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安価で行動決める 俺GMする ファンタジー世界放浪
1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 21:11:47.21 ID:BVFXiGv+0
やぁ、よく来たね
この世界は君たちが住む世界とは少し様相が違う
「剣と魔法の世界」と言えば、通りがいいかもしれない
魔族やモンスター、冒険者にダンジョンに、国同士の大きな戦争
君たちがおおよそ体験してきた様々な要素がこの世界にはあると思ってくれていいだろう
では自由な放浪を始める前に、まず「君」という人間を作っていこう
まずは性別を決めてくれ
「君」は男でもいいし、女でもいい
性別不明というのも面白いかもしれない
>>3
2:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 21:12:40.57 ID:vOJNdG/30
kskst
3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 21:12:45.84 ID:vOJNdG/30
kskst
4:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 21:13:14.85 ID:EYsj/5OE0
kskst
5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 21:13:36.05 ID:96ZnZxxM0
kskst
6:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 21:14:19.02 ID:EYsj/5OE0
kskst
7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 21:14:20.30 ID:tHttjM3L0
kskst
8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 21:14:49.47 ID:v2iyhvry0
kskst
9:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 21:14:53.70 ID:kJUVL5ki0
kskst
10:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 21:15:18.74 ID:EYsj/5OE0
kskst
11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 21:15:47.21 ID:tHttjM3L0
kskst
12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 21:16:26.91 ID:96ZnZxxM0
俺としては女がいいかも
あ、安価下な
13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 21:18:27.05 ID:BVFXiGv+0
よろしい、では「君」は女性だ
次に「君」の特徴を決めてくれ
例えば、「弓の名手」や「貴族の出身」といった具合に
「生粋のじゃじゃ馬」や「大酒のみ」なんて特徴があっても面白いし
「誰もが振り向く美人」といった容姿に関することや、「一族を全て殺された不幸な女」といったものも面白い
この放浪に目的はないから、その特徴が生かせる場所はないかもしれない
それでも「君」という人間を形作るには、とても大事な要素には違いないはずだ
では一つ目の特徴を教えてくれ
>>16
16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 21:22:28.78 ID:EYsj/5OE0
kskst
18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 21:24:03.17 ID:9PK4FhWh0
淫乱
17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 21:22:28.79 ID:agEkDjHl0
魔女見習い
19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 21:27:46.77 ID:BVFXiGv+0
なるほど、では「君」は「魔女の見習い」という特徴を獲得した
女性は男性よりも魔力が強い傾向があるから、
この特徴はきっと面白いものになるだろう
それではもう一つ、特徴を決めてくれ
特徴は外見に関するものも面白いかもしれない
>>22
22:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 21:31:16.33 ID:agEkDjHl0
年齢:10歳
身長:140cm
髪色:茶
髪型:ポニテ
わかった、「君」の年齢は10歳で、
容姿は小柄、
一つに纏めた穏やかな色の髪が印象的な少女に決まった
最後にもう一つだけ、「君」の特徴を聞いておこう
>>29
28:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 21:38:12.15 ID:9PK4FhWh0
キス魔
30:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 21:39:11.48 ID:dGVTrA34O
巨乳
29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 21:38:57.62 ID:96ZnZxxM0
寂しがりや
32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 21:40:59.80 ID:BVFXiGv+0
おめでとう! これで「君」という人間はひとまず完成した
「君」は女性で、
小柄な体躯と穏やかな髪を持ち、
魔道を志す10歳の少女
となった
これから君の放浪はスタートするわけだが
その前に少しだけ休憩を挟もう
これから始まる冒険に思いを馳せながら、しばし待っていてほしい
33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 21:42:36.59 ID:BVFXiGv+0
おっとすまない
一つ特徴を加え忘れていた
「君」は女性で、
小柄な体躯と穏やかな髪を持ち、
魔道を志す寂しがりやの10歳の少女
となった
では改めて、暫く待っていてくれたまえ
38:GM ◆FPJ9P.6QFg :2011/04/12(火) 22:16:42.55 ID:BVFXiGv+0
よし、それでは素晴らしき放浪の旅を始めよう
「君」はまだ、何も無い空間に居る
目の前は真っ暗でもあり、真っ白でもある
「君」は眠っているのだ
そしてゆっくりとその小さな瞼を動かし、「君」は目を覚まそうとしている
君が目を覚ました場所、それは一体何処か教えてくれ
それは緑が多い茂る大平原でも良いし、霧の立ち込める森の中でもいい
はたまた魔物が歩き回るダンジョンでも良いし、街の片隅や暖かいベッドでもいいだろう
>>41
42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 22:18:38.44 ID:PU1zgpxz0
洞窟の宝箱の中
41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 22:18:11.61 ID:E6QvHUrz0
福島
43:GM ◆FPJ9P.6QFg :2011/04/12(火) 22:24:27.10 ID:BVFXiGv+0
ゆっくりと長い睫毛が上下し、「君」は目を覚ました
辺りを見回してみても、その場所に見覚えは無い
目の前に広がっているのは、立ち並んだ灰色の建物達
生き物の気配は無く、どうやらそこは廃墟のようだ
「私……どうしてここに?」
傍らには愛用している木製の杖と、魔道書が落ちている
それらを拾い上げ、「君」は必死にここに居る理由を思い出そうとしている
>>47
なお、これから先こうして「安価」が出された場合、行動を求められていると考えてもらって結構だ
さぁ、第一歩を
44:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 22:25:20.39 ID:+n72n1GS0
すべきことが書かれたメモを探す
45:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 22:25:45.23 ID:ah2NeQ5C0
とりあえずトイレを探す
46:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 22:27:48.13 ID:tHttjM3L0
遅刻しそうなので食パンをくわえて登校
48:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 22:28:31.71 ID:5qqORinAO
魔物退治
47:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 22:27:49.74 ID:PU1zgpxz0
鼻歌まじりにスキップしながらあたりを散策する
49:GM ◆FPJ9P.6QFg :2011/04/12(火) 22:34:01.92 ID:BVFXiGv+0
「……」
「君」は悩んだ
辺りに立ち込めているのは湿り気を帯びた霧
生き物の気配もなく、ひっそりと静まり返っている
生来の性格か、こういう場所に居ると「君」には恐怖が襲ってくる
だから「君」は、せめてその恐怖を振りほどこうと鼻歌を歌う事にした
「こわくないもの……!こーわくなんかない……」
久しぶりに喉を動かしたせいか、それとも立ち込める霧のせいか
「君」の喉は少し痛んだが、そんな事は気にせず、「君」は足取りも軽やかに散策を始めた
「フク……シマ?」
その途中、錆びついて風化した看板から、その場所が「フクシマ」と呼ばれる場所である事を見つけた
記憶を探ってみても、思い当たる節はない
>>52
51:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 22:34:52.34 ID:+n72n1GS0
空を見上げる
52:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 22:34:57.32 ID:BwY7tgMP0
kskst
53:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 22:35:05.39 ID:tHttjM3L0
寝直す
55:GM ◆FPJ9P.6QFg :2011/04/12(火) 22:41:10.35 ID:BVFXiGv+0
散策を続けていると、「君」はとある建物の中に柔らかそうに敷かれた毛布を見つけた
「人が居たのかな」
中に入ってみると、そこには幾つかのコップや皿、そして火を起こした跡がある
すっかり古びていたが、確かな「人の気配」に「君」の恐怖は少し和らいだ
未だすっきりしない頭をさすりながら毛布に腰掛けると、「君」の瞼はゆっくりと上下しはじめる
どうやらまだ眠気がとれていないようだ
こんな所で眠ってはいけない、そうは思うものの、迫る睡魔に勝つ事は、幼い君には不可能だった
「むにゃ……むにゃ」
気がつけば「君」は大切な杖を抱き締めながら、魔道書を枕に、ローブを布団にして横になっている
ゆっくりと瞳を閉じた「君」は、再び眠りの世界へと落ちていった
56:GM ◆FPJ9P.6QFg :2011/04/12(火) 22:44:25.97 ID:BVFXiGv+0
「君」が眠りについて暫くすると、「君」が抱き締めていた杖の先端
銀の装飾で包まれた緑色の球体が微かに光はじめた
どうやら眠っている「君」の魔力に反応しているらしい
しかし「君」は、段々と強くなる光に気付かずに寝息を立てている
光は次第に辺り全体を包み始め、灰色の建物を真っ白に染めていく
そして、「君」が寝返りをうとうとした次の瞬間、球体は最大限の光を放った
しぃん、と静まり返った廃墟
敷かれた毛布の上に、既に「君」の姿はなかった
59:GM ◆FPJ9P.6QFg :2011/04/12(火) 22:47:04.44 ID:BVFXiGv+0
「君」の杖は、また君を運んでいる
どこか遠い所へと
幼い「君」の魔力は、どうやら眠ると極端に強くなるようで
その強い魔力に反応した杖が、高位の魔道士にしか扱えない「転移魔法」を暴発させたのだ
君は伸び、そして時に縮みながら、時空の狭間を漂っている
君が次に目を覚ましたのは
>>71
66:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 22:51:12.20 ID:oiB6XcxO0
魔法世界
68:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 22:51:37.15 ID:ah2NeQ5C0
雲の上
69:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 22:51:52.74 ID:rcFpj1qs0
猫屋敷
71:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 22:52:18.85 ID:PU1zgpxz0
豪華な部屋の立派なベッドの中
72:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 22:52:19.58 ID:E6QvHUrz0
隔離病棟
70:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 22:52:16.63 ID:+n72n1GS0
魔法の学校
73:GM ◆FPJ9P.6QFg :2011/04/12(火) 22:57:57.93 ID:BVFXiGv+0
「ふぅ……ん……」
ふわり
「君」の頬には柔らかな感触がある
頬だけではなく、その柔らかさは全身を包み込んでいる
とろけそうなほどに暖かいその場所で、「君」は目を覚ました
「ふぁあ……」
大きな欠伸を一つ、二つ
小さな手をぐうっと伸ばして、「君」はゆっくりと辺りを見回してみた
「君」が眠っていたのは、金糸の装飾と、垂れ下がったレースが美しい鮮やかなベッドの上だった
「あれ、私は一体……」
杖と魔道書は、ベッドの傍らのサイドテーブルにそっと置かれている
寝癖まみれの髪をきゅっと後ろに縛って、「君」は置かれた状況を考えている
>>77
74:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 22:58:56.78 ID:64ZDo7kp0
ふと奇妙な形の壺が目に付く
76:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 23:01:23.93 ID:mCR07yAd0
まわりを調べに調べる
77:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 23:01:26.87 ID:E6QvHUrz0
全裸
79:GM ◆FPJ9P.6QFg :2011/04/12(火) 23:08:55.64 ID:BVFXiGv+0
「……ん?」
レースのカーテンの向こうから差し込む日差しを眺めながら、「君」はある事に気がついた
「ーっ!!!! なっ、なんで……!!!」
「君」は咄嗟に毛布を拾い上げ、自らの体を抱き締める
「君」は一糸纏わぬ姿だったのだ
素肌にふれるさらさらとした毛布の感触は気持ちよかったが、
「君」は完全に混乱していた
「えっと、えっと……!わ、私、廃墟で眠っちゃってそれでえっと……!!」
絢爛豪華なベッドの上一人身をよじっていると、遠くから足音が聞こえてくる
「……!! 誰かくる!」
こつり、こつり
足音は次第に大きくなり、ベッドの置かれた部屋のドアの前で止まった
>>84
80:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 23:09:50.11 ID:+n72n1GS0
混乱して相手に襲いかかる
81:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 23:10:00.02 ID:ah2NeQ5C0
寝たふり!
85:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 23:11:28.72 ID:E6QvHUrz0
窓から外に逃げる
84:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 23:11:27.60 ID:PU1zgpxz0
シーツをまとって仁王立ち
86:GM ◆FPJ9P.6QFg :2011/04/12(火) 23:16:56.10 ID:BVFXiGv+0
逃げようか、隠れようか
「君」の幼い脳は思い悩んだ挙句に暴挙とも呼べる行動をとった
身を包んでいたシーツを羽織、ベッドの上に立ち上がったのだ
ガチャリ
それと同時に、ゆっくりとドアが開かれ
「やぁ、お目覚めかい。小さな魔道士くん」
純白のシャツに細いタイを締めた、金髪の男性が現れた
歳の頃はまだ30代といった所に見え、
にっこりと微笑む顔は端正で気品に溢れている
その手に小さなトレイを持っていて、その上では暖かそうなティーポットが一つと、
シャツと同じ色をしたカップが二つ置いてある
>>91
88:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 23:19:39.92 ID:oiB6XcxO0
とりあえずお互い自己紹介
93:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 23:22:26.54 ID:MTk+b0Dd0
全裸になる
91:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 23:22:02.15 ID:E6QvHUrz0
ティーポットを残してトラップで死ぬ
94:GM ◆FPJ9P.6QFg :2011/04/12(火) 23:24:45.35 ID:BVFXiGv+0
おっとすまない、ここで一つ忠告をしておこう
この放浪で出される「安価」は、あくまでも「君自身」の行動を決めるものだ
つまり、「君」以外の事象に触れる事は出来ないと覚えていて欲しい
だから今回の「安価」はすまないが無効にさせてもらい、>>90を「君」の行動としよう
どうか怒らないでくれたまえ
90:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 23:20:43.66 ID:6kKjB4GS0
着ていた服のありかを尋ねる
95:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 23:26:44.90 ID:PU1zgpxz0
おk
96:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 23:28:36.28 ID:c+XPMzgJ0
把握
99:GM ◆FPJ9P.6QFg :2011/04/12(火) 23:32:34.90 ID:BVFXiGv+0
突然現れた男性のごく自然で紳士的な態度に、「君」はすっかり驚くのも忘れてしまった
持っていたシーツで自らの身体を包み、「君」は口を開く
「あ……あの」
「……? どうしたんだい?」
男性はテーブルの上にトレイを降ろしながら優しい口調で答える
「わ、私の服を知りません……か?」
そこでやっと、「君」は自らの裸を見られた事に恥じらいを覚えて、顔から火が出た
もちろん、本当に火を出したわけではないが
「服? あぁ、そうだった。すまない、ずぶ濡れだったから、メイドに頼んで脱がさせてもらったよ」
「もちろん、メイドは女性だから安心してくれたまえ。 昨夜の事は覚えていないのかい? 小さな魔道士くん」
「君」は再びベッドにへたりこんで、必死に昨夜の事を思い返そうとする
101:GM ◆FPJ9P.6QFg :2011/04/12(火) 23:38:52.44 ID:BVFXiGv+0
「昨日……昨日……」
「君」の脳内をぐるぐると記憶が巡る
男性はそんな「君」の様子をベッドと同じ様に装飾の凝られた椅子に腰掛け、
暖かい飲み物をすすりながらじっと眺めている
「あ……そうだ、私確か魔道の練習をしていて……!」
「君」はやっと、失いかけていた記憶の引き出しを見つけた
廃墟の町で目を覚ます前、「君」は自分の住んでいた家で魔道の修行を行っていた
「君」は生まれもって魔道の力が強く、非常に熱心に勉強をしていたのだが、
その時に練習していた魔法は、少しだけ「君」の能力の幅を超えていたのだ
暴走した力は「君」の身体を遥か遠くの地へ飛ばし、廃墟へ
そして廃墟で眠った君の身体は、また暴走を繰り返し、違う場所へと飛ばされた
103:GM ◆FPJ9P.6QFg :2011/04/12(火) 23:44:58.41 ID:BVFXiGv+0
「ここは……何処なんでしょう?」
自分が全く知らない土地に居る原因を把握した「君」は、改めて男性に問うた
「なるほど。やっぱり、私の予想した通りのようだね」
「例え意図しないとはいえ、君の年齢で転移魔法をコントロールするとは……”天才”というのはいるものだね」
「そ、そんな……私ただ失敗して……」
「君」は自分の故郷を思い出しつつ、自らの失敗を恥じてシーツに顔を沈める
「なに、謙遜する事は無い。転移魔法に失敗しておきながらこの世界に再び姿を現せた。それだけですごいことだ」
「どうやら君は本能的に魔道のなんたるかを理解しているようだね」
男性は朗らかに微笑んでカップを机の上に置き、立ち上がってカーテンに手をかけた
「さて、ここが何処だかわからないようだから紹介しよう。窓の外を見てみなさい」
男性が両の手でざぁっとカーテンを引くと、そこには
「う……わぁ……!!!」
107:GM ◆FPJ9P.6QFg :2011/04/12(火) 23:55:10.78 ID:BVFXiGv+0
そこに広がっていた光景に、「君」は思わず感嘆の声を漏らした
窓の外にあった景色
それは、先の尖った魔道帽を被り、杖を持った人間が大勢行き交う広い広い庭園だったからだ
空には「使い魔」と「飛行具」に乗った人間が飛び交い、庭園のあちこちで色とりどりの光が発光している
めまぐるしくその光景を見つめている「君」に、男性は改めて向き直り、口を開く
「ようこそ、『セルディナ魔道学園』に。予期せぬ転校生くん」
「セルディ……。うそ……! ここが……!!」
「君」の心臓は今にも止まりそうだった
なぜなら、「君」が今、裸でシーツにくるまっている場所は、ずっと憧れていた「魔道学園」の中だったのだから
「ははは、驚いたかい。私も君には驚いたから、これであおいこといこうじゃないか」
そう微笑みながら、男性は胸の前で掌を交差させる、魔道士特有の「敬意を表すサイン」を作り、お辞儀をする
「私はここの学園長を勤めさせてもらっている、ウィーキッド=セラムスという者だ。以後お見知りおきを」
109:GM ◆FPJ9P.6QFg :2011/04/12(火) 23:59:47.17 ID:BVFXiGv+0
「え、あ……あの……!」
「君」を保護してくれた人物、それはこの学園の学園長だった
この学園に憧れていた「君」は、彼の名前はもちろん知っていたが、その容姿までは知らなかったのだ
降って湧いたこのアクシデントに、「君」は必死になって応えようとする
「あ、あのっ! わ、私……きゃっ!!」
丁寧に頭を下げる彼に、自らも挨拶をしようと思ったのだが、両手を離すとシーツが落ちてしまう
「君」が困惑して慌てふためいていると
「おっと、すまないね。少し待ってくれたまえ」
彼がふっと下を向き、立てた人差し指に唇をつけて何かを呟くと、
「あっ!これ……!」
なんと「君」の目の前に、自らの衣服が唐突に姿を現した
「私は向こうを向いているから、早く着てしまいなさい」
112:GM ◆FPJ9P.6QFg :2011/04/13(水) 00:06:58.28 ID:1N6xZWoM0
「君」は急いで綺麗に畳まれた衣服を着ると、見計らったようにウィーキッドは振り返る
「説明が遅くなってしまった。ここは私の私室でね。昨日の夜、小川の袂で気を失っている君を見つけてここで寝かせていたというわけだ」
彼はカップに暖かい飲み物を注ぎながら、「君」が置かれた状況を説明した
「飲むと良い、身体が温まる」
「あ、ありがとう……ございます……」
ゆっくりと口をつけた飲み物は程良い暖かさで、君の全身から疲れが一気に抜け出す
どうやら魔道の力が働いている飲み物のようだ
「さて、私からの説明はこれくらいにして……」
彼は椅子に腰掛けて足を組み、こちらを見据える
「君の事を教えてくれないか? まず、何と呼べばいいだろうか」
>>117
114:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/13(水) 00:09:27.73 ID:HjfTuze90
ぶた野郎
115:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/13(水) 00:09:44.39 ID:63eiAd0B0
君
116:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/13(水) 00:10:03.27 ID:jFPzmp/s0
名前など無いと説明する
117:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/13(水) 00:10:17.62 ID:g7Afpy0o0
mesubuta
えっ
120:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/13(水) 00:12:05.82 ID:jFPzmp/s0
雌豚という呼称が適切になるには、そういう行為が必要だな…
122:GM ◆FPJ9P.6QFg :2011/04/13(水) 00:16:40.39 ID:1N6xZWoM0
「君」は憧れの学園長を前に、緊張しつつもゆっくりと口を開く
「メズ……」
「メズ?」
「はい……。私、メズビュート(Mesubuta)と言います……。その、”メズ”と呼んでください……っ!!」
「君」は精一杯自らの名前を口にした後、やっとの思いでたっぷりと息を吸い込んだ
自分でも驚くほどに心臓が高鳴っている
「ははは、そんなに緊張しなくともいいよ」
高らかに笑う彼の声に、「君」はさらに緊張してしまう
「メズビュートか……。良い名前だ。名というのは魔道士にとって大切な物だからね。よろしく、メズ」
「は、はい……っ! あの、助けて頂いて、どうもありがとうございました」
「君」はベッドの上から降り立ち、そこでやっと、随分遅くなった礼をする
今度はしっかりとサインも忘れずに
123:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/13(水) 00:17:42.62 ID:jFPzmp/s0
良GMだな
124:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/13(水) 00:17:54.76 ID:6XnlOB1m0
いいフォローだ
126:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/13(水) 00:20:19.73 ID:/P43yPa6O
過去にそう呼ばれていた→新しく名前を付けられる
そんな展開を想像してたけどすげー
回避うめえ
129:GM ◆FPJ9P.6QFg :2011/04/13(水) 00:28:13.50 ID:1N6xZWoM0
「それで、メズ。君は一体何処の出身なんだい? 見たところ、まだ随分と若いようだが……」
髪を後ろで纏めて、濃い色をしたローブを羽織った「君」の姿をウィーキッドは改めて見つめている
「君」はその視線にもじもじと身をよじりながらも、少しずつ自分の事を話し出した
「ええと……、私はムスパルの出身です」
「……! ムスパル! 栄えし魔道士の土地……。それは、本当かい? ムスパルと言えば大戦で滅んだと聞いたが」
「…………」
「君」は言葉が出なかった
なぜなら、君の故郷であるムスパルは、彼の言う通り10年前の大戦で滅んでいたからだ
「……すまない、辛い事を聞いてしまったようだ」
俯いた彼はまるで自らの事であるかのように辛そうな表情を浮かべている
それだけで彼の心の温かみが分かり、「君」は慌てて手を振った
「あ、あのっ! いいんです……! 気にしないでください」
「私が産まれてすぐ、私の故郷ムスパルは滅びました……」
「私の両親も亡くなって、唯一生き残った十数人の魔道士達に私は育てられたんです」
「君」の生い立ちを、ウィーキッドはただ黙って、聞いている
132:GM ◆FPJ9P.6QFg :2011/04/13(水) 00:35:19.83 ID:1N6xZWoM0
「色々な事を教わりました、魔道や、料理や世界の事……。それに、大戦の事も……」
「なるほど。それじゃあ、君の他にもまだムスパルには幾人かの生き残りが……」
「いいえ」
「君」はウィーキッドの言葉を遮った
眉を少し吊り上げて、彼は驚く
「……私が、最後です。最後の一人は、二年前に亡くなりました」
「……そう……か」
沈黙が部屋を満たしている
「君」の余りにも悲しい生い立ちに、彼は言葉さえ失ってしまったようだった
「君」が手持ち無沙汰にカップに入った飲み物を飲み干すと、それと同時に再び彼は顔を上げる
「……メズ。一つ提案がある」
135:GM ◆FPJ9P.6QFg :2011/04/13(水) 00:42:47.55 ID:1N6xZWoM0
「は、はい……」
彼の声は先ほどとは比べ物にならないほど、ゆっくりとしていた、それでいて迫力があった
その声に沈黙は掻き消え、「君」は生唾を一つ、飲み込んだ
「ここセルディナで暮らしてみてはどうだろうか。もちろん、君がよければ、だが……」
「……っ!!」
「君」は再び絶句した
彼の提案が、「君」の予想をはるかに超えていたからだ
「こうして君が私の前に居る事には、何か意味があるはずだ。きっと、”女神イオス”のお導きに違いない」
「ここには君と同じ歳頃の魔道士もたくさん居るし、何より自らの魔道を高めるにはもってこいの場所だ」
「君」はこの幸運に、即座に首を振りたかった
しかし、そうは出来ない
「とても嬉しいですけど……、私、お金なんてもってないし……」
そう、「君」はただの1リランたりとも持っては居なかった
145:GM ◆FPJ9P.6QFg :2011/04/13(水) 00:55:59.34 ID:1N6xZWoM0
「そんな物要らないよ、と言いたい所だが……。きっとそう言っても君は納得しないだろうね」
「……」
その通りだった
「君」は幼き頃から人に無償の施しを受ける事はならないと教えられてきた
それは「君」の故郷であるムスパルが”閉塞的な土地”と呼ばれていた理由の一つでもある
「ではこうしよう。君にはここで暮らしながら、”プロバイダー”の資格を取って欲しい」
「プロ……バイダー?」
「君」にとってその言葉は始めて耳にする言葉だった
首をかしげる「君」を見て、彼は熱心に説明を続ける
「あぁ、大戦後に出来た王立の新しい機関でね。”与える者”と呼ばれるプロバイダーは、民の益のために働くのだ」
「有体に言えば、民のための”便利屋”と言った所か。魔物退治や揉め事の解決なんかを頼まれる事が多い」
「そ……、そのプロ……なんとかになると、お金がもらえるんですか?」
「そういう事だ。これはとても難しい資格だが、君がここで学べばきっと合格出来る」
「そうなってから、君はここで世話になった分のリランを支払ってくれれば良い。どうだろう、悪い話ではないだろう?」
146:GM ◆FPJ9P.6QFg :2011/04/13(水) 01:01:43.80 ID:1N6xZWoM0
「君」は悩んだ
ウィーキッドの申し出は、孤児である「君」にとって素晴らしいものだったから
憧れの学園で生活が出来る
そんな夢のような話に、食いついていいのだろうか
悲しい生い立ちを持つ「君」の心は、人を信じる心を少しばかり失いかけていたのだ
「わかった、すぐに答を出せとは言わない。では、これを受け取ってくれたまえ」
チャリン
君の手の平の上に、何処からともなく一つの重いキーが現れた
「……これは?」
「学生寮の隣にある離れの鍵だ。寝泊りする場所も無いだろう? 暫くそこで暮らすといい」
「少し古ぼけてはいるが、一通りの家具は揃っている。この学園の地図は君の魔道書に追加しておいたから、それを見れば迷う事もないはずだ」
「あ……そ、そんな……!!」
「ノーとは言わせないよ。行き倒れの少女を見捨てたとあっては、学園長の名折れだからね」
148:GM ◆FPJ9P.6QFg :2011/04/13(水) 01:07:14.49 ID:1N6xZWoM0
「あ、あの……」
「おっと、もうこんな時間だ。私は少し出かけなくてはならないから、君は学園をゆっくり見て回るといい」
「その鍵を見せれば学生と同じ扱いを受けられるはずだ。食堂に行けば食べ物も提供してくれる」
一体何故、彼はこんなにも優しくしてくれるのだろうか
「君」はシャツの上に上着を羽織るウィーキッドを見つめながら、ただ呆然とする
「それではメズ、また夜にでも話をしよう。 学園を楽しんでくれ」
そう言うなり、彼の身体がふっと光り、次の瞬間にはそこに誰も居なくなってしまった
「転移……魔法……!」
目の前で見る高位魔法に、「君」は彼の偉大さを改めて知るのだった
「……これから……どうしよう」
「君」は一人残された部屋の中、渡された鍵を見つめながら悩んだ
窓の外には楽しそうに行き交う生徒達
気がつけば、腹の虫も鳴いていた
>>153
151:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/13(水) 01:11:18.15 ID:/P43yPa6O
とりあえず学生寮へ向かう
154:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/13(水) 01:11:25.72 ID:lZpurgwr0
寮を見て回る
155:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/13(水) 01:11:43.72 ID:6XnlOB1m0
農業
153:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/13(水) 01:11:23.14 ID:s10wXz5a0
窓を開けて顔を出してみる
157:GM ◆FPJ9P.6QFg :2011/04/13(水) 01:17:54.95 ID:1N6xZWoM0
「…………」
「君」は窓を見る
憧れだった世界が広がっている窓を
気がつけば「君」はその窓の側に立ち、その取っ手をきゅっと握りしめていた
きぃ
ゆっくりと、ゆっくりと「君」は窓を押し開ける
隙間からは青い香りの風が溢れて、火照った頬を撫でていく
「ここが……セルディナ……!!」
開ききった窓の向こうに、「君」が憧れていた世界が在った
それはもう、夢や空想の世界ではなく、肌で風を感じ、その香りを嗅ぎ、その声が聞ける所に在った
行き交う人々よりも高い位置にある窓から、「君」はそっと顔を出す
誰一人として、おっかなびっくりの「君」に気付く者は居ない
「君」はじっくりと、行き交う魔道士のタマゴ達の笑顔を眺める
159:GM ◆FPJ9P.6QFg :2011/04/13(水) 01:23:50.24 ID:1N6xZWoM0
「皆……楽しそうだなぁ」
「君」はその光景を、ただぼうっと見つめている
もし自分があの輪の中に入れたらどんなに楽しいだろう
もう決して手の届かないものではない「夢」で、「君」の頭はいっぱいになっていた
時間も忘れ、そうして外を眺めていると、ふと遠くから何かが聞こえてくる
「なんの音かな……?」
それは何かの鳴き声にも聞こえる
「……悲鳴?」
段々と大きくなる声に、「君」は庭園の中を必死に見回す
しかしその悲鳴の主はおらず、皆一様に笑顔を浮かべているだけだ
「どこ……?どこなの?」
焦りつつ窓枠をぎゅっと握り締め空を見上げた時、やっとその声がはっきりと聞こえた
「よ……避けてええええええええええ!!!!!!!!!!!!」
160:GM ◆FPJ9P.6QFg :2011/04/13(水) 01:27:25.10 ID:1N6xZWoM0
「き……きゃああ!!!」
「君」がその声の方、青い空を見上げると、”ソレ”は居た
「あぶなぁああい!!!!!退いてええええ!!!!!」
急速に接近する”ソレ”が何かは「君」にはちゃんと見えなかった
それほどのスピードで迫ってきていたのだ
しかし、”ソレ”が人である事は確かなようだった
”ソレ”は一直線に「君」の立つ窓に向かってきている
このままのスピードでぶつかっては、どちらも無事では済まないだろう
>>166
163:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/13(水) 01:28:49.38 ID:jFPzmp/s0
魔法でなんとかできないか
164:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/13(水) 01:29:06.51 ID:/P43yPa6O
その場から飛び退く
165:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/13(水) 01:29:37.31 ID:6oSCmNIb0
真ん前から打ち砕く
166:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/13(水) 01:29:38.78 ID:kQdDpa1t0
いそいで窓を閉めて室内へ退避
「わ、わ、わ……!!!」
「君」はパニックに陥っていた
そしてどうすればいいかわからず、「君」は窓を閉め、
咄嗟にその場にしゃがみ込んでしまった
「きゃああああ!!!!!!!!!!!」
悲鳴が最大限に大きくなったと同時に、「君」の真上にある窓に、”ソレ”は直撃した
「……っ!!!」
「君」は降り注ぐであろう窓ガラスから身を守るために、頭を抱え込んで震えている
しかしながら、想像していた様な音は一切聞こえてこない
「君」は不思議に思い恐る恐る顔を上げる
「えっ……!!!!」
そしてその眼前で起こっている光景に、「君」は思わず口を塞いだ
なんと、あの硬そうな窓ガラスはまるで飴細工の様にぐにゃりと曲がり、ぶつかった”ソレ”を優しく包み込んでいるのだ
「す……すごい……!」
172:GM ◆FPJ9P.6QFg :2011/04/13(水) 01:48:23.50 ID:1N6xZWoM0
窓ガラスは次第にゆっくりと膨れ上がり、一つの球体を形作る
それはまるでシャボン玉の様にふわふわと浮かびあがり
そしてゆっくり、ベッドの上に降り立った
シーツに触れた球体はぱちん、と弾け、その中から”ソレ”が姿を現した
「あいったたたたたた……!!!」
頭をふるいながら、”ソレ”はゆっくりと顔をあげる
「だ……だいじょう……ぶ?」
「ごっめんねー……! け、怪我なかった?」
申し訳無さそうに微笑みながらこちらを見たのは、薄い青の髪を短く切り揃えた少女だった
「わ、私は大丈夫……だけど……」
「あはは……それならよかったー……。”溶け硝子”の窓じゃなかったら死んでたね、あたし」
あぐらをかいて自分の頭をわしわしと掻きながら、彼女は照れ臭そうだ
「っとにこの馬鹿ホウキ!! やっぱりお化けコウモリの羽を使ったのは失敗だったか」
しかし次の瞬間には、真ん中で半分に折れたホウキを叩きながら悪態をついている
「君」はそのあまりの破天荒ぶりに、面食らってしまった
176:GM ◆FPJ9P.6QFg :2011/04/13(水) 02:00:22.58 ID:1N6xZWoM0
「だからお化けコウモリより温室ドラゴンの尾びれが良いって言ったのにあの眼鏡……!」
「あ、あの……」
なにやらホウキを弄りながら一人でぶつぶつと悪態をついている少女に、「君」は恐る恐る声をかけた
「えっ!? あ、ごめんごめん…… なにかな?」
「君」の声に背筋を伸ばした少女はこちらに向き直り、目をぱちくりとさせている
「ていうか……あんた、誰?」
そして今度は片眉を吊り上げた不思議そうな目で「君」を見ている
「あ、あの私……メズビュートって言います」
「メズビュート? 聞いたことないけど、ここの生徒じゃないよね? あ、そうだ」
「私はスノア! スノア=プリウィッテ! スノーって呼んでちょーだい」
「す、スノー……さん。じゃあ私は……メズって呼んでください」
「さんとか痒いのつけなくていいって! メズね! オッケー、良い名前じゃん!」
からからと高らかに笑うスノーは、この学園の生徒のようだった
帽子こそ被っていないものの、外を行き交う人々と同じ深い色のローブを着ている
ただ一つ違うのは、普通は地面スレスレか、引き摺るはずのローブの裾を膝の上ほどの長さまで切り揃えている事だ
178:GM ◆FPJ9P.6QFg :2011/04/13(水) 02:08:53.98 ID:1N6xZWoM0
「あ、あのスノーさん……、」
「ん? 何?」
「少し血が……」
「君」はスノーの肘から一筋の赤い血が流れているのを見つけた
さほど深くはないようだが、何か手当てをしないと血は止まりそうにない
「あーほんとだ……。 あははは、こんなの日常茶飯事だから大丈夫大丈夫! いてて……」
そうは言いながらも、きっと痛むのだろう、彼女は少し眉をひそめている
「あの、少しじっとしててもらえますか……?」
「な、なになに! なにすんの!?」
「君」はそっと彼女に近づくと、血の出ている部分に両手をかざす
「……………………っ……!」
「おー、すご……!」
「君」は目を閉じ呪文を詠唱すると、「君」の掌は薄緑に光り、スノーの肘から出ていた傷がすうっと消えていった
「すごいすごい! 完璧に治ってる! あんたちっさいのに”ヒーリング”上手いねー!」
180:GM ◆FPJ9P.6QFg :2011/04/13(水) 02:17:16.64 ID:1N6xZWoM0
「いえ、そんな……」
人に魔法を褒められた事があまりない「君」は、照れて顔を伏せる
「ありがと! いやーあたしも見習わないとねー、ヒーリングとかそういうのはぜんっぜん駄目なんだーあははは」
あっけらかんと笑う少女に、「君」は早くも親近感を感じ始めていた
彼女にはすぐに人と打ち解けられる、そんな不思議な雰囲気が漂っている
「で、ここ学園長室だよね? メズはこんなとこで何してんの?」
「え、えっと、それは……」
興味津々といった目で「君」を見る彼女に、「君」はこれまでの経緯をかいつまんで説明する
説明する間中、彼女はしきりに相槌を打って「君」の話に聞き入っていた
「……なるほど。なんか、大変だね、あんた」
「あはは……。自分でもどうしようかと思ってます……」
「よーしわかった!! じゃあ、手出して! 手!」
「手? こ、こうですか……?」
「君」は言われるままに自分の手をそっと彼女の前に差し出す
183:GM ◆FPJ9P.6QFg :2011/04/13(水) 02:27:25.23 ID:1N6xZWoM0
「はい! これであたしたちはもう友達!! ね?」
「っ!!」
スノーは「君」の小さな手をぎゅっと握り締めて、笑いかけた
彼女の手はまるで太陽の様に暖かくて、「君」の心の緊張は一気に解けていく
「は、はい……っ!!」
「じゃ、いこっか!」
「え、行くってどこ……うわっ!!」
まるで流星の様に現れた「友人」は、「君」の手を引っ張ったままで学園長室の外に出た
並んで立つとスノーは「君」よりも10cm以上は背が高い
年齢もきっと「君」よりも上だろう
「姉御肌」な彼女の気質も、そう思わせる要因だった
「で、どこに行きたい? あたしが学園を案内してあげる!」
「ど、何処って言われても……あの、あの……」
君は学園長に追加してもらった学園の地図を眺めながら、慌てていた
>>189
188:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/13(水) 02:31:18.98 ID:lZpurgwr0
食堂
189:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/13(水) 02:31:21.69 ID:ii/hAdM50
トイレ
191:GM ◆FPJ9P.6QFg :2011/04/13(水) 02:38:40.31 ID:1N6xZWoM0
「えっと、えっと……!」
「どーしたのさ! 憧れの学園なんでしょ? 大先輩のあたしが何処でも……」
「と、ト……」
「と?」
「お、おトイレ……!」
「はァ!? トイレ!? ちょ、ちょっと待ちなって! もしかして、やばい感じなの!?」
「君」は顔を真っ赤にしながらも、スノーの顔を見上げて小さく頷いた
彼女の「襲来」ですっかり忘れてしまっていたが、
目を覚ましてからずっとお手洗いに行きたいのを我慢していたのだ
「我慢出来る!? ホウキ……は壊れたんだった……! よっしゃ、杖と本落とさないように気をつけなよ!」
「え!? ちょ、す、スノーさんうわっ!!」
「君」が何か言う間もなく、「君」はあっという間にスノーの両腕に抱えられてしまった
細い腕に見えるが、どうやら体力には自身があるらしい
「どいたどいたぁぁ!!! 通るよ通るよー!!!!!!」
広い廊下に彼女のよく通る声が響き渡り、まるで風の様に彼女は「君」を抱えて走った
195:GM ◆FPJ9P.6QFg :2011/04/13(水) 02:44:09.84 ID:1N6xZWoM0
―――――――――
どうだろう
今回の「君」の放浪はなかなかに楽しそうだったね
しかしながら、今回の放浪はこの辺りで一旦おしまいとしよう
「君」がもし望むのならば、「君」の放浪はまた何処かで「君」に出会うだろう
それは明日かもしれないし、もっとずっと先かもしれない
とにかく、放浪は続いていく
これからもずっと
また何処かで会おう、多くの「君」達よ
196:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/13(水) 02:45:06.01 ID:kQdDpa1t0
お疲れですー
197:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/13(水) 02:45:44.87 ID:nXYeMnlCO
トイレ描写……
いや、素晴らしかった!!
乙!!
198:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/13(水) 02:55:46.57 ID:aTmo+SbS0
乙
199:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/13(水) 02:56:54.18 ID:5ZjDb+cn0
おつー
次はいつやんの?
200:GM ◆FPJ9P.6QFg :2011/04/13(水) 03:01:39.90 ID:1N6xZWoM0
次の「君」と出会うのは、いつかはわからない
ただこの放浪記の名と、語り部の名さえ覚えていくれれば
きっとまた「君」と巡り合うことだろう
201:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/13(水) 03:42:12.83 ID:kQdDpa1t0
乙
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やぁ、よく来たね
この世界は君たちが住む世界とは少し様相が違う
「剣と魔法の世界」と言えば、通りがいいかもしれない
魔族やモンスター、冒険者にダンジョンに、国同士の大きな戦争
君たちがおおよそ体験してきた様々な要素がこの世界にはあると思ってくれていいだろう
では自由な放浪を始める前に、まず「君」という人間を作っていこう
まずは性別を決めてくれ
「君」は男でもいいし、女でもいい
性別不明というのも面白いかもしれない
>>3
2:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 21:12:40.57 ID:vOJNdG/30
kskst
3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 21:12:45.84 ID:vOJNdG/30
kskst
4:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 21:13:14.85 ID:EYsj/5OE0
kskst
5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 21:13:36.05 ID:96ZnZxxM0
kskst
6:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 21:14:19.02 ID:EYsj/5OE0
kskst
7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 21:14:20.30 ID:tHttjM3L0
kskst
8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 21:14:49.47 ID:v2iyhvry0
kskst
9:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 21:14:53.70 ID:kJUVL5ki0
kskst
10:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 21:15:18.74 ID:EYsj/5OE0
kskst
11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 21:15:47.21 ID:tHttjM3L0
kskst
12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 21:16:26.91 ID:96ZnZxxM0
俺としては女がいいかも
あ、安価下な
13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 21:18:27.05 ID:BVFXiGv+0
よろしい、では「君」は女性だ
次に「君」の特徴を決めてくれ
例えば、「弓の名手」や「貴族の出身」といった具合に
「生粋のじゃじゃ馬」や「大酒のみ」なんて特徴があっても面白いし
「誰もが振り向く美人」といった容姿に関することや、「一族を全て殺された不幸な女」といったものも面白い
この放浪に目的はないから、その特徴が生かせる場所はないかもしれない
それでも「君」という人間を形作るには、とても大事な要素には違いないはずだ
では一つ目の特徴を教えてくれ
>>16
16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 21:22:28.78 ID:EYsj/5OE0
kskst
18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 21:24:03.17 ID:9PK4FhWh0
淫乱
17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 21:22:28.79 ID:agEkDjHl0
魔女見習い
19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 21:27:46.77 ID:BVFXiGv+0
なるほど、では「君」は「魔女の見習い」という特徴を獲得した
女性は男性よりも魔力が強い傾向があるから、
この特徴はきっと面白いものになるだろう
それではもう一つ、特徴を決めてくれ
特徴は外見に関するものも面白いかもしれない
>>22
22:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 21:31:16.33 ID:agEkDjHl0
年齢:10歳
身長:140cm
髪色:茶
髪型:ポニテ
23:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 21:31:48.76 ID:96ZnZxxM0
>>22
gj
>>22
gj
24:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 21:32:05.08 ID:Z3AgnbNc0
>>22
ナイス
25:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 21:35:12.22 ID:BVFXiGv+0>>22
ナイス
わかった、「君」の年齢は10歳で、
容姿は小柄、
一つに纏めた穏やかな色の髪が印象的な少女に決まった
最後にもう一つだけ、「君」の特徴を聞いておこう
>>29
28:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 21:38:12.15 ID:9PK4FhWh0
キス魔
30:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 21:39:11.48 ID:dGVTrA34O
巨乳
29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 21:38:57.62 ID:96ZnZxxM0
寂しがりや
32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 21:40:59.80 ID:BVFXiGv+0
おめでとう! これで「君」という人間はひとまず完成した
「君」は女性で、
小柄な体躯と穏やかな髪を持ち、
魔道を志す10歳の少女
となった
これから君の放浪はスタートするわけだが
その前に少しだけ休憩を挟もう
これから始まる冒険に思いを馳せながら、しばし待っていてほしい
33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 21:42:36.59 ID:BVFXiGv+0
おっとすまない
一つ特徴を加え忘れていた
「君」は女性で、
小柄な体躯と穏やかな髪を持ち、
魔道を志す寂しがりやの10歳の少女
となった
では改めて、暫く待っていてくれたまえ
38:GM ◆FPJ9P.6QFg :2011/04/12(火) 22:16:42.55 ID:BVFXiGv+0
よし、それでは素晴らしき放浪の旅を始めよう
「君」はまだ、何も無い空間に居る
目の前は真っ暗でもあり、真っ白でもある
「君」は眠っているのだ
そしてゆっくりとその小さな瞼を動かし、「君」は目を覚まそうとしている
君が目を覚ました場所、それは一体何処か教えてくれ
それは緑が多い茂る大平原でも良いし、霧の立ち込める森の中でもいい
はたまた魔物が歩き回るダンジョンでも良いし、街の片隅や暖かいベッドでもいいだろう
>>41
42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 22:18:38.44 ID:PU1zgpxz0
洞窟の宝箱の中
41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 22:18:11.61 ID:E6QvHUrz0
福島
43:GM ◆FPJ9P.6QFg :2011/04/12(火) 22:24:27.10 ID:BVFXiGv+0
ゆっくりと長い睫毛が上下し、「君」は目を覚ました
辺りを見回してみても、その場所に見覚えは無い
目の前に広がっているのは、立ち並んだ灰色の建物達
生き物の気配は無く、どうやらそこは廃墟のようだ
「私……どうしてここに?」
傍らには愛用している木製の杖と、魔道書が落ちている
それらを拾い上げ、「君」は必死にここに居る理由を思い出そうとしている
>>47
なお、これから先こうして「安価」が出された場合、行動を求められていると考えてもらって結構だ
さぁ、第一歩を
44:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 22:25:20.39 ID:+n72n1GS0
すべきことが書かれたメモを探す
45:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 22:25:45.23 ID:ah2NeQ5C0
とりあえずトイレを探す
46:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 22:27:48.13 ID:tHttjM3L0
遅刻しそうなので食パンをくわえて登校
48:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 22:28:31.71 ID:5qqORinAO
魔物退治
47:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 22:27:49.74 ID:PU1zgpxz0
鼻歌まじりにスキップしながらあたりを散策する
49:GM ◆FPJ9P.6QFg :2011/04/12(火) 22:34:01.92 ID:BVFXiGv+0
「……」
「君」は悩んだ
辺りに立ち込めているのは湿り気を帯びた霧
生き物の気配もなく、ひっそりと静まり返っている
生来の性格か、こういう場所に居ると「君」には恐怖が襲ってくる
だから「君」は、せめてその恐怖を振りほどこうと鼻歌を歌う事にした
「こわくないもの……!こーわくなんかない……」
久しぶりに喉を動かしたせいか、それとも立ち込める霧のせいか
「君」の喉は少し痛んだが、そんな事は気にせず、「君」は足取りも軽やかに散策を始めた
「フク……シマ?」
その途中、錆びついて風化した看板から、その場所が「フクシマ」と呼ばれる場所である事を見つけた
記憶を探ってみても、思い当たる節はない
>>52
51:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 22:34:52.34 ID:+n72n1GS0
空を見上げる
52:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 22:34:57.32 ID:BwY7tgMP0
kskst
53:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 22:35:05.39 ID:tHttjM3L0
寝直す
55:GM ◆FPJ9P.6QFg :2011/04/12(火) 22:41:10.35 ID:BVFXiGv+0
散策を続けていると、「君」はとある建物の中に柔らかそうに敷かれた毛布を見つけた
「人が居たのかな」
中に入ってみると、そこには幾つかのコップや皿、そして火を起こした跡がある
すっかり古びていたが、確かな「人の気配」に「君」の恐怖は少し和らいだ
未だすっきりしない頭をさすりながら毛布に腰掛けると、「君」の瞼はゆっくりと上下しはじめる
どうやらまだ眠気がとれていないようだ
こんな所で眠ってはいけない、そうは思うものの、迫る睡魔に勝つ事は、幼い君には不可能だった
「むにゃ……むにゃ」
気がつけば「君」は大切な杖を抱き締めながら、魔道書を枕に、ローブを布団にして横になっている
ゆっくりと瞳を閉じた「君」は、再び眠りの世界へと落ちていった
56:GM ◆FPJ9P.6QFg :2011/04/12(火) 22:44:25.97 ID:BVFXiGv+0
「君」が眠りについて暫くすると、「君」が抱き締めていた杖の先端
銀の装飾で包まれた緑色の球体が微かに光はじめた
どうやら眠っている「君」の魔力に反応しているらしい
しかし「君」は、段々と強くなる光に気付かずに寝息を立てている
光は次第に辺り全体を包み始め、灰色の建物を真っ白に染めていく
そして、「君」が寝返りをうとうとした次の瞬間、球体は最大限の光を放った
しぃん、と静まり返った廃墟
敷かれた毛布の上に、既に「君」の姿はなかった
59:GM ◆FPJ9P.6QFg :2011/04/12(火) 22:47:04.44 ID:BVFXiGv+0
「君」の杖は、また君を運んでいる
どこか遠い所へと
幼い「君」の魔力は、どうやら眠ると極端に強くなるようで
その強い魔力に反応した杖が、高位の魔道士にしか扱えない「転移魔法」を暴発させたのだ
君は伸び、そして時に縮みながら、時空の狭間を漂っている
君が次に目を覚ましたのは
>>71
66:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 22:51:12.20 ID:oiB6XcxO0
魔法世界
68:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 22:51:37.15 ID:ah2NeQ5C0
雲の上
69:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 22:51:52.74 ID:rcFpj1qs0
猫屋敷
71:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 22:52:18.85 ID:PU1zgpxz0
豪華な部屋の立派なベッドの中
72:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 22:52:19.58 ID:E6QvHUrz0
隔離病棟
70:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 22:52:16.63 ID:+n72n1GS0
魔法の学校
73:GM ◆FPJ9P.6QFg :2011/04/12(火) 22:57:57.93 ID:BVFXiGv+0
「ふぅ……ん……」
ふわり
「君」の頬には柔らかな感触がある
頬だけではなく、その柔らかさは全身を包み込んでいる
とろけそうなほどに暖かいその場所で、「君」は目を覚ました
「ふぁあ……」
大きな欠伸を一つ、二つ
小さな手をぐうっと伸ばして、「君」はゆっくりと辺りを見回してみた
「君」が眠っていたのは、金糸の装飾と、垂れ下がったレースが美しい鮮やかなベッドの上だった
「あれ、私は一体……」
杖と魔道書は、ベッドの傍らのサイドテーブルにそっと置かれている
寝癖まみれの髪をきゅっと後ろに縛って、「君」は置かれた状況を考えている
>>77
74:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 22:58:56.78 ID:64ZDo7kp0
ふと奇妙な形の壺が目に付く
76:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 23:01:23.93 ID:mCR07yAd0
まわりを調べに調べる
77:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 23:01:26.87 ID:E6QvHUrz0
全裸
79:GM ◆FPJ9P.6QFg :2011/04/12(火) 23:08:55.64 ID:BVFXiGv+0
「……ん?」
レースのカーテンの向こうから差し込む日差しを眺めながら、「君」はある事に気がついた
「ーっ!!!! なっ、なんで……!!!」
「君」は咄嗟に毛布を拾い上げ、自らの体を抱き締める
「君」は一糸纏わぬ姿だったのだ
素肌にふれるさらさらとした毛布の感触は気持ちよかったが、
「君」は完全に混乱していた
「えっと、えっと……!わ、私、廃墟で眠っちゃってそれでえっと……!!」
絢爛豪華なベッドの上一人身をよじっていると、遠くから足音が聞こえてくる
「……!! 誰かくる!」
こつり、こつり
足音は次第に大きくなり、ベッドの置かれた部屋のドアの前で止まった
>>84
80:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 23:09:50.11 ID:+n72n1GS0
混乱して相手に襲いかかる
81:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 23:10:00.02 ID:ah2NeQ5C0
寝たふり!
85:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 23:11:28.72 ID:E6QvHUrz0
窓から外に逃げる
84:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 23:11:27.60 ID:PU1zgpxz0
シーツをまとって仁王立ち
86:GM ◆FPJ9P.6QFg :2011/04/12(火) 23:16:56.10 ID:BVFXiGv+0
逃げようか、隠れようか
「君」の幼い脳は思い悩んだ挙句に暴挙とも呼べる行動をとった
身を包んでいたシーツを羽織、ベッドの上に立ち上がったのだ
ガチャリ
それと同時に、ゆっくりとドアが開かれ
「やぁ、お目覚めかい。小さな魔道士くん」
純白のシャツに細いタイを締めた、金髪の男性が現れた
歳の頃はまだ30代といった所に見え、
にっこりと微笑む顔は端正で気品に溢れている
その手に小さなトレイを持っていて、その上では暖かそうなティーポットが一つと、
シャツと同じ色をしたカップが二つ置いてある
>>91
88:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 23:19:39.92 ID:oiB6XcxO0
とりあえずお互い自己紹介
93:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 23:22:26.54 ID:MTk+b0Dd0
全裸になる
91:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 23:22:02.15 ID:E6QvHUrz0
ティーポットを残してトラップで死ぬ
94:GM ◆FPJ9P.6QFg :2011/04/12(火) 23:24:45.35 ID:BVFXiGv+0
おっとすまない、ここで一つ忠告をしておこう
この放浪で出される「安価」は、あくまでも「君自身」の行動を決めるものだ
つまり、「君」以外の事象に触れる事は出来ないと覚えていて欲しい
だから今回の「安価」はすまないが無効にさせてもらい、>>90を「君」の行動としよう
どうか怒らないでくれたまえ
着ていた服のありかを尋ねる
95:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 23:26:44.90 ID:PU1zgpxz0
おk
96:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/12(火) 23:28:36.28 ID:c+XPMzgJ0
把握
99:GM ◆FPJ9P.6QFg :2011/04/12(火) 23:32:34.90 ID:BVFXiGv+0
突然現れた男性のごく自然で紳士的な態度に、「君」はすっかり驚くのも忘れてしまった
持っていたシーツで自らの身体を包み、「君」は口を開く
「あ……あの」
「……? どうしたんだい?」
男性はテーブルの上にトレイを降ろしながら優しい口調で答える
「わ、私の服を知りません……か?」
そこでやっと、「君」は自らの裸を見られた事に恥じらいを覚えて、顔から火が出た
もちろん、本当に火を出したわけではないが
「服? あぁ、そうだった。すまない、ずぶ濡れだったから、メイドに頼んで脱がさせてもらったよ」
「もちろん、メイドは女性だから安心してくれたまえ。 昨夜の事は覚えていないのかい? 小さな魔道士くん」
「君」は再びベッドにへたりこんで、必死に昨夜の事を思い返そうとする
101:GM ◆FPJ9P.6QFg :2011/04/12(火) 23:38:52.44 ID:BVFXiGv+0
「昨日……昨日……」
「君」の脳内をぐるぐると記憶が巡る
男性はそんな「君」の様子をベッドと同じ様に装飾の凝られた椅子に腰掛け、
暖かい飲み物をすすりながらじっと眺めている
「あ……そうだ、私確か魔道の練習をしていて……!」
「君」はやっと、失いかけていた記憶の引き出しを見つけた
廃墟の町で目を覚ます前、「君」は自分の住んでいた家で魔道の修行を行っていた
「君」は生まれもって魔道の力が強く、非常に熱心に勉強をしていたのだが、
その時に練習していた魔法は、少しだけ「君」の能力の幅を超えていたのだ
暴走した力は「君」の身体を遥か遠くの地へ飛ばし、廃墟へ
そして廃墟で眠った君の身体は、また暴走を繰り返し、違う場所へと飛ばされた
103:GM ◆FPJ9P.6QFg :2011/04/12(火) 23:44:58.41 ID:BVFXiGv+0
「ここは……何処なんでしょう?」
自分が全く知らない土地に居る原因を把握した「君」は、改めて男性に問うた
「なるほど。やっぱり、私の予想した通りのようだね」
「例え意図しないとはいえ、君の年齢で転移魔法をコントロールするとは……”天才”というのはいるものだね」
「そ、そんな……私ただ失敗して……」
「君」は自分の故郷を思い出しつつ、自らの失敗を恥じてシーツに顔を沈める
「なに、謙遜する事は無い。転移魔法に失敗しておきながらこの世界に再び姿を現せた。それだけですごいことだ」
「どうやら君は本能的に魔道のなんたるかを理解しているようだね」
男性は朗らかに微笑んでカップを机の上に置き、立ち上がってカーテンに手をかけた
「さて、ここが何処だかわからないようだから紹介しよう。窓の外を見てみなさい」
男性が両の手でざぁっとカーテンを引くと、そこには
「う……わぁ……!!!」
107:GM ◆FPJ9P.6QFg :2011/04/12(火) 23:55:10.78 ID:BVFXiGv+0
そこに広がっていた光景に、「君」は思わず感嘆の声を漏らした
窓の外にあった景色
それは、先の尖った魔道帽を被り、杖を持った人間が大勢行き交う広い広い庭園だったからだ
空には「使い魔」と「飛行具」に乗った人間が飛び交い、庭園のあちこちで色とりどりの光が発光している
めまぐるしくその光景を見つめている「君」に、男性は改めて向き直り、口を開く
「ようこそ、『セルディナ魔道学園』に。予期せぬ転校生くん」
「セルディ……。うそ……! ここが……!!」
「君」の心臓は今にも止まりそうだった
なぜなら、「君」が今、裸でシーツにくるまっている場所は、ずっと憧れていた「魔道学園」の中だったのだから
「ははは、驚いたかい。私も君には驚いたから、これであおいこといこうじゃないか」
そう微笑みながら、男性は胸の前で掌を交差させる、魔道士特有の「敬意を表すサイン」を作り、お辞儀をする
「私はここの学園長を勤めさせてもらっている、ウィーキッド=セラムスという者だ。以後お見知りおきを」
109:GM ◆FPJ9P.6QFg :2011/04/12(火) 23:59:47.17 ID:BVFXiGv+0
「え、あ……あの……!」
「君」を保護してくれた人物、それはこの学園の学園長だった
この学園に憧れていた「君」は、彼の名前はもちろん知っていたが、その容姿までは知らなかったのだ
降って湧いたこのアクシデントに、「君」は必死になって応えようとする
「あ、あのっ! わ、私……きゃっ!!」
丁寧に頭を下げる彼に、自らも挨拶をしようと思ったのだが、両手を離すとシーツが落ちてしまう
「君」が困惑して慌てふためいていると
「おっと、すまないね。少し待ってくれたまえ」
彼がふっと下を向き、立てた人差し指に唇をつけて何かを呟くと、
「あっ!これ……!」
なんと「君」の目の前に、自らの衣服が唐突に姿を現した
「私は向こうを向いているから、早く着てしまいなさい」
112:GM ◆FPJ9P.6QFg :2011/04/13(水) 00:06:58.28 ID:1N6xZWoM0
「君」は急いで綺麗に畳まれた衣服を着ると、見計らったようにウィーキッドは振り返る
「説明が遅くなってしまった。ここは私の私室でね。昨日の夜、小川の袂で気を失っている君を見つけてここで寝かせていたというわけだ」
彼はカップに暖かい飲み物を注ぎながら、「君」が置かれた状況を説明した
「飲むと良い、身体が温まる」
「あ、ありがとう……ございます……」
ゆっくりと口をつけた飲み物は程良い暖かさで、君の全身から疲れが一気に抜け出す
どうやら魔道の力が働いている飲み物のようだ
「さて、私からの説明はこれくらいにして……」
彼は椅子に腰掛けて足を組み、こちらを見据える
「君の事を教えてくれないか? まず、何と呼べばいいだろうか」
>>117
114:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/13(水) 00:09:27.73 ID:HjfTuze90
ぶた野郎
115:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/13(水) 00:09:44.39 ID:63eiAd0B0
君
116:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/13(水) 00:10:03.27 ID:jFPzmp/s0
名前など無いと説明する
117:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/13(水) 00:10:17.62 ID:g7Afpy0o0
mesubuta
119: 忍法帖【Lv=7,xxxP】 :2011/04/13(水) 00:11:21.49 ID:pnRJ/nkj0
>>117 おい
118:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/13(水) 00:10:47.83 ID:63eiAd0B0>>117 おい
えっ
120:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/13(水) 00:12:05.82 ID:jFPzmp/s0
雌豚という呼称が適切になるには、そういう行為が必要だな…
122:GM ◆FPJ9P.6QFg :2011/04/13(水) 00:16:40.39 ID:1N6xZWoM0
「君」は憧れの学園長を前に、緊張しつつもゆっくりと口を開く
「メズ……」
「メズ?」
「はい……。私、メズビュート(Mesubuta)と言います……。その、”メズ”と呼んでください……っ!!」
「君」は精一杯自らの名前を口にした後、やっとの思いでたっぷりと息を吸い込んだ
自分でも驚くほどに心臓が高鳴っている
「ははは、そんなに緊張しなくともいいよ」
高らかに笑う彼の声に、「君」はさらに緊張してしまう
「メズビュートか……。良い名前だ。名というのは魔道士にとって大切な物だからね。よろしく、メズ」
「は、はい……っ! あの、助けて頂いて、どうもありがとうございました」
「君」はベッドの上から降り立ち、そこでやっと、随分遅くなった礼をする
今度はしっかりとサインも忘れずに
123:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/13(水) 00:17:42.62 ID:jFPzmp/s0
良GMだな
124:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/13(水) 00:17:54.76 ID:6XnlOB1m0
いいフォローだ
126:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/13(水) 00:20:19.73 ID:/P43yPa6O
過去にそう呼ばれていた→新しく名前を付けられる
そんな展開を想像してたけどすげー
128:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/13(水) 00:25:12.17 ID:jFPzmp/s0
>>126
俺は学園長に調教されるくらいしか思いつかなかった
127:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/13(水) 00:20:27.50 ID:63eiAd0B0>>126
俺は学園長に調教されるくらいしか思いつかなかった
回避うめえ
129:GM ◆FPJ9P.6QFg :2011/04/13(水) 00:28:13.50 ID:1N6xZWoM0
「それで、メズ。君は一体何処の出身なんだい? 見たところ、まだ随分と若いようだが……」
髪を後ろで纏めて、濃い色をしたローブを羽織った「君」の姿をウィーキッドは改めて見つめている
「君」はその視線にもじもじと身をよじりながらも、少しずつ自分の事を話し出した
「ええと……、私はムスパルの出身です」
「……! ムスパル! 栄えし魔道士の土地……。それは、本当かい? ムスパルと言えば大戦で滅んだと聞いたが」
「…………」
「君」は言葉が出なかった
なぜなら、君の故郷であるムスパルは、彼の言う通り10年前の大戦で滅んでいたからだ
「……すまない、辛い事を聞いてしまったようだ」
俯いた彼はまるで自らの事であるかのように辛そうな表情を浮かべている
それだけで彼の心の温かみが分かり、「君」は慌てて手を振った
「あ、あのっ! いいんです……! 気にしないでください」
「私が産まれてすぐ、私の故郷ムスパルは滅びました……」
「私の両親も亡くなって、唯一生き残った十数人の魔道士達に私は育てられたんです」
「君」の生い立ちを、ウィーキッドはただ黙って、聞いている
132:GM ◆FPJ9P.6QFg :2011/04/13(水) 00:35:19.83 ID:1N6xZWoM0
「色々な事を教わりました、魔道や、料理や世界の事……。それに、大戦の事も……」
「なるほど。それじゃあ、君の他にもまだムスパルには幾人かの生き残りが……」
「いいえ」
「君」はウィーキッドの言葉を遮った
眉を少し吊り上げて、彼は驚く
「……私が、最後です。最後の一人は、二年前に亡くなりました」
「……そう……か」
沈黙が部屋を満たしている
「君」の余りにも悲しい生い立ちに、彼は言葉さえ失ってしまったようだった
「君」が手持ち無沙汰にカップに入った飲み物を飲み干すと、それと同時に再び彼は顔を上げる
「……メズ。一つ提案がある」
135:GM ◆FPJ9P.6QFg :2011/04/13(水) 00:42:47.55 ID:1N6xZWoM0
「は、はい……」
彼の声は先ほどとは比べ物にならないほど、ゆっくりとしていた、それでいて迫力があった
その声に沈黙は掻き消え、「君」は生唾を一つ、飲み込んだ
「ここセルディナで暮らしてみてはどうだろうか。もちろん、君がよければ、だが……」
「……っ!!」
「君」は再び絶句した
彼の提案が、「君」の予想をはるかに超えていたからだ
「こうして君が私の前に居る事には、何か意味があるはずだ。きっと、”女神イオス”のお導きに違いない」
「ここには君と同じ歳頃の魔道士もたくさん居るし、何より自らの魔道を高めるにはもってこいの場所だ」
「君」はこの幸運に、即座に首を振りたかった
しかし、そうは出来ない
「とても嬉しいですけど……、私、お金なんてもってないし……」
そう、「君」はただの1リランたりとも持っては居なかった
145:GM ◆FPJ9P.6QFg :2011/04/13(水) 00:55:59.34 ID:1N6xZWoM0
「そんな物要らないよ、と言いたい所だが……。きっとそう言っても君は納得しないだろうね」
「……」
その通りだった
「君」は幼き頃から人に無償の施しを受ける事はならないと教えられてきた
それは「君」の故郷であるムスパルが”閉塞的な土地”と呼ばれていた理由の一つでもある
「ではこうしよう。君にはここで暮らしながら、”プロバイダー”の資格を取って欲しい」
「プロ……バイダー?」
「君」にとってその言葉は始めて耳にする言葉だった
首をかしげる「君」を見て、彼は熱心に説明を続ける
「あぁ、大戦後に出来た王立の新しい機関でね。”与える者”と呼ばれるプロバイダーは、民の益のために働くのだ」
「有体に言えば、民のための”便利屋”と言った所か。魔物退治や揉め事の解決なんかを頼まれる事が多い」
「そ……、そのプロ……なんとかになると、お金がもらえるんですか?」
「そういう事だ。これはとても難しい資格だが、君がここで学べばきっと合格出来る」
「そうなってから、君はここで世話になった分のリランを支払ってくれれば良い。どうだろう、悪い話ではないだろう?」
146:GM ◆FPJ9P.6QFg :2011/04/13(水) 01:01:43.80 ID:1N6xZWoM0
「君」は悩んだ
ウィーキッドの申し出は、孤児である「君」にとって素晴らしいものだったから
憧れの学園で生活が出来る
そんな夢のような話に、食いついていいのだろうか
悲しい生い立ちを持つ「君」の心は、人を信じる心を少しばかり失いかけていたのだ
「わかった、すぐに答を出せとは言わない。では、これを受け取ってくれたまえ」
チャリン
君の手の平の上に、何処からともなく一つの重いキーが現れた
「……これは?」
「学生寮の隣にある離れの鍵だ。寝泊りする場所も無いだろう? 暫くそこで暮らすといい」
「少し古ぼけてはいるが、一通りの家具は揃っている。この学園の地図は君の魔道書に追加しておいたから、それを見れば迷う事もないはずだ」
「あ……そ、そんな……!!」
「ノーとは言わせないよ。行き倒れの少女を見捨てたとあっては、学園長の名折れだからね」
148:GM ◆FPJ9P.6QFg :2011/04/13(水) 01:07:14.49 ID:1N6xZWoM0
「あ、あの……」
「おっと、もうこんな時間だ。私は少し出かけなくてはならないから、君は学園をゆっくり見て回るといい」
「その鍵を見せれば学生と同じ扱いを受けられるはずだ。食堂に行けば食べ物も提供してくれる」
一体何故、彼はこんなにも優しくしてくれるのだろうか
「君」はシャツの上に上着を羽織るウィーキッドを見つめながら、ただ呆然とする
「それではメズ、また夜にでも話をしよう。 学園を楽しんでくれ」
そう言うなり、彼の身体がふっと光り、次の瞬間にはそこに誰も居なくなってしまった
「転移……魔法……!」
目の前で見る高位魔法に、「君」は彼の偉大さを改めて知るのだった
「……これから……どうしよう」
「君」は一人残された部屋の中、渡された鍵を見つめながら悩んだ
窓の外には楽しそうに行き交う生徒達
気がつけば、腹の虫も鳴いていた
>>153
151:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/13(水) 01:11:18.15 ID:/P43yPa6O
とりあえず学生寮へ向かう
154:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/13(水) 01:11:25.72 ID:lZpurgwr0
寮を見て回る
155:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/13(水) 01:11:43.72 ID:6XnlOB1m0
農業
153:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/13(水) 01:11:23.14 ID:s10wXz5a0
窓を開けて顔を出してみる
157:GM ◆FPJ9P.6QFg :2011/04/13(水) 01:17:54.95 ID:1N6xZWoM0
「…………」
「君」は窓を見る
憧れだった世界が広がっている窓を
気がつけば「君」はその窓の側に立ち、その取っ手をきゅっと握りしめていた
きぃ
ゆっくりと、ゆっくりと「君」は窓を押し開ける
隙間からは青い香りの風が溢れて、火照った頬を撫でていく
「ここが……セルディナ……!!」
開ききった窓の向こうに、「君」が憧れていた世界が在った
それはもう、夢や空想の世界ではなく、肌で風を感じ、その香りを嗅ぎ、その声が聞ける所に在った
行き交う人々よりも高い位置にある窓から、「君」はそっと顔を出す
誰一人として、おっかなびっくりの「君」に気付く者は居ない
「君」はじっくりと、行き交う魔道士のタマゴ達の笑顔を眺める
159:GM ◆FPJ9P.6QFg :2011/04/13(水) 01:23:50.24 ID:1N6xZWoM0
「皆……楽しそうだなぁ」
「君」はその光景を、ただぼうっと見つめている
もし自分があの輪の中に入れたらどんなに楽しいだろう
もう決して手の届かないものではない「夢」で、「君」の頭はいっぱいになっていた
時間も忘れ、そうして外を眺めていると、ふと遠くから何かが聞こえてくる
「なんの音かな……?」
それは何かの鳴き声にも聞こえる
「……悲鳴?」
段々と大きくなる声に、「君」は庭園の中を必死に見回す
しかしその悲鳴の主はおらず、皆一様に笑顔を浮かべているだけだ
「どこ……?どこなの?」
焦りつつ窓枠をぎゅっと握り締め空を見上げた時、やっとその声がはっきりと聞こえた
「よ……避けてええええええええええ!!!!!!!!!!!!」
160:GM ◆FPJ9P.6QFg :2011/04/13(水) 01:27:25.10 ID:1N6xZWoM0
「き……きゃああ!!!」
「君」がその声の方、青い空を見上げると、”ソレ”は居た
「あぶなぁああい!!!!!退いてええええ!!!!!」
急速に接近する”ソレ”が何かは「君」にはちゃんと見えなかった
それほどのスピードで迫ってきていたのだ
しかし、”ソレ”が人である事は確かなようだった
”ソレ”は一直線に「君」の立つ窓に向かってきている
このままのスピードでぶつかっては、どちらも無事では済まないだろう
>>166
163:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/13(水) 01:28:49.38 ID:jFPzmp/s0
魔法でなんとかできないか
164:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/13(水) 01:29:06.51 ID:/P43yPa6O
その場から飛び退く
165:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/13(水) 01:29:37.31 ID:6oSCmNIb0
真ん前から打ち砕く
166:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/13(水) 01:29:38.78 ID:kQdDpa1t0
いそいで窓を閉めて室内へ退避
167:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/13(水) 01:31:08.33 ID:/P43yPa6O
>>166
ひでえwwww
168:GM ◆FPJ9P.6QFg :2011/04/13(水) 01:41:12.04 ID:1N6xZWoM0>>166
ひでえwwww
「わ、わ、わ……!!!」
「君」はパニックに陥っていた
そしてどうすればいいかわからず、「君」は窓を閉め、
咄嗟にその場にしゃがみ込んでしまった
「きゃああああ!!!!!!!!!!!」
悲鳴が最大限に大きくなったと同時に、「君」の真上にある窓に、”ソレ”は直撃した
「……っ!!!」
「君」は降り注ぐであろう窓ガラスから身を守るために、頭を抱え込んで震えている
しかしながら、想像していた様な音は一切聞こえてこない
「君」は不思議に思い恐る恐る顔を上げる
「えっ……!!!!」
そしてその眼前で起こっている光景に、「君」は思わず口を塞いだ
なんと、あの硬そうな窓ガラスはまるで飴細工の様にぐにゃりと曲がり、ぶつかった”ソレ”を優しく包み込んでいるのだ
「す……すごい……!」
172:GM ◆FPJ9P.6QFg :2011/04/13(水) 01:48:23.50 ID:1N6xZWoM0
窓ガラスは次第にゆっくりと膨れ上がり、一つの球体を形作る
それはまるでシャボン玉の様にふわふわと浮かびあがり
そしてゆっくり、ベッドの上に降り立った
シーツに触れた球体はぱちん、と弾け、その中から”ソレ”が姿を現した
「あいったたたたたた……!!!」
頭をふるいながら、”ソレ”はゆっくりと顔をあげる
「だ……だいじょう……ぶ?」
「ごっめんねー……! け、怪我なかった?」
申し訳無さそうに微笑みながらこちらを見たのは、薄い青の髪を短く切り揃えた少女だった
「わ、私は大丈夫……だけど……」
「あはは……それならよかったー……。”溶け硝子”の窓じゃなかったら死んでたね、あたし」
あぐらをかいて自分の頭をわしわしと掻きながら、彼女は照れ臭そうだ
「っとにこの馬鹿ホウキ!! やっぱりお化けコウモリの羽を使ったのは失敗だったか」
しかし次の瞬間には、真ん中で半分に折れたホウキを叩きながら悪態をついている
「君」はそのあまりの破天荒ぶりに、面食らってしまった
176:GM ◆FPJ9P.6QFg :2011/04/13(水) 02:00:22.58 ID:1N6xZWoM0
「だからお化けコウモリより温室ドラゴンの尾びれが良いって言ったのにあの眼鏡……!」
「あ、あの……」
なにやらホウキを弄りながら一人でぶつぶつと悪態をついている少女に、「君」は恐る恐る声をかけた
「えっ!? あ、ごめんごめん…… なにかな?」
「君」の声に背筋を伸ばした少女はこちらに向き直り、目をぱちくりとさせている
「ていうか……あんた、誰?」
そして今度は片眉を吊り上げた不思議そうな目で「君」を見ている
「あ、あの私……メズビュートって言います」
「メズビュート? 聞いたことないけど、ここの生徒じゃないよね? あ、そうだ」
「私はスノア! スノア=プリウィッテ! スノーって呼んでちょーだい」
「す、スノー……さん。じゃあ私は……メズって呼んでください」
「さんとか痒いのつけなくていいって! メズね! オッケー、良い名前じゃん!」
からからと高らかに笑うスノーは、この学園の生徒のようだった
帽子こそ被っていないものの、外を行き交う人々と同じ深い色のローブを着ている
ただ一つ違うのは、普通は地面スレスレか、引き摺るはずのローブの裾を膝の上ほどの長さまで切り揃えている事だ
178:GM ◆FPJ9P.6QFg :2011/04/13(水) 02:08:53.98 ID:1N6xZWoM0
「あ、あのスノーさん……、」
「ん? 何?」
「少し血が……」
「君」はスノーの肘から一筋の赤い血が流れているのを見つけた
さほど深くはないようだが、何か手当てをしないと血は止まりそうにない
「あーほんとだ……。 あははは、こんなの日常茶飯事だから大丈夫大丈夫! いてて……」
そうは言いながらも、きっと痛むのだろう、彼女は少し眉をひそめている
「あの、少しじっとしててもらえますか……?」
「な、なになに! なにすんの!?」
「君」はそっと彼女に近づくと、血の出ている部分に両手をかざす
「……………………っ……!」
「おー、すご……!」
「君」は目を閉じ呪文を詠唱すると、「君」の掌は薄緑に光り、スノーの肘から出ていた傷がすうっと消えていった
「すごいすごい! 完璧に治ってる! あんたちっさいのに”ヒーリング”上手いねー!」
180:GM ◆FPJ9P.6QFg :2011/04/13(水) 02:17:16.64 ID:1N6xZWoM0
「いえ、そんな……」
人に魔法を褒められた事があまりない「君」は、照れて顔を伏せる
「ありがと! いやーあたしも見習わないとねー、ヒーリングとかそういうのはぜんっぜん駄目なんだーあははは」
あっけらかんと笑う少女に、「君」は早くも親近感を感じ始めていた
彼女にはすぐに人と打ち解けられる、そんな不思議な雰囲気が漂っている
「で、ここ学園長室だよね? メズはこんなとこで何してんの?」
「え、えっと、それは……」
興味津々といった目で「君」を見る彼女に、「君」はこれまでの経緯をかいつまんで説明する
説明する間中、彼女はしきりに相槌を打って「君」の話に聞き入っていた
「……なるほど。なんか、大変だね、あんた」
「あはは……。自分でもどうしようかと思ってます……」
「よーしわかった!! じゃあ、手出して! 手!」
「手? こ、こうですか……?」
「君」は言われるままに自分の手をそっと彼女の前に差し出す
183:GM ◆FPJ9P.6QFg :2011/04/13(水) 02:27:25.23 ID:1N6xZWoM0
「はい! これであたしたちはもう友達!! ね?」
「っ!!」
スノーは「君」の小さな手をぎゅっと握り締めて、笑いかけた
彼女の手はまるで太陽の様に暖かくて、「君」の心の緊張は一気に解けていく
「は、はい……っ!!」
「じゃ、いこっか!」
「え、行くってどこ……うわっ!!」
まるで流星の様に現れた「友人」は、「君」の手を引っ張ったままで学園長室の外に出た
並んで立つとスノーは「君」よりも10cm以上は背が高い
年齢もきっと「君」よりも上だろう
「姉御肌」な彼女の気質も、そう思わせる要因だった
「で、どこに行きたい? あたしが学園を案内してあげる!」
「ど、何処って言われても……あの、あの……」
君は学園長に追加してもらった学園の地図を眺めながら、慌てていた
>>189
188:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/13(水) 02:31:18.98 ID:lZpurgwr0
食堂
189:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/13(水) 02:31:21.69 ID:ii/hAdM50
トイレ
191:GM ◆FPJ9P.6QFg :2011/04/13(水) 02:38:40.31 ID:1N6xZWoM0
「えっと、えっと……!」
「どーしたのさ! 憧れの学園なんでしょ? 大先輩のあたしが何処でも……」
「と、ト……」
「と?」
「お、おトイレ……!」
「はァ!? トイレ!? ちょ、ちょっと待ちなって! もしかして、やばい感じなの!?」
「君」は顔を真っ赤にしながらも、スノーの顔を見上げて小さく頷いた
彼女の「襲来」ですっかり忘れてしまっていたが、
目を覚ましてからずっとお手洗いに行きたいのを我慢していたのだ
「我慢出来る!? ホウキ……は壊れたんだった……! よっしゃ、杖と本落とさないように気をつけなよ!」
「え!? ちょ、す、スノーさんうわっ!!」
「君」が何か言う間もなく、「君」はあっという間にスノーの両腕に抱えられてしまった
細い腕に見えるが、どうやら体力には自身があるらしい
「どいたどいたぁぁ!!! 通るよ通るよー!!!!!!」
広い廊下に彼女のよく通る声が響き渡り、まるで風の様に彼女は「君」を抱えて走った
195:GM ◆FPJ9P.6QFg :2011/04/13(水) 02:44:09.84 ID:1N6xZWoM0
―――――――――
どうだろう
今回の「君」の放浪はなかなかに楽しそうだったね
しかしながら、今回の放浪はこの辺りで一旦おしまいとしよう
「君」がもし望むのならば、「君」の放浪はまた何処かで「君」に出会うだろう
それは明日かもしれないし、もっとずっと先かもしれない
とにかく、放浪は続いていく
これからもずっと
また何処かで会おう、多くの「君」達よ
196:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/13(水) 02:45:06.01 ID:kQdDpa1t0
お疲れですー
197:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/13(水) 02:45:44.87 ID:nXYeMnlCO
トイレ描写……
いや、素晴らしかった!!
乙!!
198:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/13(水) 02:55:46.57 ID:aTmo+SbS0
乙
199:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/13(水) 02:56:54.18 ID:5ZjDb+cn0
おつー
次はいつやんの?
200:GM ◆FPJ9P.6QFg :2011/04/13(水) 03:01:39.90 ID:1N6xZWoM0
次の「君」と出会うのは、いつかはわからない
ただこの放浪記の名と、語り部の名さえ覚えていくれれば
きっとまた「君」と巡り合うことだろう
201:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/04/13(水) 03:42:12.83 ID:kQdDpa1t0
乙

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