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男「これからもずっと、一緒にいてくれよな」 猫「ミャー!!」

1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/26(木) 21:06:34.81 ID:ZxTiOoLZ0
――"親友"が死んだ
あいつは俺の人生の一部だった
生まれたときからずっと一緒だった
体の調子が悪いときもずっと離れずそばにいてくれた
もはや家族と言ってもいいくらいだ
世界で一番大切で、必要な奴を俺は失った
俺の人生で欠けてはいけないものが、欠けてしまった――

~12時間前~

男「良い天気だな~」

猫「ミャー」

男「よし、"男2人"で散歩でも行くか!」

猫「ミャー」

男「今日はバイトもないし、目一杯遊べるぞ!」

猫「ミャー!」




6:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/26(木) 21:12:14.88 ID:ZxTiOoLZ0
""男2人"というのはお互いがオスだからだ
お互いに歳は20。獣医が言うには猫が20年生きているのは稀らしい
お互いに全身黒。オタク+黒猫。良いコンビだと思わないか?
さらにお互い人生のパートナーもいない
いや、違うな
もうこいつが俺の人生のパートナーだ

男「じゃあいつもの公園に行くか!」

猫「ミャー!」

俺たちは近所にお気に入りの公園がある
その公園は人気も少なく、とても静かで心が落ち着く場所だ

男「近頃の子供は家でゲームでもしてるのかねぇ」

猫「ミャー・・・」

男「ま、静かならそれでいいんだけどなー」

猫「ミャー!」


7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/26(木) 21:20:56.68 ID:ZxTiOoLZ0
しばらく歩いたところで、なにやら美味しそうな匂いがしてきた

男「お、たこ焼きじゃん!買ってくか!」

猫「ミャー」

公園のすぐ近くに屋台のたこ焼きがあった
屋台のおっちゃんは首輪も鎖も着けずに一緒に散歩している猫が珍しかったのか
たこ焼きを1パックおまけでつけてくれて、そのうえ猫にもと鰹節をくれた

男「良いおっちゃんだったな」

猫「ミャー!」

公園に到着すると、いつもと違う光景が目に入ってきた

男「おいおい、なんだよ1人もいねえじゃねえか」

人気が少ないとは言っても、いつも2,3人はいる

男「こんなに天気が良いのにもったいないな~」

猫「ミャー」

男「まぁ俺たちにとっては好都合だけどな」

猫「ミャー!」


8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/26(木) 21:27:20.69 ID:ZxTiOoLZ0
ベンチで気分良く昼食を食べ、俺たちは2人でベンチに横になった

男「腹いっぱい、おいしい空気、何も悩まず、公園のベンチで寝転がる」

男「幸せってこういうことをいうのかもしれないな」

猫「ミャー」

男「よし!ブラッシングしてやるからおいで」

猫「ミャー!」

男「ホントお前毛並みいいよな」

猫「ミャー」

男(こんな傷だらけの体なのに・・・)

猫「ミャー?」

男「・・・昔を、思い出すな・・・」

全身真っ黒なためパッと見ではわからないが、近くで見てみるとよくわかる
無数の傷跡が体中に残っている


9:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/26(木) 21:35:03.29 ID:ZxTiOoLZ0
男「どうして俺の不幸をいつもお前が被るんだよ・・・」

猫「ミャー?」

男「イジメられてたのを助けてくれたのはお前が最初で最後だ」

男「でも、そのせいでお前は怪我をした」

猫「ミャー」

男「空き巣に刃物を向けられたときもお前が助けてくれた」

男「でも、そのせいでお前はまた怪我をした」

猫「ミャー」

男「ヤンキーに絡まれた時もお前が撃退してくれた」

男「でも、そのせいでお前はさらに怪我をした」

猫「ミャー」

男「なんでだよ!全部俺の問題じゃねえか!どうして俺なんかを助けるんだよ!」

男「俺を助けるとお前が傷つくんだよ!なのにどうして・・・」


12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/26(木) 21:42:29.94 ID:ZxTiOoLZ0
男「俺なんかを助けなければ・・・お前は・・・こんな・・に・・・」

綺麗な毛並みの上に涙がこぼれる

猫「ミャー」

男「・・・・・」

猫「ミャー」

男「・・・ちょっと・・・寝る・・・」

猫「ミャー・・・」

男(あとどれだけの時間、こいつと一緒に過ごせるのだろう)

男「・・・・・なぁ」

猫「ミャー?」

男「ずっと一緒に・・・いてくれ・・・よな・・・」

猫「ミャー」


・・・・・・・・・・・・・zzz


16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/26(木) 21:50:06.50 ID:ZxTiOoLZ0
ポツン

体に何か冷たいものを感じ、目が覚める

男「・・・ん、結構寝ちゃったか」

猫「ミャー・・・」

男「おはよう・・・ってあれ?雪?ってか暗っ」

あんなに晴れて明るかったはずが、いつの間にか空は薄暗く雪がちらつき始めていた

男「天気予報じゃ今日は1日晴れって言ってたのに。本当あてにならんな」

猫「ミャー」

男「ふぁぁぁ・・・・・ってうお!?」

男「嘘だろ!?もう19時じゃねえか!くっそ寝すぎた」

男「・・・コンビニ寄って帰るか」

猫「ミャー」

男「よし、走るぞ!」

猫「ミャー!」

空は薄暗く、雪が散っている
その中を全身黒色の男2人が走る――


17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/26(木) 21:58:31.87 ID:ZxTiOoLZ0
2人はコンビニに到着すると同時に、いつもと雰囲気が違うことに気付く

男「あぁ?なんだこりゃ。混みすぎだろ」

猫「ミャー」

ふとヒラヒラとはためいている旗の文字に目がいく

男「・・・クリスマスケーキ、あります・・・」

猫「・・・ミャー」

男(完全に忘れてた・・・今日は12月24日・・・)

男(つーかホワイトクリスマスじゃねえか。空に願い事でもしておくか)

男(こいつがいつまでも健康でいられますように・・・)

猫「ミャー?」

男「・・・よし、いいだろう。買ってやろうじゃねえか、クリスマスケーキ」

猫「ミャー」

男「わかってるよ。お前に鰹節な。ここで待っててな」

猫「ミャー!」


18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/26(木) 22:06:53.41 ID:ZxTiOoLZ0
男「さてと・・・鰹節は・・・今日くらい一番高い奴買ってやるか」

男「あとはケーキケーキ・・・・・」

男(・・・ケーキどこにあんだよ。店員に言わなきゃ出してくれねえのか?)

男「・・・はぁ」

男(つーか店内にまでこんな派手なツリーいらねえだろ・・・)

男「すんません、ケーキ1つ」

店員「あ、はい・・・少々お待ちください」

男(そんな顔でみんなじゃねえよ。ケーキに鰹節かけて食うわけじゃねえよ)

ピッ ピッ

店員「ありがとうございましたーまたお越しくださいませー」


21:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/26(木) 22:17:00.22 ID:ZxTiOoLZ0
男「お待たせ。高級(だと思う)鰹節買ってきたぞ~!今日は特別だからな」

猫「ミャー!」

男「さあ、家に帰って腹いっぱい食おうか!しゅっぱーつ!」

猫「ミャー!!」

今日は男2人でクリスマスパーティーだ
男2人で寂しいって?そんなわけないだろ
世界で一番信用できる奴が一緒だ
これ以上最高なクリスマスがあるもんか
そんなことを考えながら歩いていると、背後ですごい音がした

キキーーーーッ

男「!?」

ドンッ!

一瞬の出来事だった
2人の体が激しく吹っ飛んだ


23:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/26(木) 22:25:53.10 ID:ZxTiOoLZ0
――死んだ
今回ばかりは本当にそう思った

男「ぐっ・・・」

男(あいつは・・・あいつは大丈夫か)

男(・・・・・!!)

男「お・・い。返事しろ・・・よ」

猫「」

男「返事しろっつってんだろ!!」

猫「」

男「うっ・・・・・うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

男(誰か・・・誰でもいいから・・・こいつだけは・・・こいつだけは助けてくれ・・・)

男(・・・クソッ・・・ダメだ、出血が・・・止まらねえ・・・)

バタッ

――雪が舞う冬の夜。
倒れている男2人を町のイルミネーションが照らす――


24:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/26(木) 22:35:19.90 ID:ZxTiOoLZ0
――時刻は23時

猫「ミャー」

ペロペロ

男「・・・・・う・・・ん?」

男(ここは・・・俺んち?・・・俺ら確か車に轢かれて・・・)

男「そうだ!俺血が出てっ・・・・・ない・・・?」

猫「ミャー」

男「!?・・・お前・・・生きてる・・・のか?」

猫「ミャー」

男「嘘・・・だろ・・・。だってお前あんなに」

猫「ミャー?」

男(どうなってんだ・・・。夢だってのか?・・・そうだ、コンビニで買ったやつ・・・)

男(・・・買ったケーキが・・・ない・・・)

猫「ミャー?」


27:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/26(木) 22:44:40.07 ID:ZxTiOoLZ0
男「・・・いや、ごめん。俺寝ぼけてるみたいだ」

男「23時か・・・寝すぎたな。でもすげえリアルな夢みたんだよ」

猫「ミャー?」

男「夢の前半は、あの公園でお前と楽しく昼飯食って寝てたんだよ」

男「でも・・・最後は・・・・・」

猫「ミャー?」

男「いや、やっぱなんでもない」

男「それより、今日せっかくの休みだっていうのに遊びに連れてってやれなくてごめんな」

猫「ミャー」

男「・・・よし、今からあの公園、行くか!」

猫「ミャー!」

男「今日はせっかくのクリスマス・イブだからな!」

猫「ミャー!!」

男「ははっ。そんなに嬉しいか」

猫「ミャー!!」


29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/26(木) 22:52:52.15 ID:ZxTiOoLZ0
ガチャッ

男「おぉ」

猫「ミャー」

目の前の光景に驚いたのか、2人同時に声が出る
玄関の先に広がっていたのは一面真っ白な世界だった

男「結構積もってんなー」

猫「ミャー」

男「足冷たいと思うけど・・・大丈夫か?」

猫「ミャー!」

男「はは。お前は結構な歳なんだから、無理すんなよ?」

猫「ミャー!」

俺は"親友"と共にいつもの公園に向かう
ただ、"親友"の言う通り、確かに足が冷たい


30:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/26(木) 23:00:26.11 ID:ZxTiOoLZ0
男「・・・・・なぁ」

猫「ミャー?」

男「これからもずっと、一緒にいてくれよな」

猫「ミャー!!」

男「約束だぞ?」

猫「ミャー!!!」

何をいまさら当たり前のことを聞いてくるのだろうか
俺には最初からお前しかいないのに
お前は俺の人生の一部なんだよ
生まれたときからずっと一緒だっただろうが
体の調子が悪いときもずっと離れずそばにいてくれただろうが
もはや家族と言ってもいいくらいの仲だろうが
お前は俺にとって世界で一番大切な人なんだよ
俺にとって必要不可欠な存在なんだよ
約束するよ。俺が死ぬまで、ずっと一緒だ。

雪が舞う冬の夜
一面真っ白な地面に猫の足跡のみが公園まで続いてゆく――




―おわり―


31:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/26(木) 23:02:49.64 ID:ZxTiOoLZ0
超絶に短かったけど読んでくれた人ありがとう!
あと感想書いてくれると嬉しい


32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/26(木) 23:09:38.25 ID:lrZ5PLdWO
えっ?短っ


38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/26(木) 23:37:37.45 ID:ZxTiOoLZ0
>>32
すまぬwwwすまぬwww
長い話苦手なんだわww
でも読んでくれてありがとう!


33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/26(木) 23:10:14.67 ID:nvDYdaVP0
純粋に良いと思った。
>>1


34:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/26(木) 23:13:17.66 ID:jGmM712kO
1乙


35:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/26(木) 23:19:30.44 ID:AzyIrdR90
ちょっと感動した


36:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/26(木) 23:30:51.25 ID:SicrjwXg0
良い


38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/26(木) 23:37:37.45 ID:ZxTiOoLZ0
>>33-36

ありがとう!嬉しい!

最後で気付いた思うけど一応書いておくと
この話は最初から猫視点で書いてあるよ!
あと男は交通事故で死んでるよ!生きてるのは猫だけ





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