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ちなつ「今回だけですよ!京子先輩!!!」

1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/23(土) 14:33:26.50 ID:MXhZAdVi0
京子先輩はいつも元気で近くに居るだけで私も元気をもらえた。

元気すぎてたまに疲れることもあったけど…

それでも、私は京子先輩と同じ時間を過ごしていくたびに特別な気持ちを抱いていったのだ。

そして、これからもずっと同じ時間を過ごしていくんだ…!!

元気をわけてもらうんだ!!

だから、だから―




5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/23(土) 14:35:46.87 ID:MXhZAdVi0
-1年前-

ちなつ「どうして…どうして私じゃ駄目なんですか?! 結衣先輩!」

結衣「ごめんね…ちなつちゃん。でも、駄目なものは駄目なんだよ…」

結衣「それに…京子だっているしさ…」

ちなつ「…ッ! そうですよね。結衣先輩は私なんかよりずっと京子先輩と一緒にいるんですもんね…!」

ちなつ「私より…京子せんぱ、いのほうが…いいです、もんね…」ヒック

結衣「うん・・・私は、京子のそばにずっといたい」


7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/23(土) 14:37:20.91 ID:MXhZAdVi0
結衣「でもね、ちなつちゃん。あいつは私のことなんか全くわかってくれてないんだよ? 近すぎてわからない事だって、たくさんあるんだ」

ちなつ「…え?」

結衣「あいつは、私のことを家族同然のようにみてるんだよ… 家族に恋する人なんて、そうはいない」

結衣「仮にいたとしても、京子はそうじゃない。家族以外の人に恋をして、それを家族に話すようなやつさ。ほんとに幸せそうな顔をしてね―」

ちなつ「京子先輩の好きな人は、結衣先輩じゃないんですか?」

結衣「私は家族。恋愛対象には、はいらない―」

ちなつ「それじゃ、京子先輩の好きな人は…」

結衣「…ちなつちゃんだよ」


9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/23(土) 14:39:32.10 ID:MXhZAdVi0



結衣先輩に告白をした日、私は結衣先輩から衝撃的なことを告げられてしまった。

京子先輩が私を好き?

ありえない!

仮に好きだとしても、それはホントの好きではなくて、ただたんに私がミラクるんに似ているからに決まってる!

だって、しょっちゅう私に飛びついてくるくせに、いつも一緒にいるのは結衣先輩で2人きりのお泊りもあたりまえのようにしてるもん!!

…私がミラクるんに似てなかったら、きっと娯楽部にも入れてくれなかったんだ………

京子先輩なんかキライ!私は、結衣先輩が好きなんだ!

結衣先輩には振られちゃったけど…

京子先輩にドキってすることも…たまには…あるけど…


10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/23(土) 14:41:18.81 ID:MXhZAdVi0



次の日も、その次の日も…あいかわらず京子先輩は私に飛びついてきた。

そのたびに、私の心は揺さぶられていった。

ほんとに嫌がることはしないし、なにより…すごく嬉しそうな顔して飛びついて来るんだもん。

嫌な顔できないよ…

目が合うと、とっさに目を逸らしてしまう。

うぅ…京子先輩を意識しすぎちゃう。

気づいたら、私の心を埋めているのは結衣先輩ではなく京子先輩になっていた。

はやくのあの場所に行きたい。はやく京子先輩と同じ空間に…!!!はやく、あの部室に!!!


11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/23(土) 14:43:42.67 ID:MXhZAdVi0



…たまたま私と京子先輩の2人きりだった部活の日。

大きな、大きな出来事がおこった。


京子「あれ? 雨降ってきちゃったね」

ちなつ「天気予報じゃ降り始めるのは夜からって言ってたんですけどねー」

京子「これ以上ひどくならないうちに、今日はさっさと切り上げよっか。2人じゃやることも多くはないし」

ちなつ「そうですね」

ちなつ(ほんとは…もう少し2人きりでいたかったな…)

ちなつ「それじゃ、私職員室で傘借りてきますね」

京子「…ち、ちなつちゃん!!」

ちなつ「どうしました?」


12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/23(土) 14:45:43.80 ID:MXhZAdVi0
京子「傘なら…私、置き傘があるよ…」

そう言いながらオドオドしてる京子先輩の手には置き傘が一本。

ちなつ「まったく。二本なきゃ意味ないじゃないですか…」

京子「そ、そうだよね!ごめんね!あはは…」

そんな京子先輩を置いて職員室に行こうとしたら、一つの疑問が頭を横切った。

ん?

どうしてオドオドしてるんだろう?

京子先輩のことだから、むしろ「相合傘して帰ろー!ち~なちゅ~!!」なんて言いながら飛び付いてきそうなのに。

……少し考えたら、結論がでた。


13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/23(土) 14:48:05.39 ID:MXhZAdVi0
あぁ、そっか。

京子先輩だって、乙女な所があるんだった。

クリスマスデートの時だって「手繋いでいい?」って聞くのにどれだけ勇気を振り絞っていたんだか。

「今回だけですよ!」って言ったときの、嬉しそうな顔といったら。

あぁもう可愛いな、京子先輩は!

ちなつ「まったく…仕方ないですね、京子先輩は!」

京子「え?」

ちなつ「相合傘なんて、今回だけですよ!」

京子「!!!! や、やったーー!!!」


14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/23(土) 14:51:23.79 ID:MXhZAdVi0
相合傘は思ったよりも体が密着してて、顔が赤くなってないか、心臓の音を聞かれてないか…

そんな事ばかり考えていた。

そして、あっという間に家の前まで着いてしまう。

ちなつ「わざわざ家の前までありがとうございます」

京子「ううん。私のわがままに付き合ってくれて、ちなつちゃんこそありがとうね」

ちなつ「…」

京子「…」

お互い、別れを切り出せないでいると京子先輩が沈黙を破った。

京子「あのさ…ちょっと聞いて欲しいことがあるんだ」

ちなつ「…なんですか?」

京子「私の、ちなつちゃんに対する気持ちの話し…」


16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/23(土) 14:54:33.31 ID:MXhZAdVi0
一瞬、鼓動が速くなる。

京子「あのね。初めてちなつちゃんと会った時、ミラクるんにそっくりな子が来た!って思ったのは本当」

京子「ちなつちゃんが普通の子だったら、娯楽部に無理やり入れさせるようなことなんて、しなかったかもしれない…」

京子「ちなつちゃんが普通の子だったら、飛びついたりなんてしなかったかもしれない…」

京子「でもね、今は違う。気づいたの…」

京子「ミラクるんとかそういうのは全く関係なしで…」

京子「一人の女の子として、ちなつちゃんが大好きんなんだって!!!」


18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/23(土) 14:57:09.75 ID:MXhZAdVi0
世界が、揺れた。

京子先輩に対する好きなのかなんなのか…そんな曖昧な気持ちが固まるのがわかった。

私は今、恋に落ちたんだ…

京子「ちなつちゃんがたまに見せてくれる笑顔が大好き」

京子「ちなつちゃんが淹れてくれるお茶が大好き」

京子「ちなつちゃんが―」

私のことを大好きと言ってくれる人がいる。

私の好きな人が、私を好きと言ってくれている。

嬉しくて、嬉くて…気づいたら京子先輩に飛びついていた。

ちなつ「私も大好きです。京子先輩!」



こうして私と京子先輩は両思いになり、私たちはひとつ年をとった。


19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/23(土) 15:00:03.25 ID:MXhZAdVi0


いつかの日曜日。

私は京子先輩と一緒に買い物に出かけていた

落ち着きの無い京子先輩との買い物は、あちこち振り回されるのでかなり疲れる…

けど「ちなつちゃん!」と無邪気な笑顔を見せながら私の名前を呼んでくれる京子先輩。

この笑顔を見るだけで、私の疲れはどかかへ飛んでい行ってしまう。

…なんて思いながら、京子先輩の腕にそしらぬ顔で抱きついてみせると「ち、ちちち、ちなつちゃん?!」なんて慌てながら、耳まで真っ赤にして照れる。

自分からはよく抱きついてくるくせに、私から行動をおこすとこうだ。それがホントに可愛い。


21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/23(土) 15:02:15.54 ID:MXhZAdVi0
そのまま、京子先輩と街を歩く。

こうやってくっつきながら歩いていると、腕から京子先輩のぬくもりが私に伝わってくるんだよね。

幸せってきっとこんな事。あぁ…この幸せな時間がいつまでも続けばなぁ―

でも、幸せはそう長くは続かなかった。

前から歩いてきた高校生カップルがすれ違いざまに言った言葉を、聞いてしまったのだ。

「ねぇ、今すれ違った子たち…」

「あぁ、女同士だったな…」

「なんていうか…その」

「気持ち悪いな」

あざ笑うような、哀れむような…なんともいえない声。


22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/23(土) 15:04:52.57 ID:MXhZAdVi0
…中学校の人達はみんな笑顔で私と京子先輩の事を祝ってくれた。

結衣先輩も「よかったね、ちなつちゃん。よかったな、京子」って涙目になりながらも祝ってくれた。

でも、それは私の周りが優しかっただけなんだ。

実際にほら。私の知らない人達の反応はこれだ。

気にする事ない。そう、何度も何度も心の中で思った。

でも、この幸せな時間に水を差されたことが悔しくて、悲しくて…

必死にこらえてるのに、零れ落ちてしまう涙。

―駄目。京子先輩の前で涙なんか見せたくない。京子先輩に心配かけさせたくない。

そう思った私は、「ごめんなさい…用事思い出したので帰ります」なんて、ありきたりの嘘をついて京子先輩と別れた。

…不安そうな顔で京子先輩が伸ばした手を、振り払って…

家に帰ってから、私は一人で泣いた。

女の子同士の何が駄目なの?

好きっていう気持ちは同じはずなのに…


23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/23(土) 15:08:12.88 ID:MXhZAdVi0
-次の日-

ちなつ「やばっ…急がなきゃ!」

そんなことを言いつつも足が重い。今朝も京子先輩の事を考えてたら遅刻ギリギリの時間になってしまったのだ。

ちなつ「昨日は悪いことしちゃったな…」

後悔の念を振り払うように通学路を走る私。

昨日から走ってばっかで自分は何をやっているんだろう。

そんな時、前を走っている人の存在に気づく。

京子「あ、おはよー!ちなつちゃん!ちなつちゃんも遅刻かな~?」

ちなつ「…おはようございます、京子先輩。 はやくしないと遅刻ですよ?」

いつも通りのやり取り。それを演じたつもりだったけど…

京子「ちなつちゃん…元気ない?」

微妙な違和感を、京子先輩は感じ取ったみたいだ。

ちなつ「そんな事ありませんよ…」

京子「嘘だよ。昨日だってホントは用事なんて無かったんだよね…?」


25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/23(土) 15:10:57.16 ID:MXhZAdVi0
京子先輩は無駄に鋭い時がある。

鈍感なときはひたすら鈍感なくせに。

ちなつ「別に…いつも通りです」

そう冷たく答え、京子先輩もそれ以上は何も言ってこなかったので、そのまま一言も話さず学校に着いてしまう。

ぎりぎり遅刻は免れたけど、汗をかいてしまったので気持ち悪い…

気持ち悪いといえば、私の態度もそうだよね。

なんで京子先輩の事避けてるの?

昨日のアレをまだ引きずってるの?

………なんて自分は馬鹿なんだろう。


26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/23(土) 15:13:43.43 ID:MXhZAdVi0
-昼休み-

あかり「ちなつちゃん、今朝はどうしたの?遅刻ぎりぎりなんて珍しいね~」

ちなつ「ちょっとね… 考え事してたらいつの間にか遅刻しそうになっちゃって」

あかり「…考え事って、京子ちゃんの事だよね?」

ちなつ「…別に。あかりちゃんには関係ないでしょ。ほっといてよ。」

どうして、皆鋭いんだろう。どうして、心配してくれるんだろう。

あかり「関係ないわけないよ… 京子ちゃん、すっごい悩んでた。 昨日、あかりに電話してきたんだよ?」

ちなつ「ふぅん… 電話って…どんな内容?」

あかり「なにかちなつちゃんに悪い事しちゃったのかな。どうして先に帰っちゃったのかな。って」

…そうだ。京子先輩はあんな性格のくせに意外と弱虫で繊細なところも持ち合わせているんだった。

何が京子先輩に心配かけさせたくないだ。

あかりちゃんに電話するほど心配して…こんなに不安な気持ちにさせて…

最悪だよ。私。


28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/23(土) 15:16:12.62 ID:MXhZAdVi0
…そうだ!今日の部活の時間に京子先輩に謝ろう。

昨日はごめんなさい。今日からまたよろしくお願いしますね!って。

そう決意した瞬間。昨日のあの一言が耳の奥で響いた。

『気持ち悪いな』

……あぁ。

そうだ、そうなんだよね…

周りからはこう見られちゃうんだ。あかりちゃんは良い子だからこうやって応援してくれてる。

だけど、普通の人達は違う。

普通の人達は、女の子同士っていうのを認めてくれないんだ。

"汚いもの"って思ってるんだ…

私は、京子先輩が汚いって思われるのは嫌。

だから…だから、このまま京子先輩を拒絶し続ける事が正解なんだ。きっと。

私と一緒にいると、周りの人からの冷たい視線を浴び続けなきゃいけない。

この先ずっとそれに苦しめられるのなら、今ここで拒絶してしまえばいい。

そうすれば、苦しいのはほんの少しの時間ですむんだから…


29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/23(土) 15:18:24.31 ID:MXhZAdVi0
ちなつ「…京子先輩は、何も悪くないよ」

あかり「だったら、どうして京子ちゃんの事避けるの…?」

ちなつ「…女の子同士じゃ、駄目なんだよ。 二人で仲良く歩くと、周りから冷たい目で見られて… 汚いって思われる。」

ちなつ「しかも!私だけがそう思われるわけじゃないの! …京子先輩も、そう思われちゃうの…私にはそれが耐えられない…」

あかり「…それで、ちなつちゃんは良いの?」

ちなつ「うん… これが、京子先輩のためだもん」

そう、言った瞬間。

パシンッ!

私は"あの"あかりちゃんにビンタされた。

どうして、頬を叩かれたの…?

どうして…ねぇ、どうして泣いてるの??? あかりちゃん…っ


30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/23(土) 15:20:29.76 ID:MXhZAdVi0
あかり「…こんなのが。こんなのが京子ちゃんのためになるの…?」

あかり「そんな訳ないよぉ… ちなつちゃんだって、ホントは分かってるんだよね…? 京子ちゃんを避けたって、なんの解決にもならないって…」

あかり「最近の京子ちゃんね、あかりや結衣ちゃんにちなつちゃんの話しばっかりするんだよ?」

あかり「今日はこんなにちなつちゃんが笑ってくれたって! 今日はこんなにちなつちゃんとおしゃべりできたって!」

あかり「そんな京子ちゃんと、距離をとる事が正解なの…??」

どうして、泣きながら私に聞いてくるの??

私の出した答えは"京子先輩と離れる事"なの…これで、正解なの!!

違うの…? もうわかんないよ…あかりちゃん…!!


31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/23(土) 15:22:37.00 ID:MXhZAdVi0
その日から、私は娯楽部室に顔を出さなくなった。

だって…京子先輩にあわせる顔がないから。

廊下で、一度だけ京子先輩を見かけたことがった。

杉浦先輩や池田先輩それに結衣先輩と楽しそうに笑っていた。

そう、楽し"そうに"

京子先輩のほんとの笑顔はこんなんじゃない…

自分から距離をとってるくせにこんな事を思ってしまう自分に腹が立つのと同時に、胸がチクリとした。



気づいたらもう受験シーズン。

あかりちゃんに聞いた話しによると京子先輩も結衣先輩も受験勉強で忙しいらしく、だいぶ前から娯楽部は休部状態らしい。

受験かー。 京子先輩はどこにいくんだろう。

頭の良い京子先輩だし、県で一番の高校かな?

それとも、めんどくさがり屋の京子先輩らしく、学力もそこそこで家から一番近いあの高校かな?

そういろいろ考えても、聞くことはできなかった。

私なんかが聞いては駄目な気がしたから…


33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/23(土) 15:24:59.20 ID:MXhZAdVi0
そして迎えた卒業式。

先輩達との別れを惜しんで、みんな写真を撮ったり手紙を渡したりとしているのに、京子先輩に合わす顔がない。

そう思い私は結衣先輩にあいさつだけして、そそくさと帰ってしまった。

呼び止められたけど、どうせ京子先輩のことだからと聞こえないふりをして…





結衣「京子…本当に、いいのか?お前明日から…」

京子「うん、いいんだ」

結衣「お前がよくても私達は嫌なんだよ…!」

あかり「そうだよ… このままお別れなんてあかり嫌だよ?!」

あかり「仕事の都合で引越ししなきゃいけないとか、高校は東京とか、言わないと!!」

京子「それでも、いいの。ちなつちゃんの出した答えが一度距離をとるっていうものなら、私はそれに従う」

京子「私とちなつちゃんの問題に、あかりや結衣の助けは借りないよ」

結衣「京子…」


36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/23(土) 15:28:22.48 ID:MXhZAdVi0



卒業式の次の日、私はなぜか早起きしてしまい、朝の空気でも吸おうかとふらふらと外に出た。

先輩達、みんな泣いてたな…

泣いてなかったのは、京子先輩だけ。

いつまで私は京子先輩のことを避けてるんだろう…

いつまで私は京子先輩のことを未練がましく思っているんだろう…

朝の空気は気持ちよく、頭を活性化させていった。

そして、私に1つの決心をさせた。

ちなつ「よし!ちょっと朝早い気がするけど京子先輩に会いに行こう!」

ちなつ「卒業おめでとうございます。ぐらいはしっかり言わないとね」

ちなつ「それで… もう、京子先輩とはお別れしよう…」


37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/23(土) 15:31:04.03 ID:MXhZAdVi0
京子先輩の家に着くと、なぜかトラックが何台も家に止まっていて家具などを運んでいた。

ちなつ「…え?」

嫌な予感がする。

家具を運んでいる男の人におそるおそる聞く。

ちなつ「あの…何しているんですか?」

男「引越しだよ。お嬢ちゃん、この家の娘さんの友達かな?」

ちなつ「はい、そうです!えっと、いま、どこにいるかわかりますか?!」

電車を乗り継いで東京まで行くとのことだった。

急いで京子先輩に電話をかける。

ぷるるる…

ぷるるる…


38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/23(土) 15:34:10.08 ID:MXhZAdVi0
京子「ちなつちゃん…?」

ちなつ「今、駅にいるんですか?!!!」

京子「う、うん。 あと15分で電車来ちゃうけど…」

ちなつ「あと15分ですね?!わかりました!」

走っていけば、間に合わない距離じゃない!

走りながらも電話は切らないで通話は続ける。

ちなつ「どうして教えてくれなかったんですか!?京子先輩の馬鹿!!!」

京子「ちなつちゃんが距離を置こうって…」

ちなつ「それとこれとは話しが別です!!」

ちなつ「だいたい、いっつもいっつも迷惑ばかりかけて!」

ちなつ「距離とってても、京子先輩のことを考えなかった日なんて、一日たりともなかったんですからね!」

ちなつ「今日も元気にしてるかなって…そんな事ばっか考えてて…」

ちなつ「とにかく…とにかく…会いたいです!!!京子先輩!!!」


40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/23(土) 15:36:32.50 ID:MXhZAdVi0
ダムが決壊したかのように京子先輩へしゃべり続ける私。

走りながらしゃべるってこんなにつらいんだ…

それでも、何ヶ月も話せなかったぶんを話したかった。

京子「会いたいって…距離とってたのはちなつちゃんだよね?!」

ちなつ「う、うるさいです!!悪いのは京子先輩なんです!ふんっ」

京子「ツンデレチーナ?!」

この漫才みたいな先輩とのやり取り。

思わず笑いがこみ上げてきちゃう。

ちなつ「もう!間に合わなかったら京子先輩のせいなんですからね!!」

京子「大丈夫。ちなつちゃんは絶対に間に合うよ。私の大好きな人だもん!」

ちなつ「…根拠は?」

京子「根拠はないけど大丈夫!!」

ちなつ「…京子先輩らしいです」


41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/23(土) 15:39:02.83 ID:MXhZAdVi0
楽しい。

京子先輩と話してるこの瞬間がすごく楽しい!

いままでなんでこんなことにクヨクヨしてたんだろう。

なんで、あかりちゃんに言われたあの日に気づけなかったんだろう。

元気がなかったからこそ、京子先輩のそばにいれば良かったんだ…!!

京子先輩はいつも元気で近くに居るだけで私も元気をもらえた。

元気すぎてたまに疲れることもあったけど…

それでも、私は京子先輩と同じ時間を過ごしていくたびに特別な気持ちを抱いていったのだ。

そして、これからもずっと同じ時間を過ごしていくんだ…!!

元気をわけてもらうんだ!!

だから、だから―


42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/23(土) 15:41:37.38 ID:MXhZAdVi0
ちなつ「京子先輩!!」

京子「ッ! ちなつちゃん!!」

ちなつ「いろいろ言いたい事はあるんですけど…」

ちなつ「卒業、おめでとうございます!!!それと…今までごめんなさい!!」

京子「ありがとー! ううん。いいんだよ。ちなつちゃんならまた戻ってきてくれるって信じてたし!」

ちなつ「これからも、ずっと一緒ですよね!? 私、待ってていいんですよね!!?」

京子「うん、待ってて。ずっと一緒だから! これからもずっと一緒だからぁぁっ!!」

私も、京子先輩も涙で顔がぐしゃぐしゃになっていた。

滑舌の悪い子供みたいなしゃべり方になっていた。

でも、そんなの関係なしに叫びあう。


43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/23(土) 15:43:57.02 ID:MXhZAdVi0
状況をさっした駅員さんが、改札を通してくれた。

ちなつ「会いたかったです!離れたくないです!大好きです!」

話しがまとまってないのが自分でもわかる。
でも、頭に思い浮かぶ言葉全てを目の前の大事な存在に伝えたかった。
そんななか、京子先輩は…

京子「ねえ、ちなつちゃん―」

ちなつ「!??」

ただ一回。
唇と唇を合わせるという行為だけで全てを私に伝えてきた。


44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/23(土) 15:46:29.83 ID:MXhZAdVi0
ちなつ「あ…」

京子「絶対、帰ってくるから。 約束だよ。 …ちなつ」

ちなつ「…! はい、約束です。 ずっとずっと京子先輩のこと待ち続けますから…!!!」

京子「何年先になるかわからないけど、待っててね!それじゃ、いってきます―」

こうして、私は京子先輩と別れを告げた。

ちなつ「…まったく。なにが"何年先になるかわからないけど、待っててね!"ですか!」

ちなつ「無責任にもほどがあります!年単位って広すぎですよ!」

ちなつ「でもまぁ…待っててあげますか。何年でも、何十年でも…」

ちなつ「今回だけですよ!京子先輩!!!」


45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/23(土) 15:47:01.38 ID:MXhZAdVi0
終わりです。
お付き合い、ありがとうございました


46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/23(土) 15:49:15.75 ID:Ia3MXNbO0
乙!


47 : 忍法帖【Lv=37,xxxPT】 2012/06/23(土) 15:56:33.29 ID:B2RmQ9eN0
すごく良かったよ
乙乙


48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/23(土) 16:00:10.73 ID:Z1k6xzrc0
ええのう……乙


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