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短い短いお話
- 1 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/09(金) 01:13:16 ID:cG.ikFp2
- 思いついた掌編をいくつか投下
- 2 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/09(金) 01:14:49 ID:cG.ikFp2
- その1
時々思う。
俺以外の人間は、実はもういないんじゃないかって。
だって、俺は誰の心も覗けないんだ。
俺以外、みんなロボットでもおかしくないだろ?
みんな隠してるだけかもしれないんだからさ。
親だって、偶然普通の人間として現れた俺を拾って、育ててるだけ。
いやいや、監視するためかもな。
唯一の人間である俺の事を調べて、より人間に近付くために。
- 4 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/09(金) 01:15:45 ID:cG.ikFp2
- なーんて、バカみたいな妄想をする夏の夕方。
「そろそろ降りて来て、ご飯を食べちゃいなさい」
一階から母親の声が聞こえた。
今日のご飯はなんだろう。
まあ、レギュラーだろうな、母さんまとめ買いしてたし。
偶にはハイオクが良いんだけど。 - 5 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/09(金) 01:17:40 ID:cG.ikFp2
- その2
2DKの広さで、家賃二万五千円。
不動産屋の窓ガラスに張ってあったその物件を見て、俺は住んでいたマンションからすぐに引っ越した。
1Rで五万も取られる所だったんだ。
そりゃ、即決するしかない。
けど、引っ越してすぐ、俺は後悔した。
いわくつきの物件の方が大分住み易いと思う。
なにしろ、毎晩隣の部屋から親子喧嘩が聞こえるんだから。
喧嘩と言うより、一方的な母親の怒鳴り声と子供の泣き声か。
壁が薄いから、お隣さんの声が余さず残さず全部聞こえる。 - 6 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/09(金) 01:19:13 ID:cG.ikFp2
- たまったもんじゃない。
おかげで俺は、今日も寝不足だ。
近所の人に聞いてみると、結構有名な母子家庭らしく、児童相談所に電話してみようか、なんて話さえ出ているらしい。
今晩も五月蠅かったら俺が電話をかけよう。
そう思いつつベッドに潜り込んだ。
今日こそ安眠出来ますように、と祈りながら。
夜中の十一時、やっぱり、お隣さんは五月蠅かった。
母親の声だけが、休む事なく聞こえる。 - 7 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/09(金) 01:21:34 ID:cG.ikFp2
- その3
俺は鼻詰まりが酷かった。
それはある意味長所であり、短所でもある。
臭い物を臭いと思わないから、場所次第で他人よりずっと不快な気分にはならない。
例えば、公園の便所とかな。
そんな俺の鼻詰まりを知ってる知人は、汚い仕事を俺に押し付けて来る。
臭いじゃわからねぇけど、視覚で感じる不快感はあるんだよ、バーカ。
そう言いたいが、知人が持ってくる仕事の給料は良い。
渋々だけど、俺は今日も今日とて現地に向かう。
到着すると、責任者である知人が待っていた。
「今日も酷いぞ。ほかほかのこたつの中で、一ヶ月以上放置されてたらしいからな。ドロドロになってる」
いつもの事じゃないか。
それより俺は、スイッチが一ヶ月入ったままの状態でも、意外とこたつは火事にならないもんだな、と思った。 - 18 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/09(金) 01:45:31 ID:/nnUeegQ
- >>7
実体験思い出しちまったじゃんか…orz - 8 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/09(金) 01:23:32 ID:cG.ikFp2
- その4
貝のアクセが若い女の子の間で流行ってる。
私もまだ若いつもりだけど、流石にマスコミの情報操作に流され過ぎでしょ。
だって貝なんて、この前までパワーストーンの一つに過ぎなかったんだよ?
なのに今じゃ、どれどれの貝の何色に凄い効果があるらしいよ、なんて会話が日常。
海に行けば簡単に拾えそうなのに、何千円も払って、安っぽい貝でブレスレットやネックレスを作ってる。
馬鹿らし過ぎてついていけないよ。
私はそう思いながら、貝殻の模様が描かれている箸とお茶碗を持って、シジミのお味噌汁を口にした。 - 9 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/09(金) 01:25:12 ID:cG.ikFp2
- その5
私が働いている施設に、目の見えない男性がいる。
事故で視力を失ってしまったそうだ。
それ以外はいたって正常で、まだ施設内限定だけど、杖を突きながら歩く事にも慣れた様子だ。
「先生のおかげで、やっと生きているって実感が湧いてきました。ありがとうございます」
「いえ、あなたの強い意志があってこそですよ。今日はもう遅いので、いつものお薬を飲んで、眠って下さい」
「わかりました」
置いている場所を完全に覚えており、私の補助なく、彼は一人で薬を呑み込んだ。
彼の頭に取り付けている機械で脳波を調べ、完全に眠ったところで透明なマスクを付けて注射を打つ。
さて、今日はどの部分を交換しようかな。 - 10 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/09(金) 01:28:44 ID:cG.ikFp2
- その6
目を覚ましたら異世界だった。
衣服が違うのもそうだけど、大通りを歩いている人は、堂々と剣や弓や杖を持っている。
すげぇ、ファンタジーの世界だ!
そう喜んだのも束の間、俺はすぐに絶望した。
まず、言葉が通じない。
ジェスチャーで話そうとしても、首を傾げられるか、指を差して笑われるだけ。
当然、買い物なんて出来やしない。
観察してみると、やっぱり金も日本の金とは違う。
かと言って、盗んで食料を得る度胸もない。
完全に詰んでいた。 - 11 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/09(金) 01:31:24 ID:cG.ikFp2
- だが、途方に暮れる俺の前に救世主が現れる。
「君、もしかして異世界の人かな?」
俺の知っている言葉だ。
喜びのあまり、俺は恥ずかしげもなく、涙を流してしまった。
それだけ嬉しかったんだ、まともに誰かと話す事が出来て。
彼は慣れた様子で、ずっと俺の背中を擦ってくれていた。
落ち着いてから話を聞いてみると、時々俺みたいのがこの世界に迷い込んで来るらしい。
そして彼は、俺みたいなやつの案内人との事。 - 12 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/09(金) 01:34:14 ID:cG.ikFp2
- 「元の世界に帰してあげられるけど、暫く残ってもいいよ。どうする?」
正直、こんな場所から早く脱出したかった。
けど、この世界の話を聞いて、少し見て回りたいとも思った。
その事を口にすると、なら僕が案内してあげるよ、君の言葉が通じる知り合いにも紹介するね、と彼は微笑んだ。
彼の言葉は今までに出来た、どんなに親しい友人よりも頼もしく感じた。
俺は少し躊躇い気味に、よろしく、と伝える。
「なら、この紙にサインを書いて。一応、案内をするお仕事だからね、こういう形式が必要なんだ。もちろん、お金は発生しないから安心して」
完全に信頼してしている俺は、疑う事なく名前を書いた。
街の地下で呻いている、俺と同じ異世界人の存在に気付かないまま。 - 13 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/09(金) 01:38:26 ID:cG.ikFp2
- その7
「出来た!」
僕は喜んだ。
長い年月をかけて完成させた、人間関係予想装置。
プロフィールを入力すれば、人間関係について色々予想してくれる、まぁ名前の通りの機械だ。
例えば、結婚する相手は誰か、付き合う事になる人は誰か、生涯の親友は誰か、などなど。
結婚の場合、離婚はするのか、するならば何年間夫婦でいるのか、などもわかる。
生涯付き合う恋人の数も、入力するだけで一発だ。
あまり自分のも他人のも見たくはないけど、不倫をする相手も検索可能。
産まれて来る子供についても容易に調べられる。 - 14 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/09(金) 01:39:01 ID:cG.ikFp2
- これを使って、僕は占い師として大金持ちになるつもりだ。
色んな所に営業に行ったりして、テレビに出るのもいいかも。
それはそれとして、まずはテストを兼ねて、僕で占ってみよう。
内容はそうだなぁ、妥当に結婚をする相手でいいか。
可愛い女の子だったら嬉しいな、っと、出た出た。
えっと、名前は……佐藤、翔太……? - 15 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/09(金) 01:41:08 ID:cG.ikFp2
- その8
五年間住んでいた家が燃えた。
俺が知ったのは、海外出張が終わって帰国した時だった。
すぐに警察に呼ばれ、話を聞く。
とは言っても、半ば放心状態の俺の耳には入らない。
これから住む場所はどうするのか?
燃えた通帳や印鑑は?
火災保険に入っていたと思うけど、実際はどうだっただろうか?
そんな事ばかり考えていた。 - 16 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/09(金) 01:42:19 ID:cG.ikFp2
- 警察官は相槌も打たない俺に呆れたのか、話を変えて一枚の写真を取り出した。
「この人に見覚えはありますか?」
記憶にある女が映っている。
六年前に別れた元彼女だ。
別れた後から、会うどころか連絡も取ってないけど。
そう伝えると、なぜか俺を疑うような目で見ながら警察官は言う。
「この人があなたの家で焼死体となって発見されました」 - 17 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/09(金) 01:44:22 ID:cG.ikFp2
- その9
朝日が昇るより早く、俺はアパートに戻った。
仕事を終えたばかりだから疲れていた。
けど、その疲れもすぐに吹き飛ぶ。
同じアパートの女性と顔を合わせる事で。
「おはようございます」
「おはよう。今日もこんな時間までお仕事? いつもお疲れ様」
「いえ、貴女ほどではありませんよ。毎日、こんなに朝早く出勤だなんて」
「ほんと、もう少し近い職場を選べばよかったわ」
そう言って微笑む彼女に俺は惚れている。 - 19 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/09(金) 01:46:24 ID:cG.ikFp2
- 少し幼さがある顔立ちに反して、大人びた性格。
外見も中身も俺の理想と一致している。
そんな彼女と、こうして少し話すだけでも俺は幸せを感じる。
しかし数日後、彼女はアパートの前で涙を流していた。
事情を聞くと、恋人が交通事故で亡くなったらしい。
彼女を抱きしめながら、丑の刻参りって本当に効くんだな、と何年間も毎日欠かさず繰り返した行為を思い出す。 - 20 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/09(金) 01:48:26 ID:cG.ikFp2
- その10
俺には幽霊が見える。
意思の疎通も可能だ。
幽霊たちは、普通の人が思っているよりも寂しがりやで、他愛のない話しでも喜んで聞いてくれる。
特に俺の周りは子供の幽霊ばかりで、感情が凄く豊かだ。
だから、少しでも喜んで貰うために、沢山のお話をしようと思っている。
ぼっちだった俺の大切な友達。
年齢は一回り離れているけど、贅沢は言わない。
今の状態でも、楽しいんだから。
けど、やっぱり友達は多い方がいいな。
これからも少しずつ、幽霊の友達を増やそう。
よし、決めた。
今日はあの子供にしよう。 - 21 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/09(金) 01:52:51 ID:cG.ikFp2
- 少ないけど、これで終わり
ありきたりな物ばっかりだから何かでネタが被ってたらごめんな - 22 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/09(金) 02:01:20 ID:SdoJX7tY
- SSっていうよりショートショートだな
面白かったよ
また思い浮かんだら書いてほしい
乙 - 23 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/09(金) 02:08:01 ID:o06wDtLU
- 乙!
星新一の話とかと若干被ってるちゃあ被ってるけど
そんなこと気にしてたら何も書けないしなぁ - 28 :以下、名無しが深夜にお送りします 2013/08/09(金) 17:40:39 ID:Uq4tYbO2
- 本来の意味でのSSだな
乙

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