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騎士「我々に」忍者「任せるでござる」学生「帰れよ」

1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 20:02:25.87 ID:2WrI0l930
学生(ふぅ、やっと学校が終わった)

学生(あ~あ……今日も令嬢ちゃんに話しかけられなかったな)

学生(ま、遠くから眺めてるだけで幸せなんだけどさ)

パカラッ! パカラッ!

学生「ん?」

ザンッ!

学生(馬に乗った甲冑!?)

学生(え、なに!? なんかのパフォーマンス!? 新手の変質者!?)

騎士「吾輩は騎士」

学生「はい?」

騎士「貴公に恩を返すためにやってきた」

学生「へ……?」




3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 20:07:19.59 ID:2WrI0l930
学生「あのぉ……」

騎士「なんだ?」

学生「恩を返すといわれても、俺はあなたを全く知らないんですけど」

学生「……どこかでお会いしましたっけ?」

騎士「吾輩は貴公と会ったことなどない! 今初めて出会った!」

学生「!」ビクッ

学生(怒鳴らなくてもいいだろ……)

学生「じゃあ恩返しってなんのことですか……?」

騎士「うむ、今から説明──」

騎士「む、怪しい気配が!」ピクッ

学生「え!?」


4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 20:13:36.79 ID:2WrI0l930
シュタタタッ

学生(なんだろ、あの屋根を飛んでる黒い影は……?)

騎士「なんだ、あれは」

学生「……いや、俺に聞かれても」

シュザァッ!

忍者「参上!」

学生「うおっ!? いつの間に!」

騎士「ほう、なかなかのスピードだ」

忍者「拙者は忍者」

学生「はい?」

忍者「おぬしに恩返しをするためにやってきたでござる」

学生(ま、またかよ!)


5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 20:19:40.09 ID:2WrI0l930
騎士「オイ、キサマ」

忍者「なんでござるか? この鉄の鎧で身を固めた輩は!?」

騎士「この方には、吾輩が恩返しをするのだ」

騎士「キサマは必要ない。失せろ」

忍者「いきなり失せろとは無礼でござるな。そちらこそ失せるでござる」

騎士「吾輩にそのような口を叩くとは……」ズン

忍者「礼には礼を、無礼には無礼を、でござる」チャキッ

学生(互いに槍と刀を取り出した……!)

ゴゴゴゴゴ……!

学生(ま、まずい……一触即発だ!)

学生「あ、あの……アンタたち、俺に用があるんだよな?」

学生「とりあえず、俺んちに来ないか?」

騎士「うむ」

忍者「それがいいでござるな」


7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 20:23:22.24 ID:2WrI0l930
<家>

学生「ただいま~」

母「お帰りなさい」

母「あら、変わったお友だちね」

騎士「こんにちは」ガチャガチャ

忍者「おジャマするでござる」シュタッ

母「あとでなにか冷たいものでも持っていくわね」

騎士「では、ワインを所望する」

忍者「拙者、緑茶が好みでござる」

学生(コイツら、けっこう図々しいな)


10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 20:29:19.50 ID:2WrI0l930
騎士「ふむ、このグリーンなティーはなかなか渋い味だな」

忍者「いい洋酒でござる」

学生(さすが母さん……あえて騎士に緑茶を、忍者にワインを出すとは)

学生「……ところで」

騎士&忍者「へ?」

学生「へ、じゃないだろ!」

学生「説明してくれよ、なんで俺のところにやってきたのかを!」

騎士「ああ、そういえばそうだったな」

忍者「じゃあ拙者から話すでござる」

騎士「いや吾輩から話そう」

忍者「拙者から」

騎士「吾輩から」

学生「じゃあ俺が」

騎士&忍者「どうぞどうぞどうぞ」

学生(コイツらうぜぇ……)


14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 20:36:14.53 ID:2WrI0l930
学生「じゃあ先に出会ったし、騎士さんからどうぞ」

騎士「よしっ!」グッ

忍者「くぅぅ……っ!」ガクッ

学生「アンタは、俺にどんな恩があるっていうんですか?」

騎士「うむ、あれはちょうど三年前のことだったか──」

騎士「吾輩は宣教師の護衛として、この日本にやってきていた」

学生「宣教師?」

学生(ウチはキリスト教徒でもなんでもねえぞ……)

騎士「だが当時の日本は、戦乱に明け暮れており」

騎士「混乱の中で吾輩は宣教師らとはぐれてしまった」

学生「ちょ、ちょっと待ってくれ。戦乱って……アンタいつ日本に来たんだよ?」

騎士「西暦1560年だ」

学生「なっ……!?」


15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 20:38:31.71 ID:L85LvOaX0
お、おう・・・


18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 20:41:08.44 ID:2WrI0l930
騎士「はぐれてしまった吾輩は当てもなく各地を転々としたが」

騎士「ろくに食べることもできず、ついに力尽きてしまった」

騎士「そんな時、ある農民と出会ったのだ」

~ 回想 ~
 
騎士『うぅ……』ペラ…

農民『どうなされた?』

騎士『た、頼む……なにか食べさせてくれ……』ペラペラ…

農民『なにをいってるかは分からんが、飢えているということは分かる』

農民『ほれ、おむすびだ。食いなされ』スッ

騎士『あ、ありがとう!』ペラペラ

~ 現代 ~

騎士「あの時のライスボールの美味しかったこと、美味しかったこと……」

騎士「今思い出しても、ヨダレが出てきてしまう」ジュルリ…

学生「いいから話を進めてくれ」


19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 20:45:26.84 ID:2WrI0l930
騎士「吾輩はしばらくその農民のもとに住まわせてもらうことになった」

騎士「農作業を手伝う傍ら、この国の言葉を教えてもらい」

騎士「こうして日本語を話すこともできるようになった」

学生(農民に習っただけで日本語マスターしたのかよ)

学生(しかもちゃんと騎士っぽいしゃべり方になってるし……何気にすごいな)

騎士「そして──」

~ 回想 ~

騎士『今までありがとう』

農民『いやいや、はぐれてた仲間と再会できてよかったなぁ』

騎士『この恩は必ず返してみせる!』

農民『気にせんでええよ、恩を売るつもりでアンタを助けたわけじゃないしな』

騎士『そうか……ならば、貴公の子孫に幸あらんことぐらいは祈らせてくれ』

農民『そりゃあありがたい。是非お願いするよ』


20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 20:50:29.70 ID:2WrI0l930
騎士「こうして吾輩は祖国に戻り、約束通り農民の子孫の幸福を神に祈った」

騎士「するとどうだ!」

騎士「突如、吾輩の体が光に包まれ──」

騎士「気がつけば、吾輩はこの見知らぬ世界に飛ばされていたのだ」

騎士「農民の子孫を助けたいという吾輩の祈りに、神が応えてくれたとしか考えられぬ!」

学生「はぁ……そうだったんだ……」

学生(なんかもう、どこから突っ込んでいいのか分からねえ)

学生(下手な突っ込みを入れると、槍で突いてきそうだしな……)

学生(ウソをついてるようにも見えないし……とりあえずは信じることにしよう)

学生「じゃあお次は……話したくてウズウズしてる忍者さん、どうぞ」

忍者「ようやく拙者の番でござるか!」

忍者「あれは永禄8年……冬の時分でござった」

学生(永禄8年!? い、いつ頃だろう……ケータイで調べてみるか)

学生(1565年……騎士さんと微妙にずれてるがほぼ同時期だな)


21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 20:54:20.24 ID:2WrI0l930
忍者「拙者はある武家の隠密でござったが」

忍者「任務の途中、敵方の隠密部隊と交戦し、深手を負ってしまったのでござる」

忍者「そして……瀕死の拙者に話しかけてきたのが、あの農民でござった」

~ 回想 ~

忍者『拙者も……ここまででござるか……』

農民『おやおや、そんなに傷ついてどうなされた?』ザッ

忍者『うぅ……拙者、敵と交戦し、不覚を取ったでござる……』

忍者『どうか拙者の亡骸は、誰もいないところに捨てて欲しいでござる……』

忍者『このような失態……仲間には知られたくないでござるからな……』

農民『まだ死ぬと決まったわけではなかろうに、気が早いお人だ』

農民『とにかくオラの家で手当てをしよう』


22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 20:59:34.11 ID:2WrI0l930
~ 現代 ~

忍者「農民のもとでしばらく介抱され、どうにか拙者は命を取り留めたのでござる」

忍者「その後、里に復帰を許され、農民のもとを去ることになったでござる」

学生「なるほど」

~ 回想 ~

忍者『本当に助かったでござる』

農民『いやいや、困った時はお互いさまだしなぁ』

忍者『この恩は必ず返すでござる』

農民『気にせんでええよ、恩を売るつもりでアンタを助けたわけじゃないしな』

忍者『ならば、おぬしの子孫の幸せくらいは祈らせて欲しいでござる』

農民『そりゃあありがたい。是非お願いするよ』


23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 21:00:31.44 ID:Hk7jWzdVO
奇縁だなw


27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 21:06:17.71 ID:2WrI0l930
忍者「こうして拙者は里に戻り、約束通り農民の子孫の幸せを祈ったでござる」

忍者「するとどうでござるか!」

忍者「突如、拙者の体が光に包まれ──」

忍者「気がつけば、拙者はこの見知らぬ世界に飛ばされていたのでござる」

忍者「農民の子孫を助けたいという拙者の願いに、神仏が応えてくれたのでござろう」

学生「……なんか、騎士さんとほとんど同じ話だったな」

忍者「そういえば!」

騎士「たしかに!」

忍者&騎士「今後ともよろしく!」

ガシィッ……!

学生(俺を置いてきぼりで意気投合すんなよ……)


28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 21:08:29.97 ID:MnCSyJ86O
仲いいなw


32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 21:11:29.41 ID:2WrI0l930
学生「ちょっと待ってくれ」

学生「アンタらの話には、一番肝心なことが抜けてるよ」

騎士「なんだ?」

学生「なんで俺がその農民の子孫だって分かるんだ、ってことだよ」

忍者「ああ、そんなことでござるか」

学生「?」

騎士「だって──」

騎士「貴公の顔は、あの農民そっくりなのだからな」
忍者「おぬしの顔は、あの農民そっくりでござるからな」

学生「……そんなに似てるの?」

忍者&騎士「うん」

騎士「最初は子孫でなく、服を着替えただけの本人だと思ったぐらいだ」

忍者「拙者も、拙者も」

アッハッハ……

学生(なんだろう……この複雑な気持ち)


33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 21:15:23.46 ID:2WrI0l930
学生「オーケー、分かった。俺が子孫だということは認めよう」

学生「──で、アンタらは俺をどうしてくれるんだ?」

忍者「もちろん、この家に住み」

騎士「かつて助けてもらったこの命で、貴公を全力でサポートする」

学生「…………」

忍者「今後のおぬしの生活は──」

騎士「我々に」

忍者「任せるでござる」

学生「帰れよ」


34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 21:20:43.11 ID:2WrI0l930
騎士「えぇっ!?」

忍者「な、なぜでござるか!?」

学生「得体の知れない騎士と忍者なんて、家におけねぇよ。あ、馬もいるか」

母「あら、かまわないわよ」

学生「母さん!?」

母「会社のお父さんにも電話したら」

母「珍しいペットみたいなもんだろうし、ウチに住まわせてもいいって」

学生「いいんだ」

忍者「よかったでござるなぁ!」ホクホク

騎士「うむ!」ホクホク

学生「アンタらもペット扱いでいいんだ」

学生「ま、いいなら、いいんだけどさ」

学生(もうどうでもいいや)


37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 21:22:56.06 ID:MnCSyJ86O
母さんパネェ


38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 21:25:32.68 ID:2WrI0l930
<居間>

騎士「吾輩は洋食が好みだ」モグモグ

忍者「拙者は和食がいいでござる」パクパク

母「じゃ、明日からはずっと中華にするわね」

学生(母さん、アンタ鬼だ)



<風呂場>

忍者「水遁の術でござる」スーハースーハー

学生「うわっ!?」ビクッ



<学生の部屋>

騎士「この国は平和だが、鍛錬は欠かせぬ」ブンッ ブンッ

学生「あぶねぇ!」


41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 21:32:19.58 ID:2WrI0l930
翌日──

学生「遅刻だぁ~っ!」ドタバタ

騎士「だらしない」

忍者「拙者らの恩人である農民は、毎日早寝早起きしてたでござるのに……」

学生「アンタらが遅くまで鍛錬したり、天井裏でガサゴソやってるせいだろうが!」

騎士「人のせいにするな」

忍者「するなでござる」

学生(うぜえ……)

学生「あ~もう、一時間目の途中から入るのは目立つからイヤだし」

学生「休み時間を狙ってゆっくり行くか……」

騎士「ふっふっふ、諦めるのはまだ早いぞ」

騎士「ここは吾輩に任せてもらおうか」

学生「え?」


44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 21:36:27.42 ID:2WrI0l930
「なにアレ?」 「コスプレ?」 「すっげ~」 「はやっ!」 「写真撮ろう」パシャッ

パカラッ! パカラッ!

学生(メッチャ見られてる……)

学生「降ろしてくれっ! これじゃ晒し者だ!」

騎士「なにをいっている。急ぐ時は馬と相場が決まっておる」

騎士「まして吾輩の愛馬は騎士団でも最速を誇ったからな」

騎士「スピードなら、この国の鉄の車にも負けはせん」

騎士「貴公を絶対に間に合わせる」

騎士「はぁっ!」パシッ

馬「ヒヒィ~ン!」

学生「これなら遅刻した方がマシだぁ~!」

パカラッ! パカラッ!


45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 21:42:20.70 ID:2WrI0l930
<学校>

ザワザワ…… ザワザワ……

友人「すげぇスピードだったな、ディープインパクト並じゃねえの?」

友人「さっきの騎士っぽい人、なんだったんだよ。お前の親戚?」

学生「……知らん」

友人「知らんってことはないだろ」

学生「知らんったら知らん!」

学生「新種のタクシーかなんかってことにしといてくれ!」

友人「わ、分かったよ」

令嬢「でもかっこよかったよ~」

学生「!」ドキッ

令嬢「あの甲冑の人はもちろんだけど、学生君もあのスピードで平然としてたし」

学生「そ、そうかな……ありがとう、令嬢さん」

学生(恥ずかしさが先行して、スピードにビビるどころじゃなかったもんな)

学生(でもまさか令嬢ちゃんに話しかけられるなんて……嬉しい)


46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 21:45:49.40 ID:2WrI0l930
<トイレ>

学生「恥ずかしかったけど、遅刻は免れたし、令嬢ちゃんに声かけられるし」チョロチョロ…

学生「結果オーライだったかな~」チョロチョロ…

忍者「おぬし、あのおなごに惚れてるでござるな?」

学生「!?」ビクッ

学生「忍者、アンタ今どこにいるんだよ!」

忍者「便器の中でござる」

学生「はぁ!?」

忍者「今、おぬしが用を足している便器ではないから安心して欲しいでござる」ニヤッ

学生「そういう問題じゃねえよ!」

忍者「拙者に任せてもらえば、あのおなごの下着の一枚や二枚……」

学生「ふざけんな!」


47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 21:49:32.31 ID:L85LvOaX0
汚いさすが忍者汚い


48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 21:50:16.76 ID:2WrI0l930
騎士「ふむ、女性には正々堂々とアタックをかけるべきだ」

学生「おわっ!?」

学生「忍者はまだ分かるけど、なんでアンタまでここにいるんだよ!」

騎士「貴公を送り届けた後、ここで用を足していたのだ」

騎士「なかなか可憐そうな乙女ではないか。なにか悩んでいるようではあったが」

騎士「なんなら、吾輩が女性を落とすテクニックを伝授してやろうか?」

学生「大きなお世話だ!」

学生「令嬢ちゃんはみんなのアイドルで、俺なんか手の届かない高嶺の花なんだよ!」

学生「放っておいてくれ!」

騎士「…………」ガシャンガシャン

忍者「…………」シュッ

学生(消えたか……。ったく、神出鬼没な奴らめ)


49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 21:54:16.87 ID:2WrI0l930
授業が終わり──

<家>

学生「!?」

忍者「…………」ニヤニヤ

騎士「…………」ニヤニヤ

学生「なんだよ、気持ち悪いな」

忍者「朗報があるでござる」

騎士「うむ」

学生「朗報?」

忍者「実はあの後、拙者と騎士殿とで、例のおなごを調査したでござる」

学生「な……!?」

騎士「すると興味深いことが分かったのだ」


50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 21:59:35.55 ID:2WrI0l930
忍者「あのおなごの父は、会社という組織の首領をやっているでござるが」

学生(首領って……社長のことか)

忍者「近頃、“りすとら”なるものを実行し、恨みを買っているらしいのでござる」

学生「リストラ……」

騎士「それで彼女の家に、嫌がらせの手紙などが来るようになったらしいのだ」

騎士「どうりであの乙女はどこか悩ましげな表情をしていたわけだ」

学生「わけだ、ってアンタ悩ましげな表情だなんてよく分かったな」

騎士「女性への気遣いは、騎士として当然の義務だからな」

学生(毎日顔を眺めてる俺が全然気づかなかったのに……スゴイな)

学生(こういうところは俺も見習うべきなのかも)


53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 22:04:18.87 ID:2WrI0l930
学生「──でもさ、それのどこが朗報なんだよ?」

学生「どっちかっていうと、むしろあんまりよくない報せじゃねえか」

騎士「決まってるだろう」

忍者「おなごを口説く時の一番よい時期は、悩んでいる時でござるからな」

騎士「うむ、これは別に卑怯ではない。むしろ、正当なテクニックといえる」

学生「…………」プルプル…

忍者「ここで悩みを聞いてやれば、コロリと落ちるでござるよ」

騎士「うむ、まさに絶好のチャンスといえよう」

学生「ふざけんなっ!!!」

学生「そんな弱みにつけこむようなマネ、できるか!」

騎士&忍者「……すみません」シュン…


56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 22:10:33.88 ID:2WrI0l930
翌日──

<学校>

学生「…………」チラッ

令嬢「……ふぅ」

学生(たしかにいわれてみると、悩んでいるようにも見えるな)

学生(よ、よし……!)ゴクッ…

学生「令嬢さん、おはよ」

令嬢「あっ、おはよう~」

学生「もしかして……今、悩み抱えてない?」

令嬢「えっ、どうして!?」

学生「いや……なんかそんな顔してたからさ。家とかでなにかあったのかな~と思って」

学生「俺、そういうのに結構敏感だからさ」

令嬢「ありがとう……実はね──」


57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 22:15:43.92 ID:2WrI0l930
学生「──なるほど」

学生(さすが本職の忍者と騎士、あの二人の調査は正しかったわけだ)

学生「でもそれは逆恨みもいいところだよ!」

学生「会社だって、生き残らなきゃいけないわけだしさ」

令嬢「うん……だけど、辞めさせられた人が困ってるのは事実だもの」

学生「……そう」

学生「たしかに俺、令嬢さんの悩みは解決できないかもしれないけど」

学生「こうやって悩みや愚痴ぐらい、いつでも聞くからさ」

令嬢「ありがとう……学生君のおかげで気が楽になったよ」

学生「いや、令嬢さんの力になれて俺も嬉しいよ」

学生(まさか、こうまでうまくいくなんて……)

学生(でも、いいのかなぁ、こんなんで……)


59 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 22:19:12.97 ID:2WrI0l930
<家>

学生「とりあえず……今日は令嬢ちゃんとだいぶ話せたよ」

学生「アンタらの調査も正しかったみたいだし」

学生「一応……ありがとう」

忍者「なんのなんの!」

騎士「吾輩たちは貴公への恩返しのためにここにいるのだからな!」

忍者「今後とも拙者たちがおぬしをどんどん“さぽおと”するでござるよ!」

騎士「お、忍者殿もだいぶ西洋の言葉を覚えてきたな!」

騎士&忍者「ハッハッハッハッハ……」

学生「…………」


64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 22:24:26.08 ID:2WrI0l930
その後──

<学生の部屋>

忍者「試験勉強でござるか」

学生「ああ、頼むからジャマすんなよ」カリカリ

忍者「こんな勉強せずとも、拙者が教師の家に忍び込んで、問題を──」

学生「やめろっ!」

騎士「ならば、吾輩が槍で教師を脅して満点にさせるとか──」

学生「もっとやめろっ!」



<居間>

父「お、今日は北京ダックか」

母「ええ、安かったから」

忍者「中華料理は最高でござるな!」ガツガツ

騎士「うむ、もはや洋食には戻れんな!」ガツガツ

学生(どこから北京ダックなんか調達してきてるんだよ、母さんは……)


65 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 22:31:06.75 ID:2WrI0l930
<学校>

教師「授業中に携帯電話をいじるとは……」ガミガミ…

学生「すみませ──」

ドガァンッ!

カカカカカッ!

教師「ひぃっ! どこからともなく、槍と手裏剣!?」

学生(アイツら……なにやってんだ……!)



令嬢「このところ、ますます嫌がらせがひどくなって……」

令嬢「家に動物の死骸が投げ込まれてたり……」

学生「ひどいなあ……!」

??「そこで“君は俺が守ってみせる”でござる」ボソッ

??「いやいや“俺の体を君に投げ込みたいよ”の方がよかろう」ボソッ

学生(コイツら……いったい、どこに潜んでやがるんだ……)


68 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 22:36:27.76 ID:2WrI0l930
<家>

忍者「いやぁ~拙者たちもだいぶ役立ってるでござるな!」

騎士「うむ、自分で自分を褒めたくなるほどだ」

学生「…………」

忍者「しかし、なかなか学生殿と令嬢殿の仲は進展しないでござるな」

騎士「うむ、吾輩が見るに、押しが足りないように思える」

学生「…………」

忍者「うかうかしてると、他の“ぷれいぼおい”に奪われる危険があるでござるな」

騎士「この際、多少騎士道に反する方法もやむをえないかもしれんな」

学生「…………」ピクッ

忍者「やはり拙者の里秘伝のしびれ薬で、体をしびれさせて……」

騎士「いやいや、我が愛馬でだれも来ないところに連れ去り……」

学生「…………」ピクピクッ


70 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 22:42:21.47 ID:2WrI0l930
学生「ふざけんなっ!!!」

騎士&忍者「!」ビクッ

学生「たしかにアンタらに助けられたことは何度もある!」

学生「だけどそれ以上にアンタらに迷惑かけられてんだよ、俺は!」

学生「いつもどこかに潜んで俺を見張って……」

学生「俺になんかあると、すぐどこからともなく手裏剣やら槍やら投げつけて……」

学生「いや、それだけならまだいい……」

学生「やりすぎだけど、俺のためを思ってやってるわけだからな」

学生「だけど、令嬢ちゃんに危害を加えようってのは絶対許せねえ!」

学生「令嬢ちゃんは俺が守る!」

学生「出てってくれ!」

騎士「わ、悪かった」
忍者「ちょ、ちょっと落ち着くでござる」

学生「出てけぇっ!!!」


72 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 22:48:43.75 ID:2WrI0l930
シ~ン……

学生「ハァ、ハァ、ハァ……」

学生「出ていったか……?」

学生「いったよな?」

学生「あ~……せいせいした」

学生「ったく、あんな連中を寄こしやがって、恨むぜご先祖様……」

学生(でもアイツらも俺を思って、いってくれたんだよな)

学生(今のこの時代よりずっと危険な時代を生きてきたわけだし……)

学生(それこそ、明日死ぬかもしれないような……)

学生(絶対的な身分の隔たりがあるわけでもないのに、告白すらできない俺を)

学生(まどろっこしいと思っても無理ないことかもしれない)

学生(──いやいや関係あるか!)

学生(俺には俺のペースってもんがあるんだ!)

学生「ふん……」


73 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 22:52:23.74 ID:2WrI0l930
<居間>

母「あら?」

母「騎士さんと忍者さんは?」

学生「知らない」

学生「この家に飽きて、出ていったんじゃない?」

母「そう、残念ねえ」

母「せっかく今日は格安で、高級食材のツバメの巣を購入できたのに」

父「食卓が寂しくなるな」

学生「…………」


74 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 22:56:25.21 ID:2WrI0l930
翌日──

<学校>

学生「あれ……?」

学生「今日は令嬢ちゃん、来てないんだ?」

友人「ああ、休みなんだよな、どうしたんだろ?」

学生「風邪かな……昨日は元気そうだったのに」

学生(ちょっと心配だな)

学生(帰りに家に寄ってみるかな……)


75 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 22:59:28.69 ID:2WrI0l930
<令嬢の家>

社長「…………」ウロウロ…

学生(あれ? 昼間なのに、令嬢ちゃんの父さんっぽい人がいる)

学生「あの……なにかあったんですか?」

社長「!」

社長「君は……娘のクラスメイトかね?」

学生「はい、そうです。突然、今日休んでるので、ちょっと気になって……」

社長「じ、実は──」

社長「娘が……娘がさらわれてしまったのだ!」

学生「なんですって!?」


79 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 23:06:22.47 ID:2WrI0l930
学生「なにがあったのか、説明してもらえませんか!?」

社長「今朝、娘はいつも通り学校に出かけたんだが──」

社長「今日の昼に、私の会社に電話がかかってきたのだ」

社長「娘は預かった、返して欲しければ身代金をよこせ、と」

学生「警察には……?」

社長「知らせていない……知らせれば、娘を殺すといわれて……」

社長「なんでも、こちらの動向はすぐに分かるといっている」

社長「どこかから、監視をしてるのかもしれん」

学生「やはり犯人は……あなたにリストラされた……?」

社長「ああ、おそらく……ってどうして君がそれを!?」

学生「令嬢さんから、話を聞いたことがあったので……」

学生「リストラした社員の方から、嫌がらせを受けていると」

社長「そうだったのか」

社長「彼は悪い人間ではなかったし、少し我慢すれば収まると思っていたのだが」

社長「まさかこんなことになってしまうとは……」


81 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 23:12:18.32 ID:2WrI0l930
学生「身代金の受け渡し方法の指示は?」

社長「とりあえず、町外れの公園に来いといわれているが……」

学生「分かりました……俺が行きます!」

社長「えっ!? しかし、危険だよ!」

学生「さっきあなたがいったように、リストラされた人は決して悪い人ではないはず」

学生「とにかく……少し話をしてみたいんです」

学生(なんでだ、なんでこんなに積極的なんだ、俺は)

学生(騎士と忍者に、偉そうに令嬢ちゃんは俺が守る! なんていったから)

学生(ここで守らなきゃ……とか思ってるんだろうか)

学生(でも……このまま動かないと、どんどん相手のペースになる)

学生(俺なら、犯人と接触してもさほど警戒心は持たれないだろうし……)

学生(やってやる!)ゴクッ…


82 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 23:16:54.06 ID:2WrI0l930
<公園>

学生(多分、よれよれの上着を着てるあの人だな……。他に人はいないし)

学生「あのぉ……」

中年「!」ビクッ

中年「な、なんだい? 私になにか用かい?」

学生(思ったとおり、悪い人じゃなさそうだ)

学生(これなら、話が通じるかもしれない……!)

学生「実は……俺、あなたがやろうとしてることを知ってます」

中年「な!?」

学生「今ならまだ大きな騒ぎにはならないはずです……やめませんか?」

中年「…………!」


84 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 23:22:19.49 ID:2WrI0l930
中年「私も……こんなことはやりたくなかったんだ!」

学生「やっぱりそうでしたか。だったら──」

中年「ちがうんだ!」

中年「私は……たしかにリストラされたことを恨んでいた」

中年「だが、あくまで恨んでいただけで、なにかしようなんて気はなかった!」

学生「え、え、え?」

中年「私は……あいつらに脅されてムリヤリ──」

ザッ……

手下A「このオヤジ、やっぱり裏切りやがったか」

手下B「念のため、隠れててよかったぜ」

中年「あんたたち、ついてきてたのか……!」

学生(なんだ、こいつら……!?)

手下A「落ちぶれジジイが、なめやがって……オラァッ!」

バキィッ!

中年「ぐああっ!」ドサッ


86 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 23:27:50.83 ID:2WrI0l930
手下A「おい、ガキ……。なんでここにやってきた?」

学生(ここで下手な答え方をしたら、令嬢ちゃんの命が危ない……)

学生(この事件のことは偶然知ったってことにしないと……)

学生「今日、令嬢ちゃんが学校を休んでて、家に行っても入れてもらえなくて」

学生「仕方なく無断で家に忍び込んだら……」

学生「令嬢ちゃんがここにいる、みたいな話を盗み聞きしたから来たんだ」

手下A「忍び込んだ、だぁ? ったく……今時の高校生はどうなってやがる」

学生(誘拐犯にいわれたくねえよ)

手下A(あの小娘のオヤジが警察にチクったわけじゃないってことか)

手下A(もっとも警察にチクれば、こっちはすぐに分かるしな)

手下A「とにかく、お前の登場は俺たちの予定の外だ」

手下A「向こうに車がある。アジトまで来てもらうぜ」

学生「わ、分かった……」

学生(どう見てもこいつら、元サラリーマンって感じじゃない)

学生(このリストラされたおじさんを脅して、隠れみのにしてたってことか……)


87 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 23:31:39.12 ID:2WrI0l930
<アジト>

手下A「こっちだ!」

手下B「おらっ!」ドンッ

学生「うぐっ!」ドサッ

中年「あだだっ!」ドサッ

令嬢「学生君!?」

学生「令嬢さん、よかった……無事だったんだね」

主犯「なんだ、このガキは!? 身代金はどうした!?」

手下A「すんません、なんかあの小娘の家でこの騒ぎを聞きつけたらしく」

手下A「あの公園にやってきたんです」

手下A「しかも、このオヤジ、俺らを裏切ろうとしたんで一度戻ってきやした」

主犯「なんだと……!?」


89 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 23:37:16.09 ID:2WrI0l930
主犯「このクソオヤジがぁっ! んなことだから、リストラされんだよ!」

ドゴォッ! ベキィッ! ドゴォッ!

中年「ご、ごふっ……!」

学生「や、やめろ!」

主犯「あぁ!?」ギロッ

学生(あのままじゃ、おじさんが殺されかねない……)

学生(注意をこっちに引きつけないと……)

学生「あなたとそのおじさんは、仲間なんじゃないんですか!?」

主犯「仲間ァ!? ヒャハハ、笑わせやがる」

主犯「俺は前から、あの社長で金儲けしようと企んでたんだ」

主犯「最初はゆすりでもやろうと思って、悪友の探偵に社長の身辺を調査させた」

主犯「すると、弱みはなかったが、あの社長がリストラをしたことが分かった」

主犯「なら予定変更、このリストラオヤジを矢面に立たせて誘拐をやろうってなったのさ」

主犯「今もその探偵が、社長の家を監視してくれてる」

学生(警察に知らせればすぐ分かるってのは、そういうことか……)


90 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 23:41:49.38 ID:2WrI0l930
主犯「リストラされた恨みで社長宅に嫌がらせ、エスカレートして娘を誘拐」

主犯「実行犯に仕立てるにはちょうどいいだろ? ヒャハハハッ!」

主犯「──だが、ちぃと予定が狂っちまった。急がなきゃなんねえ」

主犯「こうなったらその娘の指でも切り取って、送りつけてやるか」ズイッ

学生「なっ……!」

令嬢「い、いやぁっ!」ビクッ

手下A「そりゃあいいっすね!」

手下B「きっと青ざめますよ!」

主犯「ヒャハハハッ!」

学生「やめろっ! 令嬢ちゃんに手出しはさせないぞ!」

主犯「はぁ~? クソガキ、いっちょまえにナイト気取りかよ」

学生「お、俺は……騎士じゃないけれど……」

学生「俺の先祖は、本物の騎士や忍者だって助けたことがあるんだっ!」

学生「だから……令嬢ちゃんは俺が守る!」


91 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 23:47:15.96 ID:2WrI0l930
主犯「騎士だの忍者だの、わけわかんねぇことを!」

ドゴォッ!

学生「ぐえっ……!」

ボゴォッ! バキィッ! ドガッ!

学生(つ、強い……!)ゲホッ

主犯「いっとくが、俺はプロ格闘家やってたんだ」

主犯「といっても、知名度なんかないに等しかったがな」

主犯「おかげで格闘技ブームが終わったとたん、お払い箱にされちまった」

主犯「騎士だろうがなんだろうが、俺の計画をジャマする奴は許さねぇ」

主犯「このナイフで、まずはてめえから血祭りだ」ギラッ

令嬢「やめてっ!」

中年「お、お願いします……今度こそ協力しますから、子供たちは助けて下さい……!」

主犯「バ~カ、娘は最初から生かして帰す気はねえし」

主犯「てめえも身代金ゲットしたら真犯人として、自殺に見せかけて殺す予定なんだよ!」

主犯「まずはこのクソガキから、あの世に送ってやる!」


93 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 23:50:59.89 ID:2WrI0l930
パカラッ! パカラッ!

「ちょっと待ったぁぁぁっ!!!」

主犯「!?」

令嬢(あ、あの人は!?)

騎士「吾輩の恩人の子孫に、暴力を振るうことは許さん!」ザンッ

学生「騎士……? なんで……? どうしてここが……?」

騎士「うむ……。吾輩と忍者殿は、家を出た後もずっと貴公を見張っていたのだが」

騎士「あの公園で、貴公らは鉄の車に乗ってしまったから」

騎士「吾輩たちは二手に分かれたのだ」

騎士「吾輩は愛馬の鼻を頼りに貴公の追跡をし」

騎士「忍者殿には令嬢殿の家に視線を向けている、怪しい気配の探索を任せた」

学生「お前の馬は警察犬かよ……」

学生「!」

学生「令嬢ちゃんの家に視線を向ける怪しい気配って、まさか──」

騎士「うむ、忍者殿ならばもう突き止めている頃だろう」


96 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 23:56:37.99 ID:2WrI0l930
<マンション屋上>

探偵「なんだぁ……? お前さんは?」

忍者「拙者は忍者! おぬし……悪党一味の仲間でござるな?」

忍者「見晴らしのいいこの場所で、令嬢殿の家を監視していたのでござろう」

忍者「そばに置いてある“はいてく”は、多分盗聴をするための道具でござろう」

忍者「位置取りはまずまずでござるが、気配の消し方は素人でござったな!」

探偵「……ここを突き止めたってこたぁ、ただの変人じゃねえようだな」

探偵「その忍者みたいな格好が、コスプレなのか本気なのか知らんが」

探偵「計画のジャマをするってんなら、容赦はせんよ」

探偵「探偵っつうのも、同業者が多くてなかなか儲からなくってなぁ」

探偵「営利誘拐はリスクは高いが、リターンもでけぇからな」ニヤッ

忍者「戦うつもりでござるか? 拙者と」

探偵「探偵を漫画や小説のようなお気楽稼業と思わない方が賢明だぜぇ、忍者さんよ」


97 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/19(水) 23:59:17.12 ID:2WrI0l930
<アジト>

主犯「ヒャ……ヒャハハハハッ!」

主犯「まさかマジモンの騎士が出てくるとはなぁっ!?」

主犯「そういう鎧とかってどこで売ってんだ? 頭おかしいのか?」

主犯「ま、鎧をつけてたって、この刃渡り40センチの特注ナイフなら──」ギラッ

騎士「いざ勝負」ブンブンッ

主犯「え」ギョッ

主犯(なんだあの槍? 何センチ……っていうかメートル? え、ちょっと待って)

主犯(あんなもんをバットみてえに軽々と……単純な力だけでも化け物じゃねえか!)

主犯(いやさすがに偽物だろ? あんなもんで刺されたら……冗談じゃねえ!)

手下A&B「ひぃぃぃぃっ!」ダダダッ

主犯「あ、お前ら、逃げんな!」

馬「ヒヒィ~ンッ!」パカンッ

手下A&B「げぶっ!」ドサッ


98 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/20(木) 00:08:06.90 ID:m6rU/Ad80
<マンションの屋上>

探偵「仮にアンタが本物の忍者だとしても、負ける気はしねぇなぁ」

探偵「今時の探偵は、戦国時代をも生き抜けるほどの武装をしてっからな」

探偵(改造スタンガン! 防刃チョッキ! さらには袖に仕込めるミニボウガン!)

探偵「さぁて、始めよっかねぇ」

忍者「…………」

探偵「急に黙り込んじまって、どうした?」

忍者「……もう終わってるでござる」

探偵「?」

忍者「拙者に先に発見された時点で、おぬしはもう負けている」

探偵「なにを──」

探偵「!?」ビクッ

探偵(か、体がしびれて……いつの間に!?)

忍者「ここは屋外、風に紛れてしびれ薬を吸わせるにはもってこいの地形でござる」

探偵「う、うぅっ……体が動か、な……!」ガクッ


99 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/20(木) 00:10:24.41 ID:F2DwHYNn0
やべえこいつら強い


100 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/20(木) 00:12:50.13 ID:NF+n4GyO0
かっこよす


101 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/20(木) 00:13:31.33 ID:m6rU/Ad80
<アジト>

騎士「安心しろ、殺しはせん」

主犯「くっ……くそぉぉぉぉっ!」シュッ

バギャアッ!

主犯「ぐ、はぁ……」ドサァッ

騎士「これで一件落着だな」



<マンションの屋上>

忍者「安心するでござる、命までは奪わん」

探偵「く、くそ……どうやら相手をナメてたのは俺の方だったようだ、ぜ……」

ビシッ!

探偵「完敗、だ……」ドサァッ

忍者「これで一件落着でござるな」


102 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/20(木) 00:19:28.72 ID:m6rU/Ad80
<アジト>

学生「あ、ありがとう……騎士」

学生「……おかげで俺も、令嬢ちゃんもおじさんも助かった……」

騎士「いや、吾輩こそ礼をいいたい」

騎士「手段を選ばぬ提案をした我らに、“出ていけ”と一喝してみせた正義感……」

騎士「率先して敵地に乗り込み、身を呈して弱きをかばう勇敢さ……」

騎士「外見がそっくりなだけではない」

騎士「貴公の中に、吾輩は恩人であるあの農民の姿をたしかに見た!」

騎士「今頃決着をつけているであろう忍者も、喜んでいることだろう」

学生「ハ、ハハ……」

令嬢「ありがとう……学生君!」ギュッ…

学生「わわっ!」

学生(夢にまで見た、令嬢ちゃんの体が……)


104 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/20(木) 00:23:55.13 ID:m6rU/Ad80
そして──

令嬢「学生君、騎士さん、忍者さん、本当にありがとう!」

学生「いやいや、俺なんかなにもしてないし」

騎士「女性を助けるのは騎士の務め」

忍者「敵方の隠密を仕留めるのは拙者の役目でござる」

令嬢「今度……遊びに出かけたりしようね! あ、お二人も一緒に!」

学生「そうだね!」

学生(二人きりじゃないのが残念だけど、こいつらといると飽きないしな)

騎士「…………」

忍者「…………」

学生(なんだよ、二人して黙りこくっちゃって。嬉しくないのか?)


105 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/20(木) 00:27:41.63 ID:m6rU/Ad80
<家>

学生「誘拐犯は逮捕されたし、俺も令嬢ちゃんと仲良くなれたし……」

学生「これも二人のおかげだ……俺からもありがとう!」

騎士「いやいや」
忍者「なんのなんの」

学生「今度母さんに頼んで、すごい洋食と和食作ってもらうから──」

騎士「いや……どうやらそれは不可能のようだ」

忍者「そうでござるな」

学生「え?」

パアァァァァァ……!

学生(二人の体が……輝き始めた!?)

騎士「やはりな……」

忍者「……そろそろだと思っていたでござる」


107 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/20(木) 00:33:45.13 ID:m6rU/Ad80
学生「どういうことだよ!?」

騎士「悪党どもを退治した時から、元いた時代に引っぱられるような感覚が生じたのだ」

忍者「うむ、もう時間は残っていないという予感があったのでござる……」

学生「そ、そんな……!」

騎士「もはや我らが会うことはないだろうが、貴公の幸せは祈り続けるつもりだ」

忍者「うむ……拙者も同じでござる。楽しかったでござるよ」

学生「お、お、お……」

学生「俺もだ!」

学生「俺も楽しかったし……元の時代に戻った後の、二人の幸せと──」

学生「二人の子孫の幸せを願うよ!」

騎士「……ありがとう」

忍者「さらばでござる!」

学生「さよ──」

パアァァァァァ……!

学生(消えた……消えちまった……)


108 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/20(木) 00:38:50.04 ID:m6rU/Ad80
その夜──

学生(さよならもいわせずに、消えやがって……)

学生(ったく、最後の最後まで勝手な奴らだったな)

学生(あいつら……元の時代で元気でやってるかな)

学生(といっても、もうとっくの昔にあいつらは死んじゃってるわけだけど……)

学生(幸せな一生を送っててくれればいいな)

学生(アイツらの子孫も……もしいるなら、幸せになって欲しいな)

学生「…………」

学生(あんなとんでもない二人を寄こしてくれて……)

学生(ご先祖様、ありがとう……)

学生(俺もご先祖様みたいに、見ず知らずの人を助けられる人間になるよ……!)


110 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/20(木) 00:44:41.14 ID:m6rU/Ad80
数日後──

<学校>

令嬢「……そっか、あの二人、帰っちゃったんだ」

令嬢「それにしてもすごかったね~、あの二人」

学生「うん……アホなとこもあったけど、さすがにその道のプロだったよ」

令嬢「でも……一番すごかったのは学生君だけどね!」

令嬢「もう、本当に……かっこよかったよ」

令嬢「お父さんもお礼をいいたいから、ぜひ家に来て欲しいって」

学生「よ、よ、喜んで行かせてもらうよ!」

ガララッ……

担任「ホームルームを始めるぞ~」

担任「なんと、今日はこのクラスに転校生が二人も入るぞ」

学生(へぇ、珍しいな)

担任「本来はバラけさせるべきなんだが、なにしろ本人たちの強い要望でな」


111 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/20(木) 00:49:55.69 ID:m6rU/Ad80
ザワザワ…… ドヨドヨ……

友人「おお~……女と外人か」

担任「では、自己紹介を」

忍者娘「私は先祖から伝わる古い巻物に残された命に従い」

忍者娘「本日より、学生殿と令嬢殿の護衛にやってきた」

西洋人「実は、我が家に伝わる紋章に残された暗号に」

西洋人「この時代の子孫は、今日から学生殿と令嬢殿をガードするよう書かれていてね」

学生「へ?」
令嬢「え?」

ザッザッザッ……

忍者娘「なるほど、護衛しがいがありそうな二人だ」

西洋人「ボクのフェンシングで君たちを守ってあげよう!」

学生「あ、あの……もしかして、あなたたちの先祖のご職業って──」

学生「忍者と騎士?」

忍者娘&西洋人「!」


112 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/20(木) 00:55:26.70 ID:m6rU/Ad80
忍者娘「な、な、なぜ分かった!? なんという洞察力!」ドキドキ…

西洋人「さ、さすが……只者じゃないね! ブラボーだ!」ワクワク…

学生「……なんとなくってことにしといてくれ」

忍者娘「これからのお二人の安全は、私に任せてくれれば大丈夫だ」

西洋人「いや、ボクに任せてもらおうか?」

忍者娘「む……」ギロッ

西洋人「ぬ……」ジロッ

学生「喧嘩はしないように、ね……ハハ」

令嬢「仲良くしましょ」

忍者娘&西洋人「お二人がそういわれるのであれば!」ビシッ

学生(あの二人の子孫だけあって、このコンビもアクが強そうだ……)



<おわり>


114 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/20(木) 00:57:56.13 ID:U8k0w2ziO
なんか懐かしいノリだったなw
面白かった乙


117 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/20(木) 01:06:44.07 ID:2fFsS+PK0
まさに王道でおもしろかったよ乙


119 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/20(木) 01:12:44.04 ID:934MyYwy0
あぁ、面白かった乙
ベタだがよかった





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