」

えりか 「ふたばーーーーーー!!!」

ふたば 「きゃはっ、えりかお姉ちゃんお顔がまっかだよ?」

えりか 「まったくもう……!!」 プンプン

つぼみ 「ふふ、えりかったら」 クスクス 「あ……そういえば、ももかさんはお元気ですか?」

えりか 「え、もも姉? うん、元気らしいよー」 ピッピッ……

えりか 「……ほら、これ。あっちの写真だってさ。昨日送ってきた」

つぼみ 「はぁー……懐かしいですねー、花の都パリ……」 ポワーン 「また行きたいです……」

ゆり 「ももかったら、その写真、わたしにも送ってきたわよ。それ以外にもたくさん」

ゆり 「データ通信もタダじゃないっていうのに……よっぽどあっちでの生活が楽しいのね」

えりか 「友達たくさんできたー! ってしょっちゅう電話かけてくるもん。そりゃ楽しいでしょーさ」


42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 13:36:59.22 ID:caPyoPm60
いつき 「それにしても、相変わらずももかさんは綺麗だね。ヨーロッパのプロモデルさん……憧れちゃうよ」

えりか 「ぶーっ、いつきがそんなこと言うと嫌味にしか聞こえないよー」

いつき 「えっ? ち、ちょっと待ってよ。どういう意味?」

えりか 「そんなモデル体型してよく言うよ。大学のミスコンに出たって聞いたよー?」

つぼみ 「えっ? それ、本当ですか!?」

いつき 「なっ、なっ……! なんでそれをえりかが知ってるのさ!」

えりか 「えりかちゃんネットワークを舐めてもらっちゃぁ困りますなぁ明堂院さん」 ニヤニヤ

えりか 「……なーんてね。いつきの大学のHPに普通に載ってたよ?」

いつき 「あっ……もう! 出ないって言ったのに無理矢理出させられただけだよ! 本当だよ!?」

えりか 「いつきったら顔まっかにしちゃってかわいいー」

いつき 「え、えりか!!」

えりか 「にゃはは、冗談じょーだん。ごめんってばー」

ゆり 「……でも、満更でもないのではなくって? いつき」

いつき 「あ……あぅ……それは、まぁ……嬉しかったけどさ……」 モジモジ

つぼみ (照れてるいつき、相変わらず可愛いすぎです……)


43:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 13:38:03.03 ID:caPyoPm60
いつき 「で、でもでも、僕はえりかにも憧れてるんだよ?」

えりか 「えっ? あたしに!?」

いつき 「うん! えりか、背ちっちゃくて可愛いし……そのくせ……その……」

えりか 「? なに?」

いつき 「……その……//// 胸は……おっきいし……////」

えりか 「はぇ? おっぱい?」

いつき 「……////」

えりか 「………………」 ジトッ 「……いつきのえっち」 ボソッ

いつき 「!? ち、ちょっとえりか!! その言い方はないよ!!」

えりか 「………………」

いつき 「……ど、どうしたの?」

ムンズ

いつき 「わひゃっ!! え、えりか、そんな急に……///」

えりか 「………………」 ペタペタペタ 「……うん。たしかにこれは断崖絶ぺぱきゅ!!」

いつき 「誰が断崖絶壁だーーーーーー!!!」 ワナワナワナ!!!


45:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 13:39:42.91 ID:caPyoPm60
いつき 「ち、ちょっとはあるよ!! ちょっとは!! Aだけど!!」

つぼみ 「ど、どうどう……どうどうどう……」 (そんなわざわざ言わなくても……)

いつき 「フーッ!! フーッ!! フシャーッ!!」

えりか 「じ、冗談。じょーだんだよー。ちょっとはあったよ。ちょっとは」

いつき 「……まったくもう!!」

ふたば 「………………」 ペタペタペタ 「……ふたばも断崖絶壁です?」

つぼみ 「ふ、ふたばはいいんですよ! これから育ちますから」

つぼみ 「えりか!! ふたばの教育上よくないことを言わないでくださいっ!!」

えりか 「えへへへ……いつき、怒られてやんのー」

いつき 「怒られてるのはえりかだよっ!!」

ワーワーギャーギャー!!!

――――――ッ……ポン……ポポン……

つぼみ 「? あれ、ボール……?」

女の子 「あっ……ふたばちゃん?」

ふたば 「? あっ……」


46:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 13:40:39.49 ID:caPyoPm60
つぼみ 「ふたば? お友達ですか?」

ふたば 「う、うん。幼稚園の、お友達……」

女の子 「ふたばちゃん、こんにちは」

ふたば 「こ、こんにちは……」

いつき (? なんか一気に元気がなくなっちゃったな)

いつき 「……このボールは、君の?」 ヒョイ

女の子 「あ、うん。わたしの」

いつき 「じゃあ、はい」

女の子 「ありがとう!」 ペコリ

いつき 「ふふ、どういたしまして」

ふたば 「………………」

女の子 「……ふたばちゃん」

ふたば 「!? な、なに……?」

女の子 「あのね、あっちでね、みんなでボール遊びしてるの」

女の子 「よかったら、ふたばちゃんも一緒に遊ばない?」 ニコッ


48:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 13:41:09.31 ID:caPyoPm60
ふたば 「あっ……あの、その……わたしは……」

つぼみ 「それはちょうどいいですね。ふたば、せっかっくのお誘いですし、遊んできたらどうですか?」

ふたば 「あぅ……」 コクリ 「……うん。じゃあ、行ってくるね」

つぼみ 「はい、行ってらっしゃい」

女の子 「ん! みんなあんまりふたばちゃんと遊んだことないから、きっと喜ぶよ!」

ギュッ

つぼみ 「あっ……」

女の子 「いこ!」

タッ……トトトトトトト……

ふたば 「………………」

いつき 「……?」 (行っちゃった……なんか、ふたばちゃん不安そうだったな)

つぼみ 「………………」

いつき 「? つぼみ? 怖い顔して、どうかしたの?」

つぼみ 「えっ?」 ドキッ 「わたし、そんな顔してました?」

いつき 「う、うん……」


49:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 13:42:28.74 ID:caPyoPm60
つぼみ 「………………」

えりか 「つぼみ?」

つぼみ 「……ふたばは、わたしと同じように人見知りをする子ですから」

つぼみ 「幼稚園でも、もう年長さんだっていうのに、まだ仲良しができないみたいなんです」

つぼみ 「それがちょっと心配で……」

ゆり 「……それは……来月に小学校入学も控えているし、心配ね」

つぼみ 「はい……だから、友達と一緒に遊ぶことを覚えてもらいたくて……」

つぼみ 「ふたばが心配そうな顔をしているのは分かっているんです。不安だってことも」

つぼみ 「けど、いつまでもわたしたちが遊んであげられるわけじゃないから……」

つぼみ 「わたしも辛いけど、ふたばが頑張らないといけないことだから」

えりか 「……そっか。つぼみは偉いね。ちゃんとお姉さんしてる」

つぼみ 「そ、そんなことないですよ……。それに、わたしは信じてますから」

つぼみ 「ふたばのことを。それから、わたしのように、ふたばの前にも親友が現れてくれることを」

つぼみ 「……ね? 転校初日にわたしのことを引っ張り回してくれた、大親友さん?」

えりか 「あっ……あははは……その節はどうもご迷惑を……」


50:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 13:43:22.79 ID:caPyoPm60
つぼみ 「そんなことないですよ。わたしが変わるきっかけを作ってくれたのはえりかなんですから」

えりか 「そう? ……えへへへへ。照れちゃうなー」

いつき 「そういえば、僕もファッション部がなければ……えりかがいなかったら変われなかっただろうな」

いつき 「えりかが無理矢理にでも引っ張ってくれたから、僕も変わるきっかけを掴めたんだと思うよ」

えりか 「え……///」 パタパタ 「あ……あはははは、おだてても何もでないよー?」

ゆり 「……そうね。誰とでもすぐ仲良くなろうと努力して、その相手を変えていく」

ゆり 「それはももかにはない、あなただけの魅力よ、えりか。誇りなさい」

えりか 「も、もうっ! ゆりまでおだてるんだから……////」

えりか 「ま、まぁこの世紀の美少女・来海えりかの溢れるオーラなら仕方ないっしゅ!」

いつき 「……まぁ、その子どもっぽい照れ隠しが全部をぶち壊してるんだけどね」 ハァ

つぼみ 「まったくです……」 ハァ

えりか 「なっ……何をーーーーーーー!!!」

ゆり 「まったく。あなたたちのその奔放さが羨ましいわ……」 ファサッ……

えりか 「ぐっ……」 (しかし真にもも姉の魅力に抗える人材は……)

いつき (この綺麗なお姉さんポジションを地で行くゆりしかいない……)


51:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 13:44:39.77 ID:caPyoPm60
つぼみ (ゆりは相変わらず綺麗ですよねー……いいなぁ……)

ゆり 「? みんなどうかしたの?」

えりか 「ううん。なんでもないよー」 ピコーン 「あっ……!」

つぼみ (また何かよからぬコトを思いつきましたねえりか……)

えりか 「そ、そういえばさ、ゆり! ひとつ聞きたいことがあるんだけどさ!」

ゆり 「何かしら?」

えりか 「その後ハヤト君とはどうなったの?」

ゆり 「っ……!? い、いきなりにゃっ、にゃにを!! 何を言い出すのえりか!!」

つぼみ (今 “にゃっ” って言いましたね……かわいい)

えりか 「ねえー、教えてよゆりぃー」

ゆり 「ど、どうなったって……ど、どうもにゃってにゃいわよ!!」

つぼみ (でも何でネコなんでしょう……?)

えりか 「付き合うまではいったんだよねー? さささ、どこまでいったのか白状しなさい」

ゆり 「どこまでって……べっ、べつに……なんにもないわよ」

いつき 「……ぷっ……ははははは」


52:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 13:45:55.80 ID:caPyoPm60
つぼみ 「? どうかしたんですか、いつき」

いつき 「いやね……全部知ってる身としては見てて面白いな、ってさ」

ゆり 「!? ま、まさかいつき! ハヤト君から何か聞いて……!?」

いつき 「ま、一応僕は彼の “先生” だからね」

つぼみ 「あ……ハヤト君、中学校に入ってすぐ明堂院流の門下生になったんでしたっけ?」

いつき 「うん。スジはいいし、まだ入門して四年目だけどめきめき上達してるよ」

ニヤニヤ

いつき 「なんたって、入門理由が 「年上の綺麗なお姉さんを守りたい」 だもんね。妬けちゃうよ」

ゆり 「い、いつき!!」

えりか 「で? で? いつきはハヤト君からどんな話を聞いたのさ!?」

いつき 「……言っちゃっていいのかなぁ。ま、いっか」

ゆり 「よ、よくないわよ!!」 ガバッ

いつき 「わっ……あはははは、冗談だよ、ゆり。そんなことハヤト君が教えてくれるわけないじゃない」

ゆり 「あっ……/// いつき!!」

いつき 「ハヤト君は真面目で優しい子だからねぇ。ゆりが嫌がることは絶対やらないだろうし」


53:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 13:47:42.87 ID:caPyoPm60
えりか 「……でもでも、ゆり、正味な話さ」

ゆり 「な、なによ……急に改まって」

えりか 「……キスぐらいはさせたげなよ?」

ゆり 「………………」 ボソッ 「――た、わよ……」

えりか 「えっ? なになに?」

ゆり 「し……したわよ! 触れるくらいなら……////」

つぼみ 「あぅぅ……///」

ゆり 「こ、これで満足でしょ!? あなたたちこそどうなのよ!」

えりか 「あたしたち?」

ゆり 「恋人でもできた? って話よ」

えりか 「………………」 プハッ 「はははは……できるわけないじゃんそんなのー」

えりか 「ゆりと違って想いを寄せてくれる近所の男の子なんていないからねーあたしには」

えりか 「専門学校もアパレル系だから女の子ばっかりだし、出会いも何もありゃしないよ」

えりか 「……ちなみにつぼみは?」

つぼみ 「え……ええっ!? わたしですか!?」


56:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 13:51:44.29 ID:caPyoPm60
つぼみ 「そんなのいるわけないじゃないですか……」 ショボーン

えりか 「でも、大学って男の子たくさんいそうだけど」

ゆり 「わたしとつぼみは専攻が植物学だから。男性と女性が半々くらいよ」

ゆり 「まぁ、さすがにわたしの在籍している修士課程は男性ばかりだけれど」

えりか 「いないの? 気になる男のひととか」

つぼみ 「……残念ながら、“良いな” って思った殿方はみんな恋人さん持ちです」

えりか 「あー……つぼみって面食いだもんねぇ……」

つぼみ 「そ、そこまでじゃないですよ!!」

えりか 「いつきはー? ミスコンに出るくらいだし、彼氏できたー?」

いつき 「はは……そんなの考えたこともなかったな。できてないよ」

つぼみ 「いつきは教育学部ですよね? なんだかんだで出会いも多そうですけど」

いつき 「それが……僕は家庭科専攻で、回りが女の子ばっかりだから」

えりか 「……なるほど。それで女の子に告白されまくりで困っていると」

いつき 「!? 何で分かったのえりか!?」

えりか 「中高と一緒なんだからいい加減分かるっしゅ」 ハァ 「変わらないねぇあたしたちも」


59:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 13:52:05.73 ID:caPyoPm60
つぼみ 「………………」

いつき 「………………」

えりか 「………………」

ズゴーン

つぼみ 「……わたしたち、このまま恋人もできず、結婚もできず……」

いつき 「ひとり寂しく歳を取っていくのかなぁ……」

えりか 「や、やだよそんなの! 頑張ろうよ!!」

ゆり 「……そう焦るものでもないでしょう」

つぼみいつきえりか 「「「ゆりが言うと嫌味にしか聞こえないよ!!」」」

ゆり 「そ、そうかしら……?」

えりか 「くそーーーー!! ゆりなんて児童なんたら法で逮捕されちゃえー!!」

ゆり 「あら、やましいことは何一つないから関係ないわ」

えりか 「むきーーーーーー!!!」

えりか 「もういい!! いつき、つぼみ!! 合コン!! 合コンしようよ!!」

いつき 「……またいきなり変なことを言い出すんだから」


60:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 13:53:05.54 ID:caPyoPm60
えりか 「変なことじゃないよ! あたしら、花も恥じらう女子大生だよ?」

つぼみ 「えりかは女子専門学校生ですけどね……」

えりか 「細かいことはいいの! とにかく、合コンをしてみたいの、あたしは!」

いつき 「……? えりかしたことないの? てっきりそういうの慣れっこだと思ってたよ」

えりか 「……服作るのが楽しくて、ついついガラにもなく真面目に二年間を過ごしてしまいました」

つぼみ 「いや、そんな反省してるみたいに言わなくても……」

いつき 「と言ったって、僕も行ったことないしなぁ……つぼみは?」

つぼみ 「……あるわけないじゃないですか……」 ズゴーン

えりか 「ゆりは……ないよね。ハヤト君がいるもんね……」

ゆり 「まぁ、そうね」

えりか 「……花も恥じらう美少女女子大生集団が……合コンのゴの字も知らないなんて……」

ゆり 「わたしは大学院生だけれどね」

えりか 「だから細かいことはいいんだってば!!」

えりか 「合コンしたい合コンしたい合コンしてみたいよーーーー!!」

ゆり 「……まったくもう……」


61:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 13:53:49.91 ID:caPyoPm60
………………

女の子 「ふたばちゃん、いくよー!」

ポーン

ふたば 「あわ、あわわわわ……」

トトトトト……トテッ

ふたば 「あうっ……」

男の子1 「わっ……ふたばちゃん、大丈夫?」

ふたば 「あ……あう……だ、大丈夫、だよ……」 (痛い……)

男の子2 「うわ、痛そう……お家帰る?」

ふたば 「あう……う、うん……そうする」

女の子 「……大丈夫、ふたばちゃん? おうちまで一緒に行こうか?」

ふたば 「だ、大丈夫だよ。あっちに、お姉ちゃんたちがいるから……」

女の子 「そう……?」

ふたば 「う、うん……」 トテトテ 「じゃ、じゃあね、また、明日、幼稚園でね」

女の子 「あ……う、うん……ばいばい、ふたばちゃん」


62:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 13:54:26.97 ID:caPyoPm60
ふたば 「………………」

トテトテトテ……

ふたば (あ……ありがとうって、言えなかった……)

ふたば (誘ってくれてありがとうって……また、遊ぼうねって……言えなかった)

ふたば (ダメだよ。わたし、悪い子だよ……)

ジワッ……

ふたば (嫌われちゃうよ。嫌な子だって思われちゃうよ。わたし……)

ふたば (うぅ……)

グスッ……

――――――キャッキャ……ウフフ……

ふたば (あ……お姉ちゃん……)

つぼみ 「……――――……」 ニコニコ

えりか 「……――――……」 ギャーギャー

いつき 「……――――……」 マァマァ

ゆり 「……――――……」 ヤレヤレ


63:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 13:55:12.66 ID:caPyoPm60
ふたば 「………………」

ふたば 「……お姉ちゃん……」

ふたば 「………………」 クルッ 「……邪魔しちゃ、ダメだよね」

ふたば 「お姉ちゃん、えりかお姉ちゃんたちと、楽しくお喋りしてるんだもん」

ふたば 「わたしが一緒にいたら、邪魔になっちゃうよね」

ふたば 「………………」

ふたば 「……このままおうちに帰っても、お仕事で忙しいお母さんの邪魔になっちゃうし」

……トテトテトテ

ふたば (……わたしも、お姉ちゃんみたいになりたい)

ふたば (お姉ちゃんみたいに明るく、積極的に……なりたい)

ふたば (でも、無理だよね……わたしは “ふたば” だもん。“つぼみ” じゃない)

ふたば (どんなに頑張ったって……わたしは花を咲かせることはできないんだから……)

ふたば (葉っぱは葉っぱ。お花にはなれない。わたしは、お花にはなれないんだ)

ふたば 「……っ」 グスッ (“あそこ” に行こう……)


64:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 13:56:09.21 ID:caPyoPm60
………………明堂院流道場

さつき 「………………」

ハヤト 「………………」

ハヤト (……この間合いなら……いける……!!)

スッ――――――ッダン!!!

ハヤト 「――――うぉぉぉぉおおおおおおおおお!!!」

さつき 「………………」 カッ 「……っはぁ!!!」

ハヤト 「……ッ!?」 (師範代が、消え……――ッ!!!?)

――――――――ッッッダンンンン!!!!

ハヤト 「がっ……!!」

熊本 「……そこまで!!」

さつき 「………………」 フゥ 「……大丈夫かい?」 ニコッ

ハヤト 「あ……だ、大丈夫です。すみません!!」

熊本 「……礼」

「「ありがとうございました!!」」


65:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 13:57:14.97 ID:caPyoPm60
ハヤト (すごい……師範代が消えたと思った次の瞬間には、床に叩きつけられていた)

さつき 「いやぁ。様になってきたね。思わず本気で投げ飛ばしてしまったよ」

さつき 「そのまま僕や熊本さん、それから準師範も超えられるくらい強くなってくれよ」

ハヤト 「そ、そんな恐れ多い……!! さつき師範代や熊本師範代に勝つなんて……そんなそんな」

熊本 「自分で無理だと思っているうちは絶対に為し得ないぜよ?」

熊本 「守りたいものがあるから強くなりたいと思ったのだろう?」

ハヤト 「あっ……」 グッ 「……がんばります。いつか、絶対に追いつき、追い越します」

ハヤト 「ずっと、助けてもらってたから。守ってもらってたから」

ハヤト 「……今度は俺が守る番。だから……俺、もっと強くなります!!」

熊本 「うむ。良い返事ぜよ。強くなりたい理由があるのなら、精進するぜよ」

ハヤト 「はい! まずは諸先輩方に追いつけるよう、全力でがんばります!!」

熊本 「応。そうするぜよ!」

さつき 「そうだね。一緒にがんばろう」 ニコッ 「それじゃ、今日の個人稽古はおしまいだ。お疲れ様、ハヤト君」

さつき 「午後の “子ども道場” が始まるまで休んでて。午後は組み手の見本になってもらうからね」

ハヤト 「は、はい! ありがとうございました!! 午後も誠心誠意努めさせていただきます!!」


66:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 13:58:48.88 ID:caPyoPm60
………………明堂院宅

さつき 「……師範代業も大分板についてきましたね、お互い」

熊本 「とんでもない。さつき殿はともかく、自分はまだ未熟じゃきぃ」

さつき 「そんなことはないんじゃないかなぁ。ハヤト君も熊本さんの言葉に何かを感じたようだったし」

熊本 「……自分の言葉で、若人の心を動かせたのなら、それは喜ばしいことじゃきぃ」

さつき 「ふふ。そうですね」

熊本 「それにしても、今日の手合いはお見事だったぜよ。あの瞬間の動きは、自分も目で追えなかった」

さつき 「そんな、熊本さん、おだてたって何も出ませんよ」

熊本 「いや、謙遜するものではないぜよ。やはり、自分はまださつき殿には勝てん」

熊本 「自分はもっと強くならなければならんじゃきぃ……もっと……もっと……」

さつき 「……あの、熊本さん。ひとつ聞いてもいいですか?」

熊本 「? なんなりと」

さつき 「熊本さんは、どうしてそんなに強くなりたいんですか?」

熊本 「どうして……? 強くなりたい理由……」

熊本 「……そんなもの、強くなりたいからに決まっているぜよ。他に理由など必要ないじゃきぃ」


73:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 14:27:32.57 ID:caPyoPm60
熊本 「――と、ここに来る前の自分だったら、そう言っていたぜよ」

さつき 「え……?」

熊本 「正直な話、自分にもよく分からんぜよ」

熊本 「……だが、心の奥底にひとつ、凜とした声が響いているじゃきぃ」

さつき 「凜とした声……?」

熊本 「『あんたは何で強くなりたいの?』 ……そう、自分に問いかける声が」

さつき 「………………」

熊本 「理由は分からん。だが……自分は、その声を思い出すたび、安心するぜよ」

熊本 「きっと、その声の主に、自分は助けられた……そんな気がするぜよ」

熊本 「だから……自分は、あの声の主に恥じぬように、強く生きたい。だから、強くなりたい」

熊本 「そして願わくは、あの声の主に恩返しがしたい……そのために、強くなりたいんぜよ」

さつき 「……なるほど。よく分かりました」

熊本 「申し訳ないぜよ。意味の分からない解答になってしまって……」

さつき 「とんでもない」 ニコッ 「……だって、僕も似たようなものですから」

熊本 「……?」


74:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 14:28:43.67 ID:caPyoPm60
さつき 「僕も、とっても明るい声に助けられたんです」

さつき 「まるで、お日様のような……太陽のような、明るい声」

さつき 「あの声の主のおかげで、僕は自分の弱さと向き合えた」

さつき 「心配してくれる家族とも向き合えた。勇気を出して手術を受けることができた」

さつき 「弱虫だった自分と向き合えた。……少しだけ、けれど、たしかに、強くなった」

さつき 「だから、僕もあの声の主に恥じないように、がんばりたいんです」

さつき 「もっと……強く、なりたいんです」

さつき 「そして僕も願わくは……いつか、あの子に恩返しができたらって」

さつき 「そんな風に、思ってるんです」

熊本 「さつき殿……」

さつき 「……まぁ、そんなこと言って、まだ妹にも勝てないんですけどね」 クスッ

熊本 「うっ……それを言われると自分も弱いぜよ」

熊本 「……いつき準師範はあんなにお綺麗なのに、何であんなにお強いのぜよ……不思議じゃきぃ」

さつき 「あの子は……いや、あの方は小さい頃から鍛錬を怠っていませんからね」

さつき 「並大抵の努力じゃ追いつけません」


75:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 14:29:23.63 ID:caPyoPm60
熊本 「………………」

ウズウズウズ……

熊本 「さ、さつき殿!!」

さつき 「………………」 クスッ 「……ええ、存分にお付き合いしますよ。僕も同じ事を考えていました」

さつき 「ハヤト君の若い真っ直ぐさに当てられたかな。強くなりたくてたまらない」

さつき 「師範代同士、午後まで道場で鍛錬に励みましょう。秘密特訓です」

熊本 「応! さすがはさつき殿ぜよ!」

さつき 「いい加減、準師範の座を奪い取って、いつきを安心させてあげなくちゃなりませんからね」

熊本 「む……ならばその役目、この熊本が代わって差し上げてもよろしいが」

さつき 「はは……負けませんよ? 熊本さん」

熊本 「望むところじゃきぃ、さつき殿!」

タタタタタタタ……

つばき 「……はぁ。まったく、男の人は元気ね」

厳太郎 「良きかな良きかな。あれでこそ明堂院流の師範代だ。儂が引退する日も近いかのう」

つばき 「無理しないといいですけど」 クスッ


76:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 14:30:16.97 ID:caPyoPm60
………………希望ヶ花市 チャペル

?? 「――美しい!! 素晴らしい!!!!」

花嫁 「あ……ど、どうもありがとうございます……」

?? 「いやぁ……さすが僕。美しさが生地の繊維にまで行き届いている……」

?? 「ここまで素晴らしいウェディングドレスはそうはない……うん。素晴らしい!!」

花嫁 (……たしかに綺麗で素敵なドレスだけど……)

花嫁 (馬子にも衣装になってないかしら……私、きちんと着こなせてるのかな……)

?? 「うん……本当に綺麗だ。素晴らしい。最高だ!」

花嫁 「………………」

?? 「……そう、僕が一から仕立てたワンオフのウェディングドレスもさることながら、何より!!」

ビシィ!!!

花嫁 「!」 ビクッ

?? 「今日の主役たるアナタが!! 幸福の真っ直中にいるアナタが!! 何よりも美しい!!!」

花嫁 「えっ……?」

?? 「世界広しといえど……この僕のウェディングドレスを華麗に着こなせるのは、アナタだけでしょう」


77:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 14:31:13.26 ID:caPyoPm60
花嫁 「そ、そうでしょうか……きちんと、綺麗でしょうか……?」

?? 「当たり前です!! ほら、見てください!!」

サッ

花嫁 「あっ……これが、私……? なんか、以前に試着したときと、雰囲気が……」

?? 「それはそうでしょう。本日はあなたの結婚式。こころが幸せに打ち震える日」

?? 「ならばあなたの美しさが最高潮に高まるのは必然!! ああ……美しいですよ」

花嫁 「あ……////」 グッ 「ありがとうございます!! 私、なんか自信が出てきました!」

?? 「それは良かった。僕は元より、そのドレスも、きっと喜んでいます」

花嫁 「あなたにウェディングドレスの依頼をして良かった……えっと……」

?? 「……以後お見知りおきを、美しい花嫁様」

ペコリ

?? 「人呼んで、美と心の狩人……コブラージャ――」

花嫁 (あ、やっぱり変な人……)

?? 「――本名は古布 (こぶ) と申します」

花嫁 「あ、名前は普通なんですね」


79:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 14:32:02.92 ID:caPyoPm60
………………チャペル外

古布 「……感激してくれた花嫁からこの後始まる式の飛び入りの招待状までもらってしまった」

古布 「会社も出席を快くオッケーしてくれたし……緩いなぁ」

古布 「……ずっと夢で見ていたあの組織とはすごい違いだ、いや、ある意味あの組織も緩かったが」

古布 「………………」

古布 「しかし、あの花嫁は本当に綺麗だった。人とは……人の心とは、あんなにも美しくなれる」

古布 「……教えて、もらったんだよな。六年前、夢の中で」

古布 「僕は、あの美しい、金色に輝く女の子に、救ってもらったんだ」

古布 「人の心の美しさ。それを素直に美しいと思うこと……みんな、彼女が教えてくれたんだ」

古布 「だから僕は、僕の全てを賭してでも、この世界に生きる人々の美しい心を守る」

古布 「そして、その心をなお美しく……幸せ色に輝かせられるような服を作る」

古布 「……それが、美しい僕の義務。美しい僕に与えられた仕事」

古布 「ふふ……ふははははははははは!!!!」

子供 「……? ママー、あのひと大声で笑ってるよー?」

ママ 「しっ……見ちゃいけません」


80:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 14:32:50.37 ID:caPyoPm60
………………

ふたば 「………………」

トボトボトボ……ハァ……

ふたば 「………………」

?? 「……んう? あら、ふたばちゃんじゃなーい?」

ふたば 「ふぇ?」

?? 「日曜日に会うなんて奇遇ねぇ。こんにちは」

ふたば 「あ……佐曽(さそ)先生。こんにちは」

佐曽 「やぁねぇ、ふたばちゃん。気軽にりな先生って呼んでよぉ」 クネクネ

ふたば (……この先生、苦手)

ふたば (とっても優しいんだけど、なんか……)

佐曽 「あらやだ!! ふたばちゃんそれどうしたの!?」

ふたば 「え……?」 (あっ……怪我……)

佐曽 「あらあらまぁまぁ、痛そう……こけちゃったの?」

ふたば 「あ……う、うん……」


81:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 14:34:52.09 ID:caPyoPm60
………………佐曽宅

佐曽 「うちが近くで良かったわぁ。これで大丈夫よ」 ニコッ

ふたば 「あ……う、うん……ごめんなさい」

ふたば (結局、そのまま連れて行かれて手当てまでされちゃった……)

佐曽 「いいのよぉ。ふたばちゃんは先生の大事な大事な教え子なんだからぁ」

ふたば 「で、でも……先生、お出かけの途中だったんじゃ……」

佐曽 「そんなこと子どもが気にしなくていいのよぉ。先生はふたばちゃんたちのためにいるんだから」

佐曽 「ね?」

ふたば 「う……うん……」

佐曽 「………………」 (花咲ふたばちゃん……この子は、園児の中でも群を抜いて人見知りをする)

佐曽 (三年間見てきた限りでは、発達障害などは皆無……)

佐曽 (幼稚園で色々とやってきたつもりだけれど、難しいわねぇ)

佐曽 (私も幼児理解がまだまだ足りないなぁ……)

佐曽 (……ううん、まだよ。まだ諦めるのは早いわ)

佐曽 (嫉妬や僻み、寂しさに囚われていたあのときとは違う。今の私は先生)


82:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 14:35:52.25 ID:caPyoPm60
佐曽 (ふたばちゃんのために、まだやれることがたくさんあるはずよ……がんばるのよ、佐曽りな!!)

佐曽 (あのときのように……あの、夢の中でわたしを救ってくれた四人の女の子たちのように)

佐曽 (……そして、いがみ合いながらも、私を手助けしてくれた、あの二人のように)

佐曽 (私はもうひとりじゃない。そして、助けられる側でもない)

佐曽 (あと一月もないけれど……ふたばちゃんのために、できることをやらなくっちゃ!!)

ふたば 「先生……?」

佐曽 「あっ……ごっめんなさぁい! 先生、少し考えごとしちゃってたわぁ」

佐曽 「……さ、ふたばちゃん、お家まで送るわ。行きましょう?」

ふたば 「あっ……で、でも……」

佐曽 「子どもが遠慮なんてしないの。私は、ふたばちゃんのことが好きだからそうしたいのよぉ」

佐曽 「だからこれは私のわがまま。付き合わせちゃってごめんなさいねぇ、ふたばちゃん」

ふたば 「……あ、う、うん」 (やっぱり、とっても良い先生。きっと、わたしは、この先生のことが、好き)

ふたば (けど、伝えられないよ。怖いよ。わたし、お礼も言えてないのに……)

佐曽 「さ、行きましょう」

ふたば 「あっ……」


83:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 14:36:30.29 ID:caPyoPm60
佐曽 「? ……もしかして、どこか行くところがあったかしら?」

ふたば 「えっ……? あ、そ、そうじゃ、なくて……ううん、そうじゃなく、ないんだけど……」

ふたば (お礼……)

佐曽 「?」

ふたば 「あ……あの……その、……おばあちゃんのところに、行く、途中、だったの」

佐曽 「おばあちゃん……ああ、ふたばちゃんのおばあちゃんは植物園の園長さんをしていらっしゃるのよね」

ふたば 「う、うん……その、植物園に、行く途中で……」

佐曽 「そうだったの。じゃあ、植物園まで送っていくわ」

ふたば 「あ……う、うん……」

トコトコトコ……

ふたば (……お礼、言えてない。また、言えない。わたし……)

ふたば (……わたし、ダメな子だ) シュン

佐曽 「………………」 ニコッ 「……伝わっているから、大丈夫よ? 安心して」

ふたば 「えっ……?」

佐曽 「ふたばちゃんが言いたいこと、分かるから、そう自分を責めないで」


91:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 15:09:25.33 ID:caPyoPm60
ふたば 「……なん、で?」

佐曽 「ふたばちゃんは優しい子だもの。そんな子の考えてることなんて先生にはお見通しよぉ?」

クスクスクス

ふたば 「あうぅ……」

佐曽 「……不思議なものでね、心って、そのままじゃ相手には伝わらないの」

佐曽 「けれど、私たちには “言葉” っていうものがあるの。それを使えば、心を伝えられるのよ」

ふたば 「………………」

佐曽 「だから、今度は、その気持ちを相手に伝えられるようにがんばりましょう?」

ふたば 「……うん!」

ギュッ

ふたば 「りな先生!」

佐曽 「はい、何かしら?」

ふたば 「あり、がとう!!」

佐曽 「ん。どういたしまして」 ナデナデ 「よく言えたわねぇ。偉いわぁ」

ふたば 「う……うん!」


92:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 15:11:06.84 ID:caPyoPm60
………………こころの大樹

コフレ 「……うん。今日もこころの大樹は順調に育ってるですね」

シプレ 「みんなのこころの花がしっかりと咲いている証拠ですぅ」

ポプリ 「………………」 ソワソワソワ

コフレ 「? ポプリ、どうかしたですか?」

ポプリ 「!? ど、どうもしてないでしゅよ!?」

コフレ 「………………」 ジーッ 「……怪しいですっ」

ポプリ 「ぎくっ」

シプレ 「ポプリぃ~~~~~?」

ポプリ 「な、なんでもないでしゅー!! ポプリ何もしてないでしゅ!」

?? 「――あ、いたいた。ポプリ先輩、言われてたもの、用意できましたけど……って」

?? 「……? どうかしたんですか? コフレ先輩、シプレ先輩」

ポプリ 「あ、バニラ!!」 ピューン!!! 「バニラ、ポプリを助けるでしゅ! かくまうでしゅ!」

バニラ 「えっ? えっ? えっ? ……どういうことです?」

コフレ 「バニラ! おとなしくポプリを渡すです!!」


94:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 15:13:46.25 ID:caPyoPm60
バニラ 「えーっと……話が読めないんですが……」

シプレ 「……? ところでバニラ、そのふろしきは何ですぅ?」

バニラ 「あっ、これはポプリ先輩に頼まれて用意しておいたキュアフルミッむぐぅ!!?」

ポプリ 「バニラ!! しーっ! しーでしゅよ!! ナイショなんでしゅ!!」

バニラ 「そ、そうなんですか……? 僕はてっきりコフレ先輩たちもご存知なのかと……」

コフレ 「ポプリーーーー!!! 今度は一体何を企んでいたですか!!」

コフレ 「というか!! いくら先輩だからって、後輩のバニラをいいように使うなですっ!!」

バニラ 「いえ、いいんですよ、コフレ先輩。僕は生まれたばかりの妖精ですし」

バニラ 「先輩方のお役に立てるのなら、どんなことでもしたいですから」

コフレ 「そういう問題じゃないですっ! バニラは優しすぎなんですっ!!」

シプレ 「それにしっかりしすぎですぅ。だからポプリが甘えたさんになっちゃうですよ」

バニラ 「あ……それは、申し訳ありません……」 シュン

コフレ 「それはともかくとしてポプリ!!」

ポプリ 「あう……あうぅ……」 ブワッ

コフレ 「話はしっかりと聞かせてもらうですからねっ!!」


95:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 15:15:44.61 ID:caPyoPm60
………………

ポプリ 「……と、いうわけなんでしゅ」

コフレ 「………………」 ハァ 「……なるほど」

シプレ 「………………」 ハァ 「……よくわかったですぅ」

ポプリ 「分かってくれたでしゅ?」

コフレ&シプレ 「「馬鹿ポプリーーーーーーーーーーー!!!!」」

バニラ 「わっ……! み、耳が……」 キーン

ポプリ 「あー……うー……」 グワングワン 「目が回るでしゅー……」

コフレ 「ポプリ!! 目を回してないでしっかり話を聞くですっ!!

ポプリ 「は、はいでしゅー……」

シプレ 「いつまで甘えたさんでいるつもりですか! ポプリは!!」

シプレ 「――勝手に希望ヶ花市に行こうだなんて……許されませんですぅ!!」

ポプリ 「あぅぅ……」

コフレ 「それにキュアフルミックスまで持っていこうとするなんて……ピクニックですか!!」

バニラ 「あ、あの……シプレ先輩、コフレ先輩……そのくらいにしてあげた方が……」


96:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 15:20:24.02 ID:caPyoPm60
コフレ 「バニラは静かにしてるですっ! そこで甘やかすからポプリが甘えちゃうんですっ!」

バニラ 「す、すみません!」

シプレ 「……ポプリ」

ポプリ 「は、はいでしゅ」

シプレ 「ポプリも少しはバニラを見習うです。バニラは全然悪くないのに、こうして反省してるですぅ」

シプレ 「ポプリは、こんなに真面目な後輩を誤魔化して、悪いことしたんですよ?」

ポプリ 「あう……その通りでしゅ」

ポプリ 「……でも……でも」 ウルッ 「……ポプリは久しぶりにいちゅきたちに会いたいでしゅ」

ポプリ 「シプレとコフレは違うでしゅか……?」

コフレ 「そっ……そんなわけないですっ。コフレもシプレも……会いたいです」

シプレ 「……けどですね、ポプリ。私たちは妖精ですぅ。こころの大樹を見守るのがお仕事です」

シプレ 「せっかくプリキュアたちが守ってくれたこころの大樹を放っていくわけにはいきませんです」

ポプリ 「……はいでしゅ。ポプリも、こころの大樹は心配でしゅ」

コフレ 「一年に一度は会ってるじゃないですか。僕たちも辛いけれど、それで我慢ですっ」

ポプリ 「………………」 コクン 「……はいでしゅ。ポプリが悪かったでしゅ。ごめんなさい、シプレ、コフレ」


97:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 15:23:07.19 ID:caPyoPm60
コフレ 「分かればいいですよ。……でも、ポプリはもうひとり謝らなきゃいけないですよ?」

ポプリ 「あっ……そうでしゅね……」

バニラ 「?」

ポプリ 「バニラ……騙してごめんなさいでしゅ。ポプリ、バニラに悪いことしてしまったでしゅ」

バニラ 「えっ……? いや、そんなの気にしないでください」

バニラ 「コフレ先輩もシプレ先輩も、それからポプリ先輩も、僕の憧れの先輩ですから」

コフレ 「バニラ……?」

バニラ 「……最強のプリキュアたちを生み出した、四人の妖精……それは、僕の憧れですから」

バニラ 「だから何なりと申しつけてください。喜んで何でもします」

シプレ 「………………」 ハァ 「……バニラはバニラで、実は手のかかる後輩ですぅ」

コフレ 「何でも……じゃあ、ちょっと僕の分のキュアフルミックスを取ってきてもらっていいですか?」

バニラ 「分かりました! すぐに取ってきます!!」 ピューン!!

コフレ 「………………」 ニヤリ 「……これは便利です」

シプレ 「……?」 ハッ 「こらコフレっ!!!! 後輩をパシリにしちゃだめですぅ!!!」

ポプリ 「……やれやれ。コフレはどうしようもないでしゅね」


100:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 15:26:11.77 ID:caPyoPm60
………………植物園

薫子 「――わざわざすみませんでしたね、りな先生。ありがとうございます」

佐曽 「とんでもないですわぁ。私はふたばちゃんの先生ですもの」

ニコッ

佐曽 「それじゃ、ふたばちゃん、お母さんとお父さんにもよろしくね。また明日」

ふたば 「あ……う、うん! 今日は、ありがとう! また……また、明日!」

佐曽 「ん」 スッ 「……それでは、失礼いたしますわぁ」

薫子 「はい。本当にお世話をおかけしました」 ペコリ

テクテクテク……

佐曽 「ふたばちゃんは、幼稚園の子たちと公園で遊んでたって言ってたわよね……」

佐曽 「………………」

佐曽 「……よし、今日のお出かけは取り止めよぉ」

佐曽 「これから公園に行って、さり気なくふたばちゃんのことを聞くとするわぁ」

佐曽 「これも、先生のお仕事だからねぇ」 グッ 「……がぜんやる気が出てきたわよぉ!!」

佐曽 「がんばるのよ佐曽りな。ふたばちゃんのために……!!!」


102:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 15:33:21.97 ID:caPyoPm60
………………園内

薫子 「……そう。お友達と話すときは、まだ緊張しちゃうのね」

ふたば 「……うん。何か分からないんだけど、気持ちを伝えられなくなっちゃうの」

ふたば 「今日も、“ありがとう” って、“また遊ぼうね” って……言えなかった」

薫子 「………………」 スッ……ナデナデナデ

ふたば 「あっ……」

薫子 「……そうね。でも、そういう風に思えるってことは、とても素敵なことなのよ?」 ニコッ

薫子 「ふたばも本当はその気持ちを伝えたい。けど、怖くて伝えられない」

薫子 「そんな風に悩めるのは、ふたばが優しくて、とても綺麗なこころの花を咲かせているからなのよ」

ふたば 「綺麗な……こころの花?」

薫子 「ええ。だから、今度はもう少しだけ勇気を出して……その心を、口に出してみましょうね」

ふたば 「……うん!! ふたば、明日からがんばるね!」

薫子 「ふふ。おばあちゃんはいつでも応援してるからね」

薫子 (さて、と……つぼみが心配しているといけないから、電話だけはいれておくとしましょうかね)

薫子 (可愛い孫を持つと苦労するわ。けれど、こんなに可愛くて心地良い苦労ならどんとこい、ってね)


103:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 15:35:29.58 ID:caPyoPm60
………………希望ヶ花市  商店街

? 「………………」

キョロキョロ

? 「……まいったな。迷ってしまったか」

? 「時間に遅れるなんて言語道断だからな……急がないと」

? 「………………」

? 「……希望ヶ花市、か。彼女が引っ越した先だよな」

? 「まぁ、関係ない。もう六年も前のことだしな」

? 「………………」

ブンブンブン

? 「いけないいけないいけない!! 我ながら女々しいな」

? 「今日は剣道の交流試合に来ただけだ。偶然の出会いなんて期待するな」

? 「……って、つまり期待してるんじゃないか、俺。ダメダメだな」

? 「えっと……場所は、私立明堂学園高等部道場……」

? 「……急ごう」


104:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 15:37:42.56 ID:caPyoPm60
………………公園

つぼみ 「……あ、そうですか……分かりました。はい……」

プツッ……ツー、ツー、ツー……

つぼみ 「………………」

えりか 「薫子さんから? 何だって?」

つぼみ 「ふたばが植物園に来たって。今は落ち着いてるから心配しなくていいって……」

いつき 「そっか……」

ゆり 「迎えに行きましょうか?」

つぼみ 「………………」 フルフル 「……いえ。今は、ふたばはきっとわたしに会いたくないでしょうから」

えりか 「!? 何でそんなこと言うのさーーー!? そんなわけないじゃん!!」

つぼみ 「いえ……ふたばは優しい子ですから。多分、これ以上わたしたちの邪魔をしたくなかったんだと思います」

えりか 「邪魔なんてそんな……わたしはふたばが一緒でも全然平気だよ!? むしろ一緒にいたいよ!」

つぼみ 「でも、ふたばはそう思ってません。わたしの想いを汲んで、自分でがんばろうとしてるんです」

つぼみ 「……わたしだって、手を差し伸べてあげたいです。ふたばを助けてあげたいです」

つぼみ 「でも、それはわたしの我が儘です。甘やかしです。だから……我慢するんです」


107:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 16:02:50.15 ID:caPyoPm60
えりか 「………………」 コクン 「……つぼみがそんなに深くふたばのこと考えてるなんて知らなかったよ」

えりか 「ごめん。勝手なことばっかり言って」

つぼみ 「いいんですよ。えりかがわたしやふたばのことを大事に想ってくれているのを知っていますから」

つぼみ 「ありがとう、えりか」

つぼみ 「……だから、ふたばが助けを求めてきたときは、協力してくれると助かります」

えりか 「あいあいさー!! もちろんっしゅ!!」

いつき 「僕も、教育学部生として、できる限り力になるよ」

ゆり 「私も、できる限り力を貸すわ」

つぼみ 「皆さん……ありがとうございます!!」

――prrrrrrr……

ゆり 「……? ちょっとごめんなさいね。電話だわ」

えりか 「はいはーい」 ニヤニヤ 「ハヤト君からー?」

ゆり 「バカ言わないで。大学の研究室からよ」 ピッ 「……はい、月影です」

えりか 「……はぁ。なんか研究者然としちゃってるねぇ、ゆり。かっけー」

つぼみ 「はい……わたしの憧れの先輩です……」 キラキラキラ


108:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 16:05:56.77 ID:caPyoPm60
………………

ゆり 「………………」

いつき 「あ、戻ってきた……って、どうかしたの? 暗い顔しちゃって」

ゆり 「……ええ、少しよくないことが発覚したわ」

えりか 「どうしたの?」

ゆり 「私の研究室に、アフリカの砂漠地帯の研究をしている方がいるの」

ゆり 「そのひとが今、現地でフィールドワークをしているんだけど……」

ゆり 「……どうも、この一年……いえ、一ヶ月で、砂漠化がとてつもない勢いで進行しているらしいの」

いつき 「えっ……一ヶ月? そんな短いスパンで環境が変わるなんて……」

つぼみ 「普通ならありえませんよね……」

ゆり 「何か原因がないかと探っているらしいのだけど……今のところ見つかってはいないらしいわ」

えりか 「砂漠……なんか、嫌な予感がするね」

ゆり 「ええ……。その予感が当たらないことを祈るばかりだけれど」

つぼみ 「だ、大丈夫ですよ! そんな深刻な顔をしなくても」

つぼみ 「砂漠の使徒はもういません。デューンも、わたしたちの拳で改心してくれました」


109:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 16:07:59.84 ID:caPyoPm60
いつき 「……そうだね。こころの大樹は守られた。人々のこころの花も」

いつき 「大丈夫だよ。もう、あんなことにはならないよ」

えりか 「……うん」

ゆり 「? えりか、何か不安なことでもあるの?」

えりか 「えっ? ……ううん、少し悲しくて、悔しいだけ」

つぼみ 「悔しい……ですか?」

えりか 「うん。六年前、みんなで力を合わせて守ったこの星の環境が破壊されていく」

えりか 「砂漠が広がっていく……花が枯れていく……それが、悲しくて、悔しくて」

えりか 「……でも、自分もその一因を作っているんだって思うと、やるせなくて……」

ゆり 「………………」 クスッ 「……大丈夫よ、えりか。心配しないで」 ナデナデ

えりか 「あっ……」

ゆり 「それを何とかするために私たち研究者がいるわ。それに、あなたも努力しているじゃない」

えりか 「……でも、あたし、何もしてないよ。この星のために、何もできてないよ」

ゆり 「あら? そうかしら?」 スッ 「……これを私にプレゼントしてくれたのは誰だっけ?」

えりか 「あっ! あたしが作った小物入れ……ゆり、使ってくれてるんだ」


110:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 16:10:28.25 ID:caPyoPm60
つぼみ 「あっ、わたしも使ってますよ」

いつき 「僕も。携帯電話を入れてるんだ」

ゆり 「こんなにお洒落で可愛い物を使わないなんてもったいなくてできないわ」

えりか 「え、えへへ……そうかな……」

ゆり 「……えりかは時々、端切れを縫い合わせてこういう小物やポーチを作ってくれるじゃない」

ゆり 「そんなひとつひとつの行いが、この星を助けている……綺麗な花を咲かせているのよ」

ゆり 「そう気に病まないで。あなたは立派よ、えりか」

えりか 「そ、そうかな……///」 テヘッ 「えへー……」

つぼみ 「そうですよ! それに、わたしもがんばります!!」

つぼみ 「砂漠に、宇宙に……大輪の花をたーっくさん咲かせるために!!」 ムフー

いつき 「……そうだね。僕も、子どもたちのためにがんばれる先生になる」

いつき 「いずれこの星を支えていく、次代の子どもたちのために」

えりか 「うん! じゃああたしもがんばるよ!!」

えりか 「みんなの心を晴れやかにする、エコの髄を極めた、可愛い服をたくさん作るっしゅ!!」


113:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 16:14:28.31 ID:caPyoPm60
ゆり 「……そうね。私たちはもう子どもじゃない。そして、プリキュアでもない」

ゆり 「だからこそ、できることを精一杯がんばりましょう。それが大切なことよ」

えりか 「よーし!! あたしがんばっちゃうぞー!!」

えりか 「そうだ! この前、もも姉があっちで買った布をたくさん送ってくれたんだ!」

えりか 「みんな、今度は何を作ってほしい? 服でも何でも作っちゃうよ!」

つぼみ 「本当ですか!? じゃあ……うーん、迷っちゃいますね……」

いつき 「じゃあ、僕はえりかに任せようかな。今から楽しみだなぁ」

えりか 「よっしゃ!! めっちゃ可愛いの作っちゃうから覚悟しといてよね!!」

ゆり 「ふふ……」

ゆり (……とはいえ、これは明らかに異常事態ね。砂漠の総面積がありえない広がりを見せている)

ゆり (それも……送られてきた資料を見る限り、自然災害や人的災害が理由というわけもない)

ゆり (……一体、この星で何が起きているというの)

ゆり 「………………」 フルフル (……私が不安になっても仕方ないわね)

ゆり (……お父さん、コロン……それから、私の、妹になるはずだった、不遇のプリキュア……)

ゆり (見守っていてね。今度は、あなたたちのおかげで生き残った私たちが、この星を守るから)


114:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 16:16:11.17 ID:caPyoPm60
………………???

?? (ふるえが、とまらない……)

?? (わたしは、だれ……?)

?? (ここは、どこ……?)

?? (くらい、さむい、こわい……)

―――― 『……おまえは、私の――――――だ……』

ズキッ

?? (っ、あ……わた、しは……わたし、は……)

…………キィ………………キィィィ……

『――選びなさい』

?? (……? 声……?)

『……選びなさい。あなたは、どうなることを望む?』

?? (選ぶ……?)

『どうしたい? どうなりたい? 清浄な意志と邪悪な意志が混在するあなたは、どちらを選ぶ?』

?? (わ……わたし、は……――――)


115:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 16:20:37.25 ID:caPyoPm60
………………???

――――こころの大樹――――

――――プリキュア――――

――――こころの花――――

――――すべてこわす――――

――――すべて残らず何もかもを――――


…………ギィ……………………ギギギギギギギギギギ……!!!!!


――――さあ終わらせよう――――

――――この星の全てを――――

――――全ての終わりを、始めよう――――


116:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 16:22:48.80 ID:caPyoPm60
………………植物園

薫子 「………………」

コッペ 「………………」

ピクッ

ふたば 「? コッペ様、どうかしたの?」

コッペ 「………………」

薫子 「………………」 ニコッ 「……何でもないって」

ふたば 「そうなの?」

薫子 「ええ」 (……コッペも何かを感じたようね)

コッペ 「………………」 コクッ

薫子 「………………」 スッ 「……ふたば、ひとつお手伝いを頼んでもいいかしら?」

ふたば 「お手伝い? いいよ! ふたば、何でもやるよ!」

薫子 「ん、ありがとう。ちょっと、植物園のお花の観察をお願いできる?」

ふたば 「お花の観察?」

薫子 「ええ。枯れている草花があったら記録しておいてほしいの」


117:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 16:27:14.55 ID:caPyoPm60
ふたば 「うん、分かった! ふたば、そのお仕事する!」

薫子 「ありがとう。お願いね」

ニコッ

薫子 「……お婆ちゃんは、ちょっとお出かけしてくるわ。良い子でお留守番できるわね?」

ふたば 「えっ……? わたしひとりでお留守番?」

薫子 「ええ。でも安心してね。ふたばのお仕事が終わる頃には、お婆ちゃん戻ってくるから」

薫子 「コッペもついてるし……大丈夫ね?」

ふたば 「う、うん……」

薫子 「うん、ふたばは強いわね。偉いわよ」 ナデナデ

薫子 「……じゃあ、お留守番とお仕事、お願いね」

ふたば 「……うん! いってらっしゃい、お婆ちゃん」

薫子 「………………」 (……コッペ、もしもの場合に備えて、植物園に結界を張っておいてちょうだい)

コッペ 「………………」 コクッ

薫子 (それから……ふたばのことを、守ってあげてね)

コッペ 「………………」


118:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 16:30:38.65 ID:caPyoPm60
薫子 「………………」 クスッ (……そう心配そうな顔をしないでちょうだい。大丈夫よ)

薫子 (ちょっと様子を見てくるだけ。何にも問題はないわ)

コッペ 「………………」

薫子 (……それじゃ、ふたばのこと、頼んだわよ)

コッペ 「………………」 コクッ

ガチャッ

薫子 「……じゃあ、ちょっと行ってくるわね、ふたば、コッペ」

ふたば 「うん。いってらっしゃい!」 ノシ

コッペ 「………………」

スッ…………キィィィィィィイイ……!!!!

コッペ 「………………」

ふたば 「……? コッペ様?」

コッペ 「………………」 フルフル

ふたば (……どうしたんだろ? なんか、心配そう……)

ふたば 「……あ、そうだ。お手伝い、しっかりやらなきゃ」


124:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 17:01:57.39 ID:caPyoPm60
………………こころの大樹

ポプリ 「!」 ピーン

コフレ 「ポプリ? どうかしたですか?」

ポプリ 「!? こ、コフレは何も感じなかったでしゅか!?」

シプレ 「何の話ですぅ?」

ポプリ 「何か……何か、とてつもなく怖いものが、すぐ傍まで迫っているような……」

ポプリ 「いますぐ、現れるような……そんな感じがするでしゅ!!」

バニラ 「……? それはまた……具体的なようでいて、抽象的な感覚ですね」

ポプリ 「妖精のくせに難しい言葉使うなでしゅ!!」 ビシッ

バニラ 「はい!! ごめんなさい先輩!! 反省します!!」

ポプリ 「とにかく、そんな感じがしたでしゅ! 悪い予感がするでしゅ!!」

コフレ 「……そんなこと言って、いつきたちのところに行きたいだけなんじゃないですか?」 ジトッ

ポプリ 「ち、ちがうでしゅ!! ポプリは本当に嫌な予感がしてるでしゅ!!」

シプレ 「うーん……さっきのこともあるですし……疑わしいですぅ」

ポプリ 「本当なんでしゅー!! 嫌な気配が、希望ヶ花市からするんでしゅーーーー!!」


125:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 17:04:14.86 ID:caPyoPm60
コフレ 「信じられないですっ!」

ポプリ 「本当なんでしゅ! 信じてくださいでしゅ……」

グスッ

ポプリ 「本当なんでしゅよ……本当に、嫌な予感がするでしゅ……」

ポプリ 「ポプリは、心配なんでしゅ。いちゅきたちにもしものことがあったら……」

ポプリ 「せっかくみんなが守ってくれたこころの花が、全部枯れてしまったら……」

ポプリ 「そんな風に考えると、たまらなく辛いんでしゅ……」

ポプリ 「……ポプリはうそをついたこと、ありましゅ。間違えたことも、ありましゅ」

ポプリ 「けど、今度は本当なんでしゅ……だから、信じてくださいでしゅ!!」

シプレ 「ポプリ……」

バニラ 「………………」 スッ 「……ポプリ先輩、涙を拭いてください。先輩は笑ってるのが一番です」

ポプリ 「バニラ……?」

バニラ 「……コフレ先輩、シプレ先輩、僕からもお願いです。ポプリ先輩の話を信じてあげてください」

コフレ 「で、でもポプリは、つい今さっき、バニラを騙したばっかりなんですよ!?」

バニラ 「……それでも、です。僕には、今のポプリ先輩が嘘をついているようには思えない」


127:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 17:06:59.57 ID:caPyoPm60
ポプリ 「バニラ……!」

バニラ 「……それに、僕は知っていますから。ポプリ先輩の素敵なところを、たくさん」

バニラ 「ポプリ先輩はいつも、自ら率先してこころの大樹のお世話をしてくれています」

バニラ 「花のひとつひとつを確認して、弱っている花があったらしっかり癒してあげて……」

バニラ 「花が大きく育ったら、自分のことのように嬉しそうに喜んで……」

バニラ 「……僕は、そんなポプリ先輩を知っています。だから、言えるんです」

バニラ 「ポプリ先輩は時々頼りないし、わがままだし、嘘をつくこともあるけど……」

バニラ 「――僕の憧れる 『最強のプリキュア』 を生み出した四人の妖精の、ひとりなんです」

ポプリ 「バニラーーーー!!!」 ダッ……ギュッ!!! 「バニラバニラバニラーーー! ありがとでしゅー!!」

バニラ 「わっ……わわっ! 急に飛びついてこないでくださいポプリ先輩!!」

コフレ 「………………」

シプレ 「……コフレ」

コフレ 「わ、分かってるですっ!」 プイッ 「……分かったです。バニラがそこまで言うなら、信じるです」

ポプリ 「ほ、本当でしゅか!?」

シプレ 「ポプリは勘が鋭いですしね。念のため、希望ヶ花市に確認に行くですぅ」


128:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 17:10:15.90 ID:caPyoPm60
コフレ 「ま、まぁ、えりかたちも心配ですしね」

ポプリ 「わーい! ありがとうでしゅ! コフレ、シプレ!」

ポプリ 「……あ、そうでしゅ! ちょうどいいから、バニラをいちゅきたちに紹介するでしゅ!」

バニラ 「えっ……? 僕を、プリキュアたちに紹介……?」

ポワワーン……

バニラ 「……伝説の……最強の、プリキュアたちに……会える……////」

シプレ (バニラのプリキュアに対する憧れは凄まじいですぅ……)

バニラ 「あ……」 フルフル 「……ダメです。やっぱり、僕は行けません」

シプレ 「えっ? 何でですぅ?」

バニラ 「……こころの大樹を放っておくわけにはいきません。誰かが残っていないと」

コフレ 「? 少しの間くらい大丈夫ですよ」

バニラ 「いえ、今回は遊びに行くことが主目的ではありません」

バニラ 「念のためというなら、こころの大樹についても同じです。誰かが残っていないと」

コフレ 「う……そ、そのとおりです……」

バニラ 「……なので、今回はお三方だけで行ってください。僕が責任を持ってこころの大樹に残ります」


130:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 17:15:09.21 ID:caPyoPm60
シプレ 「で、でも、いくら何でも悪いですぅ。バニラにだけお留守番させるなんて」

バニラ 「気にしないでください、シプレ先輩。お気遣いありがとうございます」

バニラ 「いざというとき頼りになるのは、プリキュアを持つ先輩方です」

バニラ 「だから、もしものときのために、先輩方はプリキュアと合流しておいた方が良い」

ポプリ 「でも……」

バニラ 「はは……それとも何ですか? 僕一人にこころの大樹を任せるのは不安ですか?」

コフレ 「そ、そんなわけないですっ! バニラはとっても頼りになる僕らの後輩です!」

バニラ 「ありがとうございます」 ニコッ 「では、安心して任せてください」

コフレ 「あっ……」

バニラ 「……本当に僕のことは気にしないでください、先輩」

バニラ 「僕は生まれたばかりの若輩者です。先輩方のお役に立つことくらいしかできませんから」

シプレ 「バニラ……」 (バニラは本当に……自分に自信がなさすぎですぅ……)

シプレ (せっかく “特別” な妖精なのに……何でそこまで自分を嫌うですか……?)

ポプリ 「……じゃあ、急いで準備をして行くでしゅ! バニラ、こころの大樹を頼んだでしゅ!」

バニラ 「はい、お任せ下さい、ポプリ先輩! 先輩方も、お気をつけて!」


131:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 17:18:43.44 ID:caPyoPm60
………………植物園 外

薫子 「………………」

ギリッ

薫子 「……気配がどんどん濃厚になっている。これは、間違いないわね」

薫子 「――――砂漠の使徒……ッ!!」

薫子 (どうして……? あのとき、砂漠の王・デューンは無限シルエットの拳によって改心したはず)

薫子 (王が消滅した今……どうして砂漠の使徒の気配がするの……?)

薫子 「………………」 フルフル 「……考えるだけで答えが出るなら苦労はないわね」

スッ……

薫子 「……間違いなく、これがわたしの最後の変身になるでしょうね」

薫子 「デューンと相討ちし消滅した、わたしのプリキュアとしての力の残滓……その、最後の一欠片」

薫子 「……これが最後の変身よ、キュアフラワー」

薫子 「コッペ……あなたも辛いでしょうけど、力を貸してね」

……ザッ……!!!!

薫子 「――――――プリキュア・オープンマイハート!!」


133:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 17:21:15.40 ID:caPyoPm60
………………明堂院流道場

熊本 「む……?」

さつき 「……? どうかされました?」

熊本 「いや……何でもないぜよ」

ハヤト 「? さつき師範代、熊本師範代、そろそろ子ども道場の時間ですが……」

さつき 「ああ、分かった。すぐ行くよ。熊本さん、行きましょう」

熊本 「応、分かったぜよ」 (何ぜよ……この、胸騒ぎは……)

………………チャペル

古布 「………………」

古布 (……美しい結婚式だというのに、何だ……この、嫌な感じは……)

古布 (皆が幸せそうに笑っているこの場に相応しくない、嫌な気配だ……)

………………希望ヶ花市 道路

佐曽 「………………」 (さっきまで青空だったのに……いきなり曇るなんて)

佐曽 (胸騒ぎが収まらない。何なの、これは……?)

佐曽 (……急がなきゃ。公園で遊んでいる子たちが心配だわ)


134:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 17:23:13.93 ID:caPyoPm60
………………公園

つぼみ 「………………」

えりか 「………………」

いつき 「………………」

ゆり 「………………」

つぼみ 「……あの、真っ黒な雲……」

えりか 「嫌な感じしかしないよね……なんか、こう……」

いつき 「陽の光を遮って、わざと街を暗くしているみたいだ……」

ゆり 「一体何だというの……?」

つぼみ 「……? あっ……あれ!!」

えりか 「つぼみ? どうかしたの?」

つぼみ 「あそこを見てください! 空に上る光が見えます!!」

いつき 「……!? あ、あれは……!!」

ゆり 「そんな……キュア、フラワー……」

つぼみ 「お婆ちゃん……!?」


136:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 17:25:13.38 ID:caPyoPm60
………………希望ヶ花市 上空

フラワー 「………………」

スッ

フラワー 「……出てきなさい。そこにいるのは分かっているわ」

――ズッ……ズズッ……ズズズズズッ……

『……その必要はない』

フラワー (……やはり、厚い雲の中に……) 「……あなたは何者?」

フラワー 「砂漠の使徒? それとも……砂漠の王?」

『……否』

『私は私だ。それ以外の何者でもない』

フラワー 「……どういう意味かしら?」

『語る必要はない。全てが終わる。私が終わらせる』

『……この “砂漠の意志” が、プリキュア、こころの大樹……そして、人間のこころの花を、』

『――――すべてまとめて、無に帰す』

フラワー (“砂漠の意志” ……?)


137:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 17:27:48.36 ID:caPyoPm60
フラワー 「一体、あなたは……――」

『――語る意味はないと言ったはずだ。史上最強のプリキュア、キュアフラワー』

フラワー 「……あなたの目的は、こころの大樹を枯らせることなのね?」

『否。この星そのものを無に帰す。無論、人類のこころの花も含めて、全てを』

フラワー 「そう……なら、あなたは私の……プリキュアの敵だわ」

『敵味方を語る意味もない。私はただ意志を体現し、現実とするだけだ』

『こころの大樹が人々の心を見守り、こころの花を守る役目を持つのだとすれば、』

『私もただ、私の役目を果たすだけのこと』

――――ズッ……ズズッ……ギィィィィィィィイイイイイイイイッッッッッ……!!!!

フラワー 「ッ……!?」 (耳障りな音……これは……?)

『キュアフラワー、史上最強のプリキュアよ』

『貴様が、プリキュアとしての、こころの大樹の戦士としての役目を果たすというのなら、』

『――――この一撃を止めてみせるのだな』

ギィィィィィィィイイイイイイイイ……!!!!


141:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 18:02:02.18 ID:caPyoPm60
フラワー 「!?」 (なんて莫大なエネルギー……これを瞬間的に集約させたというの!?)

フラワー (まずい……!! このエネルギーを直接、街に落とされたら……ッ)

キィィィィィイイイイ……!!!!

フラワー (何としても……)

―――― 『わたし、お婆ちゃんのこと大好きです』

フラワー (……この、老いた命に代えてでも)

―――― 『うん! ふたば、明日からがんばるね!!』

フラワー (新しい世代が育つこの街を、守り抜く……!!)

――――バッ……!!!

フラワー 「……プリキュア……――――」

フラワー 「――――クリムゾンイージス!!!」

キィィィィィィイイイイイイイインンン……!!!!!!!

『紅き花のシールド……よくそこまでの力を残しているものだ。さすがは最強といったところか』

『ならば、この “砂漠の意志” と最強のプリキュア、どちらがより強いのか、力比べといくか』

『砂漠の力よ、すべてのこころの花を、枯らせたまえ――――ヘルビサイド!!!』


143:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 18:10:07.84 ID:caPyoPm60
――――――――カッ……!!!!

ドドドドドドドドドドドッッッッ!!!!!

フラワー 「ッ……!!」 (暗いエネルギーの奔流……ぐっ……!)

フラワー (段違いの、力……この光は、人々の心を容赦なく枯らせる闇の光……)

――――――ピシッ……

フラワー 「!?」 (まずい……シールドが、保たない……!?)

『……存外脆いものだな。もうおしまいか?』

フラワー 「っ……まだ……まだよ!!!」

キィィィィィイインンン!!!!!

フラワー (お願い、力を貸して……こころの大樹、こころの花……コッペ……!!)

フラワー 「やらせるわけにはいかない……私の後ろには街がある。人々の笑顔がある!!」

フラワー 「私の息子がいる。義理の娘がいる。孫がいる。……大切な人が、たくさんいる!!」

フラワー 「それを……やらせるわけにはいかないのよッ!!」

ガガガガガガガッッッ……!!!!

                   ――――――――――カッ…………!!!!!!


144:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 18:10:59.46 ID:caPyoPm60
フラワー 「……っ……っ」 ゼェ……ゼェ……

ニィ

フラワー 「……どうやら、私の……勝ちの、ようね……」

フラワー 「あなたの、闇の光は、私が、打ち払ったわ……」

『ふむ、厄介だな。私の役目に支障が出てしまう。誤差の範囲ではあるが』

フラワー 「………………」

『…… “人々の笑顔をやらせるわけにはいかない” か……なるほど』

フラワー 「……?」

『……それが貴様のプリキュアとしての使命というわけか、キュアフラワー』

フラワー 「……はっ、違うわよ。使命なんて、堅苦しい言葉じゃない。私が守りたいから、守るのよ」

フラワー 「ただそれだけの話。簡単なことよ」

『……解せぬな。貴様はこころの大樹の命によって人々のこころの花を守っているのではないのか?』

フラワー 「……確かに、私にこの力を授けてくれたのは、コッペとこころの大樹よ」

フラワー 「けれど、私が今ここでこうして戦っているのは誰の命令でもない。わたしの意志よ」

『……なるほど。こころの大樹も、私と同じように苦労をしているようだな』


145:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 18:11:46.68 ID:caPyoPm60
フラワー 「なんですって……?」

『分からぬか? キュアフラワー。こころの大樹に意志があるように、』

『砂漠そのものにも意志があるということが』

フラワー 「……その “意志” とやらが、あなただっていうの?」

『そうだ。私は砂漠そのもの。砂漠の意志を現出させるもの。“砂漠の意志” だ』

『こころの大樹の末端でしかない貴様に、どうこうできる相手ではない』

『私は私の意志を体現させる。それは決まった事象だ。もう変えることはできない』

『たとえ貴様が最強のプリキュアであったとしても、それは不可能だ』

フラワー 「ッ……!! あまり私を舐めないでちょうだい……!!」

『ああ。だから本命を出そう。こころの花への攻撃は、また次の機会でもいい』

フラワー 「……何をするつもりかしら?」

『簡単な話だ。貴様もすでに一度、目にしているはずだがな』

『――――――落ちろ砂漠。この地球を、無へと帰せ。……デザートフォール!!!』

ザザッ……ザザザザザザッ……!!!!!!

フラワー 「ッ……!?」 (先の攻撃で終わりではなかったというの……!?)


146:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 18:14:42.31 ID:caPyoPm60
フラワー (凄まじい闇のパワーの集約……これは、さっきよりもよほど……強い!)

『かつて私の端末であった砂漠の王・デューンがしたように、もう一度、この地球を砂漠としてみよう』

フラワー 「!?」

『……そうすれば、すぐに人々の心は荒みきる。こころの花は勝手にしおれ、枯れていく』

フラワー 「そんなこと……!! そんなことは絶対にさせない……ッ!!」

――――――ズキッ……!!!

フラワー 「!?」 (っ……さっきの、無理の反動が……!?)

『さしもの最強も、先のシールドで限界か。他愛のないものだ』

フラワー 「ッ……! 勝手に……決めつけてるんじゃないわよ……!! 私を誰だと思っているの?」


フラワー 「聖なる光に輝く一輪の花!! キュアフラワー!!」


フラワー 「……この誇り高き名にかけて!!! 私は負けるわけにはいかない!!」

――バッ!!!

フラワー (お願い……もう一度だけでいい……私の命を吸ってくれても構わない)

フラワー (力を貸して……こころの大樹よ……!!)


147:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 18:16:26.43 ID:caPyoPm60
……キィィィィィィイイイイインンン!!!!

フラワー 「プリキュア!! クリムゾン・イージス!!」

『……先よりも目に見えて出力が落ちているな。その程度か、キュアフラワー』

フラワー 「………………」

『この闇の光が地球を覆えば、全地上は砂漠となり、我が僕サンドクラスタが暴れ回る地獄と化す』

フラワー (サンドクラスタ……? っ、それがデザトリアンのようなものだとすれば、まずい……!!)

『行け。デザートフォール。全地上を砂漠とし、我が僕を解き放て』

ズゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾッッッッ……!!!!!

フラワー 「ッ……!!!」

ピシッ……ピシピシッ……

『呆気ないものだ。本当に』

フラワー 「――――――あら、あまり私を舐めるなと、忠告したはずよ?」 ニコッ

『……っ、強がるな。すでにシールドは破れる寸前ではないか』

フラワー 「この闇の力が地表に落ちたら、全世界の砂漠化は免れない」

フラワー 「……ならば、防御しきるしかない。けれど、私にはもうそこまでの力はない」


148:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 18:17:59.51 ID:caPyoPm60
『……ならばどうすると言うのだ?』

フラワー 「……悲しいけれど、私に打てる最前の策はこれしかない」

ギュッ……!!!!

フラワー (空気の奔流を掴み取る。足の裏で、空をしっかりと踏みしめる)

フラワー (思い出しなさい、キュアフラワー、かつての五代薫子。あなたの本質を)

『何をするつもりだ……』

フラワー 「……覚えておきなさい、“砂漠の意志” 。プリキュアの本当の強さは、必殺技に宿るのではないの」

フラワー 「その二つの拳にのみ、宿るのよ」

フラワー (シールドが破れる瞬間を狙い定める。その瞬間に…………――――――)

――――――――――――パリン…………

フラワー (――――――腰を低く、回す。腕をしならせる……そう……)


フラワー 「――――プリキュア!!! 全力全開・正拳パンチ!!!」


――――――ッッッッッッッッッッドォォ!!!!!

…………………………………………――――――――――――――――


149:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 18:20:09.96 ID:caPyoPm60
………………希望ヶ花市

タタタタタタタ……

えりか 「一体何が起こってるの……?」

えりか 「あの空の曇って……砂漠の王の――」

つぼみ 「違います! 砂漠の王・デューンはしっかりと改心してくれました!」

えりか 「じ、じゃあ何だっていうの!?」

つぼみ 「……そんなの、わたしに分かるわけないじゃないですか!」

いつき 「……えりか、つぼみ、言い争う体力がもったいないよ」

いつき 「今は急がなきゃ。早く、パフュームを取りに行かなくちゃ」

つぼみ 「……ごめんなさい」

えりか 「あたしも……ごめん」

タタタタタタタタタ……

いつき 「……こんなときに、何もできないなんて……!!」

ゆり 「泣き言を言わないの。今のわたしたちにプリキュアに変身する術はないのよ」

ゆり 「今この場で大人としてできること……それをするしかないわ」


150:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 18:22:28.86 ID:caPyoPm60
いつき 「……うん。その通りだね、ゆり。ごめん」

ゆり 「いいのよ。私も、この場にココロポットがないのが悔しいと思っているもの」

ゆり 「けれど、だからこそ、パフュームとプリキュアの種を手元に置いておかなくては」

ゆり 「きっとシプレたちもすぐに来てくれるはずよ。そのときに、変身できるように」

つぼみ (……お婆ちゃん、大丈夫でしょうか。一体、空で何が起きているのでしょう……)

――――――――ピタッ……

ゆり 「……ここからは別行動ね。つぼみ、えりか、何か分かったら連絡をしてちょうだい。いいわね?」

えりか 「……うん。分かった。ゆりといつきも、連絡よろしくね」

ゆり 「現時点で何が起こっているのかは分からないわ」

ゆり 「けれど、キュアフラワーが現れたということは、“何か” が起きていることだけは確かよ」

ゆり 「二人とも、気を引き締めて行くこと。分かったわね?」

えりか 「うん。ゆりといつきも、気をつけて」

いつき 「……僕は明堂院流の準師範だ。心配には及ばないさ。何があっても、僕がゆりを守るよ」

いつき 「……ただ、今のえりかとつぼみは普通の女の子なんだ。本当に気をつけて」

つぼみ 「は、はい……」 (今のわたしたちにはプリキュアに変身する力はない……)


156:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 19:13:33.87 ID:caPyoPm60
……ゾクッ

つぼみ (っ……怖い。プリキュアになれないというだけで、こんなに怖い……)

えりか 「………………」

えりか 「……つぼみ」

つぼみ 「は、はい?」

――ギュッ

えりか 「ははー。ガラにもなく怖くなっちゃってさ。手、繋いでてもいいかな?」

つぼみ 「あっ……」 (えりか、わたしに気を遣って……)

つぼみ (えりかの手、あったかい……震えが、怖さが、吹っ飛んでしまいました……)

つぼみ 「……し、仕方ないですね、えりかは」 ボソッ 「……ありがと、えりか」

ゆり 「……じゃあ、私といつきはこっちね。二人とも、無理をしてはだめよ」

つぼみ 「……ゆりといつきも、気をつけて」

――――――タッ……!!!

いつき 「………………」 (……道場にはお兄様も熊本さんもいる。心配には及ばない)

ゆり 「………………」


157:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 19:15:28.85 ID:caPyoPm60
いつき (だから僕はせめて……六年前、あまりにも多くの傷を負ってしまったこの親友を……)

ゆり 「………………」 ギリッ 「……お母さん」

いつき (……この親友と、そのお母様を……何があったとしても、この命に代えても守る……!!)

―――――――――――――――――――――――――ッッッッッッッッッッドォォ!!!!!

いつき 「!? な、何だ!?」

ゆり 「空……!? 雲がから、何か……――――ッ!!?」

――――――ッッドドドドドドドドドドドッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!

ゆり 「きゃっ……!!」

いつき 「っ……ゆり! 掴まって!!!」 ギュッ

ドドドドドドッドォォォォオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!

――――――………………

いつき 「……大丈夫? ゆり」

ゆり 「え、ええ……」 スッ 「ありがとう、いつき。助かったわ」

いつき 「今のは……見覚えがある。六年前、世界を砂漠に変えた、デューンの力だ」

――――ザザザザザザッッッッ……………………


158:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 19:19:54.88 ID:caPyoPm60
ゆり 「……ッ!? 砂漠が街を飲み込み始めている……!!」

いつき 「一体何が起こってるんだ……? 砂漠の使徒はもういなくなったっていうのに……!」

ゆり 「急ぎましょう。早く私のプリキュアの種と、シャイニーパフュームを回収しなければ」

………………

つぼみ 「……うそ。また、世界が……砂漠に……」

えりか 「うそだよ、こんなの……だって、あたしたち、砂漠の使徒を倒したのに……」

つぼみ 「………………」

えりか 「………………」

ギュッ……!!!

つぼみ 「……大丈夫。大丈夫です。怖くない。怖くない。怖くない」

えりか 「そうだね……あたしたちは一人じゃない。仲間がいる。親友がいる」

えりか 「行こう、つぼみ。早く、家にココロパフュームを取りにいかなくちゃ!」

つぼみ 「ええ。急ぎましょう!!」

ダッ……!!!

つぼみ (……ごめんね、ふたば。後で、絶対に迎えに行きますからね)


160:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 19:23:08.54 ID:caPyoPm60
………………植物園

ふたば 「……あなたは大丈夫。元気だね」

メモメモメモ……

ふたば 「……ん。あなたも元気だね。ちょっとお水あげておこっか」

ジャバジャバ……

ふたば 「……あ、あなた、ちょっとだけ根っこが出ちゃってる。えっと……シャベルは……」

コッペ 「………………」

ふたば 「コッペ様、シャベルってどこだっけ?」

コッペ 「………………」

ふたば 「……? コッペ様?」

コッペ 「………………」

ふたば 「………………」

ふたば 「……心配、なの? お婆ちゃんのこと」

コッペ 「………………」 コクッ

ふたば 「………………」


161:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 19:25:19.21 ID:caPyoPm60
ふたば 「……いいよ」

コッペ 「……?」

ふたば 「行ってきて、いいよ。お婆ちゃんのこと、心配なんでしょ?」

コッペ 「………………」 フルフル

ふたば 「ふ、ふたばなら――わたしなら大丈夫だよ! 心配しないで」

ふたば 「わたしはお婆ちゃんの孫だもん。つぼみお姉ちゃんの妹だもん。だから、大丈夫」

コッペ 「………………」

ふたば 「ね?」

コッペ 「………………」 コクッ 「………………」

――――――ットン!!

コッペ 「………………」

ペコリ――――――ダンンッ!!!

ふたば 「………………」 ハァ 「……行っちゃった」

ふたば 「……何だろう。外が、暗い。少しだけ、怖いな。さっきまで、綺麗な青いお空だったのに」

ふたば 「………………」 ブンブンブン 「……お仕事、やらなくちゃ」


162:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 19:28:35.84 ID:caPyoPm60
………………明堂院流道場

熊本 「……これは一体、何事ぜよ……?」

さつき 「……砂漠が街を……これは……」

ハヤト 「六年前のあのときと同じ……ッ」 ギリッ 「………………」

さつき 「………………」

子供1 「まちが砂で埋もれちゃってるよぅ……」

子供2 「怖いよ……何がおこってるの……?」

さつき 「……大丈夫だよ、みんな」 ニコッ 「ここには先生たちがいる。心配いらないから」

子供3 「でもぉ……」

さつき 「大丈夫。大丈夫だよ。今は隠れてしまっているけれど、いずれお日様がでる」

さつき 「そうしたら、ヒーローが来てくれるんだ。だから、大丈夫」

子供1 「ヒーロー……?」

さつき 「みんな知ってるだろう? プリキュアだよ」

子供2 「プリキュア……? プリキュアが来てくれるの?」

さつき 「ああ。だから心配いらない」


163:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 19:31:01.61 ID:caPyoPm60
ハヤト 「………………」

さつき 「……ハヤト君」

ハヤト 「! は、はい! 何でしょうか?」

さつき 「………………」 スッ 「……行きなさい」

ハヤト 「えっ……? 行くって、どこに……?」

さつき 「決まっているだろう。行きなさい。守るべき人の元へ」

ハヤト 「なっ……行けるわけないじゃないですか! この子たちを放ってなんて……」

熊本 「……若僧が、何を生意気なことを言っている?」

ハヤト 「熊本師範代……」

熊本 「お前ひとりいたところで何にもならんわ。さっさと行くぜよ」

ハヤト 「………………」

熊本 「……お前は何のために武術を習った。お前は何のために強くなった」

熊本 「守りたいものがあるのなら、それを守るために、行け!!」

さつき 「……その通りだ。行きなさい、ハヤト君!!」

ハヤト 「………………」 ギリッ 「……はい! すみません、行きます!!」


164:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 19:33:48.15 ID:caPyoPm60
熊本 「……それから、さつき殿も。さっさと行くぜよ」

さつき 「え……?」

熊本 「あなたの目の泳ぎを見逃す熊本だと思ったか。あなたも行くぜよ」

さつき 「………………」

熊本 「……ここは俺が死んでも守る。だからさっさと行くぜよ!!」

さつき 「っ……すみません、頼みます、熊本さん……!!」

さつき 「ハヤト君、急ごう!!」

ハヤト 「は、はい……!! 熊本師範代、すみません……!!」

――――――ダッ……!!!!

熊本 「……ふぅ。ようやく行ったぜよ。揃いも揃って責任感が強いじゃきぃ」

子供1 「先生……」

熊本 「なぁに、心配するな。お前たちも俺の強さは知ってるぜよ?」

熊本 「これから何が起こるか分からんが……お前たちは俺が守るぜよ。だから安心するぜよ」

子供2 「う、うん!! くまもとせんせい強いから大丈夫!!」

熊本 「応。力強い良い返事ぜよ」 ニカッ


165:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 19:35:12.44 ID:caPyoPm60
………………

?? 「なっ……何が起きてるんだ、一体……?」

?? 「街が砂に飲み込まれてる……これは……」

?? 「……六年前にもたしか、似たようなことがあったよな……」

?? 「………………」

――――――キャーーーーーーーーーーー!!!!!

?? 「!? 悲鳴……!?」

?? 「………………」

ギリッ

?? 「……っ、迷ってる暇があるかよ、バカヤロウ!!」

――――ダッ……!!!!


166:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 19:37:46.26 ID:caPyoPm60
………………

タタタタタタタタ……!!!!

えりか 「うそうそうそーーーーーーーー!!!!!」

つぼみ 「うそじゃないですよえりか!! っていうか何なんですかあれ!?」

えりか 「あたしに聞かれても分かんないよーーーー!! 何あれ!?」

ドドドドドドドド……!!!!!!

『ヴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンンンン!!!!』

えりか 「っていうか何であたしたち追いかけられてるのーーーーー!!?」

つぼみ 「だから聞かれても分かんないですってーーーーーーーー!!!」

えりか 「デザトリアン!? デザトリアンなの!?」

つぼみ 「違うんじゃないですか何か砂でできてますし!!!」

えりか 「何であたしたちみたいな美少女が砂の巨人に追いかけられなきゃなんないのよーーーー!!」

つぼみ 「知りませんしわたしたちもう美少女って歳じゃないですーーーーーー!!!」

――――――コケッ


171:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 20:04:22.31 ID:caPyoPm60
えりか 「!? こんなときに石につまずくってある意味本当に器用だよねつぼみはげふぅ!!」

つぼみ 「――あ………………ふげっ!!?」

ズザァァアアアア……!!!

えりか 「いたたたたた……」

つぼみ 「あっ……ご、ごめんなさいえりか!! わたしの巻き添えで……」

えりか 「いいっしゅいいっしゅ。こんな程度何でもないってば」

つぼみ 「えりか……」

『ヴオオオオオオオオオオ!!!!!!』

ドドドドドドドドドドドッッッッ!!!!

つぼみ 「ってそんな場合じゃないんでしたーーーーーー!!!」

えりか 「ふにゃーーーーーー!!」

つぼみ (ふっ、) ギュッ (踏み潰される……!!!!)

――――――――――――――――ッッッッッッッッッッッッドッッッ……!!!!!!


172:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 20:05:29.80 ID:caPyoPm60
………………

タタタタタタタタ……

ゆり 「……それで、これはどういうことだと思う?」

いつき 「そうだなぁ……砂漠の使徒の復活……とか?」

ゆり 「砂漠の王であるデューンは満足して消滅したのよ? そんなことがありえるかしら」

いつき 「それなんだよね。けれどこの攻撃は間違いなくデューンと同じものだし……」

ゆり 「こころの大樹がどうなっているのかが心配だけれど……」

いつき 「少なくともクリスタルは見られないから、致命的なダメージは受けていないと思うけど」

ゆり 「……だからといって、予断は許さないわよね」

いつき 「ポプリたちが無事だといいんだけど……」

ゆり 「ココロポットとあなたたちのプリキュアの種があれば、わたしたちはまたプリキュアになれるわ」

ゆり 「……今はあの子たちを信じるとしましょう」

いつき 「そうだね……」 チラッ

『ヴオオオオオオオオオオ!!!!』 ドドドドドドドドドドッッッ!!!!

いつき 「……ところで、あれはどうする? ずっと逃げてるわけにもいかないし」


173:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 20:08:30.19 ID:caPyoPm60
ゆり 「……一応聞いておくけど、いつきならアレに勝てる?」

いつき 「うーん……身長が三メートルほどの砂の巨人……勝てないことはないと思うけど」

ゆり 「そう。じゃあやめておきましょう。気合いで撒くわよ」

いつき 「え? いや、僕は勝てないことはないって――」

ゆり 「――いつきがそんな中途半端な物言いをするということは、自信がないってことなのよ」

ゆり 「それくらい分かるわ。もう六年の付き合いになるのよ?」

いつき 「あ……あはははは……敵わないな、ゆりには」

ゆり 「伊達にあなたたちより三年多く歳を取ってるわけじゃないわ」

――――――――ザッッッッ……!!!! 『ヴオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!』

いつき 「!?」 (なっ……!? 前にもう一体だって!?)

――――ズザァァアアア……!!!

ゆり 「っ……完全に挟まれたわね」

いつき 「………………」

―――― ((……この親友と、そのお母様を……何があったとしても、この命に代えても守る……!!))

いつき 「……そうだよ、僕が……僕が、ゆりを守らないと……!!」 ギリッ


174:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 20:10:32.16 ID:caPyoPm60
ゆり 「いつき……?」

いつき 「ゆり、いいかい? よく聞くんだ」

いつき 「僕が合図をしたら、脇目もふらず真っ直ぐ前に走って」

ゆり 「えっ……? な、何を言って――」

いつき 「――黙って聞いてくれ! 僕がなんとか前方の奴を引きつける」

いつき 「ゆりはその隙に奴をやり過ごして逃げるんだ。そうしたら僕は前と後ろの二体を足止めする」

いつき 「そのあ間にゆりは、プリキュアの種を取りに行くんだ」

ゆり 「なっ……!! そんなことできるわけないでしょう!?」

ゆり 「あなたをここに置いていくなんて、そんなこと……!」

いつき 「他に方法なんてないんだ!! いいから行け! 行くんだ!!」

ゆり 「っ……!!」

――パシィ!!!!

ゆり 「………………」

いつき 「へ……?」

ゆり 「……馬鹿! そんなことできるわけないでしょう!!」


175:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 20:12:41.68 ID:caPyoPm60
ゆり 「大切な友達をひとり、怪物の目の前に残して逃げるなんて……!!」

ゆり 「あなたには、私がそんなことをできる人間に見えたって言うの!?」

いつき 「ゆ、ゆり……。ごめん」

ゆり 「……切り抜けるわよ、絶対に。けれど、それはひとりだけで、じゃないわ」

ニコッ

ゆり 「ふたり一緒に。それ以外は認めないわ」

ゆり 「あなたが戦うというのなら、私も一緒に戦うわ」

いつき 「……うん!」

――――スッ……

いつき 「………………」

いつき 「……ゆり、君は前の怪物を引きつけていてほしい。無理はしなくていい」

いつき 「その間に僕は、まず後ろの怪物を……」 グッ 「……倒す」

ゆり (すごい気迫……これが、明堂院流準師範としてのいつきの姿……)

ゆり 「……分かったわ。お願いね、いつき」

いつき 「うん、任せて」


176:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 20:14:56.45 ID:caPyoPm60
『ヴオオオオオオオオオオオオオオオ!!!』

――――――ッドン!!!

ゆり 「……膂力、速度、共に並のデザトリアンと同程度というところかしら」

ゆり 「残念ね。私、何度か生身でデザトリアンと相対したことがあるから」

ゆり 「あなたがそこまで恐ろしくは感じられないの」

ゆり 「倒す……まではいかなくとも、そんな単調な攻撃、避けるくらいわけないわ」

いつき 「………………」 スー……ハー……スー……ハー……

『ヴオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!』

――――ブゥンンン!!!!!

いつき 「………………」 ザッ!!! 「……――――はぁああああッッッ!!!!」

――――――ッッッッドッッッッッッッッッッッ!!!!!

ゆり 「……それにしても、あれは凄まじいわね。砂の怪物の拳に真っ向から拳を合わせるって……」

『ヴオ……ア……』

――――――バララララ……

ゆり 「しかも倒すって……あの子、本当に人間なの……?」


177:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 20:17:19.67 ID:caPyoPm60
いつき 「………………」

いつき (感触は砂そのもの。殴った感じからして、硬度はそう大したことはない)

いつき (攻撃されることを想定していない作り……外部からの衝撃には弱いみたいだ)

いつき (ただ、打撃の仕方を知らない素人じゃ、戦うのは難しそうだな……)

『ヴオオオオオオオオ!!!!』

――――ッドンン!!!

ゆり 「っ……」

いつき 「っと、冷静に分析してる場合じゃなかったな。早くあっちも倒さないと――――」

――――ズゾゾゾゾゾゾッッッ……!!!

いつき 「!?」 (なっ……バラバラになった砂が、また集まって……――!?)

いつき (まさか、あそこまで脆かった理由は……倒されてもすぐに再構成できるから……)

『ヴオオオオオオオオオオオ!!!!』

――ブゥンンンン!!!!

いつき 「っ……何度復活しようと、倒すだけだ!!!」

…………ブヂッ……!!


178:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 20:20:01.88 ID:caPyoPm60
いつき (!? しまった……春物のミュールが、僕の動きの負荷に……――――)

――――ズザッ……!!!

ゆり 「!? いつき!?」

いつき 「だ、大丈夫。ちょっとこけただけ……――――ッ!?」

『ヴオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!』

いつき 「っ……」 (だ、ダメ……回避が、間に合わ――)

ゆり 「いつきぃぃぃぃいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!」

『ヴオオオオオオ!!!』

ゆり 「!? し、しまっ……――――」

――――――――ッッッッッッドンンンンンン!!!!


181:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 20:22:46.64 ID:caPyoPm60
………………

つぼみ 「………………」

えりか 「………………」

つぼみ 「……う、うそ……」

?? 「っ……」

『ブオオオオオオオオオオオオオオオ!!!』

えりか 「怪物の、パンチを、竹刀で……あたしたちを、助けてくれたの……?」

?? 「……――おおおおおおおお……オオオオオオオオオオオオオオ!!!」

――――――――――ッッッッッッドンンン!!!!!

『ヴオオ!!?』

――――ッッッッズドンンン!!!

えりか 「し、しかも竹刀で吹き飛ばしたぁあああああああああああああ!!?」

つぼみ 「す、すごいです……」

?? 「ふぅ……大丈夫ですか……」 ハッ 「って……は、花咲!?」

つぼみ 「えっ……」 ハッ 「あ……も、もしかして……みつるくん!?」


182:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 20:24:25.25 ID:caPyoPm60
………………

『ヴオ……!?』

?1 「良かった……間に合って……」

?2 「……まったくです」

いつき 「なっ……お、お兄様……!?」

ゆり 「ハヤト君……!?」

さつき 「はは……話は後だ」 ギリッ 「……はぁあああ!!!!」

ハヤト 「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」

――――――ズドォォオオオオッッッ!!!!

『ヴオ……』

『ガ、ア……』

――……バラララ……

さつき 「……ふぅ、見た目の割に脆いな。掌底の一撃で崩壊か」

ハヤト 「そうですね。俺の未熟な腕でも何とかなるくらいですから」

さつき 「しかし、さしもの準師範殿も、その格好では本気が出せないようですね?」 クスッ


189:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 21:10:16.53 ID:caPyoPm60
いつき 「お兄様……////」

ハヤト 「間に合って良かったよ、ゆり姉さん。大丈夫? 怪我はない?」

ゆり 「あ、ありがとう……/// 大丈夫よ」

ゆり 「……強くなったわね、ハヤト君……あんな怪物を一発でやっつけちゃうなんて……」

ハヤト 「い、いや、そんな……大したことないよ……///」

ズゾゾゾゾゾ……!!!

いつき 「!? お兄様、早くここを離れましょう!」

いつき 「この怪物は、崩壊してもすぐにまた復活するんです!」

さつき 「……なるほど。脆く崩れやすいが、すぐに復元するのか。厄介だな」

さつき 「仕方ない」 スッ 「……君たちは早く行きなさい」

いつき 「えっ……? お、お兄様は……?」

さつき 「僕はここでこいつらを足止めする。君たちが逃げる時間くらいは稼ぐさ」

いつき 「そ、そんな……そんなことできません!! 僕も一緒に――」

さつき 「――何かしなければならないことがあるんだろう? なら、僕に構わず行くんだ」

いつき 「え……?」


191:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 21:15:36.71 ID:caPyoPm60
さつき 「何年君の兄をやっていると思っているんだい?」

ニコッ

さつき 「いつきの考えていることなんてお見通しさ。さ、行きなさい」

いつき 「お兄様……」

ハヤト 「………………」

ゆり 「……? ハヤト君?」

ハヤト 「……ゆり姉さんも、さ、行きなよ。俺にも分かるよ」

ハヤト 「ゆり姉さんも、何かすることがあるんだよね?」

ゆり 「ハヤト君……ダメよ、そんな……――」

ハヤト 「――俺はさ、ゆり姉さん。姉さんを守るために、明堂院流を修行したんだよ」

ハヤト 「姉さんを守るために、姉さんの進む道を開くために……だから、やらせてよ」

ハヤト 「ずっとお世話になってきた恩返しを、させてくれよ」 ニコッ

ゆり 「ハヤト君……」

いつき 「………………」 スッ 「ゆり……」

ゆり 「ええ……」


192:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 21:19:09.55 ID:caPyoPm60
いつき 「お兄様、ご武運を!!」

ゆり 「ハヤト君……ごめんなさい、お願いするわ!!」

タッ……タタタタ……

『ヴアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!』

さつき 「おっと、行かせないよ。君たちの相手は僕たちだ」

――――――ッッッズドォォオオオッッ!!!!

『ヴ……』 ズゾゾゾゾゾ……!!! 『――ヴオアアアアアアアア!!!』

さつき 「……凄まじい回復力だな。元が砂なのだから当たり前か」

ハヤト 「俺じゃあまり頼りにはならないかもしれませんが……師範代の背中、預からせて頂きます」

さつき 「はは、とても頼もしいさ。わざわざ残ってくれるなんてね」

さつき 「それでこそ明堂院流の門下生だ。僕も鼻が高い」

ハヤト 「……さぁ来い、怪物ども。姉さんたちの元には、絶対に行かせないぞ」

『ヴ……ヴオオオオオオオオオオオオオオオ!!!』

ハヤト 「うぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

――――――――――――ッッッドォオオオオオ!!!


193:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 21:20:38.35 ID:caPyoPm60
………………

みつる 「は、花咲……お前だったのか……」

えりか 「あなたは……ああ!! 鎌倉で会ったつぼみの幼なじみ!!?」

みつる 「君は……ああ、あのときの小うるさい奴……」

えりか 「!? むきーーーーー!! 小うるさいって何さ!?」

つぼみ 「みつるくん……ありがとうございます!! 助けてくれて」

みつる 「あ……////」 プイッ 「た、大したことじゃない。こんなの……」

つぼみ 「でも、何で希望ヶ花市に……?」

みつる 「ん? ああ……剣道の交流試合でな。偶然来てたんだ」

えりか 「………………」 ジトーッ

みつる 「な、何だよその不満そうな目は……」

えりか 「気が利かないねぇ……そこは嘘でもいいから、「花咲を助けに来た」 くらい言いなよ」

みつる 「無茶言うな! 鎌倉からここまで駆けつけるって、何だその超人的なヒーローは!?」

えりか 「いやいや、竹刀であんな怪物吹き飛ばす時点で十分超人的っしゅ……」

みつる 「? いや、でもアイツ、意外と軽かったぞ」


194:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 21:23:30.88 ID:caPyoPm60
『ヴオ……オオオオ……』

みつる 「っ……しつこいな。花咲、下がってろ」

つぼみ 「あ、は、はい!」

スッ……

みつる 「………………」

『ヴオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!』

ドドドドドドドドドドドッッッッッッ……!!!!

みつる 「……――っ……ヤァァァァアアアアアアアアア!!!」

ッッタンンン――――――

              ――――――ッッッッザンンンンッッッ!!!!!

えりか 「!? し、竹刀で、砂の怪物を……」

つぼみ 「きっ、きき……斬り捨てましたーーーー!?」

『ヴ、オ……』

――バラララ……

みつる 「………………」 フゥ 「……やっぱり大したことないな。弱い」


195:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 21:28:48.61 ID:caPyoPm60
つぼみ 「す、すごいです……」

えりか 「かぁっくいーーーー!! さっすがはつぼみとフラグ立ててただけのことはあるっしゅ!」

つぼみ 「フラグ?」

みつる 「フラグってなんだ?」

えりか 「……何でもないっしゅ」 ショボン

つぼみ 「あっ!! そうだえりか! 早くココロパフュームを取りに行かないと!」

みつる 「? ココロパフューム……?」

つぼみ 「あ……」 (しまったーーーー!! みつるくんがいるんでした!!)

つぼみ 「あ……えーと、その……――」

――ズゾゾゾゾゾゾッ……

みつる 「!? なっ……!!」

『ヴオオ……オオオオオオオオオオオオ……!!!』

えりか 「!? 崩れた怪物が、また復活してる!!?」

みつる 「……なるほどな。脆くて壊れやすい変わりに、しつこいってことか」

みつる 「………………」


196:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 21:31:17.01 ID:caPyoPm60
つぼみ 「えりか、みつるくん、逃げましょう! あんなのまともに相手してられません!」

つぼみ (きっと、プリキュアの力なら、浄化できるはずです……)

みつる 「………………」 フルフル 「……いや、俺は逃げない。ここで奴を足止めする」

つぼみ 「えっ……? そ、そんなのダメですよ!」

みつる 「……いいから行けよ。なんかやることがあるんだろ?」

えりか 「!?」

みつる 「逃げるといったって、女の足じゃ限界がある。すぐに追いつかれる」

みつる 「そして、戦うにせよお前たちがいたところで何の足しにもならない」

みつる 「……それとも、俺にお前たちを守りながら戦えって言うのか?」

つぼみ 「みつるくん……」

みつる 「……安心しろ。自慢じゃないが俺は強い。ほら、さっさと行けよ」

つぼみ 「でも……でも……!!」

みつる 「……お前、たしか来海、って言ったよな? 花咲を頼む」

えりか 「……分かったっしゅ。あんたも、気をつけてよね」 ギュッ 「行くよ、つぼみ」 ダッ!!!

つぼみ 「えっ……!? ち、ちょっとえりか!? み、みつるくん……!!」


197:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 21:34:40.16 ID:caPyoPm60
タタタタタ……

つぼみ 「えりか!! 放してください!! みつるくんを置いて逃げるっていうんですか!?」

えりか 「そうだよ。あたしたちはみつるくんをあそこに置いて、二人で逃げるんだよ」

つぼみ 「そ、そんなの……!! そんな、卑怯なことを、どうし――――」

えりか 「――――卑怯なことでも!!!」

つぼみ 「……!?」

えりか 「……たとえ、卑怯なことでも、今はそうしなきゃいけないんだよ!!」

グスッ

つぼみ 「えりか……?」 (泣いてるのですか……?)

えりか 「……つぼみ、思い出して。あたしたちが今するべきことって何?」

えりか 「今のあたしたちはただの人間なんだよ。プリキュアじゃないんだよ」

えりか 「悲しいけどさ、悔しいけどさ、今のあたしたちにできることなんてないんだよ」

えりか 「卑怯でもいい。汚くたっていい。それでも、今はこうしなきゃいけないんだよ」

えりか 「この異常事態をどうにかできるのは、プリキュアだけなんだよ……」

えりか 「……つぼみ、お願い。みつるくんのためにも、今は走って」


198:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 21:36:49.71 ID:caPyoPm60
つぼみ 「………………」

つぼみ 「……ごめんなさい、えりか。わたしが間違っていました」

えりか 「間違ってなんかないよ。きっと、正しいのはつぼみだよ」

えりか 「……それでも、今はこうしなきゃいけない。あたしたちが、プリキュアになるために」

つぼみ 「……はい!!」

………………

みつる 「……さて、なんかよく分からないが、修行だと思えばいいか」

みつる 「あー……この分じゃ交流試合には間に合わないな。まぁ、異常事態だし、いいか」

『ヴオオオオオオオオ!!!』

みつる 「……だから行かせないっての」

――――――ッッッッッッドォォオッッッ!!!!

みつる 「……初恋の相手に良いところを見せられたことにだけは感謝するよ」

みつる 「だが、ここは絶対に通さない。覚悟しろよ?」

『ヴ、オ……オオオオオオオオオオ……!!!』

――――――――――――――――ッッッッッッッドッッッ!!!!


200:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 21:41:21.57 ID:caPyoPm60
………………こころの大樹

バニラ 「………………」

ハァ

バニラ 「……カッコつけて送り出したはいいものの、ひとりだと暇だなぁ」

バニラ 「こころの大樹のお世話でもしようかな」

ピューン

バニラ 「……元々は、とっても大きな木だったんだよね」

バニラ 「今は、まだ若々しくて細い木だけど……いずれ、昔みたいな大樹に戻るんだよね」

バニラ 「……僕は、プリキュアが砂漠の王を倒してから生まれた、初めての妖精」

バニラ 「まだ成長途中のこころの大樹から生まれた、弱い弱い不完全な妖精」

バニラ 「……ワガママは言えないよね。だって僕は、ポプリ先輩たちとは違う」

バニラ 「もうプリキュアを生み出す必要もない。ただ、大樹のお世話をするためだけに生み出された――」

バニラ 「――出来損ないの妖精、だもんね……」

グスッ

バニラ 「あっ……」 ゴシゴシゴシ 「な、泣いてどうするんだよ、馬鹿バニラ。しっかりしろ」


202:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 22:02:03.24 ID:caPyoPm60
ザワザワザワ……

バニラ 「……? 梢が、ざわめいている……?」

?? 『……バニラ……バニラ……聞こえますか?』

バニラ 「へ……?」 キョロキョロ 「だ、誰かいるのですか……?」

?? 『わたしです。目の前の、あなたが成長途中と言った、木です』

バニラ 「えっ……?」 ピョーン!!! 「こ、こころの大樹が喋った!!?」

大樹 『そう驚かないでください。あなたたち妖精とわたしは、心を通じ合わせることができるのです』

バニラ 「あ……そ、そうなんですか。そんなこと、今初めて聞きました」

大樹 『そんなことより、バニラ、不穏な影が迫っています。力を、貸してください』

バニラ 「え……? 不穏な影?」

大樹 『わたしの落ち度です。砂漠の使徒は……いえ、“砂漠” そのものが、まだ邪悪な意志を持っていたのです』

バニラ 「砂漠そのもの……?」

大樹 『力の弱まっているわたしにはあまり多くは分かりません。しかし……』

大樹 『……恐らく、何かが起きました。人類のこころの花が、急速に枯れていくのが感じられます』

大樹 『多くの心が、絶望し、悲観し、諦め、今まさに破滅の淵に立たんとしています』


204:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 22:04:26.92 ID:caPyoPm60
バニラ 「そ、そんな……!!」

大樹 『わたしはこころの大樹です。そんなことは、今すぐ止めなければなりません』

大樹 『コフレたちはもう希望ヶ花市に向けて飛び立ちましたね?』

バニラ 「あ……は、はい。多分、もう着いているころかと……」

大樹 『……ならば、あなたも希望ヶ花市に飛びなさい、バニラ』

バニラ 「えっ……? ぼ、僕もですか!? でも、こころの大樹、あなたは……」

大樹 『わたしならば心配はいりません。“砂漠” に気取られぬよう、結界を張りつつ世界を転々と旅します』

大樹 『“砂漠” に見つからぬよう気をつけます。だから、あなたは行きなさい』

大樹 『……大事な役目ですよ、バニラ。シプレたち、そしてプリキュアたちに伝えなさい』

大樹 『「“砂漠” の本拠地はアフリカ大陸のサハラ砂漠だ」 と……』

バニラ 「あ……は、はい……!! 絶対に、先輩たちとプリキュアに伝えます!!」

大樹 『……あなたの面立ちは、パートナーを守り消滅した、かの誉れ高き妖精によく似ています』

大樹 『あなたの双肩に世界の命運がかかっています。頼みましたよ、バニラ』

バニラ 「……はい!! 行ってきます!! こころの大樹!」


205:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 22:06:12.40 ID:caPyoPm60
………………希望ヶ花市

シプレ 「………………」

コフレ 「………………」

ポプリ 「………………」


「「「これはどうしたことですーーーーーーーーー!!?」」」


シプレ 「あ、ああああ辺り一面が砂漠になってしまってるですぅ!!」

コフレ 「これって……も、もしかしなくても……」

ポプリ 「砂漠の使徒の仕業でしゅーー!?」

シプレ 「? でも、砂漠の使徒はもういないですぅ」

コフレ 「確かにそのとおりですっ。でも、この惨状は六年前のあのときと同じです」

ポプリ 「考えるのは後でしゅ!! 今はいちゅきたちを探すでしゅよ!!」

コフレ 「そ、そうですっ!! 早くえりかたちを探して、なんとかするです!」

――――――ッッッドンン!!!

『ヴオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!』


206:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 22:09:03.06 ID:caPyoPm60
シプレ 「?」 チラッ 「――!? な、ななななななな……何ですかあれは!?」

コフレ 「? シプレ、どうかしたです?」 チラッ 「――何ですかあれはーーーーー!?」

ポプリ 「? ふたりともどうしたで、」 チラッ 「――しゅーーーーーーーー!!?」

「「「デザトリアンですーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!?」」」

『ヴオ……?』 ギョロッ 『ヴ……オ……ヴオオオオオオオオ!!!』

ドドドドドドドッッッッッッ!!!!!

コフレ 「ひ、ひぃぃいいいいい!! なんか追いかけてきたですーーーーっ!!!」

シプレ 「に、にににに逃げるですぅーーーーーーーーーーーー!!!」

ピューーーーーーーーーーーーーン!!!

ポプリ 「これはどういうことでしゅか!? ポプリに説明してほしいでしゅ!!」

シプレ 「そんなこと言われても困るですぅ!! わたしたちにも訳が分からないですぅ!!」

コフレ 「とにかく、えりかたちのところに急ぐですっ! 話はそれからですっ!!」

『ヴオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!』 ドドドドドドドドドドドッッッッ!!!!

「「「ひぃぃぃいいいいいいいいいいいいいいい!!!!」」」

ピューーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンンン!!!!


207:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 22:10:56.77 ID:caPyoPm60
――――――――――――――――…………………………………………

『……なるほど、考えたものだな、キュアフラワー』

フラワー 「………………」

『私の攻撃を完全に防御しきる力はない。ならば、余力あるうちにその攻撃を弾いてしまえばいい』

『……そういうことか。やってくれたな、キュアフラワー』

フラワー 「………………」 (攻撃の、大部分を……宇宙へ、逃がすことには、成功した……)

フラワー (けれど……地上にも、少なからず、攻撃が……)

『全世界が中途半端に砂漠化したか……まったく、厄介なことをしてくれた』

フラワー 「………………」

ガクッ

フラワー 「っ……」

『さしもの最強も限界か。だが、私もこれが限界だ。一度退くとしよう』

『――だが、キュアフラワー。貴様は危険すぎる』

ゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!


208:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 22:12:48.11 ID:caPyoPm60
フラワー 「ッ……!?」 (巨大な砂の腕……!?)

フラワー (ハートキャッチオーケストラと同等か……それ以上の力を感じるわ……)

『驚くな。これは私の身体のほんの一部に過ぎん』

『……こころの花を枯れさせることも、地上の完全な砂漠化も叶わなかったが、』

『貴様だけはここで完全に消滅させておく。覚悟しろ、キュアフラワー』

フラワー 「ふふ……たとえ私を滅したところで、何にもなりはしないわよ」

フラワー 「私は所詮、もう過去のプリキュア。本来の力の半分も出せない、老いぼれよ」

フラワー 「私が今ここで消えたとしても、当代のプリキュアがあなたを倒す。それは絶対よ」

『……ふふ……くくくく……』

フラワー 「……? 何が可笑しいの?」

『……まさかとは思うが、キュアフラワーよ、私がそんなことも考慮に入れていなかったとでも?』

フラワー 「どういう意味かしら?」

『決まっている。保険は二重三重にかけてあるのだよ』

フラワー 「保険、ですって……?」


209:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 22:16:55.45 ID:caPyoPm60
『サンドクラスタ……貴様が知っているデザトリアンと同じような存在が、先の攻撃の余波で生まれている』

『サンドクラスタは心つよき者とプリキュア、そして妖精を狙い攻撃する』

『砂漠化を見ても心が折れない存在やプリキュアたちを物理的に壊すためにな』

フラワー 「っ……何てことを……ッ!!」

『人類は砂漠化でこころの花を枯らす。心つよき者はサンドクラスタによって破壊される』

『そしてプリキュアは変身する前に、妖精共々始末する』

『……どうだ? 手も足も出まい? これが保険だよ、キュアフラワー』

フラワー 「………………」

フラワー 「……ふん、そんな程度でどうにかできると思わないことね」

フラワー 「人類も、プリキュアも、妖精も……そんなにヤワじゃないのよ」

『……ふむ。それが負け犬の遠吠えにならぬことを、草葉の陰から祈っているのだな』

ゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!

フラワー 「っ……」 ゼェ、ゼェ…… (あんな巨大な拳を、まともに喰らったら……)

フラワー (けれど、避けるわけにはいかない……わたしの背後には、希望ヶ花市がある……)

フラワー (未来がある、希望がある、夢がある……ならば、わたしのこの身体を盾にしてでも……!!)


210:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 22:22:10.78 ID:caPyoPm60
『“史上最強” の二つ名と共に、今ここで滅びろ、キュアフラワー』

『……――デザート・クラッシュ!!』

――――――ブゥンンンンンンンンンンンンッッッッ!!!!

フラワー 「………………」

フッ

フラワー 「……残念ね、“砂漠の意志”」

『……!?』

フラワー 「私がここで滅びたとしても、残念ながら “史上最強” は滅びることはないわ」

フラワー 「……だって、その称号は、私の孫娘と、その仲間たちに奪われてしまったんですもの」

ニコッ

『今際の際に世迷い言を!!』

フラワー (……ごめんね、つぼみ。えりかちゃん、いつきちゃん、ゆりちゃん)

フラワー (地球の未来……人類の未来……あなたたちに任せたわ)

フラワー (……あとは頼んだわよ。最強の意志を継ぐ……当代のプリキュアたちよ)

――――――――――――――――――――――――――――ドガァァァアアアアアアアッッッッッ!!!!!!


211:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 22:23:44.78 ID:caPyoPm60
………………植物園

ふたば 「………………」

ふたば 「……おばあちゃん、遅いなぁ」

ふたば 「どうしたんだろ。もう、お花の観察終わっちゃうよ」

ふたば 「………………」 スッ 「……もう一週、してみようかな」

トコトコトコ……

ふたば 「……おばあちゃん、コッペ様……早く戻ってこないかな」

ふたば 「ん……? あれ?」

――――キラキラキラ……

ふたば 「……こんなところに、こんなお花、咲いてたっけ?」

ふたば 「これは、えーっと……あ、そうだ、スズランだ」

ふたば 「……すごい。スズランの白い小さなお花が、いっぱい咲いててとってもきれい」

ガサッ……!!!

ふたば 「――!?」 ビクッ


212:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 22:25:30.20 ID:caPyoPm60
ふたば 「だ、だ、だだだ、誰……? 誰か、いるの……?」

?? 「う……あ……」

ふたば (……? きれいな声……)

ふたば 「っ……」

ガサガサ

ふたば 「……!?」 (スズランの繁みの中に……わたしと、同い年くらいの、女の子……?)

?? 「……う………」

ふたば 「ね、ねえ、大丈夫? 起きて? 起きて!!」

?? 「ん……あ……」

――パチッ……

?? 「……ひ、かり……? あ……明るい……」

ふたば 「え……?」

?? 「っ……あ……君、は……誰……?」

ふたば 「わたし? あ……わたしは、ふたば。花咲ふたば」

?? 「ふたば……? ふたば……」


217:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 23:04:18.81 ID:caPyoPm60
ふたば (とってもきれいな真っ黒の髪……すごい)

ふたば 「……あの、あなたは、誰?」

?? 「私……? 私、は……私は、誰……?」

ふたば 「分からないの?」

?? 「分からない……いや、何だ……私は……」

――――――ズキッ……!!!

?? 「ッア……!? がっ……あ、頭が……」

ふたば 「だ、大丈夫!? 無理しないで!!」

……ギュッ!!

?? 「あ……温かい、手……」 ギュッ 「大丈夫……大丈夫、だ……」

?? 「だが、すまない。私は、私が誰なのか、まったく思い出せない」

ふたば 「……記憶そーしつ、なの?」

?? 「分からない……何も、分からないんだ……。すまない」

ふたば 「あっ……い、いいよ! そんな、謝らないで!!」

ふたば 「歩ける? ちょっと、ベッドまで行こうか」


218:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 23:06:09.75 ID:caPyoPm60
………………植物園 休憩室

?? 「……何から何まで、すまない。ありがとう、ふたば」

ふたば 「ううん。困ったときはお互い様だって、お姉ちゃんに教えてもらってるから」

?? 「お姉ちゃん……? お姉ちゃん……妹……」

ふたば 「? どうかしたの?」

?? 「いや……何でもない」

ふたば 「でも、あなたはいつの間にあそこに来たんだろう」

ふたば 「わたしがさっき、植物園中を見て回ったときは、いなかったのに」

?? 「分からない。気づいたら、目の前にふたばがいた。その前の記憶が、ない」

ふたば 「そっか……」 クスッ 「うん、いいよ。思い出せたら教えてくれれば」

?? 「ああ……ありがとう」

ふたば 「ふふ、さっきからごめんとありがとうばっかりだよ、えーと……」

ふたば 「……やっぱり、名前がないと不便だね」

?? 「そうか……すまない」

ふたば 「だから謝らないでってば」


221:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 23:07:32.16 ID:caPyoPm60
?? 「あ……ごめん」

ふたば 「はは……いいよ。えーっと……じゃあさ、もし良かったらなんだけど、」

ふたば 「――わたしがあなたの名前をつけてもいいかな」

?? 「私の、名前を……ふたばが?」

ふたば 「うん。もちろん良かったらでいいし、本当の名前を思い出せるまでだけど」

ふたば 「どうかな?」

?? 「……ああ、頼む。私も、なぜだか分からないが、ふたばに名前をつけてほしい」

ふたば 「うん! じゃあ決まりだね。うーん……どんな名前にしようかな」

?? 「………………」

ふたば 「………………」

――ポン!!

ふたば 「……決めた。あなたにぴったりの名前、見つけたよ」


ふたば 「――――すずらん。あなたの名前は、すずらんちゃん」


?? 「すずらん……?」


223:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 23:09:32.84 ID:caPyoPm60
ふたば 「うん。あなたが倒れていた近くに咲いていた、きれいな白いお花だよ」

ふたば 「あなたのとっても白くてきれいな肌にぴったりな名前だと思うんだ」

?? 「すずらん……すずらん……すずらん……」

ふたば 「……あ……嫌、だったかな……?」

?? 「……とんでもない。良い名前だ。ありがとう、ふたば」

すずらん 「この名前を大事にする。私は今から、すずらんだ」

ふたば 「うん。よろしく、すずらんちゃん」

すずらん 「ああ。よろしく、ふたば」

ふたば 「……?」 (あれ……? わたし、普通に喋れてる)

ふたば (怖くない……同い年くらいの子なのに……)

ふたば (何でだろう……なんか、お姉ちゃんたちと一緒にいるみたいで、安心する……)

すずらん 「? ふたば? どうかしたのか?」

ふたば 「え? う、ううん、何でもないよ、すずらんちゃん」

ふたば 「それより、すずらんちゃん、何だか疲れてるみたいだから、目を閉じて休んでて」

すずらん 「ああ……すまないが、そうさせてもらおう。一眠り、したいんだ……」


224:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 23:11:15.44 ID:caPyoPm60
………………花咲家

つぼみ 「――お母さん!! お父さん!!」

つぼみ 「……いない、ですか……」

つぼみ 「わたしとふたばを探しに行ったのでしょうか……」

つぼみ 「ごめんなさい、お母さん、お父さん」

つぼみ 「………………」 ギュッ 「……今は、くよくよしてる場合じゃないですね」

つぼみ 「……メモだけ残しておこう」

トトトトト……

つぼみ 「……わたしの部屋の、机の引き出しの中」

つぼみ 「……なつかしい。大事にしまっておいたから、触るのは本当に久しぶり」

つぼみ 「ココロパフューム……わたしの、わたしたちの……大切な宝物」

『つぼみーーーーーー!! ココロパフュームあったーーーー!?』

つぼみ 「えりか……」 ガラッ 「はい、見つかりました。えりかもありましたか?」

えりか 「うん! 長居は無用っしゅ! 行こう!!」

つぼみ 「はい! 行きましょう! えりか」


225:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 23:13:23.01 ID:caPyoPm60
………………明堂院家

いつき 「お母様!!」

つばき 「!? いつき!!」

いつき 「良かった……ご無事だったのですね」

つばき 「いつきこそ……無事で良かった……」

いつき 「お兄様とハヤト君に助けてもらいました。いつきは大丈夫です」

つばき 「わたくし、もう、何が起こっているのか分からなくて……」

いつき 「お母様……」 ギュッ 「大丈夫。大丈夫です。すぐにお日様が見えるようになります」

いつき 「……そうしたら、ヒーローが現れます。そのときまで、耐えてください」

つばき 「いつき……。そうね、ごめんなさい。娘に泣きついてしまうようじゃ、母親失格ね」

厳太郎 「……そんなことはない。支え支えられ、お互いを助け合う、それが家族だ」

いつき 「お、おじいさま……」

厳太郎 「空気が揺らいでおる。何か、良くないものが間近まで迫っているようだ」

厳太郎 「あの砂の怪物だけでない、もっと大きな悪意が……」


226:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 23:17:05.45 ID:caPyoPm60
いつき 「………………」 グッ 「っ……お、おじいさま、あの――」

厳太郎 「皆まで言うな。分かっておる。成すべきことがあるのだろう?」

いつき 「えっ……? ど、どうして……」

厳太郎 「準師範といえど、弟子は弟子だ。分からぬことなどない」

ニコッ

厳太郎 「ここは儂と熊本たちで守る。いつき、お前はお前の成すべきことを成してこい」

いつき 「は……はい!!」

つばき 「……いつき、気をつけて」

いつき 「お母様……はい!! 気をつけて行ってまいります!!」

――――――ダッ……!!!

つばき 「いつき……」

厳太郎 「心配するな。あの子は強い。身体も、心も……おそらくは儂よりもな」

つばき 「……はい」


227:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 23:19:02.09 ID:caPyoPm60
………………団地 月影家

春菜 「………………」

春菜 「……ゆりちゃん」

――――ガチャッ!!

ゆり 「お母さん!!」

春菜 「!? ゆりちゃん……!! 良かった……」

ギュッ

ゆり 「……ごめんなさい、お母さん。心配をかけてしまって」

春菜 「ううん。いいの。いいのよ……ゆりちゃんが無事なら、それで」

ゆり 「お母さん……」

ゆり 「………………」 グッ 「……お母さん、あのね――」

春菜 「――ゆりちゃん、」

ゆり 「え……?」

春菜 「……親っていうのはね、子どもが幸せでいてくれればいいの」

春菜 「だから、本当は心配だけど……ずっと傍にいてほしいけど、そうは言わないの」


228:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 23:24:15.41 ID:caPyoPm60
ゆり 「お母さん……?」

春菜 「……子どもが親の心配なんてするものじゃないわ」

春菜 「親が子どもを心配するのよ。それこそ、些細なことでも。くだらないことでもね」

春菜 「だから、私のことを思って何かを思いとどまるなんてことはしないでちょうだい」

スッ

ゆり 「!? こ、これ……わたしの、プリキュアの種……」

春菜 「ゆりちゃんの大切なお守りでしょう? 持っていきなさい」

ゆり 「……お母さん……お母さん……っ」 グスッ 「おかあ、さんっ……」

春菜 「あらあら、ゆりちゃんはお友達の間では頼れるお姉さんなんでしょう?」

春菜 「泣いたりしたらダメじゃない」 ニコッ 「……さ、涙を拭いて」

ゆり 「……うん」

春菜 「……さ、行ってらっしゃい。お母さんのことは心配しなくても大丈夫だから」

春菜 「けど、ひとつだけ約束して、ゆりちゃん」

ゆり 「………………」

春菜 「絶対に……絶対に、帰ってきてね」


229:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/29(金) 23:28:52.16 ID:caPyoPm60
ゆり 「……うん。約束する。私、絶対に帰ってくるから」

春菜 「ん。待ってるわ」

ゆり 「……あのね、お母さん」

春菜 「なぁに?」

ゆり 「帰ってきたら……お話することがあるの。私と……こころの大樹と、お父さんの話……」

ゆり 「ずっと、お母さんに内緒にしてた。この世界のこと……お父さんのこと」

ゆり 「ごめんね。帰ってきたら、ちゃんと話すから。荒唐無稽で、信じられない話かもしれないけど」

ゆり 「きちんと、お母さんに話すから」

春菜 「……ゆりちゃんは優しいのね。私のために、内緒にしてくれていたのね」

ゆり 「………………」

春菜 「……大丈夫。私は大丈夫よ。ゆりちゃんがいてくれれば、私は大丈夫」

春菜 「ありがとう、ゆりちゃん。……行ってらっしゃい」

ゆり 「うん、お母さん。行ってきます」

――――――タッ……!!

春菜 「……あなた、どうか、」 ギュッ 「どうか、私たちの娘を守ってあげてね……」


235:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 00:01:45.49 ID:OiAmU/mr0
………………

タタタタ……

えりか 「急ごう、つぼみ!! 早くプリキュアになって、こんな馬鹿げたこと、終わらせなくちゃ!」

つぼみ 「はい!! 緑溢れる大地を、キラキラと輝く世界を……取り戻しましょう!!」

………………

タタタタ……

いつき 「……ゆり、お母様は……?」

ゆり 「……問題ないわ。笑顔で送り出してもらったから」

いつき 「そっか……」

ゆり 「……ごめんなさい。気を遣わせてしまったみたいね、いつき」

いつき 「………………」

ゆり 「でも、大丈夫だから。私には……あなたと、つぼみと、えりかがいる……」

ゆり 「大切な友達……仲間がいるから。もうひとりじゃない。だから、大丈夫。もう何も失わない」

いつき 「……うん!!」 グッ 「急ごう、ゆり。この世界を、人々の心を……もう一度守るんだ」

ゆり 「ええ。こころの大樹の戦士、プリキュアとして……この世界に輝きを取り戻すわよ!」


236:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 00:02:57.00 ID:OiAmU/mr0
………………明堂院流道場

熊本 「――――ッハァァアア!!!!!」

ズドォォオオオオッッッ……!!!!

『ヴ……ア……』

熊本 「……ふん。弱いわ。その程度でこの熊本を倒せると思うとるとは、片腹痛いわ」

子供1 「はぁ……すごい。やっぱり熊本先生は強いや」

熊本 「この程度は強い言うに入らんわ」 ニッ 「お前たちでも倒せるくらいじゃきぃ」

熊本 (……しかしこうもしつこいと面倒だ。大元を潰す必要があるぜよ)

――――――ザッ……!!!

熊本 「!? 新手か!?」

?1 『……ふん、そういちいち身構えるモンではないぜよ。弱く見えるじゃきぃ』

熊本 「……ッ!?」 (な、なんだ……コイツは……!?)


237:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 00:04:35.17 ID:OiAmU/mr0
………………希望ヶ花市 チャペル

花嫁 「一体……何が起こってるの……?」

花婿 「大丈夫。大丈夫だ。何か分からないけど、何があろうと君は僕が守る」

花嫁 「……うん」

――――ズゾゾゾゾゾゾッ!!!

花嫁 「き……キャーーーーーーーーーーーーーー!!!!」

花婿 「っ……こいつ……ッ」

――バッ!!!

花婿 「早く逃げるんだ!! 僕がコイツを食い止める!!」

花嫁 「む、無茶よ、そんなの……死んじゃう……」

花婿 「……君を守って死ねるなら本望だよ」 ニッ 「……早く逃げろ!!」

花嫁 「いや……そんなの……誰か……」

グスッ

花嫁 「――――――誰か助けて!!!」

―――――――――――――――――――――――シュシュシュシュシュンンンンン!!!!


238:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 00:05:55.75 ID:OiAmU/mr0
花嫁 「えっ……? か……カード……?」

?? 「美しい。素晴らしいとしか言いようがない。ああ……トレビアンだよ、本当に」

?? 「お互いを想い合い庇い合う……なんという美談だろうか」

?? 「……しかし悲しいかな。それが悲劇ということだけが、ネックになる」

花嫁 「あ……あなたは……ドレスのデザイナーの、古布さん……?」

『ヴオ……? ヴオオオオオオオオオオオオオオオ!!!』

花婿 「あっ……危ない!!! よ、避けて――――」

古布 「――――だが、ならばその悲劇を最高のハッピーエンドに変えようじゃないか」


――――――ザザザザザザンンンンンン!!!!


古布 「……真の美しさは幸せにこそ宿る。今の僕はそれを、知っているからね」

『ヴ……ア……』

花婿 「か、カードを投擲して……砂の怪物を、倒した……」

古布 「さぁ、奥に避難してください、花嫁様と花婿様。ここは僕が守ります」

花婿 「あっ……は、はい!! ありがとうございます!!」


239:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 00:07:08.37 ID:OiAmU/mr0
………………

古布 (……何だろう。この、胸のモヤモヤとした感じは)

――――――シュシュシュシュシュンンンンン!!!!

『ヴア……』

古布 (まるで、この状況が僕を苦しめているようだ……罪悪感が湧いてくる)

古布 (一体、何が……)

――――――ザッ……

古布 「!? 新手か!?」

?2 『ふふ、そう驚かないでくれよ。美しくない』

古布 「なっ……!? き、君は……!!」

?2 『……だから驚くなと言っているだろう。本当に美しくないな』


240:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 00:08:21.88 ID:OiAmU/mr0
………………希望ヶ花市 公園

『ヴオオオオオオオオオ』

『ヴアアアアアアアアア』

女の子 「ふぇ……ふぇぇえええ……」

男の子1 「こ、この!! あ、あっち行け!! こっちにくるな!!」

男の子2 「っ……なんなんだよ……うぅ……」

『ヴアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!』

女の子 「うっ……うぅぅぅ……怖いよ……おかあさん……おとうさん……」

女の子 「せんせぇ……ノリコせんせぇ……っ……りなせんせぇっ……たすけてっ……」

――――――――ズドオォォオオオオオッッッッ!!!!

『ヴオ……ア……!?』

女の子 「へ……?」

?? 「……遅く、なって……ごめんね、みんな」 ニコッ 「もう、大丈夫よ」

女の子 「あ……!! りなせんせい!!」

佐曽 「……間に合って、良かった……みんなが無事で……本当に、良かった……」


242:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 00:10:15.03 ID:OiAmU/mr0
『ヴオ……アアアアアアアアアアアアアア!!!』

男の子1 「ひっ……またくるよ……!!」

佐曽 「ふふ、大丈夫よ。みんな、先生の後ろにいなさいね」

ザッ……!!!!

佐曽 「よくもまぁ……私の可愛い園児たちに、怖い思いをさせてくれたわね……!!」

佐曽 「――――幼稚園の美人な先生、舐めるんじゃ……ないわよッッッ!!!!」

――――ッッッッッッッドッッッ!!!!!

『ヴ……オ……』

佐曽 「……ふん、他愛もないわねぇ。こんな簡単に崩れちゃうなんて、情けない」

佐曽 「私が砂漠の使徒だった頃はもう少し骨があっ――――」 ハッ 「……砂漠の、使徒……?」

佐曽 (なに……? 私、何かを思い出そうとしてる……?)

女の子 「先生……?」

佐曽 「あ……だ、大丈夫よぉ! さ、早くみんなで安全な場所に避難を――」

?3 『――それには及ばないわぁ。どうせ無駄になるんですもの。ふふ』

佐曽 「!? 誰!?」 チラッ 「……げっ! へ、変な人ぉぉおおお!!」


243:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 00:13:39.92 ID:OiAmU/mr0
?3 『なっ……変な人とは失礼しちゃうわねぇ!』

女の子 「……変な人だよ」 男の子1 「変な人だ」 男の子2 「変な人だよね」

    「変な人すぎるよ」 「っていうか変だよ」 「変じゃないところがないよ」

?3 『き、きぃぃいい!! 生意気なガキ共ねぇ!!』

佐曽 「っ……」 スッ 「……あなた、何者? 普通の人には見えないけど」

佐曽 (というか……なんだろう、この嫌な感じ……こいつ、誰かに、似てる……?)

?3 『……あらぁ、あんたがそれを聞いちゃうの? 佐曽……りなさん、だっけ?』

佐曽 「なっ……何故私の名前を知っているの!?」

?3 『そりゃあ知ってるわよぉ。当たり前でしょう?』

?3 『だって私は……――――』


?1 『俺は……――――』


?2 『僕は……――――』


?3 『――――――……あんただもの』    ニィイ


244:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 00:15:29.85 ID:OiAmU/mr0
………………希望ヶ花市 丘

えりか 「――いつき! ゆり!」

いつき 「えりか!! つぼみ!!」

つぼみ 「はっ……はっ……も、もう走れません……」

ゆり 「がんばったわね、つぼみ」 スッ 「……これで、準備はできたわ」

えりか 「うん……あとは、この場所にコフレたちが来てくれれば……」

いつき 「……来て、くれるかな。ポプリたち、異常事態に気づいてはくれているだろうけど……」

ゆり 「……あの子たちがこの場所に来てくれるかしら……」

つぼみ 「――――来てくれます。絶対!!」

えりか 「つぼみ……?」

つぼみ 「何の保障もありません……間違っているかもしれません……」

つぼみ 「でも、何となく思うんです…… “ここ” だって。ここにいれば、シプレたちが来てくれるって」

つぼみ 「……だって、ここは……わたしがシプレとコフレと初めて出会った、思い出の場所だから」

つぼみ 「だから、絶対に……――――――」

「「「――――たすけてですぅうううーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」」」


245:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 00:18:45.02 ID:OiAmU/mr0
つぼみ 「……!」 ガクッ 「……せっかく格好つけてたのに、台無しです」

えりか 「この間抜けな声は……」 ハァ 「まったく、空気も何も読まないというか……」

ゆり 「あら、あの子たちらしいじゃない」 クスクス

いつき 「はは、まったくだ――――」 ハッ 「ってそんなこと言ってる場合じゃないよ!?」

つぼみ 「そうでしたーーーーーーー!!! 今 『たすけて』 って言ってましたよね!?」

ゆり 「………………」 キリッ 「……行くわよ、みんな」 タッ!!

えりか (ゆりはこういうとき簡単にキメ顔に戻れるからずるいっしゅ……) ダッ!!

………………

ピューーーーーーーンンン!!!

ポプリ 「ほ、本当に、いちゅきたちはこの場所に来てくれるでしゅか……?」

コフレ 「絶対絶対ぜぇええええったいですっ!! つぼみは絶対この場所に来るですっ!!」

シプレ 「そうですぅ。つぼみなら絶対にこの丘にやって来るはずですぅ」

『ヴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!』 ドドドドドドドドドドドッッッッ!!!

シプレ 「でもその前にあれを何とかしなきゃですぅ!!」

ポプリ 「あぅ……誰か助けてでしゅーーーーーーーーーーーーー!!!」


252:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 01:06:50.39 ID:OiAmU/mr0
――――――ボフッ!!

ポプリ 「あう!?」

ヨロヨロ……ペタリ

シプレ 「あ、ポプリ!! 叫ぶときに目を瞑ったりするからですぅ!!」

コフレ 「ポプリ!! ポプリ!! 枝にぶつかったくらいでへこたれるなですっ!!」

ポプリ 「あうあう……ポプリ、もう限界でしゅ……」

『ヴオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!』

シプレ 「ひぃぃ!? ふ、踏み潰されるですぅ……!! つ、つぼみぃぃい……」

コフレ 「え、えりかぁああああああああああああああああああ」

ポプリ 「いちゅきぃいいいいいいいいいいい」

「「「ゆりさぁあああああああああああああああああああああんんん」」」

――――――――ザザザァァアアアアアッッッ!!!

シプレ 「え……?」 (これは、懐かしい……)

コフレ 「あ……っ」 (温かくて頼もしい……)

ポプリ 「でしゅ……?」 (大好きな、手……)


253:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 01:08:20.39 ID:OiAmU/mr0
えりか 「……なんか、ゆりを呼ぶときが一番大声だった気がしてちょっと妬いちゃうなー」

つぼみ 「え、えりか……そんなことはなかったと思いますけど……」

いつき 「気にしすぎだよ。ねぇ、ポプリ?」

ゆり 「……ともあれ、みんな無事で良かったわ」

シプレ 「……わたし……っ、たちは……信じてたですぅ」

コフレ 「はいですっ。僕らは、みんなが絶対に、来てくれるって……っ」

ポプリ 「信じて……っ、た……でしゅ……」

つぼみ 「わたしたちも信じていましたよ。みんなが、ここに来てくれるって」

えりか 「だから泣かないの。ほら、コフレ、あんたは男の子でしょうが」

いつき 「はは……ポプリは相変わらず泣き虫だなぁ」

ゆり 「……ありがとう、妖精たち。私たちのために、危険を顧みずやって来てくれて」

ゴシゴシゴシ……

シプレ 「はいですぅ! ゆりさん、受け取るですぅ!!」

パァァアア……ポン!!

ゆり 「ココロポット……。ありがとう、シプレ」


254:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 01:09:31.11 ID:OiAmU/mr0
『ヴオ……?』

ガサガサガサ……!!!

えりか 「あっ……アイツ、あたしたちを探してるよ!」

いつき 「見つかるのも時間の問題だね」

ゆり 「……まぁ、そもそもやることなんて一つしかないのだけれどね」

つぼみ 「ええ、その通りです」 ギュッ 「……やりましょう、皆さん!!」

「「「「「「「おーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」」」」」」」

『ヴオ!? ヴオオオオオオオオオオオオオ!!!!!』

いつき 「あ、居場所がばれた」

えりか 「つ、つぼみの天然のせいだよ!!」

つぼみ 「そんなぁ……みんなも乗ってくれたじゃないですかぁ!」

シプレ 「そんなこと言い合ってないで、早く変身するですぅ!!」

コフレ 「ほら早くするですっ!! まさか変身の仕方を忘れたなんて言わないですよね!?」

ポプリ 「ええっ!? 本当でしゅか!?」

ゆり 「……まさかそんなはずないでしょう?」 フゥ 「……さ、おふざけはここまでにして、行くわよ」


255:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 01:12:02.46 ID:OiAmU/mr0
――――――ザッ!!!!


「「「プリキュアの種、行くですーーーーーーーーーーーー!!!!」」」


『ヴオ……!!?』


「「「「プリキュア!!! オープン・マイ・ハートッッ!!!!!」」」」


――――――――ガシャッッッッ!!!!!!


つぼみ (……さぁ、来てください、かつてのわたし。あのときの、わたし)

えりか (懐かしいな……たった六年前のことなのに、なんか遠い昔のことみたい)

いつき (僕は……みんなに出会って、そしてプリキュアになって、変われた。だから今一度……)

ゆり (……コロン、お父さん、それから……私の妹……力を、貸してね……)

つぼみ (さぁ) えりか (行こう) いつき (戦いの) ゆり (始まりよ)


――――――――カッッッ……!!!!


パァァァアアアアッ……!!!!


257:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 01:13:45.37 ID:OiAmU/mr0
(わたしは、たくましく生き、可憐に咲く花のようになりたいと思った)

「……大地に咲く一輪の花!! キュアブロッサム!!」

(あたしは、海のように、心広く伸び伸びと生きたいと思った)

「……海風に揺れる一輪の花!! キュアマリン!!」

(わたしは、人々の心を照らし、守る、明るいお日様のようになりたいと思った)

「……日の光浴びる一輪の花!! キュアサンシャイン!!」

(私は、いかなるときも冷静で物静かな、月のようになりたいと思った)

「……月光に冴える一輪の花!! キュアムーンライト!!」

(そう、そしてわたしたちは……)

(お互いを助け合い、想い合い……)

(ずっと、戦ってきた……)

(人々の心を見守り、戦い、助ける、この名を背負って……)

「「「「――――ハートキャッチプリキュア!!!」」」」

コフレ 「プリキュア、完全復活ですっ!!」

シプレ 「さぁ、ちゃっちゃとやっちゃうですぅ!!」


259:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 01:20:53.10 ID:OiAmU/mr0
………………明堂院流 道場

熊本 「ッ……!?」 ギリッ 「お前が……俺、じゃと……!?」

熊本 (な、何ぜよ……この頭痛は……頭が、かち割れそうじゃ……!!)

?1 『ああ、その通りぜよ。俺はお前。お前は俺だ』

クモジャキー 『……正しくは、クモジャキーと呼ばれていた頃のお前、だがな』

………………チャペル

古布 「一体……ッ……何を言っている……!!」

コブラージャ 『安心してくれたまえ。すぐに分かるさ』

………………公園

佐曽 「ッ……あ……ど、どういう、こと……かしら……!?」

サソリーナ 『すぐに分かるって言ってるじゃなぁい。その頭痛が何よりの証拠よぉ』

サソリーナ 『……さぁ、思い出しなさい。あなたがサソリーナと呼ばれていた頃のことを』

佐曽 「っ……あ……あああああああああああああああああああああああ!!!!」


260:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 01:22:06.97 ID:OiAmU/mr0
………………上空

『……ふむ。避けようと思えば避けることもできたであろうに』

『デザート・クラッシュが直接地上に当たることを厭ったのか』

『どこまでも使命に忠実だな、キュアフラワー。己の身体を盾にしてまで地球を守るとは』

『しかし、デザート・クラッシュをまともに喰らい、この高さから地表に叩きつけられたのだ』

『……さしものキュアフラワーも生きてはいまい』

――――――キィィィ……

『む……? ッ!?』

フラワー 「あれ……わ、わたし……」

?? 「………………」

『きっ……貴様はッ!!』

フラワー 「空、さん……?」 ハッ 「こっ、ぺ……?」

空 「………………」 コクッ

『……キュアフラワーの妖精か。さすが、強大な力を持っている。貴様がデザート・クラッシュを防いだのか』

空 「………………」 キッ


261:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 01:22:48.72 ID:OiAmU/mr0
フラワー 「……コッペ、どうして……?」

空 「………………」

フラワー 「……バカ。バカ……」 グスッ 「……ありがとう」

『……くだらぬ。ただ一度攻撃を凌いだ程度で図に乗るな、妖精如きが』

空 「………………」 ビキッ 「……ッ!?」

『ふん……こちらも “右手” が崩れたが、貴様も身体にガタが来ているようだな』

空 「………………」

フラワー 「コッペ……」

『それでもなお逃げぬか。ならばさっさと潰してしまおう』

ゴゴゴゴゴゴゴゴッ……!!!

『私もそろそろ砂漠に帰らなければならない。もう、終わらせよう』

『さようなら、キュアフラワー。そして、その妖精よ』

ブゥンンンンン!!!!

―――――――――― 「サンフラワー・イージスッ!!!!」

ガッッッッッ……!!!!!


262:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 01:23:54.49 ID:OiAmU/mr0
『なにッ!?』

キィィィイイイイイイイイ……

フラワー 「あ、あなたたち……」

コッペ 「………………」

ブロッサム 「おばあちゃん、無事で良かった……」

マリン 「まったくさぁ、もう現役じゃないんだから、あんまり無理しないでよ」

ムーンライト 「すみません、キュアフラワー。遅くなりました」

『っ……貴様らは……ッ!!』

サンシャイン 「……見れば分かるだろう? 当代の、プリキュアだよ」

『ッ……!!』

ザザザザザッッッッ!!!!!!

ムーンライト 「!?」 (気配が消えていく……!?)

ブロッサム 「逃げるつもりですか!!」

『さすがにこれ以上の疲弊は避けたいのでな。一旦引かせてもらおう』

マリン 「卑怯よ!! 姿を現してあたしたちと戦いなさい!!」


264:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 01:27:21.31 ID:OiAmU/mr0
『現状で貴様らと戦って勝てる可能性はゼロではないが高くはない』

『私は私の使命を確実に果たすために、手段は選ばん』

サンシャイン 「ッ……お前は何者だ!!」

『私は “砂漠の意志” 、砂漠そのものの意志を世界に体現する存在だ』

マリン 「さ、砂漠そのものの意志を世界にたっ……たい、げん……?」

ムーンライト 「砂漠そのものの意志……? そんなものが存在するとでも言うのかしら」

『貴様らがそれを否定するのか? 人々の心を見守るこころの大樹の意志に触れた貴様らが』

ブロッサム 「!? 何ですって……?」

『こころの大樹に人々の心を守る意志があるように、わたしにも意志がある』

サンシャイン 「その意志とやらが……こんな惨状を望んだっていうのか!!」

『そうだ。“砂漠の意志” は、全世界の砂漠化と人々のこころの花が枯れることを望んでいる』

ムーンライト 「……砂漠の使徒と同じ目的というわけね」

『当然だ。砂漠の使徒、そして砂漠の王・デューンは、私の端末としての役割を果たしていたのだからな』

ブロッサム 「っ……!! させません、絶対に……! そんなこと、絶対にさせません!!」

『ふん。ならば、せいぜい足掻くのだな、当代のプリキュアたちよ』


274:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 04:00:29.43 ID:OiAmU/mr0
マリン 「待ちなさい!! 逃げるな!!」

マリン 「――集まれ!! 花のパワー!!!」

キィィィイイイイ……!!!!

マリン 「マリンタクト!!」

バッ……!!!

マリン 「プリキュア!! ブルーフォルテウェイブ!!!」

――――――ッッッッッッッドンンン!!!!!

『む……!?』

ッッドォォォオオオオンンンンン!!!!

マリン 「や、やった……!?」

ムーンライト 「……いえ、どうやらダメージも与えられていないようね」

『……この程度か、プリキュア。とんだ茶番だな。今ここで潰すことも容易か』

マリン 「なっ……なんですって!?」

『否。藪をつついて蛇を出すわけにもいかぬか。おとなしく退散しておこう』

ブロッサム 「っ……!!」


275:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 04:01:33.38 ID:OiAmU/mr0
『そう睨むな。私はすぐに戻ってくる。本当の破滅を与えるためにな』

サンシャイン 「……来るのを待っているわたしたちだと思うな」

サンシャイン 「こちらから出向く。そして、その心の闇をわたしたちの光で照らしてみせる」

『ふん。ならばこの私を、この広い世界で見つけてみせるのだな』

ザザザザッ……!!!!

『それでは、また会おう、プリキュアたちよ』

――――――フッ……

サンシャイン 「……!?」 (気配が一瞬にして消えた……)

マリン 「っ……逃がさないわよ!!」

――ガシッ

マリン 「!? ムーンライト……?」

ムーンライト 「深追いをするのは危険よ。それに、ヒントも何もなければ見つけられないわ」

ムーンライト 「私たちは “砂漠の意志” とやらの姿形も知らないのよ?」

マリン 「そりゃあ……そうだけどさ……」

ムーンライト 「気持ちは分かるわ。けれど今は抑えなさい」


276:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 04:03:33.96 ID:OiAmU/mr0
マリン 「……うん、ごめん、ムーンライト。その通りだね」

ブロッサム 「おばあちゃん……コッペ様……大丈夫ですか?」

フラワー 「ええ、大丈夫よ。みんな、ありがとう」

空 「………………」 コクッ

フラワー 「……わたしは大丈夫だから、下で暴れているサンドクラスタの対処をお願い」

サンシャイン 「サンドクラスタ……? あの怪物のことですか?」

フラワー 「ええ。“砂漠の意志” がそう呼んでいたのよ」

………………

『やはり、使命を帯びた戦士ひとり程度では、意志そのものは止められぬのだな』

『しかし誇るがいい、キュアフラワー。貴様はこの “砂漠の意志” の予定を狂わせた』

『……一度砂漠へ戻り、枯れ果てた力を取り戻さなければな』

『まぁいい。保険はサンドクラスタだけではない』

『当代のプリキュアが現れたところで脅威とはなりえない』

『“砂漠の意志” によって蘇った、砂漠の使徒の “意志” がお前たちを潰す』

『楽しみに待っているのだな、プリキュア』


277:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 04:04:19.38 ID:OiAmU/mr0
………………明堂院流道場

熊本 「………………」

子供1 「く、熊本先生!! どうしたの!?」

クモジャキー 『ふん。どうやら思い出したようぜよ』

子供2 「先生!! 先生、しっかりして!!」

熊本 「俺、は……砂漠の、使徒の、大幹部……クモジャキー……」

クモジャキー 『そうぜよ。お前はかつて砂漠の使徒として、多くの心を枯らしてきた幹部ぜよ』

………………チャペル

古布 「……なるほど、ね。思い出したよ。全て」

古布 「あれは夢でもなんでもなかった。全て現実だったんだね」

コブラージャ 『その通りだよ、僕。君は砂漠の使徒の大幹部だったんだ』

………………公園

女の子 「りな、先生……?」

佐曽 「私は……そう……そうだったわねぇ。私は、砂漠の使徒の大幹部だった……」

サソリーナ 『ええ、その通りよぉ。佐曽りな……いいえ、“サソリーナ”』


278:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 04:05:31.28 ID:OiAmU/mr0
サソリーナ 『記憶は完全に取り戻せたかしら? サソリーナ』

佐曽 「……ええ。思い出したわ。何もかも。全部をね」

佐曽 「けれど、砂漠の使徒としての私はあのとき完全に浄化されたはず……」

佐曽 「あなたは一体何者?」

サソリーナ 『言ったはずよ? あなた自身だと。あなたは私、私はあなただと』

佐曽 「………………」

サソリーナ 『そうねぇ……分かりやすく言ってしまえば、復活したあなたの “意志” といったところかしら』

佐曽 「……復活した私の “意志” ?」

サソリーナ 『ええ。正しくは、砂漠の使徒であったときのあなたの “意志” ね』

サソリーナ 『…… “誰もお見舞いに来てくれない”』

佐曽 「!?」

サソリーナ 『“健康に動き回れる人間が羨ましい。恨めしい。妬ましい”』

サソリーナ 『“ずるい……ずるいずるいずるいずるいずるいどうして私だけ私だけ私だけ――”』

佐曽 「――――やっ……やめてっ!!」 ガタガタ 「やめて……」

サソリーナ 『あら? でも、これは全部私の中に入っている、あなたの “意志” よ?』


279:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 04:06:20.23 ID:OiAmU/mr0
サソリーナ 『そしてあなたは望んだのでしょう? 自ら、砂漠の使徒となることを』

佐曽 「………………」

サソリーナ 『だから私はあなたに再びチャンスを与えに来たの』

サソリーナ 『もう一度砂漠の使徒として…… “砂漠の意志” を実行する手伝いをさせてあげるために』

佐曽 「もう一度、砂漠の使徒として……」

サソリーナ 『ええ、そうよぉ。あなたのこころの花を私に委ねなさい』

サソリーナ 『そうすれば、あなたと私が一つとなり、砂漠の使徒の大幹部、サソリーナが復活する』

サソリーナ 『……そしてもう一度、この世界を砂漠化するお手伝いをするのよ』

佐曽 「……この世界の砂漠化。全ての人間のこころの花を枯らせる」

女の子 「りな、先生……?」

佐曽 「また、砂漠の使徒として……戦う……」

サソリーナ 『……答えは出たかしらぁ?』

佐曽 「……ええ。答えなんて、最初から決まってるもの」

サソリーナ 『そう。なら、その身体という枷を外し、こころの花を私に寄越しなさい』

佐曽 「ええ」 ニコッ 「――――お断りするわ。大間抜け女」


283:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 07:03:35.86 ID:OiAmU/mr0
………………

コブラージャ 『なっ……なんだと……!?』

古布 「聞こえなかったかい? 断ると、僕はそう言ったんだよ」

コブラージャ 『なぜだ!? 君は……君の意志である僕が、世界の砂漠化を望んでいるんだぞ!?』

コブラージャ 『それを何故君が否定する!! どうしてだ!?』

古布 「……そんなのは決まってる。僕はもう砂漠の使徒じゃないからだ」

コブラージャ 『っ!? なんだと……?』

古布 「今の僕は一介のファッションデザイナーに過ぎないよ。それ以上でも未満でもない」

古布 「……砂漠の使徒としての “意志” なんか、持ち合わせちゃいないんだ」

コブラージャ 『っ……!! 君は本当にそう思うのか!? 美しいことを探究するのが君の使命だろう!?』

古布 「そうだね。僕は美しいものが好きだ。だから、美しいものを探し求め、自身の美の錬磨も怠りはしない」

コブラージャ 『ならば何故だ!! こころの花など、美を探求する上では邪魔にしかならないではないか!』

古布 「……こんな当たり前のことが、何故分からないのかな」

古布 「――君にこころの花を委ねてしまったら、僕は美しいものを美しいと感じることすらできなくなる」

古布 「……美しさを感じるのは心だよ。僕はそれを、教えてもらったからね」


284:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 07:04:43.68 ID:OiAmU/mr0
………………

クモジャキー 『貴様……ッ!! どういうことじゃ!!』

熊本 「強さの追求は、確かに俺の望みぜよ。それは砂漠の使徒でない今も変わらない」

クモジャキー 『ならば何故じゃと問うている!!』

熊本 「そんなことは決まりきっているぜよ」

熊本 「――心を捨てた先に、本当の強さなどは存在しないからだ」

クモジャキー 『!?』

熊本 「心が何を感じ、何を想うのか……それなくして強さを追い求めることなどできんぜよ」

熊本 「“何のために強くなるのか” ……心なくば、それを考えることもできんじゃきぃ」

熊本 「俺はそれを、教えてもらったじゃきぃ。砂漠の使徒に戻るわけにはいかんぜよ」

クモジャキー 『………………』

ジャキッ……!!!!

クモジャキー 『……なるほど、よく分かったぜよ。ならばお喋りはここまでじゃ』

クモジャキー 『貴様のこころの花、無理矢理にでも頂くぜよッッ!!』

――――ッッッッダンンンン!!!!


285:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 07:06:27.82 ID:OiAmU/mr0
熊本 「!?」 (速い……!?)

ッッッドッッ……!!!

熊本 「ぐッ……!!」 (そして、重い……ッ!!)

クモジャキー 『……どうしたぜよ? 本当の強さとはその程度のものなのか?』

ブゥンンンン――――――

熊本 (あの体勢から二撃目を……ッ!? 馬鹿な――――)

――――ッッッッッドォォオオッッ!!!

熊本 「がッ……!?」

クモジャキー 『……ふん、他愛もない。貴様が俺に勝てるわけがないじゃろうが』

クモジャキー 『今の貴様はただの人間。しかし俺は砂漠の使徒としてのお前』

クモジャキー 『戦闘能力の違いなど、わざわざ語る必要もないぜよ』

熊本 「っ……」

子供1 「せ……先生!!」

熊本 「……大丈夫、ぜよ……心配、するな」

クモジャキー 『ほう、まだ立つのか。無駄な足掻きを』


286:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 07:07:05.01 ID:OiAmU/mr0
子供2 「先生……っ……ダメだよ、死んじゃうよ……っ」

熊本 「ふん……お前たちの先生は、その程度で死ぬほどヤワではないぜよ……」

熊本 「……安心するぜよ。お前たちは俺が守る。今の俺の強さの理由は、お前たちだからな」

クモジャキー 『くだらんぜよ。守るための力とでもほざくつもりか? 貴様らしくもない』

熊本 「まったくその通りじゃきぃ、返す言葉もないぜよ。だがな、」

熊本 「……何故かは知らんが、コイツらの声を聞くと、姿を見ると、力が湧いてくるぜよ」

熊本 「負けられない。負けるわけにはいかないって……そう、思えるんじゃ!!」

クモジャキー 『……くだらん。虫酸が走るぜよ』 スッ……

クモジャキー 『闇に沈みダークな心に支配されるぜよ!! ダークブレスレット!』

バヂヂヂヂヂヂ……!!!

熊本 「!?」

クモジャキー 『……懐かしいじゃろう? ダークブレスレットの力は、貴様もよく知っているぜよ』

スッ……ブゥンンンンン!!!!

熊本 「光刃……!?」 (しかし、避けるわけには……!!)

――――ドガァァアアアアッッッ……!!!!


287:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 07:10:27.80 ID:OiAmU/mr0
………………

佐曽 「………………」 ガクッ 「っ……なんていうパワーなの……!」

女の子 「り……りなせんせいっ!!」

佐曽 「だ……大丈夫……大丈夫よ。先生は、強いんだから……」

サソリーナ 『あらあら、強がっちゃって。とてもそんな風には見えないけど』

サソリーナ 『あんたもダークブレスレットの力はよく知ってるでしょう?』

サソリーナ 『無駄な足掻きはやめなさいな。本当に無駄極まりないことなんだから』

サソリーナ 『力もないただの人間のくせに、いきがってるんじゃないわよ』

佐曽 「……たとえ――――ったって……」

キィィィィィィィィィィ……――――

サソリーナ 『……!?』 (ッ……!? この、不愉快な感覚は……!!)

佐曽 「力が、なくったって……守ってみせる……!」

佐曽 「守りたいから……この子たちを、守りたいから……力がなくったって……弱くったって……」

佐曽 「――――――守ってみせる!!!」

サソリーナ (こころの大樹の波動――――ッ!!?)


288:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 07:12:13.47 ID:OiAmU/mr0
――――――――――…………………………

――――――――カッッッ!!!!

佐曽 (これ、は……? 何……? 温かい光……)

熊本 (何ぜよ……? 地に足着かないのに……どこか、安らぐ……)

古布 (なるほど……これが、こころの大樹の……。美しい……)

『……あなたたちに、力を与えます』

『こころ強きあなたたちならば、使いこなすことができるでしょう』

佐曽 (……あんたが、こころの大樹……)

熊本 (強いな……声を聞いただけで分かる……)

古布 (そして美しい……これが、人々の心が育てる美か……)

『あなたたちが憧れる存在の力を、あなたたちに与えました』

『名乗りなさい……あなたたちがなりたい本当の姿を』

『そして、かつての自分の過ちを悔やんでいるのなら、』

『その力をもって、私とプリキュアたちに力を貸してほしいのです』


289:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 07:13:36.30 ID:OiAmU/mr0
………………

コブラージャ 『なんだ……この光の奔流は……!!』

コブラージャ 『不愉快だ……!! 一体、奴に何が……――――ッ!!?』

――――――バッ!!!!

古布 「……やあ、待たせたね。随分とまぁ、美しい僕に傷をつけてくれたけど……」

古布 「まぁその点に関しては構わない。傷ついた僕も美しいからね」

コブラージャ 『っ……何を……!!』

古布 「……僕はかつて数え切れない罪を犯した。だから、これはその償いの一貫だ」

古布 「何よりも美しい人の心を守る償いなんて、僕からすれば望むところなんだけどね」

古布 「こころの大樹……なかなか粋な計らいをしてくれるよ。まさかこんなことをしてくれるとは」

コブラージャ 『き、君は!! さっきから何を言っている!!』

古布 「そうか。君には感じられないのか、かつての僕の意志よ。残念だね。悲しいよ」

スッ……ゴォォオオオオ!!!

コブラージャ 『……!?』 (ブレスレット!? ダークブレスレット……違う、あの黄金の光は……!!)

古布 「……君の悪意という名の意志も、罪深き名も、僕のものだ。だから今ここで受け取ろう」


291:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 07:14:59.91 ID:OiAmU/mr0
キィィイイイイイイイイイイイイイイイイ……!!!!!!

古布 (僕は……本当の美しさを知った。美しきを感じられる心の美しさを知った……)

古布 「日の光の如く美しき力よ、この身に集え!! シャイニーブレスレット!!」

コブラージャ 「心の守護者、花の使徒が一人!! コブラージャ! 参ろう!!」

………………

熊本 (俺は……本当の強さを知った。何のために強くなるのかを考えさせられた……)

熊本 「海の如く荒ぶる力よ、この身に集うぜよ!! マリンブレスレット!!」

クモジャキー 「心の守護者、花の使徒が一人!! クモジャキー! 参るぜよ!!」

………………

佐曽 (私は……妬み、憎しみが何にもならないことを知った。想い合う大切さを知った……)

佐曽 「大地の如く揺るがぬ力よ、この身に集いなさい!! ブロッサムブレスレット!!」

サソリーナ 「心の守護者、花の使徒が一人!! サソリーナ! 参る!!」


292:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 07:16:20.07 ID:OiAmU/mr0
………………

サソリーナ 『なっ……なん、ですって……!?』

サソリーナ 「その名前、返してもらうわよ。忌み嫌うべき名前だけど、それが私を変えたのも事実なのよ」

サソリーナ 「そしてその名を名乗っていた時の罪も、私のもの。あんたなんかに渡してはおけないのよ」

………………

クモジャキー 『っ……貴様ァ!!』

クモジャキー 「これが俺の力ぜよ。こころの大樹が、罪を償う方法を提示してくれた」

クモジャキー 「さぁ、どうした? 俺のかつての意志。かかってこないのか?」

………………

コブラージャ 『やってくれたね……まさか、キュアサンシャインの力を得るとは……!』

コブラージャ 「これはそこまで上等なものではないよ。随分と簡素化されたシステムらしい」

コブラージャ 「だが、確かな力だ。悪いが、今の僕は君程度に負ける気がしない」

コブラージャ 『ッ……!! 調子に乗るなぁああああああああああああああああ!!!!』


――――――――――――――――――――――――――ッッッッドッッ!!!!!!!!!!


293:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 07:18:20.43 ID:OiAmU/mr0
………………超高高度

バニラ 「……うわぁぁあああ」

パァァア……

バニラ 「これが、世界……これが……これが、大空……」

バニラ 「綺麗だなぁ、気持ちいいなぁ……世界ってこんなに大きくて、心地良いものなんだ」

ピューーーーーーーーン!!!!

バニラ 「すごい……自由に飛ぶってこんなに気持ちいいことなんだ……」

バニラ 「こんなに自由なのは初めてだ……生まれてからずっと、大樹のお世話をしていたから……」

バニラ 「………………」

バニラ 「……そう、だよね。こんなことやってる場合じゃないよね」

バニラ 「早く希望ヶ花市に行って、先輩たちにこころの大樹からの伝言を伝えないと」

ザザザザザザ……!!!!

バニラ 「ん……? 何だ、あの黒い雲は……」

『む……? あれはまさか、新しい妖精か。ふむ……』

『……不確定事項は潰しておくべきか』


295:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 08:00:25.61 ID:OiAmU/mr0
………………植物園

すずらん 「………………」

スー……スー……

ふたば 「………………」

クスッ

ふたば 「きれいなお顔……本当にお人形さんみたい。かわいいなぁ」

すずらん 「ん……っ……」

ふたば 「……?」

すずらん 「……お、とう……さま……」

ふたば (寝言……? おとうさま……?)

すずらん 「お……ねえ、ちゃん……」

ふたば 「おねえちゃん……?」

すずらん 「っあ……」

パチッ

ふたば 「あ……」 ニコッ 「おはよう、すずらんちゃん」


296:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 08:16:49.63 ID:OiAmU/mr0
すずらん 「ああ……ふたば、おはよう……」

ツー……

ふたば 「!? すずらんちゃん!? どこか痛いの?」

すずらん 「え……? あ、いや、何だ……? 何で……」

すずらん 「……何で、涙が止まらないんだ」

ふたば 「あ、え、えーと……」 スッ 「は、ハンカチ、使って」

すずらん 「ああ……すまない。ありがとう」

ふたば 「……本当に、どこも痛くないの? 無理してない?」

すずらん 「大丈夫だ。ありがとう。ふたばは優しいな」

ふたば 「疲れは取れた?」

すずらん 「うん。寝たらスッキリした」

ふたば 「それと……何か思い出せた?」

すずらん 「………………」

フルフル

すずらん 「すまない。何も思い出せない。何か、夢をみていた気がするのだが……」


298:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 08:19:43.46 ID:OiAmU/mr0
ふたば 「あ、べつにいいよ! 責めてるわけじゃないから!」

アタフタ

ふたば 「そ、そうだ! お茶をいれてくるね! 美味しいハーブティー!」

ふたば 「おばあちゃんにいれかた教えてもらったんだ! とっても美味しいよ!」

トタタタタ……

すずらん 「あ、ああ……」

すずらん 「……行ってしまった。忙しない子だ」

すずらん 「……だが、面白い子だ」

すずらん 「………………」 (私は……何者なんだ……?)

すずらん (私は……そうだ、何か……何かを、忘れている)

すずらん (記憶などという話ではない。もっと、大事な何かを……)

すずらん (私はそれを思い出さなければならない……けれど、怖い……)

すずらん (私は……)

―――― 『……おまえは、私の――――――だ……』

すずらん 「ッ……!?」 (頭が……割れるように痛む……ッ)


299:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 08:22:51.72 ID:OiAmU/mr0
………………

ふたば 「――いっつーもー♪ みんなっのー♪ ちかっくにいっるー♪」

ふたば 「いっしょにきっれいなここっろのはっなー♪ さかーせつづけよぉー♪」

ふたば 「ハートキャッチ♪ プっリキュアー♪」

ふたば (不安なときはセージの葉っぱのハーブティーだっておばあちゃんが言ってた)

ふたば (わたしが飲んだときも、こころが落ち着いたもん)

ふたば (すずらんちゃんも、きっと少しは心が落ち着くといいな)

ガチャッ

ふたば 「すずらんちゃん、お待たせー……――――!?」

すずらん 「ッ……」

カタッ

ふたば 「すずらんちゃん!? 大丈夫!? 頭痛いの!?」

すずらん 「ふ……たば……?」

ふたば 「すずらんちゃん!!」

ギュッ……!!!


300:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 08:24:20.22 ID:OiAmU/mr0
すずらん 「!?」

すずらん (ふたばの、手……温かくて、気持ちいい……)

すずらん (なんだ……? 心が、安らぐ……)

すずらん (心……? 心? 心……って、何だ……?)

ふたば 「すずらんちゃん……? 大丈夫?」

すずらん 「あ……ああ……なんだろう。ふたばが触れてくれた途端、頭痛がピタリと治まった」

すずらん 「ありがとう、ふたば。もう大丈夫だ」

ふたば 「そう……? 本当に?」

すずらん 「ああ。何か、記憶を辿ろうとすると頭が痛くなるらしい……」

すずらん 「しばらくは無理をしないことにするよ」

ふたば 「うん……」

すずらん 「……そう心配しないでくれ。大丈夫だ」

すずらん 「それよりも、お茶をいれてきてくれたのだろう?」

すずらん 「私は、ふたばのいれてくれたお茶が飲みたい」

ふたば 「あっ……」 ニコッ 「う、うん!!」


302:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 08:26:04.44 ID:OiAmU/mr0
………………

すずらん 「………………」

ズズズズズ……

ふたば 「………………」 ドキドキドキ

すずらん 「………………」 コクッ 「……おいしい」

ふたば 「本当に!? やったぁ!!」

すずらん 「ああ。染み渡るようだ。温かくて優しい……心が澄み渡り、落ち着くようだ」 (心……?)

ふたば 「良かったぁ……わたし、まだお茶をいれるのそんなに上手じゃないから心配したよ」

ふたば 「ごめんね、すずらんちゃん。おばあちゃんがいれてくれたら、もっと美味しいんだけど……」

すずらん 「何を言っているんだ、ふたば。このお茶をいれてくれたのはふたばじゃないか」

すずらん 「ふたばが今いれてくれたこのお茶を飲んで、私は安らいでいるんだ」

すずらん 「だからありがとう、ふたば。私のために、美味しいお茶をいれてくれて」

ふたば 「すずらんちゃん……」 テヘッ 「う、うれしいな……ありがとっ」

すずらん 「ああ……本当においしい」

ふたば 「えへへへへへ……」


303:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 08:28:04.11 ID:OiAmU/mr0
ふたば 「知ってる? すずらんちゃん」

すずらん 「? 何だ?」

ふたば 「そのお茶に入ってるセージって、サルビアのお花の一種なんだよ」

すずらん 「そうなのか」

ふたば 「うん。だから、お花はとってもきれいなんだ」

すずらん 「……?」

ふたば 「……けど、わたしはきれいなお花だけじゃなくて、葉っぱも好き」

ふたば 「お茶になるし……栄養をつくるのは葉っぱだって、おばあちゃんも言ってたから」

ふたば 「……葉っぱはきれいじゃないし、目立つこともできないけど……」

ふたば 「お花のようにはなれないけど……でも、わたしは、好きだよ」

ふたば (あっ……わたし、何言ってるんだろ……恥ずかしい……)

すずらん 「………………」

すずらん 「……私も好きだぞ、葉っぱ。きれいじゃないか」

ふたば 「えっ……?」

すずらん 「きれいだし、たくましい……それに何より、こうして私を癒してくれている」


304:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 08:30:43.97 ID:OiAmU/mr0
すずらん 「……お前は本当に、このセージの葉みたいだな」

ふたば 「………………」

すずらん 「私に安らぎを与えてくれる。私を癒してくれる」

すずらん 「……お前は葉っぱだ。花に栄養を与えるための大事な葉っぱだ」

ふたば 「……?」

すずらん 「いずれ、“花咲ふたば” という大輪の花を咲かせるための、大事な葉っぱだ」

すずらん 「未来のお前がどんな花を咲かせるのか……楽しみだな」

ふたば 「あ……///」 ポッ 「そ、そんなこと言われたの……初めてだよ……」

ふたば (っていうか、葉っぱの話なんてしたのも初めてだし……)

ふたば (わたし……どうしちゃったんだろ……でも、嬉しいな)

ふたば (わたしは……そっか、葉っぱでいいんだ。未来のわたしという花を咲かせるための葉っぱで)

ふたば (……うん。そして、できることなら、他の人の花を咲かせるための葉っぱでもありたい)

ふたば (お姉ちゃんのように……それから……この、女の子みたいに)

すずらん 「? ふたば?」

                     “たすけて!!”


305:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 08:32:05.36 ID:OiAmU/mr0
ふたば 「えっ……?」

すずらん 「なんだ……?」

―――― “誰か……たすけて!!”

ふたば 「誰……? あなたは、誰なの?」

―――― “僕の声が聞こえるのかい?”

―――― “なら、お願いだ!! 僕の名前を呼んでくれ! 僕を導いてくれ!”

ふたば 「あなたの、お名前……?」

―――― “ああ……頼む! バニラ……それが僕の名前だ!”

ふたば 「バニラ……」

すずらん 「だ、ダメだふたば! 呼んではいけない!!」

ふたば 「えっ……? どうして?」

すずらん 「分からない……分からないが、分かるんだ。この声の主は、災厄を連れている!」

すずらん 「ふたばが危険な目に遭ってしまう!」

ふたば 「………………」 スゥ 「……バニラ、こっちだよ。おいで!!」

すずらん 「ふたば!!」


306:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 08:34:22.89 ID:OiAmU/mr0
すずらん 「ふたば、どうして……!?」

ふたば 「……だって、すずらんちゃんが言ってくれたから」

ふたば 「わたしのことを、花を咲かせるための葉っぱだって……そう、言ってくれたから」

すずらん 「ふたば……」

ふたば 「だからわたしは、困ってる声を見捨てたくない!」

すずらん 「………………」

ふたば 「……ごめんね、すずらんちゃん」

ふたば 「バニラ!! こっちだよ!!」

―――― “ありがとう!!”

―――― “見えた……!! 窓を……開けてくれ!!!”

ふたば 「うん!!」

バァアアアア!!!!

――――――――ッットン……!

ふたば 「あう……」 (柔らかい……ぬいぐるみ……?)

バニラ 「あ……危なかった……」 ゼェゼェ……


307:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 09:00:45.08 ID:OiAmU/mr0
バニラ 「あれ……? 君は……子どもじゃないか!!」

ふたば 「えっ……?」

バニラ (おかしいな……プリキュアに声を発したはずなんだけど……)

バニラ 「まぁいいや。君が僕を呼んでくれたんだね。ありがとう」

ふたば 「!? シプレちゃん!? ……じゃない?」

バニラ 「シプレ先輩を知っているのかい!?」

ふたば 「シプレちゃんはわたしのお友達だよ? 時々しか会えないけど」

バニラ (シプレ先輩の友達……?)

すずらん 「………………」

バニラ 「……? 君は……」

――――ズキッ

すずらん 「痛っ……!!」

ふたば 「すずらんちゃん……? すずらんちゃん!!」

ズゾゾゾゾゾゾ……!!!

バニラ 「!?」 ビクッ 「庭……!? しまった、ここまで着いてきていたのか!!」


308:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 09:01:40.85 ID:OiAmU/mr0
バニラ (まずい……プリキュアの元にやって来たつもりが、この子はプリキュアじゃない……)

バニラ (バカバカバカ僕の馬鹿!! 空を飛び回ったりするから……!!)

バニラ (でもまさか “砂漠の意志” に出くわすなんて……)

ふたば 「なに、あれ……? 黒い、雲……?」

すずらん 「っあ……くっ……」

バニラ 「……人々の心を枯らせる、“砂漠の意志” の端末だよ」

バニラ 「すまない、君たちを巻き込むつもりはなかった。僕は行く」

バニラ 「……早く、プリキュアたちの元に行かなければ」

ふたば 「ま、待って! 危ないよ!!」

ゾゾゾゾゾゾゾゾッッッ……!!!!

『――――ヴオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!』

バニラ (ここだけ緑地が残っている……つまり、結界が張ってあったんだ……)

バニラ (僕が来たことによって、結界の隠蔽効果が消えてしまったのか……)

バニラ 「っ……どうして僕はこう、ダメダメなんだ……!!」

ふたば 「な……何……? 雲が、砂の巨人になった……!?」


309:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 09:05:42.80 ID:OiAmU/mr0
『ヴオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!』

――ッズン……!! ッズン……!!

ふたば 「あっ……だ、ダメぇ!! 中庭のお花を踏み潰さないで……!!」

バニラ 「っ……!!」 ピューン!!!

ふたば 「あっ……ば、バニラちゃん!?」

『ヴオ……?』

バニラ 「やめろ!! お前の目的は僕だろう!?」

バニラ 「これ以上、この美しい園を荒らすんじゃない!!」

ふたば 「バニラちゃん!! 危ないよ!! 逃げて!!」

バニラ 「……いいんだ。どうせ、僕は役立たずだ。必要のない妖精なんだ」

ふたば 「えっ……?」

バニラ 「シプレ先輩たちのような、立派な妖精にはなれない。僕は……」

バニラ 「……だから、君がシプレ先輩の友達だというのなら、伝えてほしい!!」

バニラ 「“砂漠の意志” はサハラ砂漠に隠れている!! それを、当代のプリキュアたちに!」

バニラ 「……巻き込んですまなかった。でも、僕の名を呼んでくれて、ありがとう」


310:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 09:10:02.97 ID:OiAmU/mr0
『ヴオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!』

ふたば 「っ……バニラちゃん……!!」

すずらん 「だ、ダメ、だ……!! ふたば!! 危険、すぎる……!!」

すずらん (なんだ……この頭痛は。あの怪物の、せいか……?)

ふたば 「………………」

フルフル

ふたば 「……ありがとう、すずらんちゃん。心配してくれて」

ふたば 「でも、わたしは行くよ。バニラちゃんが危ないから」

すずらん 「ふたば……」

ふたば 「……すずらんちゃんはここに隠れていて」

ダッ……!!!

すずらん 「ふたば……!!」 クラッ (っ……ダメだ、まだ、まともに動けない……)

すずらん (くっ……頭が……!! だが、この痛みは……)

すずらん (怪物を見たときではなく、あの妖精を見たときに……わたしは……)

すずらん (――わたしは、あの妖精を……見たことがある……?)


311:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 09:14:34.31 ID:OiAmU/mr0
………………

『ヴオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!』

――――ドガァアアアアッッッ!!!!

バニラ 「がッ……!?」

ポヨン……ポヨンポヨン……

バニラ 「っ……痛い……これが、そうか……痛み……」

バニラ 「何もかもが初めてだ……はは。笑えないけど、笑えないから笑えるよ」

『ヴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!』

バニラ 「……いいんだ。どうせ、僕は……必要ない妖精だから」

バニラ 「出来損ないで、変わり者で……今の世界に必要ない、妖精だから……」

バニラ 「だからこれは……きっと、仕方のないこと……――――」


―――― 「――――しかたなくなんてないよ!!!」


パッ……ザザザザ……!!!  ――ッッッドンンン!!!

ふたば 「あ……危なかったぁ……。あと少し遅かったら、踏み潰されてたよ……」


312:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 09:15:31.46 ID:OiAmU/mr0
バニラ 「き、君は……!? どうして……」

ふたば 「……君じゃないよ。ふたば。花咲ふたばだよ」

バニラ (花咲……!? まさか、この子は……キュアブロッサムの……!)

ふたば 「……お願いだから、自分のことを出来損ないなんて言わないで」

ふたば 「必要ないなんて言わないで。そんなこと、悲しいよ」

バニラ 「ふたば……」 フルフル 「……でも、僕は……伝言さえ託せたら、もう必要のない……」

ギュッ……

バニラ 「あっ……」 (あったかい……)

ふたば 「……必要だよ。バニラちゃんがいなくなったら、わたしは悲しいよ」

バニラ (身体だけじゃない……なんだろう。心がポカポカしてる……僕は……)

『ヴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!』

ふたば 「ひっ……」 ペタン 「お、大きい……」

バニラ 「!? ふ、ふたば!? 逃げなくちゃ!!」

ふたば 「こ……腰、抜けちゃったみたい……」


313:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 09:25:50.96 ID:OiAmU/mr0
バニラ 「そ、そんな……!」

バニラ (僕はいい……! どうにか、この子だけでも……!!)

――――ブゥンンンン!!!!

バニラ (お願いです……!! こころの大樹よ……この優しい女の子だけでも、助けて……!!)


――――――――ガッッッ!!!!


キィィィィイイイイ……

バニラ 「あ……あれ……? ――――なっ!?」

ふたば 「う……わぁ……」

?? 「……良かった。良かった……!」

ふたば 「プリ、キュア……?」

?? 「間に合って……良かった……!!」

バニラ 「あ、あなたは……キュアブロッサム……!!」

『ヴオ……!? ヴアアアアアアア!!!!』

ブロッサム 「くっ……」 スッ 「……ブロッサム・シャワー!!!」


314:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 09:30:25.03 ID:OiAmU/mr0
――――ドドドドドド!!!!

『ゴ……グガ……ァ……』

ブロッサム 「もう大丈夫ですよ、ふたば。怪我はないですか?」

ふたば 「あ、ありがとう! キュアブロッサム!! わたしは大丈夫だよ」

ふたば 「? あれ、でも何でわたしの名前を知ってるの?」

ブロッサム 「それは……ナイショ、です」 ニコッ

バニラ 「キュアブロッサム!! 良かった……やっとプリキュアに会えた!!」

ブロッサム 「!? 妖精さん……?」

ヒョコッ

シプレ 「バニラ!? どうしてここにいるですぅ!?」

ふたば 「!? シプレちゃん!? どうしてプリキュアと一緒にいるの!?」

ブロッサム 「……あー……ややこしくなってきました……」

ブロッサム 「えーと……ふたば……ちゃん、ちょっとこの妖精さんを借りますね?」

ふたば 「え……? あ……う、うん……」

コソコソ


315:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 09:31:20.25 ID:OiAmU/mr0
シプレ 「バニラ! どうしてこんなところにいるですか!!」

バニラ 「それが……こころの大樹にお遣いを頼まれまして……」

バニラ 「プリキュアと先輩たちに伝言を伝えてくれと」

シプレ 「伝言?」

バニラ 「はい。えっと…… “砂漠の意志” はサハラ砂漠にいる、って……」

シプレ 「!? バニラ! それは本当ですぅ!?」

バニラ 「えっ? あ、は、はい。こころの大樹は、たしかにそう言っていました」

ブロッサム 「……なるほど。つまり、こちらから先制攻撃をしかけるべきということでしょうか」

ブロッサム 「相手の場所は分かっている……なら、無限に発生する些末な敵を相手にしているよりは、」

ブロッサム 「……直接赴いて、“砂漠の意志” と決着をつけた方がいいかもしれません」

ブロッサム 「ありがとうございます、えーっと……バニラ、でしたか?」

バニラ 「あ、は、はい!! 妖精のバニラです!! 最強のプリキュアの一人、キュアブロッサム!」

ブロッサム 「? そんな風に言われたの初めてです」 クスッ

ブロッサム 「……さっきの声はあなただったんですね、バニラ」

バニラ 「さっき……? あ……あの、情けない助けを呼ぶ声……」


316:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 09:32:10.10 ID:OiAmU/mr0
バニラ 「プリキュアにもきちんと届いていたんですね……よかった」

ブロッサム 「この植物園はキュアフラワーが管理しています」

ブロッサム 「バニラもきっと、その力に引き寄せられてこの植物園にやって来たんでしょう」

バニラ 「なるほど……そのせいで、僕はふたばを巻き込んでしまったのか……」

シプレ 「バニラ……。でも、バニラはがんばったですぅ! きちんとこころの大樹のお遣いを果たしたです!」

ブロッサム 「そうですよ、バニラ。落ち込まないでください」

バニラ 「……はい」

バサッ――――

?? 「――――ブロッサム!! シプレ!!」

ブロッサム 「マリン!! それに、サンシャインとムーンライトも!」

バニラ 「!?」 (わわ……わわわわわわ……!! 伝説のプリキュアたちが勢揃いだ……!!)

サンシャイン 「街で暴れ回るサンドクラスタはあらかた浄化したよ」

ムーンライト 「なぜかすでに浄化されている固体もあったけれどね」

ブロッサム 「? それってどういうことですか?」

コフレ 「わかんないです。でも、プリキュアの力のようなものを感じたです……――ってバニラ!?」


320:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 10:02:37.49 ID:OiAmU/mr0
バニラ 「あ……ど、どうも、コフレ先輩」

ムーンライト 「バニラ……? ――――ッ!!?」

バニラ 「!!」 (な、なに!? 僕何かした!?)

ムーンライト 「うそ……あなた……あなた……!!」

ガシッ

バニラ 「へ……?」 アセアセ 「え、えーと……あなたは、キュアムーンライト、ですよね……?」

マリン 「ムーンライト、どしたの? っていうか、その妖精は何?」

コフレ 「……新しく生まれた妖精、バニラです。今度、紹介するつもりだったですが……」


ムーンライト 「……………………コロン……?」


バニラ 「――えっ……? コロンって……志半ばで亡くなった、僕の先輩……あっ」

―――― 『……あなたの面立ちは、パートナーを守り消滅した、かの誉れ高き妖精によく似ています』

バニラ (……似てるって、そういうことだったんだ)

ムーンライト 「………………」

ポプリ 「ムーンライト……」


321:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 10:03:43.84 ID:OiAmU/mr0
ムーンライト 「……ごめんなさい、取り乱してしまったわ」 パッ

バニラ 「あ……」

ムーンライト 「そう。あなた、バニラというのね。良い名前だわ」

バニラ 「あ、ありがとうございます……」

ブロッサム (そっか……バニラは、ムーンライトのパートナー、コロンにそっくりなんですね)

マリン 「ムーンライト……」

ムーンライト 「……? バニラ、怪我をしているじゃない」

バニラ 「えっ……? あ、ああ……さっき、ちょっと……」

バニラ 「でも大丈夫です。これくらい、何とも……――」

ムーンライト 「――パートナーのいない妖精が無茶をするものではないわ」

ムーンライト 「あなたに戦う力はないのよ。そういうのは……もう、控えなさい」

バニラ 「あ……」 ギリッ 「は、はい……ごめんなさい……」 (分かってる……僕は、どうせ……!!)

コフレ 「あ……そ、それでそれで!! バニラはどうしてここにいるですっ!?」

マリン 「そ、そうそう!! 新しい妖精さんが一体何をしにきたの!?」

マリン (……まさかあたしらが空気を読む日が来るとは……感慨深いっしゅ)


322:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 10:05:57.70 ID:OiAmU/mr0
………………

マリン 「……なるほどねぇ。サハラ砂漠か……」

マリン 「……ところでサハラ砂漠ってどこ?」

サンシャイン 「あのね、えりか……」 ハァ 「アフリカ大陸の北に広がる大きな砂漠だよ」

ブロッサム 「たしか……世界最大の砂漠でしたよね」

ムーンライト 「ええ……そして、ここ最近、砂漠の総面積が広がっていた、その場所よ」

ブロッサム 「!? じゃあ……もしかしてその原因も……」

ムーンライト 「…… “砂漠の意志” である可能性が高いわね」

マリン 「………………」 グッ 「……みんな」

サンシャイン 「……うん」

ムーンライト 「そうね」

ブロッサム 「……そう、ですね」 ギュッ 「……行きましょう。サハラ砂漠!!」

ブロッサム 「そして、“砂漠の意志” を止め……この世界を、元の形に戻しましょう!!」

シプレ 「みんなで力を合わせて」  コフレ 「やってやるですっ!!」

ポプリ 「でしゅーーーーーーーーーーーー!!!」  バニラ 「お、おー……」


324:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 10:10:20.83 ID:OiAmU/mr0
――――――キキィッッ……!!!

ブロッサム 「……?」

ふたば 「あ……!! お父さんの配達車だ!」

ブロッサム 「お父さん……メモ、見てくれたんですね。良かった」

ムーンライト 「……これ以上ここにいる意味はなさそうね。ふたばちゃんも大丈夫でしょう」

ムーンライト 「サンドクラスタはあらかた片づけたけれど、やはり希望ヶ花市の砂漠化が一番酷いわ」

ムーンライト 「まずは、避難所である明堂学園に結界を張りに行きましょう」

マリン 「でも……ブロッサム、お父さんに会わなくていいの?」

ブロッサム 「……会っても、わたしがつぼみだとは言えませんから」

サンシャイン 「………………」

ブロッサム 「さぁ、行きましょう」

ッタン……!!

陽一 「……あ、ふたば!!!」

ふたば 「お父さん!!」

ギュッ……!!!


325:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 10:11:37.89 ID:OiAmU/mr0
陽一 「無事で良かった……!! 心配したんだぞぉ……」

ふたば 「ごめんなさい、お父さん……」

ふたば 「あ、あのね!! プリキュアのお姉ちゃんが助けてくれたんだよ!」

陽一 「プリキュア?」

ふたば 「うん、ほら、あの人たち……あれ……?」

ふたば 「いなく、なっちゃった……」 シュン

陽一 「……そうか、プリキュアか」 ナデナデ 「良かったな、ふたば」

ふたば 「うん!!」

陽一 「………………」 (……つぼみ。メモを残してからのお前の行方が杳として知れない)

陽一 (どこにいるんだ……)

陽一 「……さ、避難所に向かおう。行くよ」

ふたば 「あ……ちょっと待って。あのね、植物園の中にね、お友達がいるの」

陽一 「友達?」

ふたば 「うん!! すずらんちゃんっていう、女の子なの。その子も連れて行ってあげて」

陽一 「よしきた。おやすい御用だ」


326:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 10:13:17.80 ID:OiAmU/mr0
………………私立明堂学園

さつき 「おじいさま、何度か市内を見回りましたが、市民のほとんどが避難を終えたようです」

厳太郎 「うむ。ご苦労であった、さつき、ハヤト、熊本」

ハヤト 「………………」

厳太郎 「……心配か、ハヤト」

ハヤト 「はい……」

さつき 「……気持ちは分かる。だけど、大丈夫。月影さんにはいつきがついている」

ハヤト 「そう……ですね」 フルフル 「すみません。大丈夫です。俺は、ゆり姉さんを信じてますから」

ハヤト 「……今は俺にできることをやらないと、ゆり姉さんに笑われてしまう」

さつき (まだ高校生だと言うのに……なんていうメンタルの強さだろう。かつての僕とはすごい違いだ)

熊本 「………………」

厳太郎 「……? 熊本、お前も何か気になることがあるのか?」

熊本 「……いえ、」 フルフル 「いや……あるぜよ。じゃから、ちょっと席を外してもよろしいか?」

厳太郎 「ああ。だが、すまぬがまた用事ができたときは、頼む」

熊本 「応。では、御免」


327:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 10:16:02.81 ID:OiAmU/mr0
………………

佐曽 「ふぅ……ようやく一息つけたわぁ……」

佐曽 「公園から避難所まで子どもたちをつれて……さすがに疲れたというか、なんというか……」

?? 「その程度で弱音を上げるとは……相変わらず美しくないね」

佐曽 「……で、また疲れそうな奴がやってきたわね」

佐曽 「――お久しぶり、コブラージャ」

古布 「その呼び方はやめてくれたまえ。今の僕はただのファッションデザイナーだよ」

古布 「久しぶりだね、サソリーナ。その様子だと、君も全部思いだしているようだ」

佐曽 「……まぁ、ね」

?? 「……やはりいたか、お前たち」

佐曽 「あー……また暑苦しいのが来たわね」 ニッ 「久しぶり、クモジャキー」

熊本 「相変わらずお前はだらしがない。しゃきっとせいしゃきっと!! サソリーナ」

古布 「……暑苦しくて美しくないなぁ、君は。クモジャキー」

熊本 「お前は相変わらずなよなよした格好をしよってからに。情けない。コブラージャ」


328:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 10:17:14.76 ID:OiAmU/mr0
古布 「ふん。てっきり君たちは砂漠の使徒に逆戻りしていると思っていたけどね」

熊本 「それはこっちの台詞ぜよ」

佐曽 「あたしの台詞よ。あたしの」

古布 「………………」

古布 「……花の使徒、か。まぁ悪くない」

熊本 「贖罪ができるとは思わない。しかし、やらないよりはやった方がましぜよ」

佐曽 「まぁ……プリキュアとこころの大樹の手伝いくらいなら、ね」

古布 「あまり僕の足を引っ張らないでくれよ? 君たち」

熊本 「まぁ、引っ張るとしたら誰かさんじゃろうな」

佐曽 「!? そこで何であたしの方を見るのよぉ!! 怒るわよ!!」

佐曽 「……まぁ、仕方ないからまた、よろしくしてやるわぁ」 スッ

熊本 「不本意じゃが、また力を貸してやる」 スッ

古布 「まぁ、ここまで来ると腐れ縁だよね。美しくないこともない。やってやろうじゃないか」 スッ

熊本 「応」

佐曽 「ええ!!」


329:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 10:19:31.92 ID:OiAmU/mr0
………………

ななみ 「……避難所受付はこちらですー!! 落ち着いて一列に並んでくださーい!!」

ななみ 「落ち着いて、落ち着いて、ゆっくり一列に、並んでくださいねー!!」

ニコニコニコ

さつき 「……すまないね、志久さん。手伝ってもらってしまって」

ななみ 「あ……いつきのお兄さん」 ニコッ 「いいんですよ。どうせ何もすることはありませんし」

さつき 「ありがとう。君のおかげで、避難所がだいぶ落ち着いている」

ななみ 「? わたしのおかげって、そんなことはないと思いますけど……」

さつき 「いや、避難してきた人が、まず君の笑顔を見る。そして、みんな少しでも安心できるんだ」

さつき 「だから、ありがとう、志久さん」

ななみ 「そんな……笑顔でいるのは癖みたいなものですから……」

ジーーーーーー

るみ 「………………」

さつき 「……? 君は、志久さんの妹さん……だよね」

ななみ 「るみ? どうかしたの?」


330:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 10:21:05.34 ID:OiAmU/mr0
るみ 「………………」

ズンズンズン……キッ

さつき 「? 僕が何かしたかな……?」

るみ 「お姉ちゃんにあんまり近づかないでください!! イケメンさん!!」

さつき 「い、いけめん……? ぼ、僕のことだろうか?」

るみ 「お姉ちゃんには、恋人さんがいます!! だから、口説かないでください!!」

ななみ 「るみ!? いきなり何を言うの?」

さつき 「っあー……」 カリカリ 「ご、ごめん。口説いているつもりはなかったんだけど……」

――――――パシャッ

ななみ 「……? あ、かなえ!!」

かなえ 「にひひ。小学生に説教される次期明堂院流当主の図。撮っちゃった」

ななみ 「か、かなえ!! まったく……」 クスッ 「相変わらずなんだから」

さつき 「せ、説教をされていたのか、今……僕も修行が足りないな……」

ななみ 「さつきさんも真に受けなくて大丈夫ですよ!!」

ななみ 「るみも、さつきさんはわたしをねぎらってくれていただけよ。失礼なこと言わないの」


336:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 11:05:58.53 ID:OiAmU/mr0
るみ 「……そうなの。なら……」 ペコッ 「ごめんなさい」

さつき 「いや……僕が修行が足りないせいだから、気にしないで」

ななみ (修行は間違いなく関係ないです)

パシャッ

かなえ 「へへ。今度は小学生に頭を下げさせている明堂院流次期当主の図を――」

――サッ

かなえ 「あっ……!! なみなみ、返してよ!!」

ななみ 「――消去、と」 ピッ

かなえ 「あああーーーーーーーーーー!!!」

ななみ 「……撮るならもっと有益な写真を撮りなさい。プロカメラマンの卵なんでしょう?」

かなえ 「……返す言葉もございません。うぅ……」

『さつき師範代!! ちょっと来て頂けますか!!!』

さつき 「あ……また問題が起きたのかな。ごめん。行かなくちゃ」

さつき 「志久さん、疲れたらいつでも休んでくれて構わないからね」

さつき 「それから、るみちゃん、ごめんなさい! 多田さんは少し自重するように!!」


337:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 11:08:50.21 ID:OiAmU/mr0
かなえ 「行っちゃった……忙しないひとだなぁ」

ななみ 「理事長のお孫さんだから。避難所を運営するための作業で忙しいのよ」

かなえ 「しかしイケメンはどんなときでも画になるねぇ」

パシャッ

かなえ 「……うん。がんばってる明堂院流次期当主。これは後で新聞に使えるね」

ななみ 「ふふ。やっぱり写真を撮ってるかなえは輝いてるね」

かなえ 「なんのなんの。ななみとるみちゃんのW笑顔には負けるって」

パシャッ

かなえ 「笑顔が素敵な志久姉妹、避難所の心を癒す……見出しはこんな感じかな」

るみ 「お姉ちゃんとわたし、新聞に載っちゃうの!?」

ななみ 「かなえとるみったら……もう」

かなえ 「……? そういえば、番くんは? いないの?」

ななみ 「……裏でちょっと作業してる。自分にできることをするんだーーー!!! ってはりきってたよ」

かなえ 「? こんな可愛い彼女ほったらかしにして、何やってんだか」

ななみ 「か、かなえまで! やめてよもうっ……」


338:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 11:15:25.85 ID:OiAmU/mr0
………………

?? 「………………」 (……また、世界の危機にプリキュアが現れた)

キュッキュッキュッ……

?? (成長した彼女たちは相変わらず美しく、そして強い……燃える)

?? (そんな彼女たちに対し、俺は何もできない。だからせめて……俺にできることをやらなくては)

子供1 「おじちゃんまだー?」

子供2 「待ちくたびれたよー」

ノリコ 「こら。文句言わないの」

?? 「もう少し待ってろ。あとちょっとで仕上がるから。それから俺はおじちゃんじゃない」

ケンジ 「番ケンジだ。それに先生をつけるとなおいい」

ノリコ 「番ケンジ先生……? それって、プリキュアの漫画を描いていらっしゃる……」

ケンジ 「ええ。なか○しで連載しているスイートプリキュアの漫画版は俺が描いています」

子供4 「ええっ? それ本当? おじちゃん!」

ケンジ 「だからおじちゃんじゃないと言っているだろうが」

子供1 「おじちゃんすげぇ!! 後でサインちょーだい!!」


339:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 11:17:49.85 ID:OiAmU/mr0
――――キュッキュ……!!

ケンジ 「……よし。できあがったぞ。あの四人を描くのは久しぶりだからな。少し手間取ってしまった」

ケンジ 「見ろ!! プリキュア四人の紙芝居だ!!」

子供1 「うわぁ……!! とってもかわいい!!」

子供2 「ブロッサムにマリン、それからサンシャインとムーンライトだ!!」

ケンジ 「……さ、先生。これを子どもたちに読み聞かせてあげてください」

ケンジ 「せめて励みになるように。できるだけ多くの子どもたちに、希望の灯が灯るように」

ノリコ 「……はい! このお話で子どもたちを元気づけます!」

ノリコ 「ありがとうございます。番ケンジ先生」 ペコリ 「さ、みんなのところに行きますよ」

子供 『はーい! おじちゃん、ありがとー!!』

ケンジ 「……おじちゃんじゃないってのに。俺、まだ20だぞ……?」

――パシャッ

ケンジ 「む……?」 ギロリ

かなえ 「ひぃぃ!?」 ビクッ 「あ、あんた、もはやそれ……人殺しの目よね」

ケンジ 「のっけから失礼なことを言うな、多田」


340:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 11:20:27.32 ID:OiAmU/mr0
かなえ 「あっははー。彼女放って何やってんのかと思ったら、番くんらしいというかなんというか」

ケンジ 「……せめて自分に何ができるかと考えた結果、行き着いた答えだ」

ケンジ 「生憎と俺は見た目ほど腕っ節が強いというわけじゃない」

ケンジ 「この手でできることといえば、ペンを持つことだけだからな」

ケンジ 「……プリキュアならきっと何とかしてくれる。他力本願だが、そんな気持ちをあのお話に込めた」

ケンジ 「プリキュアという希望をテレビの中でしか知らない子どもたちにも届くように」

かなえ (……自分に何ができるか、か)

かなえ (なみなみとるみちゃんは笑顔で人々を癒し、番くんは紙芝居で子どもたちの不安を取り除く)

かなえ (……なら、私には何ができる? この私に、できること……)

――――――コソコソコソ……

かなえ 「ん……? ――――んなぁ!!?」

ケンジ 「あん……? ――――どぉおい!!?」

?1 「ひっ……!!?」

?2 「あちゃー……見つかっちゃった……」

かなえ&ケンジ 「「ぷ……ぷ、ぷぷぷ……プリキュアだーーーーーー!!!」


341:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 11:22:33.11 ID:OiAmU/mr0
ブロッサム 「しっ……!! 静かにしてください!! ってかなえちゃん!?」

マリン 「他のひとに気づかれちゃうよーーーー!! ってうわ! 番くん!!」

ムーンライト 「あなたたちも静かにね?」

ブロッサム 「あ……」

マリン 「あははー……ごめんっしゅ」

かなえ 「な、なななな……何でプリキュアがこんなところに?」

かなえ 「っていうか私の名前覚えていてくれたなんて感激です!!」

ケンジ 「そ、そうだ。こんな人気のないところでコソコソ何をやってたんだ?」

ケンジ 「それから俺も、名前覚えていてくれて光栄です!!」

サンシャイン 「……はぁ、見つかっちゃったら仕方ないよね」

サンシャイン 「結界を張っていたんだ。この地区は砂漠の影響が強いからね」

サンシャイン 「せめてこの避難所だけでも、ある程度の安全性を保っておきたくて」

かなえ 「なるほど……あ、なら、ついでに避難している人たちを励ましてください!」

かなえ 「プリキュアの皆さんの言葉なら、みんなすごい勇気づけられるはずです!」

ムーンライト 「……申し訳ないけれど、それはできないわ」


342:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 11:25:04.86 ID:OiAmU/mr0
かなえ 「えっ……? な、何でですか!?」

ムーンライト 「プリキュアの名前はあまりにも有名になりすぎてしまった」

ムーンライト 「私たちが大勢の人たちの前に現れたら、必ず騒ぎになるわ」

ムーンライト 「それは私たちの本分ではない。……分かるわね?」

かなえ 「は、はい……」

ムーンライト 「だから、ごめんなさい。そのお願いは、聞き入れられないわ」

かなえ 「………………」

―――― 『この手でできることといえば、ペンを持つことだけだからな』

―――― ((……なら、私には何ができる? この私に、できること……))

ピコーン!!!

かなえ 「じ、じゃあじゃあ!! こういうのはどうですか!?」

カクカクシカジカカクカク……

ムーンライト 「……なるほど、考えたわね」 ニコッ 「それなら問題ないわ」

ムーンライト 「すぐに準備に取りかかってくれるかしら」

かなえ 「はい!! 全身全霊をかけて取り組ませてもらいますっ!!」


344:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 11:31:30.96 ID:OiAmU/mr0
………………

みずき 「………………」 ソワソワソワ 「……ふたば、つぼみ……」

ふたば 「……お母さん!!!」

みずき 「!? ふたば!!」

ギュッ!!!

みずき 「……良かったぁ。本当に、無事で良かった」

陽一 「プリキュアが助けてくれたらしい」

みずき 「そうだったの……」

ふたば 「うん!」

みずき 「……? 陽一さん、その女の子は……?」

陽一 「ふたばが植物園で出会ったらしい。記憶がないそうなんだ」

すずらん 「………………」

陽一 「体調があまり優れないらしい。気を失っているから、早くどこかで寝かせてあげたいんだが」

ふたば 「……うん。すずらんちゃん、あんまり大丈夫じゃなさそうなの」

みずき 「受付は済んでるわ。早くうちのスペースに運んであげましょう」


345:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 11:34:47.77 ID:OiAmU/mr0
………………

すずらん 「っ……」

ふたば 「あ……良かった! 目、さめた?」

すずらん 「ああ……ふたばか……すまない。ここは……?」

ふたば 「避難所の学校だよ。植物園は危ないから、お父さんがここまで連れてきてくれたの」

すずらん 「お父さん……おとう、さん……あ、ああ……そうか」

陽一 「ああ、目が覚めたのか。おはよう、すずらんちゃん」

陽一 「僕はふたばの父の花咲陽一だ。よろしく」

すずらん 「……お、父さん……? おとうさん……」

ふたば 「すずらんちゃん?」

すずらん 「……いや、何でもない。ありがとう、ふたばのお父さん」

陽一 「お安いご用さ。気にしなくていいよ。ふたばの友達だというなら当たり前のことさ」

すずらん 「ともだち……?」

ふたば 「うん! ふたばとすずらんは、ともだちだよ!!」

すずらん 「ともだち……」 コクッ 「ともだち、だ」


346:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 11:36:09.73 ID:OiAmU/mr0
みずき 「陽一さん!!」

陽一 「? どうしたんだい、息急き込んで」

みずき 「つぼみから電話があったわ! 違う避難所にいて無事だって」

ふたば 「!!」

陽一 「本当かい!? それは良かった!!」

みずき 「はい、電話。つぼみと繋がってるわ」

陽一 「もしもし!? つぼみかい!? ……うん……うん。良かった」

陽一 「…………えりかちゃんたちと一緒にいて、無事なんだね。うん…………」

陽一 「……分かった。ああ……今、ふたばに代わるよ」 スッ 「ふたば、はい」

ふたば 「あ……う、うん……」 ギュッ 「……お姉ちゃん?」

つぼみ 『あ、ふたば! 元気そうで良かったです!』

ふたば 「うん……。あのね、お姉ちゃん」

つぼみ 『……なんですか?』

ふたば 「勝手に……いなくなって、ごめんね。公園で……」

つぼみ 『……そんなの、いいですよ。ふたばの気持ちは、わたしも分かりますから』


349:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 12:02:02.62 ID:OiAmU/mr0
つぼみ 『わたしも、人見知りで気弱な自分が嫌だったから……』

つぼみ 『それを恥ずかしがるふたばの気持ちが分かります』

ふたば 「お姉ちゃん……」

つぼみ 『……そんなことより、今、きっとふたばは不安でいっぱいだと思います』

つぼみ 『だけど安心してくださいね。この星にはプリキュアがいます』

つぼみ 『どんなものからも、絶対にみんなを守ってくれます。だから、安心してくださいね』

ふたば 「……うん!!」 ギュッ 「さっきね、キュアブロッサムに助けてもらったの!!」

つぼみ 『ふふ。それは良かったですね、ふたば』

つぼみ 『……それじゃ、また。すぐに会えるから。それまで。ばいばい、ふたば』

ふたば 「うん。ばいばい、お姉ちゃん」 ピッ

ふたば (……やっぱり、お姉ちゃんはすごい。いつもわたしのことを分かってくれる)

ふたば (わたしも……お姉ちゃんみたいになりたい)

かなえ 「――――――――号外号外ごうがあああああああい!!!!!」

ビューン!!!!! ……ピラピラピラ

ふたば 「?」


350:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 12:06:14.81 ID:OiAmU/mr0
陽一 「……? 今廊下を走っていったのは……つぼみの友達の多田さんじゃないか」

みずき 「……何かバラ撒いて行ったわね……何かしら?」

陽一 「なになに……? 動画共有サイトでプリキュアのメッセージ公開中……?」

みずき 「閲覧およびSNS等での拡散求む……?」

陽一&みずき 「「え……ええええええええええええええええええええ!!?」」

ふたば 「プリキュアからのメッセージ?」

すずらん 「プリキュア……? プリキュア……プリキュア……」 ズキッ 「ぐっ……」

ふたば 「すずらんちゃん、大丈夫?」

すずらん 「あ、ああ……」 (なんだ……プリキュア……正義の、味方……)

すずらん (なぜこんなに頭が痛む……? 私は……一体……)

ふたば 「………………」 グッ 「……すずらんちゃん、ちょっとお外に出ようか」

すずらん 「えっ?」

ふたば 「すずらんちゃん、気分悪そうだから。ちょっと人の少ないところに行こう?」

ふたば 「わたしも、人がたくさんいるところはあんまり好きじゃないけど、一人じゃ寂しいから」

すずらん 「あ……ああ。そうだな。少し、外に出よう……」


351:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 12:07:42.96 ID:OiAmU/mr0
………………

ブロッサム (動画撮影も終え、家族への電話も終え……あとは……)

ブロッサム 「……さて、準備はいいですか、皆さん」

マリン 「うん!! あたしは大丈夫だよ!!」

サンシャイン 「わたしも」

ムーンライト 「私も、問題ないわ」

シプレ 「だいじょぶですぅー!!」  コフレ 「ですですっ!!」  ポプリ 「でしゅ!!」

ブロッサム 「……これからわたしたちは、“砂漠の意志” を止めるために、サハラ砂漠へ向かいます」

ブロッサム 「わたしたちは何としても、この現状を打破しなければなりません」

ブロッサム 「こころの大樹の戦士……心の守護者、プリキュアの名にかけて!!」

マリン 「っしゅ!」  サンシャイン 「うん!」  ムーンライト 「ええ」

薫子 「……では、お願いね、みんな。頼んだわよ」

コッペ 「………………」

ブロッサム 「はい! いってまいります、おばあちゃん!」

タッ……!!!!


352:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 12:09:21.70 ID:OiAmU/mr0
バニラ 「………………」

薫子 「……行ってしまったわね」

コッペ 「………………」

薫子 「あなたはいかなくてもよかったの? バニラ」

バニラ 「……僕は、どうせ」 プイッ 「どうせ……役に立ちませんから……」

薫子 「バニラ……」

バニラ 「先代のキュアフラワーとコッペ様まで戦って……当代のプリキュアと先輩たちも戦って」

バニラ 「……だけど、生まれたばかりの僕には何もできない」

バニラ 「できたことといえば、こころの大樹の伝言を先輩たちに伝えたことくらい……」

薫子 「でも、それも立派な務めよ。あなたはそれを果たしたのよ」

バニラ 「……それでも、僕は……」 ギリッ 「僕も……立派な妖精になりたいんです……」

バニラ 「先輩たちやコッペ様みたいに……プリキュアのパートナーとして、戦いたい……」

コッペ 「………………」

バニラ 「……すみません。少し、頭を冷やしてきます。非礼をお許し下さい、キュアフラワー」 ペコリ

薫子 「……バニラ」


354:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 12:13:53.67 ID:OiAmU/mr0
………………

ブロッサム 『世界中の皆さん。こんにちは。わたしは、キュアブロッサムです』

ブロッサム 『今、目の前で起こっていることに、皆さん混乱していると思います』

ブロッサム 『けれど、大丈夫です。安心してください』

ブロッサム 『わたしたちプリキュアが、絶対になんとかします』

ブロッサム 『だからわたしたちを信じて……決して諦めたり、絶望したりしないでください』

ブロッサム 『この世界を、皆さんの心を、わたしたちは絶対に守り抜きます』

マリン 『……ってわけだから、大船に乗ったつもりでいてね!!』

マリン 『わたしたち美少女プリキュア四人組が、絶対になんとかしてみせるっしゅ!!』

サンシャイン 『どうか、皆さんの心に、太陽のような光が在り続けることを』

サンシャイン 『希望という、光が絶えぬよう……祈っています』

ムーンライト 『大地が、大海が、陽光がが、月光が……皆さんを見守っています』

ムーンライト 『だから、あと少し……耐えてください』

ブロッサム 『……以上、プリキュアからのメッセージです。ありがとうございました』

………………


355:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 12:14:37.76 ID:OiAmU/mr0
………………

すずらん 「………………」 (私は……なんだ、この、胸騒ぎは……)

すずらん (何かが近づいている……私にとって、良くないものが……)

すずらん (……違う。私は……私は、きっと……私自身が、良くないもの……)

ギュッ

すずらん 「あ……」

ふたば 「……ひとりで考え事しないで。怖い顔してるよ?」

すずらん 「あ、ああ……すまない」

ふたば 「……べつにいいけど」 プクゥ 「すずらんちゃん、何か不安なことがあるなら、話してほしいかも」

すずらん 「………………」 フルフル 「……ダメだ。きっと、ふたばに迷惑をかける」

すずらん 「何も思い出せない……けれど、何かを思い出しそうなんだ」

すずらん 「そしてそれはきっと……ふたばにとって、良くないことだ」

すずらん 「だから……――――」

ふたば 「――――だから、なおさらだよ」

ムギュッ!!


356:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 12:16:59.81 ID:OiAmU/mr0
すずらん 「ふ、ふたば?」

ふたば 「……わたし、決めたんだ。やっぱり、わたしはお姉ちゃんみたいになりたい」

ふたば 「静かに話を聞いて、相手のことを考えて……癒してあげる。そんな風に」

ふたば 「わたし、すずらんちゃんのおかげで、少し変われそうなの」

ふたば 「……だから、すずらんちゃんに恩返しがしたい。わたしは、すずらんちゃんに笑ってほしい」

すずらん 「……私は、笑うのは、苦手だ」

ふたば 「でも……」 ニコッ 「笑ったら、きっと可愛いよ」

すずらん 「かわいい……?」

ふたば 「うん!! すずらんちゃん、とってもきれいだもん!」

すずらん 「きれい……かわいい……私には、そういうこともよく分からない」

ふたば 「じゃあ、段々知っていこう? わたしのお姉ちゃんはファッションに詳しいから、」

ふたば 「きっと、すずらんちゃんが変わっていくきっかけを作ってくれると思うよ」

すずらん 「ファッション……?」

ふたば 「うん!! とっても可愛い服を着て、笑って……すずらんちゃんの心もうきうきするよ」

すずらん 「心……たのしい……しあわせ……」


357:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 12:17:44.16 ID:OiAmU/mr0
………………

バニラ 「………………」

―――― 『――パートナーのいない妖精が無茶をするものではないわ』

―――― 『あなたに戦う力はないのよ。そういうのは……もう、控えなさい』

バニラ 「……僕が、弱いから。僕が、出来損ないだから……」

バニラ 「だから僕は、いつも失敗ばかり……先輩たちのようにはなれない……」

バニラ 「……ッ!! 似てるだけだ!! コロン先輩に、少し似ているだけ……!!」

バニラ 「コロン先輩のような……立派な妖精にはなれない……!!」

バニラ 「僕は……ッ!!」

カタッ

バニラ 「!!?」 ゴロン (先輩たち直伝の、必殺・ぬいぐるみのフリ!!)

るみ 「あれ? おかしいな……ここら辺から声がしたんだけど……」

るみ 「あ……可愛いぬいぐるみだ!!」 スッ 「……? これ、なんかシプレちゃんたちに似てる……」

バニラ 「!? 君、シプレ先輩を知っているの!?」

るみ 「わぁ!!」 パッ


358:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 12:18:38.02 ID:OiAmU/mr0
バニラ 「わわ……!!」 コロンコロン 「……き、急に投げないでくれよ」

るみ 「ご、ごめんなさい! ぬいぐるみだと思ってたから……」

るみ 「でも、喋ったってことは、あなたもシプレちゃんたちと同じ、妖精さんなの?」

バニラ 「うん。僕は、シプレ先輩たちの後輩の妖精、バニラだよ。よろしく」

るみ 「バニラちゃん……うん、よろしく。わたしはるみ。志久るみだよ」

バニラ 「るみちゃん……ああ、シプレ先輩たちから話を聞いたことがあるよ」

バニラ 「お姉ちゃん想いの、とっても立派な良い子だって」

るみ 「え……そ、そんなことないよ……」

バニラ 「……立派だよ。僕にはそんな強さはないから。僕は……自分の弱さを嘆くしかできない」

るみ 「バニラちゃん……?」

――――――――ドッッッ!!!!

バニラ 「!!?」 (地面に、大穴……!? これは……!!)

ガチャッ……ガチャガチャガチャッ……!!! ギチギチギチ……

るみ 「ひっ……!?」 ペタン 「お、大きな……サソリ……!?」

バニラ (“砂漠の意志” の、新たな端末……) ギリッ (結界を破るために、地下から侵入したのか!)


359:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 12:19:40.84 ID:OiAmU/mr0
………………

?? 『ふん……話にならんな。砂漠の使徒三幹部の “意志” がこうも容易く破れるとは』

?? 『しかし、今度はそうは行かんぞ。三幹部のこころの花などもう要らぬ』

?? 『“意志” そのものを端末として強化した……ただのサンドクラスタとは訳が違う』

?? 『当代のプリキュアの気配が感じられぬが……まぁいい』

?? 『まずはこころ強き者たちのこころの花を奪い、砂漠化を進める』

?? 『……そして、それと同時進行で……わたしの容れ物を、手に入れる……!!』

………………

コッペ 「……!!!」

薫子 「……? どうしたの、コッペ?」

コッペ 「………………」 フルフルフル 「………………」 トコトコ

薫子 「どこへ行くの?」

コッペ 「………………」

薫子 「トイレ? ああ……そう……?」

コッペ 「………………」


364:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 13:02:35.36 ID:OiAmU/mr0
………………

すずらん 「!!?」 ズキッ!!!

ふたば 「すずらんちゃん? 大丈夫?」

すずらん 「あ……ああ……」

すずらん (頭のうずきが……これは、先ほどと同じ……)

すずらん (いや、違う……もっと、濃い……私に、近しい何かが……)

すずらん (私の失われた記憶の中で、もっとも色濃い物が……)

――――――ズドッッ!!!!

ふたば 「ひっ……!?」

すずらん 「!?」 (地下から何かが……あれは……!!)

ギチギチギチ……!!!

すずらん 「巨大な……クモ……!?」

ふたば 「な……なに、あれ……?」

すずらん 「こころの花を、持たぬ……砂漠の端末……それを、強化したもの……」

ふたば 「え……?」


365:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 13:03:34.44 ID:OiAmU/mr0
ふたば 「すずらんちゃん、どうしてそんなこと……」

すずらん 「分からない……私は、一体……何を……」

クモ 『ガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!』

ふたば 「ひっ……!?」

すずらん 「ぐっ……」 (頭が……しかし……!!)

ガシッ……ダッ!!!

ふたば 「すずらんちゃん……!?」

すずらん 「今は、逃げなくては……あのクモは、危険だ……!!」

ふたば 「う、うん……!!」

タタタタタ……

……ドドドドドドド……!!!!

すずらん (だ、ダメ、だ……この身体では、限界が……。それに……ふたばも……)

ふたば 「ぜぇ……はぁ……ひっ……はっ……」

すずらん 「くそっ……」 (ん……? “この身体” ……?)

―――――― 「こっちよ!!!」


366:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 13:05:14.89 ID:OiAmU/mr0
ガシッ……グイッ!!!

すずらん 「!?」

ドサッ

? 「きゃっ……!!」

ふたば 「ふひゃっ!」

すずらん 「な、何だ……!?」 (物陰に引っ張り込まれたのか……)

? 「しっ!! 静かに。今はあれをやり過ごしましょう」

ギチギチギチ……ギチギチギチ……ドドドドドド……!!

? 「……行ったみたいね。良かった」

すずらん 「お前は……」

ズキッ!!!

すずらん 「がッ……!!?」 (あ、頭が……割れる……!!)

? 「大丈夫!? 頭が痛いの?」 スッ

すずらん 「あっ……」

? 「熱は……なさそうね。頭でも打ったのかしら……」


367:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 13:06:07.99 ID:OiAmU/mr0
すずらん 「いや……だ、大丈夫だ!!」 バッ

ふたば 「すずらんちゃん……?」

すずらん 「………………」

ふたば 「……あ。助けてくれて、ありがとうございました、お姉さん」

? 「あら……あいにくだけれど、私はもうおばさんよ」

? 「初めまして、お嬢さんたち。私は、月影春菜。さっきは危なかったわね」

すずらん 「!?」 (月影……? 月影……)

ふたば 「! 月影って……もしかして、ゆりお姉ちゃんのお母さん?」

春菜 「あら、ゆりを知っているの? ええ、そうよ。月影ゆりは、私の娘よ」

すずらん (月影……月影……ゆり。月影ゆり……!!)

ふたば 「うん!! いつも一緒に遊んでもらってるの! わたしは、花咲ふたば」

春菜 「ああ……花咲さん家の次女ちゃん……大きくなったわねぇ」

ふたば 「えへへー……」

すずらん 「月影……? 月影……」

春菜 「……? そういえば、あなた……どことなく、ゆりに似ているわね」


369:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 13:09:52.45 ID:OiAmU/mr0
すずらん 「ゆり……月影ゆりに、似ている……?」

春菜 「ええ。何だろう……顔立ちだけじゃなくて、雰囲気まで……」

春菜 「あの人とゆりに、似ているわ」

すずらん 「月影、ゆり……月影……月影……博士……」

春菜 「!?」 ガバッ 「あ、あなた……!! あの人を知っているの!?」

すずらん 「!?」 フルフル 「わ、分からない……分からないんだ……」

ふたば 「……すずらんちゃんは記憶がないの。だから、何も分からないの」

春菜 「そう……そうなの」 スッ 「……ごめんなさい。取り乱してしまったわ」

すずらん 「いや……思い出せない、私が悪いんだ」

春菜 「ううん。気にしないで。ごめんなさい」 スッ 「……さて」

春菜 「……あなたたちはここに隠れていなさい。きっと、あの怪物もここには来ないわ」

ふたば 「ゆりお姉ちゃんのお母さんは……? どこに行くの?」

春菜 「あの怪物のことをみんなに知らせなくちゃいけないわ」

春菜 「……私は大人だもの。せめて、責任を果たさないと」

春菜 「おとなしく待っていてね。大丈夫。絶対に、大丈夫だからね」 ニコッ


370:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 13:12:34.75 ID:OiAmU/mr0
………………

ギチギチギチ……!!!

るみ 「ひっ……」

バニラ 「くそっ……!!」 (もうプリキュアも先輩たちもいない……なら!!)

バッ

バニラ 「るみちゃん!! 早く逃げるんだ!!」

るみ 「ば、バニラちゃんは……!?」

バニラ 「……僕には、こころの大樹の妖精としての義務がある。逃げるわけにはいかない」

バニラ 「僕にはプリキュアを生み出す力はない。僕は、出来損ないの妖精だから……」

バニラ 「だから……だから!! せめてこの身を賭してでも、君のような優しい子どもを守る!!」

るみ 「っ……!!」 ガシッ……タッ!!!

バニラ 「えっ……ちょっ、ちょっと!! るみちゃん、放してくれ!!」

るみ 「ダメだよ!! そんなの……そんなの、悲しいよ!!」

るみ 「逃げるなら、一緒に逃げるよ。だって、そんなのダメだもん」

ギチギチギチ……ドドドド!!!!


373:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 13:15:37.30 ID:OiAmU/mr0
バニラ 「子どもの足じゃすぐに追いつかれる!! せめて僕が時間を稼ぐ!! 放せ!!」

るみ 「ダメだって!! そんなの……絶対にダメだよ!!」

るみ 「――――そんなのじゃ、誰も笑顔になれないもん!」

バニラ 「!?」

るみ 「お姉ちゃんが教えてくれたもん。いつも、笑顔でいればみんな幸せになれるって」

るみ 「出来損ないなんて言って、自分のことをどうでもいいなんて……そんなの、誰も笑顔になれない」

るみ 「そんなのじゃ、誰の心も幸せにならないよ!!」

バニラ 「るみちゃん……」

ドドドドドドド……!!!

バニラ 「っ……」 (ダメだ……追いつかれる……誰か!!)

――――――――――――ヒュン!!!
                 ………………ドガッ!!!!

バニラ 「あっ……こ、コッペ様!!!!」

空 「………………」 コクッ

バニラ 「は……はい!!」 スッ 「逃げよう、るみちゃん。ここはあの人に任せておけば大丈夫だ!!」

るみ 「う……うん!!」 ダッ!!!


374:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 13:18:11.40 ID:OiAmU/mr0
………………

コブラ 『ガァアアアアアアアアアアアアアア!!!』

避難民1 「ひっ……コブラの怪物……!!」

避難民2 「に、逃げろーーーーーーーーー!!!」

薫子 「……なるほど、ね。コッペが戻ってこないからおかしいとは思ったけれど」

薫子 (やはり、プリキュアとしての力を使い切ってしまったわたしには……)

薫子 (もう、砂漠の気配を感じることすら叶わないのね……)

薫子 (コッペにまで気を遣わせてしまうなんて……私も歳を取ったものね)

薫子 「……それでも。やることは変わらないけれど」

ザッ……!!!

コブラ 『ガァ……?』

薫子 「……かかってきなさい。たとえ、この身にプリキュアとしての力がなかったとしても」

薫子 「それでも、私は……花咲薫子として、戦う」

コブラ 『ガ……ガァァァアアアアアアアアアアアアアアアア!!』

――――――――ギィンンンン!!!!


375:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 13:19:11.06 ID:OiAmU/mr0
コブラ 『ガッ……!!?』

? 「……やぁ、お怪我はありませんか? マダム?」

薫子 「!!? あなた……どうして……!? いえ、どうやって!!?」

薫子 「まさか、その腕輪……それは……!!」

? 「僕にもよく分からないのですがね……こころの大樹に、賜わったものです」

? 「ここはこの僕……シャイニーブレスレットを携えし美しき花の使徒、コブラージャにお任せを」

コブラージャ 「お逃げ下さい。マダム」

薫子 「………………」 コクッ 「……ごめんなさい。お願いするわ」 タッ

コブラージャ 「……さて、君もよくよくしつこいものだ。さっき浄化したつもりだったけれど」

コブラ 『ガァアアアアアアアアアアアアア!!!』

コブラージャ 「なるほど。もう破壊するという “意志” しか残っていないのか」

コブラージャ 「我がことながら、悲しいものだ。なればこそ、僕は君の相手をしよう」

コブラージャ 「言ったはずだよ。君の罪も、その悪意も……僕の物だ。君はもう、僕の中で眠れ」

――――――――ッッッッッドッ!!!!!


377:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 13:23:38.44 ID:OiAmU/mr0
………………

クモ 『グォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!』

子供1 「ひっ……気持ち悪い……怖いよぅ……!!!」

子供2 「……ママぁ……パパぁ!!!」

タタタタタ……!!!

春菜 「っ……子どもたちが……!!」

春菜 (こんなとき、きっと……きっと、あの人だったら……ゆりちゃんだったら……!!) ザッ!!

春菜 「…………こっちよ!! 怪物!! あなたの敵はその子たちじゃない!!」

ブゥン!!!  ………………コツン

クモ 『グオ……?』 ギチギチギチ…… 『グオォオオオオオオオオオオオ!!!』

春菜 「さぁ、今のうちに逃げなさい!!!」

子供1 「う、うん……!!」 タタタタ……

春菜 「………………」 (さて……万事休す、ね……)

クモ 『グオォォオオオオオオオオオオオオ!!!』 ドドドドド!!!!

――――――ガッ!!!!


381:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 14:04:10.54 ID:OiAmU/mr0
春菜 「え……? あ、あなた……」

クモ 『グオ!!?』

? 「ッ…………ハァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

――――――――ッッッッッドンンン!!!

クモ 『グォォォオオオオオオオオオオオオ!!?』

? 「……見上げた強さぜよ。子どものために命さえ投げ出す覚悟。恐ろしいまでの強さぜよ」

? 「じゃが、その強さではダメじゃ。それでは、誰かを悲しませてしまうぜよ」

? 「じゃから、後は俺が引き受ける。早く逃げるぜよ」

春菜 「あ、あなたは……」

? 「……花の使徒が一人、マリンブレスレットを持つ、クモジャキーぜよ」

春菜 「……ごめんなさい。お願いします、クモジャキーさん!!」

クモジャキー 「応。安心して任せるぜよ」 キッ 「……さて、しつこい奴は嫌いじゃないが、時と場合による」

クモジャキー 「俺はもう過去の罪を受け入れ、償うつもりだ。いつまでも過去を引きずるもんじゃないぜよ!!」

クモ 『グオォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!』

――――――――――――――――――――――――――――ッッッドッッ!!!!


383:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 14:05:39.47 ID:OiAmU/mr0
………………

サソリ 『ゴォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!』

ダンダンダンダン!!!!

空 「っ……」

ブゥン……!!!

空 「……!!?」


―――――――― 「サソリーナ・髪の毛パンチ!!!」


ドガァアアアア!!!!

サソリ 『ゴッ……!!?』

空 「……!?」

サソリーナ 「はっあい♪ いつかの色男さん、こんにちはー」

空 「………………」 ジッ

サソリーナ 「そんな熱っぽい視線で見ないでよぅ。照れちゃうじゃない」

空 「………………」


384:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 14:06:40.02 ID:OiAmU/mr0
サソリーナ 「はいはいはい。どうせ一人だけ空気読めてませんわよ!」

サソリーナ 「真面目にやればいいんでしょ真面目にやれば」

サソリーナ 「……花の使徒が一人、ブロッサムブレスレットを持つ可憐な、サソリーナよん」

空 「………………」

サソリーナ 「……尻尾を使った変則的な攻撃には、さしものあなたも対応できなかった?」

サソリーナ 「それとも、本来の力が出せないのかしらん?」

空 「………………」

サソリーナ 「……安心しなさいな。私はもう、砂漠の使徒じゃなく、花の使徒」

サソリーナ 「人々のこころの花を守る、プリキュアのお手伝いをするだけよぉ」

空 「………………」

サソリーナ 「……まぁ、信用できないのは仕方ないでしょうけどね」

空 「………………」 フルフル 「………………」 ペコリ

サソリーナ 「え……? ありがとうって……あらやだ。私に惚れると火傷するわよぉ」

空 「………………」 フルフル

サソリーナ 「そうそう、そんなことありえないありえない……って何ですってぇ!!?」


385:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 14:08:35.70 ID:OiAmU/mr0
………………???

『強大な戦力は多いに越したことはない』

『砂漠の使徒の “意志” は、三幹部だけではない』

『……くく、サバーク……いや、月影博士。お前は一つミスをした』

『それはお前にとって最後の賭け……せめてもの罪滅ぼしのつもりだったのだろうが』

『悪いが、それも利用させてもらうぞ』

『……闇色に沈むプリキュア。かの、最凶のプリキュアが手に入れば』

『こころの大樹の戦士に対しての強大な戦力となる』

『さぁ、目覚めよ……最凶最悪の漆黒に染まりしプリキュア』

『そして、我が眷属として、この世界を破壊する一助となるのだ』

………………

?? 『こころの大樹の妨害もあったが、記憶が正常に戻りつつあるようだな』

?? 『……さぁ、目覚めよ、我が身体。そして、共にこの世界を滅ぼすのだ』

?? 『月影博士……いや、サバーク博士の遺した最凶の戦力……』

?? 『……私の容れ物……器……人形』 ニィィ 『――――ダークプリキュア』


386:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 14:09:56.44 ID:OiAmU/mr0
………………ゾワッ……――――――

すずらん 「――――!!?」

ふたば 「すずらんちゃん……?」

すずらん 「……誰かが、呼んでる……」

すずらん 「私のことを……呼んでいる……」

フラフラフラ

ふたば 「あ……すずらんちゃん!! 隠れてなくちゃダメだよ!!」

すずらん 「……どけ!!」 ドン!!!

ふたば 「あっ……」 コテン 「す、すずらんちゃん……?」

すずらん 「呼んでいるんだ……私のことを……」 フラフラフラ……

ふたば 「あ……すずらんちゃん、待って!!」

………………

るみ 「……? あれって……つぼみちゃんのところの、ふたばちゃんと……誰だろう?」

バニラ 「あれは……何か様子がおかしい。追いかけてみよう」

るみ 「うん」


387:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 14:11:30.51 ID:OiAmU/mr0
………………

ふたば 「すずらんちゃん!! 待ってってば!! 誰が呼んでいるの?」

すずらん 「……呼んでいる……呼ばれているんだ。行かなくては」

すずらん 「懐かしい声。これは……お父様……?」

ふたば 「何も聞こえないよ!! どうしちゃったの!?」

すずらん 「聞こえるんだ……きっと、これは……お父様の、声……」

すずらん 「ああ、私はきっと、また……抱き締めて……もらえる……」

――――――バサァァアア!!!!

ふたば 「!!?」 (な、なに……!? 空から……女の人が……――――!!?)

ふたば 「う、うそ……」

?? 『……何だ? 容れ物ひとりではないのか。つまらんオマケがついてきたな』

ふたば 「す……すずらんちゃんが、もうひとり……?」

すずらん 「………………」

ビキッ!!!!

すずらん 「がっ……ああああああああああああああああああああああ!!!」


388:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 14:13:23.84 ID:OiAmU/mr0
ふたば 「!?」 ギュッ 「す、すずらんちゃん!? すずらんちゃん!!!」

すずらん 「あ……ああああああ……ああああああああああああああ!!!」

―――― 『私は――――――――』

―――― 『――――この世界を砂漠に――』

―――― 『私は――――――――――――――』

―――― 『サバーク博士――――――』

―――― 『私は――――――――――――――――――――――――――――――――』

すずらん 「わ……私、は……」

?? 『記憶が戻ったか。随分と時間がかかったな。まぁやむを得まい』

?? 『お前の意識が目覚める前に、こころの大樹の妨害があったようだからな』

すずらん 「私……私、は……あなた……あなたは……私……」

?? 『そう。私はお前だ。お前は私だ。そして、私たちの名は……』


―――――――――――――――― 『ダークプリキュア』


ギ……ギギギギギギギギギギギギギギギ……!!!!!!!


389:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 14:15:35.86 ID:OiAmU/mr0
すずらん 「がっ……あ……ああああ……!!」

ふたば 「すずらん、ちゃん……?」

ダーク 『やはりお前は弱い。何も知らない。人間ではないからか』

ダーク 『三幹部は何故か我々を受け入れなかった。恐らく、元が人間だからだろう』

ダーク 『……だがお前は違う。お前は人間ではない。お前は、サバーク博士によって作り出された、』

ダーク 『――――人形だからな』

すずらん 「ああ……あっ……人形……私、は……」

ダーク 『ダークプリキュアは滅びていなかった。最後の最後で、月影博士が細工をしたのだ』

ダーク 『いつか、現世に帰ってくることができるように。己の寿命をダークプリキュアに分け与えた』

ダーク 『……だがその行いが逆手に取られるとは奴も思っていなかっただろうさ!!』

ダーク 『どこまでも滑稽な男だよ、月影博士は!! ははははははは!!!』

ダーク 『この砂の器では大した力を出すことも敵わん。お前の身体を、貰い受ける!!!』

ズッ……ズズッ……!!!!

すずらん 「が……あ……」 ズルッ 「あ……………………」

ふたば 「す、ずらん、ちゃん……?」 (二人のすずらんちゃんが……ひとつに……?)


391:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 14:17:17.84 ID:OiAmU/mr0
すずらん 「………………」

ふたば 「すずらんちゃん……すずらんちゃん!!!」

すずらん 「………………」 ニィィ 「……その名は、何だ?」

ふたば 「すずらんちゃん……?」

すずらん 「……私は、そのような名ではない。私は、ダークプリキュア」

すずらん 「この世界を砂漠とするために生み出された、ただの人形だ」

ふたば 「何を、言っているの……? すずらんちゃん!!」

すずらん 「……ふん。久しぶりの戦いだが……やれるな」

ゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!

ふたば 「何……? 黒い、光……これって……」

ブルッ

ふたば (寒い……とても、寒くて、冷たくて、怖い……これ……)

ふたば 「ダメ……!! こんなの、ダメだよ!! すずらんちゃん!!」

――――――ガシッ!!!

ふたば 「!!?」 ハッ 「……るみお姉ちゃん? それに、バニラちゃんも!!」


392:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 14:20:00.73 ID:OiAmU/mr0
るみ 「早くこっちに来て、ふたばちゃん!!」

ふたば 「だ、ダメだよ!! 放して!! あそこには、すずらんちゃんがいるの!!」

バニラ 「……やはり。最初から、あの子はどこかおかしいと思っていたんだ」

バニラ 「まさか……ダークプリキュアだったなんて……!!」

ふたば 「ち、違うよ!! すずらんちゃんはすずらんちゃんだよ! 私の大切な友達だよ!」

バニラ 「……あの姿を見ても、君はまだそう言えるのかい?」

ふたば 「えっ……?」

――――――――バサッ!!!!

るみ 「何……あれ……片翼の、真っ黒な……プリキュア……?」

バニラ 「……プリキュアはプリキュアでも、砂漠の闇の力を使う、邪悪なプリキュアだよ」

ギリリッ

バニラ 「アイツは……僕の大先輩である、コロンという妖精を、殺したんだ……!!」

ふたば 「え……? そ、それって……すずらんちゃんが……?」

バニラ 「違う。アイツはダークプリキュアだ。僕らの敵だよ」

ダーク 「………………」


398:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 15:00:18.81 ID:OiAmU/mr0
――――カッッッッッッッ!!!!!  ドッ……!!!!!

バニラ 「ぐっ……」

ふたば 「きゃっ……!!!」

るみ 「ふ、ふたりとも!! 私にしっかり掴まって!!」

ゴォォォオオオオオ……………………

バニラ 「なんて力だ……これが、ダークプリキュアの闇のパワーか……ッ」

ダーク 「……ふん。器が小さいな。この程度の力しか出ぬか」

ダーク 「まぁいい。人々のこころの花を枯らせば、また力も戻るだろう」

ザッ……!!!

ふたば 「す……すずらんちゃん!!!」

ダーク 「………………」 ピタッ 「……誰だ、それは?」

ふたば 「え……?」

ダーク 「私はダークプリキュアだ。それ以外の何者でもない」

ダーク 「……貴様らに構っているほど私は暇ではない。まず、強きこころの花を枯らせていくとしよう」

バサッ……!!!!


400:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 15:01:38.20 ID:OiAmU/mr0
バニラ 「ま、待て!!!」

バニラ 「くっ……!! ダークプリキュアは、強いこころの花を手にして、力を得るつもりだ!」

バニラ 「早く止めなければ!!」

ふたば 「………………」

ふたば 「うそ……うそだよ。だって、すずらんちゃんは、わたしのこと……」

―――― 『私は、ふたばのいれてくれたお茶が飲みたい』

―――― 『……私も好きだぞ、葉っぱ。きれいじゃないか』

ふたば 「すずらんちゃんは……っ……わたしの、こと……」

―――― 『きれいだし、たくましい……それに何より、こうして私の心を癒してくれている』

―――― 『……お前は葉っぱだ。花に栄養を与えるための大事な葉っぱだ』

ふたば 「好き、だって……葉っぱみたい、だって……癒してくれるって……」

―――― 『未来のお前がどんな花を咲かせるのか……楽しみだな』

ふたば 「だって……だって……!!」

るみ 「ふたばちゃん……」

バニラ 「………………」 フルフル 「……残念だが、彼女は、もう……」


401:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 15:02:28.71 ID:OiAmU/mr0
ふたば 「そんなの……まだ分からないよ!!」

ダッ……!!!

るみ 「あっ……ふたばちゃん!!」

バニラ 「くっ……僕はふたばを追いかける! るみちゃんは逃げて!」

ピューン!!!

るみ 「………………」 フルフル 「……逃げられるわけ、ないじゃない!!」

ダッ……!!!

………………上空

ダーク 「……心つよき者……どこだ。どこにいる?」

ダーク 「む……?」

ななみ 『こっちです!! こっちに逃げてください!!』

ななみ 『落ち着いて、避難してください!!』

ダーク 「………………」 ニィィ 「……強いな」

ダーク 「あの女のこころの花、頂くとしよう」

――――ビュン!!!!


403:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 15:08:29.87 ID:OiAmU/mr0
ななみ 「落ち着いて動いてください!! 転ばないように気をつけて!!」

ななみ (るみ……一体どこへ行ってしまったの……?)

ダーク 「……身内の心配をしながら、しかし己の責務を全うする」

ダーク 「強いな、貴様」

ななみ 「!? あ、あなたは……プリキュア……? いや、違う……」

ダーク 「ほぅ。残念ながら私はプリキュアだ。それも、真のプリキュアと名乗るべきのな」

ななみ 「真の、プリキュア……?」

ダーク 「全てのプリキュアを討ち倒し……今度こそ私が、本物の、唯一のプリキュアとなる」

ダーク 「そのための力を……お前から貰い受ける!!」 バッ……!!!!

ななみ 「!?」

ダーク 「……闇の力よ集え。ダークタクト! ダークフォルテ――――」

―――――― 「やめて!! すずらんちゃん!!!!」

ダーク 「む……?」


404:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 15:10:13.47 ID:OiAmU/mr0
ふたば 「……ダメだよ、こんなの! 悲しすぎるよ!!」

ななみ 「うそ……!? ふたばちゃん!?」

ダーク 「お前は……しつこいな……」 ギリッ

ダーク 「邪魔をするというのなら容赦はしない。まずはお前のこころの花から頂こうか?」

ふたば 「そんなの、もうやめようよ……!! 悲しいよ! 辛いよ!」

ダーク 「……うるさい。耳障りだ。お前から黙らせる」

バニラ 「や、やめるんだ!! ダークプリキュア!」

るみ 「そ、そうだよ! やめなさい!!!」

ダーク 「っ……次から次へと、雑魚が現れる……」

ななみ 「るみ……? だ、ダメよ! みんな逃げなさい!!」

るみ 「逃げないよ!! 逃げられないよ!!」

るみ 「私、小さい頃からずっと、お姉ちゃんに守ってもらってたんだもん!!」

るみ 「お姉ちゃんみたいに素敵に笑えないけど、お姉ちゃんみたいに強くなれないけど!!」

るみ 「それでも……私はお姉ちゃんに恩返しがしたい! お姉ちゃんを守りたい!!」

るみ 「そして、今度は私がお姉さんとして、ふたばちゃんたちを守りたい!!」


405:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 15:11:41.41 ID:OiAmU/mr0
ななみ 「るみ……」

ダーク 「………………」 ギリッ 「……くだらん芝居だ。何が守りたいだ。力ない者がいきがるな」

スッ……!!!

バニラ (いけない……!!)

ふたば 「ダメだよ!! すずらんちゃん!!!」

ダーク 「……闇の力よ集え! ダークフォルテウェイブ!!!!」

――――――ッッッッッッドンンンンン!!!!!

バニラ 「っ……!!」 (せめて、似ているというのなら……!)

バニラ (こころの大樹よ……僕に……コロンと同じ結末を……!!)


バニラ (――――――せめて、人々を守って……逝かせてください……!!)


――――――ドガfァァァアアアアアアアアアアアアッッッッ!!!!!

バニラ 「えっ……?」

?? 「ぐっ……これは……効くな」 ニィ 「……よう、みんな、無事か?」

ななみ 「!? け、ケンジくん!?」


406:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 15:13:04.77 ID:OiAmU/mr0
ケンジ 「ははっ……腕っ節は強かないが、ガタイだけは良くてよかったぜ」

ガクッ

ケンジ 「なんとかかんとか……壁になること、だけは……できる……」

るみ 「ケンジお兄ちゃん!!!」

バニラ 「そ、そんな……僕は……」 ギリッ 「僕は、一般市民に、守られて……」

ななみ 「ど、どうしてこんな無茶を……!!! 大事な手だって、こんなに、ボロボロに……っ」

ケンジ 「俺の身体ひとつで、手ひとつで……大事な恋人と、その妹を守れた、なら、本望だ……」

バニラ 「……ッ!!!」 ギリリリッ 「ダーク……ダークプリキュア!!!!!」

ダーク 「……ふん。無駄なことを。まぁいい。まずはその男の身体からこころの花を頂くとしよう」

バニラ 「……ダークプリキュア……!! お前は……ッ!! お前だけは!!!」

ダーク 「何もできない不甲斐なさで、私に当たるなよ、妖精」 ニィィ

ダーク 「人間に守られる妖精か……ふん。滑稽だな」

バニラ 「ダーク……プリキュアぁぁぁああああああああああああああああああああああ!!!!」


―――――― 「――――――もうやめて!!!!!」


408:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 15:14:32.64 ID:OiAmU/mr0
ダーク 「!?」 (な……なんだ……!? この私が、一瞬気圧された……)

バニラ 「!!」 (心が……命じている。この声を聞けと……!)

ふたば 「もう……やめて……」 ポロッ……ポタッ……ポタッ 「もう、こんな悲しいこと、やめて……」

ふたば 「お互いを傷つけ合って、憎み合って……こんなの、悲しいだけだよ」

ふたば 「何で、ななみお姉ちゃんの恋人さんが、傷つかなくちゃいけないの?」

ふたば 「何でお姉ちゃんたちが、泣かなくちゃいけないの?」

ふたば 「何で、バニラちゃんはそんなに怖い顔をしているの?」

ふたば 「何で……何で、すずらんちゃんは、こんなことをするの?」

ダーク 「ッ……!!」 (な、何だ……? 頭が、揺さぶられる、これは……)

ふたば 「……わたしは、もう、こんなことを終わらせたい。わたしは……」

ふたば 「誰かが傷つくのも、誰かを傷つけるのも、見たくない。そんなの、悲しいだけだもん」

ふたば 「……わたしは、だから……すずらんちゃん。あなたも、助けたい……!」

キィ……キィィイィイイイイイイイイイイイイイイ!!!!!!!

バニラ (!? まさか、そんな……!! 僕のプリキュアの種が……ふたばに共鳴しているのか!!)


410:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 15:15:26.97 ID:OiAmU/mr0
………………超高々度

マリン 「……ねぇ、コフレ、ひとつ気になってたんだけどさ」

コフレ 「なんです?」

マリン 「あの新しい妖精……バニラって、どうしてあんなにしょぼくれた顔してるの?」

コフレ 「ああ……バニラは、ちょっと特別な妖精なんです」

コフレ 「だから、自分に自信がないというか……」

コフレ 「とっても優秀で、優しい妖精なのに……もったいないです」

ブロッサム 「特別な妖精?」

シプレ 「はいですぅ……バニラは、とっても不思議な妖精です」

コフレ 「なんとですね……バニラのプリキュアの種は……――――」


411:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 15:19:14.59 ID:OiAmU/mr0
………………明堂学園

バニラ 「僕の、プリキュアの種が……出来損ないの妖精の、僕の……」

パァァァアアアアアアアアアア!!!!

バニラ 「僕の、“二つに割れている” プリキュアの種が……輝いている……!!!」

ふたば 「な、なに……? これ……とっても、温かい……力が、みなぎってくる!!」

るみ 「ふたばちゃん……?」

バニラ 「そうか……あのとき、僕の助けを呼ぶ声が、ふたばに聞こえたのは……!!」

バニラ 「ふたばにプリキュアになる素養があったからなのか!!」 (やれる……僕は……!!)

バニラ 「――僕は、プリキュアを生み出し、一人前の妖精になれるんだ!!」

ふたば 「バニラちゃん、これは……」

バニラ 「……行くよ、ふたば!!」 スッ 「君が思うとおりに、イメージするんだ」

バニラ 「君がなりたい姿を。憧れる姿を……なりたい自分を!!」

ふたば 「なりたい、自分……憧れる、姿……」

―――― 『お手伝いが終わったら、お外に遊びに行きましょうか?』

ふたば 「……わたしは……ふたばは……」


412:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 15:21:33.68 ID:2bAn1UUs0
キター!


413:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 15:29:16.07 ID:OgAULRbZO
最年少プリキュアか


417:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 16:01:24.59 ID:OiAmU/mr0
ふたば 「……なりたい」

ザッ……!!!

ふたば 「お姉ちゃんみたいに……素敵な笑顔で、言葉で……誰かを癒せる人に……!!」

ふたば 「お姉ちゃんみたいな、立派な女の人に、なりたい!!」

キィィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!!!

バニラ (いける……やれる!! 今の僕なら……できる!!)

バニラ 「――受け取るんだ、ふたば!! それが君の、ココロパフュームだ!!」

パァァァア……ッッポン!!!

ふたば 「ココロパフューム……? これって……いつか、お姉ちゃんの机で見た……」

バニラ 「そう。なるんだよ。君も。お姉さんのように……キュアブロッサムのように!」

バニラ 「立派なプリキュアに、なるんだ!!」

ふたば 「お姉ちゃんがキュアブロッサム……? ……そっか。うん。分かった」

ふたば 「……わたし、お姉ちゃんみたいな、立派なプリキュアになる」

ふたば (光が……温かい光が、わたしに、教えてくれる……そう)

ふたば (教えてくれる通りに……) ギュッ 「この、ココロパフュームで!!」


418:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 16:02:45.90 ID:OiAmU/mr0
ダーク 「なん、だと……!? ココロパフューム……新たなプリキュア……!?」

ダーク 「ッ……!! させるか!!」

バニラ 「もう遅い!! 僕は……僕は、もう一人前の妖精なんだ!!」

バニラ 「行くよ、ふたば!!」 バッ 「受け取って!! プリキュアの種!!」

ふたば (うん。わたしは……お姉ちゃんみたいな、プリキュアになる……!!)


ふたば 「――――プリキュア!! オープンマイハート!!!」


パァァアアアアアアアアアアアアアアア……!!!!!

ダーク 「っ……この、清浄な光は……間違いない……!!」

ななみ 「ふたばちゃんが……プリキュア……!?」

るみ 「す、すごい……これ……温かい……」

………………カッ!!!!                 ――――――ットン

ダーク 「ば……馬鹿な!! 何故……こんな……そんな、ガキが……プリキュアだと!?」

?? 「ガキじゃ、ないよ。きちんと自己紹介したでしょ?」

ダーク 「っ……!! 緑色に輝く、プリキュア……!!」


419:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 16:04:44.89 ID:OiAmU/mr0
るみ 「すごい!! すごいよ、お姉ちゃん!!」

ななみ 「ええ……きれいね、とっても。それに、何だか心が安らぐわ……」

?? 「……もう、大丈夫だから。わたしが、しっかり、みんなを守るから」

?? 「お姉ちゃんのように。ちゃんと、プリキュアするから」

ダーク 「っ……!! なりたてのプリキュアに何ができる!!」

?? 「……できるよ。だって、救いたいから。あなたを」

ダーク 「ッ……!?」

?? 「あなたを、助けたいから。救いたいから。だからわたしは、戦う……!!」

バニラ 「……さぁ、名乗るんだ。君の名を。君がなりたいその名を、名乗るんだ!」

?? 「わたしは……」 ギュッ 「……わたしは、できることなら、」

?? 「世界を癒し、見守り、育む……そんな、緑のようでありたい」

?? 「花に栄養を与え、人々にきれいな空気を与える……ちっぽけだけど、綺麗な葉っぱのように」

?? 「強く、たくましく……ありたい。だから、わたしは……わたしの、名は……!!」


―――――― 「深緑に舞う一輪の花!! キュアリーフ!!!」


420:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 16:09:34.37 ID:OiAmU/mr0
………………超高々度

シプレ 「でもですね、バニラは絶対に出来損ないなんかじゃないです」

コフレ 「プリキュアの種が二つに割れている本当の意味を、知らないだけですっ」

マリン 「本当の意味? なにそれ?」

コフレ 「こころの大樹から、バニラが自分で気づくまで口止めされてるですが……」

シプレ 「実は、バニラは……――」

ムーンライト 「――静かに。そろそろアフリカ大陸の上空に入るわ。気を引き締めなさい」

シプレ 「は、はいですぅ!!」

サンシャイン 「そろそろ降りてみよう。何があるか分からないから、みんな、僕から離れないようにね」

ポプリ 「ポプリからも離れないでくだしゃいね!!」

ムーンライト (上空からだと、さすがに分からないわね……)

ムーンライト (しかし……実際に砂漠の総面積は増えている……)

ムーンライト (“砂漠の意志” がその原因であるとすれば、私たちは……)

ムーンライト (……いえ、考えるのは後ね。今は、戦いに集中しなければ)


421:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 16:11:24.23 ID:OiAmU/mr0
………………サハラ砂漠

ブロッサム&マリン 「「………………」」

サンシャイン&ムーンライト 「「………………」」

シプレ&コフレ&ポプリ 「「「………………」」」

ヒューーーー……

マリン 「……な、何にもないね」

ブロッサム 「見渡す限り、一面の砂漠……というよりは、荒野という感じでしょうか」

ムーンライト 「……何の変哲もない岩石砂漠ね。ごく一般的な砂漠よ」

サンシャイン 「へぇ……砂漠って言うから、砂丘みたいなのを思い浮かべていたよ」

ムーンライト 「もちろん、そういう砂漠もあるわ。けれど、そこまで広くはないの」

マリン 「へぇぇ……初めて知ったっしゅ」

サンシャイン 「ともあれ、どこを探したものか……」

ブロッサム 「……よく考えたら、サハラ砂漠ってとても広いですもんね」

コフレ 「広いってどれくらいですっ?」

サンシャイン 「たしか……アフリカ大陸の三分の一くらい」


422:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 16:13:13.62 ID:OiAmU/mr0
マリン 「三分の一? にゃはは、なんだそれくらい……」

マリン 「――三分の一ぃ!!?」

シプレ 「お約束ですぅ」

ブロッサム 「ふざけてる場合じゃないですよ、マリン。本当にどうしましょう……」

ムーンライト 「……こんなときこそ、人に頼るのが筋、でしょうね」

ブロッサム 「人?」 キョロキョロ 「しかし、こんな砂漠の真っ直中に、人なんて……」

ムーンライト 「いるのよ、それが。聞いたことないかしら?」

ムーンライト 「“砂漠に住まう者” という名を持つ、彼らのことを」

ブロッサム 「なるほど!! 砂漠の遊牧民の方々ですね!!」

マリン 「砂漠に遊牧民なんているの!?」

ムーンライト 「……まぁ、最近は人口が目に見えて減っているようだけれど」

ムーンライト 「彼らは今でも、伝統を守りながらたしかに生き続けているわ」

ポプリ 「はぇええ……すごいでしゅ」

ムーンライト 「……さて、彼らに会いに行く前に、」 ニコッ 「まずは変身を解きましょうか」

サンシャイン 「あっ……はは。そうだね……」


424:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 16:20:34.82 ID:OiAmU/mr0
……………… “砂漠の民” テント群

少年 「………………」

ザザ……ザザザザ……

少年 「……っ、このポンコツラジオめ。ろくろく電波を拾いやしないじゃないか」

少年 「街からそう遠くはないとはいえ、仕方ないか……」

プチッ

少年 (…… “神様” が、全世界に攻撃を始めたらしい)

少年 (砂漠の神はいつも正しい。だから、これもきっと……正しいこと……)

少年 「考えるのはやめよう」

ザワ……ザワザワザワ……

少年 「うん……? なんか外が騒がしいな……」

『うわわわわ!! あたし本物のラクダって初めて見たよ!!』

『ち、ちょっとえりか!! 騒ぎすぎですよ!!』

『えりか!! 勝手に触っちゃダメ……って乗っちゃダメだって!!』

『……まったくもう』


425:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 16:21:37.15 ID:OiAmU/mr0
………………テント外

少年 「なんだってんだ……?」

大人1 「こ、コラ!! 君たち何をやっているんだ!!」

?1 「わっ……わわわわ……」 ズルッ……ドタッ!! 「ふげっ!?」

少年 「あのガキ……勝手にラクダに乗ったのか……」

?2 「す、すみませんすみません!! すみません!!」

?2 「この子、初めて見たラクダに興奮してしまったようで……本当にごめんなさい!!」

?3 「本人も反省しておりますので、どうか許してください!!」

?4 「申し訳ありません。保護者である私の落ち度です」

大人1 「あー……いや、いいよ。子どものやったことだもんな。そうは怒らないよ」

?1 「むきーーー!! あたしは子どもじゃむぐぅ!!」 ?2 「えりかは」 ?3 「黙ってて!!」

?1 「むごむごむごーーーーー!!」

少年 「……なんだぁ、アイツら……?」

大人1 「それで……君たちは一体どこから来たんだい? 見たところ、東洋人のようだが……」

?4 「……日本から、この近辺の調査で参りました」 ペコリ 「私は、月影ゆりと申します」


427:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 16:28:32.78 ID:OiAmU/mr0
………………

大人1 「それで、君たちは一体何を調査しに来たんだい?」

少年 (……何で俺が給仕をやらされてんだよ……クソ親父め)

少年 (たしかに “砂漠の民” は客人をもてなすもんだが……)

少年 (コイツら、こんな軽装で砂漠に来たって……明らかに怪しいだろ!!)

ゆり 「実は、本日未明、全世界で一斉に “砂漠化” が起こりまして」

少年 「!?」

ゆり 「そのことに関して、砂漠に住まう皆様に何か情報を頂けないかと参じた次第でございます」

大人1 「砂漠化……? それは、一体どういうことだろう?」

ゆり 「実は……――」

少年 「………………」

トトトトト……

つぼみ 「?」 (どうしたんでしょう。あの子……体調が悪そうでしたけれど……)

えりか 「つぼみ?」

つぼみ 「……すみません。ちょっと席を外します」


428:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 16:36:11.79 ID:OiAmU/mr0
………………

少年 (……やっぱり、本当だったんだ。神様……本当に、全世界を、砂漠に……)

少年 (これは、正しいこと……。だから、大丈夫……)

少年 (決して間違っていたりはしない……だって、俺は……)

少年 (“砂漠の意志” ……神様に、そう言われたから……)

?? 「あ、あの……」

少年 「!?」 ビクッ 「お、お前は……」

つぼみ 「あ……は、初めまして。花咲つぼみと申します」

少年 「……ふん。日本人がわざわざこんな場所まで。ご苦労なことだな」

つぼみ 「いえ……わたしたちの使命ですから」

少年 「そうかい」

つぼみ 「あの、あなたは何かご存知ではないですか? 世界の、砂漠化について」

少年 「……知らねぇよ、何も」

つぼみ 「そう、ですか……」

少年 「………………」 スクッ


437:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 17:30:21.88 ID:OiAmU/mr0
つぼみ 「あ……どちらに?」

少年 「……壊れかけのテントの補修だ」

つぼみ 「あ、あの……それ、お手伝いさせてもらってもいいですか?」

少年 「……何で?」

つぼみ 「いえ……砂漠で暮らすなんて、きっと大変でしょうから、お手伝いをさせてもらいたくて……」

少年 「……余計なお世話だ」

つぼみ 「あ……あう……」

少年 「……大変だが、」

つぼみ 「え……?」

少年 「……大変だが、俺たちはこの生活に誇りを持っている。余計な同情なんていらない」

つぼみ 「あ……! じゃあ、正直に言います!!」

少年 「あん?」

つぼみ 「ここの生活がとても興味深いので、見学も兼ねてお手伝いさせてください!」

少年 「………………」 フイッ 「……勝手にしろ」

つぼみ 「あ、ありがとうございます!!」


439:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 17:36:21.90 ID:OiAmU/mr0
………………

カンカンカンカン……!!!

少年 「………………」

ヨロヨロヨロ……

少年 「……?」

つぼみ 「はっ……はひっ……あ、あの……これ、持ってきましたぁ……」

少年 「……それくらいでフラフラかよ。弱いな」

つぼみ 「め、面目ありませぇん……」 ペタッ

少年 「まぁいい。助かった。ありがとよ」

つぼみ 「これ……テント補修用の、布、ですよね……すっごく重くて、ビックリしました……」

少年 「補修した部分は必然的に弱くなる。丈夫な布を使わざるをえないんだよ」

つぼみ 「はぁ……なるほど」 ニコッ 「生活の知恵、ですね」

少年 「ああ。壊れたら直せばいい。ずっと昔から受け継がれている経験と伝統でな」

少年 「じゃあ、今度は鋲がほしいな。そこらの灌木を切ってきてくれ」 スッ

つぼみ 「……!? わ、わひっ!? お、おっきいナイフ!?」


440:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 17:39:36.92 ID:OiAmU/mr0
少年 「それくらいで驚くなよ……ほら、早く受け取れ」

つぼみ 「は、はい……」

少年 「恐る恐る扱う方が危険だ。刃物を持ったこともないのか?」

つぼみ 「……これは剪定ばさみこれは剪定ばさみこれは剪定ばさみ」 コクッ 「大丈夫です」

少年 「……? まぁいい。それで使えそうな枝を数本切って持ってきてくれ」

つぼみ 「はい! 行ってまいります!!」

ビューン

少年 「……今度こそ面倒がって逃げると思ったが……何なんだ、あの女?」

少年 「………………」 フン 「……まぁ、どうでもいい」

カンカンカン………………

つぼみ 「……取ってきました!!」

少年 「お、おう……早かったな……」

つぼみ 「枝を切ることだけは得意なんです!」

少年 「そうかい」

つぼみ 「はい!」


442:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 17:41:59.17 ID:OiAmU/mr0
つぼみ 「それにしても驚きました。こんな乾燥地帯でも生える草木はあるんですね」

少年 「知らん。俺たちはその場所を経験として語り継ぐだけだ」

つぼみ 「……すごいです。ご先祖さまから今まで、ずっと受け継がれてきたんですね」

少年 「ふん……どうせ、不便で退屈そうだと思っているんだろう」

つぼみ 「そんなことありません! こんな風に皆さん力を合わせて生きている姿を見ると、」

つぼみ 「わたしも、もっとがんばらなきゃって思えてきます!」

少年 「……ふん。しかし、お前たちみたいな人間が、砂漠を否定しているんだ」

つぼみ 「えっ……?」

少年 「砂漠はずっと昔からここにあった。それこそ、人間なんかが生まれるずっと前からな」

少年 「なのに……世界中の人間は、砂漠を目の敵にする。いけないものだと糾弾する」

少年 「……たしかに、この生活は不便で退屈で……大変だ」

少年 「けど、俺はこの生活に誇りを持っている。俺は “砂漠の民” として誇り高く生きたいんだ」

つぼみ 「………………」

少年 「……まぁ、この部族の人間も、どんどん街に行ってしまっているんだがな」

少年 「この部族にももう大した数の人間はいない。それでも俺は、砂漠で生きる」


447:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 17:48:34.14 ID:OiAmU/mr0
つぼみ 「………………」

つぼみ 「……多分、その通りだと思います」

少年 「あん?」

つぼみ 「わたしは心のどこかで、砂漠とは怖いものだと思っていました」

つぼみ 「なくなった方がいいって……悪いものなんだって……そう、思っていました」

少年 「………………」

つぼみ 「けれど、違うんですね。砂漠は、きちんとひとの心を育んでいるんですね」

少年 「え……?」

つぼみ 「外の草木も、懸命に生きようとしていました」

つぼみ 「そしてあなたも……まっすぐ、自分自身に誇りを持って生きていらっしゃいます」

つぼみ 「砂漠は厳しくも……しっかりと、心と命を、育んでいるんですね」

ペコリ

つぼみ 「ごめんなさい。わたし、考えを改めます」

少年 「………………」 プイッ 「……あんたみたいな人も、いるんだな」

少年 「あんたみたいな人ばかりだったら、神様も、あんなこと、しなかったかもしれないのに……」


448:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 17:52:54.55 ID:OiAmU/mr0
つぼみ 「え? 神様……? それって……」

少年 「……全世界の砂漠化、だろ? それを起こしたのは、砂漠の神……」

少年 「いや、“砂漠の意志” ……って言ってたかな」

つぼみ 「!? あ、あなた…… “砂漠の意志” を知っているんですか!?」

少年 「……俺たちの部族。いや、ほとんど全部の遊牧民が知ってるよ」

少年 「砂漠を司る、俺たちの神様さ」

………………

大人1 「なるほど……そんなことが起こっているのか

大人1 「しかし、ここではそういった被害はないな……」

大人1 「まぁ、ここは元々からして砂漠だから、当たり前かもしれないが」

ゆり 「……そう、でしょうか?」

大人1 「? どうかしたかい?」

ゆり 「ここは砂漠のただ中です。だからこそ……被害がより甚大になる可能性もあります」

大人1 「はは……まさか、そんな……砂漠を砂漠にする意味なんてないだろう」

ゆり (“砂漠の意志” の目的が、全世界を砂漠とすることだけならば、たしかにその通り)


449:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 17:57:07.44 ID:OiAmU/mr0
ゆり (けれど、違う…… “砂漠の意志” の目的は、全人類のこころの花を枯らせること)

ゆり (ならば……)

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!!

大人1 「……!!?」

ゆり 「……?」

えりか 「? 何、この音? 地鳴り?」

いつき 「いや……これは……風……ううん。風に、何かが……」

大人1 「冗談だろう……!! この音は、まさか……そんな……!!」

ゆり 「どうかされたのですか? この音は、一体……?」

大人1 「……砂嵐だよ。こんな時期に来るなんて、普通はありえないのだが……」

えりか 「砂嵐?」

大人1 「ああ……それも、この音からして……かなり大きい」

大人1 「砂嵐はとても危険なものなんだよ。君たちはここから動かない方がいい」

大人1 「私はラクダたちを避難させなければならない。それでは、失礼するよ」

タタタタ……


451:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 18:01:46.99 ID:OiAmU/mr0
ゆり 「………………」

いつき 「……ゆり、えりか」

えりか 「……うん。何か、すっごく嫌な感じがするっしゅ」

ゆり 「それも、段々と近づいてきている……」

ゴゴゴゴゴゴ……

ゆり 「……恐らくは、この音とともに」

いつき 「季節外れの砂嵐。それも、かなり大きいときた」

いつき 「これはつまり、そういうことなのかな」

ゆり 「間違いないでしょうね。“砂漠の意志” の目的は、すべてを壊すこと」

ゆり 「たとえ砂漠に住まう者たちであったとしても例外ではないわ」

えりか 「世界中が砂漠で包まれたことによって、ひとのこころの花は弱ってる」

えりか 「けれどここのひとたちにとって、そんなのは当たり前のこと」

えりか 「だから、“砂漠の意志” はここを直接……」

いつき 「……なんて卑劣なことを!」

ゆり 「ええ。けれどちょうどいいわ。私たちの手で、“砂漠の意志” と決着をつけましょう」


452:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 18:04:41.10 ID:OiAmU/mr0
………………

少年 「そんな……どうして……?」

つぼみ 「なんですか、あれ……遠目からでもはっきりと見えます……」

つぼみ 「黄金に輝く……壁……?」

少年 「……とてつもなく強大な砂嵐だ。あんなの、今まで見たこともないぞ」

つぼみ 「砂嵐……?」

少年 「外に出ていては危険だ。お前は早くさっきのテントに避難しろ」

つぼみ 「あ、待ってください! “砂漠の意志” のこと、もう少しだけ教えてください!」

少年 「…… “砂漠の意志” は俺たちが信じる神――砂漠の神だ……と思う」

少年 「俺は少なくとも、“砂漠の意志” の声を聴いたとき、それが神だと思った」

つぼみ 「!? “砂漠の意志” と会話をしたんですか!?」

少年 「ああ。神様は、俺にだけ声を聴かせてくれた。神様は……」

少年 「……砂漠を軽んじる者たちに罰を与えると、そう言っていた」

つぼみ 「罰……?」

少年 「……悪い。俺はラクダたちを避難させなきゃならない。お前は早くテントに行け」


453:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 18:12:04.78 ID:OiAmU/mr0
えりか 「つぼみ!!」

つぼみ 「……えりか」

コフレ 「……? どうかしたです?」

つぼみ 「………………」

シプレ 「つぼみ……?」

つぼみ 「……あの……砂漠って、悪いものなのでしょうか?」

えりか 「えっ……? ち、ちょっとつぼみ、いきなり何言い出すの?」

つぼみ 「……砂漠は、ずっと昔からここにあったんです」

つぼみ 「わたしたちが生まれるずっと前から。ずっと、ずっと」

ゆり 「………………」

つぼみ 「けれどわたしたちは砂漠を悪者にして……なければいいと思っています」

つぼみ 「……それって、正しいことなんでしょうか……?」

ゆり 「……たしかに、現代で砂漠というものに良いイメージを抱いている人は少ないでしょうね」

ゆり 「砂漠もこの地球の一部。なければいいというものではないわ」

ポプリ 「でも、だからといって、世界中が砂漠になっていいわけはないでしゅ!!」


455:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 18:18:57.19 ID:OiAmU/mr0
つぼみ 「それは、そうですが……」

いつき 「……それに、“砂漠の意志” は、全人類のこころの花を枯らそうともしている」

いつき 「僕らプリキュアは、そんなことを決して許してはおけない」

つぼみ 「………………」

いつき 「……けど、話すことはできる。幸いなことに、“砂漠の意志” との会話は可能だからね」

つぼみ 「えっ……?」

えりか 「何に影響されたのかは知らないけどさ、」 ニッ

えりか 「つぼみらしいよね。こんなときでも、そんなこと考えられるってさ」

コフレ 「ですっ」

つぼみ 「えりか、コフレ……」

ゆり 「環境を破壊しているのは私たち人間。だというのに、砂漠を恨むっていうのは確かに筋違いだわ」

ゆり 「……話して聞いてくれるなら良し。けれどそれでダメなら……分かっているわね?」

つぼみ 「はい! そのときは……わたしたちの手で、なんとかしましょう!」

ゆり 「ええ。その意気よ、つぼみ」

いつき 「……そろそろ行こう。奴が砂嵐とともに来る」


456:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 18:25:56.61 ID:OiAmU/mr0
………………明堂学園

ダーク 「っ……キュアリーフだと……!? 馬鹿なッ!」

ダーク 「この状況でこころの大樹にまだ新たなプリキュアを生み出す力が残っていたなど……!」

リーフ 「……こころの大樹は、今も成長を続けているんだよ」

バニラ 「ひとの心が強くあり続ける限り、こころの大樹は邪悪な者たちと戦う戦士を生み出し続ける!!」

バニラ 「さぁ覚悟しろ、ダークプリキュア! キュアリーフが現れた今、お前もこれでおしまいだ!」

ポスッ

バニラ 「わ……わふっ……」

リーフ 「……バニラちゃん。そんなひどいこと言ったらダメだよ」

バニラ 「ひどいって……でも、ダークプリキュアは彼をあんなに傷つけたんだよ!?」

ダーク 「………………」

リーフ 「……それは、そうだけど……でも、ごめんなさいすることはできるよ」

バニラ 「ご、ごめんなさいって……そんなの……」

ケンジ 「そうだ、その通りなんだ! ごめんなさいすれば解決だ!」

バニラ 「そうそう! 普通は……――ってぇぇえええ!?」


457:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 18:32:34.67 ID:OiAmU/mr0
ケンジ 「すばらしい考え方だな、新しいプリキュアは! 俺もそれに全面的に賛成だ!」

ケンジ 「それでこそプリキュア! それでこそ俺たちが憧れるヒーローだ!!」

バニラ 「ひ、被害者本人が大絶賛してる……!?」

リーフ 「ななみお姉ちゃんの恋人さん!」

ケンジ 「友達なんだろう? だったら、救ってみせるんだ! 次代のプリキュア……キュアリーフ!!」

リーフ 「う……うん!!!!」

リーフ 「わたしは……キュアリーフは、絶対にすずらんちゃんを救い出してみせる!!」

ダーク 「っ……! 黙って聞いていれば勝手なことを!!」

ダーク 「私は “すずらん” などという名ではない! そしてお前の友達でなどありえない!!」

リーフ 「……ううん。あなたはすずらんちゃんだよ。そして、わたしの友達だよ」

ダーク 「っ……いいだろう。ならばその戯れ言ごと、まずはお前を打ち倒すまでだ!!」

――――ッッドン!!!

リーフ 「ッ!?」 (は、速い……!!)

ガッッッッ……!!!!

リーフ 「きゃああああああああああ!!!!」


458:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 18:35:30.98 ID:OiAmU/mr0
バニラ 「キュアリーフ!!」

ダーク 「ふん。他愛もない。私の蹴り一つ満足に防げぬのか」

リーフ 「いっ……痛い……」 (これが、プリキュアの戦い……すごく、怖い)

リーフ (一発で吹き飛ばされちゃった……。でも、それでも……わたしは……)

ザッ……!!!

リーフ 「……決めたもん。変わるって。お姉ちゃんみたいに、しっかりプリキュアやるって」

リーフ 「泣いている人を癒してあげたい。苦しんでいる人を助けてあげたい。だから、わたしは……」

リーフ 「……痛くても、恐くても……立ち上がる。絶対に」

ダーク 「くだらん。ブロッサムほどの力も持たぬ幼きプリキュアに何ができる」

リーフ 「何ができるかじゃないよ。何がしたくて、何をするかだよ」

ダーク 「戯れ言を!!!!」

――――――カッ……!!!!

リーフ 「きゃっ……!?」 ドン!!! 「な、何、これ? 風!?」

バニラ 「ダークプリキュアの瞳から放たれる衝撃波だ!! 何者をも吹き飛ばすほどの力を秘めている!!」

バニラ 「けれど大丈夫だ! 君は、“君” を思い出せ! 君がなりたい自分を……そのプリキュアの名を思い出せ!」


461:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 19:02:26.90 ID:OiAmU/mr0
リーフ 「なりたい、自分……この、名前……」

ダーク 「ふん……」

ギィィィイイイイイ……!!!!

バニラ 「もう一発くる!! リーフ!!」

リーフ 「わたしは、そう……キュアリーフ!!」

――――――――ッッッッドンンン!!!!

リーフ 「――リーフ・ミラージュ!!」

ザザザザザザ……ッッッシュンンン!!!!

ダーク 「な……何ッ……!? 分身だと……!?」

バニラ 「……木の葉は空を舞い、そして数多の葉っぱと擦れ合い、その姿を隠す」

バニラ 「なるほど。慎ましやかに人々を癒したいと願った、キュアリーフらしい回避能力だ」

バニラ (キュアリーフ。君は、キュアマリンのように爆発的なパワーを持つわけではない)

バニラ (キュアサンシャインのように剛の攻撃・防御能力を持つわけでもない)

バニラ (キュアムーンライトのように万能の力を持つわけでもない)

バニラ (しかし君は、キュアブロッサムのようなトリッキーな動きを得意とするようだ)


462:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 19:06:15.47 ID:OiAmU/mr0
ダーク 「馬鹿な……! 私の衝撃波をも完全にしのいだというのか……!?」

リーフ 「キュアメロディが言ってた!! 駄々っ子にはお灸を据えなきゃだって!!」

リーフ 「……だから、今度はこっちから行くよ、すずらんちゃん!!」

――――ッッドッッ!!!

ダーク 「っ……!!」 (予想以上に、速い……!?)

バニラ (そう……彼女の本質は宙を舞う葉の如く鮮やかで先の読めない動き)

バニラ (だからこそ、強敵であるダークプリキュアにも勝利しうる可能性を秘めている)

リーフ 「行くよ、最大加速!! リーフ・アクセル!!」

ダーク 「!?」 (スピードが、加速度的に――ッ!?)

ダーク (また分身……いや、残像……!? どれが本物……どれを、狙ったら――)

リーフ 「――迷っちゃダメだよ、すずらんちゃん! それから、痛かったらごめんね!!」

ダーク (しまっ……!? このタイミングで懐に!! 反応が、追い、つか――)

リーフ 「――プリキュア!! 分身パンチ!!」

ドゴォォオオオオッッ!!!!

ダーク 「あ、がッ……!!?」


463:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 19:10:26.59 ID:OiAmU/mr0
バニラ 「!! ダークプリキュアに隙ができた! リーフ、今だ!!」

リーフ 「う、うん!!」

リーフ 「集まれ、花のパワー!!」

パァァァァアアアアアアアア……!!!!!

リーフ 「リーフタクト!!」

バニラ (すごい……! もうタクトを使いこなしている!)

リーフ 「……花よ閃け!! プリキュア・グリーンフォルテウェイブ!!」

――――――ッッッッッッッッッドンンン!!!!!

ダーク 「ッ……!! この、程度で……」 スッ 「舐めるなぁぁああああああああ!!!」

ダーク 「闇の力よ集え! ダークフォルテウェイブ!!」

――――――ッッッッッッッッッドンンン!!!!!

                      ――――――――――カッッッッ……!!!!!!

ッッッッドォォオオオオオオオ!!!!!!!!

ななみ 「す、すごいパワーだわ。とても近寄れない……」

るみ 「ふたばちゃん……ううん、キュアリーフ……がんばって!!」


464:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 19:13:04.65 ID:OiAmU/mr0
リーフ 「………………」

ダーク 「………………」

ズキッ!!!

リーフ 「……っ」

バニラ 「! キュアリーフ!!」 ピューン 「リーフ!! 大丈夫かい?」

リーフ 「だ、ダメ……分かるの。完全に、押し負けちゃった……」

ダーク 「……これが貴様と私の格の違いだ。思い知っただろう、キュアリーフ」

ダーク 「プリキュアになったばかりの貴様では、私には勝てん」

リーフ 「そんなこと……」 ズキッ 「痛っ……!」

ダーク 「恐らく貴様は史上最年少のプリキュアであろう。身体に無理が来ていることは想像に難くない」

ダーク 「そんな貴様では、本調子でない私すら倒せない」

リーフ 「っ……!」 (ダメ……身体に、力が……)

ダーク 「無様だな、キュアリーフ。その程度で私に立ち向かったこと、地獄で後悔するのだな」

ギィィィィイイイイイ……!!!!

リーフ 「………………」


466:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 19:16:41.04 ID:OiAmU/mr0
ダーク 「……何だ、その目は」

ダーク 「なぜ、諦めない。なぜ、絶望しない。なぜ……まだそんな目ができる……!!」

リーフ 「……決まってるよ、そんなの」

リーフ 「わたしが諦めたら、すずらんちゃんを助けられないもん!!」

ダーク 「っ……」 (なんだ、こいつは……なぜ怯えない。恐怖しない……何故だ……!!)

ダーク (我が身を顧みる気すらないのか……ただ、ただ “すずらん” のために……!)

ダーク 「……いいだろう。お前にはまず、絶望の色を知ってもらうとしよう!」

ジャキッ!!!!

ななみ 「え……!?」  るみ 「ひっ……」  ケンジ 「な、何を……!!」

リーフ 「!? た、タクトをみんなに向けて、どうするつもりなの!!」

ダーク 「決まっている」 ニィィ 「こころの花が枯れ果てる瞬間を、お前の目に焼き付けてやる」

バニラ 「なっ……!! や、やめ――――」

ダーク 「――――遅い!! ダークフォルテウェイブ!!」

――――――ッッッドンンン!!!!

ゴォォォォオオオオオオオオオオオ!!!!


467:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 19:23:32.52 ID:OiAmU/mr0
バニラ 「っ……!!」 ギリッ 「無関係な、人間を、狙って……わざわざ……!!!」

バニラ 「ダーク……ダークプリキュア!! お前は……お前はあぁああああああ!!!」

ダーク 「そうだ。それこそ正しい反応だ。私を恐れ、私を憎み、そしてこころの花を枯らせるがいい!!」

ダーク 「どうだ、キュアリーフ? これでお前も私を下らぬ名で呼ぶようなことは、――――なッ!!?」

ダーク 「ば……っ、馬鹿なッ……!!」

るみ 「キュア、リーフ……?」

ななみ 「そんな……」

ケンジ 「キュアリーフ、君は、どうやって……」

リーフ 「……良かった。無事で。みんなが、無事で……」

バニラ 「そんな……なんて、ことだ……これは……」

ダーク 「なっ……何が起きたというのだ!?」

ダーク 「――なぜだ……! なぜその人間たちが、別の場所に移動している……!?」

バニラ 「……キュアリーフは、己の能力をフルに使いこなしたんだよ」

バニラ 「分身による回避運動と、残像すら生み出すほどの瞬間加速……」

バニラ 「それらを駆使し、君の攻撃からあの三人を守りきったんだ」


468:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 19:26:55.90 ID:OiAmU/mr0
ダーク 「なん……だと……!?」

バニラ 「まだプリキュアになったばかりだというのに……まだ六歳だというのに……」

バニラ 「なんて凄まじい潜在能力だ……」

ダーク 「そこまでして、あの人間どもを守りたかったというのか……!」

バニラ 「……なぜわからない? それだけじゃないさ」

ダーク 「な、なに……?」

バニラ 「リーフは彼女らを守りたかっただけじゃない。君に、これ以上罪を重ねてほしくなかったのさ」

ダーク 「!?」

バニラ 「……ここまでやられたのなら、僕ももうキュアリーフに全面的に同意せざるをえないな」

バニラ 「本気で君を救いたいんだ、リーフは。だから僕も、その意志を尊重しようと思う」

ダーク 「っ……誰も彼も、世迷いごとをほざく……!!」

バニラ 「それでも、リーフも僕も、それを諦めることはない。絶望することもない」

ダーク 「っ……!!」

リーフ 「……ななみさん、るみさん、ケンジさん。ごめんなさい、巻き込んでしまって……」

るみ 「な、何言ってるの!? 助けてくれたんじゃない! ありがとう、キュアリーフ」


470:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 19:34:28.30 ID:OiAmU/mr0
ケンジ 「……ななみ」

ななみ 「ええ。キュアリーフ、わたしたちは邪魔にならないように逃げているわ」

ななみ 「るみ、行くわよ」

るみ 「う、うん……」 ギュッ 「キュアリーフ……ごめんね。がんばってね!!」

リーフ 「うん!!! ありがとう、るみさん!」

ダーク 「っ……そこまでの潜在能力を秘めながら、それを今の今まで隠していたというのか……」

ダーク 「このダークプリキュアも舐められたものだな……ッ!!」

リーフ 「………………」 ポタッ……ポタッポタッ…… 「っ……うっ……」

ダーク 「……!?」

リーフ 「……っ……ぐすっ……ねえ、すずらんちゃん、どうして? どうしてこんなことをするの?」

リーフ 「悲しいよ。つらいよ。こんなの……ダメだよ」

ダーク 「っ……! さっきから言っている。この世界を砂漠とすることが、私の使命だからだ」

ダーク 「……そして私は、今度こそこの手で、全てのプリキュアを葬り去らなければならない」

ダーク 「そうすれば……私は、本物になれる。本物の……キュアムーンライトになれる」

リーフ 「なに、それ……?」


471:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 19:36:55.94 ID:OiAmU/mr0
バニラ 「……ダークプリキュアは、キュアムーンライトの遺伝子から作られたんだ」

バニラ 「だから……彼女は、キュアムーンライトを倒して、自分が本物になりたいんだ」

リーフ 「………………」

ダーク 「分かったのなら、おとなしくここで滅べ。私は、お前の言葉など聞く耳持たん」

リーフ 「……おかしいよ、そんなの」

ダーク 「………………」 フッ 「……おかしいと思うのなら、私を止めてみせるのだな」

ダーク 「プリキュアを倒すためだけに生み出された、人形の私をな……――――」


リーフ 「――――だから……!! それがおかしいって言っているんだよ!!」


ダーク 「……何だと?」

リーフ 「すずらんちゃんはすずらんちゃんなのに……他の誰かになりたいなんて……」

リーフ 「そんなの絶対、おかしいよ……!! あなたはあなただよ!!」

ダーク 「ッ……!」

―――― 『お前は、私の――――――』

ダーク 「な……何を……ッ!!」 (この、記憶は……一体、私は……)


472:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 19:46:01.23 ID:OiAmU/mr0
リーフ 「すずらんちゃんは人形なんかじゃないよ! すずらんちゃんは、すずらんちゃんだよ!!」

リーフ 「他の誰でもない! 他の誰かに変わる必要なんてない!」

リーフ 「……なのに、何で……? 何で、人形だなんて言うの?」

リーフ 「本物になるなんて言うの? あなたは……本物のあなただよ……」

―――― 『お前は、私の――――――』

ダーク 「ッ……う、る……さい……!! うるさいうるさい……!!」

ザッ……!!!!

ダーク 「私は、プリキュアを倒すためだけに生み出された人形だ! それ以外の何者でもない!!」

ダーク 「だから私は、プリキュアを倒し、本物のプリキュアとなる!! それだけだ!!」

リーフ 「すずらんちゃん!!」

ダーク 「――――私を……その名で呼ぶな!!」

ギリッ

ダーク 「……闇の力よ集え」

ギィィイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!!

バニラ 「!? あ、あれはまずい……!!」


476:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 20:14:32.34 ID:OiAmU/mr0
リーフ 「すずらんちゃん……すずらんちゃん!!!」

バニラ 「ダメだキュアリーフ!! 逃げろ!!」

バニラ 「今の君では、あの攻撃を避けるどころか、耐えることすら叶わない!!」

リーフ 「えっ……?」

ダーク 「もう遅い!!」 ニィ 「これで終わりだ!!」

ダーク 「――――ダークパワー・フォルティシモ!!!!」

ッッッッッッッッッドンンンン!!!!!

リーフ 「!!?」 (は、速――――――)

――――――ッッッッッッッッッッッッッッッッッッド!!!!!

リーフ 「――――きゃあああああああああああああああああああああああああ!!!」

バニラ 「リーフ!? キュアリーフぅぅうううううううううう!!!!」

……スタッ

ダーク 「……やはり貴様は弱い。この程度、キュアムーンライトであれば容易く凌いでいたぞ」

バニラ 「っ……!!」 キッ 「弱くなんかない!! リーフは、逃げなかったんだ!!」

バニラ 「君を救いたいから、助けたいから……だから、逃げなかったんだ!!」


477:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 20:16:07.04 ID:OiAmU/mr0
ダーク 「妖精までもが何を。私はダークプリキュアだぞ?」

バニラ 「……憎いさ。僕だって、憎い……君が憎い!!」

バニラ 「けれど、リーフが……プリキュアが、助けようとしているのに……」

バニラ 「それを否定するようなことを、僕はしたくない!!」

ダーク 「……くだらん」 スッ 「まぁいい。どうせお前たちも始末しなければならない」

ダーク 「お前ごと、キュアリーフを消滅させよう」

バニラ 「……僕は逃げない。キュアリーフだって逃げなかった。だったら、僕も逃げない!!」

ダーク 「………………」


――――――――さようなら、キュアムーンライト――――――――


ダーク 「ッ……!?」 (キュアムーンライトの妖精……)

ダーク (この妖精は……似ている……?)

ダーク (私は、また……また、同じ事をするのか……?)

ダーク (私はまた……妖精を、滅ぼすのか……?)

ダーク (私は……――――)


478:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 20:19:09.01 ID:OiAmU/mr0
ダーク 「……私は……人形だ。心など持ち合わせていない」

ダーク 「だから、そう……私は……」

ダーク 「私は、人形……プリキュアに……本物の、プリキュアに、なる、ために……」


「――――ちがうよ……そんなの、おかしいよ……」


ダーク 「なっ……!?」

ググッ……グググッ……!!!

ダーク 「キュアリーフ……!? ダークパワー・フォルティシモを受けてなお立つというのか!?」

リーフ 「あなたは人形なんかじゃないよ! だって……だって!!」

リーフ 「――――だったらどうして、あなたはそんなに悲しそうな顔をしているの!!!!」

ダーク 「ッ……!? か、悲しそう、だと……馬鹿なことを言うな!!」

ダーク 「貴様は、何を言っているんだ!!」

リーフ 「……だって、わたしには分かるもん」

リーフ 「……人形なんて嘘だよ。あなたはだって、わたしのことを、励ましてくれた」

リーフ 「わたしに、勇気をくれた。元気をくれた。色々なものをくれた」


480:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 20:36:11.66 ID:OiAmU/mr0
リーフ 「心のない人形に、そんなことはできないよ……!!」

ダーク 「ッ……」

リーフ 「そして今、そんなすずらんちゃんが悲しそうな顔をしているのなら……わたしは……」

リーフ 「……今度は、わたしがすずらんちゃんを、助けてあげたい」

リーフ 「わたしは……あなたを助けたい!! 悲しそうで辛そうなあなたを、救いたい!!」


リーフ 「――――――あなたは、わたしの……友達だから」


ダーク 「……っあ……うが、ああああああああああああああああ!!!!」

バニラ 「!?」 (な、何だ……? ダークプリキュアの様子がおかしい……)

ダーク 「私、は……人形じゃ、ない……私は……私は……」

―――― 『お前は、私の…………――――――』

ダーク 「私は……」

―――― 『お前は、私の……………………』

―――― 『――――――――私の、娘だ』

ダーク (そう……そうだ……私は……私は……!!!)


482:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 20:40:05.77 ID:OiAmU/mr0
バニラ 「い、一体何が……!?」

ヂッ……ッッッッッッッッッッドォオオオオオオオオオオオオ……!!!!!!

リーフ 「!? す、すずらんちゃん!! すずらんちゃん!!!?」

ダーク 『ば……馬鹿な!? 器が拒絶反応を起こしただと……!? これは、一体……』

すずらん 「う……ぐっ……」

リーフ 「!!! すずらんちゃん!!!」

バニラ 「!?」 (ダークプリキュアとすずらんが分かたれた……これは……――ッ!?)

トトトトトト……!!!

リーフ 「すずらんちゃん!! すずらんちゃん、しっかりして!!」

すずらん 「……ふた、ば……いや、キュア、リーフ……ありがとう……」

リーフ 「えっ……?」

すずらん 「お前の、おかげだ……私は、何より大切な記憶を、取り戻すことが、できた……」

すずらん 「ありがとう……ありがとう。新たな、プリキュア……」

すずらん 「強き癒しの力を持つ、深緑の恵みを表わす、プリキュア……キュアリーフ」

すずらん 「――――――ありがとう。私に、お父様の言葉と温もりを思い出させてくれて」


484:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 20:44:25.12 ID:OiAmU/mr0
ダーク 『何だ……!! これは一体どういうことだ……!?』

バニラ 「………………」 (まさか、これは、そんな……)

バニラ 「こんなことが、起こるなんて……」

バニラ 「――心のない人造の生物に、こころの花が生まれたというのか……」

ダーク 『!? まさか、月影博士は、これすらも見越して……!?』

すずらん 「一体、どういう、ことだ……?」

バニラ 「……君に心が……そして、こころの花が生まれた」

すずらん 「え……?」

バニラ 「綺麗な、純白のスズランだ。君は、もう人形ではない。ひとりの人間だ」

すずらん 「!? だから、私は……ダークプリキュアの意志と、強制的に分離したのか……」

ダーク 『ぐっ……何をしている!! 戻れ、ダークプリキュアの器!!』

ダーク 『この世界を砂漠とする――プリキュアを倒すことは、お前の目的でもあるはずだ!!』

すずらん 「………………」 スッ 「……いや。私はもう、そんなことを望まない」

ダーク 『!? 何だと……!?』

すずらん 「……私は、思い出したからな。お父様が、私を認めてくれた言葉を」


485:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 20:48:07.87 ID:OiAmU/mr0
すずらん 「だから私は、もうお前の思うとおりにはならない。私は……」

すずらん 「私は人形としてではなく、プリキュアの代わりとしてでもなく、」

すずらん 「――私は、私として生きていく。砂漠の意志ではなく、自分自身の意志で生きていく」

ダーク 『貴様……!? 正気か!!』

すずらん 「……ああ。私は数え切れない罪を犯した。今さらそれが許されるとは思っていない」

バニラ 「………………」

すずらん 「死ねと言われればおとなしく滅びよう。しかしお前たちの軍門に下ることだけは是としない」

ダーク 『ッ……!!! ならばいい! 貴様のこころの花を頂く!!』

――――ッダンンン!!!

すずらん 「……っ!!」

ダーク 『そしてもう一度、その器を明け渡してもらうぞ!!』

――――――――――――ギィインンン!!!!!

ダーク 『なッ……!?』

リーフ 「……させない。絶対に……」 キッ 「そんなこと、わたしが絶対にさせない!!」

すずらん 「ふ、ふたば……?」


487:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 20:54:11.09 ID:OiAmU/mr0
リーフ 「……わたしが守るよ。だから安心して」

リーフ 「すずらんちゃんがすずらんちゃんでいることを選んだのなら、」

リーフ 「わたしは、プリキュアとして、そしてすずらんちゃんの友達として、あなたを守るよ」

すずらん 「ふたば……っ」

ダーク 『っ……邪魔をするな……!!』

ギィィイイイイイ……!!!!

ダーク 『たとえ器がなくとも、貴様を潰す程度造作ない!!』

ダーク 『――ダークパワー・フォルティシモ!!』

バニラ 「もう一発……!? キュアリーフ!!!」

リーフ 「………………」 ニコッ 「……大丈夫。安心して」

―――― 『もう大丈夫ですよ、ふたば。怪我はないですか?』

バニラ 「!?」 (何だ……? 今、リーフがブロッサムと重なって見えた……)

リーフ 「集まれ! 花の力よ!!」

バニラ (あの、タクトの振り方は、まさか……!!)

リーフ 「――――プリキュア・フローラルパワー・フォルティシモ!!」


489:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 20:56:51.81 ID:OiAmU/mr0
すずらん 「あれは……キュアムーンライトと同じ……」

バニラ 「……プリキュアになったばかりだというのに、単体でのフォルティシモを……」

バニラ 「リーフは、史上最年少にして……史上最強となる可能性を秘めたプリキュアかもしれない……」

ダーク 『おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!』

リーフ 「はああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」

――――――――――――――――――――――――――ドッッッッッ!!!!!

ドォォォオオオオオオオオオオオオオオオオ………………!!!!!

バニラ 「ッ……!?」 (なんていう力の衝突だ……これは……!!?)

………………………………………………――――――

すずらん 「ふたば……? ふ、ふたばーーーーーーーー!!!」

リーフ 「………………」

ガクッ

すずらん 「ふたば……!!!」

ニコッ

リーフ 「……大丈夫。心配しないで。わたしは、大丈夫だから」


491:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 21:00:13.48 ID:OiAmU/mr0
ダーク 『――ッ……ぐっ……』

ピシッ……ピシシッ……!!!!

ダーク 『やはり……器のない状態では、限界がある……』

サラサラサラサラ……

ダーク 『だが、これで終わりだと思うな、キュアリーフ。そして、ダークプリキュアの器……!」

ダーク 『“砂漠の意志” が在る限り、私は何度でも現れる。そして、ダークプリキュアは必ず復活する』

すずらん 「……っ」 ゾクッ

ダーク 『……今度は負けん。待っていろ、キュアリーフ……ッ!!』

リーフ 「……負けないよ。わたしは、絶対に」

ダーク 『くくく……くはははははは…………――』

――――――サラララ……………………

バニラ 「気配が消えた……とりあえずは一安心だ」

バニラ (だが、奴は言葉通りすぐ現れる……そんな気がする)

すずらん 「………………」

すずらん 「……私は……――」


492:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 21:07:32.48 ID:OiAmU/mr0
………………サハラ砂漠 上空

『……世界が砂漠化したことにより、人々のこころの花は弱っている』

『しかし、一部だがまったく弱っていない地域がある』

『取るに足らぬ数ではあるが……潰しておく必要はあるな』

『む……?』

? 「……そこまでです。止まってください、“砂漠の意志”」

『……なるほど。どういうわけかは知らぬが、私の居場所が知られていたのか』

『本当にわざわざ出向いてくるとはな、当代のプリキュア』

『だが止まるつもりはない。この強大な砂嵐は私の一部だが……』

『……これを止められるというのなら話は聞いてやろう』

ムーンライト 「こんなに強力な砂嵐……自然界では発生しえないわ」

ムーンライト 「あなた……あの部族を全滅させるつもりかしら?」

『さてな。私は全人類のこころの花を枯らせればそれでいい』

マリン 「あんた……!! 自分を神様だって慕ってくれてる人たちまで……!!」

『知らんな。私は “砂漠の意志” を体現するまでだと言ったはずだ』


494:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 21:12:40.95 ID:OiAmU/mr0
サンシャイン 「お前は……!! あの部族は砂漠で暮らしているんだぞ!?」

サンシャイン 「砂漠の民は、砂漠を愛し、砂漠に順応してくらしている!!」

サンシャイン 「そんな人々にまで牙を剥くというのか!!」

『気に入らぬというのなら私を倒してみせるのだな』

ゴゴゴゴゴゴ……!!!!

『あのテントを全て破壊すれば、砂漠の民もこころの花を枯らすであろう』

ブロッサム 「っ……!!!」

―――― 『けど、俺はこの生活に誇りを持っている。俺は “砂漠の民” として誇り高く生きたいんだ』

ブロッサム 「……させない」 グッ 「そんなこと絶対にさせません!!!」

サンシャイン 「みんな!! わたしを基点に展開して!!」

サンシャイン 「ブロッサムとマリンはわたしの左右! ムーンライトはわたしの上!」

サンシャイン 「そしてポプリはわたしの傍を離れないで!!」

ムーンライト 「どうするというの、サンシャイン?」

サンシャイン 「わたしがサンフラワーイージスを最大出力で展開する……」

サンシャイン 「みんなには、そのための力を分けてもらいたいんだ」


495:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 21:19:04.86 ID:OiAmU/mr0
マリン 「……たしかに、あんな大きな砂嵐を止めるには、それしかないっしゅ!」

ブロッサム 「分かりました! なんとしても止めましょう!」

ムーンライト (……わたしたちのプリキュアの力を、直接……サンシャインに流し込む)

キィィイイイイイイイイイイイイイイイ……!!!!!

サンシャイン 「……うん。大丈夫。みんなの力が感じられる。とても温かい」

ポプリ 「でしゅ!」

サンシャイン 「……ポプリ、君は力の整流を頼む。できるね?」

ポプリ 「はいでしゅ! ポプリやるでしゅ!!」

パァァアアアアアアアアアアアアアアアア……!!!!

サンシャイン 「……やれる」 キッ 「行くよ、みんな!!」

ブロッサム 「はい!」  マリン 「うん!」  ムーンライト 「ええ!」

サンシャイン 「――プリキュア・スーパーサンフラワーイージスッ!!!!」

キィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!!!

『……ふん。ちょこざいな』


496:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 21:26:00.03 ID:OiAmU/mr0
サンシャイン 「衝突する……!! みんな、衝撃に備えて!!」

――――――――ドガガガガガガガガガ!!!

サンシャイン 「っ……!! なんて強大な、力……!!」

ムーンライト 「諦めないで! ブロッサム、マリン! もう少し出力を上げるわよ!!」

マリン 「で、でも! これ以上やったら、サンシャインが……!!」

サンシャイン 「――大丈夫! わたしなら大丈夫だから!!」

サンシャイン 「だから……頼む! わたしの身体をみんなに預ける! だから!」

サンシャイン 「みんなの力を貸して!!」

ブロッサム 「……はい!!」

キィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ………………!!!!!!!

ガガガガガガガガガガガガガガガガガガ………………!!!!!!

『なるほど。さすがにプリキュアが四人ともなればこれくらいの力は出るか』

『ならばいい。いつまで保つか、見物させてもらうとしよう』


497:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 21:34:09.21 ID:OiAmU/mr0
………………明堂学園

さつき 「………………」

さつき (学園内のほとんどの人は校舎内に避難させたけれど……)

さつき (結局、サソリとコブラとクモの化物については、所在が掴めていない)

さつき (何人かの証言によれば、“花の使徒” を名乗る人間が相手をしているらしいが……)

さつき (僕も助太刀に……いや、しかし校舎の守りを手薄にするわけにもいかない……)

さつき (プリキュアは一体どこに行ったんだ……こんなときに……)

さつき (……いや。彼女らは今もきっと戦っている)

さつき (嘆くのは後だ。いま僕にできること……最善を尽くさなくては)

………………校舎内

ふたば 「………………」 zzzzz……

すずらん 「………………」 zzzzz……

陽一 「よく寝ちゃってまぁ。しかしどこに行っていたんだか」

みずき 「あまり心配かけないでほしいけれど……」

陽一 「当面の脅威は去ったらしい。心配しすぎるのもよくないよ」


500:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 21:41:58.30 ID:OiAmU/mr0
………………

クモジャキー 「っ……」 ギリッ 「なかなかやりおる」

クモ 『グガガガガガガァアアアアアア!!!!』

ブゥンブゥンブゥンブゥン!!!!!

クモジャキー (ちっ……足が多い怪物ってのは、存外厄介ぜよ!)

………………

コブラ 『フシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアア』

ピシャッ……!!!

コブラージャ (っ……毒か!!!) 「――サンフラワーイージス!!!」

キィィィイイイイ……!!!!

コブラージャ (くそっ……なんとか人気のない場所まで誘い出したが、これじゃうかつに近寄れないな)

………………

サソリ 『ギギャアアアアアアアアアアアアアアアアア!!』

サソリーナ 「っ……ちょこまかと尻尾を振る……!!」

サソリーナ (まずはあの尻尾をどうにかしないと……)


501:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 21:47:27.45 ID:OiAmU/mr0
………………とある教室

ななみ 「………………」

ケンジ 「悪いな、ななみ。わざわざ手当てしてもらって」

ななみ 「恋人なんだからこれくらい当たり前でしょ」 パンパン

ケンジ 「いたっ……お、おいおい、もう少し丁寧にやってくれよ」

ななみ 「痛いって感じられるのは幸せなこと。文句言わないの」

ケンジ 「……ななみには敵わないな。分かったよ」

ななみ 「………………」

ケンジ 「……やっぱり、怒ってるのか?」

ななみ 「それをわざわざ訊くあたりケンジくんにはデリカシーが足りません」

ケンジ 「悪かったな。俺は不器用で察しが悪いから聞かなきゃわからないんだよ」

ななみ 「……そりゃ怒ってるよ。あんな無茶して。わたしとるみを守って」

ななみ 「でも、守ってくれたんだもん。嬉しかったし、ありがとうとも言いたい」

ななみ 「……だけど約束して。もう、あんな無茶は絶対にしないって」


504:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 21:52:39.40 ID:OiAmU/mr0
ケンジ 「ななみ……」

ななみ 「あなたの手、傷だらけじゃない。漫画家として生きていくことができなくなったらどうするつもりなの?」

ななみ 「それだけじゃなく……もしあなたが死んじゃったりしたら……わたし……」

ケンジ 「………………」

ななみ 「だから、約束して。もうあんなこと絶対にしないって」

ケンジ 「……いや、それは約束できないな」

ななみ 「! ど、どうして……!!」

ケンジ 「またさっきと同じように、ななみやるみが危なくなったら、俺はまたこの身を投げ出すだろう」

ケンジ 「だから、そんな約束できない約束はしない」

ななみ 「ケンジくん!!」

ケンジ 「たしかに、漫画家として生きていくことは俺の夢だ」

ケンジ 「……けどな、ななみ。お前とるみを幸せにすることも、俺の大切な夢なんだ」

ななみ 「……!!」

ケンジ 「だから、約束はできない。だけど、約束するよ。俺はどんなことがあろうと絶対に死なないから」

ケンジ 「……だから、安心してくれよ」


506:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 21:57:42.64 ID:OiAmU/mr0
ななみ 「………………」 ポー……

ケンジ 「ななみ? どうしたんだ?」

ななみ 「……い、今の……って……」

ケンジ 「?」

ななみ 「も、もしかして……ぷ、プロポーズ……?」

ケンジ 「……?」 ハッ 「……!!!!?」

ケンジ 「いや……え!? お、俺、プロポーズしたのか!!?」

ななみ 「し、知らないわよ! あなたが言いだしたんじゃない!!」

ケンジ 「いや、え、おい……あ……」

ななみ 「………………」 プイッ 「……ち、違ったんならべつに、いいわよ」

ななみ 「変な勘違いして悪かったわね」

ケンジ 「……あー……できればもっと平和なときに言いたかったんだがな」

ななみ 「……?」

ケンジ 「仕方ない。指輪も何もないが……ななみ、この騒動が終わったら結婚しよう」

ななみ 「ふーん……」 ハッ 「え……?」


508:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 22:05:10.31 ID:OiAmU/mr0
ケンジ 「? 聞こえなかったか?」

ななみ 「いや……聞こえたけど……けど……」

ガバッ!!!

ななみ 「そんなにサラリと言っちゃうものなのプロポーズって!!?」

ケンジ 「えっ……? ちがうのか?」

ななみ 「し、知らないわよ初めてなんだから!」

ケンジ 「……で?」

ななみ 「で? って何?」

ケンジ 「いや、返事がほしいんだが……」

ななみ 「……あなたみたいな目つきの悪い漫画馬鹿、誰も結婚したいなんて思わないわよ!」

ケンジ 「………………」 ズーン 「……そりゃそうだよな……」

ななみ 「は、話は最後まで聞いてよ! “だから” ……わたしが、結婚してあげる」

ケンジ 「うぅ……」 ハッ 「……まじ?」

ななみ 「………………」 コクッ


509:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 22:14:20.51 ID:OiAmU/mr0
………………廊下

ハヤト 「………………」

ハヤト (包帯の追加持ってきただけなのにえらい話を聞いてしまった……)

ハヤト (プロポーズ……かぁ……)

るみ 「………………」

ハヤト 「?」 (……? そういえば、この子はあの女の人の妹さん、だよな……)

ハヤト (やっぱり複雑な心境だったりするのだろうか……?)

るみ 「……よし」 グッ 「やっと結婚までこぎつけたね」

ハヤト 「!?」 (こ、こぎつけた……!?)

るみ 「これでお姉ちゃんは幸せになれる。良かった……」

ハヤト (……言葉遣いはともかくとして、本当にお姉ちゃん想いなんだなぁ……)

るみ 「? どうかしました?」

ハヤト 「いや……お姉さん、結婚できるみたいで良かったね」

るみ 「うん!!」

ハヤト (……さて、俺もこの騒動が終わったら……とりあえず指輪のためのお金でも貯めようかな)


510:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 22:20:15.59 ID:OiAmU/mr0
………………

すずらん 「………………」

パチッ

すずらん 「……夢、ではなかった」

ふたば 「………………」 zzzz……

すずらん 「私は、本当に……この子に助けてもらったのか」

すずらん 「……私は本当に、人間になることができたのか」

バニラ 「その通りだよ、すずらん」

すずらん 「妖精か……」

バニラ 「そのあどけない顔をして寝ている少女が、君を救ったんだ」

すずらん 「………………」 スッ 「……傷だらけだな」

バニラ 「……? 僕のことかい? まぁね」

すずらん 「ふたばの傷も……お前の傷も……全部私がつけたものなんだな」

バニラ 「…… “君が” かい?」

すずらん 「……? どういう意味だ?」


511:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 22:27:52.02 ID:OiAmU/mr0
バニラ 「この傷は君がつけたのかと、そう聞いているだけだよ」

すずらん 「………………」 コクッ 「……ああ。私がつけた。お前たちを吹き飛ばした感触も覚えている」

バニラ 「そうか」

すずらん 「………………」

バニラ 「……?」 ジロッ 「なら、何か言うことがあるんじゃないのかい?」

すずらん 「えっ……?」

バニラ 「聞き返さないでくれ。それくらい自分で考えてほしいな」

すずらん 「………………」 スッ 「……ごめん、なさい……?」

バニラ 「うん。じゃあ許そう。もう大して痛くもないしね」

バニラ 「ふたばが起きたらふたばにもしっかり謝るんだよ? あとお礼もね」

バニラ 「それから、ななみさんとるみちゃん、ケンジくんにもね」

すずらん 「あ、ああ……」

バニラ 「それから、言わずもがなとは思うけど、ふたばがプリキュアっていうことは内緒だからね?」

すずらん 「も、もちろんだ」

バニラ 「よし。ならオーケーだ」


513:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 22:35:06.16 ID:OiAmU/mr0
すずらん 「……? いや、あの……」

バニラ 「何だい?」

すずらん 「私を……どうにかしなくていいのか?」

バニラ 「どうにかって?」

すずらん 「閉じこめるなり……消滅させるなり……しなくていいのか?」

バニラ 「……僕も、君のことをどう思ったらいいのか、正直困っている」

すずらん 「………………」

バニラ 「……けれど、君は、リーフの助けを借りて、自分自身の意志で “砂漠” を絶った」

バニラ 「そして君はこころの花を得て、心ある人間となった」

バニラ 「少なくともそれもまた事実だ。それに、多分……なんとなく、だけど」

バニラ 「――コロンは、君に生きていてもらいたいと思うだろうから」

すずらん 「!?」

バニラ 「……だから、僕はこれでいいと思う。君は君として、人間として生きるべきだ」

すずらん 「………………」 スクッ 「……本当に、いいのだろうか、私は」 フラフラフラ……

バニラ 「どこへ行くんだい?」 (っ……放っては、おけないか……) ピューン


514:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 22:43:39.34 ID:OiAmU/mr0
………………廊下

春菜 「………………」 (年甲斐もなく無理をしすぎたわね……)

春菜 (けど……さっきの赤い髪の男の人、大丈夫かしら……?)

すずらん 「………………」 フラフラフラ……

春菜 「あ……あなた……」

すずらん 「……? !?」 ビクッ

春菜 「さっきあなたたちを隠した場所に帰ったらいなかったから心配したわ」

春菜 「大丈夫だった?」

すずらん 「あ……ご、ごめんなさい。先に、逃げてて……」

春菜 「そうだったの。それならいいのよ。心配だっただけだから」

春菜 「ふたばちゃんも無事なのね?」

すずらん 「あ、ああ……」

春菜 「そう。よかったわ」 ホッ 「……? あら、かわいいぬいぐるみね」

バニラ 「………………」

春菜 「ふふ……なんか懐かしいわ。ゆりも昔、これにそっくりのぬいぐるみを持っていたわね」


516:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 22:52:03.05 ID:OiAmU/mr0
すずらん 「!?」

バニラ (コロンのことだ……!!)

すずらん 「………………」

――――――――さようなら、キュアムーンライト――――――――

すずらん 「っひぁ……!!」 ビクッ 「あ……ああああ……ああああああ……」

春菜 「? どうしたの……? 寒いの? それとも……怖いのかな?」

スッ……ギュッ

すずらん 「あっ……」 (あたた、かい……この、感触は……ああ……)

―――― 『お前は、私の娘だ』

すずらん 「月影、博士……お父様……」

春菜 「……大丈夫よ。怖くないわ。私がついているからね」

春菜 (この子は……きっと、あの人の……)

春菜 (なら……この子は私の娘だわ。ゆりの妹ね) ニコッ

すずらん 「……お父様……お父様……」 ギュッ

春菜 「……大丈夫よ。大丈夫。寒くない。怖くない。私がついているわ」


517:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 22:57:48.28 ID:OiAmU/mr0
………………

ふたば 「………………」

パチッ

ふたば 「ふにゃあ……ねむいよぅ……」

ゴシゴシゴシ

ふたば 「あれ? おとうさん? おかあさん? すずらんちゃん? バニラちゃん?」

シーン……

ふたば 「………………」

ふたば 「……さみしい」

ヨロヨロヨロ……

ふたば 「みんなー……どこー……?」

ヨタヨタヨタ……

ふたば 「むにゃむにゃ……むにゃ……」

トコトコトコ……


520:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 23:05:28.99 ID:OiAmU/mr0
………………
すずらん 「……もう、大丈夫。ありがとう」

春菜 「そう?」 スッ 「もう怖くない?」

すずらん 「ああ……いや、……うん」 ニコッ 「大丈夫。ありがとう」

春菜 「ふふ……あなた、笑うととっても綺麗ね。私の娘にそっくり」

すずらん 「そ、そうかな……?」

春菜 「ええ。滅多に笑わないところも、笑うと可愛いところもね」

すずらん 「………………」 スッ 「……あ、あの、私、実は――――」

春菜 「――――無理しなくてもいいわ。時が来たら話を聞くから」

すずらん 「えっ……?」

春菜 「あなたはまだ子どもよ。そんな辛そうな顔をしなければできない話なら、今はしなくていいわ」

春菜 「だから……時が来たら教えてね。あの人のこと……そして、こころの大樹のこと」

すずらん 「……うん」 コクッ 「約束する。絶対に……あなたに話すから」

春菜 「……ふふ。わたしは “お父様” でも “あなた” でもないわよ?」

すずらん 「あっ……ご、ごめんなさい……えっと……――」

春菜 「――……お母さん、って。そう呼んでくれたら嬉しいな。なんてね」 ニコッ


522:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 23:14:16.73 ID:OiAmU/mr0
………………

バニラ 「……優しそうな人だ。あの人が、月影博士の奥さんなんだね」

すずらん 「……うん」

バニラ 「せっかくだからお母さんって呼べば良かったのに」

すずらん 「そんな資格……私にはない」

バニラ 「……お母さんに甘えるのに資格なんて必要なのかい?」

すずらん 「知らないよ。私は人の子じゃないから。ただの人造生物だから」

バニラ 「すずらん……」

すずらん 「無理して私に付き合うことはない。ふたばのところに戻ったら?」

バニラ 「……君はもう人間だ。それに、ふたばの友達だ。放ってはおけないよ」

すずらん 「……私がまたダークプリキュアになっては困るから?」

バニラ 「またそんなことを言う! 君を疑ってはいないよ!」

すずらん 「……だけど、事実可能性はゼロじゃない」

バニラ 「だけど君はならない。だったら心配はいらないだろう」

すずらん 「信じるのも大概にしたらどう? また足下をすくわれるよ?」


526:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 23:20:24.76 ID:OiAmU/mr0
バニラ 「君も本当に意固地だな!」

バニラ 「こうなったらこっちも意地だ! 君にずっとついててやる!!」

すずらん 「……勝手にすればいい」

トコトコトコ……

? 「ん……? あ、すずらんちゃん!!」

すずらん 「!?」 (たしか……るみ、と言ったか……?)

るみ 「よかった! もう大丈夫そうだね!」

すずらん 「あ……う、うん……」 ハッ 「その……傷は……?」

るみ 「? ああ、これ?」 ニコッ 「ただのかすり傷だよ。気にしないで」

すずらん 「……私が、やったんだな」

るみ 「あなたじゃなくて、ダークプリキュアでしょ?」

すずらん 「ううん。私がやったんだ。記憶もはっきりしてる」

すずらん 「……だから、ごめんなさい」

るみ 「そうなの……? うーん……ま、いいや」

るみ 「大丈夫だよ。許すよ。わざわざ謝りにきてくれるなんて良い子だね、すずらんちゃんは」


527:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 23:29:40.01 ID:OiAmU/mr0
すずらん 「良い子なんかじゃない……私はあなたやあなたのお姉さん、あの男の人も傷つけた」

すずらん 「そんな簡単に許してしまっていいわけがない……」

るみ 「? そうなの? バニラちゃん」

バニラ 「さてね。許す許さないは君たちが決めるんだろう?」

バニラ 「ちなみに僕は許したしふたばは確実に許すだろうね」

るみ 「じゃあわたしが許してもいいね」

すずらん 「……なら、あの二人が……」

るみ 「あー……無理だと思うよ。むしろ感謝されるかもね」

すずらん 「感謝……?」

るみ 「……あの二人、いまはふたりの世界に入っちゃってるから」

るみ 「今さっきお兄ちゃんがお姉ちゃんにプロポーズしたの」

バニラ 「!? ぷ、プロポーズ……!?」

すずらん 「ど、どうして……?」

るみ 「知らない。でも、お姉ちゃんが幸せそうでよかった」

るみ 「だからすずらんちゃんも笑って」 ニコッ 「笑うと、みんな幸せになれるんだよ」


529:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 23:38:16.87 ID:OiAmU/mr0
………………

―――― “わたしからもありがとう、すずらんちゃん”

―――― “結果として、すずらんちゃんはふたりの恋のキューピッドになってくれたんだね”

すずらん 「……解せない」

バニラ 「さすがに今のは僕も」

バニラ 「まぁめでたいことだから文句は言うまい。おめでとうとだけ伝えてもらったけど」

すずらん 「……解せない」

バニラ 「……要は、君を罰そうなんて思うような人間が君の回りにいなかったってことだ」

バニラ 「諦めなよ。君のことを元ダークプリキュアだって知ってる人はもういないよ」

すずらん 「………………」

バニラ 「………………」

すずらん 「……不安、なんだよ」

バニラ 「不安?」

すずらん 「私、とってもホッとしてる。よかったって思ってるんだ」

すずらん 「だけど同時に、これでいいのかとも思うんだ。いや、いいはずがないんだ」


530:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 23:43:34.08 ID:OiAmU/mr0
すずらん 「私は……悪いことをたくさんした。たくさんの人を傷つけた」

すずらん 「そして私は……キュアムーンライトの妖精を、この手で……」

バニラ 「………………」

すずらん 「それに、お父様を殺したのも……きっと私だ」

すずらん 「こんな私が……こんな汚れた手で……これからを生きていって、いいのだろうか」

すずらん 「いいはずがないんだ。私は……」

すずらん 「……――私はあのとき、消滅するべきだったんだ」

バニラ 「………………」 フゥ 「……これは独り言だ。君は聞かなくていい」

バニラ 「僕の推測だけどね。おそらく、六年前、君が消滅する瞬間に月影博士が君に寿命を与えたんだ」

バニラ 「それは六年間で君の中で君の命として育ち、やがて君が復活した」

バニラ 「そのときに “砂漠の意志” が君にちょっとした細工をした。だからダークプリキュアが復活した」

バニラ 「……だが、その細工がキュアリーフによって破られた今……君を縛るものは何もない」

バニラ 「君は、せっかく君に命を与えてくれた月影博士の想いを捨ててまで、死にたいと思うのか?」

すずらん 「………………」

バニラ 「以上。独り言終わり。最後の質問は聞いてしまった人間が勝手に考えてくれ」


531:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 23:52:05.53 ID:OiAmU/mr0
………………???

ダーク 『………………』

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!!

ダーク 『………………』

ニィィイイ

ダーク 『……三幹部の “意志” も、花の使徒を相手に善戦している』

ダーク 『肝心の当代プリキュアたちがサハラ砂漠にいるのが気がかりだが……』

ダーク 『まぁいい。邪魔者がいないと考えるべきか』

ダーク 『……今のうちにダークプリキュアの器を手に入れる』

ダーク 『そのために、キュアリーフ……あの邪魔なプリキュア潰す』

ダーク 『……さて、行くか』

ダーク 『先までの私とは違うぞ、キュアリーフ……!!!』


533:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/30(土) 23:59:36.97 ID:OiAmU/mr0
………………サハラ砂漠 砂漠の民 テント群

大人1 「一体何が起こっているっていうんだ……」

大人2 「あの巨大な、まるで砂の波のような砂嵐……」

大人2 「それを押し留めるように空を飛ぶ少女たち……」

大人2 「これは、一体……」

少年 「あれ、もしかして……アイツら、なのか……?」

大人1 「なんだ? どうかしたのか?」

少年 「………………」 フルフル 「……なんでもない。何にせよチャンスだ」

少年 「今のうちに年寄りや女子共、ラクダと最低限の荷物だけ運び出そう」

大人1 「あ……ああ、そうだな……」 (しかし、あの四人の少女はどこへ……?)

大人1 (すでに避難をしているのなら良いが……)

少年 「………………」

ギリッ……!!!

少年 「……神様……どうして?」

少年 「どうして、こんなことをするんだ……」


535:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 00:02:52.87 ID:/L5OPBhq0
………………上空

キィィイイイイイイイイイイイイイイイ…………!!!!!!

サンシャイン 「っ……ぐっ……」

ムーンライト 「サンシャイン、大丈夫?」

サンシャイン 「ああ……この程度、なら……」

バヂヂヂヂヂヂヂ……!!!

サンシャイン 「ぐッ……!?」

ポプリ 「む、無理でしゅ! 四人のプリキュアの力を、整流しきるなんて……」

ポプリ 「大地、海、月……それぞれの力が、そのままサンシャインに流れちゃうでしゅ……」

サンシャイン 「それでも、構わない……!」

サンシャイン 「できる範囲で、僕の使いやすい力に、変換してくれ……」

サンシャイン 「残りは……僕が、直接……お日様のエネルギーに、変える……」

マリン 「そんな! ダメだよ! サンシャインの身体がおかしくなっちゃうよ!」

サンシャイン 「はは……大丈夫、だよ……ありがとう、マリン」

サンシャイン 「身体が丈夫なことが取り柄なんだ。だから、大丈夫……」


536:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 00:06:25.52 ID:/L5OPBhq0
『どうした? もう限界か?』

ピシッ……ピシシッ……

ブロッサム 「!? サンフラワーイージスにヒビが……!?」

サンシャイン 「ぐっ……まだ、まだだッ!!!」

――――キィィィィイイイイイイイイイイイ…………!!!!!!

バヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂ……!!!!!

サンシャイン 「っ……」

ポプリ 「無茶でしゅ!! いちゅきの身体が壊れちゃうでしゅ!!」

サンシャイン 「それでも、まだ……まだ、やれる……!!」

サンシャイン 「この手で守れる命があるのなら、守れる心があるのなら、」

サンシャイン 「わたしたちはそれを守らなくちゃならない!!!」

ポプリ 「サンシャイン……」

グスッ

ポプリ 「分かったでしゅ! ポプリ、もっと頑張るでしゅ!」

キィィィイイイイイイイ……!!!!


537:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 00:11:26.68 ID:/L5OPBhq0
『ふん。存外保つな』

ブロッサム 「………………」

―――― 『けど、俺はこの生活に誇りを持っている。俺は “砂漠の民” として誇り高く生きたいんだ』

ブロッサム 「“砂漠の意志” ! あなたには見えないのですか!? 砂漠で暮らす人々の笑顔が!!」

『……ふん。笑顔など、どうでもいい。私は枯らすことしか知らぬ。できぬ』

ブロッサム 「違う! あなたは何かを枯らすことしかできないんじゃない!!」

ブロッサム 「人々を守り、心を育むことができるじゃないですか!!」

『くだらん。私は私だ。砂漠に住まう人間どものことなど知らぬ』

ブロッサム 「っ……!!」

『……まぁよい。もう飽いた。貴様らは勝手に砂嵐と格闘しているといい』

ザザザザザザッッ……!!!

ムーンライト 「……!? また逃げるつもり!?」

『馬鹿な。攻めにいくだけだ』

マリン 「攻めるって……一体どこをよ!?」


538:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 00:19:23.46 ID:/L5OPBhq0
『……感じぬか? 貴様らと同じ、このいけ好かぬ波動を』

マリン 「……?」

『希望ヶ花市だ……この気配は、おそらく……プリキュア』

マリン 「なんですって……!? プリキュア!?」

『あの新たな妖精のプリキュアが現れたようだ』

『“奴” に任せてあるから大丈夫だとは思うが……』

『万一ということもある。貴様らより先に潰しておこう』

ゾゾゾゾゾゾゾゾッ……!!!

マリン 「ま、待て!! あんた、新しいプリキュアを先に倒すつもりね!!」

『……今度は希望ヶ花市で会おう。まぁ、そうは言っても、』

『貴様らが希望ヶ花市に戻るまでに、街が残っていれば、の話だが』

『まぁ、あの砂漠の民を見捨てるつもりならば、話は別であるがな』

――――――――………………ッ……

ムーンライト 「気配が完全に消えた……でも……ッ!!」


539:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 00:25:38.17 ID:/L5OPBhq0
ブロッサム 「……行けません。だって、私たちがここで力を抜いたら……」

マリン 「砂漠の民のところに、この凶悪な砂嵐が……!!」

サンシャイン 「っ……しかし、衰えない……!!」

マリン 「っ……どうしたらいいの……どうしたら!!」

ブロッサム (砂漠の民を見捨てることはできない)

ブロッサム (しかし、“砂漠の意志” は希望ヶ花市へ向かった)

ブロッサム (そして、わたしたちの力を無理に取り込んでいるサンシャインももう限界……)

ブロッサム (どうしたら……どうしたら……!!)

? 「――――おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおい!!!!」

ブロッサム 「えっ……? この、声は……下から……――!?」

少年 「聞こえるかぁぁあああああああああああああああああああ!!!!」

ブロッサム 「そんな……こんなところにきたら、危な――――」

少年 「――――住民の避難は終わった!! もう、大丈夫だ!!!!」

少年 「ありがとう!!! もう、大丈夫だから!! どいてくれ!!!!」

ブロッサム 「えっ……?」


540:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 00:32:42.47 ID:/L5OPBhq0
ブロッサム 「だ、だって、人がいなくたって、わたしたちが、ここをどいてしまったら……」

ブロッサム 「砂嵐が、テントを全て、なぎ払ってしまう……」

ブロッサム 「それって、わたしたちが家を失うのと同じ……なのに、もう、大丈夫って……」

ムーンライト 「……つまり、そういうことなのでしょう?」

ムーンライト 「彼から見ても、この砂嵐はどうすることもできないって分かるのね」

ムーンライト 「だから、もういいって……人命は助かるから、って……」

ムーンライト 「私たちのことを想って、そう言ってくれているのよ」

マリン 「……ブロッサム」

ブロッサム 「………………」 コクッ 「……どきましょう。仕方がありません」

ブロッサム 「これ以上、サンシャインに無茶をさせるわけにもいきません……っ」 ポタッ

ブロッサム 「ひとの、命を、助けられた……だけでも……っ」 グスッ 「僥倖、だったと……っ」

ムーンライト 「……そうね。私たちは頑張ったわ。けど、できないこともあった」

ムーンライト 「サンシャイン、ありがとう。もう、大丈夫よ……砂嵐を、通しましょう」

サンシャイン 「……分かった。悔しいけど、わたしたちにできるのはここまでみたいだね」


543:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 00:41:46.58 ID:/L5OPBhq0
…………………………ゴォォォオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!

子供1 「あ……お家、が……」

ギュッ

少年 「………………」 ニコッ 「……なぁに、テントくらい、また作ればいい」

少年 「そう不安がるな。大丈夫だ」

子供1 「う、うん……」

つぼみ 「……あ、あの……」

少年 「……おお、良かった。あんたたちも無事だったんだな」

つぼみ 「は、はい……あの……」

少年 「……さっきの四人のヒーロー、アンタたちなんだろ?」

ゆり 「………………」 コクッ 「……ええ、そうよ」

つぼみ 「あ、あの……ごめんなさい……っ!! わたしに、力が足りなくて……」

つぼみ 「皆さんの大切なもの……守ること、できなくてっ……」 グスッ

少年 「………………」 ポカーン 「……何を言ってるんだ?」

つぼみ 「えっ……?」


544:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 00:45:19.18 ID:/L5OPBhq0
少年 「お前たちが守ってくれたんだろう? 俺たちの命を」

子供1 「……そうなの?」

少年 「ああ。この人たちが、俺たちを守ってくれたんだぞ?」

子供1 「じゃあ……ありがとう、お姉ちゃんたち!」

つぼみ 「で、でも……わたしたち、皆さんの大切なもの、守れなくて……」

つぼみ 「幸せも、何もかも……砂の下に……」

少年 「……そんなもん、また作ればいい」

少年 「言ったはずだぜ? 壊れたら直せばいい。そのための知識は俺たちの中に生きている」

少年 「だから、ありがとう。俺たち全員の命を、お前たちが救ってくれたんだ」

つぼみ 「……は、はい!!」

少年 「……約束するよ。お前たちが命を賭けて守ってくれたこの命で……」

少年 「必ず、今まで以上に再興してみせる! そのときは歓迎するから、また来てくれよな!」

少年 「……今度は、きちんとラクダに乗せてやるよ」

えりか 「本当に!?」 キラキラ 「楽しみにしてるからね!! 約束だからね!!」

少年 「ああ。約束だ」


547:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 00:54:38.55 ID:/L5OPBhq0
………………明堂学園

すずらん 「!?」 ズキッ!!! 「っ……くる……!」

バニラ 「……僕も感じたよ。奴が……来る!」

バニラ 「ふたばのところへ急ごう! 今は頼れるのが彼女しかいない!」

すずらん 「………………」

―――― 『……私が守るよ。だから安心して』

―――― 『すずらんちゃんがすずらんちゃんでいることを選んだのなら、』

―――― 『私は、プリキュアとして、そしてすずらんちゃんの友達として、あなたを守るよ』

すずらん 「っ……それで、また……?」

バニラ 「……?」

すずらん 「また、ふたばに守ってもらって……ふたばに怪我をさせて……」

すずらん 「そうまでして、生きなければならないのか……!?」

バニラ 「!? すずらん! 何を――――」

すずらん 「――――そんなことする必要はないんだ。私は……私さえ、」

すずらん 「私さえ、いなければ……!!」


548:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 01:02:35.31 ID:/L5OPBhq0
――――――ダッ!!!

バニラ 「す、すずらん!? どこへ行くんだ!!」

バニラ 「っ……」 (すずらんを追いたいが、しかし……)

バニラ (……いや、先にふたばと合流するべきだ)

バニラ (ダークプリキュアに対抗できるのはキュアリーフだけだ……)

ピューン!!!

バニラ 「っ……」 ギリッ (早まったことをするなよ、すずらん!!)

………………

タタタタタタ……

すずらん 「わたしは……わたしは……!!」

すずらん 「もう、嫌だ。傷つけるのも、傷つけさせるのも、もう……!!」

すずらん 「私なんかのために、ふたばが傷つく必要はない……」

―――― 『……だから、すずらんちゃんに恩返しがしたい。わたしは、すずらんちゃんに笑ってほしい』

すずらん 「あんな優しい女の子が、私なんかのために……戦う必要なんてないんだ」

――――――バァン!!!


549:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 01:07:46.58 ID:/L5OPBhq0
すずらん 「………………」 ゼェ、ゼェ…… 「……そう、ここなら、」

すずらん 「ここなら……いい。私は、正しい形で、終われるんだ……」

すずらん 「……そう。ここからなら、私は……お父様の元へ、行ける……」

すずらん 「今度こそ、罰を受けることができる……――」


『――――……屋上から飛び降り死ぬことで自らを罰すると、そういうことか?』


すずらん 「!?」 バッ 「……ダーク、プリキュア……!!」

ダーク 『そう怖い顔をするな。お前も私の一部だろう』

すずらん 「……私は断ったはずだ。この身体をダークプリキュアとすることはない」

ダーク 『穏便な話し合いをする気などこちらとしては毛頭ない。が――』

ダーク 『くく。力尽くで奪うまでもないか。こころの花をそんなに萎れさせている』

すずらん 「っ……! だけど、残念だったな! 私は今ここから飛び降りて死ぬ!」

すずらん 「この身体でまた悪事を働くくらいなら……誰かを傷つけるくらいなら!」

すずらん 「……死ぬ覚悟など簡単に決められる。私は、ふたばのために……」

すずらん 「あの優しい女の子のために、今ここで死ぬ!!」


550:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 01:12:12.94 ID:/L5OPBhq0
ダーク 『くく……だが、それを奴が許すかな?』

すずらん 「何だと……?」

ヒラリ……!!!!

すずらん 「!?」 (緑色の、若葉……いや……!!)

――――――スタッ……

すずらん 「き……キュアリーフ……!?」

リーフ 「………………」

……パシィイイ……!!!!!!!

すずらん 「へっ……?」

リーフ 「………………」

ポタッ……ポトッ…………グスッ……

リーフ 「……馬鹿!!! すずらん、ちゃんの、馬鹿ぁああ!!!」

すずらん 「ふた、ば……?」

リーフ 「死ぬ、なんて、言わないで! 死のうと、なんて、しないで!!!」

リーフ 「そんなの、悲しいよ! おかしいよ!! 間違ってるよ!!!」


552:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 01:19:34.30 ID:/L5OPBhq0
すずらん 「で、でも……私は……これ以上ふたばに、傷ついてほしくないんだ……」

リーフ 「勝手だよ、そんなの!」 グスッ 「わたしは……すずらんちゃんに生きていてほしいよ」

リーフ 「すずらんちゃんと一緒に生きていきたい。大切な、友達だもん」

すずらん 「とも、だち……だから……?」

リーフ 「元ダークプリキュアでもいいよ。昔に酷いことをしていたとしてもいいよ」

リーフ 「だって、今のすずらんちゃんはすずらんちゃんだもん」

リーフ 「わたしの友達の、笑うと可愛くて、わたしを励ましてくれる……友達だもん」

すずらん 「………………」 グスッ 「……ふたば」

すずらん 「わたしは……生きていてもいいのか?」

すずらん 「お前に迷惑もかけるだろう。色んな人間に迷惑をかけるだろう」

すずらん 「それでも、私は……――――」

リーフ 「――――……それでも、なんでも!!! わたしはすずらんちゃんに生きていてほしいよ!!」

すずらん 「……ふたば……」 グスッ 「ふたばぁ……」 ギュッ

リーフ 「……まったくもう。すずらんちゃんも、わたしと一緒で泣き虫さんなんだから」

リーフ 「本当に……もう……っ」 グスッ


553:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 01:22:39.93 ID:/L5OPBhq0
パチパチパチパチ……

リーフ 「………………」 キッ 「……ダークプリキュア」

ダーク 『素晴らしい余興だ。いや、下らぬお涙頂戴と言うべきか』

ダーク 『その器が滅びれば、私が真の力を取り戻すことも叶わぬというのに』

ダーク 『惜しいことをしたな、キュアリーフ。お前は軽率なことをした』

リーフ 「……助けちゃいけない人なんていないんだよ。みんな助けるんだ」

リーフ 「すずらんちゃんがあなたに身体を奪われる危険があるっていうんなら」

リーフ 「わたしが守る。それだけで十分だよ」

ダーク 『ふっ、考え方が幼いな。まぁいい。こちらとしては好都合だ』

リーフ 「……すずらんちゃん、バニラちゃん……ちょっと、離れていてね」

すずらん 「リーフ……」

リーフ 「大丈夫。心配しないで」 ニコッ 「わたしは負けないから」

バニラ 「……うん! キュアリーフ、がんばって!!」

リーフ 「うん、がんばる!!」

すずらん 「………………」 (リーフ……ふたば……がんばって……!)


554: 忍法帖【Lv=16,xxxPT】 :2011/05/01(日) 01:23:23.89 ID:lPSkyjZiO
六歳とは思えぬな


555:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 01:24:47.15 ID:uLoadje00
プリキュアの血を色濃く引いたようだな


556:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 01:25:57.38 ID:/L5OPBhq0
ダーク 『では行くぞ、キュアリーフ!!!』

――――――ッッドッッ!!!!

すずらん 「……!」 (さっきより速い……けど、この程度なら……)

――――ガッ……!!!!

ダーク 『ほぅ、反応したか。だが、これならどうだ?』

ドドドドドドドド……!!!!!

バニラ 「!? 連続打撃……!? リーフ!!」

リーフ 「……この……くらいなら!!!」

ダダダダダダダダ……!!!!!

すずらん 「!?」 (拳と脚……すべてを駆使して、ダークプリキュアに合わせている……)

――――ザッ……!!!

ダーク 『……なるほど。やるな』

リーフ 「プリキュアだからね」

スッ

リーフ 「……今度はこっちから行くよ」


557:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 01:33:01.78 ID:/L5OPBhq0
――――――――――ッッッッドッッ……!!!!!

ダーク 『ッ……!!』

リーフ 「――――最大加速!!! リーフ・アクセル!!!」

――――ドドドドドッ……!!!!

ダーク 『やはり速いな……! だが……ッ!!!』

ダーク 『スピードが速すぎて、判断をおろそかにしているな、キュアリーフ!!』

スッ

リーフ 「!?」 (そんな……残像の中で、わたしの位置を正確に割り出して……!?)

ダーク 『――――――――そこだッ……!!!』

ブゥン……!!!       ――――――――ドゴォオオオオオオッッッ……!!!!

リーフ 「かっ……ふ……!!」

――――――ガシャッッ……!!!

バニラ 「!? リーフ!! キュアリーフぅうううううううう!!!」 ピューン

リーフ 「……っ……一発で、フェンスまで、吹き飛ばされる、なんて……」

ダーク 『……キュアリーフ。お前は確かに脅威となりえる力を持っているが、まだ甘い』


559:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 01:41:47.46 ID:/L5OPBhq0
リーフ 「な、にを……」

ダーク 『お前の攻撃は速い。そして回避能力もずば抜けている』

ダーク 『しかし、それ故にその能力に頼りすぎだ。己の中で攻撃がパターン化していることに気づかないのか』

リーフ 「パターン化……? あ、わたし……最大加速のとき……」

リーフ 「同じ、足の動かし方、してたかも……」

ダーク 『そういうことだ。そしてそれを見逃すほど、私は甘くない』

ダーク 『お前は幼いが故に脆い。一撃喰らっただけでフラフラだろう?』

ダーク 『速さは裏を返せば相手の攻撃を増幅させる。能力に振り回されたな、キュアリーフ』

リーフ 「っ……まだ……!!」 フラフラ 「まだ……!!」

ダーク 『そうだな。私も仕上げにお前を消滅させなければならないからな』

バニラ 「リーフ!! しっかり!」

リーフ 「う、うん……っ……」 ガクッ 「か、身体が……」

バニラ 「リーフ!?」 (まずい……さっきまでの疲労も蓄積しているのか……!!)

バニラ (グリーンフォルテウェイブにフローラルパワーフォルティシモを使ったんだ……)

バニラ (幼い身体に、それがどれだけ負荷を与えているか……!! くそっ……!)


560:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 01:46:09.00 ID:/L5OPBhq0
ダーク 『どうした? 立たないのか、キュアリーフ?』

バニラ 「っ……お前、これを見越して……!!」

ダーク 『ああ。私としても、他のプリキュアが帰ってくる前にキュアリーフを片づけ、』

ダーク 『ダークプリキュアの器を手に入れておきたかったからな』

バニラ 「お前……! どこまでもきたない……!!」

ダーク 『吠えたくば好きに吠えればいい』

ダーク 『……さて、覚悟はいいか、キュアリーフ?』

リーフ 「っ……」 (どうして……? 身体が、思うように動かない……)

ダーク 『ははははははは!!! 良いザマだなキュアリーフ!!!!』

ッッシュンン!!!!

リーフ 「!?」

――――ドゴォオオオッッ……!!!!

リーフ 「か、っ……!?」

ダーク 『この至近なら外すことはあるまい』 ニィ 『消滅しろ。キュアリーフ』

リーフ (だ、ダメ……苦し……)


561:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 01:52:05.73 ID:/L5OPBhq0
すずらん 「や……やめてえええええええええええ!!!!!」

バニラ 「やめろおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」

ダーク 『……? はは、これはまた傑作だな』

ダーク 『何の力もない私の器と、何の力もない妖精が刃向かってくるとは……』

リーフ 「……!? や、やめ、て……ふたりには、手を……出さないで……!」

ダーク 『ああ。断る』

すずらん 「キュアリーフを……ふたばを放せ!!!」

バニラ 「ダークプリキュアあああああああああああああ!!!!」

ダーク 『……馬鹿が』

――――ブゥンンン!!!!

ドガァアアアアアアアッッッッ……!!!!!

すずらん 「っあ……!?」 (そんな……たったの、拳ひとつで……)

バニラ 「がっ……!」 (こんな、簡単に……吹き飛ばされるなんて……)

――――――ドサッ……

ダーク 『力ない者はそこではいずっていろ。お前たちはキュアリーフを滅ぼした後だ』


565:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 02:20:59.27 ID:/L5OPBhq0
すずらん (い、たい……身体中が、痛い。でも、ふたばは、きっと……これ以上に……)

すずらん (……どうして、ふたばが……? 私なんかのために……こんな……)

すずらん 「何故だ。何故、ふたばがこんな目に遭わなくちゃいけない? どうして、私には何もできない?」

ダーク 『ふん。当たり前だろう。お前のその手で誰かを助けられるとでも思っているのか?』

すずらん 「……!?」

ダーク 『お前はその手で何人の人間を苦しめた? 誰を傷つけた? 誰を殺した?』

すずらん 「あ……ああああ……」

―――― “私は影。闇。キュアムーンライトの影だ”

―――― “月の光を影が飲み込む。そして私は本物のキュアムーンライトとなる”

――――――さようなら、キュアムーンライト――――――

すずらん 「あ……ああああああっ……あああああ!!!!!」

ダーク 『……誰がその汚れきった手を掴んでくれるという? いったい誰を、その手で救うことができる?』

ダーク 『そんなことはありえない!! お前はダークプリキュアだ! 汚れきった殺戮者だ!』

ダーク 『それ以外の何者でも―――――――』


                           「―――――――――違う!!!!」


567:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 02:29:39.56 ID:/L5OPBhq0
すずらん 「え……?」

ダーク 『……? ふん……まだそんな声を出す力が残っていたか、妖精』

ふたば 「ばに、ら……ちゃん……?」

バニラ 「……僕は、散々すずらんにひどいことを言った。きっと傷つけた」

バニラ 「だから今さらこんなことを言う権利も資格もないかもしれない。でも、言う」

バニラ 「違うんだ……すずらんは、汚れきってなんかいない。殺戮者なんかじゃない……!」

バニラ 「……彼女は、自分がかつて犯してしまった罪を後悔していたよ」

バニラ 「自分は許されてはいけないって……そう言って、ずっと苦しんでいたよ」

すずらん 「よう、せい……?」

ダーク 『……ふん。苦しめば、後悔すれば、罪が許されるとでも? 罪がなくなるとでも?』

バニラ 「……違う。彼女が犯した罪は消えない。決して消えることはない」

バニラ 「彼女がダークプリキュアとして壊したもの、殺めてしまったものは、絶対に帰ってこない」

ダーク 『ははっ。ならばもう――』

バニラ 「――ちがう! “だから” だ! だからこそ、彼女は罪を償わなければならないんだ!」

バニラ 「犯した罪がなくなるわけじゃない。いなくなった者が帰ってくるわけでもない。それでも!!」


569:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 02:37:29.93 ID:/L5OPBhq0
バニラ 「それでも……彼女は償わなければならないんだ……!」

バニラ 「すずらんは自分の罪を後悔し、苦しみ、だけどお前と決別し償う道を選んだ……!」

バニラ 「これ以上迷惑をかけたくないと、自ら命を絶とうとまでした!!」

バニラ 「罪はなくならない! だが……僕は許すよ。僕は以前の戦いを知らないけれど……それでも、僕は……」

バニラ 「すずらんに、ただのふつうの女の子として、生きていってもらいたいんだ……!」

バニラ 「ふつうの女の子として、ふつうの子どもとして……幸せに生きることが、償いなんだ……」

バニラ 「だから僕は……僕と、キュアリーフは……! そんなすずらんを守りたいって、そう思うんだ!」

リーフ 「バニラ、ちゃん……」

すずらん 「妖精……バニラ……。お前は……っ」

ダーク 『小さいくせによく回る舌だ。二度と口を開けぬようにしてやろう』 ――バサァアアアア!!!!

バニラ 「っ……!?」 (翼が、手のように……――!?)

――ドバァンンンン!!!!

バニラ 「がっ……!?」 (翼の拳……なんて、威力……!)

コロンコロンコロン……コテン……

すずらん 「バニラ……!? バニラーーーーーーー!!!!」


570:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 02:46:06.55 ID:/L5OPBhq0
タタタタ……ギュッ

すずらん 「バニラ! バニラ、しっかりして!!」

リーフ 「バニラちゃん……!!」 グッ 「放して! 放してよぉ! バニラちゃんが死んじゃう!!」

ダーク 『……何を寝ぼけたことを。次はおまえだ』

ギリリリリリリッ!!!!

リーフ 「がっ……あ……!!」

すずらん 「リーフ……っ!!」

ポタッ……ポタッ……

バニラ 「涙……? ああ……温かい……」

すずらん 「バニラ……! 良かった……!」

バニラ 「………………」 フッ 「……君は、もう少し、自分を信じるべきだね」

すずらん 「え……?」

バニラ 「かつての罪を悔やみ、“砂漠” を絶った……そして、心を手に入れた、君自身を、信じるべきだ」

バニラ 「僕やリーフの危機に声を上げ、僕の無事に温かい涙を流すことができる、君自身を……」

バニラ 「君は、温かい心を持った……美しいこころの花を持った……すばらしい人間だ」


572:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 02:54:29.62 ID:/L5OPBhq0
すずらん 「バニラ……」

バニラ 「……だから、笑って。君は、悲しい顔をしているより、笑っていた方がいい」

すずらん 「リーフも、お前も、自分が危険だというのに、ひとの心配ばかり、して……」

すずらん 「……どうして……」 ギリッ 「どうして、こんな……こんなことが、許しておける……?」

すずらん 「許しておけるわけがない……こんなの、間違ってる……!」

ダーク 『ふん。間違っているなら。おかしいなら。許しておけないのなら、』

ダーク 『一体どうするというのだ? その汚れきった手で、どうするというのだ?』

すずらん 「……たとえ、この両手が血で汚れていたとしても」

すずらん 「たとえこの手で、救えるものなどないのだとしても」

すずらん 「それでも、私は……私は、もう……後悔するようなことはしたくない」

キィ……キィィィイイ……――――――

ダーク 『……!?』 (なんだ……この、気迫は……!?)

すずらん 「……救えなくなって、救いたい! 助けられなくたって、助けたい!!」

すずらん 「守ることが叶わなくても……それでも、守りたいものがあるんだ!!」

――――――キィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!!!!!


574:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 03:06:01.07 ID:/L5OPBhq0
………………超高々度

ブロッサム 「新しいプリキュア……やはり、バニラが生み出したのでしょうか……?」

シプレ 「絶対そうですぅ! シプレも先輩として鼻が高いですぅ」

マリン 「……それでさ、コフレ、シプレ。さっきの話の続きだけどさ」

コフレ 「さっきの話ってなんですっ?」

マリン 「だからぁ、バニラの話だよ。特別な妖精って、どういうことなの?」

ブロッサム 「プリキュアの種が二つに割れているんでしたっけ?」

ブロッサム 「その本当の意味とかなんとか……」

シプレ 「……そうなんですぅ。バニラのプリキュアの種は真っ二つに割れているですぅ」

シプレ 「本人はそのせいで自分を出来損ないなんて言ったりしますけど、」

コフレ 「本当はそんなことないですっ。むしろ、バニラはすごい可能性を持ってるです」

マリン 「すごい、可能性……?」

シプレ 「はいですぅ。実は、バニラは……――」


シプレ 「――……プリキュアをふたり生み出す可能性を秘めている妖精なのですぅ」


575:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 03:13:21.13 ID:/L5OPBhq0
………………

すずらん 「なっ……なんだ、これは……?」

バニラ 「そんな……馬鹿な……!!」

ダーク 『!? なん、だと……!?』

リーフ 「明るい……光……とっても、きれい……」

すずらん 「温かい……心が、どんどん満たされていく……この、光は……」

バニラ 「どうして……? 僕の、こころの種が……もう一つ……?」

バニラ 「二つに割れていた種の、片割れ……まさか、そんな……」

ダーク 『馬鹿な……!! この光は、そんな……ありえない!!!』


ダーク 『――――プリキュアがもうひとり生まれるとでもいうのか!?』


バニラ (そうか……そうなんだ。僕のプリキュアの種が割れていた、その意味……)

バニラ (僕は、ふたりのプリキュアを生み出す、可能性を……)

バニラ 「………………」 ギュッ 「……すずらん。やれるね?」

すずらん 「………………」 ギュッ 「……もちろん!」


576:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 03:21:12.92 ID:/L5OPBhq0
バニラ 「良い返事だ! それでこそ、僕のもうひとりのパートナーだ!!」

バニラ 「すずらん、受け取って!! それが君の、ココロパフュームだ!!」

パァァァア……ッポン!!!

すずらん 「ココロパフューム。これが、プリキュアの……」

ダーク 『馬鹿な……馬鹿なあああああああああああああああああ!!!!』

――ガシッ

ダーク 『……!?』

リーフ 「……行かせない。あなたの相手は、わたし、でしょ?」

ダーク 『っ……キュアリーフッ……!!』

バニラ 「……行くぞ! 受け取れ、プリキュアの種だ!!」

パァァアアアアアアアアアアア……!!!!

すずらん (私は……私は……私は……!!) スッ 「今、本物のプリキュアに……!!!」

すずらん 「――――――プリキュア・オープンマイハートッ!!!」

――――ガシャッッッ!!!!!!

             キィィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ………………!!!!!!!


577:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 03:28:23.02 ID:/L5OPBhq0
すずらん (ああ……なんて温かく、心地良い……これが、本物のプリキュアの光……)

リーフ 「すごい……とってもきれいな、真っ白の光……」

キィィイイイイイイイイイイイイイイイ………………

ダーク 『っ……!? ダークプリキュアの器が、プリキュアになるなどと……!!』

バニラ 「……彼女は自ら、その過去と向き合い、否定した」

バニラ 「そして後悔し、償うことを決めたんだ」

バニラ 「……そんな強い心を持つ彼女が、プリキュアとなるのは、何ら不思議なことじゃないよ」

すずらん (たとえ、この手が血で汚れていたとしても)

すずらん (それでも……手を差し伸べたい相手がいるんだ)

すずらん (過去の罪よりも、いま守りたい相手が、いるんだ……!!)

        ―――――――――――――――――――――――カッッッッッ……!!!!

――――――スタッ……

ダーク 『……!?』 ギリッ 『純白の……プリキュア……だと!?』

リーフ 「す、すごい……天使様みたい……」

バニラ 「……美しい。そして、気高い。ああ……とてもきれいだよ、すずらん」


578:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 03:34:52.71 ID:/L5OPBhq0
?? 「これが……これが、私……?」

?? 「こんな……姿で……?」

バニラ 「……とても似合っているよ」 ニコッ 「何より白く、何より潔白な、君の姿だ」

?? 「私……プリキュアになっても、いいのかな……?」

バニラ 「何を言っているんだい?」 クスッ 「もうなってる」

?? 「あっ……そうだね」

?? 「――――――じゃあ、プリキュアはプリキュアらしく」

――――――シュシュシュシュシュンンンンン!!!!

ダーク 『!?』 (ばっ……馬鹿な!? 瞬間的に、距離を縮め……――――)

リーフ 「はぇ……?」

?? 「大丈夫、キュアリーフ? 苦しくない? 痛くない?」

バニラ 「!?」 (今の、一瞬で……!?)

ダーク 『な……んだと!? 一瞬の間で、私の手から、キュアリーフを取り戻したというのか!?』

?? 「……お前も分かっているはずだ。私の中にはダークプリキュアの戦闘経験がある」

?? 「戦績だけなら百戦錬磨だ。私をなりたてのプリキュアだと思わない方がいい」


580:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 03:43:56.11 ID:/L5OPBhq0
ダーク 『っ……!』

リーフ 「きれいなだけじゃなくて、とっても強いんだね……すごい!」

?? 「そんな風に言われると……照れる」

リーフ 「それで! あなたの、お名前は?」

?? 「えっ……? 名前……?」

バニラ 「……なりたい自分。憧れる何か。君が目指し、変わりたいと思う存在を想像するんだ」

?? 「なりたい自分……? 憧れ、目指し、変わりたいと思う何か……」

バニラ 「それが答えだ。君の中で、それが具現化されたのが、その姿だからね」

?? 「……私は……」 ギュッ 「……私は、できることなら」

?? 「……月の、影ではなく……光になりたい。ちっぽけでも、誰かを照らせる光になりたい」

?? 「月と共に人々を照らし、月がいないときには代わりに人々を見守る……」

?? 「……そんな、小さな星の光のようでありたい……!!」

?? 「そして、海を、大地を、葉を、花を……太陽と月と共に、見守りたい……!」

?? 「だから、私は……私の、名は……!!」

「――――闇夜に煌めく一輪の花!! キュアスターライト!!」


583:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 04:13:08.59 ID:/L5OPBhq0
ダーク 『キュアスターライト……っ』 ギリッ 『何故……何故だ!?』

ダーク 『貴様は元ダークプリキュア。一度は消滅し、復活した不安定な存在だ!』

ダーク 『何故そんな貴様がプリキュアになることができる!? 何故!?』

バニラ 「……こころの大樹が選んだんだ。そして、僕が望んだんだ」

バニラ 「自らの罪を認めた上で、それでもなお彼女は、ふたばを救いたいと願った」

バニラ 「……その心を……心の強さを!! 僕が選んだんだ!!」

スターライト 「……ありがとう、バニラ。それから、キュアリーフ」

リーフ 「えっ……わ、わたし……?」

スターライト 「ふたりのおかげだ。ふたりのおかげで、私は変われる気がするんだ」

スターライト 「だから、後は任せて」

ニコッ

スターライト 「私はもう、影じゃない。闇じゃない。小さくても、ちっぽけでも、」

スターライト 「――光になることができたから」

リーフ 「すずらんちゃん……」 フルフル 「ううん。キュアスターライト!」

スターライト 「ああ。キュアリーフ」


591:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 05:53:11.42 ID:/L5OPBhq0
ダーク 『っ……!』

スターライト 「……だから、覚悟しろ、私のかつての意志よ」

スターライト 「私はお前を拒絶しない。お前は……かつてお前だった私の罪もまとめて私のものだ」

スターライト 「これ以上、私の罪を野放しにしてはおけない。今度こそ、私はお前を」

スターライト 「……お前と、真っ直ぐに向き合い、そして償う。そう、決めた」

ダーク 『ほざくな……吠えるな悪人がぁぁああああああああ!!!!』

――――ッッドッッ!!!!

スターライト 「さすがに速いな。しかし――」

――――ガッッッ!!!

ダーク 『……ッ!?』

スターライト 「言ったはずだぞ? そして、お前も分かっているはずだ、かつての私」

スターライト 「お前は私だ。だからこそ、お前にできることならば私にもできる」

スターライト 「そして今の私にはプリキュアの力がある。……お前には負けない」

ダーク 『調子に……乗るなッ……!!!!』

スターライト 「……ふん」


592:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 06:01:53.59 ID:/L5OPBhq0
バニラ 「す、すごい……。なんて凄まじい攻防だ」

リーフ 「黒と白がくっついて、離れて、またくっついて……」

リーフ 「すごい。目で追うのがやっとだよ。スターライト、とっても強い」

リーフ 「わたしも……」

スッ…………ズキッッ……!!!!

リーフ 「っ……!?」

バニラ 「リーフ! 君はまだ本調子じゃない。無理はやめるんだ!」

リーフ 「で、でも……! スターライトがああして戦ってるのに……」

バニラ 「……心配には及ばないようだよ? 見てごらん」

リーフ 「えっ……?」

バニラ 「凄まじい戦闘能力だ。まるで白き閃光……本物の流星のようだ」

バニラ 「……勝負は、もうつくようだね」

――――――――――ッッッドッッ……!!!!!

ダーク 『………………』

スターライト 「………………」


595:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 06:33:08.14 ID:/L5OPBhq0
         ――――――――――――――――ガクッ

ダーク 『ぐっ……な、なぜ……だ……』

ダーク 『なぜ、勝てない……スピードは互角。力も互角。技も互角……なのに、何故』

ダーク 『解せぬ。なぜ私はお前に勝つことができない……!?』

スターライト 「……そんなの、決まってる。お前に愛がないからだ」

ダーク 『……ッ! 世迷い言を! 人造生物の我々に愛など……ッ!!』

スターライト 「しかし、私は心を得て愛を知った。これもきっと、お父様の計らいだろう」

ダーク 『お父様、だと……?』 フン 『我々に父などいない』

ダーク 『忘れたか? 我々はただプリキュアを倒すためだけに生み出された人造生物だぞ?』

スターライト 「……元がどうであれ、生み出された目的がどうだったのであれ、」

スターライト 「それでも、私たちは生み出された。お父様――月影博士の手によって」

スターライト 「……そのせいで、多くの人間が傷ついた。犠牲になった妖精もいる」

スターライト 「けれど、それでも……身勝手だとは分かっているが、それでも……」

スターライト 「生きたいと思った。心が生まれたこの身体で、人間として生きていきたい」

スターライト 「……私のその意志が、かつての私の “砂漠の意志” ……お前を超えたんだ」


596:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 06:36:13.15 ID:/L5OPBhq0
ダーク 『………………』

ダーク 『くくっ……くくくく……』

スターライト 「……?」

ダーク 『“愛” か……』 ギリッ 『また……またも、“愛” か……ッ!!』

ダーク 『愛などいらぬ! 愛など不要だ!! それが何故分からん!?』

ダーク 『貴様らの言う愛がいったい何をしてくれるというのだ! 愛など……!!』

スターライト 「……そうだな、かつての私よ。愛はときに人を傷つける」

スターライト 「憎しみ、恨み、悲しみ……人の愛は、冷たく暗いものに変わってしまうこともある」

スターライト 「……だが、それでも……それでも、人の愛は人を救う。この星さえも、救う」

スターライト 「愛がなければ何もない。人を思いやることもできない」

スターライト 「……そして、お前は気づいていないだろうが、愛がなければ人を傷つけることもできないんだ」

ダーク 『……!?』

スターライト 「お前の中にある憎しみ、怒り、それらもまた愛の一部、そして心のひとつだ。かつての私よ」

ダーク 『………………』

スターライト 「私は認めよう。かつて、ダークプリキュアであった私にも心があった。想いがあった」


597:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 06:57:22.21 ID:/L5OPBhq0
スターライト 「“サバーク博士に認められたい”」

スターライト 「“キュアムーンライトを倒し、本物のプリキュアになりたい”」

スターライト 「……今の私がお前にこんなことを言うのは卑怯なことだろう。分かっている」

スターライト 「それでも私は、お前に分かってもらいたいんだ。お前は……私だから」

スターライト 「お前の心の愛を、私の中に取り戻したいんだ」

スターライト 「そして私の罪を、愛故に犯してしまった罪を……一緒に償っていかないか?」

ダーク 『っ……世迷い言を……!!!』

ザッ……!!!

ダーク 『闇の力よ集え!! ダークタクト!!』

スターライト 「……分かった。お前があくまで憎しみで戦うというのなら、私もまた愛で戦う」

スターライト 「私は変わった。そして、これからもっと変わっていく。だが、お前を捨てて変わるわけではない」

スターライト 「かつての私。お前と向き合い、私の罪を償いながら、変わっていく」

スターライト 「……だからこれは、お前を、私を、救うための戦いだ」

ザッ……!!!


598:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 07:09:17.50 ID:/L5OPBhq0
スターライト 「集まれ! 花の力よ!!」

スターライト 「――――スタータクト!!」

スターライト 「花よ瞬け!!」



ダーク 『ダークパワー……――――』



スターライト 「フローラルパワー……――――」




                       『「――――フォルティシモ!!!!」』




――――――――――ッッドドンンンンンンンンン!!!!!!

ダーク 『あああああああああああああああああああああ!!!!!!!』

スターライト 「はぁあああああああああああああああああああああ!!!!!!!」

ッッッッ……………………ドッッッッッ……――――――――――!!!!!!!!


600:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 07:36:02.80 ID:/L5OPBhq0
スターライト 「………………」

ダーク 『………………』

ガクッ

ダーク 『……こ、れが……人の、愛の……力、か』

スターライト 「ええ。そしてこれはきっと、あなたにも」

スッ!!!!

スターライト 「今、届くはずの、愛」

スターライト 「――――――ハート・キャッチ!!!!」


………………――――――


『……なるほど。ああ。そうか。ありがとう、私』

「いいえ。こちらこそ、ありがとう、私」

『私は、私の中で、生きていく。ずっと、ずっと』

「ええ。私は、私の中で、ずっと生きていく。ずっと、一緒に……」

――――――………………


601:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 07:39:58.90 ID:/L5OPBhq0
リーフ 「す、すごい……」

バニラ 「ああ。本当に凄まじい戦いだった……」

スターライト 「………………」

スッ

スターライト 「大丈夫? キュアリーフ」

リーフ 「あ……う、うん。ありがとう、スターライト」

バニラ 「ダークプリキュアの意志は、消滅したのか……?」

スターライト 「………………」 フルフル 「……ここに、いる。私の中で、生きている」

バニラ 「……そうか」

スターライト 「……不安?」

バニラ 「いいや。だけど君が心配だ。かつての罪の重さに押し潰されやしないかって」

スターライト 「……どうだろう。分からない。けど……」

スターライト 「向き合うって、決めた。だから、きっと……大丈夫」

バニラ 「……そうか。スターライトがそう言うのなら大丈夫だろう」 ニコッ

リーフ 「……うん!!」


602:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 07:42:24.33 ID:/L5OPBhq0
………………

クモジャキー 「――覇ぁぁあああああああああああああああ!!!!」

クモジャキー 「マリン・海面割チョップ!!!!」

ドゴォオォオオオオオオオオオオ!!!!

クモ 『グギャッ!? ガ……ガガガガ……グ……』

………………

コブラージャ 「サンシャイン・カードストーム!!!」

シシシシシシシシュュュュ!!!!!!

コブラ 『ギギ……ギ……ギギ……』

………………

サソリーナ 「ブロッサム・毒針頭突きパンチ!!!!」

ドゴッッッッ……!!!!

サソリ 『グ……ギギギギギギ……ゴ……』

サソリーナ 「……手こずらせてくれたけれど、尻尾も切り落としたし、これで終わりのようねぇ」

サソリーナ (……とはいえ、こちらも満身創痍なのだけどね)


603:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 07:51:14.37 ID:/L5OPBhq0
サソリ 『グ……ガ……』

ガクッ……

サソリーナ 「……終わりね、かつての私の意志。これで最後にしましょう」

スッ――――――


―――――― 『ふむ。だがそれは困る』


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!!!

サソリーナ 「!!?」 (急に気配が……!?)

バッ!!!

サソリーナ 「なっ、何者!?」

『分からぬか? 否。分からなくても構わぬ』

サソリ 『ギギギ……』

『致し方あるまい。力を貸そう。そして今度こそ、このプリキュアもどきどもを打ち倒せ』

――――ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!!

サソリーナ 「……!?」 (なに……? とてつもなく邪悪な力が……集まっている……)


604:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 08:00:31.69 ID:/L5OPBhq0
『我が呼び声に応えよ。そして、全てを砂漠とし、破壊し尽くす力となれ』

ジジジジジジ……ゴォォォォオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!

サソリーナ 「なっ……何!? 砂嵐……!?」

『……さぁ、行け。お前たちの器のこころの花を枯らし、その身体を手に入れろ』

――――――ドッッッッバァアアアアアア……!!!!!

サソリ 『ゴガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!』

サソリーナ 「!?」 (砂嵐の中から……!? 復活したとでも言うの!?)

サソリーナ 「っ……舐めるんじゃ、ないわよ……!!!」

――――――――ッッッドッッ……!!!!

サソリーナ 「なっ……なんていう、力……!!」

サソリ 『ギギギガアァァアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!』

ギギギギ……ギリリリリッ……!!!!!  ッッッッッドンンン!!!!

サソリーナ 「がッ……!?」 (尻尾……!? さっき、切り落とした、はずなのに……)

………………ガクッ……

サソリーナ 「だ、ダメ……力が……」


607:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 08:34:51.37 ID:/L5OPBhq0
………………

クモ 『グゴォォオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!』

クモジャキー 「っ……いい加減しつこいぜよ!!!」

ドガァアアッッ!!!

クモジャキー 「なッ……!?」 (手応えが感じられんぜよ……!!)

クモ 『ゴァアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!』

ブゥン……!!!!
――――――――――――ドガァアアア!!!!

クモジャキー 「ぐッ……!? なんちゅう力じゃ……!!」

………………

コブラージャ 「ちぃ……!! 素早さが先とは段違いだ……!!」

シャシャシャシャシャシャ……!!!!

コブラージャ 「っ……カードの刺さりも悪い……! 鱗が強化されたのか!!」

コブラ 『ギィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!』

ブゥンンン!!!!
         ッッッドッッッッ……!!!!!


608:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 08:38:52.83 ID:/L5OPBhq0
コブラージャ 「ご、がッ……!!?」 (尻尾の、攻撃……?)

コブラージャ (馬鹿な……! 僕の視界に、まったく映らなかったぞ……?)

コブラージャ 「そんな……こんな……」

ガクッ

コブラージャ 「くそっ……力が……でない……」

『……ふん。無様だな、花の使徒。だから我が軍門に下れと言ったのだ』

コブラージャ 「誰が……もう一度 “砂漠” などにこの心を差し出すか……!!」

『そうか。ならば先にそれを後悔させてやろう』

コブラージャ 「……僕のこころの花を奪うのかい? ははっ、好きにするといい」

コブラージャ 「僕が犠牲になったとしても、すぐにプリキュアが来る」

コブラージャ 「こんな怪物に僕の身体が加わったところで、大した力にはならないさ」

コブラージャ 「……少なくとも、プリキュアたちの美しい愛の力には絶対に敵わない」

コブラージャ 「だから、構わない。僕ひとりがどうにかなる程度で、僕を後悔させられると思うな」

『……くく……くくくくく』

コブラージャ 「……何が可笑しい」


610:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 08:47:21.31 ID:/L5OPBhq0
『……罪を償おうと必死で抗っている者……たしかに貴様らは、もう己の命など惜しくはないのだろう』

『しかし何を勘違いしている? 私は貴様らを後悔させてやると言ったんだぞ』

コブラージャ 「貴様……何を……!」

『……今から貴様らのかつての意志……三体の怪物を明堂学園に差し向ける』

コブラージャ 「なっ……!? き、貴様……!!!」

『こころの大樹の力を借り受けた貴様らでもなお手に余る怪物だ』

『そして今、私の力で強化されている……さて、どうなるだろうな』

コブラージャ 「馬鹿なことはやめろ!! お前は……!!」

『元より、全て無に帰すのが私の目的だ。何もおかしくはなかろう』

『……行け。三幹部の意志たちよ』

『花の使徒のこころの花を奪う前に、奴らが守りたい全てを壊すのだ』

コブラ 『ギギギギ……ギギギィイイイイイイイイイ!!!』

コブラージャ 「っ……!! やめろおおおおおおおおおお!!!」

ザッ……!!!!

『ほう? まだ立つ力が残っているとはな』


611:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 08:52:08.48 ID:/L5OPBhq0
………………

クモジャキー 「っ……」 (しかし……立ち上がっただけで僥倖と言わざるをえんぜよ……)

クモジャキー (まるで戦える気がしない……しかし……それでも……)

『……だが、満身創痍だ。貴様らには何もできんよ』

クモジャキー 「……それはどうかな」

『ふん。下らぬ強がりを申すな』

『……構わぬ。踏み潰して明堂学園へ向かえ』

クモ 『グゴガアアアアアアアアアアアアアアアア!!!』

『……何もできぬ無力を思い知り、絶望しろ。花の使徒』

クモジャキー 「……くだらん」 ギリッ 「くだらんくだらんくだらんくだらん!!!」

――――――ッッッッッドッ……!!!!

『……!? なんだ、この力は……ッ』

クモジャキー 「……どかん。退かん。決して避けん!!!」

クモジャキー 「学園には大勢の人間がいる! 俺の大切な者もいる!」

クモジャキー 「この心が俺の強さじゃ!! 俺は死んでも、お前をここから先へは行かせんぜよ!!!」


612:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 08:57:27.24 ID:/L5OPBhq0
『ならばいい!! そのまま潰れて朽ち果てよ! 花の使徒!!!!』

クモ 『グォォオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!』

クモジャキー (はっ……強がってはみたものの……さすがに、これは……まずい……)

クモジャキー (立ちふさがるだけで、手一杯……こんなザマじゃ、笑われるぜよ……)

クモジャキー 「……悪いな、キュアマリン。俺はどうやらここまでのようじゃきぃ」

クモジャキー 「あとは任せたぜよ。この怪物が学園を襲う前に、どうにか止めてくれ……」

ドドドドドドドドドドドッッッッ……!!!!

クモジャキー 「……ああ。俺の強さでは、お前には及ばなかったようぜよ」

クモジャキー 「せっかく説教してもらったのに、すまんぜよ」


―――――――― 「勝手にあきらめてんじゃないわよ!!!」


クモジャキー 「なに……ッ?」

? 「――――――マリン・シュートぉぉぉおおおおおおお!!!!!」

クモ 『グゴッ……!?』

――――――――ッッッッッッドッッッッ……!!!!!


615:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 09:14:20.29 ID:/L5OPBhq0
………………

サソリーナ 「学園には子どもたちがいる……私の大切な、教え子がいる!!」

サソリーナ 「だから私はここをどかない!! かつて、あの優しい女の子たちが、教えてくれたから!」

サソリーナ 「私はもう、世界を恨み、人を呪っていたときの私じゃない!!」

サソリーナ 「力がなくたって……私は絶対に諦めない!! 守ってみせる!!!」

ドドドドドドドドドドドッッッッ……!!!!

サソリーナ 「……そう。私は信じてる。たとえ私がここで、踏み潰されたとしても」

サソリーナ 「絶対に、プリキュアが現れて、学園を守ってくれる」

サソリーナ 「だから、私は……せめて、その礎に……――――」


―――――――― 「勝手なことを言わないでください!!!」


サソリーナ 「えっ……?」

? 「――――――ブロッサム・シャワーぁぁああああああああ!!!!!」

サソリ 『ガッ……!!?』

――――――――ドガァアアアアアッッ!!!!


617:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 09:18:45.66 ID:/L5OPBhq0
………………

コブラージャ 「……あそこには、守るべき幸せな笑顔がたくさんあるんだ」

コブラージャ 「そのどれもが至高に美しい。僕は、そんな笑顔を曇らせることだけは、絶対に是としない」

コブラージャ 「美しくなくたっていい。無様に地を這いずってでも、泥を啜ることになってでも、」

コブラージャ 「僕はここをどくことはない。諦めることはない」

コブラージャ 「醜く、往生際悪く、立ちふさがる。それが僕の知った、心の美しさだから!!!」

ドドドドドドドドドドド……!!!!!

コブラージャ 「しかし……さすがの僕も、諦めたくなるな。……まぁ、でも、いいか」

コブラージャ 「ふっ。あとは美しい彼女らに任せて、僕は退場するとしようかな」


―――――――― 「そんな諦観が、格好良いとでも思っているんですか?」


コブラージャ 「なっ……?」

? 「――――――サンフラワー・イージスッッッ!!!!!」

コブラ 『グガッ……!?』

――――――――ギィィイイインンンン!!!!!


618:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 09:24:32.24 ID:/L5OPBhq0
………………

クモジャキー 「そんな……まさか……」

? 「……久しぶり、クモジャキー。まさかまたその姿で会うとは思わなかったけど」

? 「アンタ、結構やるじゃん」 ニッ

クモジャキー 「キュアマリン……!」

………………

サソリーナ 「うそ……でしょ」

? 「お久しぶりですね、サソリーナ。相変わらず変な格好です」

? 「でも、安心しました。ご無事だったんですね」

サソリーナ 「キュアブロッサム!!」

………………

コブラージャ 「……相変わらず美しい……」

? 「はは……再会の第一声がそれっていうのもなんかなぁ。まぁ、あなたらしいかもしれないけれど」

? 「……ボロボロですね。でも、今のあなたは美しいですよ、コブラージャ」

コブラージャ 「キュアサンシャイン……」


620:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 09:35:25.28 ID:/L5OPBhq0
………………

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!!!

リーフ 「な……なに、この……嫌な感じは……」

スターライト 「これは……間違いない……!」

バニラ 「……この波動は…… “砂漠の意志” ……!!!」

『ご明察だな、新たな妖精』

ギギギギギギギギギ……!!!!

バニラ 「っ……今の今まで気配なんてなかったというのに……!」

バニラ 「一瞬で現れるとはね、“砂漠の意志” !!」

『そう気色ばむな。本当に憤りたいのはこちらの方だというのに』

『貴様らはイレギュラーとしてあまりにも大きくなりすぎた』

『やはり貴様は確実に始末しておくべきだったな、妖精』

『新しいプリキュアを生み出すに留まらず、もうひとり……』

『それも、元ダークプリキュアをプリキュアとしてしまうとはな……』

バニラ 「……僕は何もしてないさ。それを成し遂げたのは、このふたりだ」


622:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 09:40:49.13 ID:/L5OPBhq0
スターライト 「“砂漠の意志” 。お前はお父様の私への想いを踏みにじり、利用した」

スターライト 「私はお前が憎い。だけど、憎しみは何も生まない。だから、いい」

『ふん。ならばどうするというのだ?』

リーフ 「……今すぐ世界の砂漠化を解いて。そして、砂漠に帰って」

リーフ 「わたしたちはあなたを傷つける気はないよ」

『……そしてまた、砂漠を悪者にした人間の生活が始まるのか』

リーフ 「えっ……?」

『何でもない。忘れろ。否。今ここで消滅しろ。プリキュアと妖精』

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!

リーフ 「ひっ……!?」 (やだ……なに、この感じ……)

『私の直接の端末が、この地に散らばっている。今頃、全ての邪魔者を消しているだろう』

『そして私は、“砂漠の意志” の本体…… “頭” だ』

『光栄に思うといい。私は元三幹部の花の使徒より、貴様らプリキュアを脅威と見なしたんだ』

スターライト 「……なるほど。私たちを直接潰したいほどに恐れているということか」

『好きなように解釈するといい。どちらにしろ、貴様らはここで滅ぶ運命なのだ』


623:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 09:46:08.96 ID:/L5OPBhq0
バニラ 「!? 攻撃が来る!! 避けて!!!」

リーフ 「へ……?」

スターライト 「ッ……!!!」

『遅い。サンドサンダー!!!』

――――――――チュドッッッッ……!!!!

スターライト 「!?」 (雷……!? っ……リーフとバニラだけは……ッ!!!)

バヂッ……!!!!!

スターライト 「ぐ……がッ……!!」

リーフ 「……え……? スター、ライト……?」

バニラ 「スターライト!!!」

スターライト 「……リーフ、バニラ……良かった……無事か」

『ふん。砂の摩擦で雷を作り出してみたが……なるほど。一点集中になってしまうのか』

バニラ 「何を……!」

『貴様らはたしかにイレギュラーだが、脅威とはなりえん』

『四人の当代と戦う前に、プリキュアの対抗手段を研究しておきたくてな』


624:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 09:53:49.57 ID:/L5OPBhq0
スターライト 「なる、ほど……」 ヨロヨロ 「私たちは、体の良い、実験台という、わけか……」

スターライト 「舐められたものだな……ッ!!」

リーフ 「す、スターライト! ダメだよ! もうフラフラじゃない!」

スターライト 「……いや、大丈夫だ」 ニコッ 「バニラとお前は、私が守る」

スターライト 「私が……私が、絶対に……」

リーフ 「スター、ライト……」

スターライト 「お前こそ、疲れている、はずだ……ゆっくり、休んでいて、くれ……」

バニラ 「スターライト……」

スターライト 「心配、しないでいい……大丈夫だから」

リーフ 「………………」 (わたし……また……)

リーフ (何も……できないの……?)

スターライト 「……今度はこっちから行くぞ、“砂漠の意志” !!」

スターライト 「集まれ、花のパワー!!」

『なるほど。かつてのダークプリキュアよ。貴様の戦闘能力はたしかに高い』

『――しかし、それだけだ』


625:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 10:00:38.92 ID:/L5OPBhq0
スターライト 「花よ瞬け! プリキュア・ホワイトフォルテウェイブ!!」

――――――ッッッッッドンンンン!!!!

パァァアアアアアアア………………――――

バニラ 「やったか……!?」

スターライト 「いや……」

ゴゴゴゴゴゴ……

『……白き清浄な光。なるほど。存外に強力であった』

『しかしやはり、それだけだ』

リーフ 「そんな……まったく効いてないの!?」

スターライト 「っ……」

『貴様ら程度では、プリキュアへの対抗手段の実験台にもならんな』

『……そろそろ私の端末が花の使徒を潰している頃合いだろう』

『終わりにしよう。新たなる二人のプリキュアよ』

ギギギギギギギギィィイイイイイイイイイイイイイ!!!!!

スターライト 「っ……なんて強大な、力……!!」


626:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 10:07:11.90 ID:/L5OPBhq0
『これくらいを恐れるな。これと同等の力を、キュアフラワーは押し返していたぞ?』

バニラ 「……っ」 (史上最強と謳われたキュアフラワーが、ようやく押し返した力……)

バニラ (そんな強大な力をくらって、このふたりが耐えられるわけがない……!)

バニラ 「逃げろ!! 今の君たちでは、“砂漠の意志” には敵わない!!」

リーフ 「えっ……そ、そんな……」

バニラ 「悔しいが、僕らはまだ未熟だ……できないことも多い……」

バニラ 「だから、せめて……――――」

『――――……構わぬが、その場合この力がどこへ放たれるか、分からぬ訳ではあるまいな?』

バニラ 「ッ……!? ま、まさか……貴様ッ!!」

『この下にはこころ強き者がたくさん集っているようだ。そこに直接落とすとしよう』

リーフ 「っ……そんなこと……!!」 ズキッ 「痛っ……」

スターライト 「………………」 (リーフはまだ、傷が癒えていない……)

スターライト (そしてもちろん、バニラにも無理はさせられない……)

スターライト (……なら、私のやることなんかひとつに決まってる)

スッ


628:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 10:13:01.22 ID:/L5OPBhq0
リーフ 「えっ……? スターライト?」

スターライト 「……逃げて。リーフ、バニラ」

バニラ 「……!? な、何を言って……――」

スターライト 「――いいから早く逃げて!!!」

バニラ 「なっ……だから君は何を言っているんだ!!?」

スターライト 「あの邪悪な力が校舎を直撃したら、人々のこころの花がただでは済まない!」

スターライト 「なら……誰かが守るしかない!!」

バニラ 「し、しかし……! あんな強大な力、到底僕らに防ぎきれるものじゃない!」

スターライト 「だったら!!!」 ギリッ 「私がこの身に代えてでも、防ぎきる!」

リーフ 「!?」

スターライト 「……あなたたちまで犠牲になる必要はない。……私が、守る」

リーフ 「そんな……そんなのダメだよ!!」

スターライト 「考えて、リーフ。学園にはあなたのお父さん、お母さん、おばあさんもいるんだよ?」

リーフ 「!? そ、それは……」

スターライト 「……安心して。そんなあなたの大切な人たちもまとめて全て、私が守るから」


630:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 10:21:33.98 ID:/L5OPBhq0
スターライト 「だから……だから、早く逃げて」

バニラ 「………………」 コクッ 「……分かった」

リーフ 「バニラちゃん!?」

バニラ 「……逃げるんだ、リーフ。僕はスターライトに力を貸すために残る」

スターライト 「なっ……!? バニラ!!」

バニラ 「妖精とプリキュアはセットだよ。一緒にいた方が力が出るに決まってる」

バニラ 「君ひとりに辛い思いはさせられない。僕は、君の妖精だからね」

スターライト 「バニラ……」

バニラ 「……だから、せめて……リーフ。君だけは逃げてくれ」

バニラ 「そして、当代のプリキュアたちと共に、この世界を守ってほしい」

リーフ 「そんな……そんなのって……っ」

リーフ 「わたしも……わたしも手伝うよ! ふたり一緒なら、きっとできるよ!」

スターライト 「………………」 フルフル 「……そんな危険な賭けに、あなたを巻き込めない」

スターライト 「私とバニラが犠牲になるだけで済むのなら、それに越したことはない」

リーフ 「わたし……」 (わたしじゃ役に立たないから? 弱いから……? だから、ダメなの?)


631:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 10:30:22.14 ID:/L5OPBhq0
『そろそろ行くぞ……』

スターライト 「ああ……こんな程度、私たちが押し留めてみせる……!!」

バニラ 「行くぞ、スターライト!!」

『――――ヘルビサイド!!!』

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!!!

スターライト 「……あとは頼んだ、キュアリーフ」

スターライト 「集まれ、花の力よ!! プリキュア・フローラルパワーフォルティシモ!!」

――――ッッドッッッ!!!!

リーフ 「スターライト……スターライトーーーーーーーーーー!!!!」

リーフ (どうして……わたし、弱いから……だから、何もできない……)

リーフ (わたし、変われてないよ……どうして、わたし……)

リーフ (わたしが弱いせいで、スターライトは……すずらんちゃんは……)

リーフ (それに、バニラちゃんも……っ……どうして……!)

『……なかなかやる。だが、終わりだ』

ゴォォオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!


632:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 10:38:04.25 ID:/L5OPBhq0
バニラ 「っ……舐めるなぁぁぁあああああああああああああああ!!!」

バニラ 「スターライト! 枯れ果てても構わない! 僕の力を使え!!! 使い尽くせ!」

バニラ (僕は……ずっと、自分を出来損ないだと思っていた。けれど、違った)

バニラ (それを教えてくれたのは、他でもないキュアリーフ……すずらんなんだ)

バニラ (だから僕は……キュアリーフを、守りたいんだ……)

スターライト 「……分かった。あなたの力を、私に貸して!!」

スターライト (わたしは、リーフに……ふたばに出会うことで、全てを取り戻した)

スターライト (砂漠の端末としてではなく、人間として……ほんの短い間だけだったけれど、過ごせた)

スターライト (だからせめて、リーフにだけは生き残って欲しい)

スターライト (この身に代えてでも、私は……そう。きっと、リーフを守りたい)

スターライト 「あああああああああああああああああああああああああああ!!!!」

バニラ 「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

『……くだらぬ。その努力も、想いも、何もかも……私が無に帰そう』

ギギギギギ……ギギギギギギ……!!!!


633:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 10:43:19.60 ID:/L5OPBhq0
バニラ 「ッ……!?」 (出力が、上がった……!?)

スターライト 「まずい……!! これ以上は、力が……ッ」

ビキィッッ……!!!

スターライト 「っ……」 (この身体は小さい少女のもの。さっきまでの疲労が蓄積しているのか……)

スターライト (くっ……わたしは、この程度も……できないのか……)

ギュッ……

スターライト 「……? バニラ」

バニラ 「……諦めないで、スターライト。僕がついているよ」

スターライト 「……うん!」 コクッ 「私は、諦めない。私の心に、この想いが、心が、愛が、ある限り」

スターライト 「この手を握ってくれる優しい人がいる限り……私は、絶対に諦めない!!!」


―――――――― 「ええ。となりに誰かが立っているだけで、人は強くなれるものよ」


スターライト 「え……?」 (銀色の、光……? これは、まさか……)

? 「――――――ムーンライト・シルバーインパクト!!!」

――――――――ッッッッッッド!!!!!


635:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 10:50:04.08 ID:/L5OPBhq0
――――ストッ……

? 「……危なかったわね」

スターライト 「お前は……いや、あなたは……そんな……」

バニラ 「キュアムーンライト!!!」

バニラ (すごい! スターライトと僕が弱らせていたからって……)

バニラ (一撃で、“砂漠の意志” の攻撃を吹き飛ばしてしまうなんて……!!)

『……!? ば、馬鹿な……!!』

『なぜ、このタイミングで現れるのだ……! キュアムーンライト!!!』

『そして……ヘルビサイドが、なぜこんな簡単に防がれたのだ……!!』

ムーンライト 「あら、おかしいことかしら?」

クスッ

ムーンライト 「前代のプリキュアにできたことが、どうして当代の私にできないと思うの?」

『っ……!!』 ギリッ 『だが、ここに来たということは……!!』

『ふはははははは!! プリキュア! 貴様ら、あの部族を見捨てたということか!!』

ムーンライト 「………………」


636:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 10:56:49.29 ID:/L5OPBhq0
『守ると言っておきながら、やはり守り得なかったか!』

『浅はかだな、プリキュア! 所詮貴様ら程度では、誰の幸せも守れぬのだ!!』

ムーンライト 「……それは違うわ」

ムーンライト 「私たちは、たしかにあの部族の幸せを守れなかった」

ムーンライト 「けれど、命は守ったわ。幸せになる可能性……その大元である、命だけは」

『……ッ!?』

ムーンライト 「あまり人間を舐めないでほしいわね。人は、生きていればなんでも出来るのよ」

ムーンライト 「彼らは私たちに約束してくれたわ。必ず再興し、日常を取り戻すと」

『貴様……キュアムーンライト……!!!』

ムーンライト 「希望ヶ花市で戦っている気配が四つあった。その全てにプリキュアが向かったわ」

ムーンライト 「残念だったわね、“砂漠の意志” 。当てが外れてしまったかしら?」

『構わぬ! 今ここで全員、潰す!!』

ムーンライト 「……だ、そうよ? 力を貸してもらえるかしら」

スターライト 「えっ……あ……あ……」 フルフル 「私、あの……その……」

ムーンライト 「……今はいいわ。後で、話を聞かせてもらえると嬉しいけれど」


637:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 11:05:28.19 ID:/L5OPBhq0
スターライト 「あっ……」 コクッ 「う、うん!!」

スターライト 「私は……私の名は、キュアスターライト」

ムーンライト 「そう……良い名前ね」 ニコッ 「私はキュアムーンライトよ」

ムーンライト 「……行くわよ? 準備はいいわね、スターライト!」

スターライト 「……うん!! ムーンライト!!」

ザッ……!!!!

『くっ……たかがプリキュア二人がぁああああああああああ!!!』

「「集まれ、ふたつの花の力よ!!!」」


―――――― 「「プリキュア・フローラルパワーフォルティシモ!!!」」


――――――ッッッッッッドッ……!!!!!

バニラ 「す、すごい……!! 月と星の力が、いま、ひとつになる……!!」

リーフ 「スターライトと、ムーンライト……すごい……」

「「はぁぁぁあああああああああああああああああああああああああ!!!!」」

『おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!』


639:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 11:11:38.42 ID:/L5OPBhq0
………………

ズドン……!!! ズドンズドン……!!!!!

マリン 「っととととと……あっぶないっしゅー」

クモジャキー 「大丈夫か、キュアマリン」

マリン 「大丈夫だいじょーぶ。心配しなさんな」

マリン 「っても、アンタが人の心配するとはねー……変わったモンだ」

クモジャキー 「茶化すな。お前が教えてくれたんだろうが」

マリン 「ははは……そう面と向かって言われると照れるっしゅ」

クモジャキー 「……ふん。仕方がないから力を貸してやる」

クモジャキー 「さっさとあの怪物を倒すぞ」

マリン 「合点承知!」 ザッ……!!! 「行くわよ、クモジャキー!!」

クモジャキー 「応!!!」

マリン 「集まれ、花のパワー!! マリンタクト!!」

クモジャキー 「海の如く荒ぶる力よ、この身に集うぜよ!! マリンブレスレット!!」

―――― 「「集まれ!! ふたつの花の力よ!!」


640:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 11:18:58.44 ID:/L5OPBhq0
………………

ブロッサム 「あなたも変わりましたね、サソリーナ」

サソリーナ 「あったりまえでしょー。あんたたちにブッ叩かれて目が覚めたのよぉ」

サソリーナ 「砂漠の使徒の元大幹部が、今じゃしがない幼稚園の先生だもの」

ブロッサム 「……でも、輝いています。今のサソリーナ、とっても」

サソリーナ 「……そう? なら、更生した甲斐があるってものね」

――――――ズドォォオオッッ……!!!

サソリーナ 「……さて、ちゃっちゃとあれを倒しちゃいますか」

ブロッサム 「はい!! 行きましょう、サソリーナ」

サソリーナ 「ええ!!」

ブロッサム 「集まれ、花のパワー!! ブロッサムタクト!!」

サソリーナ 「大地の如く揺るがぬ力よ、この身に集いなさい!! ブロッサムブレスレット!!」

―――― 「「集まれ!! ふたつの花の力よ!!」


641:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 11:24:50.02 ID:/L5OPBhq0
………………

キィイイイイイイイイ……!!!

コブラージャ 「温かく、そして美しい……黄金の光……」

コブラージャ 「大人になった君も相変わらず美しいな、キュアサンシャイン」

サンシャイン 「はは。それはどうも」

サンシャイン 「……あなたたちが戦ってくれていたんですね」

サンシャイン 「ありがとうございます、コブラージャ」

コブラージャ 「なに、これは僕らの贖罪でもある。気にすることはないさ」

コブラ 『グオォオオオオオオオオオオ!!!』

コブラージャ 「……そして僕は、あのかつての僕の罪を取り戻さなくてはならない」

コブラージャ 「力を貸して欲しい。キュアサンシャイン」

サンシャイン 「わたしでよければ、いくらでも」 スッ 「……行きましょう、コブラージャ!」

サンシャイン 「集まれ、花のパワー!! シャイニータンバリン!!」

コブラージャ 「日の光の如く美しき力よ、この身に集え!! シャイニーブレスレット!!」

―――― 「「集まれ!! ふたつの花の力よ!!」


642:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 11:26:17.32 ID:/L5OPBhq0
        「「「「「「プリキュア・フローラルパワーフォルティシモ!!!!!!!」」」」」」


――――――――ドッッッッッ……!!!!

………………

マリン&クモジャキー 「「はぁぁああああああああああああああああああああああああああ!!!」」

………………

ブロッサム&サソリーナ 「「たぁぁああああああああああああああああああああああああああ!!!」」

………………

サンシャイン&コブラージャ 「「うぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」」


………………………………――――ッッッッッドッ……!!!!!


             ―――――――――― 『ハート・キャッチ!!!!!』


――――――――――――――カッ……!!!!!!!!


             パァァアアアアアアア………………――――――――


643:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 11:42:31.97 ID:/L5OPBhq0
………………

『ば、馬鹿な……ぐっ……』

『私まで、浄化されるわけにはいかん……!!』

――――――ザザザザザザザッッッ……!!!!

『覚えていろ、プリキュアども!!! 次で終わりにしてやる……絶対に!!!』

『全ての端末を結集し、私はひとつの “意志” としてお前たちを潰しに来る!!』

『そのときが、お前たちの最後だ! プリキュア!!』

…………ザザザザ……――――――

ムーンライト 「……さて、とりあえずは退けたかしらね」

スターライト 「あ……うん」

ムーンライト 「それで? あなたは……まさかとは思うけれど……」

スターライト 「そ、その……私は……」


――――――さようなら、キュアムーンライト――――――


スターライト 「っ……わ、私は……」


646:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 12:00:20.82 ID:/L5OPBhq0
リーフ 「……あ、あのあの!!」

スッ

ムーンライト 「……? あなたは?」

リーフ 「キュアリーフです! もうひとりの新しいプリキュアです!」

リーフ 「あ……あの! スターライトのこと、責めないでください!」

スターライト 「キュアリーフ……?」

リーフ 「スターライトは、昔やったことを、すっごく後悔してて、自分を責めていて……」

リーフ 「それで、今……やっと人間になれて、プリキュアにもなれて……」

リーフ 「だから、その……」 グスッ 「……ムーンライトの気持ちは、分かるけど……」

リーフ 「責めないで、あげて……ください……っ」

ムーンライト 「………………」 フゥ 「……ひとつだけ、訊かせてもらえるかしら」

スターライト 「は、はい……」

ムーンライト 「……あなたは、ダークプリキュアなの?」

スターライト 「………………」 コクッ 「……その、通りです」

ムーンライト 「……そう」


647:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 12:04:25.87 ID:/L5OPBhq0
バニラ 「あ……ぼ、僕からも頼むよ、ムーンライト!」

バニラ 「彼女はもう、プリキュアなんだ! 過去の過ちを償おうとしているんだ!」

バニラ 「だ……だから! だから……」

ムーンライト 「あなた、あの子なのね……」

スターライト 「……うん」

ムーンライト 「………………」

――――――ギュッ!!!!!

スターライト 「えっ……?」

ムーンライト 「…………――――った……」

スターライト 「……?」

ムーンライト 「よかっ、た……」 グスッ 「良かった……あなただけでも、無事で……!」

ムーンライト 「私の、妹……生きていてくれて、ありがとう……」

バニラ 「あ……」 テヘッ 「……僕ら、勘違いしていたみたいだね」

リーフ 「………………」 グスッ 「……うん。恥ずかしい」

ムーンライト 「よかった……本当に、よかった……」


648:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 12:10:41.89 ID:/L5OPBhq0
スターライト 「温かい……ああ……」

スターライト 「………………」

グスッ……エグッ……

スターライト 「ああ……あた、たかい……よぅ」

スターライト 「なんで、だろう……心地、いいのに……涙が……止まらない……」

ムーンライト 「……泣きなさい。いくらでも」 ニコッ 「だって私も、涙が止まらないもの」

スターライト 「ムーンライト……ムーンライト……」 ギュッ

スターライト 「おねえちゃん……っ」

ムーンライト 「……うん。私があなたのお姉ちゃんよ」

スターライト 「あああ……うわああああああああああああああああああああああんん!!!」

リーフ 「よかった……よかったね、すずらんちゃん……」 グスッ

バニラ 「うん……本当によかった……」

――――――スタッ

マリン 「……? 駆けつけてみれば……これは何事?」

サンシャイン 「うん。とりあえずここは空気を読んで静かにしてようねえりか」


650:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 12:24:10.47 ID:/L5OPBhq0
………………

つぼみ 「こうして総轄してみると、色々なことがあったんですね……」

えりか 「しかしまさか、ふたばがプリキュアになるなんてね……」

ふたば 「えへー」

いつき 「それに、ゆりの妹が生きていたなんてね……」

ゆり 「ええ……本当に嬉しいわ」 ギュッ

すずらん 「あ、う、うん……」 (そろそろ恥ずかしいからはなしてほしい……)

シプレ 「バニラもよくやったですぅ! それでこそ私たちの後輩です」

バニラ 「あ……はい!! ありがとうございます、先輩方!!」

コフレ 「……で、三幹部はちゃっかり正義のヒーローですか」

佐曽 「そう鼻白まないでちょうだいよぉ。あたしたちだって色々あったんだから」

熊本 「ふん。俺たちは俺たちにやれることをやるまでだ」

古布 「まぁ、その通りだね」

ポプリ 「でしゅ! 強力してくれる人がたくさんでしゅ!!」

薫子 「そうね。ここにいる皆が力を合わせて、たくさんの人々の心が守られたのね」


652:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 12:42:18.01 ID:/L5OPBhq0
つぼみ 「おばあちゃん、わたしたち……」

薫子 「ええ。もちろん分かっているわ。ハートキャッチミラージュね」

薫子 「今、“砂漠の意志” は恐らく、最後の決戦に備えて力を溜め込んでいるわ」

薫子 「その間に、こちらも戦力を確実なものにしておきましょう」

熊本 「ハートキャッチミラージュか……正直、嫌な思い出しかないぜよ」

えりか 「そりゃアンタたちにとってはそうでしょうよ」

ゆり 「薫子さん。ハートキャッチミラージュは、プリキュアパレスに……?」

薫子 「ええ。役目を終えたミラージュは、プリキュアパレスの最奥にあるわ」

薫子 「まさか生きているうちにもう一度見ることになるとはね……」

えりか 「よし! じゃあ早速取りに行こうよ!」

薫子 「あら、えりかちゃん、忘れたのかしら? ミラージュを手に入れる条件」

えりか 「へ……?」

いつき 「え? まさか……あの試練を、もう一回やるってことですか!?」

つぼみ 「えええーーーーーーーーー!!?」

すずらん 「……?」 (試練……?)


653:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 12:50:09.74 ID:/L5OPBhq0
薫子 「……もちろん。ミラージュは神聖な儀式を終えなければ手に入れられないわ」

薫子 「それは非常事態でも変わらないことよ」

つぼみ 「でも、わたしたちはもう、試練を終えているはずじゃ……あっ!」

ふたば 「……? どうしたのおねえちゃん?」

つぼみ 「……なるほど。この子たちが、ということですか」

薫子 「ええ。次代のプリキュアが二人、こうして生まれた」

薫子 「ならば、今度試練を受けるのはふたばとすずらんちゃん。このふたりよ」

えりか 「そんな……!! だってこのふたり、まだプリキュアになったばかりなんだよ!?」

薫子 「それでも、やらなければならないの。今は非常事態なんだから」

すずらん 「試練というのは?」

薫子 「……ふふ。それは実際にやってみてのお楽しみ」

薫子 「さて、のんびりはしていられないわ。早速行きましょう」

薫子 「……私たちは少しの間、ミラージュを取りに行ってくるわ」

薫子 「その間に何かがあったら……できる範囲で、守ってもらえるかしら?」

熊本 「応。安心して俺たちに任せるぜよ」


654:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 12:57:20.72 ID:/L5OPBhq0
………………???

『“頭” “右腕” “左腕” “右足” “左足” “胴” 。……全てを結集する』

『……待っていろ、プリキュア』

『全ての力をひとつとし、今度こそ私が貴様らを葬り去る』

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…………!!!!!

『世界を砂漠に……全てを無に帰す……』

『全てを終わらせる……それが、私の意志だ……』

―――― 『あなたには見えないのですか!? 砂漠で暮らす人々の笑顔が!!』

―――― 『違う! あなたは何かを枯らすことしかできないんじゃない!!』

―――― 『人々を守り、心を育むことができるじゃないですか!!』

『……今さら、何をしたところで変わらぬ』

『人の豊かさが砂漠を生み、砂漠が心を枯らせるのだ』

『いずれ世界が砂漠に飲まれるのなら、今私がやってしまったところで何も変わらない』

『……私が一足先に終わらせる。ただそれだけのことだ』


655:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 13:01:46.42 ID:/L5OPBhq0
………………プリキュアパレス

ふたば 「ほぇえええええ……きれいなお城!!」

すずらん 「………………」

ふたば 「すごいねぇすずらんちゃん! 植物園の木の中にこんな場所があるなんて!」

すずらん 「あ……ああ……」

ゆり 「………………」

ギュッ

すずらん 「……!」

ゆり 「……大丈夫。コロンも、あなたがプリキュアになって、きっと喜んでいるわ」

すずらん 「……うん。お姉ちゃん」

ゆり 「忘れないで。あなたはもうダークプリキュアじゃない」

ゆり 「私の妹の、月影すずらんなんだから」

すずらん 「……うん!」

シプレ 「……スズランの花言葉は、“幸福の再来” ですぅ」

コフレ 「すずらんはゆりさんにとって、かけがえのない “帰ってきた希望の花” です!」


657:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 13:08:30.35 ID:/L5OPBhq0
………………プリキュアパレス内 ホール

ふたば 「うわぁああ……すごい……」

すずらん 「……ここが、プリキュアパレスなのか」

ふたば 「なんか、ダンスを踊る場所みたい。とっても広いね」

薫子 「ダンス……言い得て妙かもしれないわね。ここは、プリキュアが踊る場所よ」

薫子 「……試練という演目の、ダンスをね」

ふたば 「えっ……?」

つぼみ 「……ふたば、すずらんちゃん、そしてバニラ……用意をしなさい」

すずらん 「何を……するつもり?」

つぼみ 「試練です」

バニラ 「試練……? 詳しい内容は、僕もよく知らないんだけど……」

つぼみ 「……こういうことですよ」 スッ 「……プリキュア・オープンマイハート!!!」

パァアアアアアア……!!!!!

ブロッサム 「……さぁ、早く変身しなさい。事態は一刻を争います」

ふたば 「ど、どうしたの、お姉ちゃん……ちょっと、怖いよ」


660:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 13:18:17.41 ID:/L5OPBhq0
ブロッサム 「……今のわたしはあなたのお姉ちゃんじゃありませんよ、ふたば」

ブロッサム 「キュアブロッサム。あなたたちの先代のプリキュアにあたります」

ふたば 「じ、じゃあ……ブロッサム、一体何をするの?」

ブロッサム 「………………」

ギュゴッッッ……!!!!!

ふたば 「――――へ……?」 ペタン 「な……何、するの……?」

ブロッサム 「……わたしが寸前で止めていなければ、」

ブロッサム 「あなたは今のわたしの拳で吹き飛んでいましたよ、ふたば」

すずらん 「なっ……! いきなり何をするんだ、キュアブロッサム!!」

ブロッサム 「これから、あなたたちに、わたしを倒してもらいます」

ふたば 「えっ……!? そ、それって……どういうこと?」

ブロッサム 「そのままの意味ですよ。それが試練です」

ブロッサム 「先代のプリキュアを倒すことで、ハートキャッチミラージュが手に入るのです」

ブロッサム 「……さぁ、早く変身しなさい」


661:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 13:22:31.51 ID:/L5OPBhq0
ふたば 「そ、そんなの……! できないよ! できるわけないよ!」

ふたば 「どうしてプリキュア同士で戦わなくちゃいけないの!?」

ブロッサム 「……そうですか。なら、今すぐここを去りなさい、ふたば」

ふたば 「えっ……」

ブロッサム 「それを厭うなら、帰りなさい。あなたにプリキュアである資格はない」

ふたば 「そ、そんなのって……」

ブロッサム 「まだうだうだ言うというのなら……」

――――――ドッッッ……!!!!

ふたば 「……へ……――――――」


―――――― 「プリキュア・オープンマイハートッッッ!!!!」


                ――――――――――――――――ギィィイイイインンンン!!!!

ブロッサム 「……さすがは、戦闘の経験が多いだけのことはある。よく受け止めましたね、」

ブロッサム 「――――キュアスターライト」

スターライト 「あなたは……あなたはいま、本気でふたばを傷つけるつもりだったのか!!?」


662:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 13:28:34.82 ID:/L5OPBhq0
ブロッサム 「……だったらなんだっていうんです?」

スターライト 「……っ!!! 姉が妹を傷つける……そんなのを、許しておけるか!!」

ブロッサム 「……そうですか。なら、あなたは試練を受けるということですね?」

スターライト 「それで構わない!」

ブロッサム 「……で? どうしますか、ふたば?」

ふたば 「………………」

―――― 『お姉ちゃんみたいに……素敵な笑顔で、言葉で……誰かを癒せる人に……!!』

―――― 『お姉ちゃんみたいな、立派な女の人に、なりたい!!』

ふたば 「っ……」 グッ 「プリキュア・オープンマイハート!!!」

パァァアアアアア……!!!!

リーフ 「………………」 ギュッ 「……受けるよ、試練。わたし、お姉ちゃんとでも、戦うよ」

ブロッサム 「分かりました。では、詳しい取り決めを説明しましょう」

ゆり 「………………」

いつき 「………………」

えりか 「………………」 ボソッ 「……つぼみ、ごめんね」


664:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 13:32:54.04 ID:/L5OPBhq0
ブロッサム 「まず、あなたたちと戦うのは、わたしだけです」

ブロッサム 「他の三人に頼んで、わたしを試練の監督とさせてもらいました」

スターライト 「ふたりがかりであなたを倒せばいいのか?」

ブロッサム 「ええ。ですが、あなたたちはなったばかりのプリキュアです」

ブロッサム 「さすがに、わたしを倒すというのはあまりにも荷が重いでしょう」

ブロッサム 「……なので、わたしは」

スッ

リーフ 「えっ……?」

ブロッサム 「右手しか使いません」

スターライト 「なっ……なんだと!?」

ブロッサム 「わたしに左手を使わせることができたら、試練通過です。よろしいですね?」

スターライト 「ッ……!! 随分と舐められたものだ……!」

ブロッサム 「そうですか? 妥当だと思いますけど」

スターライト 「……行こう、リーフ。さっさと試練なんか終わらせて、ミラージュを手に入れよう」

リーフ 「う、うん……」


666:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 13:38:57.00 ID:/L5OPBhq0
ブロッサム 「……よろしいですね? では、始めます」

ザッ……――――――ッッッッッッドッッ……!!!!!

リーフ 「へ……!?」 (速い……!?)

リーフ (こ、拳……け、蹴り……? いや、でも、相手は、お姉ちゃんで……)

スターライト 「っ……! どうしたんだ、キュアリーフ!!」

リーフ 「……!!!」 (もう、目の前に……!?)

ブロッサム 「……判断が遅いですよ、キュアリーフ」

――――――――――――ズドンンンンン……!!!!

リーフ 「かはっ……!?」 (なんて、重い……一撃……)

――――――ッッドンン!!!!

リーフ 「っ……一発で、壁まで……なんて、威力……」

リーフ 「これが……キュアブロッサム……なんて、強いの……」

リーフ 「……ちがう。わたしが、弱いのかな」

スターライト 「リーフ!! 大丈夫!?」

リーフ 「う、うん……なんと、か……」 フラフラ 「……あれ……目が、回る……」


667:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 13:45:39.89 ID:/L5OPBhq0
スターライト 「………………」

スッ

リーフ 「あっ……」

スターライト 「無理をするな。お前はまだ幼いんだ。身体が悲鳴を上げている」

スターライト 「ここで寝ていていい。私ひとりで十分だ」

リーフ 「で、でも……」

スターライト 「……私は、お前にこれ以上傷ついてほしくないんだ」

スターライト 「お前は私の初めての友達で、命の恩人で……もう感謝してもしきれない」

スターライト 「私は、そんなお前に傷ついてほしくない。友達だから、大好きだから」

リーフ 「………………」 (……そっか。わたしが戦っても、足手まといになるだけだから)

スターライト 「……安心しろ。私は絶対に勝つ」 ニコッ

リーフ 「う、うん……」

ブロッサム 「………………」

スターライト 「……待たせた。行くぞ、キュアブロッサム」

ブロッサム 「……その前に、ひとついいですか?」


668:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 13:51:39.18 ID:/L5OPBhq0
スターライト 「なんだ?」

ブロッサム 「あなたにとって、友達とは、友情とは……そういうものなのですか?」

スターライト 「どういう意味だ……?」

ブロッサム 「………………」

スターライト 「……私は、ふたばを守りたい。ふたばに傷ついてほしくない。だから、守る」

スターライト 「それが私の友情――友達に対しての想いだ」

ブロッサム 「……そうですか。ならば、」

――――――シュン!!!!

スターライト 「ッ……!?」 (さすがに速い……!!)

………………ギィィイイイインン!!!!

ブロッサム 「……あなたたちのそれは、真の友情ではありませんね」

スターライト 「なんだと……ッ!!?」

ブゥゥウンンンン……!!!!

スターライト 「キュアブロッサム!!! そこまで言うのなら見せてやろう!」

スターライト 「あなたくらい、私ひとりで倒してみせる!!」


669:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 13:55:54.79 ID:/L5OPBhq0
スターライト 「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

ブロッサム 「………………」

――――――ドドドドドドドドドドドッッッッ!!!!!

………………

いつき 「……速いし、重い。けれど、」

えりか 「ブロッサムの右手の楚々とした受け流しの前では、すべて無駄だね」

ゆり 「……スターライト」

えりか 「……なんか、つぼみに嫌な役目を押し付けちゃったみたいで、嫌な気分だね」

いつき 「うん……」

………………

スターライト 「防戦一方じゃないか、ブロッサム!」

ブロッサム 「……そうですね。わたしはおそらく、単純なパワーではあなたにも敵わないでしょう」

ブロッサム 「だから防ぐより仕方がない」

スターライト 「随分と弱気じゃないか」 グッ 「……これで終わりだ!!」

――――――ブゥンンンンンンンン!!!!!


671:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 14:05:51.85 ID:/L5OPBhq0
スターライト (この、攻撃なら……絶対に、左手を使うはずだ……!!)

スターライト (これで、私の、勝ち――――)

ブロッサム 「――――体重の移動が甘い。重心がズレてます」

スターライト 「……――――ッ!?」

ギリッ……!!!

スターライト 「なっ……にが……!?」

スターライト 「いつの間に……私の、関節が、極められて……!?」

ブロッサム 「あなたの最後の一撃。たしかに防ぐためには左手も使わざるを得ないでしょう」

ブロッサム 「ですが、あなたは拳にばかり集中して、身体の方をおろそかにしていました」

ブロッサム 「だから私は一歩手前の攻撃を受け流すフリをしつつ手を掴み、」

ブロッサム 「あなたの重心移動に合わせるように関節を極めました」

ブロッサム 「……それだけの話ですよ」

バニラ 「スターライト!!」

スターライト 「っ……」 (くそっ、なんて力だ……抜け出せない……!!)

ブロッサム 「……まったく、この程度ですか。キュアスターライト」


673:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 14:10:43.22 ID:/L5OPBhq0
スターライト 「なに……っ?」

ブロッサム 「この程度なら、これ以上戦う意味はありません」

ブロッサム 「……キュアスターライト、そしてキュアリーフ」

ブロッサム 「あなたたちがプリキュアである意味はありません」

ブロッサム 「――――ココロパフュームを置いて、去りなさい」

スターライト 「なっ……何を……!!!」

ブロッサム 「……聞こえなかったのですか? 足手まといだから去れと言ったのです」

ブロッサム 「ミラージュに関しては、こちらでなんとかします」

ブロッサム 「まったく、とんだ見込み違いでした。少しはできるのかと思いましたが。いえ……」

ブロッサム 「……ごめんなさい。そういえば、あなたたちはまだ小さな子どもでしたね」

ブロッサム 「酷なことをさせてしまいました。もう、戦う必要はありませんよ?」

スターライト 「キュアブロッサム……!!」

ギリリリッ……!!!

スターライト 「ぐっ……!」

ブロッサム 「……悔しいのなら抜け出してみせなさい。そして、わたしに左手を使わせたらいいでしょう?」


675:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 14:17:35.82 ID:/L5OPBhq0
リーフ 「す、スターライト……!!」 グッ (だ、ダメ……どうせ、わたしが行ったって……)

リーフ (足手まといにしか、ならない……きっと、邪魔になる、だけ……)

ブロッサム 「………………」 スッ 「……弱いですね、スターライト」

ブロッサム 「本当に弱い。この程度なら、わざわざプリキュアになる必要なんてなかったのに」

リーフ 「!?」

―――― 『……私は……』 『……私は、できることなら』

ブロッサム 「……星の光、ですか。あなたには過ぎた名前でしたね」

スターライト 「っ……そんな、こと……」

―――― 『……月の、影ではなく……光になりたい。ちっぽけでも、誰かを照らせる光になりたい』

ブロッサム 「ムーンライトにあやかったつもりかもしれませんが……」

―――― 『月と共に人々を照らし、月がいないときには代わりに人々を見守る……』

ブロッサム 「あなたはムーンライトには遠く及ばない。弱い光です」

スターライト 「っ……光……私、は……っ」

―――― 『……そんな、小さな星の光のようでありたい……!!』

リーフ 「ッ……!!!!」 (わたしは……わたしは……!!)


676:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 14:22:57.33 ID:/L5OPBhq0
リーフ (わたしは、弱い……きっと、また迷惑をかける……)

リーフ (スターライトは、すごい……だって、ムーンライトと一緒に、戦ってたくらいだもん)

リーフ (それに比べてわたしは……わたしは……)

リーフ (でも……) ギュッ (……弱くったって、戦えるよ)

リーフ (わたしは、きっと……そう。迷惑をかけたくないとか、そう言って、)

リーフ (戦うことから逃げていただけなんだ……)

リーフ (……わたしに、勇気をくれたあの子のために、わたしは……)

リーフ 「……いま、戦わなくちゃ」

ザッ……!!!!!

ブロッサム 「……? なんです、キュアリーフ? どうかしましたか?」

リーフ 「……――――な、して……」

ブロッサム 「はい?」

リーフ 「はなして……って、そう言ったんだよ」 キッ 「スターライトを……はなせ!!」

リーフ 「……そして、スターライトに謝って!! スターライトは、きれいで大きな光だよ!」


677:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 14:31:38.02 ID:/L5OPBhq0
スターライト 「き、キュアリーフ!!」

リーフ 「………………」

スターライト 「ダメだ、だって……また、お前が傷ついてしまう……!!」

スターライト 「わたしは、そんなのは嫌なんだ……だから……――――」

リーフ 「――――……ねえ、キュアスターライト、お願い」

リーフ 「わたしは、弱くて、頼りなくて……ダメダメかもしれないけど、お願い」

リーフ 「いまだけでいい。わたしのことを信じて」

スターライト 「……!?」 (信じる……? 私は……もしかして……)

スターライト (リーフを庇い、守るつもりで……リーフを信じていなかったのか……?)

ブロッサム 「……信じて、どうなると?」

リーフ 「信じれば、戦える。信じ合えば、一緒に力を合わせることができる」

リーフ 「だから、わたしも今、信じるよ」

――――――――ドッッッ……!!!!!

リーフ 「――――わたしは信じる!! わたしとスターライトならできるって!!!」

ブロッサム 「………………」 スッ 「……そうですか。なら、」 ドンンン!!!


678:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 14:38:03.45 ID:/L5OPBhq0
スターライト 「ぐっ……!?」 ドサッ (私を突き飛ばしたということは……)

スターライト (まさか、リーフに技を……!?) 「リーフ!!! 危ない、避けろ!!」

ブロッサム 「遅いですよ」

キィィイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!!

ブロッサム 「ブロッサム・シャワー!!!」

――――――ドドドドドド……!!!!!

リーフ 「……遅いのは、どっちかな」

ブロッサム 「!?」

リーフ 「リーフ・ミラージュ!!!」

――――ザザザザザザ……ッッッシュンンン!!!!

ブロッサム 「分身……!?」 ハッ 「まさか……!?」

リーフ 「――――だから遅いってば!!」

――――ズドンンンンン!!!!!

ブロッサム 「ぐっ……!!」 (しかし、まだ使ったのは右手だけです……!!)

タン……タタタン……!!!


679:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 14:44:51.92 ID:/L5OPBhq0
スターライト 「リーフ……? お前……」

リーフ 「えへへ。よかった、スターライトを助けることができて」

ブロッサム 「……まさか分身するとは。面白い技ですね、キュアリーフ」

リーフ 「………………」

ブロッサム 「分かりました。あなたたちが試練を無事終えることができたら」

ブロッサム 「先の言葉を訂正することにしましょう」

リーフ 「……うん。分かった。俄然やる気が出てきたよ」

スターライト 「リーフ……」

リーフ 「スターライト、やれる?」 フルフル 「ううん。やれるね?」

スターライト 「………………」 グッ 「……もちろんだ」

リーフ 「わたしね、思い出したんだ。キュアメロディとキュアリズムが言ってたこと」

スターライト 「……?」

リーフ 「プリキュアは、ふたりでひとつ。ふたりが力を合わせれば、いくらでも強くなれる」

スターライト 「ふたりなら……いくらでも、強くなれる……」

リーフ 「うん! だって、わたしたちはふたりでプリキュアなんだから!!」


680:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 14:52:10.38 ID:/L5OPBhq0
リーフ 「……信じ合うふたりなら、いくらでも強くなれる。だから、わたしはあなたを信じるよ」

スターライト 「……うん。私もお前を信じる。信じて、力を合わせるよ」

ブロッサム 「………………」 スッ 「集まれ、花のパワー! ブロッサムタクト!」

ブロッサム 「……行きます」

リーフ 「わたしたちもやろう、キュアスターライト!」

スターライト 「ああ!」

リーフ&スター 「「集まれ、ふたつの花の力よ!!」」

リーフ 「リーフタクト!!」

スターライト 「スタータクト!!」

ブロッサム 「プリキュア・フローラルパワーフォルティシモ!!!」

リーフ&スターライト 「「プリキュア・フローラルパワーフォルティシモ!!!」」

                   ――――――ッッッッッッッッドッッッッ!!!!!

ブロッサム 「はぁあああああああああああああああああああ!!!」

リーフ 「たぁあああああああああああああああああああ!!!」

スターライト 「おぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」


682:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 14:57:52.75 ID:/L5OPBhq0
――――――カッッッッ……!!!!

             ―――――ッッッッドォォオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!

えりか 「ひゃっ……なんてパワーなの……!?」

いつき 「すごい……これが、新たなプリキュアとの、激突……」

ゆり 「ふたば、すずらん、……つぼみ……」

………………

ブロッサム 「………………」

リーフ 「………………」

スターライト 「………………」

――――ガクッ

リーフ 「っ……ブロッサム、ひとりなのに……」

スターライト 「なんて力だ……わたしたちのフォルティシモが、ふたつまとめて弾かれた……」

ブロッサム 「………………」

クスッ

ブロッサム 「でも、わたしの負けですね。ふたりとも、合格です」


683:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 15:03:07.79 ID:/L5OPBhq0
ブロッサム 「……考えましたね。同時にフォルティシモを発動し、」

ブロッサム 「しかし正面から激突するのではなく、両側から……」

ブロッサム 「これではさすがに、左手を使わざるをえませんからね」

ペコリ

ブロッサム 「……では、約束通り、訂正して謝ります。ごめんなさい、スターライト」

ブロッサム 「あなたはムーンライトにも劣らない、明るい光の持ち主でした」

スターライト 「……いや、こちらこそ、怒ったりしてごめんなさい」

スターライト 「だってあれ、演技だったんでしょ?」

リーフ 「……え?」

スターライト 「分かったんだ。優しいブロッサムが、なんであんなこと言ったのか」

チラッ

リーフ 「?」

スターライト 「私とリーフに、真の友情を知ってもらうためだったんだね」

リーフ 「真の、友情……?」

ブロッサム 「お互いを大切にするだけじゃダメなんです。お互いを、信じ合わなくちゃ」


684:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 15:10:45.32 ID:/L5OPBhq0
ブロッサム 「それが本当の友情。本当に友達です」

スターライト 「私は、リーフを大切に思うあまり、リーフを信じることができなかった」

ブロッサム 「そしてリーフは、自分が足手まといになっているのではないかと思い、」

ブロッサム 「スターライトの優しい言葉を信じることができなかった」

リーフ 「あっ……そっか。わたし、自分が弱いからだって思いこんで……」

ブロッサム 「……ですが、あなたたちはそれを克服しました」

ブロッサム 「お互いを信じ、背中を預け合い、そしてわたしに左手を使わせた」

ブロッサム 「忘れないでください。その互いを思いやる心こそが、プリキュアの力です」

リーフ 「うん!」  スターライト 「はい!」

ブロッサム 「ふふ……ふたりとも、いい返事です。それから、よくがんばりましたね」 ナデナデ

リーフ 「えへ……えへへー」

スターライト 「はう……」 (あったかい……)

ゆり 「………………」 グッ 「私がなでなでしてあげたかったのに……」

えりか&いつき 「「ゆり……」」

薫子 「……プリキュアパレスの最奥が開いたわ。みんな、行きましょう」


686:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 15:16:24.55 ID:/L5OPBhq0
………………プリキュアパレス 最奥部

ゆり 「ハートキャッチミラージュ……六年ぶりね」

えりか 「また力を借りることになったから、よろしくね」

いつき 「また、あの力を……」 グッ 「うん。そうすればきっと、“砂漠の意志” にも勝てる」

パァァアアアアア……!!!!

ふたば 「わっ……ミラージュが光り出したよ!」

ポプリ 「!? こころの大樹が呼んでるでしゅ!!」

『……聞こえ……ますか……妖精と……プリキュアたちよ……』

コフレ 「こころの大樹の声ですっ!!」

シプレ 「苦しそうですぅ……」

『……人々の……こころの花……が……急速に……弱っています……』

『次の……戦いで……すべてが決まる……でしょう……』

『“砂漠の意志” ……が……やってきます……』

『……お願いします……プリキュア……そして、妖精たちよ……』

『世界を……人々の、心を……守って……ください……』


687:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 15:23:15.59 ID:/L5OPBhq0
つぼみ 「……はい! 約束します!」

つぼみ 「わたしたちが絶対に、守り抜きます。六年前のように!!」

『あり……がとう……あとは……頼み……まし……た……』

パァァア……………………

すずらん 「消えた……」

ポプリ 「こころの大樹……」

ゆり 「……しょぼくれていても仕方ないわ」

ゆり 「きっと全世界の砂漠化をなんとかすれば、こころの大樹も元気を取り戻すわ」

いつき 「……うん。行こう。最後の戦いだ」

えりか 「うん!!」

つぼみ 「……おばあちゃん、ふたりのことを、よろしくお願いします」

薫子 「ええ。任せてちょうだい」 ニコッ 「……四人とも、がんばってね」

ふたば 「えっ……? ふ、ふたばたちは!?」

すずらん 「ここに置いていくつもりなのか!?」

えりか 「……うん、そうだよ」


689:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 15:29:40.61 ID:/L5OPBhq0
ふたば 「そ、そんな……! わたしたちだってプリキュアなんだよ!?」

えりか 「そうだね。だけど、まだミラージュが使えない」

ふたば 「えっ……?」

すずらん 「………………」

えりか 「最後の戦い……きっと、ミラージュを使って戦うことになる」

えりか 「けどふたりはまだ、最後の試練を終えてないから」

えりか 「……だから、まだ戦えない」

すずらん 「まだ……? と、いうことは……」

えりか 「……そーいうこと」 ニッ 「ちゃっちゃと最後の試練を終えて、手伝いにくるっしゅ!」

ふたば 「えりかお姉ちゃん……!!」 グッ 「うん! わたしたち頑張るよ!!」

いつき 「まあ、ふたりが試練を終えている頃には、僕らが勝っちゃってるかもだけどね」

ふたば 「むむ……。そんなことないもん! わたしたち試練なんてすぐ終わらせちゃうもん!」

ふたば 「ね、すずらんちゃん!」

すずらん 「ああ、その通りだ」 グッ 「そしてすぐに助けに行く!」

ゆり 「ふふ……楽しみにしているわね、すずらん、ふたば」


691:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 15:35:11.80 ID:/L5OPBhq0
………………

タタタタタ…………

えりか 「ははっ……ああは言ったものの、まさか本当に戦わせるわけにはいかないしね」

つぼみ 「当たり前です。これ以上あのふたりに危険なことはさせられません」

つぼみ 「さっきの試練だって、心の中で何度あのふたりに謝っていたことか……」

いつき 「だから僕が代わりにやるって言ったのに……頑固なんだから」

つぼみ 「辛いって分かってたけど……でも、やりたかったんですよぅ……」

ゆり 「……まあ、いい演技だったわ、つぼみ」

つぼみ 「だったらいいのですけど……」

ゆり 「……とにかく、いま私たちにできることは……」

ゆり 「あのふたりが試練を終える前に、“砂漠の意志” を止め、世界を元に戻すこと」

ゆり 「……それだけよ」

つぼみ 「……はい!」

いつき 「うん!」

えりか 「やってやるっしゅ!」


692:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 15:42:20.52 ID:/L5OPBhq0
ザッッッ……!!!

つぼみ 「……行きましょう! これがきっと、最後の変身です!!」

   「「「プリキュアの種、行くですーーーーーー!!!」」」

ガシャッ……!!!!

   「「「「プリキュア・オープンマイハートッッ!!!」」」」

パァァアアアアアア……!!!!

ブロッサム 「大地に咲く一輪の花! キュアブロッサム!!」

マリン 「海風に揺れる一輪の花! キュアマリン!!」

サンシャイン 「日の光浴びる一輪の花! キュアサンシャイン!!」

ムーンライト 「月光に冴える一輪の花! キュアムーンライト!!」

――――――ザッ……!!!!

   「「「「ハートキャッチプリキュア!!!」」」」


693:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 15:47:54.83 ID:/L5OPBhq0
………………明堂学園

クモジャキー 「……来る」

サソリーナ 「ええ……来るわ」

コブラージャ 「上空から、か……さてはて、防ぎきれるのやら」

クモジャキー 「やるしかなかろう? それが俺たちの贖罪なのだからな」

コブラージャ 「……そうだね。この美しい世界を、美しい人の心を守らなければ」

サソリーナ 「大切な人がいる。自分を呼んでくれる人がいる」

サソリーナ 「……今のわたしは、そんな当たり前を捨てたくはないわ」

サソリーナ 「だから、守りたい……」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!!

コブラージャ 「……これまた規格外の暗雲だ。これが “砂漠の意志” か」

『プリキュアはどこだ?』

クモジャキー 「さて、知らんな」

『そうか。まぁいい。どうせ貴様らを潰せば、勝手に出てくるだろう』

『私の本体を出すまでもない。貴様ら程度、一瞬で終わらせる』


695:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 15:55:21.29 ID:/L5OPBhq0
………………プリキュアパレス 最奥

薫子 「……さて、ふたりとも準備はいいかしら?」

リーフ 「うん……大丈夫だよ、おばあちゃん」

スターライト 「私も、大丈夫」

リーフ 「でも、最後の試練って、一体何をするの?」

薫子 「それは……内緒。だけど、今度はふたり別々に受けてもらうの」

リーフ 「えっ……? スターライトと一緒じゃないの?」

薫子 「ええ。最後の試練は、プリキュアがひとりで受けなくてはいけないのよ」

リーフ 「………………」

スターライト 「……大丈夫だ、リーフ。お前は強い」

スターライト 「私はお前を信じている。だから、お前も自分を信じろ」

リーフ 「……うん!」

薫子 「……よろしい。では、始めましょうか」

バニラ 「……ふたりとも、がんばってね!」

………………――――――


696:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 16:02:17.59 ID:/L5OPBhq0
――――――………………

リーフ 「……? あ、あれ……?」

リーフ 「いつの間に、こんなところに来たんだろ……?」

ピヨピヨピヨ……サワサワサワ……

リーフ 「うわぁ……きれいな森。空気が美味しいな」

リーフ 「……この森が、試練の場所なのかな……」

――――ガサッ……

リーフ 「!? だ、誰……!?」

?? 「……こんにちは、キュアリーフ」

?? 「いいえ。ふたば、と呼ぶべきでしょうか?」

リーフ 「えっ……う、うそ……!?」

リーフ 「ど、どうしてこんなところにいるの……?」

リーフ 「――――つぼみお姉ちゃん……」

つぼみ 「ふふ……」


698:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 16:08:55.15 ID:/L5OPBhq0
………………

スターライト 「一面、暗い白で何もない。寂しい場所だ」

スターライト 「ここで試練を受けるということなのか……」

スターライト 「………………」

ブルッ

スターライト 「……はは、手が震える。リーフにあんなえらそうなことを言っておいて、これか」

スターライト 「怖いんだな、私は。きっと、人一倍寂しがり屋なんだ」

スターライト 「会いたいよ、ふたば。会いたいよ、お姉ちゃん……」

カツ、カツ、カツ……

スターライト 「!? だ、誰だ……!?」

?? 「……こんにちは、スターライト」

?? 「ううん……すずらんちゃん」

スターライト 「なっ……ど、どうしてここに……?」

スターライト 「――――ふたば……」

ふたば 「ふふ……」


699:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 16:14:36.27 ID:/L5OPBhq0
………………明堂学園 裏

クモジャキー 「ぐっ……」

ガクッ

クモジャキー 「くそっ……!!」

『……ふむ。まぁ、よく保ったと褒めるべきか』

クモジャキー 「ふん……貴様に褒められたところで嬉しくもなんともないぜよ……」

コブラージャ 「……まぁ、これだけボロボロなんだ。そもそも褒められるいわれもないしね」

サソリーナ 「………………」 グタッ 「……もうダメ。あたしもうダメ」

クモジャキー 「情けない……と、言いたいところだが……俺ももう動けんぜよ」

コブラージャ 「美しくない……が、僕も同じく」

コブラージャ 「だが、奴の攻撃はすべてどうにか防ぎきった。それだけでも、まぁ……」

サソリーナ 「やることはやったって気分ね……」

クモジャキー 「ああ……そうだな……」 ニィ 「だから、後は任せたぜよ、プリキュア」

――――――スタッ……!!!!


703:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 16:20:47.52 ID:/L5OPBhq0
マリン 「……ありがとう、クモジャキー、コブラージャ、サソリーナ」

マリン 「安心して。あとはあたしたちがなんとかするから」

ムーンライト 「……ありがとう、花の使徒。ゆっくり休みなさい」

サンシャイン 「すごいよ。ブレスレットの力だけで、学園を守りきったんだ」

ブロッサム 「……あとは、わたしたちが……その花の意志を引き継ぎます!!」

『ふん。ようやく現れたか、プリキュア』

『しかし、ふたりほど足りないようだが?』

ムーンライト 「あなたには関係のない話よ。今ここで、おとなしく浄化されるあなたにはね」

『……やれるものならやってみろ』

ブロッサム 「……行きましょう、みんな!!」

マリン 「うん!」   サンシャイン 「はい!」   ムーンライト 「ええ!」

シプレ 「はいですぅ!!」  コフレ 「はいですっ!!」  ポプリ 「でしゅーー!!!」


             「「「「鏡よ鏡、プリキュアに力を!!!」」」」


――――――キィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!!


705:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 16:24:52.44 ID:/L5OPBhq0
『……清浄なる光が、場を埋め尽くす』

『たしかに凄まじい力だ。しかし……』


――――――――――――――――――カッッッ……!!!!!


      「「「「世界に輝く一面の花! ハートキャッチプリキュア・スーパーシルエット!!」」」」


Sブロッサム 「花よ、咲き誇れ!!」


      「「「「プリキュア・ハートキャッチオーケストラ!!!!」」」」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!!!

Sマリン 「はぁぁああああ!!!」 (これが……)

Sサンシャイン 「たぁああ!!!」 (わたしたちの……)

Sムーンライト 「はぁああああ!!!」 (全力……)

Sブロッサム 「――――たぁああああああああああああ!!!!!」 (全開です!!)


――――――――――――――ズドォォオオオオオッッッ……!!!!


706:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 16:32:06.62 ID:/L5OPBhq0
『………………』

Sブロッサム 「……どうですか? “砂漠の意志” 。これがプリキュアの力です」

『……なるほど。ハートキャッチオーケストラとは、この程度なのか』

Sマリン 「なっ……!? き、効いてないの……!?」

ザザザザザザザザザザザッッッ……!!!!

『ふむ。私の雲の防壁を破壊するくらいの力はあったようだな』

――――ズドンンンン!!!!

Sサンシャイン 「……!? なっ……!!」

Sムーンライト 「……なるほど。ようやく本当の姿を見せてくれたのね、“砂漠の意志”」

『……ああ。これが私の、本来の姿だ』

Sマリン 「砂の、巨人……サンドクラスタなんて、比べものにならないくらい、大きい……」

『まさかこれで終わりか、プリキュア? ならば私は私の “意志” を続行するが?』

Sブロッサム 「っ……まだ……まだです!!」

Sブロッサム 「みんな、やりましょう……! 最後の手段です!!」

Sブロッサム 「“砂漠の意志” 。あなたに見せてあげましょう。最強のプリキュアの姿を!!」


709:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 16:37:39.25 ID:/L5OPBhq0
………………

リーフ 「お姉ちゃん……? どうして、ここにいるの……?」

つぼみ 「……さて、どうしてでしょうね?」

ニコッ ―――――――――― ッッッッダンンンン!!!!

リーフ 「!?」

――――ザザッ……!!!!

リーフ 「い、いきなり何をするの!?」

つぼみ 「ふふ。いい反応ですね、ふたば」

リーフ 「もしかして、最後の試練も……またお姉ちゃんと戦う試練なの?」

つぼみ 「………………」

リーフ 「そ、それなら……わたし、もう一回お姉ちゃんと……」

つぼみ 「――違いますよ。何を言っているんですか、ふたば」

リーフ 「えっ……?」

つぼみ 「わたしはただ単に、あなたに絶望を知ってもらいたくて来ただけです」

リーフ 「絶望……?」


712:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 16:42:24.25 ID:/L5OPBhq0
つぼみ 「ええ」

ザッ……!!!!

リーフ 「っ……!!」 (速い……けどッ……!!!)

ダン……ダダダダンンンン……!!!!

つぼみ 「へぇ……」

――――――ズサッ……!!!!

リーフ 「……どう、お姉ちゃん。わたし、強くなったよ」

リーフ 「もう、諦めないから。弱いからって、逃げないから」

リーフ 「わたしは、わたしを信じてる。強く、なれるって」

つぼみ 「ふふ……そうですか」 ニコッ 「強くなりましたね、ふたば」

リーフ 「う……うん!!」

つぼみ 「……でも、ダメ」

リーフ 「え……?」

つぼみ 「……気づきなさい、ふたば。あなたは弱い。致命的なまでに」

――――――――――――ズドンンンンンンン!!!!!!


714:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 16:47:50.51 ID:/L5OPBhq0
リーフ 「か、はッ……!?」 (う、そ……? いつの間に、目の前に……?)

――――ザザザザザザッッッ……!!!!

リーフ 「な……なに、今の……? どうやって……?」

つぼみ 「それも分からないようでは、ダメだと言っているのです」

つぼみ 「やはり弱いですね、ふたば」 ニコッ 「あなたは弱い」

リーフ 「そ……そんなことッ……!!」 (痛いけど……でも……!!)

リーフ 「そんなこと、ないもん!!!」 (やらなくちゃ、いけない……!!)

ダッ……!!!!!

つぼみ 「………………」

リーフ 「見せてあげる! わたしの、本当の力!!」

リーフ 「最大加速!! リーフ・アクセル!!!」

                シュシュシュシュシュンンンンン………………!!!!!!

リーフ (今度は、しっかりと自分の動きを考えて、足を動かす……!!)

リーフ (動きを気取られないように。宙を舞う木の葉ように、しなやかに……!!!)

つぼみ 「………………」 クスッ 「……その程度が、なんだと言うのですか?」


715:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 16:53:21.16 ID:/L5OPBhq0
リーフ 「……!?」

――――――――――――――ヴン…………ドゴオォオオオオッッッッ……!!!!

リーフ 「っあ……!?」

ガクッ

リーフ 「う、そ……どう、して……?」

つぼみ 「……その程度で変わったつもりですか、ふたば?」

つぼみ 「それで変われたつもりだというのなら、それが間違いだと教えてあげましょう」

つぼみ 「あなたは変われない。あなたは弱いまま。友達と話すこともできない、弱い人間のまま」

リーフ 「……!」 ギリッ 「そ、そんな、こと……」

つぼみ 「ない? 本当に? 強くなったと、変われたと……あなたはそう胸を張って言えるのですか?」

リーフ 「そ……それ、は……」

つぼみ 「……認めなさい。あなたは変われない。あなたは弱いまま。あなたはわたしにはなれない」

つぼみ 「諦めなさい。そうすれば、この苦しみは終わります」

つぼみ 「弱いあなたでは、わたしにはなれない。わたしのようになりたいと願ったところで、無駄です」

リーフ 「……わたし……わたし……は……――――――」


717:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 17:09:09.39 ID:l9H60MO/0
………………

スターライト 「………………」

ふたば 「……? どうしたの、すずらんちゃん?」

スターライト 「……お前は、ふたば……だな」

ふたば 「? もちろんだよ。わたしはふたばだよ?」

スターライト (雰囲気も、何もかも……ふたばと同じ……だが……)

スターライト (違う……目の前のふたばは、ふたばじゃない……)

ふたば 「そんな怖い顔しないでよ……怖いよ……」

スターライト 「あっ……ああ、すまん……」

スターライト (しかし……ダメだ。これは、ふたばだ……)

スターライト (分からない。違うと分かるのに、ふたばじゃないと分かるのに……)

スターライト (しかし、何となく……ふたばと同じに、思えてしまう……)

ふたば 「………………」 ニコッ 「……じゃあ、行くね、すずらんちゃん」

――――――――ドッッッッ……!!!!!

スターライト 「……ッ!?」 バシッ 「ちぃ……!!」


718:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 17:10:52.41 ID:l9H60MO/0
スターライト 「ふ、ふたば……!!」 (しまった……思わず、叩いて……)

ふたば 「へぇ……やっぱり強いね、すずらんちゃんは」

ふたば 「でも、どうしてそんな声を出すの? わたしが心配だから?」

スターライト 「と……当然だ! ふたばは友達だ! 傷つけたくない!」

ふたば 「そう」 ニコッ 「じゃあ、何もしないでね?」

スターライト 「えっ……?」

                ズドンンンンンンンンン……!!!!!

スターライト 「がッ……!?」

ふたば 「うわー、律儀だね、すずらんちゃん。本当に防御も何もしないなんて」

スターライト 「だ……だって……もし、変に、ガードを、して……」

スターライト 「ふたばが、拳に怪我をしたり、したら……大変、だから……」

ふたば 「はは……そこまでしてもらえるって、すごいことだね」

スターライト 「ふたばは、わたしの……大切な、友達だから……」

スターライト 「初めての、友達、だから……わたしに、全てをくれた、から……」

スターライト 「だから、傷つけるような、ことは……できないよ……」


719:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 17:16:46.27 ID:l9H60MO/0
ふたば 「そう。でも、これからあなたにはわたしと戦ってもらうから、」

ふたば 「そのままじゃ、一方的にやられちゃうよ?」

スターライト 「……ふたばと、戦うくらいなら、それでいい」

ふたば 「……そう」

――――ズドン!!!

スターライト 「ぐ、は……ッ!?」

ふたば 「じゃあ、これで終わりだよ。ここで、おしまい」

ふたば 「すずらんちゃん。あなたはここでリタイア。さようならだね」

    ――――ッッッドンンン!!!!

スターライト 「ごッ……!?」

ふたば 「攻撃もしない。防御もしない。万が一にもわたしを傷つけないため」

ふたば 「ならそのまま、ここで終わるといいよ」

スターライト 「………………」

ふたば 「……あなたは変わることができなかった」

ふたば 「だから、ここで……そのまま、消えていくといい」


721:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 17:21:06.84 ID:l9H60MO/0
スターライト 「変われ、なかった……?」

ふたば 「うん。うじうじとして、ただ暗闇に想いを委ねていた頃と同じ」

ふたば 「ダークプリキュアと同じだよ。何も変わってない」

ふたば 「だから、さようなら、すずらんちゃん」

スターライト (私は、そうだ……きっと、変われなかった)

スターライト (ダークプリキュアであった頃と同じ。何も、変わってない……)

スターライト (だから、そう……ふたばを傷つけるくらいなら……)

スターライト (このまま、ここで消え去った方が……)

スターライト (優しい希望の光……私は、なれなかった……)

スターライト (……でも、いい。友達を傷つけてまで、私は……)

スターライト (私は……)

ふたば 「……さようなら、すずらんちゃん」

――――――――ブゥンンンンンンン!!!!

スターライト 「私……私、は……――――――」


723:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 17:23:54.27 ID:l9H60MO/0
………………明堂学園 裏

Sブロッサム 「――――今ここに、全ての想いを込めて!!」

Sマリン 「あたしたち全部の気持ち……受け取りなさい!!」

Sサンシャイン 「その光が、あなたの心の闇を、きっと照らしてみせる!!」

Sムーンライト 「……そして、あなたの心を満たす!!」

――――――キィィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!!!

シプレ 「みんな、行くですぅうううううう!!!」

コフレ 「ハートキャッチミラージュ! 僕たちに……」

ポプリ 「無限の愛と、無限の力を……くだしゃい!!!」

『……これが、プリキュアの、本当の力……』

              パァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア……!!!!!

――――――カッッッ!!!!

           「「「「「「「宇宙に咲く大輪の花!!」」」」」」」

           「「「「「「「無限の力と無限の愛を持つ星の瞳のプリキュア!」」」」」」」

           「「「「「「「ハートキャッチプリキュア・無限シルエット!!!」」」」」」」


724:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 17:26:27.68 ID:l9H60MO/0
パァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア……!!!!!

「………………」

『……恐ろしいまでの光の力だ……地球全土を花で埋め尽くすとは』

「……怖いですか、この光が?」

『……ああ、怖いさ』

『この光が……こんな温かい心の光が、私のような砂漠を生み出すんだ』

『人々の生活が豊かになれば、笑顔が増える。しかしそれによって、闇もまた生まれる』

『それなのに、人々は砂漠が悪いと……私を糾弾する』

『地球に遥か昔からある砂漠を悪者にし、砂漠がなければいいと……声高に叫ぶ』

「………………」

『分かるか、プリキュア。この温かい光を生み出す人間の心が、私を苦しめるのだ』

「……でも、あなたは心も育んでいる。厳しい環境の中で、人々の心を守っている」

『……ああ、そうだ。思い出したよ。私は、そう……』

『砂漠に住まう人々を……神として、砂漠そのものとして……彼らを見守ってきた』

『……けれど彼らはどんどん私を捨て、街へと消えていった』


725:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 17:32:58.24 ID:l9H60MO/0
『……だから私は憎い……!! 砂漠から人を奪う、人々の心が……豊かさが……!!』

「……寂しかったんですね、“砂漠の意志” 。あなたは、寂しいだけだったんだ」

「でも、世界全てを砂漠にして、人々のこころの花を枯らしてしまったら……」

「もっと寂しくなるだけですよ?」

『それでも、私は……!!』

「……そうですか。なら……」 ニコッ 「あなたが憎しみで戦うのなら、わたしたちは愛で戦います」

ギュッ

『……ッ!!』


             「プリキュア・拳パンチ!!!!」


『………………』

「………………」

『……満ちる、ものか』

「……!?」

『この心が、満ちるものか。もっと……愛が、ほしい……!!』


726:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 17:36:21.32 ID:l9H60MO/0
――――――ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!!

「き……きゃあああああああああああああああああああああああ!!!!」

『砂漠が広がるのだって、私のせいではないのに……皆、私を恐れる……!!』

『もうひとりぼっちは嫌なんだ!!!!』

『悪口を言われるのも嫌だ!!!』

『怖い!! みんなが、砂漠を嫌いになる……!! 怖い……怖い……怖い!!!』


――――――ゴォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!


「な……なんて、強大な……闇の力……」

「これが、寂しさ……宇宙を巡り続けた砂漠の使徒と、“砂漠の意志” の……」

「……積もりつもった、寂しさと、悲しさと……憎しみの……」

(ダメ……もう……)

―――――――――――――――――パリィ……

つぼみ 「……きゃっ!!」

えりか 「う……うそ!? 変身が、解除されちゃったの……!?」


727:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 17:38:51.81 ID:l9H60MO/0
『……やはり、無駄だったな、プリキュア』

『お前たちの力程度では、私を止めること叶わん』

いつき 「僕たちの力じゃ…… “砂漠” の寂しさを埋められないっていうのか……」

ゆり 「そんな……」

シプレ 「うぅ……」

コフレ 「僕たちも、もう……限界ですっ……」

ポプリ 「いちゅきぃ……」

『……ありがとう、プリキュア。だが、ダメだったな』

『私はやはり、この寂しさと憎しみによる “意志” を、実行しなければならないようだ』

『この世界を終わらせる。私ひとりが寂しい世界は、もう終わらせる』

つぼみ 「そ、そんな……!」

『……さようならだ、人類、地球……さようなら、こころの大樹……』

ゴゴゴゴゴゴゴ…………――――――

                ―――――― 「「プリキュア・メープルインパクト!!!」」

ズドンンンン……!!!!!!


728:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 17:43:42.49 ID:l9H60MO/0
『なに……ッ!?』

つぼみ 「えっ……?」

ゆり 「……まさか、そんな」

バニラ 「……超特急で駆けつけて正解だったよ」

――――――スタッ……

?1 「ふふ……大丈夫? お姉ちゃんたち」

?2 「……危ないところだった。間に合ってよかった」

つぼみ 「まさか、こんなに頼もしく見えるなんて……」 ニコッ 「ふたば」

ゆり 「これじゃ、どっちがお姉ちゃんか分からないわね」 クスッ 「すずらん」

?1 「えっ? 違うよ! まったくもう……!!」

?2 「しょうがないお姉ちゃんたちだ。仕方がない。名乗ろう」

?1 「うん!!」

        「深緑に舞う一輪の花!! キュアリーフ!!」

        「闇夜に煌めく一輪の花!! キュアスターライト!!」

リーフ&スターライト 「「ハートキャッチ・プリキュア!!!」」


729:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 17:51:58.55 ID:/L5OPBhq0
………………数分前

リーフ 「わたしは……」

つぼみ 「……? どうかしましたか?」

リーフ 「………………」 ニコッ

つぼみ 「……なんだというのです?」

リーフ 「分かったんだ。わたしは、そっか……」

リーフ 「……そうだよ。わたしは……変われるんだよ」

つぼみ 「………………」

リーフ 「わたしは、お姉ちゃんみたいになりたい。でも、そう……」

リーフ 「……あなたの言うとおり、わたしは、お姉ちゃんにはなれない」

つぼみ 「……その通りです。だから、あなたに変わることなんて――――」

リーフ 「――――できるよ。わたしは、お姉ちゃんにはなれないかもしれないけど、」

リーフ 「お姉ちゃんに憧れて、お姉ちゃんみたいになりたくて……」

リーフ 「それで、わたしとして変わっていくことは、できるんだよ」

つぼみ 「………………」


731:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 17:56:09.24 ID:/L5OPBhq0
リーフ 「わたしは変わっていくよ。一気には無理だろうけど、それでも」

リーフ 「段々と、少しずつ、変わっていく」

リーフ 「お姉ちゃんのような素敵な女の人になるために、がんばる」

リーフ 「……でも、わたしはお姉ちゃんになるわけじゃない」

リーフ 「わたしはわたし。花咲ふたばとして、キュアリーフとして」

リーフ 「わたしは、わたしとして変わっていく」

リーフ 「ただ、それだけのことだよ」

つぼみ 「………………」

リーフ 「……だから、お姉ちゃん」

ニコッ

リーフ 「これからも、わたしの憧れていてね。わたしの、目指す先にいてね」

リーフ 「いつか、わたしはわたしとして……お姉ちゃんに追いついてみせるから」

つぼみ 「………………」 ニコッ 「……分かりました。強くなりましたね、ふたば」

つぼみ 「……いえ、キュアリーフ」

リーフ 「……うん!!」


733:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 17:59:03.38 ID:/L5OPBhq0
………………

スターライト 「……そう、だったな」 ガッ……!!

ふたば (……? 防御した……?) 「……どうかしたの?」

スターライト 「いや、思い出したんだ……ふたばのことを」

ふたば 「わたしのこと?」

―――― 『泣いている人を癒してあげたい。苦しんでいる人を助けてあげたい。だから、わたしは……』

―――― 『……痛くても、恐くても……立ち上がる。絶対に』

スターライト 「ああ。ふたばは……お前は、逃げなかったんだ」

ふたば 「………………」

スターライト 「私を想って、私のために戦ってくれた。私に拳を向けてくれた」

スターライト 「ダークプリキュアに堕ちた私を、救うために、戦ってくれた」

スターライト 「それはとても辛いことなんだ。友達に拳を向けることは、とても辛いんだ」

スターライト 「それでも、ふたばは……キュアリーフは、逃げることなくやってくれた」

スターライト 「私のために、辛くても私と戦ってくれたんだ」

ザッ……!!!!


734:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 18:03:10.64 ID:/L5OPBhq0
スターライト 「……だから、私も逃げない。私は……たとえ、辛くても、怖くても……」

スターライト 「それが正しい行いなら、友達に拳を向けることになろうと、戦う」

――――ッッッッッドッッ……!!!!

ふたば 「ッ……!」 ギリッ 「友達を傷つける先にあるのが、あなたの言う光だというの!?」

スターライト 「そうじゃない。この試練を終えた先に、世界を救う鍵があるのなら、」

スターライト 「ただそのために……ふたばと、ふたばが愛する世界のために……」

スターライト 「……相手がふたばだったとしても、戦うというだけのことだ!!」

――――――ズドンンンンンンンン!!!!

ふたば 「………………」 ニコッ 「……うん。友達を傷つけることになっても、友達を助けたい」

ふたば 「その想い、たしかに受け取ったよ。すずらんちゃん……ううん、キュアスターライト」

ふたば 「あなたはもう、闇に支配されているわけでも、その闇を恐れているわけでもない」

ふたば 「……あなたは変われたんだね、キュアスターライト」

スターライト 「……うん。きっと、そう」

スターライト 「私は、人を傷つける怖さを知り、人を本当に想う気持ちも知った」

スターライト 「ふたばや、みんなのおかげで……私は変わることができたんだ」


735:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 18:07:17.28 ID:/L5OPBhq0
………………

つぼみ 「キュアリーフ……」

ゆり 「……キュアスターライト」

えりか 「……はいはい。お姉ちゃんたちの感動もそこまでそこまで」

いつき 「僕らも妹だから、その感動は分からなくもないけど、」

コフレ 「今は、ふたりの成長を感動してる場合じゃないですっ」

シプレ 「みんなで力を合わせて、」

ポプリ 「……今度こそ、“砂漠の意志” の寂しい気持ちを!!」

バニラ 「癒してあげるんだ!」

スターライト 「そして、この星を……」

リーフ 「……この星に住まう全てのひとの弱ったこころの花を……満たす!!」

――――――パァァアアアアアアアアアアアアアア……………………

ブロッサム 「……さぁ、行きましょう、次代を担う、新たなプリキュア」

リーフ 「えっ……?」

ムーンライト 「次の時代を作るのはあなたたちよ。さぁ、私たちを引っ張って」


736:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 18:11:58.38 ID:/L5OPBhq0
スターライト 「……分かった。やろう、みんな!!」

マリン 「よっしゃ!! 行くよ、サンシャイン!!」

サンシャイン 「はは、懐かしいねマリン! あの決戦のときも、わたしたちは一緒だったよね!」

マリン&サンシャイン 「「海と太陽の力よ! 今、ひとつに!!」」

マリン&サンシャイン 「「プリキュア・サンライズインパクト!!!」」

『ぐッ……!?』

リーフ 「行くよ!! お姉ちゃん……ううん、キュアブロッサム!!」

ブロッサム 「はい、キュアリーフ!!」

リーフ&ブロッサム 「「木の葉と花の力よ! 今、ひとつに!!」」

リーフ&ブロッサム 「「プリキュア・リースインパクト!!」

『がッ……!!』

スターライト 「やろう、キュアムーンライト!!」

ムーンライト 「ええ!! キュアスターライト!」

スターライト&ムーンライト 「「星光と月光の力よ! 今、ひとつに!!」」

スターライト&ムーンライト 「「プリキュア・サテライトインパクト!!」」


737:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 18:14:27.27 ID:/L5OPBhq0
『ぐっ……強い……そして、温かい……しかし……!!』

『私はまだ……まだ……この心は……!!』

『寂しい……怖い……傷つきたくない……傷つけたくない……嫌われたくない……』

リーフ 「……分かるよ、その気持ち。わたしも同じだから」

リーフ 「人を傷つけるのが怖い。人に嫌われるのが怖い」

リーフ 「だから、何も言えない。ひとりで、黙って……だだ、過ごす……」

リーフ 「……それって、すごく寂しいよね。怖いよね。分かるよ」

リーフ 「けど、自分から何かをしなきゃ変われないんだよ」

スターライト 「闇に溺れる自分が怖い。だから、何もできない」

スターライト 「何かをしたら、それが悪いことになるんじゃないかって、そう思ってしまう」

スターライト 「自分が悪者で、自分が悪いことしかしなければ……どんなに楽かって」

スターライト 「……でも、勇気を出して」

スターライト 「何かをして、それが必ずしもいいことになるかなんて誰にも分からない」

スターライト 「けど、何もしないで溜め込むよりずっといいから」

スターライト 「いいことをしようと思ったその気持ちだけは、きっと誰かに伝わるよ」


739:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 18:16:34.23 ID:/L5OPBhq0
『私は……変わってもいいのか……?』

『こんなにたくさん、悪いことをした……』

『しかし、今からでも……』

リーフ 「変われるよ。一緒に、変わっていこう」

スターライト 「そのための力が……温かさが必要なら、私たちが手伝ってあげるから」

リーフ 「こころの大樹よ……人々のこころの花よ……今、ここに……」

スターライト 「砂漠を救うための、力を……貸してください……!!」

        パァァアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!

バニラ 「……すごい光だ。これが、僕の生み出した……プリキュアの光」

バニラ 「僕は……やれたんだよね……」

シプレ 「……さぁ、みんなも、リーフとスターライトに力を貸すですぅ!!」

コフレ 「僕らの力を、いま、ひとつに!!!」

ポプリ 「プリキュアの力、妖精の力……そのすべてを、受け取ってでしゅ!!」

――――――――――――カッッッッ……!!!!!


740:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 18:19:09.96 ID:/L5OPBhq0
           「「「「「「「「「「希望に生まれる大輪の花!!」」」」」」」」」」

           「「「「「「「「「「奇跡の力と奇跡の愛を持つ希望のプリキュア!」」」」」」」」」」

           「「「「「「「「「「ハートキャッチプリキュア・奇跡シルエット!!!」」」」」」」」」」


………………――――――………………タッ……


「………………」

『………………』

『……一緒に、変わっていく』

『私は……また……』

「……待っています、あなたを。砂漠に住まう、皆さんが」

『私を、求めてくれる人が……いるのか……』

「そんなの当たり前っしゅ!」

「……あなたは、自らで心を照らすだけの強さを持っています」

「だから、今一度……やり直しましょう。私たちも、協力するわ」


741:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 18:21:24.41 ID:l9H60MO/0
『……ああ。心が、光で……温かい何かで、満たされていく』

『そうか……そうだな。私にも、心がある……』

『……私は、もう一度……』

「……やり直そう。わたしたちも応援している」

「一緒に、がんばるでしゅ!」

「そうですっ! こころの大樹だって、きっと!」

「あなたが変わっていくことを望んでいるですぅ!」

『ああ……』

「……みんなの心も、きっと変わるよ。砂漠を否定するだけじゃなくなるはずだよ」

「私も、お前と同じだった。だけど、変わることができた」

「だから今度こそわたしたちと一緒に……」

『……ありがとう。プリキュア、そして、妖精たちよ……』

「………はい。また、会いましょう」


                   「――――――プリキュア・奇跡パンチ――――――」

…………………………――――――――――


742:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 18:22:33.39 ID:l9H60MO/0
――――――――――…………………………

………………

ふたば 「………………」

ドキドキドキドキ……

つぼみ 「………………」 クスッ 「……ふたば、顔が怖いですよ?」

ふたば 「えっ……? ほ、本当? お姉ちゃん」

つぼみ 「ほーら……」 グニグニ 「こうすれば、笑顔です」

ふたば 「あうぅ……もう、お姉ちゃんったら」

つぼみ 「ふふふ……」 (……あれから、一月が経ちました)

つぼみ (“砂漠の意志” は消え……おそらく、砂漠に戻ったのでしょう)

つぼみ (世界の砂漠化は収束し、世界は元の姿を取り戻しました)

つぼみ (突然いなくなったせいで、ふたばはお父さんとお母さんに大目玉を食らっていましたけど……)

つぼみ (そして……) 「……ほら、ふたば。そろそろ時間ですよ?」

ふたば 「あ……う、うん……!」


743:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 18:25:49.44 ID:l9H60MO/0
………………十字路

? 「あっ……ふ、ふたば……!!」

ふたば 「あ……! すずらんちゃん!!」

タタタタ……ギュッ

すずらん 「よ、良かった……もしふたばが来てくれなかったらって……」

ふたば 「そ、そんな……心配しすぎだよすずらんちゃん。おはよ」

すずらん 「……! そうだ……まずは挨拶だったな。おはよう、ふたば」

すずらん 「それから、おはようございます、つぼみお姉ちゃん」

つぼみ 「はい、おはようございます」

ふたば 「ゆりお姉ちゃんと、春菜おばさんも、おはよう!」

ゆり 「ええ、おはよう、ふたば」

春菜 「ふふ、おはよう、ふたばちゃん」

つぼみ 「……ゆりと春菜さん……家までだって約束だったのに」

ゆり 「そう言うあなたもついてきてるじゃないの、つぼみ」

春菜 「……やっぱり心配で心配で……」


745:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 18:28:08.82 ID:l9H60MO/0
ふたば 「みんな心配性だよ……」 プンプン 「入学式は昨日だよ? もう自分たちで登校できるよ!」

すずらん 「本当にもう……!」 プンスカー

(((さっきまで不安で震えてたのは誰よ……)))

ふたば 「じゃ、もう行くね! いってきます、お姉ちゃん!」

すずらん 「もうついてこなくていいからね!! いってきます! お母さん! お姉ちゃん!」

ギュッ!!!      タタタタタタ………………

つぼみ 「……行っちゃいましたね」

春菜 「大丈夫かしら……すずらんちゃん、車に轢かれたりしないかしら……」 オロオロ

つぼみ 「えっ……!?」

ゆり 「……私の時も大概心配性だったけど、ここまでとはね」

つぼみ 「ははは……」 (……そう。そして、ふたばは小学校に無事入学しました)

つぼみ (月影すずらんちゃんという、新しい友達と一緒に)

つぼみ (すずらんちゃんは、月影家の娘……ゆりの妹ということで落ち着きました)

つぼみ (ゆりは春菜さんに全てを話し、春菜さんはそれを納得してくれたそうです)

つぼみ (ふたばとすずらんちゃん。ふたり一緒に、ドキドキの小学校生活スタートです)


748:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 18:31:00.43 ID:/L5OPBhq0
えりか 「まったく……一応様子を見に来てみれば……ダメな姉ズだねぇ……」

いつき 「よく言うよ。えりかもふたりが大丈夫か心配してたじゃないか」

えりか 「なっ、何をう!? そう言ういつきだって心配してたじゃんかー!!」

つぼみ 「……えりかにいつきまで……心配しすぎです」

えりか&いつき 「「つぼみにだけは言われたくないよ!!」」

ゆり 「まったくね」

つぼみ&えりか&いつき 「「「ゆりにもね!!」」」

ゆり 「そ、そうかしら……?」

春菜 「……私も改めないとね。明日からは家で送り出す……決めたわ」

つぼみ (実行できるといいですけど……)

春菜 「やっぱり花咲さんのご両親はしっかりしていらっしゃるわね……」

つぼみ 「……いえ、お恥ずかしいお話ですが……」 チラッ

みずき (ふたば……!) 陽一 (がんばるんだぞ……!!) 薫子 「あなたたちねぇ……」

つぼみ 「……とまぁ、物陰から見守っていたりで……」

えりか 「あちゃー……」


750:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 18:31:27.47 ID:/L5OPBhq0
えりか 「あ、そうだ! それより、早くあたしの家に行こうよ!」

えりか 「なみなみと番くんの結婚式に着ていくパーティドレス、作るんでしょ!?」

つぼみ 「あ……そうでした! 春休み中に仕上げないと!!」

えりか 「花嫁のウェディングドレスに負けないくらい素敵なの作らなきゃね!」

いつき 「いやそんなに自己主張が激しいのはダメだよ! あくまで楚々とね!」

ゆり 「……私もお呼ばれしてしまったのだけど、いいのかしら?」

えりか 「なに言ってるのさー! ゆりにはわたしと一緒に披露宴の司会やってもらうんだかんね!」

ゆり 「!? そんなこと聞いてないわよ!?」

つぼみ 「……想像してみてくださいよ、ゆり。ひとりで司会をやるえりかの姿を……」

ゆり 「………………」 グッ 「……私がサポートする他なさそうね」

いつき 「うんうん。それでこそゆりだよ」   つぼみ 「とっても頼もしいです!」

えりか 「あ、言っておくけど、いつきとつぼみはスピーチだからね」

いつき&つぼみ 「「えっ!?」」

えりか 「………………」 テヘッ 「がんばってね、みんなっ」

つぼみ&いつき&ゆり 「「「えりかーーーーーーーーーーーーーーーーっっっ!!!」」」


751:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 18:32:00.25 ID:/L5OPBhq0
つぼみ (……人々の豊かな心が、豊かな生活を望み、そして環境を破壊する)

つぼみ (けれど、今回のことで、人々の心はきっと、少しだけ変化しました)

つぼみ (砂漠を悪者にするのではなく、豊かな生活を否定するのでもなく……)

つぼみ (みんなで一緒に変わっていこうとする……そんな心に……)

つぼみ (だから、わたしも……一緒に変わっていきます)

つぼみ (がんばって勉強して……そして、いつか……)

つぼみ (砂漠を、宇宙を、もっと豊かにしてみせます!)

………………――――――

タタタタ……

ふたば 「……ねぇ、すずらんちゃん!!」

すずらん 「なに、ふたば?」

ふたば 「へへー」 ニコッ 「これから一緒にたくさん友達つくって、一緒に……たくさん遊ぼうね!!」

すずらん 「………………」 ギュッ 「……うん!!!」


  ハートキャッチプリキュア ~帰ってきた希望の花! 新たなプリキュア誕生です!~

                               おわり


754:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 18:34:14.66 ID:/L5OPBhq0
以上です。
書き上げてからの投下でした。

見てくれた方ありがとうございました。


767:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 19:24:42.40 ID:50bAxKFP0
マジで乙なのぜ!
最高に面白かったぜ!


768:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/01(日) 19:28:18.67 ID:4Y7tgNW20
いやいやおもしろかった!
ほんとお疲れさま!





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