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織姫「笹の葉さらさら」 彦星「……///」

1 : ◆WjI07W0ub6 2012/07/05(木) 22:34:29.59 ID:TZcoM5dg0
季節ネタの短編です
キャラがしゃべるだけ
ちょい下ネタ注意


3 : ◆WjI07W0ub6 2012/07/05(木) 22:35:34.86 ID:TZcoM5dg0
天の川のほとり

織姫「香を焚いて、髪も梳かして……あ、紅が切れてる」
カササギ「もうおめかしですか?」

織姫「だって一年ぶりに彦星様に会えるのよ? 準備しないと……」イソイソ……
カササギ「はあ、左様で」

織姫「気のないため息つかないでよ……ねえ、この髪型、どう?」
カササギ「お似合いでございます」

織姫「ほんと? 彦星様、『君が欲しい』……とか言っちゃう?」
カササギ「あの朴念仁に気の利いたセリフを期待するのは間違いかと……」




4 : ◆WjI07W0ub6 2012/07/05(木) 22:36:11.80 ID:TZcoM5dg0
織姫「いいじゃない、ちょっとくらい期待しても!」
カササギ「左様ですか」

織姫「カササギ、この香どうかしら?」
カササギ「かぐわしゅうございます」

織姫「ほんと? 彦星様、『君の香りに包まれたい……もっとそばに行って良いかい?』とか言っちゃうかな?」
カササギ「どうでしょうか? せいぜい、『いいにおいだなー』……くらいじゃないでしょうか?」

織姫「もう! わかってるけど、わかってるけどちょっとは言って欲しいの!」
カササギ「……左様で」


5 : ◆WjI07W0ub6 2012/07/05(木) 22:36:51.13 ID:TZcoM5dg0
天の川の対岸

彦星「……」
牛「そろそろ七夕ですね」

彦星「……ん」
牛「今年はどのようなお召し物でいらっしゃいますか?」

彦星「……これ」
牛「普段着じゃありませんか」

彦星「……」
牛「何か言ってくださいよ」


6 : ◆WjI07W0ub6 2012/07/05(木) 22:37:31.59 ID:TZcoM5dg0
彦星「……織姫に、会える」
牛「そうですね」

彦星「……織姫」
牛「……」

彦星「……///」
牛「……」

彦星「……っ!」キョロキョロ
牛「誰も見てませんって」


7 : ◆WjI07W0ub6 2012/07/05(木) 22:38:28.28 ID:TZcoM5dg0
天の川のほとり

織姫「ねえ、これ見て」
カササギ「ほほう! すばらしい反物にございまね」

織姫「でしょう? 私が織ったのよ!」
カササギ「さすがは染織の神でいらっしゃる」

織姫「ふふふ、ありがとう。でも、あなただって織れるでしょ?」
カササギ「わたくしが? とんでもない」

織姫「あれ? ツルの恩返しって、カササギが……」
カササギ「出てませんし、題名の時点で気づいてください」


9 : ◆WjI07W0ub6 2012/07/05(木) 22:39:13.54 ID:TZcoM5dg0
織姫「子供たちは、機織りが上手になりますようにって、笹に願い事の短冊をつるすのよね」
カササギ「昔のことでございます、今この国で機織りをする人間は少なくなってしまいました」

織姫「時代の流れね、仕方ないわ。でも習うことなら、なんだって良いのよ?」
カササギ「裁縫はもちろん、料理や勉強、とにかく努力して上手くなりたい人間が、望みを書くのが七夕ですからね」

織姫「そうそう。まあ、合格祈願、家内安全くらいまではカバーしてあげても良いかな」
カササギ「天帝の姫君がおっしゃると説得力が違いますね」

織姫「でしょ? でも、プレステ3が欲しいとかはダメだかんね」
カササギ「それは当然です。即物的な願いなど……」

織姫「Wiiにしなさい」
カササギ「そこですかっ!?」


10 : ◆WjI07W0ub6 2012/07/05(木) 22:40:08.09 ID:TZcoM5dg0
天の川の対岸

彦星「……」
牛「彦星様、せめて着替えていきましょうよ」

彦星「わかっていないな牛よ。これは去年織女がくれた服なんだ。ちゃんと着ているよと見せるのも、男のつとめではないか?」
牛「……ひ、彦星様が三文以上お話になられた」

彦星「……」
牛「……彦星様?」

彦星「……つかれた」
牛「そですか」

彦星「……」スッ
牛「それは、おくりものですか?」

彦星「チーズケーキ」
牛「おお、彦星様がわたくしどものお乳から作った、天空のチーズを使った一品ですね?」

彦星「お手製のお菓子……酪農の醍醐味」
牛「チーズだけに醍醐味ですか」

彦星「……」ハッ
牛「しまった! みたいな顔しないでください」


11 : ◆WjI07W0ub6 2012/07/05(木) 22:40:44.06 ID:TZcoM5dg0
彦星「……牛よ」
牛「はい」

彦星「いつも牛乳をありがとう」
牛「男は畑の鋤を引き、女どもは乳を出す……我らのつとめですゆえ」

彦星「努めとはいえ、お前たちには感謝している」
牛「もったいないお言葉にございます」

彦星「とくにお前の奥方は、乳の出が良い」
牛「えっと……ケンカを売っているわけではありませんね?」

彦星「……?」
牛「はあ……織姫様の前で、そのことは言わない方が良いですよ?」

彦星「……わかった」
牛「絶対ですよ?」


12 : ◆WjI07W0ub6 2012/07/05(木) 22:42:37.29 ID:TZcoM5dg0
天の川のほとり

織女「今年はたくさん反物を織りました」
カササギ「たしかに、去年より数も質も素晴らしゅうございます」

織姫「反物の質が?」
カササギ「はい」

織姫「反物質が?」
カササギ「ええと……なんの話でしたっけ?」

織姫「織物の話よ」
カササギ「そうでした」

織姫「最近パンツのおりものが……」
カササギ「うおおおおっと!」

織姫「なに?」
カササギ「そういう下品な話題は、姫の品位を貶めます!」

織姫「そうなの? 肌触りの良い下着って男の人は好きなのかなって話なんだけど……」
カササギ「ああ、そういう……って、やっぱり下品じゃないですか!」

織姫「下品じゃないわ! 女の子にとって勝負下着は戦闘服なのよ?」
カササギ「まあ、わたくしも否定はしませんが……」

織姫「ちなみに私は牽牛との初体験のとき、全裸で迫りましたが」
カササギ「あああ……品位が……姫の品位が……」


13 : ◆WjI07W0ub6 2012/07/05(木) 22:43:17.71 ID:TZcoM5dg0
織姫「品位かあ……」
カササギ「そのとおり! 女性はもっと慎み深く、それでいて……」

織姫「……」ペラッ
カササギ「……なに読んでるんですか?」

織姫「イプセン」
カササギ「また、ツッコミにくい物を……」

織姫「この作品、旦那が悪いのよ」
カササギ「そうですねえ、でも、結婚したら男なんてみんなこんなものですよ?」

織姫「彦星様はぜったいにこんなコト言わないもん」
カササギ「言わないもん……もん、ですか……いいかげん歳を考えてください」


14 : ◆WjI07W0ub6 2012/07/05(木) 22:43:53.34 ID:TZcoM5dg0
織姫「……」ブチブチ
カササギ「羽を毟らないでください」

織姫「ちょっと早いけど橋を架けなさいよ」ムシリムシリ
カササギ「痛……いたた……ごめんなさい、彦星様の悪口言いましたっ!」

織姫「ふむ、わかればよろしい」
カササギ「まったく乱暴な……品位はどこに行った」

織姫「彦星様にお渡しするため、品位の貯金をしています」
カササギ「かぶる化けの皮を溜め込んでいると……」

織姫「化けの皮でけっこう。女の子は、好きな男の子の前では、一番かわいい自分で居たいのです」
カササギ「女の子って歳ですか……」

織姫「……」ムシリ
カササギ「いたた」


15 : ◆WjI07W0ub6 2012/07/05(木) 22:44:40.84 ID:TZcoM5dg0
天の川の対岸

彦星「……七夕」
牛「そうですね」

彦星「昔は1月ぐらい遅かった」
牛「旧暦の頃ですね」

彦星「晴れてて、笹の願いもたくさん見れた」
牛「昔の七夕の頃には梅雨は明けてましたから」

彦星「雨の七夕……つまらない」
牛「そうですけど、雨の時ほど、お二人は奔放にふるまわれて……」

彦星「奔放……///」
牛「ごめんなさい、そんな耳まで赤くしないでください」

彦星「雨が降ってると、人目を気にせず織姫と……///」
牛「うおおおい! 彦星様! お気を確かに!」

彦星「織姫と……えへへ……うふふ……」
牛「戻ってこーい!」スパコーン

彦星「へぐっ!?」
牛「……あ、あれ? クリーンヒット?」

彦星「……」ピクピク
牛「あの……大丈夫ですか?」


16 : ◆WjI07W0ub6 2012/07/05(木) 22:45:15.86 ID:TZcoM5dg0
彦星「……痛いじゃないか」スクッ
牛「良かった、無事でしたか」

彦星「牛くん、心配かけて済まないね! 無事だとも! このとおりピンピンしているさ!」
牛「元気そうで……あれ?」

彦星「それにしても、織姫の奴と会うのが待ち遠しいなあ! この胸の高鳴り、どうしてくれようか!」
牛「無事じゃなかった……」

彦星「……」ピタッ
牛「……彦星様?」

彦星「……いっつあじょーく」
牛「そうですか」

彦星「ふれんちじょーく」
牛「どこがフレンチですか……でも、あの調子で話せば、織姫様もお喜びになるのでは?」

彦星「……つかれる」
牛「そうですか」

彦星「あと、恥ずかしい」
牛「はあ、さようで」

彦星「……///」
牛「照れんでください」


17 : ◆WjI07W0ub6 2012/07/05(木) 22:45:54.49 ID:TZcoM5dg0
天の川のほとり

織姫「雨が降っていたら? 洗濯物が干せなくなる」
カササギ「そうではなくてですね」

織姫「桶屋が儲かる?」
カササギ「いえ、お二人はどのように過ごされているのか気になりまして」

織姫「過ごすって?」
カササギ「晴れているときは、わたくしの作った羽の橋から下界をご覧になってますよね」

織姫「そうね。ふたりで手つないで」
カササギ「でしょう? でも、曇っていたら下界も見えないし、天の川の両岸からも見えない……霧の中の橋の上なんて、他に何もありませんよね?」

織姫「そうね、でも愛する相手がいれば、他に何もいらないわ」
カササギ「おおぅ、まさかこんなにまっすぐな愛の言葉が聞けるとは……」

織姫「外だって、誰も見てなければ気にしないし……」
カササギ「……ん?」

織姫「ホントは誰もいない静かな部屋の中が良いんだけど……」
カササギ「ダ、ダウトー!」


18 : ◆WjI07W0ub6 2012/07/05(木) 22:46:34.77 ID:TZcoM5dg0
織姫「なによ」
カササギ「そんなコト言っちゃダメですって!」

織姫「いいじゃない。好きあった男と女、することはひとつでしょ?」
カササギ「だからそれがイカンというのです!」

織姫「ダメって……キスが?」
カササギ「へ? キス? 接吻? ちゅー?」

織姫「そうよ。それ以外のなにがあるって言うの?」
カササギ「すみません、わたくしはてっきり下世話な話題かと……」

織姫「もちろん、キスするのは下の口で、私はつっこまれる側ですけど!」
カササギ「やっぱりダメな方だった! いいかげんにしてください!」

織姫「いいじゃない、青姦くらい」
カササギ「ダメです」

織姫「先っちょだけなら?」
カササギ「もう誰か、この人とめてー!」


19 : ◆WjI07W0ub6 2012/07/05(木) 22:47:08.23 ID:TZcoM5dg0
天の川の対岸

彦星「……織姫のこと」
牛「はい」

彦星「織姫は、耳年増なところがある」
牛「心なしか饒舌ですね」

彦星「……新しい自分に挑戦」グッ
牛「がんばってください……耳年増?」

彦星「そう。織姫は箱入り娘……」
牛「天帝の姫君ですからね……それで耳年増に?」

彦星「女中の話でも聞いたのだろう。積極的なのが良いことと思っているらしい」
牛「はあ……」

彦星「でも中身は純粋」
牛「純粋とおっしゃいますと?」

彦星「積極的に誘ってくるけど、顔がまっ赤……本人は気づいてない」
牛「それは、なんというか……」

彦星「たまらない」
牛「たまりませんな」

彦星「……///」
牛「照れんでください」


20 : ◆WjI07W0ub6 2012/07/05(木) 22:47:40.78 ID:TZcoM5dg0
彦星「晴れてる七夕で、下界を見るのも良い」
牛「最高の夜景ですからね。遠くにはオーロラも見えて」

彦星「そう」
牛「ベタなセリフは言わないんですか?」

彦星「セリフ?」
牛「君の方がきれいだよ……とか」

彦星「恥ずかしくて……無理」
牛「はあ、彦星様が?」

彦星「いや……」
牛「織姫様がですか?」

彦星「私たち……ふたりが」
牛「おふたりともまっ赤になっちゃうと」

彦星「……」コクリ
牛「なんか、すいません」

彦星「……///」
牛「だから、照れんでください」


21 : ◆WjI07W0ub6 2012/07/05(木) 22:48:16.31 ID:TZcoM5dg0
天の川のほとり

織姫「いけない、いけない……準備しないと」
カササギ「まだ早いのでは?」

織姫「ううん。彦星様には、一番かわいい私を見てもらいたいから」
カササギ「……そうですか」

織姫「髪良し、爪良し、肌良し、目良し、眉毛良し!」
カササギ「ふふふ、鏡見て……」

織姫「おけけ良し!」
カササギ「そんなとこ、チェックしないで!」


22 : ◆WjI07W0ub6 2012/07/05(木) 22:48:52.01 ID:TZcoM5dg0
天の川の対岸

彦星「……///」
牛「ハニカミ屋な癖、なんとかしないといけませんね」

彦星「……平気」
牛「でも、そんなんじゃ織姫様に愛想尽かされちゃいますよ?」

彦星「大丈夫、織姫のことを私以上に好きになれる男はいない」
牛「おおぅ、言いますねぇ」

彦星「はっ!? ……///」
牛「……照れないでください」


23 : ◆WjI07W0ub6 2012/07/05(木) 22:49:44.02 ID:TZcoM5dg0
そして7月7日 七夕の夜

織姫「牽牛ー!」
彦星「織女……」

ひしっ!

織姫「一年ぶりね」
彦星「……///」

織姫「もう、照れてばっかり……なんか言ったらどうなの?」
彦星「織女」

織姫「な……なに?」
彦星「好き」

織姫「もう……ばか///」
彦星「……///」

今年の七夕、予報は曇りときどき雨。
よい子は、雲の切れ間から覗かないようにしましょう。

end


25 : ◆WjI07W0ub6 2012/07/05(木) 22:52:15.18 ID:TZcoM5dg0
これにておしまい。
山無し落ち無し意味も無し。
スレ立てを深夜と間違えたのはナイショ!


26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/05(木) 22:56:06.23 ID:HIUTS1BJ0
すこし勉強になった


28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/05(木) 23:01:14.39 ID:PbwRO/IF0





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