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ハルトマン「雪だね」バルクホルン「あぁ」
- 1 :書きため無しエーゲル 2013/01/14(月) 23:56:15.63 ID:YHbotCwW0
- 朝。冷たい空気に、私は起こされた。
自分で目を覚ますなんて、なかなか珍しいことかもしれない。
まぁ、時々寝ているふりをすることもあるけれど…
いつもならトゥルーデが起こしに来るまで、私の意識は夢の中にあるはずなのに。
何だか暗いな、もしかしてまだ6時ごろだったりして
なんて思って目を窓にやると、空は厚い雲に覆われている。
ついでに雪も降っていた。
雪が降るなんて、久しぶりだな。
いつから降っているんだろう。昨日も降っていたっけ?
ベッドの下に落ちていた私は、身体をゆっくりと起こす。…背中が痛い。
きょろきょろと見回してみると、この部屋を二分するジークフリート線の向こうで
トゥルーデは眠っていた。
トゥルーデよりも先に起きちゃうなんて、どうしちゃったの?私…
じっと彼女を見ていると、もぞ、と寝返りをうった。
…まだ起きないんだ。
折角トゥルーデよりも早く起きたのだから
どうせならいつもと違う1日にしてみようと、そう思った。
宝物の山から、服を抜き出した私は、それに袖を通す。、
今日の私は、なんだか変だなって自分でも感じる。
- 4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/15(火) 00:01:37.15 ID:GaBVqngt0
- ゆっくりと立ち上がった私は、となりで寝ている彼女を起こさないように
散らばっている宝物たちを踏まないように、転ばないように
慎重に足を扉の方へ進ませた。
ドアを開くときも、できるだけ音をたてないように気を付けた。
きぃ、と小さな音を立ててドアを開くと、部屋の中よりも冷たい空気が
私の身体を包み込んだ。
「うっ…さむ…」
…やっぱり毛布にくるまっていようかなぁ…。
それはやっぱりもったいないと思ったので
いつかの作戦の時に来た、コートを引っ張り出して、着ることにした。
これなら寒くはない…と思う。
防寒対策をしっかりとした私は
いつもとは違う、静かな廊下を、歩いていく。
誰の声も聞こえない、私の靴底がこすれる音だけがする。 - 6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/15(火) 00:07:54.89 ID:GaBVqngt0
- と思っていたら、向こう側から、誰かが歩いてくる。
じっと目を凝らしてみると、それはサーニャだった。
夜間哨戒からの帰りなのかな。
サーニャの白い肌は、寒さによってか、少しだけ赤くなっていた。
オラーシャの生まれだからきっと寒さには強いのだろうけれど
冬の夜に高い空で、しばらく飛び続けているのはとても大変なことだろう。
声をかけようかと思っていたら、サーニャはふらふらとした足取りで
自分の部屋に入っていった。
「…おつかれさま、サーニャ」
と、小さくつぶやく。
王子様に、温めてもらうといいよ。 - 9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/15(火) 00:17:43.65 ID:GaBVqngt0
- 今日のご飯はなんだろうな、とか
今日はネウロイ出るのかな、とか
色々と考えているうちに、私はハンガーにいた。
ストライカーユニットが、いくつかひっそりと置かれている。
あれは、シャーリーのだな。
工具が周りに散らばっている。
あれは、ミヤフジのだ。
いつの間にか、新型になってて
そしたら、大活躍だもんな。私以上の天才、かな。
そしてあれは…
トゥルーデのフラックウルフ。
私の隣を飛ぶ、私の大切な人が履いているストライカーユニット。
…いつから履いているんだっけ?
私は彼女の愛機に近づいていく。
これのおかげで、私とトゥルーデは一緒の空を飛べている。
「信頼してるんだからねー」
そんな言葉をかけながら、私はそれを一撫でした。 - 11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/15(火) 00:25:12.88 ID:GaBVqngt0
- 私はしゃがみながら、それをしばらく眺めていた。
…あの高い空で、よくわからない敵と戦うのは、やっぱり恐ろしいことだと思う。
でも、隣にトゥルーデがいると、安心するんだ。
ずっと隣を飛んでいたからかなー。
最初から面倒見てくれてたもんな、トゥルーデは。
それが今となってはおせっかいやき…ちょっと行き過ぎている気もするけれど。
そのおせっかいも、トゥルーデの優しさの結果だってことは、よく知っている。
だから私は、いつも迷惑そうにふるまっているけれど、心の中ではすっごく感謝してるんだよ。
トゥルーデは私のこの気持ちには気付いているのかな?
…あーあ。
「いつまでも、一緒に飛べていたらいいのにな…」
そんなこと無理だって、分かってるけど。
つぶやいたその言葉は、雪みたいに、解けて消えていった。
私は立ち上がって、外に向かって歩いて行った。 - 14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/15(火) 00:34:27.30 ID:GaBVqngt0
- ハンガーから外に出ると、一面に雪が積もっていた。
滑走路は、誰かが雪かきをしたのだろう、うっすらと雪が積もっているだけだった。
新しく積もった雪の上を、滑らないように気を付けながら、歩いていく。
「おっと…」
この靴じゃ滑るなぁ。
あんまり遠くまで行かないようにしよう。
「…は」
はぁ、と息を吐くと、それは白くなった。
白いもやもやは、軽くふいている風によって、私の後ろへと運ばれていく。
「…へへ」
トゥルーデより先に起きて、誰もいない…じゃなくて、サーニャだけがいた廊下を歩いて
使われるのを待っているみんなの愛機を眺めて―――
と、いつもと違う朝を迎えた私。
何だか、ちょっとだけ優越感。
なんて思っていたら、
かつ、かつ、かつ。
とハンガーの方から硬い音がする。 - 16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/15(火) 00:40:30.81 ID:GaBVqngt0
- 長年一緒にいると、音だけでわかっちゃうんだもんな。
誰が起きてきたのかってことが。
…ううん、長年一緒にいたからってだけじゃない。
長年一緒にいただけじゃ、この次にくる言葉が、何なのかってことは分からないもんね。
バルクホルン「ハルトマン、こんなところにいたのか」
ハルトマン「おはよう、トゥルーデ」
きっちりとした軍服の上に、これまたいつぞやの作戦の時に来ていたコートを羽織った
トゥルーデがそこに立っていた。
バルクホルン「あぁ、おはよう」
「私が目を覚ましたら、部屋にいないから、何事かと思ったじゃないか」
ハルトマン「へへ、珍しいでしょ」
バルクホルン「いつもこうだと良いのだがな」
ハルトマン「えー、トゥルーデ厳しいー!」 - 18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/15(火) 00:47:12.79 ID:GaBVqngt0
- ハルトマン「ちょっとくらい褒めてくれたっていいじゃん?」
バルクホルン「まぁ、これが続けば、ほめてやらんこともないがな」
ハルトマン「それはちょっと無理かな」
バルクホルン「…はぁ」
トゥルーデは、深くため息をついた後、私の隣に来た。
そして、空を見上げる。
バルクホルン「…」
ハルトマン「雪だね」
バルクホルン「あぁ…そうだな」
ハルトマン「久しぶりだよね、雪降るの」
バルクホルン「…残念だが、つい先日も降ったぞ」
ハルトマン「そうだっけ?」
バルクホルン「あの時は前日にネウロイが出ていたからな」
「雪が降った日、お前はずっと布団にくるまって」
「あと1時間、あと2時間とカールスラント軍人にあるまじき言動をとっていた気がするな」
ハルトマン「良いじゃん、休みの日くらい」 - 19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/15(火) 00:57:01.16 ID:GaBVqngt0
- バルクホルン「それでは休みの日以外にそのような言動をとるのは慎んでもらおう」
ハルトマン「良いじゃん、朝くらい」
バルクホルン「…お前ってやつは」
ハルトマン「へへへ」
私が笑ってごまかすと、トゥルーデは眉間にしわをよせて、またため息をついた。
だって、しょうがないじゃん。
トゥルーデの声で起きたいんだもん。
トゥルーデに世話をやかれたいんだもん。
バルクホルン「…戻るぞ、ハルトマン」
ハルトマン「えー」
バルクホルン「ここにいたら体が冷えてしまうだろう」
もう少し、もう少し二人でいたいなあ…。
あ、そうだ。
トゥルーデが背中を向けている好きに、私はその場にかがんで
雪をかき集めた。 - 21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/15(火) 01:05:22.27 ID:GaBVqngt0
- ハルトマン「トゥルーデ」
バルクホルン「なんだ?ハルトマ…ンッ!?」
私が軽く固めた雪玉は、私が名を呼んだために振り返ったトゥルーデの顔に
クリーンヒットした。
ハルトマン「あ、ナイスヒット」
バルクホルン「……」
ハルトマン「ごめん、トゥルーデ」
「か、顔に当てるつもりはなかったんだぁ」
これは、本当。
胸のあたりを狙って投げたつもりなんだけれど。
顔についた雪を払ったトゥルーデの形相は、だんだんと怒りに満ちていく。
これは少しだけ、まずいかも。
バルクホルン「ハルトマン、貴様ァァァ!!」
ハルトマン「ごめんってぇ!ぼ、暴力反対っ!!」
本当は、雪合戦みたいなことができたらよかったなと思っていたのだけれど
私のはなった雪玉によって、雪中追いかけっこが始まってしまった。
まぁ、もうしばらく、二人でいられそうだし、
結果オーライ…かな…たぶん。 - 23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/15(火) 01:14:55.92 ID:GaBVqngt0
- 雪中での追いかけっこは熾烈をきわめた。
なにせ不安定な雪の上。
ましてや、その雪は雪かきのせいで厚さがなくて
足がすぐにもって行かれてしまう。
バルクホルン「待て…ッ!ハルトマン!!」
ハルトマン「待てって言われて、待てないよぉ!!」
「とりあえず、その握ったこぶしを下ろしてくれたら考えるー!」
バルクホルン「お前の頭に一度振り下ろしてから、考えてやろう!!」
冷えていた体は、走っているうちに、だんだんとあったまっていく。
滑る雪の上を走ることに慣れてきたのか、トゥルーデのスピードは次第に上がってきていた。
私は、わざとスピードをあげないまま、さきを走り続ける。
あと、数メートル。
数メートルで、トゥルーデの手が届く。
ハルトマン「や、やばっ!」
実際は、そんなことは思っていない。
本当は、早く捕まえてほしい、って思ってる。
トゥルーデtの距離はどんどんと縮まり、あと数十センチ…あと、数センチ。
バルクホルン「っ捕まえたぞ、ハルトマン!!」
ハルトマン「わぁ、つかまっちゃっ…って、うわぁ!!」 - 24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/15(火) 01:23:48.92 ID:GaBVqngt0
- トゥルーデの手が肩をつかんで、かるく引っ張ったことによって
バランスを崩してしまった私は、雪に足を滑らせてしまった。
後ろに倒れこんでしまったので、私だけでなく、トゥルーデをも道連れにしてしまった。
バルクホルン「…ッ!!」
私とトゥルーデは、雪の上に並んで倒れた。
勢いよく倒れたけれど、雪がクッションとなって、全然痛くなかった。
バルクホルン「ハルトマン…」
ハルトマン「くっ…ふふふっ」
「あはははっ!」
私は、なんだかおかしくなって、声をあげて笑ってしまった。
トゥルーデも最初は、私のことをにらんでいたけれど
いつの間にか、一緒になって笑っていた。
ハルトマン「はー…おかしい」
バルクホルン「ふふ、まったくだ…」
ハルトマン「はぁ…」
バルクホルン「んん…」
先ほどまで、騒がしかった空間は
心地の良い静けさに包まれていた。 - 25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/15(火) 01:30:26.27 ID:GaBVqngt0
- ハルトマン「…」
「雪、あったかいね」
バルクホルン「…そうだな」
ハルトマン「…まだ、顔痛い?」
バルクホルン「…いや、痛くないな」
それでも、ちょっとだけ雪玉が当たった部分が赤くなっていたから
私は自分の手を伸ばして、さすってあげた。
肌に触れた瞬間、ひっ!と身体をこわばらせたトゥルーデは可愛かった。
ハルトマン「…もう、怒ってない?」
バルクホルン「…私が本気で怒っていたと思っているのか?」
トゥルーデは、苦笑いしながら言った。
もしかしたら、トゥルーデも、私と一緒にいたかったのかな…?
なんて、都合の良い話かな。 - 26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/15(火) 01:38:40.52 ID:GaBVqngt0
- 倒れて、どれくらい経っただろう。
長いようにも、短いようにも感じた時間。
走り回っていて、温まった体も、そとの冷たい空気によって、だんだんと冷えていった。
ハルトマン「…戻ろっか」
と、私は提案した。
バルクホルン「あぁ…そうだな」
トゥルーデは、そう答えた後、立ち上がって私の手を取った。
雪の中から私を引っ張り上げると、私の髪についていた雪をはらってくれた。
ハルトマン「ありがと…」
その手があまりにも優しかったので、私はちょっとだけ照れてしまった。
トゥルーデは何も言ってこなかったけれど、
ちらりと見たその顔は、ちょっと赤くなっていた気がした。 - 27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/15(火) 01:44:25.37 ID:GaBVqngt0
- 私とトゥルーデは、雪で濡れてしまった体をふくために
タオルを取りに行った。
…とっても不思議だったのだけれど
そのタオルを取りに行く間も、誰にも会わなかった。
今日はみんな、よく寝ているんだなぁ。
タオルを手にした私たちは、足音をなるべく立てないようにして、自室へと向かう。
ハルトマン「…静かだね」
バルクホルン「あぁ」
ハルトマン「まだ、皆寝ているのかな?」
バルクホルン「そうだろう」
「まだ、6時にもなっていないからな」
ハルトマン「…そうだったんだ」
私の想像をはるかに超えた早起きを、私はしてしまったらしい。
おばあちゃんかよ! - 28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/15(火) 01:51:20.30 ID:GaBVqngt0
- 自室に着くとトゥルーデは、コートをかけた後、自分のベッドに私を座らせた。
まあ、私のベッドはあってないようなものだから仕方ないか…。
トゥルーデは、ミヤフジとリーネが干してフカフカになったタオルで
私の髪を拭いてくれた。
子どもじゃないんだから、自分でふけるよ!
って言おうかと思ったけれど
まぁ、どうせ拭いてもらえるなら甘えようと思って、やめにした。
ハルトマン「トゥルーデも拭いてあげよっか?」
と聞いたら、
バルクホルン「大丈夫だ」
ときっぱり断られた。
恥ずかしがり屋さんなんだから。
私の髪を拭き終わったトゥルーデは、自分の紙を拭き始めた。
おさげにしていないトゥルーデの姿は、なんだか大人びて見える。
それに、ちょっとだけセクシー。
私には負けるけどね。 - 29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/15(火) 01:56:39.28 ID:GaBVqngt0
- その、髪を拭く姿を見ていたら、私は耐えられなくなってしまって
トゥルーデの後ろから、突然抱き着いた。
バルクホルン「な、なんだ!」
ハルトマン「なんとなくー?」
トゥルーデはやっぱりびっくりして手を止めていたけれど
仕方のない奴だ、と小さくつぶやいた後、顔を此方に向けないようにして、また髪を拭き始めた。
ハルトマン「んふふ…トゥルーデあったかい」
バルクホルン「…」
ハルトマン「んー…」クンクン
バルクホルン「か、嗅ぐな!!」
ハルトマン「良いにおい…」
バルクホルン「なっ…」
トゥルーデの赤くなった顔が目に浮かぶ。
弄る…というより、責め立てるのは得意なくせに
弄られると弱いんだもんな、トゥルーデ。
意地悪したくなっちゃうよ。そんな反応されるとさ。 - 30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/15(火) 02:03:33.65 ID:GaBVqngt0
- 髪を拭き終わったトゥルーデは、タオルを椅子に掛ける。
ハルトマン「まだ、6時にもなってないんだよね?」
バルクホルン「あぁ、そうだ」
ハルトマン「じゃあ、もうちょっと寝る?」
バルクホルン「いや、私は起き」
ハルトマン「やだー!トゥルーデ、一緒にねよぉよぉ!!」
バルクホルン「ハルトマン…お前な!」
ハルトマン「ちゃんと、起きるからぁ」
「というか、一緒に寝たらトゥルーデが起きるときに起きるしかないじゃん」
「だから、お願い、ね?」
バルクホルン「なんなんだその理論は!」
やっぱり、表面はお堅いんだから。
そのお堅い表面を崩すには、強硬手段が一番だよね。
私は、トゥルーデに抱き着いたまま、ベッドに倒れこんだ。
それにつられて、トゥルーデもベッドに倒れこむ。
バルクホルン「くっ…!こ、こら!ハルトマン!!」
ハルトマン「へへっ…」 - 31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/15(火) 02:10:30.94 ID:GaBVqngt0
- バルクホルン「私は眠らないと、言っているじゃないか!」
ハルトマン「駄目だよ、体が冷えちゃってるんだから」
「このままだと風邪ひいちゃうよ」
バルクホルン「ならば風呂に」
ハルトマン「ひと肌が一番いいんだってぇ!」
駄々をこねる私。ちょっとみっともないと思う。
それでも、トゥルーデと一緒に寝られるチャンスを、私はみすみす逃したりしない。
バルクホルン「……っ」
「…はぁ」
バルクホルン「仕方ないな…あと少しだけだからな」
ハルトマン「やった♪」
バルクホルン「わかっているとは思うが、起床時間になったら絶対に起きるんだぞ!」
ハルトマン「分かってるって♪」
そんなことを言いながら、トゥルーデは毛布を掛けてくれた。
毛布と、何よりもトゥルーデの身体の暖かさで、私はすぐに眠くなってしまった。
やっぱり、この場所が一番落ち着くなぁ。
あの、宝の山よりも…空よりも、ずっと…。 - 32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/15(火) 02:19:12.98 ID:GaBVqngt0
- ――――――――――――――――――――――――――――――――
私は、ハルトマンとの根競べに敗北し
ベッドで再び眠ることになってしまった。
悔しいが、やはりこいつとの根競べには勝つことはないのだ。
出会った時から、何も変わらない。
ハルトマンの笑顔や、甘えてくる姿を見ていると、なんでも許してしまいたくなってしまう。
気が緩んでいるとは思うのだが、私の思考はどうもうまく働かなくなってしまったらしい。
なんて、考えているうちに、ハルトマンは夢の中へ旅立ってしまったようだ。
小さな寝息が聞こえる。
さっきまで騒がしかったとは思えないほどに、静かだ。
軽く、頭をなでてやると、ハルトマンはくすぐったそうに体を反らした。
「可愛い奴だ」
時々ある生意気なところがなくなれば、もっと可愛いと思えるのだがな…。 - 33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/15(火) 02:31:21.86 ID:GaBVqngt0
- こう思うと、私はどうも、ハルトマンに対して
ただの僚機だとか、親友だとか
そういったくくりには含まれない感情を抱いているようだ。
世界が常に危機的状況にある中で
そんなことを考えるようになってしまったことを反省した。
ふと、ハルトマンが私を抱きしめる腕に、力を込める。
何事かと思い、ハルトマンの顔を見てみると
その瞳からは、涙がこぼれていた。
「まだ…いっしょに…」
小さな寝言だった。
だが、その言葉は、私の心を大きく揺らす。
私ももう19だ。
あと1年もしないで、私はアガリを迎える。
ハルトマンの隣を、飛べなくなってしまうのだ。
(いっしょに…か)
ずっと、一緒に飛び続けることは、かなわぬ夢だ。
それは、勿論、知っている。
ただ、もし、ハルトマンが私を必要としているならば、
いつまでも一緒にいてやりたいと、私は思う。
しかし、私と言う存在が、ハルトマンの才能を活かす障害になっているのではないかとも思う。
心境は、複雑だ。 - 34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/15(火) 02:43:31.37 ID:GaBVqngt0
- 私は、ハルトマンのこぼした涙をぬぐってやる。
同時に、頭に腕を回して、軽く抱きしめてやった。
「私は、まだ、お前の隣を飛べる」
「だから、安心しろ」
そう言うと、ハルトマンは、少しだけ安心した表情を見せた。
そうだ、私には、今出来る事がある。
その出来る事をしっかりとやり遂げる、義務がある。
やり遂げられる力がある。
それならば、その力を尽くそう。
世界を守ることに、故郷を守ることに、仲間を守ることに。
そして、私の腕の中で眠る、この小さな存在を守るために。
そのような決心を抱きながら、私はだんだんと重くなってきた瞼を閉じた。
―――そのあと、起床時間を大幅にオーバーして目覚めてしまったことは
飛べなくなった今現在でも
私のフラウにからかわれ続けている。
(おわり) - 36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/15(火) 02:44:57.61 ID:JVX6fXEm0
- 乙
- 37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/01/15(火) 02:46:46.25 ID:2fTDwpjoO
- おつ

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