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【咲-Saki-】小走やえ「いっけなーい遅刻遅刻!」

1 : ◆CBoesPsC1w 2014/06/21(土) 07:52:36.80 ID:2p/y8qrQ0
~晩成高校通学路~

――タッタッタッタッ。

やえ「深夜まで牌譜研究してたのがまずかった! 部長が朝練に遅刻とかマジやばごぶふぁっ!?」ドサッ!

通行人「おい! 大変だ! 変な髪型の女の子が鹿に跳ねられたぞ!」

通行人「晩成の生徒だ! 誰か、救急車を!」

――ピーポーピーポー。




2 : ◆CBoesPsC1w 2014/06/21(土) 07:54:39.08 ID:2p/y8qrQ0
~病室~

やえ「……知らない天井だ……」

岡橋初瀬「小走先輩! 目が醒めたんですね!」

やえ「岡橋……一体何が」

初瀬「先輩は通学路で鹿とぶつかって、ここに運び込まれてからも、丸一日寝たままだったんですよ?!」

やえ「そ、そうだったか。片ドリルでなければ即死だった」

初瀬「命に別状は無いけど、目が醒めても念の為、何日か様子を見た方が良いってお医者さんが」

やえ「そうか。……なぁ岡橋」

初瀬「はい?」

やえ「晩成は負けたか?」

初瀬「えっ?」

やえ「県予選で晩成は負けたか?」

初瀬「……はい……阿知賀に」

やえ「そうか、それは夢じゃなかったか」

初瀬「……で、でも、まだ個人戦が」

やえ「有難う岡橋。心配かけたね。皆に大丈夫だって……それと、上田に部長代理を頼むと伝えてくれ」

初瀬「小走先輩……」


3 : ◆CBoesPsC1w 2014/06/21(土) 07:56:18.46 ID:2p/y8qrQ0
~翌日 晩成高校麻雀部室~

巽由華「部長がそんな事を?」

初瀬「はい……」

由華「そうよね……皆の前では明るく振る舞ってたけど、部長達にとっては最後のインハイ。簡単に切り替えられるはずない」

初瀬「……」

由華「まして今年の晩成は、ここ10年でも最強の面子と言われてた。ベスト8も夢じゃないって」

初瀬「はい……」

由華「部長……」


4 : ◆CBoesPsC1w 2014/06/21(土) 07:59:20.59 ID:2p/y8qrQ0
それから数日後、やえは無事退院

~放課後の部室~

やえ「上田、まだ残ってたのか」

上田良子「よう、やえ。もう良いのか? 災難だったな」

やえ「ん、その卓は……十年前の敗戦以来、壊れてそれきりっていう因縁の……」

良子「あぁ、これな。お前に千羽鶴を折るのにテーブルが足りなかったんで、引っ張り出したんだよ」

やえ「え、縁起悪い卓で鶴を折るなよ。……そりゃそうと、私が居ない間の代理ありがとね」

良子「なぁに、県予選も終わった後だしどうって事無いさ」

やえ「終わった後か……」

良子「ん?」

やえ「あの時、私が阿知賀の子達をニワカと侮らずに、可能な限り情報を集めてたら……」

良子「どうした、やえ」

やえ「いや、何でも無い。鍵は私が返して置くから、先に帰っていいよ」

良子「そうか、じゃまた明日な」


やえ「……私が……私のせいで……」

――ポチッ。カラカラカラ。

やえ「えっ? この卓、壊れてたはずじゃ……それにこのサイコロ、逆に回って――」


5 : ◆CBoesPsC1w 2014/06/21(土) 08:01:30.10 ID:2p/y8qrQ0
初瀬「――走先輩、あのっ!」

やえ「……え、えっ?」

初瀬「今、同じ中学で麻雀やってた子が阿知賀で手に豆を……それに、あの10年前のエース赤土晴絵が!」

やえ「……(ここは、まさかあの夜の……!?)」

~吉野駅 コンビニ前~

初瀬「せ、先輩っ!?」ゆさゆさ

やえ「……岡橋、県予選まで後どれくらいだ?」

初瀬「え? あと一週間ですけど……」

やえ「ふふっ……そうか……」

初瀬「先輩……?」

やえ「ま、心配しなさんな……ニワカは相手にならんよ!」


10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/21(土) 14:30:43.85 ID:2p/y8qrQo
そして県予選当日

~試合会場~

高鴨穏乃「え……いきなり初戦の相手が、晩成高校!? なんで……」


初瀬「先輩! 頑張って下さい!」

やえ「……(岡橋、それに皆、前回は済まなかったね。今度はガッカリさせないよ)」


11 : ◆CBoesPsC1w 2014/06/21(土) 14:33:56.22 ID:2p/y8qrQo
~第一試合 先鋒戦~

アナウンサー「県予選一回戦、スタートです!」

松実玄「(ドラが7つ……ツモれば24000点の手……)」タンッ

やえ「ロン……1000点」

玄「は、はい……(えっ? この人、なんで多面待ちを捨てて嵌張待ちに?)」

MOB「開始早々随分しょっぱい手であがるなぁ、それでも去年の奈良王者かよ」

やえ「ふふっ……なぁに、験担ぎ……景気づけって奴さ」

玄「(気のせい……?)」


そして第二局

玄「(気を取り直して……今度はタンヤオにドラが5つ……)」タッ

やえ「ロン……5200点」

玄「はい……えっ?!(またドラ筋の両面を嫌って辺張待ち? この人……まさか……私の事を知ってる?!)」

やえ「(悪いね、松実妹。アンタのドラ爆は強力無比。だが、弱点も大きい。それは全国の舞台でも証明済みだ)」


13 : ◆CBoesPsC1w 2014/06/21(土) 14:38:45.13 ID:2p/y8qrQo
~6日前 レギュラーミーティング~

やえ「皆……良く聞いて欲しい。県予選は、決勝までのどこかで必ず、阿知賀と当たる事になる」

良子「え? 阿知賀? 阿知賀って、10年前にうちを倒したけど、その後は麻雀部なかったんじゃ」

やえ「いや、今年から復活してる。それも、全国レベルの打ち手を5人揃えてきてる」

由華「そんな話、初耳です!」

やえ「監督は阿知賀のレジェンド、赤土晴絵」

丸瀬紀子「あの赤土晴絵!?」

やえ「しかも奴らは、うちへの対策を万全に練ってきてるだろう。このままじゃ……勝つのは極めて難しい」

木村日菜「小走さん、もう大会直前です! そんな事言われたって……」

やえ「大丈夫。その対策に対する対策がある。もし皆が信じて、私の言うとおりやってくれりゃ、逆に阿知賀を手玉に取れる」

一同「「……」」

良子「……解った、じゃあもし阿知賀と当たったら、やえの言う通りにしよう」

由華・日菜「はい!」

紀子「これでもし阿知賀があっさり敗退してたら笑うぞ?」

やえ「皆、有難う。必ず全国に行こう!」

一同「「おおーっ!!」」


14 : ◆CBoesPsC1w 2014/06/21(土) 14:44:04.49 ID:2p/y8qrQo
アナ「先鋒戦終了ー! 大方の予想通り、晩成が他校を大きくリード! 阿知賀がこれを追いかけます! 他の二校も今後の奮闘が期待されます」

やえ「お疲れ様」

玄「お、お疲れ様でした……」

MOB「「おつかれっしたー……」」


~観客席~

初瀬「二位の阿知賀に30000点近い差を付けた! さすが小走先輩!」


~晩成控え室~

良子「全くやえらしくない打ち筋だったが、確かに何か見えてるみたいな、妙な和了があったな……」

紀子「いよいよ信じるしかないって事かねぇ……さて、私の出番だ」


15 : ◆CBoesPsC1w 2014/06/21(土) 16:32:32.32 ID:2p/y8qrQo
~次鋒戦~

紀子「(やえの奴、大仏さんが夢枕にでも立ったのか? まぁいいさ、勝てるなら神だろうが仏だろうが頼らせて貰おうじゃないの!)」

松実宥「(玄ちゃん、お姉ちゃんが仇を討つからね。……温かい牌……来て)」

紀子「ツモ。300,500」

宥「(この人もなんだか変な手……冷たい牌ばかり……。玄ちゃんの時と言い、晩成は私達の事を知ってるの……?)」

紀子「(嘘か真か……やえが言う通り、赤い牌がこの厚着女に集まるなら……)」




~数日前~

やえ「松実姉には、極端に赤い牌が集まる傾向がある……いや、傾向と言うよりも……そう言う(イカ)サマをしてるんじゃないかと思う程に集まる」

紀子「んなバカな……」

やえ「そう思うだろうが、事実だ。役も当然赤い牌を活かした役になる可能性が非常に高い。特に中を絡めた萬子の混一、それ以外にも赤ドラを絡めて……」

紀子「……それが事実だっていうなら、計算はしやすくなるが……牌譜でも研究したってのか?」

やえ「ふっ……ちょっとした、鹿の贈り物って所さ」

紀子「なんだそりゃ? けどまぁ、アンタがそこまで言うなら……頭に入れておくよ」

やえ「頼んだよ」


16 : ◆CBoesPsC1w 2014/06/21(土) 16:34:34.12 ID:2p/y8qrQo
アナ「次鋒戦終了ー! トップは依然として晩成! これに阿知賀が続きます!」

紀子「お疲れさん(結局終わってみりゃ、やえの言ったとおりか……)」

MOB「「お、おつかれさん……」」

宥「お疲れ様……」


~客席~

初瀬「丸瀬先輩ナイスキープです! ツモや他家の振り込みで多少迫られたけど、まだ25000点差もある!」


~晩成控え室~

良子「ここまでは、概ねやえの言う通りの展開だな」

やえ「牌効率の計算に長けた丸瀬のことだ、前提条件さえ解っていれば堅くやってくれると信じてたさ」


17 : ◆CBoesPsC1w 2014/06/21(土) 16:38:15.32 ID:2p/y8qrQo
~阿知賀控え室~

晴絵「(どうして……対外試合も一切しなかったのに、まるで2人の打ち筋が読まれてる?! 中学から大会に出てた憧はともかく、松実姉妹のデータなんて有るはずが……)」

新子憧「まだまだこれからでしょ! あたしが逆転……出来なくても点差を縮めてくるから!」

穏乃「逆転なんてケチなこと言わずに、飛ばしちゃえ! がんばれ憧ーっ!」

憧「あはは……じゃ、行ってくるね」

晴絵「(しかも晩成の選手は、これまでのどんなデータとも全く違う打ち方をしている……こんな偶然、あり得る訳が無い!)」


19 : ◆CBoesPsC1w 2014/06/21(土) 16:55:25.29 ID:2p/y8qrQo
~中堅戦~

憧「(その為には、出来るだけ大物手か直撃で差を詰めないと)」

日菜「ポン! それもポン! ……ロン、1000点」

憧「(っ……とは言っても、あっちは流すだけで勝利に近づくんだからキッツいわ。他校は絞りも何もあったもんじゃないし……)」

MOB「ポン!」

MOB「チー!」

憧「(って、えぇーっ!? 他校まで、早和了の流れに乗せられつつある……奈良の1回戦で打ち手に高いレベルを求めるのは酷だろうけどさ、もう勘弁してよー)」



~大会数日前~

やえ「新子は良い打ち手だ。牌効率も完璧に計算出来るし、それに裏打ちされた喰い仕掛けは極めて鋭い」

日菜「なんか自信なくなりそうな情報ですね」

やえ「木村は新子への直撃だけを避けて、小場を創り出せ。安手なら他家に差し込んで構わない」

日菜「他の二校を……乗せろって言うんですか?」

やえ「そうだ。所詮他校は記念参加のお遊び麻雀部。トップが狙えないのが明らかになれば、大局観を無くして目先の和了を拾いに行くはずだ」

日菜「なるほど……解りました、やってみますよ」


21 : ◆CBoesPsC1w 2014/06/21(土) 19:00:15.25 ID:2p/y8qrQo
アナ「中堅戦終了ー! 逃げる晩成、追う阿知賀! 下位二校は苦しい点差になりつつあります!」

日菜「お疲れ様(他の二校が、上手い具合に阿知賀の足を引っ張ってくれましたね)」

憧「おつかれさまぁ……」

MOB「「お、おつか……」」




~観客席~

初瀬「憧……本当に腕を上げたんだな。でも、まだ20000点近い点差がある!」


~晩成控え室~

やえ「よし、良いぞ木村」

紀子「それにしても、どうして阿知賀はこんな打ち手を5人も集められたんだ? 晩成のレギュラークラスじゃねぇか」

良子「なぁに、こっちだって伊達に晩成の看板は背負ってねぇ! 3年の意地を見せてやるぜ」


~阿知賀控え室~

晴絵「っ……(憧で詰め寄れなかったのは、正直言って痛い……)」

鷺森灼「……(晴ちゃん、諦めないで……きっと連れていくから)」


22 : ◆CBoesPsC1w 2014/06/21(土) 19:06:12.04 ID:2p/y8qrQo
~副将戦~

灼「リーチ」

MOB「うへ……もうリーチかよ」タッ

良子「ポン」

MOB「(……安牌ないっつーのに回すなよ)」タッ

良子「ロン。2000」

MOB「そっちかよ!?」

灼「……(こっちの待ちを知ってるみたいな回し打ち……晴ちゃんの言う通りだ。だったら……!)リーチ」

良子「……」タッ

MOB「(いくら晩成と同卓だからって……4位だけは恥ずかしい、4位だけはやめて……)」タッ

灼「……ロン。8000」

MOB「ひえっ!? 九萬単騎?!」

良子「(やえの言う通り、筒子の多面待ちに取らなくなったか。だが……)」

MOB「……」タッ

良子「ロン、1000点(それもこっちにとっちゃ想定済み。どう足掻こうが、あたいからの直撃だけは有り得ないぜ! まして……)」

MOB「」

灼「(っ……余り晩成以外からあがりすぎると、大将戦を待たずに飛び終了の危険が……リーチやツモも多様は出来な……)」


23 : ◆CBoesPsC1w 2014/06/21(土) 19:13:26.18 ID:2p/y8qrQo
~数日前~

良子「へぇ、待ちがボウリングのピンねぇ……そんなオカルトあり得るか?」

やえ「信じたくは無いが……間違いない」

良子「晩成麻雀部内ボウリング大会において、不動のチャンピオンであるあたしが対局する事になったのも、何かの巡り合わせかねぇ」

やえ「チャンピオンかっこハイスコア130か」

良子「お前は100点超えてから言えよ!」

やえ「ただ……常に筒子の多面待ちとは限らない。上田がその癖を把握していると知れば、それを崩した直撃狙いに来るのは間違いない」

良子「んー……つまり、序盤は筒子待ちを知ってる様に見せて和了を阻止しつつ、後半は引っかけの直撃狙いを誘って逃げ切る?」

やえ「そうだ、折角の多面待ちを崩すんだから、上田さえ振り込まなければ、その策も裏目でしかない」

良子「なんだかなぁ……まるで未来を見てきたような言いぐさだな」

やえ「ふふっ……私には見えてるんだよ。晩成が全国の決勝卓に駒を進めるビジョンがね」

良子「へーへー、そりゃ頼もしい事で」


24 : ◆CBoesPsC1w 2014/06/21(土) 19:16:55.48 ID:2p/y8qrQo
アナ「副将戦終了ー! 晩成、阿知賀、一騎打ちの様相を呈して参りました! 他の二校はかなり大きな手か、連荘が必須の苦しい状況です!」

良子「おつかれさーん(しかしこのボウラーやるなぁ。危ない危ない)」

MOB「「乙……」」

灼「お疲れさま……」



~観客席~

初瀬「大将戦を残して点差は15000……巽先輩!」


~晩成控え室~

日菜「ふー……これが1回戦とか信じたくないですね」

紀子「後は大将戦を残すのみ……頼むぜ、巽」

由華「任せて下さい……」チラッ

やえ「……」コクッ


25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/21(土) 20:12:47.44 ID:8b4w+KPxO
これは熱い


27 : ◆CBoesPsC1w 2014/06/21(土) 23:39:31.90 ID:2p/y8qrQo
~阿知賀控え室~

憧「満貫直撃で捲れる点差だよ! 穏!」

穏乃「おう、任せといてよ!」

玄「穏ちゃん、頑張って!」

宥「頑張って……」ぶるぶる

灼「任せたよ……阿知賀の大将」

晴絵「しっかりね!(点差は確かに大きくない……こう言う状況での穏乃は、普段以上の力を出せる子だ。……でも、なんだろうこの胸騒ぎは)」



~大将戦~

アナ「新星の如く現れた新生阿知賀女子、王者晩成を捉える事が出来るのか!? 下位二校は飛びを警戒しながらの苦しい戦いで何を残せるか! 大将戦スタートです!」

穏乃「(状況も配牌もヤバイ……でも、諦めるわけないッ!)」ボッ!

由華「(この子の目、完全に私を捲る気で居る。その意気や良し……私も全力で相手してあげたい所だけど)」スゥ……

MOB「(くそぉ、初戦から晩成と当たる時点でくじ運なさすぎなんだよ、うちの部長! 麻雀部でくじ運悪いとか、マジありえね!)」

MOB「(こんな点棒でどうしろっていうのよ、もー! 箱割れだけは絶対恥ずかしすぎるし!)」

MOB「「(飛ばすならあっちにして!)」」


28 : ◆CBoesPsC1w 2014/06/21(土) 23:46:19.37 ID:2p/y8qrQo
~大会数日前~

やえ「巽」

由華「はい」

やえ「阿知賀戦、こちらがリードしていた場合だが……」

由華「はい、全力で逃げ切ります」

やえ「……逃げ切るのは逃げ切るんだが、巽の能力は封印だ」

由華「え? 阿知賀の大将、1年生ですけど、大将に置くからにはかなりの実力者なのでは?」

やえ「あぁ、あの子は底が見えない。対局者が高き山となって立ちふさがる程、あの子は覚醒する」

由華「……? では、どうすれば……」

やえ「巽……」ずいっ

由華「こ、小走先輩?!」ビビクン

やえ「(ヒソヒソ)」

由華「……んんっ……(く、くすぐったいです先輩)」

やえ「……難しいけど、巽なら……いや、巽にしか出来ない事だ」

由華「で、でも先輩……もし、そんな打ち方で失敗したら」

やえ「責任は私が取る。……と言っても、アンタの事だ。実際に打ったのは自分ですとか何とか言うんだろうね?」

由華「……」

やえ「二人で決めよう。二人ともが納得したなら、その戦法で行こう。失敗したら、その時は……その時さ」

由華「……わ、解りました。やってみます……今の私があるのは小走先輩のお陰。どんな結果になろうと……先輩と一緒なら悔いはありません!」

やえ「巽……有難う!」ぎゅっ

由華「ふえっ!?」カァァ//


29 : ◆CBoesPsC1w 2014/06/21(土) 23:49:00.47 ID:2p/y8qrQo
由華「……(な、何を思い出してるの、こんな大事な時に)」タッ

MOB「ろ、ロン! 1500点」

由華「……は、はい」ジャラッ

穏乃「(なんだろう……随分甘い放銃だな……これなら追いつけるかも。えっと点差が今ので……)」



~阿知賀控え室~

晴絵「(晩成が穏の事も研究し尽くしているとしたら……一体何を狙う……まさか……?!)」

憧「穏……いけるいける! 相手は晩成唯一の二年生だし、今みたいなミスも有り得る!」

晴絵「(……確かにこれだけの舞台、まして部の命運を握る大将戦の闘牌。プレッシャーは想像を絶する。けれど、今年の晩成に限って、そんなミスを犯す?)」


30 : ◆CBoesPsC1w 2014/06/21(土) 23:55:25.60 ID:2p/y8qrQo
~決勝卓~
MOB「テンパイ」

MOB「ノーテン」

由華「ノーテンです」

穏乃「テンパイ!(よーし、ジワジワ近づいて来たー! これなら直撃さえ奪えれば捲れる。そうでなくても、えっと……ツモ和了だと……)」

MOB「……(この親で8連荘くらいすれば追いつけるかなー、なんて……はは……)」タッ

由華「ロン、2000」

MOB「あ、はい……」

穏乃「(もー、せっかく縮まってきてるのに、邪魔しないでよ! えっと、今のでー……でもまだ、4飜以上で直撃させるか、ツモで跳ねれば……)」



~阿知賀控え室~

晴絵「……ダメだ穏、自分の麻雀を打つんだ! その点差はまやかしだ!」

憧「え?」



~晩成控え室~

良子「なんか心臓に悪いぜ……」

紀子「なんだか、由華らしくないなぁ」

日菜「小走さん、一体どんな指示を出したんです?」

やえ「(今回の戦い、もっとも警戒しなきゃいけないのは高鴨だ。私が大将になって戦う事も考えた。けど……それじゃ意味がない。アンタの手で晩成の勝ちを決めるんだ、巽!)」


31 : ◆CBoesPsC1w 2014/06/22(日) 00:10:14.93 ID:A3FfDW0so
~卓~

穏乃「(届く……! もうあと少しで、きっちり逆転出来る……!)」

由華「ロン、8000です」

MOB「げえーっ!? ダマかよー……ついてねー」

MOB「今更ついてるもついてねーもあるかよ……」

穏乃「(……えっ!? この人……さっきから届きそうになって手を伸ばす度、すり抜けて行ってしまう……まるで……)」



~阿知賀控え室~

晴絵「(まるで逃げ水……届きそうな位置に幻影をちらつかせて、実際には決して触れさせない……)」

憧「穏……」

晴絵「(負けた……この子達のせいじゃない。完全に作戦負け……ダークホースとして奇襲したつもりが、逆に……こんな事って……)」



~大将戦終了~

アナ「大将戦終了ー! 阿知賀猛追も及ばず、晩成高校が破竹の10連覇に向けて、激闘の第一試合を制しましたーっ!」

由華「有難うございました」

穏乃「……追いつけなかった……」

MOB「何かキラキラしてるぞ……流れ星かなぁ? いや、流星はもっとバァーって動くもんな……」

MOB「海、行くか? それも悪くねぇ。早い夏だっ」


32 : ◆CBoesPsC1w 2014/06/22(日) 00:12:43.32 ID:A3FfDW0so
~決勝 大将戦~

由華「ツモ。4000オールでラストです」

MOB「」

MOB「」

MOB「」

アナ「試合終了ー! 晩成高校、横綱相撲で10年連続のインターハイ出場を決めましたぁーっ! まさに向かう所敵なぁーしっ!」



~晩成控え室~

一同「「おっしゃー! やったー!」」

やえ「(阿知賀、許してくれとは言わない。壮行試合や、本戦の応援がこんな形で……)」

初瀬「やったー!! 皆さん! 小走先輩! やりましたね!」

やえ「あぁ、岡橋」

初瀬「実は私あの時、ちょっと不安だったんです。憧達があんなに必死になって、しかも阿知賀のレジェンドがコーチについてるなんて」

やえ「……」

初瀬「でも小走先輩の仰る通りでした! やっぱり小走先輩は私の憧れです! ヒーローです! 王者はニワカ仕込みになんか負けませんよね!」

やえ「……っ」

初瀬「先輩?」

やえ「ごめん、ちょっと外す」


33 : ◆CBoesPsC1w 2014/06/22(日) 00:48:15.67 ID:A3FfDW0so
良子「あれ、やえの奴どこ行ったんだ?」

初瀬「あ、さっき、ちょっとって言って走って行かれましたけど」

由華「表彰式とかインタビューもあるのに……もし間に合わなかったら、上田先輩お願いしますね」

良子「ええーっ!? いや無理無理! 絶対無理!」

紀子「そうかー、良子がやらないならあたしがやろうかなー」

日菜「いえ、ここは私が」

良子「そ、そんなに言うなら副部長のあたいがやるけどさ」

一同「「どうぞどうぞ」」

良子「どうぞどうぞじゃねぇよ!」



~阿知賀控え室前~

玄「ごめんなさい……私のせいで、ごめんなさい」

宥「私も、何も出来なかった……」

憧・穏乃「……」

灼「晴ちゃん……ごめん」

晴絵「謝らないで。皆のせいじゃない。良い夢を見せてくれて有難うね……」

一同「「うわぁぁーん!」」


34 : ◆CBoesPsC1w 2014/06/22(日) 02:52:26.24 ID:A3FfDW0so
~その近くの物陰~

やえ「……違う、こんな……勝ち方……」ダッ



~晩成高校 職員室~

晩成教師「おぉ、小走じゃないか。中継見てたよ。おめでとう! って、もう帰ってきたのか? まだ表彰式とか……」

やえ「すみません、部室の鍵をお願いします」

教師「え? あぁ……はいよ」



~部室 因縁卓前~

やえ「こんな勝ち方じゃ、例えインハイでどこまで行ってもダメなんだ……晩成はいつだって王者でなければ!」
 ――ポチッ。カラカラカラ……。
やえ「飛べよぉぉーっ!!」


35 : ◆CBoesPsC1w 2014/06/22(日) 17:06:51.40 ID:A3FfDW0so
~部室 因縁卓前~

やえ「……えっ、何も? 起こらない? ……も、もう戻れないのか?」

良子「いやー、参った参った」

やえ「上田! 県予選まであと……」

良子「へ? 予選? 何言ってんだ、本戦だろ」

やえ「そ、そうか。やっぱり飛べなかったのか……」

良子「?」

やえ「(なんだろう、この安堵感は。飛べないんだから仕方ない……このまま全国に行くしかない。そう言えるからか?)」

良子「団体戦の分もさ、個人戦で雪辱しようぜ」

やえ「え、個人戦?」

良子「おう、阿知賀の連中が個人戦にエントリーしてなくて、正直助かったよな。ハハハ! そんじゃ、あたいはもう行くぜ。やえも、また鹿に跳ねられない様に早く帰れよ?」
 ――ガチャ、バタン

やえ「……なんだ、ちゃんと戻れてたのか……はぁっ……」

因縁卓「……」

やえ「……」


36 : ◆CBoesPsC1w 2014/06/22(日) 17:20:32.17 ID:A3FfDW0so
因縁卓「本当に良いのかい?」

やえ「えっ?」

因縁卓「もう一度賽を振れば、晩成が勝利した世界線に戻れるんだぜ? そしてインハイに出られる。ベスト8……いや、優勝だって狙える」

やえ「……」

因縁卓「ここは名門晩成が初戦で敗退を喫した世界線。そんな所に戻って来たってしょうがないだろぉ?」

やえ「……」

因縁卓「王者に敗北は似合わない。だよなぁ」




日菜「小走さんが仰るなら」

紀子「しゃーねーな」

良子「やえの言う通りにしてみっか」

初瀬「小走先輩は、私の憧れです! ヒーローです!」

由華「先輩と一緒なら悔いはありません!」




やえ「(皆……!? 私達の……晩成の……王者の……あるべき姿は……)」

因縁卓「さぁどうするんだい、王者晩成の部長さん?」

やえ「悩むまでもない……! 私は、私が信じた道を進めばいい! ……そうだよね、皆」


37 : ◆CBoesPsC1w 2014/06/22(日) 18:03:55.24 ID:A3FfDW0so
~インターハイ会場~

アナ「今年も安定した強さで県予選を突破した奈良の絶対王者、晩成高校! 今、その先鋒が席に着いて役者が揃いましたぁっ!」

やえ「……(そうさ……これで良い。これで良かったんだ)」




~……の実況席~

アナ「晩成高校は何を隠そう、小走プロが20年前に卒業した母校です! 後輩にエールをどうぞ!」

やえ「10年前だよ!? 小鍛治プロの昔のネタだろそれ! 第一、解説としてエールはまずいよね?!」

アナ「四の五の言わず、びしっとどうぞ!」

やえ「え、えと……晩成に限らず……常に胸を張って、堂々と戦って欲しい。この舞台に居る貴女達は、全国の少年少女雀士の代表であり、憧れなんだから」

アナ「はい、小走プロらしく、オチの無い真面目な回答有難うございました!」

やえ「オチ必要だったの?! じゃ言うよ! 私が出場した時は、張るほど胸無かったですけどね! なんちゃって、あはは!」

アナ「さぁ、尺調整が終わった所で賽の目が決し、いよいよ戦いの幕が切って落とされます!」

やえ「」

アナ「1回戦、先鋒戦スタートですっ!!」



やえ「(……頑張りなよ、王者達っ!)」




~おわり~


40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/22(日) 18:18:06.86 ID:4+kYGsh1o

これはいいにわか先輩


42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/22(日) 18:57:27.84 ID:PwGfnqsco
乙ー
やえ先輩への愛が感じられて良かったです


44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/06/22(日) 21:45:53.36 ID:mdurx7ouO

なかなかいいにわか先輩だった


元スレ:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1403304756/


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