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ハルトマン「世界はとても無価値なものに見えるけれど」
- 1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/07(日) 21:51:43.76 ID:33Ob21nEO
- ―501基地―
芳佳「えっと、次は……」
ハルトマン「あれ、宮藤。なにやってるの?」
芳佳「ハルトマンさん。お世話になった方に挨拶をして回ってるんですよ」
ハルトマン「……ああ、そっか」
芳佳「はい。ここに居られるのも、あと数日ですから……」
ハルトマン「扶桑に帰るの?」
芳佳「え? まあそうですけど……なんでですか?」
ハルトマン「ううん、なんでもない」
- 2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/07(日) 21:56:26.70 ID:33Ob21nEO
- バルクホルン「まったく。奴め、どこに行ったんだ?」
芳佳「バルクホルンさん、誰か探してるんですか?」
バルクホルン「宮藤! ちょうど――あ、いや、忘れてくれ」
芳佳「何ですか、教えて下さいよ」
バルクホルン「うむ……ハルトマンを見なかったか? 部屋の掃除をするぞと言っておいたんだが」
芳佳「さっき会いましたよ。呼んできましょうか」
バルクホルン「そこまでしなくても」
芳佳「ちょっと探してきます!」
バルクホルン「そうか? 悪いな、宮藤」 - 4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/07(日) 22:02:09.92 ID:33Ob21nEO
- 芳佳「おかしいなぁ……さっきすれ違ったとき、こっちに歩いて行ったのに」
芳佳「……あ、いた!」
ハルトマン「……」
芳佳「なにやってるんだろう、ぼーっとして……ハルトマンさーん!」
ハルトマン「……」
芳佳「あれ? 聞こえなかったかな」
ハルトマン「……」
芳佳「ハルトマンさん!」
ハルトマン「わっ」ビクッ
芳佳「ひゃっ」 - 5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/07(日) 22:07:30.76 ID:33Ob21nEO
- ハルトマン「み、宮藤。どうかしたの?」
芳佳「はい。バルクホルンさんが探してましたよ」
ハルトマン「……それってまさか、部屋を片付けろとか……」
芳佳「はい!」
ハルトマン「……ねぇ、見なかったことにしてくれないかな?」
芳佳「ええっ、ダメですよ。基地を離れるまでもう何日も無いんですから、最後くらい綺麗にしましょうよ」
ハルトマン「うー……」
芳佳「私も手伝いますから、ね」
ハルトマン「……しょーがない、ちょっとだけ頑張るか」
芳佳「えへへ。行きましょう!」
ハルトマン「……」
ハルトマン「そうだよね……最後なんだ……」
芳佳「?」 - 7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/07(日) 22:12:38.98 ID:33Ob21nEO
- バルクホルン「ハルトマン! お前、今までどこで油を売っていたんだ!」
ハルトマン「いいじゃん、別に」
バルクホルン「いいわけあるか! 大体」
芳佳「ま、まあまあ……ちゃんとこうして戻ってきてくれたわけですし……」
バルクホルン「……全く!」
芳佳「じゃ、始めましょうか」
ハルトマン「うん」
バルクホルン「すまないな、こんなことまで手伝わせて」
芳佳「構いませんよ。一人でも多ければ、その分早く終わりますから」
ハルトマン「宮藤は優しいね。トゥルーデにも聞かせてあげたいよ……って、トゥルーデいたの!?」
バルクホルン「き、貴様……」
芳佳「抑えて! 抑えて下さい!」
ハルトマン「にしし」 - 8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/07(日) 22:17:51.68 ID:33Ob21nEO
- ―夕方―
バルクホルン「ふう、これで終わりか?」
芳佳「そうですね。お疲れさまです」
バルクホルン「宮藤もな。ほとんど私と宮藤が片付ける形になってしまった」
ハルトマン「私だっていつもより手伝ったじゃん」
バルクホルン「立場的には、私たちがお前を手伝うのが正しいんだが」
ハルトマン「宮藤、ありがとね」
バルクホルン「おい!」
芳佳「はい。もう散らかさないで下さいね」
ハルトマン「むう、宮藤まで……」
バルクホルン「はっはっは! あと数日は持たせないといけないからな」
ハルトマン「……」 - 9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/07(日) 22:22:44.46 ID:33Ob21nEO
- バルクホルン「さて、私は風呂に入ってくるが……お前たちはどうする?」
芳佳「私も一緒に」
ハルトマン「宮藤!」
芳佳「?」
ハルトマン「……ちょっとさ、話したいことがあるんだ。いいかな」
芳佳「私は大丈夫ですけど……」
ハルトマン「良かった。トゥルーデ、私たちは後から行くよ」
バルクホルン「そうか。それじゃあ、先に入ってるぞ」
ハルトマン「うん」
バタン
芳佳「ハルトマンさん……?」
ハルトマン「……ね、ベッドに座ってよ」 - 10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/07(日) 22:28:14.40 ID:33Ob21nEO
- 芳佳「話したいことって、何ですか?」
ハルトマン「……宮藤は確か、将来はお医者様になりたいんだっけ?」
芳佳「はい! って言っても、まだまだ勉強することばっかりですけど」
ハルトマン「そっか」
芳佳「……そういえばハルトマンさんも――」
ハルトマン「ねえ」
芳佳「は、はい」
ハルトマン「お医者様になるってことは、良いことばっかりじゃ……いや、宮藤は501にいるから知ってるよね」
ハルトマン「どんなに手を尽くしても、助からない人はきっといるよ。世界は広いし、戦争や病気は無くならない。それは分かるでしょ?」
芳佳「……」
ハルトマン「そんな世界で、宮藤は変わらずにいられる? 5年、10年経っても、今と同じことが言えると思う?」
芳佳「……」
ハルトマン「……」 - 12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/07(日) 22:34:09.88 ID:33Ob21nEO
- 芳佳「……正直、自信はありません……ストライクウィッチーズに来て、戦争を目の当たりにして……自分じゃ無理かもしれないって想いの方が、強くなった気がします」
ハルトマン「……うん」
芳佳「でも、出来ないから諦めるなんて絶対にしたくないです。ストライクウィッチーズでみなさんに出会って、学んだんです!」
芳佳「私は一人じゃない、みんなと一緒なんだ。みんながいるから、私にも出来ることが見つけられたんだって!」
ハルトマン「……!」
芳佳「だから……これからも、私の目標は変わりません! みんなを守るために」
ハルトマン「宮藤!」ムギュッ
芳佳「わっ!?」 - 13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/07(日) 22:38:40.36 ID:33Ob21nEO
- ハルトマン「宮藤、もういいよ、ありがとう……」
芳佳「ハルトマンさん……?」
ハルトマン「宮藤がそう言ってくれて本当に良かった……ぐすっ、みやふじー……」
芳佳「えっと、私がなにか……」
ハルトマン「……宮藤が501に来てから、みんな凄く変わったんだよ。トゥルーデもミーナもリーネも、私だってきっと」
ハルトマン「だからこそ、宮藤には変わって欲しくなかったんだ……そのままの宮藤でいて欲しかったんだよ」
芳佳「私が、みんなを?」
ハルトマン「うん。自分じゃわからなかったかもしれないけどね」 - 16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/07(日) 22:46:43.42 ID:33Ob21nEO
- 芳佳「……ハルトマンさん。私はいつまでも私のままです。時間が過ぎていっても、変わったりなんかしませんよ」
ハルトマン「……やめてよ、また泣きそうになるじゃんか……」
芳佳「へへ」
ハルトマン「……宮藤。これから先、きっと辛いことも悲しいことも沢山降りかかってくるよ。逃げ出すことも出来ないような……」
ハルトマン「そんなとき、世界がとても無価値なものに見えるかもしれないけれど……宮藤の夢は、無駄なんかじゃないって、忘れないで」
ハルトマン「だってさ…ほら、空に虹がかかるのはいつ? 雨が降ったあとだけだよね。だから……」
芳佳「……ハルトマンさん、また泣いちゃってるじゃないですか。ふふ……」
ハルトマン「あ……」
芳佳「……私たちはいつでも、同じ月の下にいるんです。離ればなれになんかなりませんよ」
芳佳「でも、もしどうしても寂しくなったら、いつでも会いに来て下さい。私が寂しくなったら、きっと会いに行きますから!」
ハルトマン「っ……くぅ…」
ハルトマン「宮藤、大好きだよ! ずっと……ずっと…!」
芳佳「……私も、大好きです。ぐすっ……忘れないで…くださ……うえーん……!」 - 18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/07(日) 22:55:55.41 ID:33Ob21nEO
- ―数日後―
ハルトマン「じゃあね、宮藤。立派なお医者様になってね」
芳佳「はい! ハルトマンさんも頑張って下さい」
ハルトマン「トゥルーデがいるから、サボろうったって難しいけどね」
バルクホルン「何か言ったか?」
ハルトマン「なんでもないよー」
芳佳「あはは」
坂本「宮藤、そろそろ出港の時間だ。名残惜しいが、扶桑に帰ろう」
芳佳「あ……」チラッ
芳佳「……その、私…」
ハルトマン「宮藤!」
芳佳「は、はい」 - 21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/07(日) 23:01:14.14 ID:33Ob21nEO
- ハルトマン「……虹が見えるのは雨の後だけだって言ったでしょ? 今は悲しいかもしれないけど、こんなとこで立ち止まるな! 行け、宮藤!」
芳佳「……そうですよね。ありがとうございました!」
芳佳「さよなら、ハルトマンさん、バルクホルンさん!」
バルクホルン「また会おう! 武運長久を祈ってるぞ!」
ハルトマン「……っ」
バルクホルン「……」
ハルトマン「……トゥルーデ、私……な、泣かなかったよ。宮藤の前だもん……」
バルクホルン「……ああ。よく我慢したな」
ハルトマン「うっ、くぅ……みやふじ……」 - 23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/07(日) 23:06:55.08 ID:33Ob21nEO
- ―数週間後―
芳佳「はぁ……ハルトマンさん、今頃何してるんだろ……」
芳佳「あんなこと言ったけど、やっぱり側に誰か居てくれないと寂しいな……」
「もしもーし!」
芳佳「あ……はーい!」
芳佳「診療所に御用なら……」
ハルトマン「久しぶり! 元気だった?」
芳佳「ファッ!?」 - 24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/07(日) 23:12:19.84 ID:33Ob21nEO
- ハルトマン「いやー、あのあと上の人に特別に休暇を貰ってさ。ウルスラのとこを回って、ここに来たんだ」
芳佳「えっと……」
ハルトマン「何日かここでお世話になってもいいかな?」
芳佳「はあ……大丈夫だとは思いますけど」
ハルトマン「……なんか、あんまり嬉しそうじゃないね?」
芳佳「嬉しいですけど、ちょっとびっくりして……」
ハルトマン「はは、まあしょうがないか。それより……」ギュッ
芳佳「ひゃっ!」 - 25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/07(日) 23:17:49.97 ID:33Ob21nEO
- ハルトマン「欧州にいた頃はこんなこと出来なかったし……んっ、恋人同士なら普通だよ?」
芳佳「恋人同士なんて、まだそんな……」
ハルトマン「いいじゃん、ね……『芳佳』」
芳佳「ああっ……こんなとこで……」
ガラガラッ
みっちゃん「芳佳ちゃ――」
ハルトマン「!!」
芳佳「みっ……」
ハルトマン「お、お邪魔してます」
みっちゃん「……芳佳ちゃんのばかぁーっ!」
芳佳「みっちゃん! 待ってみっちゃん!」ダッ
ハルトマン「もー、宮藤ったら……まだ焦らすの?」
ハルトマン「まあいいか。きっといつか、明日にも、宮藤を私のものにして見せるよ。私が幸せにしてあげるからね、芳佳!」
おわり - 26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/07(日) 23:19:47.68 ID:33Ob21nEO
- Bob Crosby ; The Bobcatsの
『Happy Times』が元ネタでした
聞いて、どうぞ
http://www.youtube.com/watch?v=GFfaR3I--zI
みんなもストライクSS書こう、きっと続編あるから
支援サンクス
おやすみ - 27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/07(日) 23:21:48.26 ID:cXIC7Ws60
- 乙
最後予想外な展開だったよ

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