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京子「結衣とあかりとの、6年前の思い出」

1 :代行 2012/10/15(月) 21:12:10.46 ID:gP6y4eiG0
6年前の夏のある日。


小学2年生の京子は、結衣とあかりと一緒に、いつもの公園で遊んでいた。

結衣「今日は何して遊ぶ!?」

あかり「はい、結衣隊長!あかりはブランコがやりたいです!」

京子「私、すべり台がいい・・・」

恥ずかしそうにしながらも、何とか自分の意見を言う京子。




2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/15(月) 21:13:32.52 ID:2iVxEj+B0
なぜかスレ立て規制されました
代行ありがとう

では書いていきたいと思います


6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/15(月) 21:22:16.30 ID:2iVxEj+B0
京子は、ひどく引っ込み思案な子どもだった。

小学校の給食の時間、デザートが余ったときには決まって
じゃんけんによる争奪戦が繰り広げられたものだが、
京子は決してその輪に入らなかった。



元々、何かを奪い合うような活発なキャラではなかったのだ。

しかし、心の中ではそうした争奪戦に加わりたいと密かに思っていた。


ある日のこと、珍しく給食に出たアイスの余りを賭け、ジャンケンが始まった。


「いくぞー!」

「最初はグー!ジャンケンポン!!」


9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/15(月) 21:34:43.70 ID:2iVxEj+B0
京子(いいなぁ…アイス)

アイスは京子の大好物だった。
正直、欲しくて欲しくてたまらなかった。


15人ほどで行われているジャンケン大会を横目で見ながら、
京子はため息をついた。



友達A「京子ちゃん、行かなくてよかったの?」

京子「え?わ、私、アイスが欲しいわけじゃ…」

友達A「そうなの?なんかうらやましそうに見てたから」

京子「そんなこと、ないよ…」


11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/15(月) 21:42:15.18 ID:2iVxEj+B0
友達A「それにしても元気いっぱいだよね~、結衣ちゃん」

京子「うん、本当に…」



京子のさみしげな視線の先には、威勢のいい声でジャンケンに
夢中になっている結衣の姿があった。

京子(私も、結衣みたいに活発になれたらなぁ…)


13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/15(月) 21:46:18.63 ID:2iVxEj+B0
以前は、結衣からジャンケン大会に誘われたこともあったが、
断ってしまった。

仮に京子がジャンケンに加わっていたところで、
誰もそこまで変だとは思わなかっただろう。


ただ、京子自身としては、自分がガラにもないことを
するのがひどく恥ずかしく思えたのだ。


19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/15(月) 22:03:26.94 ID:2iVxEj+B0
そんな京子だったが、幼馴染の結衣とあかりは毎日毎日
仲良く明るく接してくれた。

京子(もし、結衣ちゃんとあかりちゃんがいなかったら…)

そう考えるとたまらない不安に駆られるほど、2人は京子の
心の拠り所となっていた。



ただ、いつまでも他人に依存していてはいけない…と
幼心に思うようになっていった。


21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/15(月) 22:08:01.00 ID:2iVxEj+B0
~~~~~~~~


あかり「はい、結衣隊長!あかりはブランコがやりたいです!」

京子「私、すべり台がいい・・・」

結衣「よし!間を取って、ジャングルジムだ!」



京子(ジャングルジム…?)

いつもの京子なら、特に疑問も抱かず結衣の意見に従うだけだった。


しかし今日に限って、京子の心の中に小さな疑念が生まれていた。


23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/15(月) 22:11:46.26 ID:2iVxEj+B0
京子(ジャングルジムって、ブランコも滑り台も関係ない…)

京子(もしかして結衣、自分がジャングルジムやりたいだけ…?)



実際、結衣はそんな自分勝手なことを考える子ではない。

結衣としては、本当に"間を取った"つもりだった。


29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/15(月) 22:22:18.25 ID:2iVxEj+B0
あかり「わぁい!あかりジャングルジムも大好き!」

結衣「よし、決まりだ!」

京子「…ちょ…ちょっと待って」

結衣「どうした?京子」

京子「あ、あのね…私…」

あかり「どうかしたの?京子ちゃん」



京子「私…やっぱりすべり台がいい…」


34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/15(月) 22:38:56.68 ID:2iVxEj+B0
結衣・あかり「え…?」

突然の京子の言葉に面食らう2人。

京子が自分の意見を通そうとしてきたことなどたぶん
初めてだったから、無理もなかった。


結衣「そ…そっか」

結衣「ごめんね、ジャングルジム嫌だった?」


結衣から戸惑いの表情を向けられ、京子の心がズキンと痛む。


37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/15(月) 22:50:10.66 ID:2iVxEj+B0
普通に考えて特に気にすることではないのだが、
これまで結衣の意見を曲げたことのない京子は、
罪悪感を感じていた。


京子「あ…。い、嫌じゃないよ!」

結衣「…そうなの?」

京子「うん、ただ何となく言ってみただけ…」

結衣「…あはは、そうだったのかぁ。でも、
   もしすべり台の方がいいなら今日はそっちにしようか?」

あかり「あ、あかりも、全然そっちでもいいよ!」


47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/15(月) 23:10:49.11 ID:2iVxEj+B0
結局、その日はすべり台で遊ぶことになった。

結衣もあかりも、いつも通り明るく元気に遊んでくれた。

しかし、心なしか2人の笑顔に陰りがあるように
京子には感じられた。



結衣「あー、今日も楽しかったぁ!」

あかり「ホントホント!」

京子「……」

結衣「…京子、さっきからなんか元気ないよね?」

京子「え…」

あかり「元気出してよ、京子ちゃん!」


51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/15(月) 23:25:05.40 ID:2iVxEj+B0
京子「わ、私、元から元気じゃないし…」

弱々しい声でそう言ってうつむく京子を見て、
結衣が少しだけ眉をひそめた。


結衣「京子、さっきからどうしたっていうんだよ!?
   私、何か悪いことしたかなぁ?」

京子「…!」ビクッ

あかり「ちょ、ちょっと結衣ちゃん…」


53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/15(月) 23:32:08.27 ID:2iVxEj+B0
結衣「京子は、やっぱりもっとしっかりするべきだよ!」

京子「ゆ、結衣…?」


京子の目に、涙があふれた。




京子「ごめん、私…!」

くるりと結衣たちの方へ背を向け、突然走り出す京子。

結衣「あ、待って京子!」

あかり「京子ちゃん!」


55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/15(月) 23:38:06.19 ID:2iVxEj+B0
京子(あれ、なんで私、こんなに逃げてるんだろう…)

自分の行動が自分でもよくわからなくなっていた。


もしかすると、急に声を荒げた結衣が、そのまま一気に自分を
嫌いになってしまう気がして、その場にいるのがたまらなく
怖くなったのかもしれない。


60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/15(月) 23:50:18.34 ID:2iVxEj+B0
京子は必死に走ったが、まだ30秒とたたないうちに、
勢いあまって石につまづいてしまった。

そのまま地面に倒れる京子。

京子「いたっ!」



結衣「京子!大丈夫か!?」

あかり「京子ちゃん!」

すぐに京子に追いついた2人が駆け寄る。



京子「うぅ、結衣ぃ…。あかりちゃん…。本当にごめん…」

2人の目の前で、京子はポロポロと大粒の涙を流した。


64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/16(火) 00:08:46.34 ID:TlV2Yx5o0
結衣「…京子!」ガバッ

京子「結衣…?」

突然結衣に抱きしめられ、戸惑う京子。



結衣「ごめんね、京子」

結衣「おとなしくても、いつもニコニコ笑っててくれる可愛い京子が、
   私は大好きなんだよ!それなのに、さっきみたいなこと…」

あかり「結衣ちゃん…」


66 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/16(火) 00:16:12.73 ID:TlV2Yx5o0
京子「ううん、いいの。私こそ、変な態度とっちゃって…」

京子「結衣が無理やりジャングルジムやろうとしてるのかな、とか
   変なこと考えちゃったんだ…。本当にごめん」

結衣「ううん、謝らないで。それより私、本当にひどいこと…」

今度は、結衣がポロポロと涙を流し続ける。


67 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/16(火) 00:22:15.10 ID:TlV2Yx5o0
ちゅっ

結衣「え…?」

ふいに、京子が結衣の頬に口づけをした。

京子「これ、仲直りのおまじない…。
   お父さんとお母さんが昔やってたんだって」

結衣「京子…」

京子「だから、ね?もう泣かないで」ニコッ


70 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/16(火) 00:41:04.17 ID:TlV2Yx5o0
結衣「京子…!」ガバッ

京子「ちょ、ちょっと苦しいよ、結衣ぃ…」///



しばらく抱き合って離れた後、顔を見合わせてほほ笑む2人。

京子「結衣、大好きだよ…」




あかり「あ~っ、さっきから2人ばっかりずるーい!あかりも入れてよぉ!」


ガバッ

あかり「え、京子ちゃん…?」

突然京子に抱きつかれ、一瞬戸惑うあかり。


76 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/16(火) 01:28:23.15 ID:TlV2Yx5o0
京子「あかりちゃん…私、あかりちゃんのことだって大好きなんだよ?」

あかり「な、なんだか照れるよぉ…」///



京子「あかりちゃん、顔真っ赤だよ?」

あかり「え!?だ、だって…急に抱きついてくるんだもん」///

結衣「はは、あかり緊張してるんだな」

あかり「もー結衣ちゃん!からかわないでよぉ」


京子「あかりちゃん、こういうことするの嫌だった?」

あかり「い、嫌じゃないよ!あかりも京子ちゃんのこと大好きだよ!」


81 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/16(火) 01:52:36.61 ID:TlV2Yx5o0
京子「じゃあ、私のことギューってして…」

あかり「う、うん…」

あかりは少し力を込めて、京子を抱きしめた。



年上とはいえ、華奢で可愛らしい京子を抱きしめて、
あかりは一瞬ドキっとしてしまった。

あかり(京子ちゃん…、やっぱり可愛いなぁ…)

しばらく抱き合ったのち、先ほどの結衣と京子のように
見つめあう。

京子「ありがとう、あかりちゃん。わがまま聞いてくれて…」


84 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/16(火) 02:09:39.67 ID:TlV2Yx5o0
あかり「う、ううん!なんていうかその…あ、あかりも嬉しかったし…」

結衣「ふふ、あかり照れてるなあ」

あかり「もー、結衣ちゃんってば!」

結衣「あはは」



あかり「あ、京子ちゃん…あかりのわがままも聞いてほしいなぁ」

京子「どんな?」

あかり「……ん」

あかりは、自分の頬を指差した。


86 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/16(火) 02:19:49.14 ID:TlV2Yx5o0
京子「…うん、わかった」

京子はニコっと笑って、あかりの頬に口づけをした。

あかり「ありがとう、あかり嬉しい…」

京子「えへへ」///





京子(やっぱり私は、結衣とあかりちゃんから当分自立できそうにない)

京子(でも、それでもいいや)

京子(大きくなっても、ずっとこうして結衣とあかりちゃんと一緒に
   過ごせたらいいな…)



京子「結衣、あかりちゃん、大好きだよ!」



◇おしまい◇


87 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/16(火) 02:23:56.55 ID:5FFtOr/70
乙ほのぼのできた


91 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/16(火) 02:34:52.88 ID:MxF54xJ90
おつおつ


100 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/16(火) 07:58:54.55 ID:j2PL6i9K0

素晴らしい


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