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女「ねえ、暇だよー」男「後もう少しだから待って」
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1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/05(火) 21:18:04.88 ID:L/Hkg04S0
-
女「ひーまー」
男「今エピローグだから」
女「そのくらい後で読めるよ」
男「うんうんそうだね」
女「人の話を聞きなさい」
男「聞いてる、聞いてるよ」
女「はあ、つまんない」
男「終わった」
女「どうだった?」
男「もう少し登場人物に深みを持たせた方がいい」
女「むう、頑張る」
男「頑張れ」
-
2:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/05(火) 21:19:33.02 ID:L/Hkg04S0
-
女「と言うか、文芸部なのに」
男「うん」
女「どうして物を書かないのさ」
男「書きたくないから」
女「なんで?」
男「自分の限界を知ってるからね」
女「うわ、おっさんくさい」
男「よく言われる」
女「顔は幼いのにねえ」
男「それも言われる」
-
3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/05(火) 21:21:14.13 ID:L/Hkg04S0
-
男「もう五時半だ」
女「早いねえ」
男「ずっと暇暇言ってたのに」
女「今思えばいい思い出ということで」
男「ふうん」
女「帰るの?」
男「君は?」
女「もう少しぐだぐだしてたいかな」
男「あっそ」
女「帰るの?」
男「もう少しぐだぐだしてよう」
女「あっそー」
-
66:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/05(火) 23:35:32.71 ID:0B7FzrSA0
-
>>3
どこから帰るの?
-
4:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/05(火) 21:23:40.92 ID:L/Hkg04S0
-
>>66
部活は学校の部室で行っている設定
女「どうしてもさ」
男「うん」
女「プロットを立てるだけで、満足する時あるよね」
男「あるんだろうね」
女「で、何も考えずに書き進めた方が筆が進むの」
男「へえ」
女「自分もこれからどう物語が進むかを楽しみたいんだろうねえ」
男「そりゃまた難儀だ」
女「……今度は何読んでるの」
男「君の入部当時の作品」
女「うへ、悪趣味」
男「最新作はいつも読ませてくれるじゃないか」
女「それとこれとはちーがうー」
-
5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/05(火) 21:26:31.84 ID:L/Hkg04S0
-
女「また暇だよ」
男「なんか書いたら」
女「お題頂戴よ」
男「青春」
女「よくそんなぽんぽんと私を痛めつけるような単語を吐けるよね」
男「書けるジャンルが多いに越した事は無いと思う」
女「うっさい陰険」
男「はいはい」
女「はーもう……原稿用紙取って」
男「ん」
女「ありがと」
-
8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/05(火) 21:29:30.46 ID:L/Hkg04S0
-
男「……」
女「書き出しはそうだなー」
男「……」
女「こう、主人公の平凡さを表す感じがいいよね」
男「……」
女「で、ボーイミーツガール形式で段々と成長していくと」
男「……読書の邪魔だよ」
女「いっひひ」
男「大体、それは王道の王道じゃないか」
女「いいでしょ短編なんだから」
男「なるべくスマートにたのむよ」
女「読むの前提かよー」
男「それは勿論」
-
10:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/05(火) 21:33:19.38 ID:L/Hkg04S0
-
女「終わった」
男「丁度読み終わったところだ」
女「嘘つけ」
男「それにしても流石の速筆だね」
女「話を切り替えるのが好きだねえ」
男「好きだからね」
女「はい」
男「うん、読ませてもらう」
女「暇だー」
-
13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/05(火) 21:36:47.67 ID:L/Hkg04S0
-
男「……主人公の名前が俺と同じなんだけど」
女「気のせい」
男「そっか」
女「フィクションだからね」
男「成程」
女「どんなに悲惨な目に遭ってようと、フィクションはフィクション」
男「そうだね」
女「で、感想は」
男「たまに君は喧嘩を売ってくるよね」
女「たまたまだよ」
-
14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/05(火) 21:40:31.30 ID:L/Hkg04S0
-
男「六時半」
女「うわー真っ暗」
男「帰るの?」
女「まだぐだぐだしたいって言ったら?」
男「俺は帰るよ」
女「ケチ」
男「ほら、行くよ」
女「甲斐性無し!」
男「変な責任を押し付けないでくれよ」
女「ばーかばーか」
男「はいはい」
-
16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/05(火) 21:43:53.79 ID:L/Hkg04S0
-
――帰り道
女「さてこの長い帰り道」
男「いつもの事じゃないか」
女「どう暇を潰して帰路を辿ろうか」
男「うん、どうぞ」
女「つまんないなあ、もっと乗ってきてよ」
男「君が話を始めたらね」
女「はあー……じゃ、私の好きな作家の話を」
男「うん」
女「昨日読んだのはねえ――」
-
17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/05(火) 21:47:18.72 ID:L/Hkg04S0
-
女「……あっと言う間に分かれ道だよ」
男「そうだね」
女「相変わらず君といると時間が早く過ぎるよ」
男「そりゃどうも」
女「照れてる?」
男「かもしれないね」
女「暗くてよく見えないよ」
男「そりゃ良かった」
女「じゃ、また明日」
男「また」
-
18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/05(火) 21:50:18.97 ID:L/Hkg04S0
-
男「ただいま」
妹「おかえり」
男「母さんは仕事?」
妹「ん」
男「そうか……」
妹「今日も部活?」
男「そんな感じ」
妹「そっかー」
男「もう飯は食ったの?」
妹「これから」
男「じゃあ食べようか」
妹「はいほー」
-
20:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/05(火) 21:53:53.24 ID:L/Hkg04S0
-
妹「それにしても」
男「うん」
妹「もう半年近く通ってるんだよね、部活」
男「そりゃね」
妹「中学の頃は剣道入ってすぐ辞めちゃったのに」
男「ほっといてくれ」
妹「お兄ちゃん別に読んだり書いたりする人間じゃないでしょ?」
男「……」
妹「凄いねえ」
男「……」
妹「恋の力って」
男「……俺は嫌味な妹をもてて幸せだよ」
妹「にっひっひ」
-
22:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/05(火) 21:58:27.16 ID:L/Hkg04S0
-
妹「中学ではその容姿に惹かれ迫ってくる女子たちを頑なに振り続け」
妹「一度たりとも懐に寄せる事をしなかったお兄ちゃん」
妹「婚約者がいるんじゃないかと噂されたそんなお兄ちゃんが」
妹「高校に入ってなんと一目惚れ!」
妹「その日のうちに、入部届けを出したんだってね」
妹「雷神もかくやというその行動力の前に、妹ちゃんはただただニヤニヤするばかりでございまする」
男「お前は舞台役者に向いてるかもな」
妹「今度の文化祭でクラス劇やるから。見にきてね」
男「分かった」
妹「是非女先輩と一緒に!」
男「……」
-
26:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/05(火) 22:01:59.91 ID:L/Hkg04S0
-
――自室
男「……」
男「メール着てる」
男「……女からか」
女『暇だよー君もどうせ暇だろー』
男「……家に居ても同じなのか」
男「……」
男『時間はあるけど、暇では無いな』
男「……よし」
-
28:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/05(火) 22:07:36.94 ID:L/Hkg04S0
-
ギシッ
男「……ふー」
男「今日も何事も無かった」
男「明日も明後日も」
男「平凡だ」
男「……君は知らないよな」
男「俺が平凡な人間だって事」
男「君以外の小説は読まないし、一度も書いたことは無い」
男「ただ、君に、知ったような口を聞いて、驚かせているだけ……」
男「……知ったら、幻滅するのかな」
男「……されるんだろうなあ」
男「……」
-
32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/05(火) 22:12:04.65 ID:L/Hkg04S0
-
――
女『……あれ? もしかして……』
男『……うん。入部希望』
女『おー。良かった良かった』
男『えっ!? な……何が?』
女『いや、なんか今年もう部員ゼロみたいでさー。新入部員だけ、なんだよね』
男『そ……それって』
女『私と貴方だけだね。今のところは』
男『……そうなのか』
女『ま、長い付き合いになるだろうしね。自己紹介でも、しよっか』
男『……二人、って……』
女『……おーい?』
男『え!? あ、ああ、大丈夫……』
女『そんな緊張しなくてもいいよ? 部員なんだから、さ!』
男『わ……分かった』
-
33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/05(火) 22:16:52.70 ID:L/Hkg04S0
-
――
男「……あー……やべ……変な夢見た」ユラリ
男「半年……もっと前か……」
男「……まだ他人行儀だったんだな」
男「今は……」
男「……」
女『ほうほう、つまりは暇って事だね。じゃあ私の話を聞いてくれるって事だね?』
女『返事が無いけど始めるよー。今日は私の大好きな作家さん、伊藤計劃のお話!』
女『この人は稀代の天才と呼ばれた人でねー。もうとにかく凄いんだよ。才能溢れまくり。
天才は早死にするって本当なんだね。惜しい人を亡くしたよ、全く』
女『ねー、全然返信返ってこないんだけど、見てるのかな? まあ、全部私の暇つぶしなんだけどさ』
男「……やれやれ」
-
36:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/05(火) 22:21:33.08 ID:L/Hkg04S0
-
――翌日
男「やあ」
女「はろ」
男「何してるの」
女「執筆作業」
男「お題に恋愛追加」
女「うぐぐぐ、それは無理」
男「頑張れ」
女「君が書けばいいだろーぅ」
男「だから書きたくないんだって」
女「むー」
-
38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/05(火) 22:26:04.55 ID:L/Hkg04S0
-
女「段々と」
男「ん」
女「寒くなってきたね」
男「まあ、そうだね」
女「一度でいいからさ」
男「うん」
女「コタツに入ってぬくぬくしながら本読みたい」
男「入ればいいじゃないか」
女「うちコタツ無いんだよぉー」
男「あ、そう……」
-
40:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/05(火) 22:30:23.83 ID:L/Hkg04S0
-
女「確か、君んちにはあるんだよね?」
男「……あるにはあるけど」
女「……にっこり」
男「え」
女「言いたい事は分かると思う」
男「駄目じゃない……けど」
女「まあ、考えてみれば一度も男くんの家行った事無かったからさー」
男「それが普通だと思うよ……」
女「そうかな?」
-
43:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/05(火) 22:34:52.56 ID:L/Hkg04S0
-
女「――それじゃ、今週末行くから、よろしくね」
男「分かった」
女「あと書き終わったから、読んで」
男「ああうん」
女「ふっふー」
男(……今週末、か)
男(妹には悪いけど……外出してもらわないと)
男(……なんだろう)
男(……手は出せない、だろうな……)
-
44:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/05(火) 22:39:14.62 ID:L/Hkg04S0
-
――帰り道
女「暗いねー」
男「寒い寒い」
女「もうこのまま君んち行っていい?」
男「それは……駄目だよ」
女「なにゆえ」
男「本持って無いじゃないか」
女「君んちの奴読めばいーじゃん」
男「……妹いるし」
女「居たら何か不都合でも?」
男「あるような無いような」
女「ふうん、変なの」
-
45:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/05(火) 22:44:50.37 ID:L/Hkg04S0
-
女「じゃあ、家の前まで」
男「どうして」
女「だって君んちの場所分からないし」
男「ああ……そっか」
女「当日案内させる訳にもいかないしね」
男「でも、もう暗いぞ」
女「君が家まで送ってくれればいい話」
男「あっそう」
女「いっひひ!」
男(……わざとやってるんだろうか?)
-
49:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/05(火) 22:50:22.23 ID:L/Hkg04S0
-
男「ここがうち」
女「へえ、おっきいねえ」
男「その分分かりやすいと思うよ」
女「そうだね」
男「じゃあ、行こうか」
女「ん、分かった」
ガチャ
妹「あれ?」
-
50:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/05(火) 22:51:03.08 ID:JwMTXOHm0
-
ナイスタイミングだ、妹よ。
-
51: 忍法帖【Lv=19,xxxPT】 :2011/07/05(火) 22:53:53.61 ID:cYp/epUxO
-
良い妹だ
-
52:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/05(火) 22:55:37.44 ID:L/Hkg04S0
-
男「……あー」
妹「あれ? おにいちゃ……って、女先輩!」
女「ん……ああ、妹さん?」
妹「はい! 文化祭の時にお会いしました!」
女「うん。覚えてるよ」
妹「光栄ですっ! ささ、どうぞ上がっていってください!」
女「え? いいの? じゃあ上がらせてもらおうかー……な?」
男「……どうして俺を見る」
女「いっひひ。お邪魔しまーす」
男「……まあ、いいかな」
-
54:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/05(火) 23:00:41.41 ID:L/Hkg04S0
-
妹「やー、お兄ちゃんも中々やるね」
男「そう言うのじゃなくて……お前、何で出てきたんだ?」
妹「話し声が聞こえたから」
男「犬かお前は」
妹「にっひっひ」
女「コタツは何処にあるのかな?」
男「居間」
女「そっかー」
男「……いやはや」
-
55:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/05(火) 23:06:26.18 ID:L/Hkg04S0
-
女「わー。本当にコタツだー」
妹「あはは、どうしたんです女先輩?」
女「いやねー。本当は今週末ね、コタツに潜る為にここに来る予定だったんだ」
妹「そうだったんですか。……そう言う事ね」
男「そう言う事だ」
妹「ふうん……まあ、どうぞ! くつろいでいってくださいね!」
女「ごめんね妹さん。急にお邪魔しちゃって」
妹「いえいえ、お気になさらず。この際ですし、夕ご飯もご一緒しませんか?」
女「本当? だったら甘えちゃおうかー……な?」
男「……いいんじゃない、別に」
女「やった!」
-
67:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/05(火) 23:36:21.54 ID:L/Hkg04S0
-
――
女「いただきまーす」
男「いただきます」
妹「召し上がれー」
女「もぐ……うん、うん……凄く、美味しい」
妹「えへへ、ありがとうございます」
男「うちの妹は料理に関して言えば、そんじょそこいらのお嫁さんより上手いからね」
妹「おー。お兄ちゃんが褒めてくれるなんて珍しい」
男「たまには身内自慢も必要かと」
女「仲良いんだねえ、羨ましいよ」
妹「女さんは、兄妹とかは……?」
女「いないのよ。ずっと本が友達」
男「陰険」
女「ふん、君もだね!」
-
69:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/05(火) 23:44:01.47 ID:L/Hkg04S0
-
女「はあー美味しかった。ご馳走様!」
男「ごちそうさま」
妹「お粗末様ー」
女「食器、洗うべきだよね?」
妹「えっ、いいですよそんな! お兄ちゃんにやらせますんで!」
男「うん、食器洗いは俺の仕事だ」
女「あ、そう? じゃあよろしくね」
男「切り替え早いね」
女「慣れてるからね!」
-
70:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/05(火) 23:47:38.38 ID:L/Hkg04S0
-
妹「じゃ、私は上にいるから、後よろしくね」
男「え、ああ、うん」
女「妹さんもコタツはいらない?」
妹「あー、いえ。私、学校の課題残ってますんで……」
女「偉いなあ。ね、お兄ちゃん?」
男「早くコタツ入ってなよ……」
女「はいはーい」スタスタ
妹「ふふ……中々かなか、仲いいじゃない」
男「おかげさまでね」
妹「ん。じゃ、仲良くねー」
男「はいはい」
-
71:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/05(火) 23:51:52.16 ID:L/Hkg04S0
-
ジャー
男(……早く食器を片付けたい)
男(……でも綺麗にしたい)
男(……ジレンマか)
男(相変わらず、語彙の無さに泣かされる)
男(……別に急ぐ必要も無い、けど)
男(……やっぱり、早くしよう)
-
72:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/05(火) 23:56:12.02 ID:L/Hkg04S0
-
――
男「どうですか、コタツの温度は」スタスタ
女「おつかれー良い感じだよー」
男「そりゃ良かった」
女「やっぱ来てよかった、うん」
男「そう」
女「これで本があれば最高なんだけど……」
男「……」
男「はい」ヒョイ
女「お、流石」
男「父さんの読みかけだけど」
女「ばっちこい」
-
74:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/06(水) 00:00:55.97 ID:LpFylAoa0
-
男「と言うか、君」
女「んー?」
男「家の人心配してるんじゃないの」
女「ああ、もうメールしてある」
男「なんて?」
女「知り合いのうちに泊まります、てね」
男「……へえ?」
女「お、君に呆れた目で見られるのは何度目だろうね」
男「十回は越えるだろうね」
女「お互い様だけどね」
男「まあね」
-
75:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/06(水) 00:04:34.67 ID:LpFylAoa0
-
男「と言うか。泊まるって」
女「まあ、成り行き?」
男「物書きとしてそれは情けないと思わないのかね」
女「物語を書いててプロットどおりにキャラクターが動かないなんてザラだよ」
男「それっていいの」
女「キャラクターの一人歩きって奴だね」
男「字の感じからして振り回されてる感が」
女「まあ、否定はしない」
-
79:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/06(水) 00:12:40.28 ID:LpFylAoa0
-
女「……ん、……」コク
男「……」
女「……」コクン
男「……」
女「……すぅ」
男「……おーい」
女「ん……だいじょぶ」
男「何処が……?」
-
77:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/06(水) 00:08:47.50 ID:LpFylAoa0
-
女「妹さんは結構簡単に認めてくれそうだし」
男「あいつは……うん」
女「後は君なんだよ」
男「泊りか」
女「そう」
男「構わないけど、どこで寝るつもり?」
女「うーん。要相談、だねえ」
男「君ね……」
女「いっそここでもいいよ」
男「風邪ひくよ」
女「ん。そっか……」
男「……」
-
80:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/06(水) 00:16:59.85 ID:LpFylAoa0
-
男「……起きろ、陰鬱少女」ユサユサ
女「ん……寝てた?」
男「舟こいでた」
女「う、うぐ……ごめんね、やっぱり時代物はまだ早かったみたい」
男「気をつけてくれよ」
女「はい。……ところで私の事なんて呼んだ?」
男「文学少女」
女「……ならいいけど」
男「うん」
-
81:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/06(水) 00:21:29.37 ID:LpFylAoa0
-
男「目覚ましに蜜柑でも食べようか」
女「目覚ましになるかな」
男「まあまあ」ヒョイ
女「ひょい。ありがと」
男「ん」
女「……あー。これは言い訳じゃないけど」
男「うん?」ムキムキ
女「私、不器用なんだよね」
男「……へえ」
女「だから、どうしても蜜柑はサル剥きになっちゃうんだよね」
男「それ、言い訳?」
女「くらえ蜜柑汁」プシャッ
男「うわっ!」
-
82:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/06(水) 00:25:05.99 ID:LpFylAoa0
-
男「あいてて……頼んでくれれば剥いてあげたのに」
女「変な所で優しいんだねえ、陰険君はー」
男「まあ、これでもホストだからね」
女「よく言うよ」
男「全くだ」
女「……」
男「……」
女「美味しいね」
男「うん」
-
83:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/06(水) 00:28:09.37 ID:LpFylAoa0
-
女「なんていうかな」
男「ん」
女「本当は本読む為に来るつもりだったんだけどね」
男「そうですね」
女「計画通りいかないもんだね」
男「そんなもんだよ」
女「……でも、まあ」
男「……」
女「こうして、君とコタツで温まりながら蜜柑を食べて」
女「変な話で笑いあうって言うのも……」
女「私、好きかもしれないな」
男「……」
-
85:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/06(水) 00:30:50.40 ID:LpFylAoa0
-
女「……君は?」
男「え?」
女「君は……こういうの……好き?」
男「……どうした、突然?」
女「えっ!? や、えっと……なんとなく、知りたかったから……」
男「……そりゃ、好きだよ」
女「……」
女「そ……そっか」
男「うん……」
女「……」
男「……」
-
87:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/06(水) 00:34:29.41 ID:LpFylAoa0
-
女「……あ、あの――」
妹「ふいー、終わった終わったー」スタスタスタ
男・女「」ビクッ!!
妹「んん! ……お二人さん、仲睦まじく団欒中ですか」
男「あ、ああ……お疲れ」
妹「隅に置けないなーお兄ちゃん!」ニヤニヤ
男「な、何言ってんだ……」
女「え、えっと妹さん、相談があるんだけど……」
妹「はい、なんでしょう?」
女「今日、私ね――」
-
88:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/06(水) 00:37:47.09 ID:LpFylAoa0
-
妹「お安い御用です!」ドンッ
女「そっか。ありがとう」
妹「いえいえ、女先輩の為なら! 地の果て! 空の果て!」
男「……やたら好かれてるね」
女「あ、はは……」
妹「そりゃお兄ちゃんの彼女なんですからそりゃもう――」
男「うぇ、ちょ、ちょっと待て妹」
妹「うん? なあに」
男「別に彼氏彼女の関係じゃないから」
妹「えー?」
女「そ、そうだよ妹さん。男くんの言うとおり……」
男(……男くんとか呼ばれるの、何ヶ月ぶりだろう)
-
89:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/06(水) 00:41:16.79 ID:LpFylAoa0
-
妹「……あんまり納得行きませんが、女先輩の言う事なら信じましょう」
女「ありがと……」
男「……そろそろ、お風呂の時間だね」
女「本当だ」
妹「では、誰から入ります?」
男「流石に男の俺が一番先は駄目だろう」
妹「でも最後だと私たちの出汁が……」
男「……お前、テンション高いな」
妹「にっひっひ」
-
90:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/06(水) 00:45:40.36 ID:LpFylAoa0
-
妹「じゃ、行ってくるね」
女「覗きにきちゃ駄目だよー」
男「分かってるよ」
スタスタ
男「……ふう」
男「結局二人で行ってしまった」
男「ここからじゃ流石に……声は、聞こえないよな」
男「……聞こえても困るけど」
-
92:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/06(水) 00:49:00.84 ID:LpFylAoa0
-
男「はー……」ドデ
男「……好き、か」
男「あれは……俺限定、だったのかな……?」
男「……だったら、そりゃ、嬉しい」
男「……嬉しい」
男「……でも」
男「俺は嘘つきだ」
男「……幻滅されて、愛想つかされたら……それで」
男「……往々にして上手くいかない、もんな」
男「一人歩き、かあ……」
-
94:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/06(水) 00:53:52.55 ID:LpFylAoa0
-
――
妹・女「ただいまー」
男「……おかえり」
妹「ふー。いい湯だった」
女「楽しい湯だったね」
妹「ですねっ!」
男「ん。じゃあ、入ってくる」
女「いってらっさー」
妹「蜜柑残しておこうか?」
男「頼む」
妹「はいほー」
-
95:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/06(水) 00:55:00.94 ID:LpFylAoa0
-
――脱衣場
男「……」ヌギ
男「着た物かごは……あった」
男「……う」
男「この脱ぎ方は……二人とも警戒心無さすぎじゃないか……?」
男「妹のは白……か……ふむ」
男「女、のは……み、水た」
男「……」
男「ぬおおおおおお」ガラララ
-
97:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/06(水) 00:58:23.73 ID:LpFylAoa0
-
――風呂場
男「……久しぶりに自分が童貞であることを認識させられる光景だった」
男「……精進しよう」
男「……」ブクブク
男「そういや、昔……似たような事、あったなあ」
男「あれは妹だったけど」
男「まさか着替え中に鉢合わせるなんて現実であるとは思わなかった」
男「……女の方は、どうかな」
男「……部室行ったら寝てた事あったな……」
男「油性ペンで悪戯したっけ……」
-
98:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/06(水) 01:01:29.62 ID:LpFylAoa0
-
男「……はあ」
男「思い返してみれば……今も昔も、思い通りに行かない事だらけだ」
男「そういう風に出来てるのかな」
男「それにしたって……ちょっと理不尽だ」
男「……たまには、計画通り進んで欲しい」
男「……だから」
男「俺が本を読んで小説を書いて」
男「女に負けないくらい文学に詳しくなって」
男「女をびっくりさせなおす事くらいなら」
男「……計画通り、進んでもいいはずだ」
男「……そうしないと、困るんだ」
-
100:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/06(水) 01:05:00.69 ID:LpFylAoa0
-
男「今からでも遅くない、よな……?」
男「そうだよな……うん。頑張ろう」
男「まずは女に、お勧めの本でも教えてもらったりして……」
男「そうして……ずっと詳しくなったら……」
男「その時は……」
男「……」カー
男「……うあ、暑くなってきた」
男「早く出よう……」ザバァ
-
101:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/06(水) 01:06:15.21 ID:LpFylAoa0
-
――
男「ただいま」
妹「おかえりー」ムシャムシャ
男「あれ……女は?」
妹「本人いない時は居ない呼び捨てなんだ?」ニヤニヤ
男「うるさい。……で、何処だ?」
妹「んー。もう寝ちゃったよ」
男「ん。そうか」
妹「残念?」
男「まあね」
妹「ほー」
-
102:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/06(水) 01:08:09.65 ID:LpFylAoa0
-
妹「うちに人が泊まりに来るなんて、いつぶりだろうねえ」
男「初めてじゃないか?」ムキムキ
妹「かもね。しかも……おにいちゃんの彼女!」
男「だから彼女じゃないって」
妹「……好きなくせに」
男「……それとこれとは違う」
妹「さっき、女先輩の話、聞いたよ」
男「……」
妹「先輩もね」
妹「お兄ちゃんのこと、好きだってさ」
-
103:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/06(水) 01:10:30.62 ID:LpFylAoa0
-
男「……冗談は、やめろよ」
妹「私ね、自慢じゃないけど今まで嘘だけは吐いたこと無いんだよ」
男「……知ってる」
妹「だから今のも、お兄ちゃんをからかう為の言葉じゃないし、慰めでもない」
妹「そういう事実だから」
男「……」
妹「お兄ちゃん。別に急かすつもりは無いけどさ」
妹「両思いのまま、告白しないまま、この関係を維持したい訳?」
男「……それ、は」
妹「好きなんだよね。付き合いたいんだよね」
妹「じゃあ、素直になろうよ」
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104:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/06(水) 01:12:17.59 ID:LpFylAoa0
-
男「……それは、出来ない」
妹「……どうして?」
男「俺はまだ……女と付き合う資格は無いよ」
妹「……資格って」
男「今、あいつに包み隠さず自分の事を話してしまったら」
男「きっと、幻滅される」
男「なんで今まで嘘ついてきたんだって」
男「文学の事、何も知らないじゃないかって」
妹「……」
男「だから俺は……いっぱい本を読んだり、書いたりするって決めたんだ」
男「追いつくって訳じゃないけど……それでも、あいつと出来る限り近い位置で話が出来る程度には」
-
106:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/06(水) 01:14:12.20 ID:LpFylAoa0
-
妹「……ふふ。そっか」
男「……変、だったか?」
妹「んーん。お兄ちゃんらしいよ……本当にね……」
男「……要領が悪いとは、思うよ」
妹「まあね。……でもお兄ちゃん、一つだけ、勘違いしてるよ……?」
男「え?」
妹「……さ! 明日も早いし! もう寝よ?」
男「え、おい――」
妹「私、トイレ行ってくるから。おやすみ、お兄ちゃん」スタスタ
男「あ……ああ」
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107:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/06(水) 01:15:56.79 ID:LpFylAoa0
-
――階段
男「……よく分からんな……」
男「勘違い、か……まあ俺だしなあ……」
男「……」
男「……ああ、そうだよ。好きだよ」
男「でも……それでも」
男「俺は、一から学ばないと」
男「……はー。今日はさっさと寝よう――」
ガチャ
女「……あ」
男「――……え」
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108:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/06(水) 01:17:47.73 ID:LpFylAoa0
-
女「……やっほ」
男「な……なんで、君」
女「んー。寝る場所といったら、ここくらいしか思いつかなくて」
男「い、妹の部屋でよかったじゃないか……」
女「そうなんだけど……さ」
男「……」
女「……すっきり、してるんだね」
女「本も……何も、無い、けど」
男「……っ」
女「本当は……小説も、書いたこと無いんでしょ?」
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110:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/06(水) 01:19:54.99 ID:LpFylAoa0
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バンッ!!
女「わっ!?」
男「すまなかった」
女「え、え……」
男「ずっと嘘ついてたんだ。君に凄いって言ってもらいたくて、ずっと詳しい振りをしてきたんだ」
女「男、くん……」
男「本当は何も知らなかったんだ。ちゃんと小説を読んだ事も、小説を書いたことなんて一度も無かった!」
女「……」
男「だから、これじゃまずいと思って――これから、色々本とか読もうとしてたんだ。
君と話を出来るようになりたかったんだ」
男「なのに……さ。すぐばれちゃったよ。
やっぱりこんな、プロットにも無かった後付けの計画は……上手くいかないんだ」
男「……幻滅するよな。ごめん。俺はもう、何も言えない……」
女「……」
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112:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/06(水) 01:22:22.52 ID:LpFylAoa0
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女「……ねえ、男くん」
男「……」
女「君の言い分は分かった。納得した。とっても、驚いたよ」
女「……でもね」
女「君は一つ、勘違い、してるよ」
男「……?」
女「私がさ――」
女「そんな事を知ったくらいで、君の事を嫌いになる訳無いでしょ?」
男「……え」
女「……大丈夫だよ、男くん」ギュウ
男「え……え?」
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114:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/06(水) 01:24:25.63 ID:LpFylAoa0
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女「たとえ何も知らなくてもさ」
男「……」
女「君は、私の作品を読んでくれる唯一の読者なんだよ」
男「……っ」
女「感想がどんなに的外れだったとしても」
女「私は君がいる事が、一番嬉しい事だから」
男「……なんていうか、さ」
女「……うん」
男「……ごめん」
女「……」
男「でも……」
男「……ありがとう」
女「……うん。いいから」
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115:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/06(水) 01:25:43.64 ID:LpFylAoa0
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男「……この計画は簡単に崩れちゃったけど」
女「ん……?」
男「でも、いい機会だ。本を読んだり……してみようかと思う」
女「うん。……ふふ、私のお勧めをいっぱい教えてあげようじゃないか」
男「ああ、頼んだよ。……後、さ」
女「うん?」
男「えーと。……その、ね」
女「……なにさ」
男「今なら……多分、失敗しないんじゃないかって、計画があるんだ。
……言っていいかな?」
女「え……うん……なんだろ」
男「……じゃあ、言うよ――」
男「――俺は、君の事が好きだ」
終わり
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117:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/06(水) 01:26:26.63 ID:rDGQjhuh0
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乙面白かった
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121:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/06(水) 01:37:37.62 ID:LpFylAoa0
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結局現実も物語も想定通りには行かないというか、まあそんな感じのお話でしたとさ
支援ありがとうございました!
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125:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/06(水) 01:50:31.27 ID:ljReVwvx0
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乙
こういう話好きだ
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129:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/06(水) 02:08:18.72 ID:fGxQHSs30
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うまくまとまってていい話だった
おつ

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