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高森藍子「幸せな日」
- 1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/06(日) 23:30:38.34 ID:K8l5sAM2o
-
藍子「Pさんは、どんなときに幸せを感じますか?」
- 2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/06(日) 23:31:22.39 ID:K8l5sAM2o
- P「どうしたんだ? 藪から棒に」
藍子「いえ、ちょっと興味があったんです」
藍子「Pさんにとっての幸せって何かなって」
P「幸せ、幸せか…」
P「あんまり考えたことないな、そういえば」
P「ちひろさんはどうです?」
ちひろ「えっ」
ちひろ「私ですか?」
- 3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/06(日) 23:31:58.95 ID:K8l5sAM2o
- 藍子「ちひろさんが幸せな気持ちになるのって、どんなときですか?」
ちひろ「そうですねぇ…」
P「やっぱり俺から搾取したときですか?」
ちひろ「あ?」
P「スイマセン」
ちひろ「…まあ、それはいいとして、私もちょっとピンときませんね」
ちひろ「普段幸せだって実感すること、あんまりないですからね」
藍子「でしたら、今日みたいな日はどうですか?」
- 4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/06(日) 23:32:45.79 ID:K8l5sAM2o
- P「?」
ちひろ「どういうこと? 藍子ちゃん」
藍子「今日、なんだかすごくいい感じだと思いませんか」
藍子「ずうっと降り続いていた雨が止んで」
藍子「空がからっと晴れあがって」
藍子「水たまりで遊ぶ子供たちの姿が見えたりなんかして」
藍子「ちょっと、素敵だと思いません?」
P「言われてみれば」
ちひろ「ここのところ雨続きでしたもんね」
ちひろ「確かに今日は気持ちがいいです。いつもよりお仕事が捗りますねっ」
P「書類の山で溢れたデスクを前によくそんなことが…」
ちひろ「Pさん」
P「スイマセン」
- 5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/06(日) 23:33:18.13 ID:K8l5sAM2o
- P「まあ、晴れやかな気分になるのは確かだな」
藍子「そうですよねっ」
P「藍子はそういうところ、よく気が付くよな」
藍子「ふふっ、いつもカメラを持ち歩いてるからかもしれませんね」
藍子「こういうささいなことが、私にとっては幸せなんです」
P「なるほどな」
P「幸せか…」
藍子「Pさん?」
P「いや、俺にとっての幸せってなんだろうなって思ってさ」
- 6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/06(日) 23:33:59.08 ID:K8l5sAM2o
- P「がむしゃらに仕事してきたせいか、そういうこと考える暇もなくってな」
P「今藍子に言われて、はっとしたよ」
P「幸せって何なんですかねー、ちひろさん」
ちひろ「金ですよ、金」
P「もう最悪の回答だもんなあ」
ちひろ「冗談ですよ! 本気にとらないでくださいっ!」
藍子「…でしたら、探しに行きませんか?」
P「え」
藍子「幸せ、探しに行きませんか。これから」
P「これから?」
- 7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/06(日) 23:35:03.47 ID:K8l5sAM2o
- ――
――――
P「何かと思ったら、散歩に行くことを言ってたのか」
藍子「すみません。お忙しいところを」
P「いいよ。ひと区切りついたところだったし」
藍子「ちひろさん、ひとりになっちゃいますけど大丈夫でしょうか…」
P「誘ったけど、忙しくて来れないってさ」
P「さすが、空気の読める人だよ」
藍子「え?」
P「いや、なんでもない」
P「それで、どこ行くんだ?」
藍子「そうですね。公園に行きませんか」
- 8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/06(日) 23:35:40.85 ID:K8l5sAM2o
- ――公園
P「おお、こんなところがあったとは」
藍子「都会のオアシスってやつですね」
P「木の葉が濃く色づいてる。もう夏なんだな」
P「普段オフィス街のど真ん中にいるから、そんなこと気にも留めなかったな」
藍子「ふふふ」
藍子「あ、ほらPさん、あそこにベンチがありますよ。座りませんか?」
P「おう」
- 9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/06(日) 23:36:31.79 ID:K8l5sAM2o
- 藍子「風が気持ちいいですね」
P「ちょうど日陰になって、涼しいな」
藍子「Pさん。私お茶を持ってきたんです」
藍子「飲みませんか?」スッ
P「(水筒にお茶を入れてくる系女子…!)」
P「実在したのか」
藍子「?」
P「いや、いただくよ。ありがとう」
- 10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/06(日) 23:37:02.53 ID:K8l5sAM2o
-
サワサワ…
チチチ…
藍子「……」
P「……」
藍子「なんだか時間がゆったり流れてる気がしますね」
P「…ああ」
藍子「Pさん、今何を考えてます?」
P「…仕事のことかな」
藍子「えっ。し、仕事のこと考えてたんですか?」 - 11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/06(日) 23:37:48.17 ID:K8l5sAM2o
- P「今度お得意先に挨拶に行かなきゃなとか、ここのスケジュールはどう調整しようかとか…」
P「どうしてもそういうことが頭をよぎってな」
藍子「えと、その。も、もう戻りますか?」
P「いや、そんな急を要することじゃないから大丈夫だ」
P「ただ、なんていうかな。そういう性分なんだよ」
P「こうやってまったりしてていいのかって、思っちゃうんだ」
藍子「……」
P「損な性格だよな」
- 12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/06(日) 23:38:31.13 ID:K8l5sAM2o
- 藍子「Pさん。最近根を詰めすぎじゃないですか?」
P「そうかな」
藍子「そうですよ。夜遅くまで残ってお仕事して…」
藍子「事務所に泊まり込むこともあるらしいじゃないですか」
P「そんなこと、誰から聞いたんだ?」
藍子「まゆちゃんと、凛ちゃんが言ってました」
P「まゆはともかく、凛もか」
藍子「二人とも心配してましたよ。Pさんのこと」
P「俺は二人の今後が心配だよ…」
- 13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/06(日) 23:39:47.37 ID:K8l5sAM2o
- 藍子「それに、お昼ごはんもちゃんと摂ってないですよね」
藍子「毎日コンビニのお弁当じゃ、体壊しちゃいますよ」
P「う、それは確かに…申し訳ない」
P「ただ、自炊する時間が取れなくてなあ。外食は高いし…」
藍子「でしたら、響子ちゃんに相談してみたらいかがですか?」
P「響子に?」
藍子「はい。Pさんにお弁当作ってあげたいって言っていましたよ」
藍子「このままじゃPさん倒れちゃうって、すごく心配してました」
P「知らないうちに、いろんな子に心配かけてたみたいだな」
P「全然気づかなかったよ」
藍子「響子ちゃんだけじゃないですよ。ありすちゃんや友紀ちゃんもです」
藍子「チャレンジクッキングの成果を見せるときだって、とっても張り切ってましたよ」
P「そ、そうか。ありすに友紀も…」
P「うれしいけど、気持ちだけ受け取っておこうかな」
- 14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/06(日) 23:40:34.51 ID:K8l5sAM2o
- 藍子「私たちのためにお仕事してくれるのはうれしいですけど…」
藍子「たまにはお休みしてくださいね?」
P「うん、そうするよ」
P「しかし、今は大事なときだからな。ちょっと無理してでも頑張らないと」
藍子「大事なとき、ですか?」
P「ああ、最近はうちの事務所も有名になって、仕事も増えてきただろ」
P「小さい箱だけど、ライブもできるようになって」
P「みんなやっと、アイドルとして活躍できるようになったんだ」
P「今が、チャンスなんだよ」
藍子「それは、そうですけど」
藍子「Pさんが辛い思いをしてまで、やるようなことじゃ…」
P「いやいや、全然辛くなんてないぞ」
P「俺としても、みんながトップアイドルになって輝く姿を早く見たいんだ」
P「いってみりゃそれが、俺にとっての幸せってやつだからな」
- 15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/06(日) 23:41:25.36 ID:K8l5sAM2o
- 藍子「私たちが、トップアイドルになること…」
藍子「それが、Pさんにとっての幸せですか?」
P「ああ」
P「大勢の観客を前に、俺がスカウトしたアイドルが歌うんだ」
P「だれもかれもが熱狂してさ、みんながみんな笑顔になるんだ」
P「プロデューサーにとってはこれ以上ない栄誉だし、最高の幸せだと思うよ」
藍子「…そうですね」
藍子「それはきっと、とっても大きな幸せなんでしょうね」
藍子「……」
P「藍子?」
- 16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/06(日) 23:42:09.41 ID:K8l5sAM2o
-
藍子「Pさん。私、Pさんからいろんな幸せをもらったんです」
藍子「小さな幸せも大きな幸せも、両方とも」
P「…幸せに、大小があるのか?」
藍子「私なりの考えですけどね」
藍子「私、小さい幸せを見つけるのは得意だったんです」
藍子「こうやって散歩して、お昼寝している猫を撮ったりとか」
藍子「喫茶店に行って、お気に入りのケーキを食べたりとか」
藍子「そういうささいなことで、小さな幸せを感じることができたんです」
P「いいことだな、それは」
藍子「Pさんに誕生日をお祝いされたことだって、そうですよ」
藍子「私と、その周りの人だけが共有できる、小さいけど大事な幸せです」
P「……」
- 17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/06(日) 23:42:55.86 ID:K8l5sAM2o
-
藍子「でも、Pさんはそれだけじゃなくって…」
藍子「私にステージで歌うっていう、大きな幸せを教えてくれました」
藍子「大勢の人を笑顔する…そういう幸せの形を与えてくれました」
藍子「だから私は、本当の意味で今幸せだって思います」
藍子「小さい幸せも、大きい幸せも知ることができたから……」
P「…なるほどな」
P「小さい幸せに、大きい幸せか」
P「そういう考えには、至らなかったな」
藍子「…Pさんはどうですか」
藍子「Pさんは今、幸せですか?」
- 18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/06(日) 23:43:54.16 ID:K8l5sAM2o
- P「…いや、どうかな」
P「さっきも言ったけど、プロデューサー業自体は辛くはない。むしろ楽しいくらいだ」
P「でも俺は、藍子の言う大きな幸せだけを追い求めてたのかもな」
藍子「…」
P「アイドルの動向に気付かなかったり、自己管理がなってなかったり」
P「大舞台の観客を夢見て、目の前の小さな幸せを見逃してたのかもないな」
P「…そういう意味で言うと、どうやら俺は幸せではなさそうだ」
藍子「Pさん…」
- 19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/06(日) 23:44:31.88 ID:K8l5sAM2o
- 藍子「…私、Pさんにはとても感謝してるんです」
藍子「Pさんにも、笑顔になってほしい。幸せになってほしいって思ってます。だから」
藍子「私にしてあげられることなら、なんでもしてあげたいって、思います」
P「なんでもって…」
藍子「はい、なんでもです。…って、あっ」
藍子「へ、変な意味じゃないですよ!」
P「アッハイ」
P「(どういう意味なんですかね…)」
- 20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/06(日) 23:46:07.44 ID:K8l5sAM2o
- 藍子「でも、私は茜ちゃんや未央ちゃんみたいに人を元気づけるパワーはないですから」
藍子「こうして一緒にお散歩に行くことぐらいしか、できないですけど…」
P「いや、そんなことない」
P「藍子のおかげで、大事なことに気づけたよ。ありがとう」
藍子「い、いえ。そんな…」
P「これからは、積極的に休むことにするよ」
P「休むのも、仕事のうちっていうしな」
藍子「ふふっ。そうしてくださいね」
- 21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/06(日) 23:46:50.75 ID:K8l5sAM2o
- P「そしたら、また今日みたいに散歩に行かないか?」
藍子「えっ。い、いいんですか?」
P「ああ、頼むよ。藍子と一緒なら楽しそうだ」
P「ダメかな?」
藍子「いいえ! 全然ダメじゃないです!」
藍子「是非、よろしくお願いします!」ズイッ
P「お、おう」
P「(こういうとこ、Paだよな)」
- 22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/06(日) 23:48:12.21 ID:K8l5sAM2o
- P「…って、もうこんな時間か」
藍子「え? あ、本当ですね。時間が過ぎるのって、早いですね…」
藍子「Pさん。もう戻られますか…?」
P「……」
P「いや」
P「藍子、もうちょっとここでゆっくりしていかないか?」
藍子「えっ?」
P「今なら仕事のことを忘れて、リラックスできそうな気がするんだ」
P「小さな幸せってやつかな、今ならわかりそうな気がするよ」
P「…藍子、もう少し一緒にいてくれないか?」
藍子「…はいっ」
藍子「私でよければ、いつまででも――」
- 23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/06(日) 23:48:56.73 ID:K8l5sAM2o
-
サワサワ…
チチチ…
- 24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/06(日) 23:49:51.44 ID:K8l5sAM2o
- ――
―――
――CGプロ
P「戻りましたー」
ちひろ「あ、Pさん。お帰りなさい」
藍子「すみません。遅くなっちゃって」
ちひろ「いえいえ。全然大丈夫ですよ」
ちひろ「それで、どうでしたか? 藍子ちゃんとのデート」
藍子「でっ…!?」
P「いやあ、良かったですよ。幸せな気持ちになれましたね」
藍子「Pさん。ちょっと、その」
ちひろ「あらあら、これは問題ですねえ。現役のアイドルがプロデューサーとデートだなんて」
P「すっぱ抜かれてなきゃいいですけどねえ」
藍子「ちひろさん。あの、これはデートじゃなくてですね」
P「えっ? デートじゃなかったのか、これはショックだなあ」
藍子「」
藍子「え、え?」
ちひろ「ふふふ。冗談ですよ、藍子ちゃん」
ちひろ「あんまり二人が幸せそうだから、からかっただけです」
藍子「も、もう! Pさんまで一緒になって!」
- 25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/06(日) 23:51:11.71 ID:K8l5sAM2o
- P「悪い悪い、反応がかわいかったからな」
藍子「んー…もう、知りませんっ」
P「いや、すまなかった。今日は楽しかったからさ、つい調子に乗っちゃって」
P「ありがとうな、藍子。おかげでリラックスできたよ」
藍子「……」
P「さっきも言ったけど、また一緒に散歩に行ってくれないか。いつでもいいからさ」
藍子「……」
藍子「…いいえ、もうお散歩には行きませんっ」
P「」
P「えっ」
- 26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/06(日) 23:52:44.04 ID:K8l5sAM2o
- P「う、え? あ、藍子?」
藍子「……」
P「さ、さっきはいいって言ってたじゃ…」
P「…藍子?」
藍子「…お散歩には、行きません」
藍子「でも、で、デートなら…」
P「え?」
藍子「…デートなら、また一緒に行きたいなって、思います」
終わり
- 27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/06(日) 23:54:02.30 ID:K8l5sAM2o
- お散歩デートがしたい人生だった。
html化依頼してきます。
- 28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/06(日) 23:55:56.36 ID:A6HLdEHKO
- 乙!
藍子ちゃんかわいい……!! - 29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/06(日) 23:57:40.80 ID:kn4QyuvDO
- 藍子はホントいい子だなあ…乙でした

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