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唯「いつの間にか和ちゃんと付き合ってることになってた」
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1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/02(木) 15:28:17.29 ID:wtbqkN+S0
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和「唯、いつまで待たせるの?」
高校に入学して、1週間ほど経ったある日の夕方。
いつものように和ちゃんと二人で、おうちへの帰り道を歩いていたときのこと。
和ちゃんが突然立ち止まって、ちょっと怒ったふうに言いました。
唯「へ?」
なんのことだか分からず和ちゃんを振り返ると、
レンズの向こうの目が私をまっすぐに見つめていました。
唯「ま、待たせてるって?」
和「……」
和ちゃんは私を見つめたまま何も言いません。
睨むような視線は、私がちょっとやりすぎてしまったときの怒った顔です。
でも、私はなにをやりすぎてしまったんでしょうか。
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2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/02(木) 15:29:52.26 ID:wtbqkN+S0
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唯「……あ」
そういえば。
和ちゃんにノートを借りっぱなしではないですか。
しかし、気付いたとはいえ、今日はノートを家に置きっぱなしにしています。
唯「んーと、じゃあ明日持ってくるから」
和「持ってくる?」
唯「えっ」
軽く言うと、和ちゃんの目は、なんだか鋭くなりました。
和「持ってくるっておかしくない?」
唯「そうかな?」
和「変よ。……ねぇ唯、今ここでちょうだい」
和ちゃんはちょっとため息をつくと、そんなふうに言いました。
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3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/02(木) 15:30:55.03 ID:wtbqkN+S0
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唯「えー?」
なんとなく瞳を物欲しそうに潤ませて……って、なんかえっちいよ。
とにかく和ちゃんは無理なことをおっしゃいます。
唯「そんなこといっても、今日は家に置いてきちゃってるから」
和「……唯、なに言ってるの?」
唯「いや、和ちゃんこそ……」
和「……?」
唯「え?」
私たちは道端で立ち止まって、ぼやっとお互い見つめあっていました。
なんでしょう。
なにかがおかしいです。
おもに和ちゃんの視線が。
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4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/02(木) 15:31:56.15 ID:wtbqkN+S0
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和「……いいわよね、唯?」
唯「な、なにが?」
和「それは……」
和ちゃんがほっぺたをかりかり掻いて、目をそらします。
目をそらされて、なんとなく一瞬ほっとしてしまうのはどうしてでしょう?
唯「それは……?」
不安を胸に、尋ねました。
和「……キ、キスよ」
帰りたいです。
助けて、憂。
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5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/02(木) 15:33:09.42 ID:wtbqkN+S0
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唯「……」
和「なによ」
唯「……」
和「だ、だって私たち、もう付き合って4年になるのよ?」
なってません。
和「確かに手つないだり、デート行ったり、一緒に寝たりはしてるけど……」
和「そういうこととか全然しないし……唯がほんとに私のこと好きなのか、疑っちゃうわ」
唯「……」
和「唯にはあんまり似合わないことだと思うし、無理にしようとは思わないけど」
和「でも、いくら私たちが女の子同士だからだって……こうして高校生になったわけだし」
唯「……」
和「なによ」
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6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/02(木) 15:34:58.81 ID:wtbqkN+S0
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この空気で言い出せることでも無い気がしますが、
言わないことには話になりません。
唯「和ちゃん」
和「うん」
唯「私たちがつきあって4年だっけ?」
和「ええ、そうよ」
唯「そっか、もうそんなになるんだね。私てっきり」
唯「……和ちゃんとは、まだ付き合ってないものだとばかり」
和「……」
和ちゃんは私の言葉に、ちょっと柔らかい表情になったあと、
和「ん?」
固まりました。
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7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/02(木) 15:36:05.09 ID:wtbqkN+S0
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和「えっ?」
唯「……うん」
和「うんじゃなくて」
唯「だって……」
和「だってじゃないわよ」
唯「……」
非道だ。
和「ちょっと待って。え、ほんとに?」
黙ってこくりと頷きます。
和「……はぁ」
何故か、かわいそうなものを見る目をしたのは和ちゃんの方でした。
和「そう、なるほど、そういうわけね」
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8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/02(木) 15:37:05.14 ID:wtbqkN+S0
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和「要するに私だけ勘違いしていたってこと……」
唯「いや、まぁ……うん」
和「……」
唯「……」
和「……」
どうしましょう。
もしかしたら冗談かもしれないと思いましたが、
和ちゃんは本気で落ち込んでるみたいです。
いや、冗談かもといっても、あの目はマジでしたけど。淡い期待です。
唯「そもそも、どうしてそんな勘違いになっちゃったの?」
和「唯が好きって言ったんじゃない……」
唯「……覚えてないけど、たぶんそんな意味で言ったんじゃないよ」
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9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/02(木) 15:38:26.07 ID:wtbqkN+S0
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4年前と言うと、小学6年生だったときです。
私は小6のとき、和ちゃんになにか誤解させるようなことを言ってしまったでしょうか。
――――
和「ねぇ、唯」
唯「んー?」
和「今年のバレンタイン、どうする?」
唯「ん、うーん……和ちゃんだけかなー」
和「あら、憂ちゃんは?」
唯「憂は一緒につくって一緒に食べるから、あんまり渡し合うって感じじゃないんだ」
唯「それに、和ちゃんは特別だし!」
和「唯ったら……」
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10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/02(木) 15:39:52.55 ID:wtbqkN+S0
-
――――
唯「……」
和「なぁに、急に顔赤くして」
唯「なんでもないよ!?」
私は。
子供ながらにとはいえ、そう言う意味で考えればなんて恥ずかしい台詞を。
唯「……」
しかし、あの言葉に対する和ちゃんの反応からして、
おそらくバレンタイン前には私は和ちゃんと付き合っていることになっていたようです。
私と和ちゃんが付き合うきっかけとなってしまった出来事はこれではないでしょう。
それに和ちゃんは、「私に好きと言われた」と言っていました。
これは原因ではないでしょう。
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11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/02(木) 15:41:02.97 ID:wtbqkN+S0
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もうすこし前のことを思い出してみましょう。
小6のときといえば、もっと大きな出来事があったじゃないですか。
――――
唯「どうしよう、和ちゃん……」
その日も私は、家の電話で和ちゃんと話していました。
冬休みが近づいていた冬の時期だったと思います。
そのころは毎日和ちゃんと電話をしていたのです。
いや、付き合ったからではなく。
この時期、憂がちょっとした病気にかかって、1週間ばかり入院していたのです。
和「そんなに心配しないでも大丈夫だって」
唯「そんなこといったって、憂は入院してるんだよ?」
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12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/02(木) 15:42:11.83 ID:wtbqkN+S0
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その病名は知りませんでしたが、
子供の頃の私はただ入院という言葉に驚いてしまって、
憂がひどい病気なのだと勝手に思い込んで眠れなくなっていたのです。
唯「憂が死んじゃったらどうしよう……」
和「……」
何度認識をなおされても毎日電話をかけ続ける私に、
もしかしたら和ちゃんもうんざりしていたのかもしれません。
その日ついに和ちゃんはこう言いました。
和「ねえ、唯ちゃん」
唯「ん?」
和「明日から唯ちゃんの家に泊まってもいいかな?」
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13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/02(木) 15:43:23.60 ID:wtbqkN+S0
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唯「えっ、いいの?」
和「唯ちゃんに聞いてるんだけど……あと、おばさんたちにも」
唯「あ、そっか……でも今、お母さんたちいないけど」
和「そしたら今晩聞いて、明日の学校で教えてくれればいいから」
和「準備だったらすぐできるし、ね?」
唯「うん……じゃあ、お母さんに聞いておくね」
和「それじゃ、もう少し話そう」
唯「うん。……和ちゃん」
和「なあに?」
唯「ありがとう。あと、ごめんね……」
和「……気にしなくていいのに」
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14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/02(木) 15:44:23.40 ID:wtbqkN+S0
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……次の日から、和ちゃんが私の家に泊まりに来てくれることになりました。
といっても、憂が帰ってくるまでっていう約束だから、たったの3日だけ。
和ちゃんは憂のベッドを使うことになっていたけれど、
わたしが寂しくて、結局和ちゃんを私のベッドに呼び寄せたのを覚えています。
だけどおかげで、私はとてもよく眠れたものでした。
そして、予定通りに翌日憂が退院することになった晩のこと。
唯「和ちゃん……あのね、今日もいいかな?」
ほんとうは不安なんてもうなかったと思います。
だけど私は、それまでと同じように和ちゃんをベッドに呼びました。
和「ええ、わかってるわ」
和ちゃんは嫌な顔ひとつしないで、むしろ笑顔でそう答えてくれました。
しあさっては終業式という日で、とても寒い夜だったのに、
その笑顔を見ただけで、私はぽかぽか暖かくなったのでした。
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15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/02(木) 15:45:41.22 ID:wtbqkN+S0
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和「電気消すわね」
和ちゃんが言うと、部屋がまっくらになりました。
布団がめくられて、私の隣に温もりが横たわります。
和「唯ちゃんは、やっぱりまだ心配?」
それでもお布団の中もお部屋の空気もなんとなく冷たくて、
私はほうっと息を吐いてみます。
やっぱり、白い息が広がりました。
唯「……憂のこと?」
和「うん。私が来てからはよく眠れてるみたいだから、どうなのかしらって」
唯「……怖いよ。ううん、病気はもう大丈夫だって思ってるけど」
唯「いつかは、いつだって、いなくなっちゃうものなのかなって」
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16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/02(木) 15:46:57.27 ID:wtbqkN+S0
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自分でも何を言っているのかよくわかりませんでした。
だけどなんでか、和ちゃんの前では「寂しくない」とだけは言いたくなかったのです。
だって、私が寂しくなかったら、和ちゃんはこうして泊まりにきてくれないのですから。
和「そうね……突然の別れがない、とは言えないわね」
唯「うん、だから……」
和「憂ちゃんのこと、大事にしないとね」
唯「……わかってる。もし、いつそんなことがあっても、憂が悲しくならないぐらいに……」
真っ暗闇のなかで目を開いたまま、私はぼんやりと答えていた。
枕に乗った首の辺りから、とくとく、血の動く音が聞こえて、
そのリズムはいつもより少し速く感じました。
和「……唯ちゃんなら大丈夫だよ」
枕元の化粧台に、和ちゃんの眼鏡が乗る音がしました。
和「さぁ、寝ましょう」
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17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/02(木) 15:48:07.80 ID:wtbqkN+S0
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ベッドが深く沈む感覚がします。
夜の中に引きずり込まれていくような……だけど、布団の中はだんだん暖まってきています。
唯「和ちゃん」
和「なあに?」
唯「ほんとにありがとね。私、和ちゃんがいなかったら……すごく辛かったと思うから」
ふふっ、と笑い声が左耳をくすぐりました。
和「大袈裟よ」
そして、またその呼吸が落ちついて、深くなって、眠りに落ちそうになってしまいます。
唯「ん、……」
私は体をもぞもぞ動かして、和ちゃんに近づきます。
和「なによ……?」
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18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/02(木) 15:49:24.10 ID:wtbqkN+S0
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唯「えへへ……」
和ちゃんの体に抱きついて、ゆっくり、強く抱きしめていきます。
和「甘えんぼね」
唯「……そうじゃなくってね」
和「?」
唯「和ちゃん、ほんとにありがとう」
和「さっきも聞いたわよ」
唯「……あのね」
ちょっと顔を上げて、和ちゃんをじっと見ました。
和ちゃんの手が私の髪にふれて、そっと頭を撫でていきます。
優しい微笑みに、見つめ返されていました。
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19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/02(木) 15:50:29.81 ID:wtbqkN+S0
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唯「私、和ちゃんのこと大好きだよ」
和「唯ちゃん……」
唯「だから、和ちゃんのこと、すっごくすっごく大事にする」
和「えぇ。私もよ」
わたしは、いっそう強く和ちゃんを抱きしめて、
和ちゃんの胸元に顔をうずめました。
唯「……だからっ……ずっと、そばにいてね。いなくなったりしないでね」
和ちゃんが一瞬驚いたように感じられました。
和「……当たり前じゃない」
しばらくしてから、和ちゃんがそう答えました。
和「明日も学校あるんだからもう寝ましょう、ね?」
唯「……うん」
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20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/02(木) 15:51:54.50 ID:wtbqkN+S0
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和「唯、ちゃん?」
私は頷いたものの、抱きしめた腕を離せませんでした。
唯「……このまま、寝ちゃってもいいかな?」
和「いいけど……」
けど、と言って、和ちゃんはそれ以上続けませんでした。
私は和ちゃんに覆いかぶさって、和ちゃんの匂いを抱きしめながら、
いつの間にか眠ってしまっていました。
――――
唯「……」
思い出せば、その翌日からだったと思います。
和ちゃんが私のことを、呼び捨てで「唯」と呼ぶようになったのは。
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21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/02(木) 15:53:02.46 ID:wtbqkN+S0
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はじめはわがままが過ぎて怒られてしまったと思ったのだけれど、
それにしては和ちゃんの態度はむしろ私に甘えてくるかのような、
今までにない付き合い方をしてきていました。
だから私は、それを和ちゃんの変化として、
なにも考えずにほうっておいたのです。
事実、教室でも呼び捨てというのは流行っていたものです。
ちゃん付けで呼び合っている子もいましたが、少数派だったはずです。
和ちゃんもその影響で、大人への変化をしただけだと思っていました。
和「ちょっと、唯? ほんとに顔赤いけど」
だけど、違います。
いや、大人への変化というとちょっと間違っても無い感じですけど。
和ちゃんはなにも勘違いなんてしていなかったのです。
確かに私に好きだと言われて、付き合いだしていたのです。
私がそれを知らないだけでした。
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22:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/02(木) 15:54:12.87 ID:wtbqkN+S0
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和「……唯?」
足元がふらつきます。
近くの塀にもたれて、背中にしょっていた新しいカバンが潰れてしまいました。
唯「う、うそだ……」
あの日、というかあの夜。
私が伝えた好きという言葉は、まぎれもなく愛しているという意味で発したものでした。
付き合おうという意志があって言ったわけではないはずです。
だけど翌日になって、和ちゃんに呼び捨てにされたとき、
私の中の熱い熱い気持ちが、すーっと冷めてしまうのを感じました。
あの、なにかを失う感覚は、よく覚えています。
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23:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/02(木) 15:55:12.66 ID:wtbqkN+S0
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和「……」
和ちゃんを好きになったはずでした。
和ちゃんと付き合うことになるはずでした。
なのに私は、ひとりで嫌われたと思って、
自分が傷つかないように、和ちゃんに好きと言ったことさえ忘れたふりをして。
唯「和ちゃん……」
和ちゃんが、私の前に立ったかと思うと、両腕が私の耳の横を通っていきました。
ちらりと目をやると、和ちゃんの手がブロック塀についています。
唯「……あ!?」
――追いつめられている。
そんなことはすぐにわかりました。
背後にはブロック塀で、左右は和ちゃんの腕で塞がれて、簡単に逃げられるとは思えません。
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24:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/02(木) 15:56:29.86 ID:wtbqkN+S0
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唯「ちょ、ちょっと和ちゃん!?」
和「……いいわよね、唯」
唯「あぅ……」
それに、和ちゃんの目がじっと私を見つめて、体がうまく動きません。
唯「ま、待って、待とうか和ちゃん!」
和「今更待ってられる余裕ないわよ」
いつもの調子で頼んだら、いつもの調子で断られます。
もうなんか本格的にだめな感じです。
唯「わ、わかったから! ちょっとだけ、ちょっとだけ時間を!」
和「……」
このやりとりさえ面倒なのか、和ちゃんは腕を曲げ、ぐっと顔を近づけてきました。
こんなに近くで、恋人とまっすぐ見つめ合うのは初めてです。
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25:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/02(木) 15:57:52.08 ID:wtbqkN+S0
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唯「ま、ってよぉ……」
あぁ、もう声に力も入りません。
和ちゃんの視線が、私のくちびるのあたりにちらちら浮気しているのがよく見えます。
それは私も同じかもしれませんが。
和「……たとえこれで唯に嫌われても、私はキスするから」
嫌うはずがありません。
ぶんぶん首を振ります。
しかし、いくらなんでも心の準備というものが必要なのです。
まだ気持ち的には付き合って1分経ってないんですよ。
和「……ごめんなさい。大好きよ、唯……」
和ちゃんの顔がさらに近づきました。
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27:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/02(木) 16:01:06.34 ID:wtbqkN+S0
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もうだめです。
ここは覚悟を決めましょう。
ぎゅっと目を閉じて、どうにも震えてうまくいかないけれど、くちびるをちょっと突き出しました。
これで和ちゃんのキスを受け入れる姿勢は万全盤石でしょう。
あとは……抱きしめたりすればいいのかな。
和ちゃんの吐息を感じました。
和ちゃんのくちびる、どんな味がするんでしょうか。
ファーストキスは甘酸っぱいといいますが、和ちゃんはなんだかその限りでない気がします。
でもこれでものすごく優しくて甘いキスなんてされたら、
それこそあの、いわゆる悶死というものをやってしまうんじゃないかと思います。
やっぱり私、和ちゃんのことが大好きみたいです。
和「唯?」
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28:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/02(木) 16:02:48.83 ID:wtbqkN+S0
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唯「……あぇ?」
和「……心配しないでも、無理矢理キスしたりしないわよ。そんなに震えないで」
そんなふうに言われて、ぽんぽんと頭を撫でられました。
唯「……」
目を開けると、和ちゃんが困ったように笑っていました。
和「ちゃんと、唯がいいって言うまで待つから……」
私は、和ちゃんを抱きしめるはずだった両手で、和ちゃんの肩を掴みました。
和「あら、なに?」
そのまま足をつっぱって、和ちゃんを向かい側のブロック塀に押していきます。
和「ちょっと、未遂なんだからそんなに怒らなくても……」
和「唯ー?」
私がされたのと同じように、和ちゃんを壁際に追い込みました。
手のひらを刺すブロック塀の感触が、少しだけ痛く感じました。
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29:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/02(木) 16:03:41.72 ID:wtbqkN+S0
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和「……ちょ、ちょっと待って?」
ようやく状況を理解したらしい和ちゃんが言いました。
唯「……」
まさかね。
和ちゃんは賢いし、私のこともよく知ってるし、
まさかそんな一言で私が止まるなんて思っていないでしょう。
和「こ、心の準備が……!」
つまりこれは「OK」ということです。
そうだよね、和ちゃん。
和「ん~~~!?」
ファーストキスは、歯みがきしたあとみたいな、ちょっと苦いような味でした。
おーわり
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32:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/06/02(木) 17:26:01.72 ID:Ox7PREV4o
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素晴らしい
乙乙

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