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ウィーン「空回りしたり、素直になったり」
- 1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/06(火) 20:34:07.45 ID:OcOpGKHj0
- ――――とある日の放課後
ウィーン「大智、ちょっといい?」
田中「ん? どした?」
ウィーン「少し、相談に乗って欲しいことがあるんだ」
田中「勉強か?」
ウィーン「勉強……うん。きっとそうだと思う」
田中「きっと?」
ウィーン「大智。この前大智が、空港で紗羽に言ったことなんだけど」
田中「!」
ウィーン「あれは、どういうことだったのかな?」
田中「え?」
- 2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/06(火) 20:35:25.05 ID:OcOpGKHj0
- ウィーン「なんで、あんなことを言ったのか、教えてほしいんだ」
田中「なんでって……そりゃ……」
ウィーン「……」
田中「……笑うなよ」
ウィーン「もちろん」
田中「……好きだから……とか、そんなのだ」
ウィーン「……やっぱり、そうなんだね」
田中「なんだよ」
ウィーン「ううん。ありがとう。だからこそ、やっぱり大智に聞きたいことがあるんだ」
田中「?」
ウィーン「大智は、紗羽のこと考えるとどんな風になるの?」
田中「えっ……」
ウィーン「やっぱり、ドキドキしたり、胸がしめつけられたりするのかな?」
田中「あ、ああ。なんだ……。んー、俺はちょっと違うな」 - 3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/06(火) 20:37:05.69 ID:OcOpGKHj0
- ウィーン「違う?」
田中「別に普段からそうってわけじゃなくて、ふとした時っつか。
なんか、今まで何の気なしに見てたけど……やっぱこう……」
田中「なんてんだろ……あー、俺もよくわかってねーな。悪い」
ウィーン「そうなんだ……ゴメン」
田中「いや、謝ることじゃねーだろ。で?」
ウィーン「ん?」
田中「相談、じゃないのか?」
ウィーン「うん。最近……いや、いつからかはもう覚えてないけど」
田中「ああ」
ウィーン「多分、僕は和奏を気にしてるんだ」
田中「気にしてる?」
ウィーン「うん」
田中「……それは前にみんなで沖田を励ました時と、同じ感じか?」 - 4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/06(火) 20:39:10.82 ID:OcOpGKHj0
- ウィーン「違うと思う。きっと、大智の紗羽への気持ちと似てるんじゃないかな」
田中「……あー。似てるって? つまり、好きってことじゃないのか?」
ウィーン「好き……。という気持ちなのかな、これが」
田中「ガンバライジャー、お前好きだろ」
ウィーン「うん、もちろん」
田中「それがあるから頑張れたり、ずっと見ていたいと思ったり。そんな感じ、するよな」
ウィーン「そうだね。ガンバライジャーがあるから、ヤンとの繋がりあったし、僕自身も頑張れると思ってる」
田中「それを、坂井にも思ってるんだろ?」
ウィーン「……多分」
田中「……んー……」
ウィーン「ごめんね大智、こんなこと聞いちゃって」
田中「いいって、気にすんな」
田中「……とりあえず、もう少し様子見てみたらどうだ?」 - 5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/06(火) 20:41:22.38 ID:OcOpGKHj0
- ウィーン「様子を?」
田中「多分だけど、お前の気持ちは間違ってないと思うぞ。単に、わかってないだけで」
田中「だから、もうちょっと坂井を見てみてさ。そうだと思ったら、また相談しにこいよ。
一番大事なのは、自分の気持ちに、素直になることだからな」
ウィーン「……うん。そうする。ありがとう、大智」
田中「おう」
――――後日、学校にて。
和奏「……」
来夏「おはよー、和奏」
和奏「……あ、おはよう来夏……」
来夏「どしたの? 元気ないね」
和奏「うん。ちょっとね……」 - 6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/06(火) 20:43:15.07 ID:OcOpGKHj0
- 来夏「何かあったの?」
和奏「あったというか……今もあるというか」
来夏「?」
和奏「……」 チラッ
ウィーン「……」 ジーッ - 7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/06(火) 20:45:10.85 ID:OcOpGKHj0
- 和奏(またこっち見てる……なんかしたのかな、私?)
来夏「和奏?」
和奏(でも、怒ってる風でもないし……なんだろう)
来夏「和奏ー?」
和奏「あ、ごめん。何だっけ?」
来夏「何だっけって、それを聞いてるんだけど」
和奏「……うん」
来夏「?」
和奏「その……。なんだか、ウィーンが最近こっち見てる気がして……」
来夏「ウィーンが?」 チラッ
ウィーン「……」 カキカキ
来夏「普通に予習してるっぽいけど」
和奏「いつもってわけじゃないよ。ただ、気が付いたら、なんか」
来夏「…………ふー」
和奏「来夏?」 - 8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/06(火) 20:48:10.20 ID:OcOpGKHj0
- 来夏「和奏!」 ガシッ
和奏「な、何?」
来夏「それ、ウィーンじゃないよ」
和奏「は?」
来夏「ウィーンが和奏を見てるんじゃないの。和奏が、ウィーンを見てるんだよ!」
和奏「へ?」
来夏「あるんだよねぇー。
あっちが意識してるーと思いきや、気が付いたら自分が恋に落ちてるってこと」
和奏「いや、それは違うと思うんだけど」
来夏「和奏は経験ないから、わかってないだけだよ。絶対そうだって!」
和奏「そうかなぁ……」
来夏「まったく、田中といい和奏といい。あたしに黙ってそんなことになるなんて!」
和奏「……」
来夏「あ、和奏! 先に行っておくけど、あたしは応援するからね!」
和奏「は?」 - 10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/06(火) 20:50:23.32 ID:OcOpGKHj0
- 来夏「あたしはみんなのお母さんだもん。それぐらいお安い御用だよ」
和奏「うーん」
来夏「となれば、まずはウィーンがちゃんとフリーかどうかの確認しないとね! ちょっと聞いてくる!」
和奏「ちょっ、来夏!?」
来夏「ねーねーウィーン!」
ウィーン「ん? なに、来夏」
和奏「本当に行っちゃうし……」
――――――――
来夏「……あー、ビックリした」
和奏「どうしたの?」
来夏「好きな人っている? って聞いたんだけど」
和奏「うん」
来夏「すぐに『居るよ』って答えてきたの!」 - 11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/06(火) 20:52:52.85 ID:OcOpGKHj0
- 和奏「へぇ」
来夏「誰だと思う~?」
和奏「何ニヤついてんの?」
来夏「期待してるんじゃないかと思ってさ」
和奏「全然」
来夏「和奏ったら、照れちゃって。でも安心して、大丈夫だから」
和奏「大丈夫?」
来夏「ガンバライジャーのピンクの人が好きらしいよ」
和奏「ふーん」
来夏「よかったね、今のウィーンはフリーだよ!」
和奏「……ねえ、来夏」
来夏「ん?」
和奏「私がどうとか、ってことは放っておいて、なんだけど」
来夏「うん」 - 12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/06(火) 20:55:25.11 ID:OcOpGKHj0
- 和奏「ウィーンがこっち見てる気がするって、最初言ったよね」
来夏「言ったね」
和奏「もしかしたら、って思ったけど。来夏のおかげでわかった」
来夏「何が?」
和奏「ウィーンも、私も。何もない。やっぱり、たまたまだったみたいだね」
来夏「え」
和奏「そろそろ授業始まるから、席戻ったら?」
来夏「あ、うん。わかった」
来夏(うーん。それはそれで、なーんか違和感残るんだよねぇ)
来夏(ウィーンも和奏も、こういうのわかってなさそうだし、本人に聞いてもダメかも)
来夏「よし!」 - 14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/06(火) 20:58:34.15 ID:OcOpGKHj0
- ――――放課後の音楽準備室
田中「なんだよ、急に呼び出して」
来夏「ちょっと聞きたいことがあって」
田中「なんだよ?」
来夏「うん。ね、ウィーンって、今好きな人とか居るのかな? あんた、何か知らない?」
田中「は?」
来夏「あたしの見立てでは、居そうな感じがしてるんだけど」
田中(女の勘ってすげーんだな。つか、話していいもんなのか……?)
田中「それ聞いてどうすんだ?」
来夏「どうするもこうするも。協力してあげようかと思って」
田中「なんだそりゃ。本人たちが勝手にすればいいことだろ?」
来夏「甘いなー、田中は。だって、ウィーンだよ?」
田中「あー……」 - 15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/06(火) 21:01:14.63 ID:OcOpGKHj0
- 来夏「イイ奴だけど、こういうことに関しては、ぜーったいわかってないって」
田中(断言すんのな)
来夏「しかもね、あたし達はもう高校三年生なの。残された時間はあとわずか!」
来夏「最後の最後で、せめていい思い出を作ってあげたいとか思わないの、あんたは!?」
来夏「親友のくせに冷たいんだね! いけず!」
田中「なっ!?」
来夏「あんただって、少しぐらい相談してくれれば、何だってしてあげたんだよ!」
田中「は?」
来夏「まさか、田中が紗羽のことを……なーんて、思ってもみなかったけど」
田中「う……」
来夏「最後の最後で、あんなこと言って。紗羽だって心の準備ってもんがあるんだよ!」
田中「……はい」 - 17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/06(火) 21:04:14.49 ID:OcOpGKHj0
- 来夏「もうちょっと早ければ、あれもこれもそれもどれも。どうとでも出来たのに!」
田中「……別に、そこまでしたかったわけじゃ」
来夏「何か言った?」
田中「いえ」
来夏「ともかく! ウィーンや和奏には、そんな思いをして欲しくないの!」
田中(ああ、もう坂井とウィーンってことはわかってんのか)
来夏「だから、協力しなさい! あんたも!」
田中「何をだよ」
来夏「知ってることを、とりあえずお母さんに話してごらん」
田中「なんだそりゃ」
来夏「とにかく、ほら」
田中(ま、俺も相談されてどう答えたらよかったか、わかってねーし。
何か助けになるってんなら、宮本に頼ってみても良いかもな)
田中「わかったよ。まず……」
来夏「うんうん」 - 18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/06(火) 21:07:37.41 ID:OcOpGKHj0
- ――――――――
来夏「なるほどねー。つまりは、あたしの勘は間違ってなかったわけだ」
田中「まぁ、そうだな」
来夏「後は本人たちが、どうやって動くか。そこだね!」
田中「そこはそっとしといた方がいいんじゃねえか?」
来夏「ダメダメ。二人とも鈍いうえにわかってないんだもん。誰かが背中を押してあげなきゃ!」
田中「そう……いうもんか」
来夏「別にいいの。全部が全部、あたしがコントロールしたいわけじゃない。
ただ、友達の為に何かしてあげたいって気持ちは、絶対に譲りたくない」
田中「……お前、たまに良いこと言うよな」
来夏「たまにってなんだ、たまにって!」
田中「いつもは適当だろ」
来夏「むー……。というか、そもそも。
あんたがもっとしっかりしたアドバイスを、ウィーンにしていれば良かった話なんだよ」
田中「俺のせいかよ」 - 19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/06(火) 21:10:38.35 ID:OcOpGKHj0
- 来夏「こんな当事者じゃない二人で、あーだこーだ話す必要だってないわけだし」
田中「たしかに」
来夏「聞く限りじゃ、絶対ウィーンの気持ちは好き、ってことで間違ってないじゃない」
田中「そう……か?」
来夏「はっきりしないなー、あんたも。そんな中途半端な気持ちで、あんたは紗羽のこと見てたの?」
田中「そういうわけじゃ! ……ねえよ」
来夏「だったら、自分に自信持ちなさい。それこそ紗羽に失礼。
生半可な気持ちで、答えてくれたわけじゃないんだからね!」
田中「……わかったよ」
来夏「よーし、じゃあウィーンと和奏をどうするか作戦会議しますか!」
田中「本人たちの知らないところで、勝手にな」
来夏「文句あんの?」
田中「いーや」
来夏「まずはね、二人が自分がどういう状態かを自覚させることからにして~~」 - 20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/06(火) 21:13:16.98 ID:OcOpGKHj0
- ――――後日、休みの日
和奏(待ち合わせ、ちょっと遅れちゃったけど……もうみんな来てるかな?)
ウィーン「あ、和奏。おはよう」
和奏「おはよう。あれ、ウィーンだけ?」
ウィーン「うん。それが、大智は急用が出来ちゃったみたいなんだ」
和奏「そうなんだ。じゃあ、後は来夏だけ?」
ウィーン「うん」
~~~♪
和奏「ん? 着信? ……来夏からだ」
来夏《あ、和奏? おはよー》
和奏「おはよう。どうしたの?」
来夏《うん。それがさー、ちょっと親戚と会う用事が急に入っちゃって、今日行けなくなっちゃったんだ》
和奏「え? 来夏も?」 - 21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/06(火) 21:16:16.90 ID:OcOpGKHj0
- 来夏《ごめんねー。この埋め合わせはまたするから!》
和奏「もー。絶対だよ?」
来夏《うん! ……あ、そうだ》
和奏「ん?」
来夏《前にあたしが言ったこと、ちゃんと覚えてる?》
和奏「え? ん……一応」
来夏《せっかくの機会なんだから、忘れないでね》
和奏「……」
来夏《それじゃ!》 プッ
和奏「あ、来夏?」 ツーツー
和奏(ほんとに、勝手なんだから) パタン
ウィーン「どうしたの?」 - 23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/06(火) 21:19:13.34 ID:OcOpGKHj0
- 和奏「来夏も急用で来れないって」
ウィーン「えー? 一緒に、ショッピング行こうって言ったの来夏だったよね?」
和奏「仕方ないよ、急用だし」
ウィーン「そっか……残念だね」
和奏「……」
ウィーン「……」
ウィーン「じゃあ、今日は僕と和奏だけ?」
和奏「……そうだね」
和奏「せっかく集まったけど、二人だけじゃ寂しいし。また今度にしても良いよ?」
ウィーン「うん……」
和奏「それじゃ、また」
ウィーン(……あ)
ウィーン「ごめん、和奏。やっぱり、今日一緒に行かない?」
和奏「え?」 - 24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/06(火) 21:22:32.71 ID:OcOpGKHj0
- ウィーン「せっかくなんだから、一緒に休日を過ごすってのはどうかな、って思って」
和奏「へっ?」
ウィーン「ダメかな?」
和奏(……そういえば、来夏が『男性のお願いはなるべく聞いてあげた方が良いよ』って言ってたっけ)
和奏(別に困るようなことじゃないし、良いかな)
和奏「うん。いいよ」
ウィーン「ありがとう!」
ウィーン(思ったことは素直に口に出せ、って大智が言ってたのを忘れるところだった。よかった。ちゃんと言えて)
和奏「とりあえず、商店街の方に行ってみる?」
ウィーン「うん!」
――――――――
ウィーン「来てみたけど、何を買う予定なの?」 - 25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/06(火) 21:25:32.74 ID:OcOpGKHj0
- 和奏「うーん。特には考えてないけど。ウィーンは?」
ウィーン「僕もあんまり。和奏たちと一緒に居られれば、それでいいかなって思って」
和奏「……ウィーンって、そういうことサラッと言うよね」
ウィーン「そういうことって?」
和奏「思ったことだったり、考えてることだったり」
ウィーン「和奏もそうだと思うよ」
和奏「それもそうだけど」
ウィーン「あ、そうだ。まだお昼食べてないよね?」
和奏「うん。来夏が一緒に食べようね、って言ってたから」
ウィーン「じゃあ、どこかお店に行こうよ」
和奏「良いけど、どこにする?」
ウィーン「この辺りで知ってるお店は……あ、そうだ。以前大智と行ったお店――」
ウィーン(あっ!) - 27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/06(火) 21:28:12.79 ID:OcOpGKHj0
- ~~~~回想
田中「いいかウィーン。女子と飯食う時は絶対に牛丼屋とか選ぶなよ」
ウィーン「なんで? 凄くおいしいと思ったんだけど」
田中「そういう問題じゃないんだよ。こう、女子ってのは雰囲気とかを大事にするんだ」
ウィーン「うんうん」
田中「牛丼屋ってのは、男が多いしさっさと食べて店を出ないと、嫌な顔されることもあるからな。
あ、同じ理由でラーメン屋もパスだ。下手すりゃ牛丼屋よりヤバい」
ウィーン「牛丼屋よりヤバい……と」 カキカキ
田中「せめて喫茶店とか、最低限でファミレスだな。むしろ、女子に選ばせた方が良いかもしれねえな」
ウィーン「うん。わかったよ。ありがとう、大智!」
田中「おう。忘れんなよ」
ウィーン「うん」
田中(ま、全部、宮本の受け売りだけどな) - 28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/06(火) 21:31:20.74 ID:OcOpGKHj0
- ~~~~
ウィーン「――は、あんまりおいしくなかったんだ」
和奏「え?」
ウィーン「和奏、良いところ知らない?」
和奏「ん~……。この辺りだったら……喫茶店なら、知ってるけど」
ウィーン「じゃあ、そこにしようよ」
和奏「いいの? 軽食とかしかないけど」
ウィーン「大丈夫だよ」
和奏「そっか。じゃあ、行こ」
ウィーン「うん」
――――喫茶店
ウィーン「綺麗なお店だね」
和奏「来夏や紗羽とよく来る場所なんだ」 - 29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/06(火) 21:34:30.63 ID:OcOpGKHj0
- ウィーン「へー」
和奏「あ、いつもの所空いてる」
ウィーン(あ、そういえば座席は女性が奥がマナーって、言ってたっけ)
ウィーン「和奏、奥の席座りなよ」
和奏「? う、うん」
ウィーン(で、メニューは先に開いて見せてあげる、だ)
ウィーン「どれにする? はい、メニュー」
和奏「私はもう決めてるから、ウィーン見て良いよ」
ウィーン「え? あ、うん……」
和奏(何でしょんぼりしたんだろ?)
ウィーン「……よし、このサンドイッチにしようかな」
和奏「決まった?」
ウィーン「うん」 - 30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/06(火) 21:37:36.72 ID:OcOpGKHj0
- 和奏「店員さーん」
ウィーン「あ!」
和奏「?」
ウィーン(出来るだけ女性に何かやらせないように、って言われてたのに……)
和奏「どうしたの? やっぱまだだった?」
ウィーン「あ、いや。大丈夫だよ」
和奏「?」
ウィーン(難しいなぁ、大智が言ったようにやるのは)
和奏(なんかウィーンが、いつもと違う感じがする……変なの)
――――――――
和奏「へー、それじゃヤン君と連絡取れたんだ」
ウィーン「うん。卒業したら、一旦ウィーンに戻って会いに行くつもりなんだ」 - 33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/06(火) 21:40:16.44 ID:OcOpGKHj0
- 和奏「そっか。良かったね」
ウィーン「うん」
和奏「……卒業後かぁ」
ウィーン「和奏は、卒業したらどうするの?」
和奏「うん。まずは、勉強かな」
ウィーン「勉強?」
和奏「私、音大に入りたいんだ」
ウィーン「音大?」
和奏「音楽大学。やっぱり、これからもっと音楽のこと知りたくて、その道に進みたいと思って」
ウィーン「うん。和奏なら、きっと大丈夫だよ」
和奏「ありがとう」
ウィーン「音楽大学かぁ……この辺りにあるの?」
和奏「あるといえばあるけど、私のレベルじゃ難しいかもしれない。だから、第一志望は県外のところなんだ。」
ウィーン「へー」 - 34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/06(火) 21:43:07.61 ID:OcOpGKHj0
- 和奏「受かっちゃったら、お父さんどうしようかなー」
ウィーン「? どういうこと?」
和奏「ここからじゃ通うの大変だから、一人暮らしになると思うし」
ウィーン「あ……そうなんだ……」
和奏「やっぱドラと離れるのが、一番寂しいかなぁ」
ウィーン「……じゃあ、僕たち……卒業したら、みんな離れ離れだね」
和奏「……そうだね」
ウィーン「それでも、僕はみんなに会えたのが本当に嬉しいよ」
和奏「私も。来夏が誘って、紗羽が頼んでくれなきゃ。きっと、音楽を捨てたままだった」
ウィーン「大智が居なかったら、僕は補修をして家に帰るだけの毎日を過ごしてたと思う」
和奏「よかったね、合唱部で」
ウィーン「時々バドミントン部、だよ」
和奏「うん」 - 35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/06(火) 21:46:08.67 ID:OcOpGKHj0
- ――――――――
和奏「あ、もうこんな時間だ」
ウィーン「まだ夕方だけど、何かあるの?」
和奏「買い物して帰らないといけないから、今日はそろそろ」
ウィーン「……よかったら、一緒に行くよ?」
和奏「え?」
ウィーン「それなら問題はないよね?」
和奏「うん……まあ」
ウィーン「よし、じゃあ行こうか」
和奏「うん」
ウィーン「あ、ここは僕がもつから。和奏は先に出てて」
和奏「え? 良いよ、そんなの」
ウィーン「大丈夫、この前お小遣い貰ったばかりで余裕あるか……」 チラッ
ウィーン(……あれ? 少ない……) - 36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/06(火) 21:48:14.20 ID:OcOpGKHj0
- ウィーン(あ、そういえば昨日ガンバレッドのコスチューム買っちゃったんだ)
和奏「……支払い、別々でいい?」
ウィーン「……うん。ごめんね」
和奏「いいよ、気にしなくて」
ウィーン「うん……」
――――スーパーにて
和奏「適当にぶらついてて良いよ。また後でね」
ウィーン「うん。終わったら教えてね」
和奏「うん」 - 37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/06(火) 21:51:06.04 ID:OcOpGKHj0
- ウィーン(どうしようかな……)
テクテク……
ウィーン(あ、お菓子のコーナーだ)
ウィーン(日本のお菓子は、面白いもの多いなぁ。自分で作って、楽しむなんて、凄い発想だよ)
ウィーン(……ん?)
ウィーン「こ、これは!!」
ウィーン「ガンバライジャーのミニフィギュア入りのお菓子……!?」
ウィーン「日本のフィギュアの出来は良く知っている……それがこんな所にまで影響しているなんて!」
ウィーン「ベルトの色塗り、ベストのでこぼこの作りこみ……完璧じゃないか!
制作会社は……PACS! 僕の家にあるフィギュアと同じ会社だ!」
ウィーン「こんな良いものが、当たり前みたいに並んでいるなんて、さすがは日本!」
ウィーン「……でも、僕は悲しい。こんな良いものが目の前にあるのに……」
ウィーン「お金が……足りない……!!」
和奏「……あの」 - 38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/06(火) 21:54:22.54 ID:OcOpGKHj0
- ウィーン「あ、和奏。どうしたの?」
和奏「お店で騒ぐと迷惑だから」
ウィーン「あ」
和奏「それ、欲しいの?」
ウィーン「……うん」
和奏「荷物、持ってくれるなら買ってあげてもいいよ」
ウィーン「ホント!?」
和奏「うん」
ウィーン「ありがとう、和奏! やったあ!」
和奏(本当に、子どもみたいだなぁ……) クスッ
――――――――
和奏「じゃあ、お願いね」 ガサッ
ウィーン「うん。任せてよ!」 グッ - 39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/06(火) 21:56:45.06 ID:OcOpGKHj0
- 和奏「すっかり暗くなっちゃったね」
ウィーン「そうだね」
和奏「……」
ウィーン「……」
和奏(最初は変だったけど、やっぱりウィーンはウィーンだね。なんか安心した)
和奏(来夏は『多少はこきつかう程度がちょうどいいんだよー』って言ってたけど、これぐらいは大丈夫だよね?)
ウィーン(……今日一日、和奏と居て僕はどう思ったんだろう)
ウィーン(凄く楽しかった。一緒に居るのが嬉しいと思った)
ウィーン(それと同じくらい)
ウィーン(卒業して、離れてしまうのが悲しいと思った)
ウィーン(紗羽との別れも寂しかった)
ウィーン(大智や来夏と別れるのも、きっとそうだと思う)
ウィーン(でも、僕は)
ウィーン(和奏と離れるのが、一番寂しいと思ってる) - 40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/06(火) 21:59:46.49 ID:OcOpGKHj0
- ウィーン(……そうだ、大智が最初に言っていた)
ウィーン(自分の気持ちに、素直になること……)
ウィーン(……うん)
ウィーン「和奏」
和奏「ん?」
ウィーン「以前、僕のうちに来たときにピアノがあったのを覚えてる?」
和奏「うん。覚えてるよ」
ウィーン「それをね。この前、せっかくだからって、直してもらったんだ」
和奏「調律したんだ」
ウィーン「うん。でも、僕の家族にはピアノが弾ける人が居なくて」
ウィーン「だから、和奏」
和奏「うん」
ウィーン「よかったら、僕の家でピアノを弾いて欲しい」 - 41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/06(火) 22:03:00.77 ID:OcOpGKHj0
- 和奏「え?」
ウィーン「広いから、歌だって歌えるよ」
和奏「……それって」
ウィーン「そして、出来るなら……それを、ずっと……」
和奏「……」
ウィーン「……」 - 42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/06(火) 22:06:14.47 ID:OcOpGKHj0
- 和奏「…………ずっとは、無理だよ。大学入ったら、遠くに行っちゃうし」
ウィーン「……そっか」
和奏「でも、しばらくはこっちに居るから。それまでなら、いいよ」
ウィーン「え?」
和奏「電子ピアノより、グランドピアノの方が私も好きだし」
和奏「それにね」
ウィーン「?」
和奏「私も、ウィーンと居るの、楽しくなかったわけじゃないよ?」
ウィーン「和奏……!」
和奏「でも、いつもの方が私は好きかなー、なんて」
ウィーン「え?」
和奏「変に取り繕わないで、いつものウィーンの方が絶対良いよ」
ウィーン「……うん」
和奏「とりあえず……しばらくは、よろしくね」
ウィーン「うん! こちらこそ!」 - 44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/06(火) 22:08:52.58 ID:OcOpGKHj0
- ――――次の日
来夏「おっはよー、和奏!」
和奏「おはよう、来夏」
来夏「で、どーだったの昨日は?」
和奏「いきなり?」
来夏「だって、気になるじゃん」
和奏「……ま、良いけど」
ウィーン「あ、和奏、来夏。おはよう」
来夏「おはよう、ウィーン!」
和奏「おはよ。ね、ウィーン。昨日お父さんから、ミュージカルのチケット貰ったんだけど」
和奏「一緒に行かない?」
来夏「えー? 和奏、あたしは?」
和奏「ごめんね、二枚しかもらえなかったんだ」
来夏「ぶー……」 - 45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/06(火) 22:11:50.05 ID:OcOpGKHj0
- 和奏「それで、どう?」
ウィーン「うん。もちろんだよ」
和奏「じゃ、忘れないでね」
ウィーン「わかったよ」
来夏「……」
田中「おーっす。……どうした、宮本?」
来夏「……和奏とウィーン。上手くいったみたいだね」
田中「ん?」
和奏「待ち合わせは何時にする?」
ウィーン「少し早めに来て、ご飯食べてからでどうかな?」
和奏「いいね、そうしよっか」
田中「……みてーだな」 - 46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/06(火) 22:13:44.48 ID:OcOpGKHj0
- 来夏「あー。これで売れ残りはあたしだけ……なんでこんなことに……」
田中「お前が自分でしたことだろ」
来夏「ふーん。いいもん。大学入ったら、はっちゃけてやるんだから」
田中「出来ると良いな」
来夏「ナンダト?」
田中「何にせよ、後はそっとしておこうぜ」
来夏「そうだね。邪魔しちゃ悪いし」
ウィーン「ちなみに、正装の方がいいのかな?」
和奏「いや、普通の格好で良いと思うよ?」
ウィーン「ええ? せっかくガンバライジャーの衣装買ったのに!」
和奏「それ正装じゃないよ」
来夏(……楽しんでおいでね、二人とも!)
おしまい - 47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/06(火) 22:14:45.73 ID:PJs4km210
- 乙!!
- 48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/06(火) 22:16:52.96 ID:OcOpGKHj0
- 以上です。
監督のこれで終わりは寂しい発言に凄く期待してます。何かあったらいいですね。
ともあれ、まずは円盤の売り上げやCDの売り上げが大事だと思います。
明日発売のTARI TARI BD/DVD第三巻買ってくださいね(白目) - 49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/06(火) 22:17:16.76 ID:a9QdcDyHO
- 乙
- 51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/11/06(火) 22:24:01.22 ID:MTldH8GXO
- おつ
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「TARI TARI」カテゴリの記事
- 2012/11/07(水) 00:19:05
-
TARITARIの滑ってる感は異常
これは来夏がマイルドだったからか割りとみれたけど
- 2012/11/07(水) 14:42:34
-
和奏とウィーンとか俺得
TARITARIは上手く纏まってたから、下手な2期やるよりは原作の延長上のOVAとか出ると嬉しい
もし2期やるんなら、思い切り作り込んでこけないでほしい
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