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箒「一夏ー」
- 30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/23(火) 23:29:00.54 ID:Vva/XH2Q0
- 一夏「箒……」
箒「?」
一夏(今日のリボンも俺があげたやつとは違う……)
一夏「いや、なんでもない」
箒「…………?」
一夏(週二回くらいは付けてくれてるなって思ってたけど、最近はあんまりしてくれないな……)チクッ
箒「どうした?」
一夏「なんでもないって。呼び止めてごめんな」
- 35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/23(火) 23:35:23.70 ID:Vva/XH2Q0
- 箒「……」
箒(気付かれたか……?)
箒(あいつ、普段は鈍感なくせに妙に目敏いところがあるからきっと……)
箒(…………)
一夏(気に入ってくれてると思ってたのに……付けてるところ見るだけでじんわりと嬉しい気持ちになってたのに……)
一夏(何かの意思表示かな? もうおまえの世話にはならないぞーって言いたいのかな?)
一夏(俺、何かしたか……? 箒……) - 41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/23(火) 23:58:06.75 ID:Vva/XH2Q0
- 箒「落し物置き場にもなかった」
箒「……今日は中庭に探しに行こう」
箒(洗濯して外に干していたら風に飛ばされてしまったとは言えない……)
箒「どうしよう……もしどれだけ探しても見つからなかったら……」チクリ
箒(嫌だ。せっかく一夏がプレゼントしてくれたのに……!)
箒「だ、大丈夫さ。きっと見つかるはず」 - 44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/24(水) 00:09:10.28 ID:k7ZktffZ0
- ビュウウゥゥゥゥ~
箒「んっ……風が強いな」
箒「…………」キョロキョロ
箒「ん? あれは!」ダッ
箒「あった! 木の枝に引っかかっている!」
箒「あれ……でも……泥だらけだ……すこし破けてもいる……」
箒(あそこに飛ばされる前に土の汚れが付いたんだ……)
箒(一夏……ごめん……)キュウゥゥ
箒(待っていろ。今木に上るからな!)
~木の上~
箒「はあ……はあ……も、もう少し」グイ~…
ビュウウゥゥゥ!!
バサッ!!
箒「ああ!」 - 46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/24(水) 00:13:50.56 ID:k7ZktffZ0
- 箒「そ、そんな……もう少しだったのに!」
ビュウゥゥゥゥゥゥ!!
箒「きゃっ!」グラッ
ドサァッ!!
箒「いた……いたた……」
箒「リボン……確か向こうに」ムクッ
ズキッ…!!
箒「う、あ、足を挫いてしまったか」
箒(一夏がくれたリボンなんだ……これくらい……)
箒「方向はあっちだな……くっ……うっ!……」ヒョコヒョコ - 47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/24(水) 00:18:59.07 ID:k7ZktffZ0
- 箒「はあ、はあ……この辺りだと思うんだが」キョロキョロ
箒(足が痛くて移動に時間が掛ってしまった。また飛ばされてなければ良いのだが……)
箒「……あっ」
鈴「ねえ、これ……あんたが箒にあげたリボンでしょ?」
シャル「泥だらけでゴミ捨て場の近くに転がってたけど……」
ラウラ「……ひどいな」
セシリア「何故このような事になったのかは分かりませんが、一夏さん、気を落とさずに」
一夏「………………………」
箒「あ、あああ………」 - 48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/24(水) 00:21:33.04 ID:XW2eTqoo0
- え、ちょ
- 52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/24(水) 00:26:09.11 ID:k7ZktffZ0
- 鈴「あ! 箒!」
ラウラ「いたのか!?」
シャル「……箒」
セシリア「まさかとは思いますが、箒さん……あなたが捨てたという訳では」
箒「ち、違う!」
一夏「………………」
箒「一夏、私は―――うっ」ズキッ
一夏「……!」 - 56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/24(水) 00:34:21.46 ID:k7ZktffZ0
- 一夏「箒……何で……」
ビュウゥゥゥゥゥゥ!
箒「ううぅ……つぅ……」グラッ
一夏「!!」バッ!
ギュゥ
箒「あっ……」
一夏「…………」
箒「い、一夏、私は―――」
一夏(箒……何でそんな目をしてるんだ……)
一夏「―――――――――!」
箒「う、うう、私は、捨ててなんか、決して―――」
一夏「分かってる」
箒「!?」
一夏「全部言わなくていい。箒がそんなことしないってことは、誰より俺が知ってるから」
箒「―――――――――――――!!!!」 - 61 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/24(水) 00:44:30.95 ID:k7ZktffZ0
- 箒「一夏……本当に……」
一夏「みんな分かるから。何が言いたいか、どういうことがあったのかくらい、箒の顔を見れば」
箒「…………うぅ」ジワッ
一夏「昔っから顔に出るんだよおまえは。嘘つくの苦手で分かり易い奴だったし」
箒「私……大切に、してた……これから何年も身に付けようと、決めてた……」
箒「そ、それなのに、こ、こんなことになってしまって……ごめん、ごめん一夏……プレゼントを……」ポロポロ
一夏「いいっていいって。そこまで大切にしてくれたのが凄く嬉しいよ」 - 64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/24(水) 00:48:51.79 ID:k7ZktffZ0
- セシリア「……」
シャル「……」
ラウラ「良かったな。箒」
鈴(今回はまあ、いっか)
一夏「おまえ、足挫いてるだろ?」
箒「あ、ああ」
一夏「大方、木に引っ掛かったリボン取ろうとして地面に落ちちゃって、そのときに痛めたんじゃないのか~?」
箒「ふぇっ!?」
一夏「何だ~? まさか図星か? しょうがねえなっと」ヒョイ
箒「きゃっ!」
箒(お、お姫様抱っこ……)ドキドキドキドキ - 69 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/24(水) 01:05:52.36 ID:k7ZktffZ0
- ラウラ「箒」
箒「?」
ラウラ「二度と無くすなよ」スッ
箒「あ、ああ……」
鈴「汚れも洗えば落ちるでしょ」
セシリア「私も子供の頃お洋服に染みを作ってしまったことはありますけれど、翌週にはまた元の美しさを取り戻せましたし」
シャル「ところどころほつれてるけど、修繕できる範囲だよ」
箒「ありがとう、ありがとうおまえたち……」
一夏「よーし。じゃあ食堂に行くか。腹減ったよな!」
全員「おー!」
箒(…………どうなることかと思ったが……よ、良かった……)
一夏「~~♪」
箒(こんなお気楽そうな顔して、私のことを心配してくれていたのかも知れない)
一夏「箒、医療室に寄るぞ」
箒「……うん」 - 70 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/24(水) 01:16:59.45 ID:k7ZktffZ0
- 一夏「どうした? 嬉しそうな顔して……」
箒「……何でもない」
一夏「ふーん……ま、良いか!」
箒(……一夏は私のことを考えてくれていたに違いない。こいつはずっと私に目を掛けてくれていた)
箒(今、こんなに上機嫌なのも、私へのプレゼントが大切にされていると知ったからだ)
箒(私にだって分かる……本当にありがとう……)
一夏(多分、俺が箒のリボンをずっと気にしてたって事は、多分こいつに気付かれてるだろうなあ……)
一夏(ちょっと気恥ずかしいぜ。プレゼントの現在を一々気にしてる軟弱者だって思われるかも)
一夏「……」チラッ
箒「……」チラッ
一夏「!」カアァァァ
箒「あ……」カァァァァ - 71 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/24(水) 01:19:24.96 ID:k7ZktffZ0
- ~数日後~
箒(一夏はすぐに私の事情に気付いてくれた)
箒(リボンはボロボロになってしまった。皆はああ言ってくれたが、傷の痕跡を完全に消すことはできず、所々まだダメージが残っている)
箒(しかし、私はそれでも構わないと思っている)
箒(小さなほつれを見つめるたびに、抜けきらなかった染みあとを数えるたびに―――)
―――全部言わなくていい。箒がそんなことしないってことは、誰より俺が知ってるから
箒(あの日の一夏の優しさが、温かな気持ちと共に思い起こされるからだ)
箒「……」
ポタッ
おしまい - 72 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/24(水) 01:20:45.45 ID:k7ZktffZ0
- 見てくれた皆、ありがとう
- 73 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/24(水) 01:24:49.88 ID:KPsUnHjh0
- 盛大に乙
- 75 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/24(水) 01:26:03.94 ID:0hlLgco40
- やはり箒がメインヒロインだよ
乙 - 77 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/24(水) 01:32:36.61 ID:Zm+zRuaB0
- 乙
面白かった
箒は何だかんだで乙女だな

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