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魔法使い「魔力とはカロリーと見つけたり」
- 1 : ◆CItYBDS.l2 2017/05/05(金) 20:03:38.16 ID:App4Bbluo
-
勇者「・・・ん?」
戦士「何言ってんだこいつ」
僧侶「どうしたの?お腹すいたの魔法使い?」
魔法使い「いや、そうではない」
魔法使い「魔王討伐のさなか、私は一つの答えを見つけたのだ」
勇者「ほう・・・?」
戦士「何言ってんだこいつ」
僧侶「答え?具体的に何を見つけたの?」
魔法使い「僧侶、あなたの回復魔法。最近、回復力が落ちてない?」
僧侶「む・・・たしかに」
- 2 : ◆CItYBDS.l2 2017/05/05(金) 20:04:04.98 ID:App4Bbluo
-
戦士「そういえば、旅に出初めのころは腕を落とされても簡単に直してたよな」
勇者「最近では、かろうじて繋がっても痛みが3日は続くな・・・」
魔法使い「そう、それは魔翌力が落ちたから」
魔法使い「私も同じ、魔法の威力がガタ落ち」
僧侶「そうなんですかね・・・?」
魔法使い「勇者、魔法のお勉強。魔法とは何?」
勇者「おおう!突然だな」
勇者「えっと、呪文の詠唱によって神の力を現出する手法、だったよな」
魔法使い「そう、では魔翌力とは?」
勇者「神の力を現世に呼び出すための対価、魔法の行使者の信仰の度合いを数値化したもの」
魔法使い「というのが、通説」 - 3 : ◆CItYBDS.l2 2017/05/05(金) 20:04:30.48 ID:App4Bbluo
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戦士「じゃあ、違うっていうのか?」
魔法使い「僧侶は毎朝、神への祈りを捧げている」
魔法使い「祈りに捧げる時間も無駄に長い」
魔法使い「信仰心が落ちてるとは思えない」
魔法使い「それに、そもそも無神論者の私が魔法を使えているのがおかしい」
僧侶「たしかに・・・」
魔法使い「そこで考えた。旅の中、私や僧侶におこった変化」
戦士「そういえば、お前ら痩せたなあ」
勇者「そうそう、初めて会ったときは正直で・・・・ふ、ふくよかだったよなあ・・・」
僧侶「そ!そんなことありませんよ!確かに、毎日の行軍で少し細くなったけど・・・」
僧侶「王国の魔法使いは、みんなあんなもんですよ!」
魔法使い「それ」
魔法使い「私や僧侶が失ったもの、それは脂肪」 - 4 : ◆CItYBDS.l2 2017/05/05(金) 20:04:56.69 ID:App4Bbluo
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勇者「脂肪が魔翌力の源だってことか?」
魔法使い「そう」
戦士「確かに、お前ら尋常じゃないスピードで痩せていったもんなあ」
僧侶「戦士さん!デリカシーがなさすぎます!」
魔法使い「勇者、私の仮説を証明したい」
勇者「どうやって?」
魔法使い「次の村で、たらふく食べさせて」
勇者「お、お財布次第です」
戦士「でも、魔法使いの言うことが本当なら戦闘がかなり楽になるぜ」
勇者「ぐ・・・」
僧侶「あぁ・・・そういえば最近、ろくに食べてませんねえ・・・」 - 5 : ◆CItYBDS.l2 2017/05/05(金) 20:05:22.70 ID:App4Bbluo
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魔法使い「肉・・・エール・・・・チーズ・・・」
勇者「もう!わかったよ!物は試しだ!やってみよう」
魔法使い「わーい」
勇者「・・・ただ食い意地が張ってるだけじゃないよな・・・」 - 8 : ◆CItYBDS.l2 2017/05/05(金) 21:27:54.18 ID:App4Bbluo
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砂漠の村
魔法使い「」でぶーん
僧侶「」でぶーん
勇者「」
戦士「ありえねえ・・・どうやったら、あの量の肉が胃袋に収まるんだ・・・」
魔法使い「検証はこれから」
僧侶「ほうでふね」
戦士「お。さっそく魔物のご登場だ」
魔物「がおー」
魔法使い「ほんにゃらほにゃほにゃ」
勇者「なにそれ!?呪文!?」 - 9 : ◆CItYBDS.l2 2017/05/05(金) 21:28:19.42 ID:App4Bbluo
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僧侶「ほお、超極大魔法まで使うとは・・・さすが魔法使いはん」
戦士「おい!囲まれてるぞ!」
勇者「やばい!僧侶も魔法使いも太りすぎて碌に動けない!守るぞ!」
僧侶「ふとってないでふ!」ぷんぷん
魔法使い「ほんにゃらほららら!ほららああああ!」
魔物「ぐあああああああああ!」
勇者「やった!」
戦士「ああ・・・なんて威力だ・・・」
僧侶「・・・」ごくり
魔法使い「ふう・・・」
戦士「あ、めっちゃ痩せてる!」 - 10 : ◆CItYBDS.l2 2017/05/05(金) 21:28:45.36 ID:App4Bbluo
-
魔法使い「私の仮説は正しかった・・・」
勇者「いや・・・でもさあ・・・問題ありまくりじゃない?」
僧侶「なんでふか・・・?」
勇者「まずさ、二人のおかげで財布がすっからかんな件」
魔法使い「善処して」
勇者「・・・それにさ、道中どうするの?見てよあの僧侶の姿」
僧侶「なんれふかー!!」ぷんぷん
戦士「まともに旅できる姿じゃあねえな・・・」
戦士「ましてや戦闘じゃ、動きが鈍くて魔物からしたら良いまとだ」
魔法使い「ならば、鍛えて」
魔法使い「私は動けるデブになってみせる」 - 11 : ◆CItYBDS.l2 2017/05/05(金) 21:29:49.35 ID:App4Bbluo
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戦士「へえ・・・あの体重で体術使えたら魔法なしでも戦力になるかもな」
勇者「てかさ、せっかく街で脂肪を蓄えても。旅で歩いてたら痩せちゃうんじゃねえの?」
魔法使い「人間の体は非常に効率がいい。さっきみたいな極大魔法を使わなければ」
魔法使い「そうそう痩せることはないだろう」
戦士「・・・なんとかなりそうじゃねえ?勇者」
勇者「たしかに・・・財布は厳しいがメリットもでかいな」
僧侶「じゃあこのままいきまひょー!」
戦士「だまれでぶ」 - 15 : ◆CItYBDS.l2 2017/05/05(金) 23:07:40.12 ID:App4Bbluo
- 魔王城
煙草の煙を吐き出す
蜘蛛の糸のように脈絡も道筋も因果も関係なく
かつては罪人を救うために降ろされた糸が天へと昇っていく
煙はやがて見えなくなる
その曇天の空へと
わずかな光のみに通ることを許した雲へ同化し
この俺の認識すら超えて
はかなく消える
「できあがったな・・・」
勇者は独りごちる
口の端から口内に残っていた煙が立ち上り
そして消えた
戦士の指導に彼女は一言も泣き言を洩らさなかった
本能的に知っているのだ
その泣き言が、自身の弱さと成りうることを
「動けるデブに成ってみせる」
そう宣言した自身の言葉の重さを
数多の魔物を屠り
数多の血を啜った、その両手に
既に魔法は不要であった - 17 : ◆CItYBDS.l2 2017/05/14(日) 12:48:48.02 ID:ZG8H8TbUo
-
魔王「よくぞここまで、たどりついたな」ぶふー
戦士「すげえ!でぶ!」
勇者「流石、魔の王!なんて莫大な脂肪を!否、魔力を纏っているんだ!」
僧侶「ああは、なりたくないでふ」ぶひー
魔法使い「私の仮説が更に裏付けられた」
魔王「・・・さっさとかかってこい」
戦士「よし!まずは俺から行くぜ!」
勇者「ああ、頼む!」
戦士「いくぞおおおお!くらええええ火炎斬り!」
魔王「防御魔法」ぴかー
戦士「ぐあああああ!かてえええ!」 - 18 : ◆CItYBDS.l2 2017/05/14(日) 12:49:13.56 ID:ZG8H8TbUo
-
勇者「なんだと!詠唱を省略しやがった!」
魔法使い「あの巨体なら、戦士のスピードに対応できないと思ったが・・・・」
勇者「なんてことだ・・・魔法の発動速度をあげることで、巨体のデメリットを消したのか!」
勇者「やはり、魔法に対抗するには魔法しかない・・・」
僧侶「でも、あんな速さで魔法を打たれたら、打つ手がないでふ・・・」
魔法使い「いや・・・私なら・・・あるいは・・・」
魔法使い「勇者、次は私が行こう・・・」
勇者「たのむ!」
魔法使いもまた、魔王に劣らぬ巨体であった
だが、その見た目とは裏腹に足取りは軽い
魔王「つぎは、貴様か」
魔法使い「よろしく頼む」 - 19 : ◆CItYBDS.l2 2017/05/14(日) 12:49:39.08 ID:ZG8H8TbUo
-
両者の視線が交差する
魔法使いは、低く低く前傾姿勢を構える
倒れこまぬよう左手を床につき
ふくらはぎが、まるでバネのように圧縮される
戦士「全体重を、魔王にぶつける気だ・・・」
対する魔王もまた、同様の構え
ただし、上体を少し起こしている
全てを受け止める覚悟が見て取れる
静寂
両者がタイミングを図る
不意に勇者が左手を上げ
振り下ろした!
勇者「のこったのこったあ!!!」
猛然と走る魔法使い
尋常ならざる速度
戦士「魔法で筋力を上乗せしてるんだ!いつのまに詠唱していたんだ!」 - 20 : ◆CItYBDS.l2 2017/05/14(日) 12:50:33.26 ID:ZG8H8TbUo
-
巨大な肉塊がぶつかる破裂音
その音が、衝撃のすさまじさを語っている
魔法使い「ぬおおおおおおおお!」
魔王「ぐおおおおおお!」
一歩も引かぬ両者
僧侶「このままじゃ魔法使いさんが負けちゃう!」
戦士「なぜだ!?力は均衡しているように見えるが!」
勇者「魔王には魔法を使っている様子はない・・・対して魔力を使っている魔法使い・・・」
戦士「そうか!このままじゃ魔法使いの巨体は縮んでしまう!」
みるみる、体が縮んでいく魔法使い
だが、その闘志は未だ衰えず
むしろ研ぎ澄まされていく - 21 : ◆CItYBDS.l2 2017/05/14(日) 12:50:59.44 ID:ZG8H8TbUo
-
魔法使いの右手が動く
その巨体ゆえに、届かなかった右手が
腹とともに、魔王までの距離が縮んだことで
魔王の腰帯をとらえた
勇者「うまい!まわしをとったぞ!」
瞬間、魔法使いの体が左足を軸に回った
浮かび上がる魔王の巨体
踏ん張るものをなくしたそれが、地面にたたきつけられた
勇者「決まり手!上手投げ!」 - 24 : ◆CItYBDS.l2 2017/05/22(月) 13:31:43.24 ID:sKUEa8E3o
- 後の世の相撲である。(民名書房 すもうのれきし より)
おわれ - 27 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/22(月) 14:32:32.73 ID:srHMb9qK0
- わろた
- 29 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/05/22(月) 19:03:28.88 ID:3bHBsYwhO
- いつの間にか終わっちまったぞ!

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