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伊吹翼がアイドルになれたワケ
- 1 : ◆KakafR9KkQ 2017/08/14(月) 18:30:47.78 ID:+B7wJAsK0
- ※独自解釈です。
- 2 : ◆KakafR9KkQ 2017/08/14(月) 18:32:56.49 ID:+B7wJAsK0
- 『その金髪、染めてるんですか?』
そう聞かれることは沢山ある。 昔からずっとアイドルになった今でも
昔は聞かれるだけで嫌な質問だったけど、最近のわたしは決まってこう答えてる。
「はい、染めてます! 美希先輩に憧れてこの髪色にしたんですよー!」
だけどこれはウソ、わたしの金髪は正真正銘の地毛 生まれてから14年ずっとわたしはこの金髪と付き合ってきた。
本当にちっちゃい頃はこの金髪の意味がわからなくて、お姉ちゃんとかお兄ちゃんが可愛がってくれるのを素直に喜んでいたけど、すぐに『違和感』に気付いた。
- 3 : ◆KakafR9KkQ 2017/08/14(月) 18:33:39.94 ID:+B7wJAsK0
- 周りの同年代の子、それにお父さんもお母さんも、お姉ちゃんもお兄ちゃんもみんなみんなみんな黒髪なのにわたしただ一人だけ金髪だってことに
『隔世遺伝』? って言うらしくて、未だによくわからないけど、わたしの髪の毛は『ヘン』だってことはちっちゃいわたしでもわかった。
小学校に入ればみんなわたしの髪の毛を見てきて、綺麗だって誉めてくれる子も居たけど、それ以上にわたしは『ヘン』な目で見られた。
授業参観の日なんてもう最悪、みんなわたしのお父さんとお母さんの髪の毛とわたしの髪の毛を交互に見るんだもん
多分みんな心の中で『あの子は本当の子どもじゃないんじゃないか』って思ってるんじゃないかな、きっとそう
『ヘン』なんだよね、この髪の毛は…… - 4 : ◆KakafR9KkQ 2017/08/14(月) 18:36:26.13 ID:+B7wJAsK0
- 小学校中学年になったころにはわたしはすっかり暗くなっちゃって、嫌いな髪の毛はお姉ちゃんの反対を押しきってバッサリ、ちなみにこのトラウマは根強く残っていて、わたしは今でも髪を伸ばすのに抵抗がある。
人に自分の髪の毛を見られたくない、って意識してもこの金髪は誰よりも強く強く主張して
黒く染めたいって両親にも言ったけど、わたしの髪質はあんまり強くないらしくて、1週間やそこらで金でも黒でもない、ぐちゃぐちゃな汚い色になっちゃった。
それを見た瞬間わたしは諦めがついた。 わたしは一生この髪と付き合って生きなくちゃいけないんだな、って - 5 : ◆KakafR9KkQ 2017/08/14(月) 18:37:40.52 ID:+B7wJAsK0
- そんなわけで内向的になって外にも出なくなったわたしの趣味と言えばもっぱら家で出来ること、遊びの妄想とアイドルの出てるTVを見ることだった。
お姉ちゃんとお兄ちゃんはわたしと違って外で沢山遊んでて、その話を聞いてわたしならこういう風に遊びたいなぁって妄想するのは楽しくて、これは今でもよくやってる。
それでもう一つの趣味だけど、テレビで歌って踊る綺麗なアイドルはわたしにとって憧れそのものだった。
特に金髪のアイドルには憧れた。 わたしがこんなに嫌ってる金髪を全国に映して堂々としてるんだもん。
金髪のアイドルを見る度そのダンスとか仕草とかマネしてみたけど、それを家族以外の誰かに見せることも無かった。 - 6 : ◆KakafR9KkQ 2017/08/14(月) 18:38:25.82 ID:+B7wJAsK0
- そしてわたしが特にハマったアイドルは、中1の夏に知った今や国民的なスーパーアイドル『星井美希』ちゃん。
ちなみにわたしは美希ちゃんが本格的に売れる前から追いかけていた結構な古参ファンだったりする。 ちょっぴり自慢。
美希ちゃんはわたしと同じくらいの年なのに堂々としててとにかく綺麗でかっこよくて可愛くて
何より自分の髪を『染めてる』って言っちゃうのが衝撃的だった。
わたしにとって金髪は嫌で嫌で仕方ないものなのに、その金髪に自分の意思でなってそれで似合ってるなんて
わたしはすっかり美希ちゃんのトリコになってしまった。 - 7 : ◆KakafR9KkQ 2017/08/14(月) 18:39:31.41 ID:+B7wJAsK0
- そしてある日、わたしは人生を変える決断をする。 美希ちゃんのイベントに行くことになった。
多分亜利沙さんとかからしたら『そんなこと?』って思われるかもだけど、引っ込み思案で半引きこもりのわたしにとってはとっても大きな決断だった。
初めて生で見る美希ちゃんはそりゃあもう! わたしの知ってる言葉じゃ表せないくらいで!
美希ちゃんにすっかりメロメロにされて帰ろうとしたら、何人かは美希ちゃんと握手して直接お話出来るらしくて、なんとラッキーなことにわたしはそれに当たっちゃった! 多分これはわたしの人生で2番目にラッキーな出来事だったと思う。 - 8 : ◆KakafR9KkQ 2017/08/14(月) 18:40:13.77 ID:+B7wJAsK0
- で、最初はラッキーだなぁ なんて軽く思ってたけど直前になったらもうドキドキ
離れて見ててもあんなにキラキラしてた美希ちゃんとあれだけ近くで話すなんて……
前の人が会話してるところを見るだけでクラクラ、そんなことしてる内にいよいよわたしの番
正面から見た美希ちゃんの顔はもう信じられないくらい美しくて、手も綺麗でいい匂いもしてきて
何か話さなきゃ! 話さなきゃ! って思って出た言葉は
「み、美希ちぁっ!」
はい、噛みました。 - 9 : ◆KakafR9KkQ 2017/08/14(月) 18:41:18.45 ID:+B7wJAsK0
- その時のわたしはもう何も考えられないくらい頭がぐるぐるしちゃって、もうそのまま時間を残して帰っちゃおうかなって思ったら
「ねぇキミ 何て名前なの?」
「えっ…… 翼…… ですけど……」
「翼って言うんだね」
美希ちゃんに名前呼ばれた!
「ねぇ、翼」
美希ちゃんは右手をわたしの方へ伸ばして
金髪を隠していた帽子を取り去った。 - 10 : ◆KakafR9KkQ 2017/08/14(月) 18:41:53.95 ID:+B7wJAsK0
- 「えっ!?」
美希ちゃんと違う、わたしの汚い金髪が露になって美希ちゃんに凝視される……
「翼の髪、綺麗だね それって染めてるの?」
普段のわたしなら『そうです』って答えるところだけど、動揺してたわたしにそんな余裕はなくて
「ち、違います! 地毛です!」
「ふーん……」
「なんで隠してるの? ミキならその目立つ髪をバンバン見せていくと思うな」
「えっ?」
「翼、髪は綺麗だし顔も可愛いからきっとアイドルになれると思うの」
「わたしが…… アイドル……」
そこで時間になって、わたしは引き剥がされ、そのままわたしは家に帰った。 - 11 : ◆KakafR9KkQ 2017/08/14(月) 18:43:39.22 ID:+B7wJAsK0
- 美希ちゃんと話した次の日、そしてその次の日もわたしの頭をグルグル回ったのは美希ちゃんの『アイドルになれる』って言葉
美希ちゃんが適当なことを言っただけ、なんて思考はわたしの中に無くて、わたしはもう765プロに入って美希ちゃんの後ろ、隣で歌うことしか考えられなくなっていた。
そしてわたしは家族にこう告げた。 『わたしアイドルになりたい』って
それに対してうちの家族は誰一人一切反対しなかったし、うちの家族はわたし以外能天気過ぎるって今となってはちょっと思うな……
オーディションを受けるって決めてからわたしはひたすら美希ちゃんのPVを見てダンスと歌を練習し続けた。
それ以外にも『伊吹翼大改造作戦』なんて名目でお姉ちゃんとお兄ちゃんに1日中連れ回された。
お姉ちゃん行きつけの美容院で髪を整えた後はひたすらショッピング、少しだけメイクもしてふたりの手でわたしをめちゃくちゃにいじり回された。 その結果
「わ……」
鏡には自分とは思えないほどのカワイイ女の子が映っていた。 ずっと嫌いだった自分の髪を初めて『綺麗』って思えたのもその日だったと思う。 - 12 : ◆KakafR9KkQ 2017/08/14(月) 18:45:08.97 ID:+B7wJAsK0
- それで、オーディション当日のこと
控え室で待ってると、同じオーディションを受ける予定の子が嫌でも沢山目に入った。
誰もみんなわたしより可愛くて綺麗で、わたしなんか場違いじゃないかって弱気になったけど、お姉ちゃんとお兄ちゃんのアドバイス通り、胸だけはピンと張った。
「伊吹翼さん」
「はいっ!」
ダンスと歌審査は毎日練習した美希ちゃんの曲を歌った。 ずーっとずーっと練習してたから緊張してても体は勝手に動いてくれた。
で、わたしが一番困ったのが次の自己アピールで…… - 13 : ◆KakafR9KkQ 2017/08/14(月) 18:48:06.71 ID:+B7wJAsK0
- 「翼さん?」
「……」
緊張で頭の中が真っ白になって、台本まで書いて練習してきたわたしと美希ちゃんの運命的な会話も何処かへ飛んで行ってしまいました……
緊張して何も浮かばない時って、何か言わなきゃ言わなきゃって考えるほど今日食べた朝御飯とか、来週のテストのこととか、どうでもいいことしか浮かばなくて
唯一わたしの脳に浮かんだのは美希ちゃんのこと、いつだって余裕そうで、自信満々の美希ちゃん
そんな美希ちゃんならこういう時きっとこう言うはず……
「わたし、夢があるんです。 男の子にも女の子にもモテモテで、おしゃれでステキなとっても楽しいハッピーライフ、それを叶えるためにアイドルになりたいんです」
終わった、そう思ったよね 『ハッピーライフ』って何? って……
この不意に出てきた言葉が『アイドル 伊吹翼』の誕生の瞬間だった。 - 14 : ◆KakafR9KkQ 2017/08/14(月) 18:49:16.13 ID:+B7wJAsK0
- そうしてわたしは765プロのアイドルになれたっていう、人生で1番ラッキーなことが起きたんだけど、そこからがまた大変で……
プロデューサーに『かつての星井美希の再来』なんて紹介されちゃったせいで、わたしのキャラは『ゆとりで不真面目なのに天才で何でも出来る』みたいな感じになって、わたしはその『伊吹翼』のキャラを守るために必死になった。
不真面目さを出すためにレッスンは遅刻して、それでも出来るところを見せなきゃいけないから、遅刻していく前は家で一生懸命練習するなんてヘンテコなことをしてた。 笑っちゃう。
同い年で仲良しになれた未来ちゃんも静香ちゃんもとってもアイドルらしくて、ふたりに負けないようにって水面下ではとっても努力した。 それでも表面上はサボってる感じにしたから怒られることも沢山あった。
ひとつ意外だったのが、サボるっていうのは独特の罪悪感があって楽しいってこと、ずっとわたしは自分のことを真面目なイイコだと思ってたけど、案外『伊吹翼』の姿の方が本当のわたしだったのかもしれない。 - 15 : ◆KakafR9KkQ 2017/08/14(月) 18:51:37.22 ID:+B7wJAsK0
- * * *
「翼、翼!」
「ん…… 何、静香ちゃん?」
「何? じゃないわよ、もう時間よ?」
「ごめん、ちょっと考え事してて」
「今日のレッスンは美希さんも一緒なのよ、先輩を待たせちゃいけないでしょ?」
「あはは、大丈夫だよ~ きっと美希先輩は時間通りに来ないし~」
「貴女…… 美希さんのこと尊敬してるのよね…… ?」
「うん! してるよ!」
だって、美希先輩はわたしを変えてくれた、いつまでもわたしの憧れのスーパーアイドルだもん! - 16 : ◆KakafR9KkQ 2017/08/14(月) 18:52:17.38 ID:+B7wJAsK0
- 「翼はほんとに美希さんのこと好きなんだね~」
「うん、未来も静香ちゃんも好きでしょ?」
「私は…… 正直最初は苦手なタイプだったかも……」
「えー、どうして~?」
「それは……」
「あっ! 美希ちゃんだ! 美希ちゃ~ん!」
「あ、ちょ、翼! 先輩にはちゃんと敬語を使いなさい!」 - 17 : ◆KakafR9KkQ 2017/08/14(月) 18:52:53.50 ID:+B7wJAsK0
- 「美希先輩♪」
「ぐっ…… 翼…… 重いの……」
「え~ 女の子に重いだなんてひど~い」
「翼は本当にめんどくさいの……」
えへへ、引っ込み事案だったわたしも今では憧れのアイドルにハグ出来るくらい積極的になっちゃった。
美希ちゃん、事務所に入ってから初めて会った時、美希ちゃんはわたしのこと覚えてなかったよね、あれはショックだったな~ アイドル辞めたくなったくらい。
まぁわたしがアイドルを始めた理由も続ける理由も曖昧なものだけど、ひとつはっきりしてることがある、それは
美希ちゃんのおかげでわたしはこの髪のこと、自分自信を少し好きになれたんだ
ありがとう、美希ちゃん。 これからも美希ちゃんの言葉通り、アイドル頑張るね?
おわり - 18 : ◆KakafR9KkQ 2017/08/14(月) 18:54:01.55 ID:+B7wJAsK0
- 読んでくれた人ありがとうございました。
- 19 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/14(月) 19:00:25.05 ID:XRFkDjlBo
- こういう解釈も面白いね
おつ

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